説明

電池パック及びこれを備えた電動車

【課題】 トレーの下側フランジ部とカバーの上側フランジ部とを重合させた状態で、これらの間に必要なシール剤を存在させて十分なシール性能を得ることのできる電池パックを提供する。
【解決手段】 単電池を収容するパッケージングケースを構成するトレーの下側フランジ部及びトレーを覆うカバーの上側フランジ部の少なくとも何れか一方は、重合状態で互いに対向する対向面における少なくとも一部に相手方の対向面から離間する離間部が形成され、該離間部上にシール剤を配置した状態で下側フランジ部及び上側フランジ部を重合させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド電気自動車(HEV)や電気自動車(EV)に搭載される電池パック及びこれを備えた電動車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、CO2 の排出量の少ないハイブリッド電気自動車や、CO2 を排出しない電気自動車(以下、これらを総称して電動車という)が普及しつつある。かかる電動車は、駆動モータやその他の電気系統にエネルギーを供給するエネルギー供給源として電池パックが搭載されている。
【0003】
前記電池パックは、複数の電池モジュールと、該複数の電池モジュールを収容するパッケージングケースとを備えている。
【0004】
各電池モジュールは、複数の単電池が電気的に接続された状態で一つにパッケージ化されたものである。すなわち、各電池モジュールは、複数の単電池で構成された組電池である。
【0005】
前記パッケージングケースは、電池モジュールを配置するトレーと、該トレー上の電池モジュールを覆うカバーとで構成されている。そして、前記トレーは、下側フランジ部を備える一方、前記カバーは、下側フランジ部と重合する上側フランジ部を備えている。
【0006】
より具体的には、トレーは、複数の電池モジュールを平面視マトリックス状(平面視において縦横に整列させた状態)に配置する底部と、該底部の外周から起立した下側周壁部と、下側周壁部の上端から外方に延出した下側フランジ部とを備えている。これに対し、前記カバーは、トレーの開放部分と対応した天部と、該天部の外周から垂下する上側周壁部と、該上側周壁部の下端から外方に延出した上側フランジ部とを備えている。
【0007】
これにより、上記構成のパッケージングケースは、トレー上の電池モジュールをカバーで覆った状態で、下側フランジ部と上側フランジ部とが重合し、トレー(底部及び下側周壁部)とカバー(天部及び上側周壁部)とが協働して電池モジュールを収容した内部空間を形成するようになっている。
【0008】
そして、上記構成の電池パックは、電動車の底部に取り付けられる。すなわち、電動車に搭載される電池パックは、電気容量を確保する必要性から全体の重量やサイズが非常に大きくなるため、走行安定性や他の構成の配置等の観点から、一般的に、車両の底部に配置される(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
ところで、電池パックは、パッケージングケース内(内部空間内)に電気エネルギーの供給源である電池モジュール(単電池)が配置されているため、内部空間に水等の液体が進入することは感電や漏電等の観点で厳禁である。
【0010】
そのため、電動車の底部に取り付けられる電池パックは、洗車や走行時の水の跳ね返りでパッケージングケースの外面に水分が付着することから、トレーとカバーとの間をシールすべく、下側フランジ部上にシール剤を配置(例えば、塗布)した後にトレーをカバーで覆うことで組み立てられる。
【0011】
これにより、電池パックは、トレーの下側フランジ部とカバーの上側フランジ部との間にシール剤が介装され、パッケージングケースに付着した水等の液体がトレーの下側フランジ部とカバーの上側フランジ部との間から内部空間に流入することが防止されている。なお、一般的に、この種のパッケージングケースは、重合する下側フランジ部及び上側フランジ部に挿通した雄ネジ部材(例えば、ボルト)に対してナットを螺合させることで、トレーとカバーとを締結するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−253933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記構成の電池パックは、下型フランジ部と上側フランジ部とを重合させた状態で、下側フランジ部と上側フランジ部との間に介装されたシール剤が内外に漏れ出てしまい、下側フランジ部と上側フランジ部との間を確実にシールできない(液密状態にできない)場合がある。
【0014】
すなわち、上記構成の電池パックは、トレー上の電池モジュールをカバーで覆った状態で下側フランジ部と上側フランジ部とが重合した状態になるが、その状態でカバーの荷重が上側フランジ部を介して下側フランジ部に作用することになり、下側フランジ部上に配置されたシール剤が内外に押し出されてしまうことがある。そのため、下側フランジ部と上側フランジ部との間にシール剤が十分に存在しなくなり、必要なシール性能を得ることができないことがある。
【0015】
特に、上述の如く、重合する下側フランジ部及び上側フランジ部に挿通した雄ネジ部材にナットを螺合して下側フランジ部と上側フランジ部とを締結すると、下側フランジ部及び上側フランジ部に対して雄ネジ部材の軸線方向の締め付け力が作用するため、下側フランジ部と上側フランジ部との間に介装されたシール剤が内外に押し出されてしまうことが顕著になり、必要なシール性能を得ることができなくなってしまう。
【0016】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、単電池を収容するパッケージングケースが、単電池を配置するトレーと該トレー上の単電池を覆うカバーとで構成されることを前提に、トレーの下側フランジ部とカバーの上側フランジ部とを重合させた状態で、これらの間に必要なシール剤を存在させて十分なシール性能を得ることのできる電池パック及びこれを備えた電動車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る電池パックは、一つ以上の単電池と、該一つ以上の単電池を収容するパッケージングケースとを備え、前記パッケージングケースは、単電池を配置するトレーと、該トレー上の単電池を覆うカバーとで構成され、前記トレーが下側フランジ部を備えるとともに前記カバーが上側フランジ部を備え、前記トレー上の単電池をカバーで覆った状態で前記下側フランジ部と前記上側フランジ部とが重合するように構成された電池パックにおいて、前記下側フランジ部及び上側フランジ部の少なくとも何れか一方は、重合状態で互いに対向する対向面における少なくとも一部に相手方の対向面から離間する離間部が形成され、該離間部上にシール剤が配置されることを特徴とする。なお、ここで「シール剤」とは、粘性を有する液状のシール剤や、シート状(テープ状)に成形されたシール剤を意味する。
【0018】
上記構成によれば、前記下側フランジ部及び上側フランジ部の少なくとも何れか一方は、重合状態で互いに対向する対向面における少なくとも一部に相手方の対向面から離間する離間部が形成されているため、下側フランジ部と上側フランジ部とを重合させた状態で離間部が相手方の対向面と圧接することがない。従って、下側フランジ部と上側フランジ部とを重合させた状態(カバーでトレー上の単電池を覆った状態)で、下側フランジ部及び上側フランジ部の少なくとも何れか一方の離間部上に配置されたシール剤が下側フランジ部と上側フランジ部とによって不必要に加圧されることがなく、トレーをカバーで覆った状態でシール剤が内外に押し出されることがない。これにより、必要なシール剤を下側フランジ部と上側フランジ部との間に介在させた状態にすることができ、下側フランジ部と上側フランジ部との間のシール性能を得ることができる。
【0019】
本発明の一態様として、前記離間部は、単電池を収容した内部空間側に向かうにつれて相手方の対向面から離間するように傾斜し、該相手方の対向面と協働して内部空間に向けて拡大し且つ該内側空間に向けて開放した拡大隙間を形成可能に構成されてもよい。
【0020】
このようにすれば、下側フランジ部と上側フランジ部とを重合させた状態で拡大隙間が形成されるため、当該拡大隙間を画定する対向面同士が(離間部と相手方の対向面とが)圧接することがない。従って、下側フランジ部と上側フランジ部とを重合させた状態(カバーでトレー上の単電池を覆った状態)で、離間部上に配置されて拡大隙間で充填状態になったシール剤が下側フランジ部と上側フランジ部とによって不必要に加圧されることがなく、トレーをカバーで覆った状態でシール剤が内外に押し出されることがない。これにより、必要なシール剤を下側フランジ部と上側フランジ部との間に介在させた状態にすることができ、下側フランジ部と上側フランジ部との間のシール性能を得ることができる。
【0021】
この場合、トレー及びカバーの少なくとも何れか一方は、前記拡大隙間の開放部分を閉塞する閉塞体を備えていることが好ましい。このようにすれば、シール剤を離間部上で確実に維持させることができ、シール性能を長期に亘って得ることができる。すなわち、拡大隙間が内部空間側で開放していると、周囲の環境(温度や湿度等)の影響によって拡大隙間内のシール剤が軟化した場合に該シール剤が開放部分から内部空間側に垂れ落ちる可能性があるが、上記構成の電池パックによれば、拡大隙間の開放部分が閉塞体によって閉塞されているため、拡大隙間内のシール剤が内部空間側に漏れる(垂れる)ことが防止される。従って、周囲の環境(温度や湿度等)の影響でシール剤が軟化して流動性が出たとしても拡大隙間内で維持することになり、トレーとカバーとの間を確実にシールすることができる。
【0022】
本発明の他態様として、重合する下側フランジ部及び上側フランジ部の全周又は略全周を外側から覆うエッジカバーをさらに備えていることが好ましい。このようにすれば、洗車等でトレーとカバーとの接続部分(重合する下側フランジ部及び上側フランジ部の近傍)に高圧の水や洗浄液等の液体が吹き付けられても、エッジカバーが液体の進行(重合する下側フランジ部及び上側フランジ部の界面側への進行)を遮ることになる。これにより、高圧な液体がトレーとカバーとの接続部分(下側フランジ部及び上側フランジ部)に付着する機会を減らすことができ、内部空間の液密性を高めることができる。
【0023】
この場合、前記エッジカバーは、下側フランジ部と対向する第一片と、上側フランジ部と対向する第二片と、第一片及び第二片の基端同士を接続する接続部とを備え、第一片又は第二片の何れか一方に複数の雌ネジ部が形成されるとともに、下側フランジ部、上側フランジ部、及び、第一片又は第二片の何れか他方に前記雌ネジ部の配置に合わせて雄ネジ部材を挿通させるネジ挿通穴が穿設されていることが好ましい。このようにすれば、雌ネジ部を重合状態にある下側フランジ部及び上側フランジ部のネジ挿通穴と一致させるように、第一片と第二片との間に下側フランジ部及び上側フランジ部を介挿入した上で、第一片又は第二片の何れか他方、下側フランジ部、及び上側フランジ部に穿設されたネジ挿通穴に雄ネジ部材を挿通して雌ネジ部に螺合させることで、下側フランジ部及び上側フランジ部を接触状態にして確実に締結することができる。
【0024】
また、上記構成の電池パックは、上述の如く、下側フランジ部と上側フランジ部とを締結するに当たり、複数箇所に多数のナットを配置することなく、雄ネジ部材をネジ挿通穴に挿通して雌ネジ部に螺合させるだけで、トレーに対してカバーを取り付けることができる。また、雄ネジ部材を取り外しても該雄ネジ部材が螺合していた雌ネジ部はエッジカバーと一体的になっているため、ナットを回収する煩雑な作業を行う必要もない。
【0025】
本発明の別の態様として、前記第一片又は第二片の何れか一方の下側フランジ部又は上側フランジ部と対向する面と反対側にある外面上にナットが固定され、該ナットのネジ穴で前記雌ネジ部が形成されていることが好ましい。このようにすれば、ナット(雌ネジ部)に対する雄ネジ部材の螺合を確実にすることができ、雄ネジ部材による軸線方向の締め付け力を大きくしても十分に耐えることができる。そして、軸線方向の締め付け力を大きくできることで、下側フランジ部及び上側フランジ部に対するエッジカバーの第一片及び第二片よる挟み込み力が大きくできるため、下側フランジ部と上側フランジ部との接触をより確実にでき、これらの間のシール性能を高めることができる。
【0026】
本発明のさらに別の態様として、前記雌ネジ部は、前記第一片又は第二片の何れか一方の下側フランジ部又は上側フランジ部と対向する面と反対側で閉塞して非貫通状態で形成されていることが好ましい。このようにすれば、雌ネジ部における雄ネジ部材と螺合させる開口とは反対側から雌ネジ部と雄ネジ部材との間(ネジ山間)に液体が進入することを防止することができる。すなわち、雌ネジ部が外側で閉塞した状態になるため、第一片又は第二片の何れか一方における雌ネジ部近傍に付着した液体が該雌ネジ部内に進入することを確実に防止できる。これにより、液体がトレーとカバーとの接続部分(下側フランジ部及び上側フランジ部)に付着する機会をより確実に減らすことができ、内部空間の液密性を高めることができる。
【0027】
本発明のさらに具体的な態様として、前記パッケージングケースは、電動車の底部に取り付け可能に構成され又は取り付けられてもよい。このようにすれば、電池パックを電動車の走行状態に支障のない適正な配置にすることができる。そして、電動車では電池パックの液密性を十分に確保する必要があるが、本発明の電池パックは、重合するトレーの下側フランジ部とカバーの上側フランジ部との間のシール性能が十分に確保されているため、電動車の底部に配置しても水分の進入を確実に防止することができる。
【0028】
そして、本発明に係る電動車は、上記何れかの電池パックを備えていることを特徴とする。かかる電動車は、駆動系を初めとする電気系統のエネルギー供給源としての電池パックに対する水等の液体の付着による故障の発生率が低くなるため、信頼性の高いものとなる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明の電池パックによれば、単電池を収容するパッケージングケースが、単電池を配置するトレーと該トレー上の単電池を覆うカバーとで構成されることを前提に、トレーの下側フランジ部とカバーの上側フランジ部とを重合させた状態で、これらの間に必要なシール剤を存在させて十分なシール性能を得ることができるという優れた効果を奏し得る。
【0030】
また、本発明の電動車においても、単電池を収容するパッケージングケースが、単電池を配置するトレーと該トレー上の単電池を覆うカバーとで構成されることを前提に、トレーの下側フランジ部とカバーの上側フランジ部とを重合させた状態で、これらの間に必要なシール剤を存在させて十分なシール性能を得ることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池パックの全体斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係る電池パックの全体平面図を示す。
【図3】同実施形態に係る電池パックの分解斜視図であって、冷却用ファンを省略した状態の分解斜視図を示す。
【図4】同実施形態に係る電池パックの部分拡大断面図であって、(a)は、重合する下側フランジ部及び上側フランジ部をエッジカバー(第一分割カバー又は第二分割カバーのみ)で覆った部分の拡大断面図を示し、(b)は、重合する下側フランジ部及び上側フランジ部を覆ったエッジカバー(第一分割カバー又は第二分割カバー)に別のエッジカバー(第三分割カバー)を被せた部分の拡大断面図を示す。
【図5】同実施形態に係る電池パックの液密性に関する説明用の断面図であって、(a)は、重合する下側フランジ部及び上側フランジ部をエッジカバー(第一分割カバー又は第二分割カバーのみ)で覆った部分に高圧な液体(洗浄液)を吹き付けた状態を示し、(b)は、重合する下側フランジ部及び上側フランジ部を覆ったエッジカバー(第一分割カバー又は第二分割カバー)に別のエッジカバー(第三分割カバー)を被せた部分に高圧な液体(洗浄液)を吹き付けた状態を示す。
【図6】本発明の他実施形態に係る電池パックの部分拡大断面図であって、(a)は、互いに重合するトレーの下側フランジ部とカバーの上側フランジ部とが外部に露呈した電池パックの部分拡大図を示し、(b)は、互いに重合するトレーの下側フランジ部及びカバーの上側フランジ部のうちの前記下側フランジ部の一部に形成された凹部の奥側の面で離間部が構成された電池パックの部分拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態に係る電池パックについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0033】
かかる電池パックは、電動車である電気自動車(EV)に搭載されるもので、図1乃至図3に示す如く、一つ以上の電池モジュール2…と、該一つ以上の電池モジュール2…を収容するパッケージングケース3とを備えている。本実施形態に係る電池パック1は、複数の電池モジュール2…を備えており、該複数の電池モジュール2…をパッケージングケース3に収容することで一つにパッケージングするようになっている。なお、各図において、電池モジュール2…については簡略化して二点鎖線で示している。
【0034】
各電池モジュール2…は、複数の単電池を一列に配置してパッケージ化した、いわゆる、組電池である。そして、各電池モジュール2…は、複数の単電池同士が電気的に接続されており、該複数の単電池によって大容量の電池を構成している。
【0035】
前記パッケージングケース3は、電池モジュール2…を配置するトレー30と、該トレー30上の電池モジュール2を(トレー30の上部)を覆うカバー31とで構成されている。
【0036】
前記トレー30は、図3に示す如く、下側フランジ部302を備えている。すなわち、トレー30は、電池モジュール2…を配置(載置)する底部300と、該底部300の外周に対して直接的又は間接的に接続され、該底部300の外側で環状をなす下側フランジ部302とを備えている。より具体的に説明すると、本実施形態に係るトレー30は、底部300と、該底部300の外周から起立した下側周壁部301と、下側周壁部301の上端から外方に延出した下側フランジ部302とを備えている。
【0037】
前記底部300は、平面視略長方形状に形成されている。これに伴い、底部300の外周から起立する下側周壁部301は、底部300の平面形状に対応して平面視長方形状をなす領域を画定するように角枠状に形成されている。そして、該電池パック1は、上述の如く、電気自動車に搭載されるため、トレー30の下側周壁部301の外面の複数箇所(本実施形態においては、五カ所)にシャーシ(図示しない)と連結するための連結用アーム303が突設されている。
【0038】
本実施形態に係るトレー30は、下側周壁部301に包囲された領域が底部300の長手方向で複数(図においては四つ)の領域A1,A2,A3,A4に区画されている。すなわち、前記トレー30は、底部300の長手方向に間隔をあけて複数の仕切部304…が設けられている。
【0039】
そして、前記下側周壁部301は、上述の如く、平面視長方形状の領域を画定するように角枠状に形成されているため、複数の仕切部304…のそれぞれは、下側周壁部301の互いに対向する一対の壁面(採番しない)に連結されている。
【0040】
前記トレー30は、仕切部304…によって区画された領域A1,A2,A3,A4のうちの一つの領域A3に対し、電池モジュール2…の充填等を制御する制御手段305(制御基板)類が収容され、残りの領域A1,A2,A4に複数の電池モジュール2…を平面視マトリックス状(縦横に整列させた状態)に配置するようになっている。
【0041】
そして、本実施形態に係るトレー30は、電池モジュール2…からの電力を電気自動車の駆動モータや制御系に供給するためのケーブルを接続するコネクタ(図示しない)や、電池モジュール2…及び単電池に関する情報(充電状態等)の信号送信用のケーブル等を接続するコネクタ(図示しない)が下側周壁部301に取り付けられている。そのため、本実施形態において、前記下側周壁部301は、制御手段305を収容する領域A3を画定する部分にコネクタ(図示しない)を取り付けるためのコネクタ用貫通穴Haが穿設されている。
【0042】
前記下側フランジ部302は、下側周壁部301の上端全周から外方に延出している。これにより、下側フランジ部302は、無端環状をなしている。本実施形態において、前記底部300は、平面視四角形状に形成されているため、前記下側フランジ部302は、平面視角形の枠状をなしている。そして、該下側フランジ部302には、雄ネジ部材Bを挿通させる複数のネジ挿通穴H1…が穿設されている。本実施形態おいて、下側フランジ部302は、雄ネジ部材Bを挿通するためのネジ挿通穴H1が周方向に所定間隔をあけて複数穿設されている。
【0043】
本実施形態に係るトレー30は、図4(a)及び図4(b)に示す如く、下側フランジ部302における重合状態の相手方(上側フランジ部312)と対向する対向面の少なくとも一部に該相手方(上側フランジ部312)から離間する離間部306が形成されている。本実施形態に係る下側フランジ部302は、上述の如く、複数のネジ挿通穴H1が周方向に所定間隔をあけて穿設されているため、前記離間部306は、ネジ挿通穴H1,H2を躱すように、該ネジ挿通穴H1よりも内部空間側に形成されている。本実施形態に係る離間部306は、下側フランジ部302の全周に亘って形成されており(図3参照)、下側フランジ部302の周方向と直交する方向におけるネジ挿通穴H1よりも電池モジュールを収容した内部空間側に設定された所定位置から前記内部空間側にある一端にかけて形成されている。そして、本実施形態に係る離間部306は、電池モジュールを収容した内部空間側に向かうにつれて相手方(上側フランジ部312)から離間する傾斜面で構成されている。
【0044】
図3に戻り、前記カバー31は、上側フランジ部312を備えている。すなわち、カバー31は、トレーの開放部分と対向する天部310と、該天部310の外周に対して直接的又は間接的に接続され、該天部310の外側で環状をなす上側フランジ部312とを備えている。より具体的に説明すると、本実施形態に係るカバー31は、前記トレー30の開放部分と対応した天部310と、該天部310の外周から垂下する上側周壁部311と、該上側周壁部311の下端から外方に延出した上側フランジ部312とを備えている。
【0045】
前記天部310は、トレー30の開放部分と対応して平面視略長方形状に形成されている。これに伴い、前記上側周壁部311は、平面視略四角形状の領域を画定した枠状をなしている。
【0046】
そして、本実施形態に係る電池パック1は、電池モジュール2…の充放電に伴って発生する熱を放熱(冷却)するための冷却用ファンFを備えている(図1及び図2参照)。
【0047】
前記冷却用ファンFは、天部310に取り付けられる。これに伴い、本実施形態に係るカバー31は、天部310に吸気用の開口Haと排気用の開口Hbが形成されている。本実施形態に係るカバー31は、上述の如く、天部310が長方形状に形成されているため、前記吸気用の開口Ha及び排気用の開口Hbが天部310上の対角位置に形成されている。そして、本実施形態に係る電池パック1は、冷却用ファンFとして吸引ブロアが採用されている。これに伴い、前記カバー31は、冷却用ファンFが排気用の開口Hbに対応して取り付けられるようになっている。
【0048】
前記上側フランジ部312は、上側周壁部311の下端全周から外方に延出している。従って、該上側フランジ部312は、下側フランジ部302と同様に、無端環状をなしており、当該カバー31でトレー30の上部開口を覆った状態で、下側フランジ部302と重合するようになっている。
【0049】
そして、該上側フランジ部312には、雄ネジ部材Bを挿通させる複数のネジ挿通穴H2が穿設されている。本実施形態おいて、上側フランジ部312は、雄ネジ部材Bを挿通するためのネジ挿通穴H2が周方向に所定間隔をあけて複数穿設されている。すなわち、上側フランジ部312は、重合したトレー30の下側フランジ部302のネジ挿通穴H1…の配置に対応するように、複数のネジ挿通穴H2…が穿設されている。
【0050】
該上側フランジ部312のネジ挿通穴H2は、下側フランジ部302のネジ挿通穴H1と対応した配置になっている。これにより、下側フランジ部302と上側フランジ部312とを重合させた状態で、下側フランジ部302のネジ挿通穴H1と上側フランジ部312のネジ挿通穴H2とが重なり合って連通状態になるように構成されている。
【0051】
また、上側フランジ部312は、下側フランジ部302と対向する対向面の全面が略均一な平面で構成されている。これにより、本実施形態に係るパッケージングケース3は、図4(a)及び図4(b)に示す如く、トレー30上の電池モジュール2…をカバー31で覆った状態で、下側フランジ部302及び上側フランジ部312が重合し、この状態で下側フランジ部302と上側フランジ部312との間(離間部306と相手方の平面部との間)に内部空間に向けて拡大するとともに該内側空間に向けて開放した拡大隙間Esが形成されるようになっている。すなわち、下側フランジ部302の離間部306は、電池モジュール2…を収容した内部空間側に向かうにつれて相手方(上側フランジ部312)の対向面から離間するように傾斜することで、該相手方(上側フランジ部312)の対向面と協働して内部空間に向けて拡大し且つ該内側空間に向けて開放した拡大隙間Esを形成可能に構成されている。
【0052】
そして、本実施形態に係る電池パック1(パッケージングケース3)は、離間部306上にシール剤Sを配置した上で、トレー30をカバー31で覆うことで組み立てられるようになっている。これにより、電池パック1(パッケージングケース3)は、トレー30をカバー31で覆った状態で、拡大隙間Esにシール剤Sが充填されるようになっている。なお、シール剤Sは、下側フランジ部302及び上側フランジ部312に密着するものであればよく、例えば、粘性を有する液状のものや、シート状(テープ状)に成形されたもの等を採用することができる。
【0053】
これに伴い、本実施形態に係る電池パック1(パッケージングケース3)は、前記拡大隙間Esの開放部分を閉塞する閉塞体307を備えている。すなわち、該パッケージングケース3は、拡大隙間Es内に充填されたシール剤Sが該拡大隙間Esの開放部分から漏洩するのを防止するための閉塞体307を備えている。
【0054】
本実施形態に係る閉塞体307は、トレー30の内周の全周又は略全周に亘って設けられている。具体的に説明すると、閉塞体307は、帯板状に形成されており、長手方向をトレー30の周方向に合わせた状態でトレー30の下側周壁体301の内周面に対して固定されている。該閉塞体307は、長手方向と直交する方向(短手方向)の一端部が拡大隙間Esの開放部分と対応した配置になるように設けられている。
【0055】
これにより、本実施形態に係る電池パック1は、トレー30をカバー31で覆った状態で、トレー30の閉塞体307の先端(短手方向の一端)がカバー31と接触して拡大隙間Esの開放部分を閉塞するようになっている。これにより、上述の如く、前記拡大隙間Esにシール剤Sを充填しても、該シール剤Sの移動が閉塞体307によって規制されることになり、拡大隙間Esの開放部分から内部空間に流入しないようになっている。
【0056】
図1乃至図3に戻り、本実施形態に係る電池パック1は、下側フランジ部302を備えたトレー30と、上側フランジ部312を備えたカバー31とでパッケージングケース3が構成されることを前提に、上記構成に加え、重合した下側フランジ部302及び上側フランジ部312の全周又は略全周を外側から覆うエッジカバー4を備えている。
【0057】
かかるエッジカバー4は、下側フランジ部302と対向する第一片40(40a,40b,40c)と、上側フランジ部312と対向する第二片41(41a,41b,41c)と、第一片40(40a,40b,40c)及び第二片41(41a,41b,41c)の基端同士を接続する接続部42(42a,42b,42c)とを備えている。
【0058】
本実施形態に係るエッジカバー4は、図2及び図3に示す如く、複数に分割されている。すなわち、本実施形態に係るエッジカバー4は、複数の分割カバー4a,4b,4cで構成されており、各分割カバー4a,4b,4cを重合する下側フランジ部302及び上側フランジ部312を覆うように配置することで、各分割カバー4a,4b,4cで周方向に連続して下側フランジ部302及び上側フランジ部312の全周を覆った状態になるように構成されている。
【0059】
より具体的に説明すると、本実施形態に係るトレー30の底部300及びカバー31の天部310は、上述の如く、平面視長方形状に形成され、下側フランジ部302及び上側フランジ部312が平面視四角型の環状をなしているため、本実施形態に係るエッジカバー4は、重合した下側フランジ部302及び上側フランジ部312の長辺部分を覆うための分割カバー(以下、この分割カバーを第一分割カバーという)4a…と、重合した下側フランジ部302及び上側フランジ部312の短辺部分を覆うための分割カバー(以下、この分割カバーを第二分割カバーという)4b…と、重合した下側フランジ部302及び上側フランジ部312の角部分を覆うための分割カバー(以下、この分割カバーを第三分割カバーという)4c…とで構成されている。なお、本実施形態に係る電池パック1は、重合した下側フランジ部302及び上側フランジ部312の一方の長辺部分の途中位置に段差部Pが形成されている。そのため、重合した下側フランジ部302及び上側フランジ部312の長辺部分の一方を覆う第一分割カバー4a…は、段差部Pを境にして複数(二つ)に分けられている。
【0060】
第一分割カバー4a…、第二分割カバー4b…、及び第三分割カバー4c…は、図3に示す如く、何れも、下側フランジ部302と対向する第一片40(40a,40b,40c)と、上側フランジ部312と対向する第二片41(41a,41b,41c)と、第一片40(40a,40b,40c)及び第二片41(41a,41b,41c)の基端同士を全長に亘って接続する接続部42(42a,42b,42c)とを備えている。
【0061】
そして、第一分割カバー4a…及び第二分割カバー4b…は、第一片40(40a,40b)及び第二片41(41a,41b)が帯板状に形成されており、前記接続部42(42a,42b)が第一片40(40a,40b)の長手方向と直交する方向(短手方向)の一端(基端)と第二片41(41a,41b)の長手方向と直交する方向(短手方向)の一端(基端)とを全長に亘って接続している。
【0062】
これに対し、第三分割カバー4c…は、第一片40(40c)及び第二片41(41c)が平面視鈎型(L字状)に形成されており、接続部42(42c)が第一片40(40c)の外側に位置する幅方向の一端(基端)と第二片41(41c)の外側に位置する幅方向の一端(基端)とを全長に亘って接続している。なお、第三分割カバー4c…は、下側フランジ部302及び上側フランジ部312の四隅に配置されるため、四つ設けられているが、本実施形態において、底部300の長手方向の一端側に配置される二つの第三分割カバー4c…は、鈎型をなす第一片40(40a,40b,40c)及び第二片41(41a,41b,41c)の一方の片が他方の片よりも長く形成されている。
【0063】
このように、第一分割カバー4a…、第二分割カバー4b…、及び第三分割カバー4c…は、第一片40(40a,40b,40c)の基端と第二片41(41a,41b,41c)の基端同士が接続部42(42a,42b,42c)によって接続されることで、第一片40(40a,40b,40c)の基端と第二片41(41a,41b,41c)の基端との間が接続部42(42a,42b,42c)によって閉塞された状態になっている。
【0064】
そして、エッジカバー4(各分割カバー4a,4b,4c)は、上記形態にすることで、縦断面形状(接続部42(42a,42b,42c)に接続された基端を基準とする第一片40(40a,40b,40c)又は第二片41(41a,41b,41c))の延出方向に広がった面上であって、第一片40(40a,40b,40c)、第二片41(41a,41b,41c)、及び接続部42(42a,42b,42c)の全てを通る面上での断面形状)がU字状又はコの字状に形成される。本実施形態に係るエッジカバー4(分割カバー4a,4b,4c)は、接続部42(42a,42b,42c)の縦断面形状が円弧状をなしており、全体の縦断面形状が略U字状に形成されている。
【0065】
本実施形態に係るエッジカバー4は、図4(a)及び図4(b)に示す如く、複数の分割カバー4a,4b,4cで重合した下側フランジ部302及び上側フランジ部312の全周を覆う際、隣り合う分割カバー4a,4b,4c同士が近接又は重なるように配置される。本実施形態に係るエッジカバー4は、第一分割カバー4a…、第二分割カバー4b…、及び第三分割カバー4c…をパッケージングケース3の周囲に配置するときに、図4(b)に示す如く、第三分割カバー4c…の第一片40(40c)及び第二片41(41c)が、第一分割カバー4a…及び第二分割カバー4b…の第一片40(40a,40b)及び第二片41(41a,41b)の長手方向の端部を外側から覆った状態になるように配置される。
【0066】
そして、重合した下側フランジ部302及び上側フランジ部312の長辺部分の一方を覆う二つの第一分割カバー4a…同士については、長手方向の端部同士が近接(接触)するように配置される(図2参照)。
【0067】
かかるエッジカバー4は、図4(a)及び図4(b)に示す如く、第一片40(40a,40b,40c)又は第二片41(41a,41b,41c)の何れか一方に、下側フランジ部302及び上側フランジ部312の周方向に間隔をあけて複数の雌ネジ部43…が形成されるとともに、上側フランジ部312、下側フランジ部302、及び、第一片40(40a,40b,40c)又は第二片41(41a,41b,41c)の何れか他方には、第一片40(40a,40b,40c)又は第二片41(41a,41b,41c)の何れか一方に形成された雌ネジ部43…の配置に合わせて雄ネジ部材Bを挿通させるネジ挿通穴H3が穿設される。該エッジカバー4に設けられる雌ネジ部43…及びネジ挿通穴H3は、下側フランジ部302及び上側フランジ部312に穿設されたネジ挿通穴H1,H2の配置に対応している。
【0068】
本実施形態に係るエッジカバー4は、下側フランジ部と対向する第一片40(40a,40b,40c)に複数の雌ネジ部43…が形成され、上側フランジ部312と対向する第二片41(41a,41b,41c)にネジ挿通穴H3が穿設されている。すなわち、本実施形態に係るエッジカバー4は、上述の如く、複数に分割されているため、第一分割カバー4a…、第二分割カバー4b…、及び第三分割カバー4c…の第一片40(40a,40b,40c)に雌ネジ部43…が複数形成されるとともに、第一分割カバー4a…、第二分割カバー4b…、及び第三分割カバー4c…の第二片41(41a,41b,41c)にネジ挿通穴H3…が複数穿設されている。これにより、該エッジカバー4は、第一分割カバー4a…、第二分割カバー4b…、及び第三分割カバー4c…を重合する下側フランジ部302及び上側フランジ部312の周囲に配置することで、パッケージングケース3の周囲に所定間隔をあけて複数の雌ネジ部43…及びネジ挿通穴H3が配置されるようになっている。
【0069】
なお、本実施形態に係るエッジカバー4は、上述の如く、第一分割カバー4a…、第二分割カバー4b…、及び第三分割カバー4c…をパッケージングケース3の周囲に配置するときに、第三分割カバー4c…の第一片40(40c)及び第二片41(41c)が、第一分割カバー4a…及び第二分割カバー4b…の第一片40(40a,40b)及び第二片41(41a,41b)の長手方向の端部を外側から覆った状態になるように構成されているため、第一分割カバー4a及び第二分割カバー4bの第一片40(40c)の両端部(第三分割カバー4cに覆われる部分)には、雌ネジ部43(ナット44)が設けられずに単なる貫通穴H’が第二片41のネジ挿通穴H3と同心で穿設され、第三分割カバー4cの両端部(第一分割カバー4a及び第二分割カバー4bと重なる端部)にネジ挿通穴H3及び雌ネジ部43…が形成されている(図3参照)。
【0070】
本実施形態において、前記雌ネジ部43…はナット44…のネジ穴によって構成されている。すなわち、第一片40(40a,40b,40c)は、下側フランジ部302と対向する面と反対側にある外面上にナット44…が固定(溶接)され、該ナット44…のネジ穴で前記雌ネジ部43…が形成されている。これに伴い、第一片40(40a,40b,40c)はナット44…のネジ穴に対応した貫通穴Hが穿設されている。なお、本実施形態において、一般的なナット44を採用しているため、前記雌ネジ部43は貫通状態に形成されている。
【0071】
本実施形態に係る電池パック1は、以上の通りであり、次に、上記構成の電池パック1の組み立てについて説明する。
【0072】
まず、図3に示す如く、トレー30上に電池モジュール2…及び制御手段305を配置し、下側フランジ部302の離間部306上にシール剤Sを配置した後に、カバー31でトレー30上の電池モジュール2…(トレー30の上部開放部分)を覆う。すなわち、下側フランジ部302の離間部306と閉塞体307とで形成された断面三角形状の溝にシール剤Sを充填した上でトレー30をカバー31で覆う。
【0073】
そうすると、下側フランジ部302及び上側フランジ部312は、ネジ挿通穴H1,H2近傍(下側フランジ部302の離間部306を除く領域)同士が接触するが、下側フランジ部302の離間部306が上側フランジ部312の対向面から離間した状態を維持するため、下側フランジ部302の離間部(傾斜面)306、閉塞体307、及び上側フランジ部312の対向面(平面部)によって断面三角形状の空洞部(拡大隙間Esの開放部分を閉塞した空間)が形成されることになり、離間部306上に配置されたシール剤Sが該空洞部内に充満した状態になる。
【0074】
従って、トレー30を覆うカバー31の荷重が作用しても、トレー30の下側フランジ部302とカバー31の上側フランジ部312との間に必要なシール剤Sが十分存在することになり、トレー30とカバー31との間のシール性能が担保されることになる。
【0075】
そして、上述の如く、トレー30をカバー31で覆った後、重合状態にある下側フランジ部302及び上側フランジ部312にエッジカバー4を取り付ける。すなわち、図4(a)及び図4(b)に示す如く、下側フランジ部302及び上側フランジ部312のネジ挿通穴H1,H2にエッジカバー4のネジ挿通穴H3を一致させるように、エッジカバー4(第一分割カバー4a…、第二分割カバー4b…、第三分割カバー4c…)の第一片40(40a,40b,40c)と第二片41(41a,41b,41c)との間に重合状態にある下側フランジ部302及び上側フランジ部312を介挿入した上で、第二片41(41a,41b,41c)、下側フランジ部302、及び上側フランジ部312に穿設されたネジ挿通穴H1,H2,H3に雄ネジ部材Bを挿通し、第一片40(40a,40b,40c)の雌ネジ部43…に螺合させる。
【0076】
これにより、下側フランジ部302及び上側フランジ部312は、エッジカバー4の第一片40(40a,40b,40c)及び第二片41(41a,41b,41c)に挟み込まれて互いに接触した状態で締結される。
【0077】
この状態で下側フランジ部302及び上側フランジ部312に対して雄ネジ部材Bの軸線方向の締め付け力が作用することになるが、上述の如く、下側フランジ部302は、上側フランジ部312と対向する対向面のうちの離間部306を除く領域が上側フランジ部312の対向面と面接触し、下側フランジ部302の離間部306が上側フランジ部312の対向面から離間した状態で維持することになるため、雄ネジ部材Bによって下側フランジ部302及び上側フランジ部312を強固に締結しても、下側フランジ部302の離間部306、閉塞体307、及び上側フランジ部312の対向面によって形成された空洞部にシール剤Sが充満した状態で維持することになる。
【0078】
これにより、本実施形態に係る電池パック1は、トレー30を覆うカバー31の荷重だけでなく雄ネジ部材Bの締め付けが作用しても、トレー30の下側フランジ部302とカバー31の上側フランジ部312との間に必要なシール剤Sが十分存在することになり、トレー30とカバー31との間のシール性能が担保されることになる。
【0079】
そして、電池パック1は、車体(シャーシ)に対して固定される。なお、冷却用ファンFやコネクタ等の取り付け、配線系の接続は、車体(シャーシ)への搭載の前であって、トレー30をカバー31で閉じる前に予め行われるか、トレー30をカバー31で閉じた後に行われる。
【0080】
以上のように、本実施形態に係る電池パック1は、下側フランジ部302における上側フランジ部312と対向する対向面に対し、該上側フランジ部312の対向面から離間する離間部306が形成されているため、下側フランジ部302と上側フランジ部312とを重合させた状態で離間部306が相手方の対向面と圧接することがない。
【0081】
これにより、本実施形態に係る電池パック1は、下側フランジ部302と上側フランジ部312とを重合させた状態(カバー31でトレー30上の電池モジュール2…を覆った状態)で、下側フランジ部302の離間部306上に配置されたシール剤Sが下側フランジ部302と上側フランジ部312とによって不必要に加圧されることがなく、トレー30をカバー31で覆った状態でシール剤Sが内外に押し出されることがないため、必要なシール剤Sを下側フランジ部302と上側フランジ部312との間に介在させた状態にすることができ、下側フランジ部302と上側フランジ部312との間のシール性能を得ることができる。
【0082】
従って、本実施形態に係る電池パック1は、洗車時の洗浄水や走行時の跳ね返りによる水が付着する車両の底部に取り付けられても、電池モジュール2…の収容した内部空間に水等の液体が進入することがなく、感電や漏電等の事故の発生を確実に防止することができる。
【0083】
特に、本実施形態に係る電池パック1において、前記離間部306は、電池モジュール2…を収容した内部空間側に向かうにつれて相手方の対向面から離間するように傾斜して形成されることで、下側フランジ部302及び上側フランジ部312を重合させた状態で内部空間に向けて拡大し、且つ該内側空間に向けて開放した拡大隙間Esが形成可能に構成され、トレー30が前記拡大隙間Esの開放部分を閉塞する閉塞体307を備えているため、雄ネジ部材Bによる下側フランジ部302と上側フランジ部312との締結を確実にした上で両フランジ部302,312間のシール性能を確保することができる。
【0084】
そして、拡大隙間Esが内部空間側で開放していると、周囲の環境(温度や湿度等)によって拡大隙間Es内のシール剤Sが軟化した場合に該シール剤Sが開放部分から内部空間側に垂れ落ちる可能性があるが、本実施形態に係る電池パック1によれば、拡大隙間Esの開放部分が閉塞体307によって閉塞されているため、拡大隙間Es内のシール剤Sが内部空間側に漏れる(垂れる)ことが防止される。従って、周囲の環境(温度や湿度等)の影響でシール剤Sが軟化して流動性が出たとしても拡大隙間Es内で維持することになり、トレー30とカバー32との間を確実にシールすることができる。
【0085】
また、本実施形態に電池パック1は、重合する下側フランジ部302及び上側フランジ部312の全周又は略全周を外側から覆うエッジカバー4をさらに備えているため、パッケージングケース3に水や洗浄液等の液体が付着しても、下側フランジ部302と上側フランジ部312との間に到達する機会を少なくすることができる。すなわち、図5(a)及び図5(b)に示す如く、電池パック1にエッジカバー4を設けることで、下側フランジ部302及び上側フランジ部312の近傍に飛び散る液体をエッジカバー4で遮ることができるため、その液体が下側フランジ部302と上側フランジ部312との間に到達する機会を少なくすることができる。
【0086】
特に、前記エッジカバー4は、下側フランジ部302と対向する第一片40(40a,40b,40c)と、上側フランジ部312と対向する第二片41(41a,41b,41c)と、第一片40(40a,40b,40c)及び第二片41(41a,41b,41c)の基端同士を接続する接続部42(42a,42b,42c)とを備え、第一片40(40a,40b,40c)に複数の雌ネジ部43…が形成されるとともに、下側フランジ部302、上側フランジ部312、及び第二片41(41a,41b,41c)に前記雌ネジ部43…の配置に合わせて前記雄ネジ部材B…を挿通させるネジ挿通穴H1,H2が穿設されているため、複数箇所に多数のナットを配置することなく、雄ネジ部材Bをネジ挿通穴H1,H2に挿通して雌ネジ部43に螺合させるだけで、トレー30に対してカバー31を取り付けることができる。また、雄ネジ部材Bを取り外しても該雄ネジ部材Bが螺合していた雌ネジ部43はエッジカバー4と一体的になっているため、多数のナットを回収する煩雑な作業を行う必要もない。
【0087】
そして、本実施形態に係る電池パック1(エッジカバー4)は、前記第一片40(40a,40b,40c)の下側フランジ部302と対向する面と反対側にある外面上にナット44が固定され、該ナット44のネジ穴で前記雌ネジ部43が形成されているため、ナット44(雌ネジ部43)に対する雄ネジ部材Bの螺合を確実にすることができ、雄ネジ部材Bによる軸線方向の締め付け力を大きくしても十分に耐えることができる。このように軸線方向の締め付け力を大きくできることで、下側フランジ部302及び上側フランジ部312に対するエッジカバー4の第一片40(40a,40b,40c)及び第二片41(41a,41b,41c)による挟み込み力が大きくできるため、下側フランジ部302及び上側フランジ部312に対するシール剤Sの密着度を高めつつ、下側フランジ部302及び上側フランジ部312同士の接触度合いを高めることができ、これらの間のシール性能をより高めることができる。
【0088】
なお、本発明に係る電池パックは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0089】
すなわち、上記実施形態において、電動自動車(EV)に搭載される電池パック1について説明したが、これに限定されるものではなく、ハイブリッド電気自動車(HEV)に搭載される電池パックであってもよい。すなわち、電池パック1は、電気エネルギーで駆動する電動車の電源(エネルギー源)として採用されればよい。
【0090】
上記実施形態において、パッケージングケース3内に複数の単電池を一つにパッケージングした電池モジュール2を複数収容した電池パック1について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、パッケージ化されていない単電池をパッケージングケース3内に収容したものであってもよい。すなわち、本発明は、パッケージングケース3内に一つ以上の単電池を収容したものに適用することができる。
【0091】
上記実施形態において、エッジカバー4を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、図6(a)及び図6(b)に示す如く、エッジカバー4を設けることなく、重合状態にある下側フランジ部302及び上側フランジ部312全体を外部に露呈させるようにしてもよい。このようにしても、下側フランジ部302と上側フランジ部312との間に必要なシール剤Sを介在させることができるため、下側フランジ部302と上側フランジ部312との間を確実にシールすることができる。但し、内部空間に対する液密性をより高めるには、上記実施形態と同様に、エッジカバー4を設けることが好ましいことは言うまでもない。
【0092】
上記実施形態において、離間部306を傾斜面で構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図6(b)に示す如く、下側フランジ部の一部に凹部を設けて該凹部の奥側の面を離間部306とし、該離間部306上にシール剤Sを配置するようにしてもよい。このようにしても、下側フランジ部302と上側フランジ部312とを重合させた状態で、離間部306が相手方の対向面と圧接することがない。
【0093】
従って、下側フランジ部302と上側フランジ部312とを重合させた状態(カバー31でトレー30上の電池モジュール2…を覆った状態)で、下側フランジ部302の離間部306上に配置されたシール剤Sが下側フランジ部302と上側フランジ部312とによって不必要に加圧されることがなく、トレー30をカバー31で覆った状態でシール剤Sが内外に押し出されることがない。これにより、必要なシール剤Sを下側フランジ部302と上側フランジ部312との間に介在させた状態にすることができ、下側フランジ部302と上側フランジ部312との間のシール性能を得ることができる。
【0094】
上記実施形態において、下側フランジ部302に形成された傾斜面からなる離間部306が相手方(上側フランジ部312)の対向面と協働して形成する拡大隙間Esの開放部分を閉塞する閉塞体307をトレー30に設けたが、これに限定されるものではなく、カバー31に閉塞体307を設けてもよいし、トレー30及びカバー31の両者に閉塞体307を設け、両者の閉塞体307が協働して拡大隙間Esの開放部分を閉塞するようにしてもよい。
【0095】
また、上記実施形態において、下側フランジ部302に形成された傾斜面からなる離間部306が相手方(上側フランジ部312)の対向面と協働して形成する拡大隙間Esの開放部分を閉塞する閉塞体307を設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、閉塞体307を設けることなく拡大隙間Esの開放部分を開放させた状態にしておいてもよい。このようにしても、下側フランジ部302と上側フランジ部312とを重合させた状態(カバー31でトレー30上の電池モジュール2…を覆った状態)で、シール剤Sが内外に押し出されることがなく、下側フランジ部302と上側フランジ部312との間のシール性能を得ることができる。但し、長期に亘る使用や周辺環境の影響でシール剤が軟化する虞があることを考慮すれば、上記実施形態と同様に拡大隙間Esの開放部分を閉塞する(閉塞体307を設ける)ことが好ましいことは言うまでもない。
【0096】
上記実施形態において、上側フランジ部312の対向面を略平滑な平面で構成し、下側フランジ部302(トレー30)に離間部306を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、下側フランジ部302の対向面を略平滑な平面で構成し、上側フランジ部312(カバー31)に離間部306を設けるようにしてもよい。また、下側フランジ部302及び上側フランジ部312の両方に対し、相手方の対向面(対向する離間部306)から離間する離間部306を設けるようにしてもよい。すなわち、離間部306は、前記下側フランジ部302及び上側フランジ部312の少なくとも何れか一方の重合状態で互いに対向する対向面における少なくとも一部に形成されればよい。このようにしても、離間部306上に配置されたシール剤Sが重合する下側フランジ部302と上側フランジ部312とに挟み込まれて内外に押し出されることがなく、必要十分なシール性能を得ることができることは明らかである。
【0097】
上記実施形態において、エッジカバー4を複数に分割して第一分割カバー4a…、第二分割カバー4b…、及び第三分割カバー4c…で構成したが、これに限定されるものではなく、エッジカバー4を第一片40(40a,40b,40c)、第二片41(41a,41b,41c)及び接続部42(42a,42b,42c)を備えた二つの分割カバーで構成してもよいし、第一片40(40a,40b,40c)、第二片41(41a,41b,41c)及び接続部42(42a,42b,42c)を備えた単一なエッジカバーで構成してもよい。
【0098】
但し、エッジカバー4は、パッケージングケース3(下側フランジ部302及び上側フランジ部312)の全周を覆う必要があるため、上述の如く、単一な構成にする場合、一部を分断させることは言うまでもない。また、この場合においては、分断した位置とは異なる位置に可撓性を持たせるか、或いはヒンジ構造を設けることが好ましい。このようにすれば、可撓性を有する部分又はヒンジ構造を支点にしてその両側の間隔を広げることができるため、パッケージングケース3(下側フランジ部302及び上側フランジ部312)の全周にエッジカバー4を容易に配置することができる。
【0099】
上記実施形態において、エッジカバー4(第一分割カバー4a…、第二分割カバー4b…、第三分割カバー4c…)の第一片40(40a,40b,40c)に雌ネジ部43…を設け、該エッジカバー4(第一分割カバー4a…、第二分割カバー4b…、第三分割カバー4c…)の第二片41(41a,41b,41c)にネジ挿通穴H3を穿設するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、エッジカバー4(第一分割カバー4a…、第二分割カバー4b…、第三分割カバー4c…)の第一片40(40a,40b,40c)にネジ挿通穴H3を穿設し、該エッジカバー4(第一分割カバー4a…、第二分割カバー4b…、第三分割カバー4c…)の第二片41(41a,41b,41c)に雌ネジ部43…を設けるようにしてもよい。
【0100】
上記実施形態において、第一片40(40a,40b,40c)にナット44…を固定(溶接)し、該ナット44…のネジ穴で雌ネジ部43…を構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、第一片40(40a,40b,40c)に直接ネジ穴(タップ穴)を穿設しても勿論よい。また、上述の如く、第二片41(41a,41b,41c)に雌ネジ部43…を設ける場合も同様である。
【0101】
上記実施形態において、トレー30の底部300が長方形状をなし、これに対応してカバー31の天部310が長方形状をなすパッケージングケース3について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、トレー30の底部300が正方形状をなし、これに対応してカバー31の天部310も正方形状をなすものであってもよい。また、トレー30の底部300やカバー31の天部310が長方形状や正方形状等の角形状をなすもので限定されるものでもなく、底部300や天部310が非矩形状のものであってもよい。
【0102】
上記実施形態において、パッケージングケース3の内部空間を区画したが、これに限定されるものではなく、パッケージングケース3の内部空間が区画されていないものであってもよい。また、電池パック1は、パッケージングケース3内に制御手段305が収容されたものに限定されるものではなく、パッケージングケース3内に電池モジュール2…のみを収容し、制御手段305等を別のケースに収容したものであっても勿論よい。
【0103】
上記実施形態において、底部300の外周から起立した下側周壁部301の上端に下側フランジ部302が連設されたトレー30と、天部310の外周から垂下した上側周壁部311の下端に上側フランジ部312が連設されたカバー31とで構成されたパッケージングケース3について説明したが、パッケージングケース3はこれに限定されるものではなく、例えば、トレー30が上記実施形態と同様の形態で形成されることを前提に、天部310の外周に直接上側フランジ部312が連設されて全体がプレート状をなすカバー31を採用し、カバー31でトレー30上の電池モジュール2…を覆った状態で、下側フランジ部302と上側フランジ部312とが重合するように構成されたものや、カバー31が上記実施形態と同様の形態で形成されることを前提に、底部300の外周に直接下側フランジ部302が連設されて全体がプレート状をなすトレー30を採用し、カバー31でトレー30上の電池モジュール2…を覆った状態で、下側フランジ部302と上側フランジ部312とが重合するように構成されたものであってもよい。
【0104】
すなわち、トレー30及びカバー31の少なくとも何れか一方に電池モジュール2…を収容する空間が形成され、カバー31でトレー30上の電池モジュール2…を覆った状態で、下側フランジ部302と上側フランジ部312とが重合するように構成されたものであればよい。このようにしても、重合する下側フランジ部302及び上側フランジ部312の少なくとも何れか一方に離間部306を形成し、該離間部306上にシール剤Sを配置することで、上記実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0105】
上記実施形態において、雌ネジ部43を貫通状態で形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、前記雌ネジ部43は、第一片40(40a,40b)の下側フランジ部302と対向する面と反対側で閉塞して非貫通状態で形成されてもよい。具体的には、上記実施形態と同様に第一片40(40a,40b)にナット44を固定し、ナット44のネジ穴で雌ネジ部43を形成する場合には、ナット44に袋ナットを採用し、上述の如く、第一片40(40a,40b)に直接雌ネジ部43を形成する場合には、第一片40に非貫通穴を穿設して内周に雌ネジを形成する(タップを立てる)ようにしてもよい。また、第一片40(40a,40b)に変えて第二片41(41a,41b)に雌ネジ部432を設ける場合も同様である。
【0106】
このようにすれば、雌ネジ部43における雄ネジ部材Bと螺合させる開口とは反対側から雌ネジ部43と雄ネジ部材Bとの間(ネジ山間)に液体が進入することを防止することができる。すなわち、雌ネジ部43が外側で閉塞した状態になるため、第一片40(40a,40b)又は第二片41(41a,41b)の何れか一方における雌ネジ部43近傍に付着した液体が該雌ネジ部43内に進入することを確実に遮ることができる。これにより、下側フランジ部302と上側フランジ部312との間をより確実にシールすることができる。
【0107】
上記実施形態において、電動車の底部に取り付けられる電池パック1について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、電動車の底部以外の雨水や洗浄液等の液体が付着する部位に取り付け可能又は取り付けられる電池パック1であってもよい。なお、言うまでもないが、連結アーム303の形状や配置は、電動車に応じて適宜変更されることは言うまでもない。
【0108】
上記実施形態において、エッジカバー4に対して複数の雌ネジ部43を周方向で所定間隔をあけて一列に配置したが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の雌ネジ部43を周方向と直交する方向で複数列に配置してもよい。この場合において、下側フランジ部302、上側フランジ部312、及びエッジカバー4(第二片41(41a,41b,41c)に対して雌ネジ部43の配置に対応させて複数のネジ挿通穴H1,H2,H3を穿設することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0109】
1…電池パック、2…電池モジュール、3…パッケージングケース、4…エッジカバー、4a…第一分割カバー(分割カバー)、4b…第二分割カバー(分割カバー)、4c…第三分割カバー(分割カバー)、30…トレー、31…カバー、40…第一片、41…第二片、42…接続部、43…雌ネジ部、44…ナット、300…底部、301…下側周壁部、302…下側フランジ部、303…連結用アーム、304…仕切部、305…制御手段、306…離間部(傾斜面)、307…閉塞体、310…天部、311…上側周壁部、312…上側フランジ部、A1,A2,A3,A4…領域、F…冷却用ファン、H,H’…貫通穴、Ha…コネクタ用貫通穴、H1,H2,H3…ネジ挿通穴、B…雄ネジ部材、Ha…吸気用の開口、Hb…排気用の開口、P…段差部、S…シール剤、Es…拡大隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の単電池と、該一つ以上の単電池を収容するパッケージングケースとを備え、前記パッケージングケースは、単電池を配置するトレーと、該トレー上の単電池を覆うカバーとで構成され、前記トレーが下側フランジ部を備えるとともに前記カバーが上側フランジ部を備え、前記トレー上の単電池をカバーで覆った状態で前記下側フランジ部と前記上側フランジ部とが重合するように構成された電池パックにおいて、前記下側フランジ部及び上側フランジ部の少なくとも何れか一方は、重合状態で互いに対向する対向面における少なくとも一部に相手方の対向面から離間する離間部が形成され、該離間部上にシール剤が配置されることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記離間部は、単電池を収容した内部空間側に向かうにつれて相手方の対向面から離間するように傾斜し、該相手方の対向面と協働して内部空間に向けて拡大し且つ該内側空間に向けて開放した拡大隙間を形成可能に構成されている請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記トレー及びカバーの少なくとも何れか一方は、前記拡大隙間の開放部分を閉塞する閉塞体を備えている請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
重合する下側フランジ部及び上側フランジ部の全周又は略全周を外側から覆うエッジカバーをさらに備えている請求項1乃至3の何れか1項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記エッジカバーは、下側フランジ部と対向する第一片と、上側フランジ部と対向する第二片と、第一片及び第二片の基端同士を接続する接続部とを備え、第一片又は第二片の何れか一方に複数の雌ネジ部が形成されるとともに、下側フランジ部、上側フランジ部、及び、第一片又は第二片の何れか他方に前記雌ネジ部の配置に合わせて雄ネジ部材を挿通させるネジ挿通穴が穿設されている請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記第一片又は第二片の何れか一方の下側フランジ部又は上側フランジ部と対向する面と反対側にある外面上にナットが固定され、該ナットのネジ穴で前記雌ネジ部が形成されている請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記雌ネジ部は、前記第一片又は第二片の何れか一方の下側フランジ部又は上側フランジ部と対向する面と反対側で閉塞して非貫通状態で形成されている請求項5又は6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記パッケージングケースは、電動車の底部に取り付け可能に構成され又は取り付けられている請求項1乃至7の何れか1項に記載の電池パック。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載された電池パックを備えたことを特徴とする電動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−64450(P2012−64450A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207962(P2010−207962)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(508110205)株式会社リチウムエナジージャパン (32)
【Fターム(参考)】