説明

電池セルモジュール

【課題】組み付け性の向上および導電不良の低減が図れる電池セルモジュールを提供する。
【解決手段】複数の電池セル2と、各電池セル2に取り付けられ、電池セル2のセル端子3に接続する導電性の貫通孔4を有したセル支持体5と、各セル支持体5の貫通孔4に挿通されて各電池セル2のセル端子3に導通する端子ロッド6と、セル支持体5を介して電池セル2を積層状に収納する収納容器7と、を備える電池セルモジュール1とした。端子ロッド6を各セル支持体5の貫通孔4に挿通することにより全電池セルの出力を得ることができ、構造が簡単となって、電池セルモジュールの組み付け性が向上する。セル支持体5の位置が端子ロッド6の軸方向にずれたとしても、貫通孔4と端子ロッド6とは常に接触しているため導電状態が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電池セルモジュールの一従来例として特許文献1に記載のものが挙げられる。同文献の符号を付して説明すると、同文献の技術は、電池セル21の正極端子22および負極端子23に貫通孔25とこの貫通孔25に連通するように開口した挿入部26とを形成し、ボルト46等からなる連結体を挿入部26を介して貫通孔25に通すことにより複数の電池セル21を連結する構造である。電池セル21間を直列に接続するための導電体31および絶縁体36を連結体に固定してあるため、導電体31および絶縁体36と、正極端子22および負極端子23とを固定する必要がなくなり、端子を接続する組み立て作業が容易かつ迅速に行える旨、同文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−260875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、導電体31および絶縁体36と、正極端子22および負極端子23とを固定する作業は必要ないものの、連結体に対して導電体31および絶縁体36を交互に取り付ける作業を要することから、迅速な組み付け作業はさほど期待できない。
また、振動等の影響によりボルト46が弛み、電池セル21がボルト46の軸方向にずれると、導電体31と正極端子22、負極端子23との間の接触圧力が失われて導電不良をきたすおそれがある。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、組み付け性の向上および導電不良の低減が図れる電池セルモジュールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池セルモジュールは、前記課題を解決するため、複数の電池セルと、各電池セルに取り付けられ、電池セルのセル端子に接続する導電性の貫通孔を有したセル支持体と、各セル支持体の貫通孔に挿通されて各電池セルのセル端子に導通する端子ロッドと、前記セル支持体を介して電池セルを積層状に収納する収納容器と、を備えることを特徴とする。
【0007】
当該構成によれば、端子ロッドを各セル支持体の貫通孔に挿通することにより全電池セルの出力を得ることができ、構造が簡単となって、電池セルモジュールの組み付け性が向上する。また、導電性の端子ロッドが導電性の貫通孔に挿通する構造のため、仮に無理な力が加わって電池セルおよびセル支持体の位置が端子ロッドの軸方向にずれたとしても、貫通孔と端子ロッドとは常に接触しているため導電不良が起きることはない。
【0008】
また、本発明の電池セルモジュールは、前記セル支持体を前記収納容器の開口部に差込式により着脱自在に取り付ける構成としたことを特徴とする。
【0009】
当該構成によれば、電池セルモジュールの組み付け性が一層向上し、収納容器に対する電池セルの収納作業および取り外し作業を迅速に行える。
【0010】
また、本発明の電池セルモジュールは、前記セル支持体において、電池セルのセル端子と前記貫通孔との配線上に充放電切替スイッチ回路を設けたことを特徴とする。
【0011】
当該構成によれば、充放電切替機能を備えた電池セルモジュールを提供でき、多用なニーズに対応できる。
【0012】
また、本発明の電池セルモジュールは、前記セル支持体の上面に、電池セルに接続する端子を設け、全セル支持体の前記端子に一括して接続するように接続回路基板をセル支持体に着脱自在に取り付ける構成としたことを特徴とする。
【0013】
当該構成によれば、全電池セルの信号配線を簡単な構造で一纏めに集約でき、外部装置との接続が容易となる。
【0014】
また、本発明の電池セルモジュールは、前記収納容器は、電池セルを間隔を空けて収納保持するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
当該構成によれば、収納容器内での電池セル同士の接触を防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、端子ロッドを各セル支持体の貫通孔に挿通することにより全電池セルの出力を得ることができ、構造が簡単となって、電池セルモジュールの組み付け性が向上する。そして、導電性の端子ロッドが導電性の貫通孔に挿通する構造のため、仮に無理な力が加わって電池セルおよびセル支持体の位置が端子ロッドの軸方向にずれたとしても、貫通孔と端子ロッドとが常に接触しているため導電状態を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る電池セルモジュールの外観斜視図である。
【図2】セル支持体の貫通孔周りの拡大説明図であり、(a)、(b)はそれぞれ側断面図、正面図である。
【図3】セル支持体における電気配線を示す正面図である。
【図4】セル支持体の貫通孔と電池セルのセル端子との接続構造を示す分解斜視図である。
【図5】電池セルモジュールに接続回路基板を取り付ける状態を示す外観斜視図である。
【図6】電池セルモジュールの側断面図である。
【図7】支持部材の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、本発明に係る電池セルモジュール1は、複数の電池セル2と、各電池セル2に取り付けられ、電池セル2のセル端子3に接続する導電性の貫通孔4を有したセル支持体5と、各セル支持体5の貫通孔4に挿通されて各電池セル2のセル端子3に導通する端子ロッド6と、セル支持体5を介して電池セル2を積層状に収納する収納容器7と、を備える。電池セルモジュール1は例えばハイブリッド自動車に搭載される。
【0019】
電池セル2は、例えば公知のラミネート型のリチウムイオン電池であり、矩形のシート状をなしている。電池セル2の上面には、幅方向に間隔を空けて一対の矩形平板状のセル端子3(正極端子3Aおよび負極端子3B)が突設されている。
【0020】
「セル支持体5」
セル支持体5は、電池セル2の上方において電池セル2の幅方向に延設する部材であり、絶縁材料、例えばABS樹脂等の耐熱性樹脂材料により成形されている。セル支持体5は一体成形物であってもよいし、分割構成されたもの、例えば奥行き方向(図2(a)における左右方向)に2分割されたものを一体に組み付けたものであってもよい。
【0021】
セル支持体5は、幅方向両端の下側コーナー部が矩形に切り欠かれた形状を呈しており、下部5Bの幅寸法は上部5Aのそれよりも小さい。下部5Bの幅方向両端には下部幅側面5Cが形成され、上部5Aの幅方向両端下面にはフランジ面5Dが形成される。セル支持体5の奥行き方向の側面は奥行き側面5Eとして形成される。さらに、上部5Aの上面の幅方向中央周りには、奥行き方向に貫通する縦断面矩形状の嵌合溝5Fが形成されている。この嵌合溝5Fには後記するように接続回路基板25が取り付けられる。セル支持体5の下部5Bの幅寸法は電池セル2の幅寸法よりも大きく、セル支持体5の奥行き寸法は電池セル2の奥行き寸法よりも大きい。
【0022】
セル支持体5の上下方向中程には、幅方向に間隔を空けた一対の閉円形断面の貫通孔4が奥行き方向に貫通形成されている。貫通孔4、4の間隔は電池セル2の正極端子3Aと負極端子3Bの間隔とほぼ同じである。貫通孔4の周面は導電性を有する導電層によって構成される。貫通孔4の周面に導電層を形成する方法として、本実施形態では、図2、図4に示すように、貫通孔4の周面に導電性の環状部材(例えば金属製リング等)8を嵌め込む態様としている。貫通孔4の周面と環状部材8の外周面とは接着剤により接着される。環状部材8の表面は例えばニッケルメッキ処理されている。貫通孔4の周面に導電層を形成する他の方法としては、貫通孔4の周面に導電性のペーストを塗布・焼成する方法等が挙げられる。
【0023】
電池セル2の正極端子3A、負極端子3Bと貫通孔4の導電層(環状部材8)との接続構造の一例を説明する。先ず、環状部材8にはリード線9が取り付けられる。リード線9は被覆チューブ付きの銅線等の汎用品である。貫通孔4には後記するように端子ロッド6が挿通するので、リード線9は端子ロッド6と干渉しない位置に設ける必要がある。本実施形態では、図4に示すように、環状部材8の下端の一部を下方に折り曲げて端子接続部8Aとし、この端子接続部8Aにリード線9の一端をスポット溶接等により接続することで、リード線9と端子ロッド6(図1)との干渉を回避している。符号10は一端が環状板部10Aからなり他端が矩形平板部10Bからなる圧着端子であり、リード線9は圧着端子10の環状板部10Aに挿通、圧着され、他端が矩形平板部10Bにスポット溶接等により接続される。
【0024】
セル支持体5の一方の奥行き側面5Eには、貫通孔4の下部を上端とした平断面矩形状の溝5Gが鉛直方向に沿って形成されている。環状部材8が貫通孔4に嵌め込まれたとき、圧着端子10の環状板部10Aは溝5G内に圧入の態様で収まるようになっている。また、図2に示すように、圧着端子10の矩形平板部10Bはセル支持体5の下面から突出し、この矩形平板部10Bに正極端子3A、負極端子3Bがあてがわれてボルト11およびナット12により締結固定される。
【0025】
以上により、電池セル2の正極端子3A、負極端子3Bと貫通孔4の環状部材8とがリード線9および圧着端子10を介して接続し、電池セル2は圧着端子10によりセル支持体5に懸吊される態様となる。圧着端子10は前記溝5Gに嵌め込まれて位置決め固定されるため、懸吊された電池セル2が振れることはない。そして、電池セル2とセル支持体5とが互いに組み付けられたときの平面視状態において、電池セル2は幅方向に関してセル支持体5の一対の下部幅側面5C、5C間に収まり、奥行き方向に関してセル支持体5の一対の奥行き側面5E、5E間に収まるようにレイアウトされている。なお、セル支持体5に対するリード線9および圧着端子10の形成態様としては、インサート成形によりセル支持体5と一体に成形する構造にしてもよい。
【0026】
図3に示すように、電池セル2としては例えばセル内部の温度を検出する温度センサ13を内蔵したものがある。図3では、温度センサ13からのセンサ信号配線14が電池セル2の筐体側面から引き出された場合を示しており、センサ信号配線14は中空の支持部材15の内部およびセル支持体5の内部を介して嵌合溝5Fの溝底面上の端子18まで引き回される。支持部材15は、図7に示すように、鉛直に配されるパイプ状の樹脂部材であって、下部には電池セル2を奥行き方向に挟むための溝15Aが形成されている。支持部材15の上部周りはセル支持体5に埋設される。図6から判るように、支持部材15の奥行き寸法(図6における左右方向の寸法)はセル支持体5の奥行き寸法と同じであり、側面視して、支持部材15の奥行き方向端部はセル支持体5の奥行き側面5Eと一直線状に連なる。
【0027】
なお、電池セル2に内蔵される他のセンサとしては、セル内部の圧力を検出する圧力センサ等もあり、これらの信号配線も前記センサ信号配線14と同様に、支持部材15の内部およびセル支持体5の内部を介して嵌合溝5Fの溝底面上の所定の端子まで引き回される。
【0028】
図3に示すように、電池セル2の一方のセル端子3とセル支持体5の貫通孔4とを接続する配線(例えば図4のリード線9或いは圧着端子10から引き出した配線)と、嵌合溝5Fの溝底面上の端子19とは、セル電圧検出配線20により接続される。セル電圧検出配線20はセル支持体5の内部に引き回される。さらに、電池セル2の一方のセル端子3とセル支持体5の貫通孔4とを接続する配線(例えばリード線9或いは圧着端子10から引き出した配線)には充放電切替スイッチ回路21が設けられ、この充放電切替スイッチ回路21と嵌合溝5Fの溝底面上の端子22とが制御配線23により接続される。充放電切替スイッチ回路21は例えばMOS型FETから構成され、ゲート電極が制御配線23を介して端子22と接続される。充放電切替スイッチ回路21はセル支持体5の内部に設けてもよいし、セル支持体5の表面上に設けてもよい。制御配線23はセル支持体5の内部に引き回される。
【0029】
「収納容器7」
図1において、収納容器7は、電池セル2を着脱自在に挿通させるための開口部を上面に形成した横長の直方体形状の部材であり、合成樹脂材料等の絶縁材料により成形されている。電池セル2の発熱により収納容器7の内部には熱がこもりやすいため、収納容器7の材質は特に放熱性に優れた樹脂材料とすることが望ましく、例えば窒化アルミ等の無機フィラーを混入させることで放熱性を高めることができる。収納容器7の長辺方向を奥行き方向、短辺方向を幅方向というものとすると、収納容器7内の空間は、幅方向に延設される仕切り壁7Aによって奥行き方向に間隔を空けて複数に画成されている。画成された各々の空間は電池セル2を1つずつ収納する電池セル収納室7Bを構成する。仕切り壁7Aの上面には、セル支持体5の嵌合溝5Fと同断面形状を呈する嵌合溝7Eが奥行き方向に貫通形成されている。図6に示すように、仕切り壁7Aは収納容器7内の上部空間に形成されており、仕切り壁7Aの下端と収納容器7の底部との間は通風のために開口形成されている。
【0030】
電池セル収納室7Bの幅方向両端における収納容器7の肉厚部は、収納容器7の最上面(収納容器7の奥行き方向両端の上面および仕切り壁7Aの上面)よりも低段に形成されており、この低段の面はセル支持体5のフランジ面5Dと接面する支持面7Cを構成する。電池セル収納室7Bの上部にはセル支持体5が装着されるため、電池セル収納室7Bの奥行き寸法はセル支持体5の奥行き寸法(奥行き側面5E、5E間の寸法)と略同じであり、電池セル収納室7Bの幅寸法はセル支持体5の下部5Bの幅寸法(下部幅側面5C、5C間の寸法)と略同じである。
【0031】
収納容器7には、幅方向に間隔を空けた一対のロッド挿通孔7Dが奥行き方向に沿って形成されている。ロッド挿通孔7D、7Dの間隔はセル支持体5の貫通孔4、4の間隔と同じである。ロッド挿通孔7Dは、金属棒材からなる端子ロッド6を収納容器7の奥行き方向の端部外側から内部に挿通可能とするように、収納容器7の奥行き方向の少なくとも一方端の肉厚部と、各仕切り壁7Aとを貫通するように形成されている。また、収納容器7の奥行き方向の少なくとも一方端の肉厚部の上縁には、接続回路基板25をセル支持体5に対して着脱自在に固定するための係止フック7Fが形成されている。さらに、収納容器7の奥行き方向の一方端には、収納容器7の内部を冷却するための冷却ファン24が取り付けられている。端子ロッド6の基端部にはアタッチメント26が取り付けられており、このアタッチメント26は収納容器7の奥行き方向の端部に形成されたロッド挿通孔7Dの座ぐり孔に嵌め込まれる。
【0032】
「電池セルモジュール1の組み付け手順」
電池セルモジュール1の組み付け手順の一例を説明する。先ず、作業者はセル支持体5を把持しつつ、電池セル2を収納容器7の上面の開口部から電池セル収納室7Bに収納する。セル支持体5は、その奥行き側面5Eと支持部材15の奥行き方向端部とが収納容器7の仕切り壁7Aまたは収納容器7の奥行き方向端部の内壁を摺接しながら、収納容器7の上面の開口部に差し込まれる。そして、下部幅側面5Cが電池セル収納室7Bの幅方向端部の内壁に嵌合接面し、フランジ面5Dが収納容器7の支持面7Cに接面することにより収納容器7に対するセル支持体5の装着が完了する。つまり、セル支持体5は収納容器7にワンタッチ結合により着脱自在に取り付けられる。
【0033】
セル支持体5の装着が完了したとき、セル支持体5の上面および幅方向側面はそれぞれ収納容器7の上面および幅方向側面と面一に連なるようになっている。各電池セル2はセル端子3の向きを同じにして、すなわち正極端子3A、負極端子3Bが収納容器7の奥行き方向に同列に並ぶように積層状に収納される。また、図6に示すように、支持部材15の奥行き方向端部が収納容器7の仕切り壁7Aに当接することにより、電池セル2が電池セル収納室7B内で振れることはない。
【0034】
収納容器7に対するセル支持体5の嵌合状態の保持手段としては、セル支持体5および収納容器7が合成樹脂材料から成形されており、その弾性力に基づいて両者間、具体的にはセル支持体5の下部幅側面5Cと電池セル収納室7Bの幅方向端部の内壁との間およびセル支持体5の奥行き側面5Eと収納容器7の仕切り壁7A、収納容器7の奥行き方向端部の内壁との間には大きな摩擦力が得られるため、この摩擦力を前記保持手段に充てることができる。また、セル支持体5の上部には後にモジュール監視回路基板25が取り付けられて係合フック7Fにより固定されるので、これによっても収納容器7に対してセル支持体5の嵌合状態が保持されることになる。
【0035】
全ての電池セル2の収納後、一対の端子ロッド6が収納容器7の奥行き方向の端部外側から各ロッド挿通孔7Dに挿通される。端子ロッド6は各電池セル収納室7B内の電池セル2の貫通孔4に圧入の態様で挿通することにより各貫通孔4の環状部材8と導電結合され、これにより端子ロッド6の端部から全電池セル2の出力を得ることができる。
【0036】
また、図5に示すように、セル支持体5の嵌合溝5Fと収納容器7の嵌合溝7Eには接続回路基板25が嵌め込まれ、接続回路基板25上に形成された端子と嵌合溝5Fの溝底面上の各端子18、19、22(図3)とが導通接触する。接続回路基板25は収納容器7の係合フック7Fによりセル支持体5の上部に着脱自在に固定される。接続回路基板25は、少なくとも全セル支持体5の端子18、19、22に導通接触する端子を備えた基板であって、必要に応じ信号増幅回路や信号変換回路等が付加される。電池セル2のセル電圧および内部温度の各信号は接続回路基板25を介して外部に出力されるとともに、接続回路基板25を介した外部制御により充放電切替スイッチ回路21が、セル端子3と端子ロッド6とを接続する放電モードと、セル端子3と端子ロッド6とを非接続にする充電モードのいずれかに切り替えられる。
【0037】
以上のように、複数の電池セル2と、各電池セル2に取り付けられ、電池セル2のセル端子3(正極端子3A、負極端子3B)に接続する導電性の貫通孔4を有したセル支持体5と、各セル支持体5の貫通孔4に挿通されて各電池セル2のセル端子3(正極端子3A、負極端子3B)に導通する端子ロッド6と、セル支持体5を介して電池セル2を積層状に収納する収納容器7と、を備える電池セルモジュール1とすれば、端子ロッド6を各セル支持体5の貫通孔4に挿通することにより全電池セルの出力を得ることができ、構造が簡単となって、電池セルモジュール1の組み付け性が向上する。
【0038】
また、導電性の貫通孔4に挿通され各電池セル2のセル端子3(正極端子3A、負極端子3B)に導通する端子ロッド6を備える構成としたことで、振動等による導電不良の問題が解消される。すなわち、特許文献1では振動等の影響によりボルトが弛みやすく、ボルトが弛んで電池セルがボルトの軸方向に少しでもずれた場合には、導電体と正極端子、負極端子との間の接触圧力が失われて導電不良をきたすおそれがあるのに対し、本発明の電池セルモジュール1では、導電性の端子ロッド6が導電性の貫通孔4に挿通する構造のため、仮に無理な力が加わって電池セル2およびセル支持体5の位置が端子ロッド6の軸方向にずれたとしても、貫通孔4と端子ロッド6とは常に接触しているため導電不良が起きることはない。
【0039】
また、セル支持体5を収納容器7の開口部に差込式により着脱自在に取り付ける構成とすれば、電池セルモジュール1の組み付け性が一層向上し、収納容器7に対する電池セル2の収納作業および取り外し作業を迅速に行える。
【0040】
さらに、セル支持体5において、電池セル2のセル端子3と貫通孔4との配線上に充放電切替スイッチ回路21を設ければ、充放電切替機能を備えた電池セルモジュール1を提供でき、多用なニーズに対応できる。
【0041】
また、セル支持体5の上面に、電池セル2に接続する端子(端子18、19、22の内の少なくとも1つ)を設け、全セル支持体5の前記端子に一括して接続するように接続回路基板25をセル支持体5に着脱自在に取り付ける構成とすれば、全電池セル2の信号配線を簡単な構造で一纏めに集約でき、外部装置との接続が容易となる。
【0042】
また、収納容器7を、電池セル2を間隔を空けて収納保持するように構成すれば、収納容器7内での電池セル2同士の接触を防止できる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は図面に記載したものに限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 電池セルモジュール
2 電池セル
3 セル端子
3A 正極端子(セル端子)
3B 負極端子(セル端子)
4 貫通孔
5 セル支持体
6 端子ロッド
7 収納容器
7A 仕切り壁
7B 電池セル収納室
8 環状部材
10 圧着端子
18、19、22 端子
21 充放電切替スイッチ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルと、
各電池セルに取り付けられ、電池セルのセル端子に接続する導電性の貫通孔を有したセル支持体と、
各セル支持体の貫通孔に挿通されて各電池セルのセル端子に導通する端子ロッドと、
前記セル支持体を介して電池セルを積層状に収納する収納容器と、
を備えることを特徴とする電池セルモジュール。
【請求項2】
前記セル支持体を前記収納容器の開口部に差込式により着脱自在に取り付ける構成としたことを特徴とする請求項1に記載の電池セルモジュール。
【請求項3】
前記セル支持体において、電池セルのセル端子と前記貫通孔との配線上に充放電切替スイッチ回路を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池セルモジュール。
【請求項4】
前記セル支持体の上面に、電池セルに接続する端子を設け、
全セル支持体の前記端子に一括して接続するように接続回路基板をセル支持体に着脱自在に取り付ける構成としたことを特徴とする請求項3に記載の電池セルモジュール。
【請求項5】
前記収納容器は、電池セルを間隔を空けて収納保持するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電池セルモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−210455(P2011−210455A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75536(P2010−75536)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(390023917)八千代工業株式会社 (186)
【Fターム(参考)】