説明

電池パック用中間品、電池パック及び電池パックの製造方法

【課題】検査端子から制御回路等の部品へ静電気放電して該部品が静電気破壊されることが防止された電池パック用中間品、電池パック及び電池パックの製造方法を提供する。
【解決手段】電池パック用中間品は、電池2、放電制御FET91、充電制御FET92、充放電の電圧を検出して放電制御FET91及び充電制御FET92のオン/オフを制御する制御IC88、第1検査端子85、第2検査端子86を備える。制御IC88には、ヒューズ94の一方の端子が接続され、ヒューズ94の他方の端子は第1検査端子85及びヒータ抵抗95と接続されている。ヒータ抵抗95の他方の端子には電流通流端子87が接続されている。第1検査端子85と電流通流端子87との間に電流を通流することにより、ヒューズ94が溶断し、第1検査端子85と制御IC88との導通が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池電圧を検出して、電流路を開閉するスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路を有する保護回路基板を電池の一面に配してなる電池パック用中間品、電池パック及び電池パックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、急速に普及しているビデオカメラ,モバイルコンピュータ,携帯電話機等の携帯電子機器の電源としては、充放電が可能であり、円筒状又は直方体状を有する非水電解質二次電池、例えばリチウムイオン二次電池等が主として用いられている。リチウムイオン二次電池(以下、電池という)の一例として、正極及び負極をセパレータを介して巻回した電極群、及び非水電解質を、アルミニウム又はアルミニウム合金製であり、直方体状をなすケースに収納して構成されたものがある。
【0003】
前記電池の一面に、過充電及び過放電を防止するための保護回路、及び電池から外部へ電力を取り出し、又は外部から電力を取り込むための入出力端子を有する保護回路基板が配されて電池コアが構成される。保護回路基板と電池との間は接続用のリードにより電気的に接続されている。保護回路は、電池を充放電する電流路を開閉するFET等のスイッチング素子、及び充放電の電池電圧を検出してスイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路を備えている。
【0004】
前記電池コアの四側面を、絶縁性を有する例えば合成樹脂製の外装枠で覆う、電池コアを合成樹脂製の外装ケースに収納する、又は入出力端子が露出する状態で保護回路基板を覆うように樹脂モールドする等し、この電池コアをラベルで覆うことで電池パックが得られる。
【0005】
図7は従来の電池パック51を示す斜視図である。
電池パック51は、電池52の一側面に保護回路基板(図示せず)を配し、保護回路基板に設けた正極の入出力端子82、負極の入出力端子83、温度端子84、第1検査端子85、及び第2検査端子86が露出する状態で、前記保護回路基板を覆うように樹脂モールド部53を形成し、該樹脂モールド部53以外の部分をラベル55で覆ってなる。樹脂モールド部53には、入出力端子82,83、温度端子84が露出するように、窓部53a,53a,53aが形成されている。
【0006】
図8は電池パック51の回路を示す回路図である。電池パック51においては、電池52の負極に例えばPTC(Positive Temperature Coefficient)素子等の保護素子4の一方の端子が接続され、保護素子4の他方の端子は前記第2検査端子86及び放電制御FET(スイッチング素子)91のソースと接続されている。
【0007】
放電制御FET91のドレインには充電制御FET92のドレインが接続されている。放電制御FET91,充電制御FET92は、それぞれ寄生ダイオード(図示せず)を備えている。放電制御FET91,充電制御FET92のゲートは、それぞれ制御IC(制御回路)88に接続されている。充電制御FET92のソースは、抵抗93の一方の端子及び前記入出力端子83と接続されている。抵抗93の他方の端子は制御IC88と接続されている。
【0008】
電池52の正極は、抵抗89の一方の端子及び前記入出力端子82と接続されている。抵抗89の他方の端子は、前記第1検査端子85及び制御IC88と接続されている。
図8中に破線で示した部分により保護回路が構成される。
【0009】
制御IC88は電池電圧を検出し、検出した電圧が最高設定電圧よりも高い場合、充電制御FET92をオフに切り換えて、電池52の過充電を防止する。また、検出した電圧が最低設定電圧よりも低い場合、放電制御FET91をオフに切り換えて、電池52の過放電を防止する。
電池パック51の製造時に、第1検査端子85と第2検査端子86との間に電圧を印加して制御IC88の動作が検査される。
【0010】
従来の電池パック51においては、外来ダメージ要因により第1検査端子85から制御IC88へ静電気放電が生じた場合、制御IC88が静電気破壊される虞があるという問題があった。
【0011】
特許文献1には、検査工程より前の工程においては検査端子と静電気を逃すための配線とを接続しておき、この検査端子と前記配線との接続を解除して検査工程を実施するように構成することにより、検査前の半導体素子の静電気破壊が防止された液晶パネルの発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−272189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1の場合、検査後の制御回路等の素子の静電気破壊を防止することができないという問題があった。また、多数の端子間に電圧を印加して前記配線を蒸散させることにより検査端子と前記配線との接続を解除するので、配線の構成が複雑になり、作業が煩雑になるという問題があった。
【0014】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、検査端子からの静電気放電により制御回路等の部品が静電気破壊されることが容易に、確実に防止された電池パック用中間品、電池パック及び電池パックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1発明に係る電池パック用中間品は、電池、該電池を充放電する電流路を開閉するスイッチング素子、前記電池の正極に一方の端子が接続された抵抗、該抵抗の他方の端子と前記電池の負極との間に接続され、充放電の電圧を検出して前記スイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路、及び前記抵抗と前記制御回路との間に接続された外部接続用の検査端子を有する電池パック用中間品において、前記検査端子と前記制御回路との間に接続され、熱により溶断されるヒューズと、該ヒューズに接続された加熱抵抗と、該加熱抵抗に接続され、該加熱抵抗を介して前記検査端子との間に電流を通流するように構成された外部接続用の電流通流端子とを備えることを特徴とする。
【0016】
第2発明に係る電池パック用中間品は、第1発明において、前記検査端子と前記制御回路との間に、2つのヒューズが直列に接続され、前記2つのヒューズの接続節点と、前記電流通流端子との間に、2つの加熱抵抗が並列に接続されており、前記制御回路側のヒューズが前記検査端子側のヒューズより先に溶断するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
第3発明に係る電池パック用中間品は、第2発明において、前記制御回路側のヒューズは、前記検査端子側のヒューズより使用限界電流が小さいことを特徴とする。
【0018】
第4発明に係る電池パック用中間品は、第2発明において、前記制御回路側の加熱抵抗は、前記検査端子側の加熱抵抗より抵抗が大きいことを特徴とする。
【0019】
第5発明に係る電池パック用中間品は、第1乃至第4発明のいずれかにおいて、前記電池の負極と前記スイッチング素子との接続節点と、前記制御回路との間に接続された外部接続用の第2の検査端子と、該第2の検査端子と前記制御回路との間に接続され、熱により溶断されるヒューズと、該ヒューズに接続された加熱抵抗と、該加熱抵抗に接続され、該加熱抵抗を介して前記第2の検査端子との間に電流を通流するように構成された外部接続用の第2の電流通流端子とを備えることを特徴とする。
【0020】
第6発明に係る電池パックは、第1乃至第5発明のいずれかの電池パック用中間品の検査端子と電流通流端子との間に電流を通流し、ヒューズを溶断してなることを特徴とする。
【0021】
第7発明に係る電池パックは、第6発明の電池パックの製造方法であって、検査端子と前記電池の負極側との間に電圧を印加して前記制御回路の動作を検査するステップと、検査端子と電流通流端子との間に電流を通流して、ヒューズを溶断させるステップとを有することを特徴とする。
【0022】
第1発明及び第6発明においては、制御回路の動作を検査した後に、検査端子と電流通流端子との間に電流を通流してヒューズを溶断させることにより、検査端子から制御回路等の部品に静電気が及ばないようにすることができる。従って、該部品が静電気破壊されるのが確実に防止されている。
【0023】
第2発明においては、制御回路側のヒューズが検査端子側のヒューズより先に溶断するように構成されている。検査端子側のヒューズが制御回路側のヒューズより先に溶断し、電流通流端子と制御回路との電流路が遮断されていない場合、電流通流端子から静電気が侵入して制御回路が静電気破壊される虞がある。本発明においては、上述の構成により、検査端子と制御回路との電流路、及び電流通流端子と制御回路との電流路の両方の電流路が確実に遮断され、電流通流端子から制御回路への静電気の侵入も確実に防止されている。
【0024】
第3発明及び第4発明においては、制御回路側のヒューズが検査端子側のヒューズより確実に先に溶断する。
【0025】
第5発明においては、第2の検査端子からの静電気放電により制御回路等の部品が静電気破壊されるのが確実に防止されている。
【0026】
第7発明においては、検査端子から制御回路等の部品への静電気放電により該部品が静電気破壊されるのが確実に防止された電池パックが得られる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、検査端子から制御回路等の部品への静電気放電により該部品が静電気破壊されるのが確実に防止されており、安全性が向上している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電池パックを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る電池パックを示す縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る電池パック用中間品の回路を示す回路図である。
【図4】本実施の形態の比較例として、ヒューズとヒータ抵抗との組み合わせに代えて、電流ヒューズを用いた場合の電池パック用中間品の回路を示す回路図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る電池パック用中間品の回路を示す回路図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る電池パック用中間品の回路を示す回路図である。
【図7】従来の電池パックを示す斜視図である。
【図8】従来の電池パックの回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は電池パック1を示す斜視図、図2は電池パック1を示す縦断面図である。
電池パック1の電池2は、負極板、及び正極板がセパレータを介して巻回された扁平巻状の電極群(図示せず)と、非水電解液(図示せず)とを一面開口のケース21に収容し、ケース21の開口を蓋部22により閉塞してなる。
【0030】
蓋部22の中央部には、断面視がT字状をなす負極端子3が、該負極端子3の表面を除き、合成樹脂からなるガスケット5に包囲された状態で、蓋部22を貫通するように設けられている。
ガスケット5の下部は、蓋部22の裏面に沿って蓋部22の一端部側に延びており、その下部には銅板12が設けられている。該銅板12から垂下したタブ13に、前記電極群の負極板に接続された負極リード14が接続されている。
【0031】
前記負極端子3には、保護素子4の一方のリード41が接続されている。保護素子4は、短絡電流等の過大電流が流れた場合、及び電池2の温度が上昇した場合に、充放電回路の電流を制限する感熱素子である。保護素子としては、例えばPTC素子、サーマルプロテクタ等が挙げられる。保護素子4は、前記ガスケット5に隣接させて蓋部22上に設けられた保護素子載置部6上に配されている。
保護素子4の他方のリード41には、Niリード7の一端部が接続され、Niリード7の他端部は、保護回路基板8のマイナス側の接続端子(図示せず)と接続されている。
【0032】
保護回路基板8の裏面には、電池2の過充電及び過放電等を防止するための後述する保護回路を実装した保護回路実装部81が設けられている。
保護回路基板8は、保護回路実装部81が前記保護素子4と対向するように配置されている。
【0033】
保護回路基板8の表面の一端部には、正極の入出力端子82、温度端子84、及び負極の入出力端子83が設けられている。
そして、前記表面の中央部には、電池パック1の組み立て時に保護回路の動作を検査するための第1検査端子85及び第2検査端子86と、後述する制御IC(制御回路)88の静電気破壊を防止するための電流通流端子87とが設けられている。
【0034】
蓋部22の保護素子載置部6が設けられている側と反対側の端部には、Niリード9が設けられており、Niリード9の一端部は、蓋部22を介し前記電極群の正極板に接続された正極リード(図示せず)と接続されている。Niリード9の他端部は、保護回路基板8のプラス側の接続端子(図示せず)と接続されている。
電池2においては、蓋部22の負極端子3及び保護素子載置部6が設けられている部分を除いた蓋部22、並びにケース21の全体が正極となる。
【0035】
蓋部22には、入出力端子82,83、温度端子84、第1検査端子85、第2検査端子86、及び電流通流端子87の表面が露出する状態で、保護回路基板8を覆うようにポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂を樹脂モールドすることにより、樹脂モールド部10が形成されている。樹脂モールド部10には、入出力端子82,83、温度端子84が露出するように、入出力端子82,83、温度端子84に対応して窓部10a,10a,10aが形成されている。
【0036】
図3は、電池パック1の中間品(電池パック用中間品)の回路を示す回路図である。
電池パック1の中間品においては、上述したように、電池2の負極に保護素子4の一方の端子が接続され、保護素子4の他方の端子は放電制御FET(スイッチング素子)91のソースと接続されている。保護素子4と放電制御FET91との接続節点と、制御IC88との間に前記第2検査端子86が接続されている。
【0037】
放電制御FET91のドレインには充電制御FET92のドレインが接続されている。放電制御FET91,充電制御FET92は、それぞれ寄生ダイオード(図示せず)を備えている。放電制御FET91,充電制御FET92のゲートは、それぞれ制御IC88に接続されている。充電制御FET92のソースは、抵抗93の一方の端子及び前記入出力端子83と接続されている。抵抗93の他方の端子は制御IC88と接続されている。
【0038】
電池2の正極は、抵抗89の一方の端子及び前記入出力端子82と接続されている。抵抗89の他方の端子は、ヒューズ94の一方の端子及び制御IC88と接続されている。ヒューズ94は、熱により溶断されて電流路を遮断する温度ヒューズである。ヒューズ94の他方の端子は前記第1検査端子85、及びヒューズ94を加熱するヒータ抵抗(加熱抵抗)95の一方の端子と接続されている。ヒータ抵抗95の他方の端子は前記電流通流端子87と接続されている。
図3中に破線で示した部分により保護回路が構成される。
【0039】
制御IC88は、電池電圧を検出し、検出した電圧が最高設定電圧よりも高い場合、充電制御FET92をオフに切り換えて、電池2の過充電を防止する。また、検出した電圧が最低設定電圧よりも低い場合、放電制御FET91をオフに切り換えて、電池2の過放電を防止する。
【0040】
放電制御FET91,充電制御FET92は、それぞれ寄生ダイオードを有するので、逆向きに流れる電流はオン状態に保持される。すなわち、充電制御FET92がオフになった状態で、電池2の放電を可能とし、放電制御FET91がオフになった状態で、電池2の充電を可能とする。
【0041】
以下に、本実施の形態の電池パック1の製造方法について説明する。
前記負極端子3に前記電極群の負極リード14を接続し、蓋部22の一部に電極群の正極リードを接続した状態で電極群をケース21に収容し、蓋部22の周縁部とケース21の開口縁部とをレーザ溶接する。
次に、蓋部22に配した保護回路基板8の入出力端子82,83、温度端子84、第1検査端子85、第2検査端子86、及び電流通流端子87の表面が露出する状態で樹脂モールドすることにより、樹脂モールド部10を形成する。
そして、樹脂モールド部10以外の部分を合成樹脂製のラベル15により覆うことにより電池パック用中間品が得られる。
【0042】
この電池パック用中間品の第1検査端子85と第2検査端子86との間に電圧を印加して、制御IC88の動作を検査する。
そして、第1検査端子85と電流通流端子87との間に電流を通流し、ヒータ抵抗95を加熱してヒューズ94を溶断させ、第1検査端子85と制御IC88との導通を解除することにより電池パック1が得られる。これにより、第1検査端子85からの静電気放電によって制御IC88が静電気破壊されるのが防止される。
【0043】
図4は、本実施の形態の比較例として、ヒューズ94とヒータ抵抗95との組み合わせに代えて、電流ヒューズ100を用いた場合の電池パック用中間品の回路を示す回路図である。図中、図3と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
この保護回路を有する電池パック用中間品において、第1検査端子85と第2検査端子86との間に電圧を印加して制御IC88の動作を検査した後に、第1検査端子85と電流通流端子87との間に電流を通流した(図中、aで示した電流路)場合、電流ヒューズ100が溶断するので、第1検査端子85と制御IC88との導通は解除される。しかし、電流通流端子87と制御IC88との電流路(図中、bで示した電流路)は残存するので、電流通流端子87から制御IC88へ静電気放電が生じる虞があり、静電気対策が万全とはならない。
【0044】
図3に示す保護回路を有する本実施の形態の電池パック1の中間品の場合、第1検査端子85と制御IC88との導通、及び電流通流端子87と制御IC88との導通が確実に解除されるので、制御IC88の静電気破壊が確実に防止されている。
なお、本実施の形態においては、第1検査端子85と第2検査端子86との間に電圧を印加して、制御IC88の動作を検査した後に、第1検査端子85と電流通流端子87との間に電流を通流して第1検査端子85と制御IC88との導通を解除する場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。入出力端子82,83、温度端子84、第1検査端子85、第2検査端子86、及び電流通流端子87に同時にテストピンを接触させて検査を行い、最後に電流通流端子87に通電して第1検査端子85と制御IC88との導通を解除することにしてもよい。
【0045】
実施の形態2.
実施の形態2に係る電池パックは、実施の形態1に係る電池パック1と同様の構成を有し、保護回路のヒューズとヒータ抵抗との構成が、実施の形態1に係るヒューズ94とヒータ抵抗95との構成と異なる。
【0046】
図5は、実施の形態2に係る電池パック用中間品の回路を示す回路図である。図中、図3と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
実施の形態2に係る電池パック用中間品の保護回路においては、第1検査端子85と制御IC88との間に、第1ヒューズ96と第2ヒューズ97とが直列に接続されている。第1ヒューズ96と第2ヒューズ97とは、周囲温度に反応して溶断する温度ヒューズである。
そして、第1ヒューズ96と第2ヒューズ97とのの接続節点と、電流通流端子87との間に、第1ヒータ抵抗98と第2ヒータ抵抗99とが並列に接続されている。
この2つのヒューズと2つのヒータ抵抗とが組み込まれた素子の一例として、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製の素子(商品名「セルフコントロールプロテクター(SCP)」のSFHシリーズ)が挙げられる。
【0047】
第2ヒューズ97は第1ヒューズ96より先に溶断するように構成されているのが好ましい。具体的には、第2ヒューズ97が第1ヒューズ96より使用限界電流(定格電流)が小さくなるように構成するか、第2ヒータ抵抗99が第1ヒータ抵抗98より加熱抵抗が大きくなるように構成する。
【0048】
本実施の形態においては、実施の形態1と同様に、第1検査端子85と第2検査端子86との間に電圧を印加して制御IC88の動作を検査した後に、第1検査端子85と電流通流端子87との間に電流を通流して第1ヒューズ96及び第2ヒューズ97を溶断させ、第1検査端子85から制御IC88へ静電気放電が生じないようにする。
ここで、第1ヒューズ96が溶断して第2ヒューズ97が溶断していない場合、第1検査端子85と制御IC88との電流路は遮断されているが、電流通流端子87と制御IC88との電流路が遮断されていないので、電流通流端子87から制御IC88への静電気放電が生じて制御IC88が静電気破壊される可能性がある。
上述したように、第2ヒューズ97が第1ヒューズ96より先に溶断するように構成した場合、電流通流端子87から制御IC88への静電気の侵入も防止されるので、制御IC88が静電気から確実に保護される。
【0049】
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3に係る電池パック用中間品の回路を示す回路図である。図中、図3と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
実施の形態3に係る電池パック用中間品の保護回路においては、保護素子4と放電制御FET91との接続節点と、制御IC88との間にヒューズ101の一方の端子が接続されている。ヒューズ101は温度ヒューズである。ヒューズ101の他方の端子は、第2検査端子86、及びヒータ抵抗102の一方の端子と接続されている。ヒータ抵抗102の他方の端子には第2電流通流端子103が接続されている。
【0050】
実施の形態3に係る電池パックにおいては、検査工程で、電池パック用中間品の第1検査端子85と第2検査端子86との間に電圧を印加して、制御IC88の動作を検査する。
そして、第1検査端子85と電流通流端子87との間に電流を通流して、ヒータ抵抗95を加熱してヒューズ94を溶断させ、第1検査端子85と制御IC88との導通を解除する。さらに、第2検査端子86と第2電流通流端子103との間に電流を通流して、ヒータ抵抗102を加熱してヒューズ101を溶断させ、第2検査端子86と制御IC88との導通を解除することにより実施の形態3の電池パックが得られる。これにより、第1検査端子85からの静電気放電により制御IC88が静電気破壊されるのが防止されるとともに、第2検査端子86からの静電気放電により制御IC88が静電気破壊されるのも防止される。
従来の電池パックにおいて、第2検査端子86は電池2側にも低抵抗で接続されており、第2検査端子86に静電気が及んだ場合、静電気は制御IC88だけではなく、電池2側にも流れるので、静電気の影響が分散し、制御IC88への静電気の影響は減少する。よって、第1検査端子85に静電気が及んだ場合と比較して、静電気の制御IC88に対する影響は小さい。本実施の形態の電池パックにおいては、この第2検査端子86に対する静電気対策も施されており、安全性がより向上している。
【0051】
以上のように、実施の形態1乃至3の電池パックは、制御IC88が静電気から保護されており、安全性が向上している。
なお、前記実施の形態1乃至3においては、第1検査端子85と第2検査端子86との間に電圧を印加して、制御IC88の動作を検査する場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。第2検査端子86は有さず、第1検査端子85と入出力端子83との間に電圧を印加して、制御IC88の動作を検査するように構成された電池パックにおいて、第1検査端子86と制御IC88との間にヒューズを接続することにしてもよい。
【0052】
また、前記実施の形態1乃至3においては、電池2がリチウムイオン二次電池である場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、ニッケル・水素二次電池、ニッケル・カドミウム二次電池等の他の二次電池であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 電池パック
2 電池
21 ケース
22 蓋部
3 負極端子
4 保護素子
41 リード
5 ガスケット
6 保護素子載置部
7、9 リード
8 保護回路基板
81 保護回路実装部
82、83 入出力端子
84 温度端子
85 第1検査端子
86 第2検査端子
87 電流通流端子
88 制御IC
89、93 抵抗
91 放電制御FET
92 充電制御FET
94、101 ヒューズ
95、102 ヒータ抵抗
96 第1ヒューズ
97 第2ヒューズ
98 第1ヒータ抵抗
99 第2ヒータ抵抗
103 第2電流通流端子
10 樹脂モールド部
10a 窓部
12 銅板
13 タブ
14 負極リード
15 ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池、該電池を充放電する電流路を開閉するスイッチング素子、前記電池の正極に一方の端子が接続された抵抗、該抵抗の他方の端子と前記電池の負極との間に接続され、充放電の電圧を検出して前記スイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路、及び前記抵抗と前記制御回路との間に接続された外部接続用の検査端子を有する電池パック用中間品において、
前記検査端子と前記制御回路との間に接続され、熱により溶断されるヒューズと、
該ヒューズに接続された加熱抵抗と、
該加熱抵抗に接続され、該加熱抵抗を介して前記検査端子との間に電流を通流するように構成された外部接続用の電流通流端子と
を備えることを特徴とする電池パック用中間品。
【請求項2】
前記検査端子と前記制御回路との間に、2つのヒューズが直列に接続され、
前記2つのヒューズの接続節点と、前記電流通流端子との間に、2つの加熱抵抗が並列に接続されており、
前記制御回路側のヒューズが前記検査端子側のヒューズより先に溶断するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電池パック用中間品。
【請求項3】
前記制御回路側のヒューズは、前記検査端子側のヒューズより使用限界電流が小さいことを特徴とする請求項2に記載の電池パック用中間品。
【請求項4】
前記制御回路側の加熱抵抗は、前記検査端子側の加熱抵抗より抵抗が大きいことを特徴とする請求項2に記載の電池パック用中間品。
【請求項5】
前記電池の負極と前記スイッチング素子との接続節点と、前記制御回路との間に接続された外部接続用の第2の検査端子と、
該第2の検査端子と前記制御回路との間に接続され、熱により溶断されるヒューズと、
該ヒューズに接続された加熱抵抗と、
該加熱抵抗に接続され、該加熱抵抗を介して前記第2の検査端子との間に電流を通流するように構成された外部接続用の第2の電流通流端子と
を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電池パック用中間品。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の電池パック用中間品の検査端子と電流通流端子との間に電流を通流し、ヒューズを溶断してなることを特徴とする電池パック。
【請求項7】
請求項6に記載の電池パックの製造方法であって、
検査端子と前記電池の負極側との間に電圧を印加して前記制御回路の動作を検査するステップと、
検査端子と電流通流端子との間に電流を通流して、ヒューズを溶断させるステップと
を有することを特徴とする電池パックの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−238405(P2010−238405A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82775(P2009−82775)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(597176832)三洋ジーエスソフトエナジー株式会社 (94)
【Fターム(参考)】