電池内蔵カードおよびカード用薄型電池
【課題】 カード用電池の廃棄対策と切断対策。
【解決手段】 電池内蔵カード100は、薄型電池1Aと、薄型電池1Aを挟んで支持する複数枚の樹脂シート31,33,35,37からなるカード本体39と、カード本体39内に薄型電池1Aとともに配置されて、カード本体39の切断を試みたときに薄型電池1Aが一緒に切断されることを妨げる切断妨害部材15とを備える。
【解決手段】 電池内蔵カード100は、薄型電池1Aと、薄型電池1Aを挟んで支持する複数枚の樹脂シート31,33,35,37からなるカード本体39と、カード本体39内に薄型電池1Aとともに配置されて、カード本体39の切断を試みたときに薄型電池1Aが一緒に切断されることを妨げる切断妨害部材15とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を内蔵したカードと、カードに内蔵するのに適した薄型電池に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、近年普及しつつある非接触型ICカードは電磁誘導による起電力を利用するものが多いが、多機能化を図るために内蔵電源を設ける試みもある。下記特許文献1,2に開示されている電池はペーパー型電池と呼ばれ、ICカードやアクティブ型RFID等への需要拡大が見込まれている。
【特許文献1】特許第2935427号公報
【特許文献2】特開平8−055627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、磁気カードの使用期限が到来した場合、ユーザは磁気カードをハサミで切断して不燃物として廃棄していた。これに対し、ICカードは業者(発行元)が回収する方式が一般化しつつある。ただし、磁気カードと同じようにハサミで切断して廃棄するユーザもいると考えられる。
【0004】
内蔵電源を持たないカードの場合には、情報漏洩の問題を除けば、ハサミで切断して廃棄することに大した問題が無いかもしれない。しかしながら、電池内蔵カードの場合には、カードと一緒に電池が切断される危険性がある。業者による回収が一般的となったとしても、ついついハサミで切断してしまうユーザの存在を完全には否定できない。そのため、電池内蔵カードの安全対策が十分に過ぎることはない。
【0005】
また、電池を内蔵する対象が音声再生機能付きバースデーカードのように重要な個人情報を含まない場合もある。このようなカードの場合は、なおさらユーザが安易に切断および廃棄してしまう可能性がある。
【0006】
本発明の課題は、廃棄対策や切断対策が施された電池内蔵カードと、カードに内蔵するのに適した薄型電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の電池内蔵カードは、薄型電池と、薄型電池を挟んで支持する複数枚のシート状部品からなるカード本体と、カード本体内に薄型電池とともに配置されて、カード本体の切断時に薄型電池が一緒に切断されることを妨げる切断妨害部材と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記本発明は、薄型電池の内蔵箇所の強度を切断妨害部材で強化する点に特徴がある。この特徴によれば、ハサミやカッター等の切断器具でカード本体を切断する際に、切断妨害部材に切断器具の刃が差し掛かると、少なくとも切断器具の刃が先に進み難くなる。この結果、ユーザに対して、薄型電池が入っている部分を切断してはならないことをアピールすることができる。また、切断妨害部材が適度な硬さを持っている場合には、小児等の被監督者が誤って切断することを十分に防ぐことができる。
【0009】
好適な態様において、上記した切断妨害部材は、カード本体の外周縁と薄型電池との間に配置されたものとすることができる。このようにすれば、切断器具の刃は、薄型電池に差し掛かるよりも必ず先に切断妨害部材に接触する。切断器具がスムーズに進まなくなれば、ユーザはカードの切断操作を躊躇ないし諦めることとなる。
【0010】
また、切断妨害部材は、カード本体内で薄型電池を包囲する枠形態、もしくは薄型電池の外周部分に一部または全部が重ね合わさった枠形態をなすものとすることができる。このようにすれば、切断器具の刃が薄型電池の周囲のどの方向から到来したとしても、薄型電池に差し掛かる前に必ず切断妨害部材に接触することになる。
【0011】
ところで、上記のごとき切断妨害部材は、カードの製造時にカード本体に組み込む部品として捉えることもできるし、薄型電池を構成する一部品として捉えることもできる。すなわち、課題を解決するために本発明のカード用薄型電池は、発電作用をもたらす要素を含む電池本体部と、電池本体部よりも薄肉であって、該電池本体部の周囲に形成されて電池本体部内の気密を保持するシール部と、シール部に取り付けられて該シール部の切断困難性を高める切断妨害部材と、を備えたことを主要な特徴とする。
【0012】
他の一つの局面において、本発明の電池内蔵カードは、薄型電池と、薄型電池を挟んで支持する複数枚のシート状部品からなるカード本体とを備え、薄型電池が配置されている箇所を避けてカード本体にマーキングが施されていることを特徴とする。このようなマーキングをカード本体に施すことにより、切断に好適な箇所をユーザに直接示すことができる。
【0013】
具体的に、上記したマーキングは、カード本体の一辺から向かい合う辺に跨って形成された、または一辺から隣接する他辺に跨って形成されたエンボスとすることができる。エンボスに沿ってカードが容易に破断可能であるならば、ユーザはわざわざハサミ等の切断器具でカードを切断しようとは考えない。この結果、薄型電池の内蔵箇所がハサミ等の切断器具で切断されることを防止できる。
【0014】
他の一つの局面において、本発明の電池内蔵カードは、薄型電池と、薄型電池を挟んで支持する複数枚のシート状部品からなるカード本体と、カード本体内において薄型電池に接続し、カード本体の予め定められた位置を切断または破断することを条件として薄型電池の放電を促進する放電回路部と、を備えたことを主要な特徴とする。
【0015】
上記本発明の電池内蔵カードによれば、カードが使用済みとなった場合に、放電回路部を機能させて薄型電池の残存電力を消費することが可能となる。たとえば、カードの隅を僅かに切断することによって、薄型電池の自己放電を小さく抑えるカード使用状態から、該カード使用状態よりも薄型電池の自己放電を高めたカード使用済み状態に変化するように、上記放電回路部を構成することができる。このようにすれば、ユーザは放電回路部の存在を一切意識することなく、薄型電池の完全放電を速めることが可能である。
【0016】
たとえば、負極活物質に金属リチウムを用いたリチウム一次電池の場合、安全上懸念されるのは、アルカリ金属であるリチウムが水と反応して強アルカリである水酸化リチウムを生成することである。強アルカリが目に入ったりすると、目が致命的なダメージを負う可能性がある。しかしながら、負極のリチウムが完全に消費されてしまえば、リチウムと水との反応による水酸化リチウムの生成を防ぐことができる。リチウム一次電池は、自己放電が極めて小さいので単に放置するだけでなく、本発明のごとく、不要となった場合には積極的に放電させるのが好ましい。完全に放電した状態であれば、不燃物として廃棄したときの安全性を十分確保できる。
【0017】
また、カード廃棄時における情報漏洩の問題に対しては、次のような電池内蔵カードを提案することができる。その電池内蔵カードは、薄型電池と、カード本体と、カード本体内において薄型電池から給電を受けるとともに当該電池内蔵カードの外部からアクセスされることに基づいて情報の読書きを行なう記録手段と、カード本体の予め定められた位置を切断することを条件として薄型電池から給電を受けつつ記録手段に記録されている情報を消去する情報消去手段と、を備える。このような電池内蔵カードによれば、カードの一部を切断するという極めて簡単な手順を以って記録手段に記録されている情報を消去したのちに廃棄することが可能であり、ユーザにとって非常に利便性に優れる。
【0018】
なお、本明細書中において“カード”という用語は、クレジットカードやキャッシュカードのような情報記録媒体のみならず、磁気カードのようにICチップを持たないカード、さらには葉書、写真など紙製のカード、方形以外の形状のカードを含む広義の意味で用いる。つまり、特に言及しない限り、“カード”=“薄板状またはシート状のもの”を示す。また、“カード”はハサミまたはカッターを用いて切断することが可能であるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の電池内蔵カードの一実施形態であるICカードのブロック図である。ICカード100は、薄型電池1A、ICモジュール17および表示部19を備える。ICモジュール17は、ICチップ等の電子部品がモジュール化されたものである。薄型電池1Aは、たとえばリチウム一次電池であり、ICモジュール17および表示部19に電力を供給する。また、無線通信によるデータの送受信を行なうためのアンテナコイル部(図示省略)等を設けることにより、ICカード100を非接触型の情報記録媒体として構成することが可能である。
【0020】
図2は図1のICカード100の分解斜視図である。ICカード100は、第1オーバシート31、コアシート33、インナシート35および第2オーバシート37からなるシート状部品群がこの順番に積層されたカード本体39を備える。本実施形態では四層品としているが、第1オーバシート31とコアシート33との間にインナシートをさらに一枚挟んだ五層品としてもよい。カード本体39の内部には、コアシート33の一部をくり貫くことにより、薄型電池1Aおよび切断妨害部材15を収容するためのキャビティ33aが形成されている。切断妨害部材15は、カード本体39の切断時に薄型電池1Aが一緒に切断されることを妨げる役割を担う。
【0021】
図3にICカード100の横断面図、図4に縦断面図を示す。図3および図4に示すごとく、平面視で方形状のキャビティ33aには、薄型電池1Aとともに切断妨害部材15が配置されている。切断妨害部材15は、薄型電池1Aを包囲する大きさの枠形態を有したシート状の部品である。薄型電池1Aの全周を切断妨害部材15で囲うことにより、カード本体39の如何なる方向からハサミを入れた場合であっても、薄型電池1Aに差し掛かるよりも必ず先に切断妨害部材15にハサミの刃が入る。この結果、薄型電池1Aがスムーズに切断されてしまうことを妨害できる。なお、薄型電池1Aと切断妨害部材15は、接着剤でインナシート35に固定されている。薄型電池1Aのリード端子6t,7tは、インナシート35に実装された回路の端子(図示省略)に接続されている。
【0022】
また、図3および図4に示す実施形態においては、切断妨害部材15と薄型電池1Aとが重ならない配置としているが、切断妨害部材15の内周部分が薄型電池1Aの外周部分に重なる配置としてもよい。
【0023】
カード本体39のオーバシート31,37、コアシート33、インナシート35を構成する樹脂素材としては、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET−G(米国イーストマンケミカル社の登録商標)、生分解樹脂、PET(ポリエチレンテレフタラート)などの熱可塑性樹脂を好適に使用できる。PVCは、140℃〜150℃で熱融着可能な樹脂であり、カード基材として一般的である。PET−Gは、PVCのように熱融着可能な非結晶性ポリエステル樹脂である。融着温度が120℃〜130℃とPVCよりも低い、曲げ・捩り耐久性に優れる、燃焼生成ガスがクリーン、といった多くの有利な特徴を持つ。生分解樹脂は、融着温度が130〜140℃と比較的低温でありながら、PET−G同様に焼却処理時に有害ガスの発生がない。さらに、微生物の働きにより、水と二酸化炭素に分解されるため、埋立て処理が可能である。結晶性樹脂であるPETは熱融着性を有さないので、ホットメルト接着剤などの接着剤を用いることが必要である。具体的には、PETシートの片面または両面にホットメルト接着剤層を薄く形成したものを用いることができる。ホットメルト接着剤には、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂を主体とするものを使用できる。なお、以上に示した樹脂には、顔料、難燃剤等の添加剤を適宜加えて使用することができる。
【0024】
これに対し、切断妨害部材15を構成する素材としては、適度な柔軟性を確保でき、尚且つ硬質であることが、ハサミやカッターの刃を入り難くする観点から望ましい。具体的には、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS樹脂)、メタクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびポリイミド樹脂からなるグループより選択される一種の樹脂を、切断妨害部材15の素材として用いることができる。あるいは、上記グループより選択される二種以上の樹脂を含む複合樹脂を用いることができる。
【0025】
また、ガラス、カーボン(DLCなど)、金属、セラミック(アルミナセラミック、窒化珪素セラミック、炭化珪素セラミックなど)およびアラミド繊維のグループより選択される一種または二種以上の強化材料(フィラー)を樹脂基材中に内包した強化プラスチックを好適に用いることができる。上記の強化材料を樹脂基材の表面上に定着させたプラスチック材料を用いることができる。また、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル等の単体金属、あるいは各種ステンレス鋼などの合金を用いることができる。さらに、ボロン繊維、炭化珪素繊維およびアルミナ繊維のグループから選択される一種または二種以上の高強度繊維を用いることができる。ハサミやカッターの刃先が入り込むことを妨げるという目的からすると、切断妨害部材15は、カード本体39のオーバシート31,37、コアシート33、インナシート35を構成する樹脂素材よりも硬質(たとえばビッカース硬さを基準として)の素材で構成されることが望ましい。上記した強化プラスチック、金属および高強度繊維は、こうした要望を満足するので、薄型電池1Aの柔軟性を大きく害さない範囲内での使用が特に推奨される。
【0026】
また、ハサミやカッターの刃先が入り込むことを妨げるという目的からすると、切断妨害部材15の幅は3.0mm以上あることが望ましい。カード内でのスペースの問題もあるので幅10mm以下に抑えるとよい。また、たとえばISO/IEC7810に規定されたICカードの場合、厚さが約0.76mmである。また、ISOカードに限らず、日常に流通しているカードは軒並み1.0mm以下の厚さしかない。したがって、切断妨害部材15の厚さとしては0.3mm以上0.5mm以下に調整することが、カードの美観を損ねないようにする観点から望ましい。
【0027】
また、図4に示すごとく、本実施形態においては、切断妨害部材15の厚さを薄型電池1Aの最大厚さにほぼ等しく調整している。薄型電池1Aは最大厚さを持つ中央部分が外周部分よりも凸となっている場合がある。このような形態の薄型電池1Aは、カードに内蔵する際、凸となった中央部分に荷重が懸かりやすい。本実施形態のごとく、キャビティ33a内での切断妨害部材15の高さを薄型電池1Aの高さに一致させることにより、薄型電池1Aに荷重が集中することを緩和できる。
【0028】
また、枠形態の切断妨害部材15に代えて、図5に示すごとく、薄型電池1Aの周囲に点在する形態で、小片の切断妨害部材151をキャビティ33a内(カード本体33内)に複数配置することが可能である。このような切断妨害部材151によれば、たとえば金属やセラミックのように剛性が高い素材を切断妨害部材151に用いた場合であっても、ICカード100の柔軟性を十分に維持することが可能である。もちろん、枠形態の切断妨害部材15と、点在形態の切断妨害部材151とを併用してもよい。
【0029】
次に、薄型電池1Aについて説明する。図6は、薄型電池1Aであるリチウム一次電池1Aの断面図である。リチウム一次電池1Aは、全体として方形かつ板状であり、シール材としての枠部材2,3、正極活物質層4、正極集電体6、負極活物質層5、負極集電体7およびセパレータ9を備える。正極集電体6および負極集電体7は、それぞれ、シール材としての枠部材2,3の開口を塞ぐように枠部材2,3に固定されてリチウム一次電池1Aの外装材を兼ねている。また、正極集電体6および負極集電体7には、それぞれ、電力取出部として帯状のリード端子(図3参照)が一体形成されている。
【0030】
枠部材2,3は、正極側枠部材2と負極側枠部材3とからなる。正極側枠部材2および負極側枠部材3は向かい合う面で相互に接着されている。枠部材2,3、正極集電体6および負極集電体7によって活物質充填室10が形成され、その活物質充填室10にセパレータ9、正極活物質層4および負極活物質層5を収容することにより電池本体部14が形成されている。また、セパレータ9とは反対側に位置するように、正極集電体6が正極側枠部材2に、負極集電体7が負極側枠部材3にそれぞれ接着されている。これにより、電池本体部14の気密を保持するシール部11が形成されている。セパレータ9の周縁部9kを負極側枠部材3に固定することにより、活物質充填室10を正極活物質層4が配置された正極側と、負極活物質層5が配置された負極側とに分断している。活物質充填室10内において、正極集電体6とセパレータ9との間に正極活物質層4が保持され、負極集電体7とセパレータ9との間に負極活物質層5が保持されている。このような構造とすることにより、集電体6,7をリチウム一次電池1Aの外装材に兼用することができる。
【0031】
図6から理解できるように、電池本体部14は台地状に盛り上がった形状を有している。電池本体部14の厚さとシール部11の厚さが相違するので、シール部11に隣接する電池本体部14の外周部分に段差が形成されている。
【0032】
また、図7に示す構造のリチウム一次電池1Bを、ICカード100に内蔵することができる。薄型電池としてのリチウム一次電池1Bは、発電要素であるセル22と、セル22を包装するラミネート外装材28,29とを備え、全体として方形かつ板状の形態を有する。セル22とラミネート外装材28,29は、台地状に盛り上がった部分である電池本体部24を形成している。また、セル22の一方の主面側を覆う第一ラミネート外装材28と、他方の主面側を覆う第二ラミネート外装材29とが、電池本体部24の周囲において直接結合し、シール部21を形成している。セル22はシート状の形態を有し、正極集電体26、正極活物質層4、セパレータ9、負極活物質層5および負極集電体27がこの順番で積層された発電要素である。正極活物質層4と正極集電体26が正極を構成し、負極活物質層5と負極集電体27がセパレータ9を介して正極に対向する負極を構成する。
【0033】
上記したリチウム一次電池1A,1Bは、予め切断妨害部材を取り付けた状態で、ICカード100の組立に供することができる。図8に示すのは、切断妨害部材25が取り付けられたリチウム一次電池10Aの斜視図である。リチウム一次電池10Aは、図6および図7で説明したリチウム一次電池1A,1Bのシール部11,21に切断妨害部材25を接着固定したものである。切断妨害部材25で補強することにより、シール部11,21には確実に刃が入り難くなる。場合によっては多少の力では刃が入らないようになる。なお、切断妨害部材25を構成する素材等については、先に説明した通りである。
【0034】
図9は図8のB−B断面を部分的に拡大した模式図である。図6および図7で説明したように、シール部11,21は電池本体部14,24よりも薄肉に形成される。切断妨害部材25は、シール部11,21の厚さと電池本体部14,24の厚さとの相違に基づく段差が形成されている主面側において、シール部11,21の上に配置されている。この配置を採用することにより、電池本体部14,24の最大厚さ、ひいてはリチウム一次電池1A,1Bの最大厚さを増加させることなく、あるいは殆んど増加させることなく、カード本体39(図1)の切断時に薄型電池1A,1Bが一緒に切断されることを妨害する効果を得ることができる。
【0035】
また、電池本体部14,24の厚さ(最大厚さ)をD1とし、シール部11,21の厚さと切断妨害部材25の厚さとの合計厚さをD2とすると、図9の実施形態ではD1<D2である。このような関係を満足するように、シール部11,21と、電池本体部14,24と、切断妨害部材25との三者の相対厚さを調整することにより、薄型電池10Aがスムーズに切断されることを妨害する効果と、薄型電池10Aをカード本体39内に収容してカード本体39を加圧したときに電池本体部14,24に荷重が集中することを防ぐ効果との双方を得ることができる。これらの効果は、D1=D2となっている場合でも同程度得ることができる。また、D1>D2となっている場合でも、薄型電池10Aがスムーズに切断されることを妨害する効果は十分に得られる。電池本体部14,24に荷重が集中することを防ぐ効果についても、得ることができないというわけでは無く、効果の度合いが小さいだけである。
【0036】
また、図10に示すごとく、シール部11,21よりも外側に食み出した枠形態の切断妨害部材251をシール部11,21に取り付けることができる。切断妨害部材251は、一部がシール部11,21上に位置し、残部がシール部11,21よりも外側に位置している。また、シート状の部品を切断妨害部材251としてシール部11,21に接着することにより、図10に示すごとく、シール部11,21に沿った断面L字形状の切断妨害部材251を比較的容易に形成することができる。
【0037】
上記のごとく、切断妨害部材251がシール部11,21から食み出している場合、面内方向からハサミ等の切断器具の刃が到来したとしても、刃はシール部11,21よりも前に必ず切断妨害部材251に突き当たる。この結果として、薄型電池10Aがスムーズに切断されることを妨害する効果を得ることができる。こうした効果は、図2〜図4で説明した切断妨害部材15と同様である。また、図10の実施形態によれば、シール部11,21と切断妨害部材251とが密着しているので、デッドスペースが生じ難いという利点もある。なお、“面内方向”とは、薄型電池10Aの主面(最も広い面)に平行な方向を意味する。
【0038】
以上の説明においては、カードの機能等については特に言及していないが、光や音声を発する機能を付加したカード、ディスプレイを搭載したカード、ICを搭載したカード、あるいは複数の機能を併せ持ったカードなど、各種カードに本発明の要旨を適用することが可能である。また、リチウム一次電池1A,1Bの基本構造を踏襲したリチウムイオン二次電池をカード内蔵用の薄型電池としてもよい。
【0039】
(第二実施形態)
図11に示す電池内蔵カードは、薄型電池1Aの内蔵箇所を避けてマーキングが施されたICカード101である。マーキング51は、当該ICカード101に薄型電池1Aが内蔵されていることをユーザに周知させるとともに、薄型電池1Aの内蔵箇所を切断することを避けるように注意を喚起する役割を担う。図11の実施形態において、マーキング51はカード表面に視認可能に記された印刷部分とされる。また、マーキング51は、平面視で方形をなすICカード101の一辺から対向する他辺に跨って形成することができる。このようなマーキング51に沿ってICカード101を切断する場合には、薄型電池1Aに切断器具の刃が掛からず、安全である。
【0040】
図12は、エンボスを形成したICカード102の斜視図である。マーキングとしての役割を担うエンボス53は、図11で説明した実施形態と同様に、対向する二辺に跨る形態で形成されている。このようなエンボス53によれば、ユーザは、使用済みとなったICカード102をエンボス53に沿って折り曲げて安全に切断することが可能である。また、情報漏洩に対する安全性を高めた状態で薄型電池1Aのみを回収することが可能となる。こうした効果は、図11のICカード101でも同様に得られる。さらには、ICモジュール17が内蔵されている部分と、薄型電池1Aが内蔵されている部分とを分離して個別回収するという廃棄形態を採ることが可能となる。なお、エンボス53に代えて、あるいはエンボス53とともにマーキングとして機能する貫通孔を形成してもよい。ICカード102の縦横に列をなして形成された貫通孔は、エンボス53と同様に、ICカード102が安全に切断されることを補助する。
【0041】
(第三実施形態)
図13は電池内蔵カードの他の一つの実施形態のブロック図である。図13に示すごとく、電池内蔵カードとしてのICカード200は、薄型電池1A、ICモジュール17、表示部19および放電回路部41を備える。放電回路部41は、ICカード200が使用済みとなった場合に薄型電池1Aを強制的に完全放電させる機能を提供する。
【0042】
図14は図13に示す放電回路部41の回路図である。放電回路部41は、薄型電池1Aに接続されるICモジュール等の機器(負荷)に対して並列に、抵抗R1および抵抗R2による直列抵抗と、FET43によって通電のオンオフが可能である抵抗R3とを挿入した回路構成を持っている。抵抗R3の一端が電源(薄型電池1Aの正極側端子)に接続され多端はFET43のソースに接続されている。FET43のドレインが接地(薄型電池1Aの負極側端子)されている。
【0043】
薄型電池1Aの容量が十分に残存している状態においては、抵抗R1と抵抗R2の中点Aの電位がFET43のゲートを駆動する。FET43のソース−ドレイン間が遮断され、薄型電池1Aの電力は殆んど機器側に流れる。一方、回路図中に示すパターン切断箇所を切断すると、FET43のゲートがオフに切り替わってFET43のソースとドレインが導通し、抵抗R3が電力消費を開始する。抵抗R1,R2,R3の大きさを適切に調整することにより、パターン切断箇所が繋がっているカード使用時状態における薄型電池1Aの放電は極力抑制する一方で、パターン切断箇所が切断されたカード使用済み状態での消費電力を上記カード使用時状態よりも高め、薄型電池1Aの放電を促進することができる。
【0044】
たとえば図15に示すごとく、ICカード200の隅を折り取ることによってパターン切断箇所で断線するように、放電回路部41の配線パターン41cを工夫することができる。さらに、第二実施形態で説明したマーキングをICカード200の隅に形成しておくことにより、ユーザは不要となったICカード200の隅を折り取りして、薄型電池1Aの放電を促進することができる。また、ICカード200の一部にハサミ等の切断器具で切り込みを入れることにより、パターン切断箇所で断線するようにしてもよい。ハサミ等で切れ込みを入れる位置は、マーキングによって記すことができる。また、薄型電池1Aが小容量の場合(たとえば50mAh以下)には、抵抗R3を省略して薄型電池1Aの正極と負極とをFET43を介してショートさせるようにしても問題ない。
【0045】
また、パターン切断箇所が切断されることを条件として、ICモジュール17に記録されている情報を消去するプログラムを実行可能なICカード201を提案することができる。具体的には、図16に示すごとく、電圧監視回路部431でたとえばFET43のゲート電圧(図14のA点電圧)を常時モニタする。電圧監視回路部431はモニタした電圧値もしくはその高低をICモジュール17に入力する。カードの所定箇所が切断等されてパターン切断箇所で断線が生じると、FET43のゲート電圧が低下する。電圧監視回路部431からの入力により、ICモジュール17は上記断線を検知するとともに、情報消去用のプログラム(情報消去手段に相当)を起動し、自身が備えるメモリに記録されている個人情報を消去する。このプログラムの実行中においても、ICモジュール17は薄型電池1Aより給電を受ける。このような機能をICカード201に付与することにより、カード廃棄時における情報漏洩の問題を電池の残存電力の問題と併せて解決することが可能となる。
【0046】
なお、ICカード200に内蔵した薄型電池1Aについても、リチウム一次電池だけでなくリチウムイオン二次電池等の他の種類の電池を使用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の電池内蔵カードの一実施形態であるICカードのブロック図。
【図2】図1のICカードの分解斜視図。
【図3】図1のICカードの横断面図。
【図4】図1のICカードの縦断面図。
【図5】切断妨害部材の変形例を示す平面模式図。
【図6】薄型電池の断面図。
【図7】他の一つの薄型電池の断面図。
【図8】本発明の薄型電池の斜視図。
【図9】図8の薄型電池の部分断面模式図。
【図10】切断妨害部材の変形例を示す平面模式図。
【図11】電池内蔵カードの他の実施形態の斜視図。
【図12】同じく電池内蔵カードの他の実施形態の斜視図。
【図13】廃棄対策および切断対策が強化された本発明の電池内蔵カードであるICカードのブロック図。
【図14】図13に示す放電回路部の回路図。
【図15】カードの端を一部切断することにより放電回路部を機能させる実施形態の説明図。
【図16】情報消去機能を持たせたICカードのブロック図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を内蔵したカードと、カードに内蔵するのに適した薄型電池に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、近年普及しつつある非接触型ICカードは電磁誘導による起電力を利用するものが多いが、多機能化を図るために内蔵電源を設ける試みもある。下記特許文献1,2に開示されている電池はペーパー型電池と呼ばれ、ICカードやアクティブ型RFID等への需要拡大が見込まれている。
【特許文献1】特許第2935427号公報
【特許文献2】特開平8−055627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、磁気カードの使用期限が到来した場合、ユーザは磁気カードをハサミで切断して不燃物として廃棄していた。これに対し、ICカードは業者(発行元)が回収する方式が一般化しつつある。ただし、磁気カードと同じようにハサミで切断して廃棄するユーザもいると考えられる。
【0004】
内蔵電源を持たないカードの場合には、情報漏洩の問題を除けば、ハサミで切断して廃棄することに大した問題が無いかもしれない。しかしながら、電池内蔵カードの場合には、カードと一緒に電池が切断される危険性がある。業者による回収が一般的となったとしても、ついついハサミで切断してしまうユーザの存在を完全には否定できない。そのため、電池内蔵カードの安全対策が十分に過ぎることはない。
【0005】
また、電池を内蔵する対象が音声再生機能付きバースデーカードのように重要な個人情報を含まない場合もある。このようなカードの場合は、なおさらユーザが安易に切断および廃棄してしまう可能性がある。
【0006】
本発明の課題は、廃棄対策や切断対策が施された電池内蔵カードと、カードに内蔵するのに適した薄型電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の電池内蔵カードは、薄型電池と、薄型電池を挟んで支持する複数枚のシート状部品からなるカード本体と、カード本体内に薄型電池とともに配置されて、カード本体の切断時に薄型電池が一緒に切断されることを妨げる切断妨害部材と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記本発明は、薄型電池の内蔵箇所の強度を切断妨害部材で強化する点に特徴がある。この特徴によれば、ハサミやカッター等の切断器具でカード本体を切断する際に、切断妨害部材に切断器具の刃が差し掛かると、少なくとも切断器具の刃が先に進み難くなる。この結果、ユーザに対して、薄型電池が入っている部分を切断してはならないことをアピールすることができる。また、切断妨害部材が適度な硬さを持っている場合には、小児等の被監督者が誤って切断することを十分に防ぐことができる。
【0009】
好適な態様において、上記した切断妨害部材は、カード本体の外周縁と薄型電池との間に配置されたものとすることができる。このようにすれば、切断器具の刃は、薄型電池に差し掛かるよりも必ず先に切断妨害部材に接触する。切断器具がスムーズに進まなくなれば、ユーザはカードの切断操作を躊躇ないし諦めることとなる。
【0010】
また、切断妨害部材は、カード本体内で薄型電池を包囲する枠形態、もしくは薄型電池の外周部分に一部または全部が重ね合わさった枠形態をなすものとすることができる。このようにすれば、切断器具の刃が薄型電池の周囲のどの方向から到来したとしても、薄型電池に差し掛かる前に必ず切断妨害部材に接触することになる。
【0011】
ところで、上記のごとき切断妨害部材は、カードの製造時にカード本体に組み込む部品として捉えることもできるし、薄型電池を構成する一部品として捉えることもできる。すなわち、課題を解決するために本発明のカード用薄型電池は、発電作用をもたらす要素を含む電池本体部と、電池本体部よりも薄肉であって、該電池本体部の周囲に形成されて電池本体部内の気密を保持するシール部と、シール部に取り付けられて該シール部の切断困難性を高める切断妨害部材と、を備えたことを主要な特徴とする。
【0012】
他の一つの局面において、本発明の電池内蔵カードは、薄型電池と、薄型電池を挟んで支持する複数枚のシート状部品からなるカード本体とを備え、薄型電池が配置されている箇所を避けてカード本体にマーキングが施されていることを特徴とする。このようなマーキングをカード本体に施すことにより、切断に好適な箇所をユーザに直接示すことができる。
【0013】
具体的に、上記したマーキングは、カード本体の一辺から向かい合う辺に跨って形成された、または一辺から隣接する他辺に跨って形成されたエンボスとすることができる。エンボスに沿ってカードが容易に破断可能であるならば、ユーザはわざわざハサミ等の切断器具でカードを切断しようとは考えない。この結果、薄型電池の内蔵箇所がハサミ等の切断器具で切断されることを防止できる。
【0014】
他の一つの局面において、本発明の電池内蔵カードは、薄型電池と、薄型電池を挟んで支持する複数枚のシート状部品からなるカード本体と、カード本体内において薄型電池に接続し、カード本体の予め定められた位置を切断または破断することを条件として薄型電池の放電を促進する放電回路部と、を備えたことを主要な特徴とする。
【0015】
上記本発明の電池内蔵カードによれば、カードが使用済みとなった場合に、放電回路部を機能させて薄型電池の残存電力を消費することが可能となる。たとえば、カードの隅を僅かに切断することによって、薄型電池の自己放電を小さく抑えるカード使用状態から、該カード使用状態よりも薄型電池の自己放電を高めたカード使用済み状態に変化するように、上記放電回路部を構成することができる。このようにすれば、ユーザは放電回路部の存在を一切意識することなく、薄型電池の完全放電を速めることが可能である。
【0016】
たとえば、負極活物質に金属リチウムを用いたリチウム一次電池の場合、安全上懸念されるのは、アルカリ金属であるリチウムが水と反応して強アルカリである水酸化リチウムを生成することである。強アルカリが目に入ったりすると、目が致命的なダメージを負う可能性がある。しかしながら、負極のリチウムが完全に消費されてしまえば、リチウムと水との反応による水酸化リチウムの生成を防ぐことができる。リチウム一次電池は、自己放電が極めて小さいので単に放置するだけでなく、本発明のごとく、不要となった場合には積極的に放電させるのが好ましい。完全に放電した状態であれば、不燃物として廃棄したときの安全性を十分確保できる。
【0017】
また、カード廃棄時における情報漏洩の問題に対しては、次のような電池内蔵カードを提案することができる。その電池内蔵カードは、薄型電池と、カード本体と、カード本体内において薄型電池から給電を受けるとともに当該電池内蔵カードの外部からアクセスされることに基づいて情報の読書きを行なう記録手段と、カード本体の予め定められた位置を切断することを条件として薄型電池から給電を受けつつ記録手段に記録されている情報を消去する情報消去手段と、を備える。このような電池内蔵カードによれば、カードの一部を切断するという極めて簡単な手順を以って記録手段に記録されている情報を消去したのちに廃棄することが可能であり、ユーザにとって非常に利便性に優れる。
【0018】
なお、本明細書中において“カード”という用語は、クレジットカードやキャッシュカードのような情報記録媒体のみならず、磁気カードのようにICチップを持たないカード、さらには葉書、写真など紙製のカード、方形以外の形状のカードを含む広義の意味で用いる。つまり、特に言及しない限り、“カード”=“薄板状またはシート状のもの”を示す。また、“カード”はハサミまたはカッターを用いて切断することが可能であるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の電池内蔵カードの一実施形態であるICカードのブロック図である。ICカード100は、薄型電池1A、ICモジュール17および表示部19を備える。ICモジュール17は、ICチップ等の電子部品がモジュール化されたものである。薄型電池1Aは、たとえばリチウム一次電池であり、ICモジュール17および表示部19に電力を供給する。また、無線通信によるデータの送受信を行なうためのアンテナコイル部(図示省略)等を設けることにより、ICカード100を非接触型の情報記録媒体として構成することが可能である。
【0020】
図2は図1のICカード100の分解斜視図である。ICカード100は、第1オーバシート31、コアシート33、インナシート35および第2オーバシート37からなるシート状部品群がこの順番に積層されたカード本体39を備える。本実施形態では四層品としているが、第1オーバシート31とコアシート33との間にインナシートをさらに一枚挟んだ五層品としてもよい。カード本体39の内部には、コアシート33の一部をくり貫くことにより、薄型電池1Aおよび切断妨害部材15を収容するためのキャビティ33aが形成されている。切断妨害部材15は、カード本体39の切断時に薄型電池1Aが一緒に切断されることを妨げる役割を担う。
【0021】
図3にICカード100の横断面図、図4に縦断面図を示す。図3および図4に示すごとく、平面視で方形状のキャビティ33aには、薄型電池1Aとともに切断妨害部材15が配置されている。切断妨害部材15は、薄型電池1Aを包囲する大きさの枠形態を有したシート状の部品である。薄型電池1Aの全周を切断妨害部材15で囲うことにより、カード本体39の如何なる方向からハサミを入れた場合であっても、薄型電池1Aに差し掛かるよりも必ず先に切断妨害部材15にハサミの刃が入る。この結果、薄型電池1Aがスムーズに切断されてしまうことを妨害できる。なお、薄型電池1Aと切断妨害部材15は、接着剤でインナシート35に固定されている。薄型電池1Aのリード端子6t,7tは、インナシート35に実装された回路の端子(図示省略)に接続されている。
【0022】
また、図3および図4に示す実施形態においては、切断妨害部材15と薄型電池1Aとが重ならない配置としているが、切断妨害部材15の内周部分が薄型電池1Aの外周部分に重なる配置としてもよい。
【0023】
カード本体39のオーバシート31,37、コアシート33、インナシート35を構成する樹脂素材としては、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET−G(米国イーストマンケミカル社の登録商標)、生分解樹脂、PET(ポリエチレンテレフタラート)などの熱可塑性樹脂を好適に使用できる。PVCは、140℃〜150℃で熱融着可能な樹脂であり、カード基材として一般的である。PET−Gは、PVCのように熱融着可能な非結晶性ポリエステル樹脂である。融着温度が120℃〜130℃とPVCよりも低い、曲げ・捩り耐久性に優れる、燃焼生成ガスがクリーン、といった多くの有利な特徴を持つ。生分解樹脂は、融着温度が130〜140℃と比較的低温でありながら、PET−G同様に焼却処理時に有害ガスの発生がない。さらに、微生物の働きにより、水と二酸化炭素に分解されるため、埋立て処理が可能である。結晶性樹脂であるPETは熱融着性を有さないので、ホットメルト接着剤などの接着剤を用いることが必要である。具体的には、PETシートの片面または両面にホットメルト接着剤層を薄く形成したものを用いることができる。ホットメルト接着剤には、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂を主体とするものを使用できる。なお、以上に示した樹脂には、顔料、難燃剤等の添加剤を適宜加えて使用することができる。
【0024】
これに対し、切断妨害部材15を構成する素材としては、適度な柔軟性を確保でき、尚且つ硬質であることが、ハサミやカッターの刃を入り難くする観点から望ましい。具体的には、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS樹脂)、メタクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびポリイミド樹脂からなるグループより選択される一種の樹脂を、切断妨害部材15の素材として用いることができる。あるいは、上記グループより選択される二種以上の樹脂を含む複合樹脂を用いることができる。
【0025】
また、ガラス、カーボン(DLCなど)、金属、セラミック(アルミナセラミック、窒化珪素セラミック、炭化珪素セラミックなど)およびアラミド繊維のグループより選択される一種または二種以上の強化材料(フィラー)を樹脂基材中に内包した強化プラスチックを好適に用いることができる。上記の強化材料を樹脂基材の表面上に定着させたプラスチック材料を用いることができる。また、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル等の単体金属、あるいは各種ステンレス鋼などの合金を用いることができる。さらに、ボロン繊維、炭化珪素繊維およびアルミナ繊維のグループから選択される一種または二種以上の高強度繊維を用いることができる。ハサミやカッターの刃先が入り込むことを妨げるという目的からすると、切断妨害部材15は、カード本体39のオーバシート31,37、コアシート33、インナシート35を構成する樹脂素材よりも硬質(たとえばビッカース硬さを基準として)の素材で構成されることが望ましい。上記した強化プラスチック、金属および高強度繊維は、こうした要望を満足するので、薄型電池1Aの柔軟性を大きく害さない範囲内での使用が特に推奨される。
【0026】
また、ハサミやカッターの刃先が入り込むことを妨げるという目的からすると、切断妨害部材15の幅は3.0mm以上あることが望ましい。カード内でのスペースの問題もあるので幅10mm以下に抑えるとよい。また、たとえばISO/IEC7810に規定されたICカードの場合、厚さが約0.76mmである。また、ISOカードに限らず、日常に流通しているカードは軒並み1.0mm以下の厚さしかない。したがって、切断妨害部材15の厚さとしては0.3mm以上0.5mm以下に調整することが、カードの美観を損ねないようにする観点から望ましい。
【0027】
また、図4に示すごとく、本実施形態においては、切断妨害部材15の厚さを薄型電池1Aの最大厚さにほぼ等しく調整している。薄型電池1Aは最大厚さを持つ中央部分が外周部分よりも凸となっている場合がある。このような形態の薄型電池1Aは、カードに内蔵する際、凸となった中央部分に荷重が懸かりやすい。本実施形態のごとく、キャビティ33a内での切断妨害部材15の高さを薄型電池1Aの高さに一致させることにより、薄型電池1Aに荷重が集中することを緩和できる。
【0028】
また、枠形態の切断妨害部材15に代えて、図5に示すごとく、薄型電池1Aの周囲に点在する形態で、小片の切断妨害部材151をキャビティ33a内(カード本体33内)に複数配置することが可能である。このような切断妨害部材151によれば、たとえば金属やセラミックのように剛性が高い素材を切断妨害部材151に用いた場合であっても、ICカード100の柔軟性を十分に維持することが可能である。もちろん、枠形態の切断妨害部材15と、点在形態の切断妨害部材151とを併用してもよい。
【0029】
次に、薄型電池1Aについて説明する。図6は、薄型電池1Aであるリチウム一次電池1Aの断面図である。リチウム一次電池1Aは、全体として方形かつ板状であり、シール材としての枠部材2,3、正極活物質層4、正極集電体6、負極活物質層5、負極集電体7およびセパレータ9を備える。正極集電体6および負極集電体7は、それぞれ、シール材としての枠部材2,3の開口を塞ぐように枠部材2,3に固定されてリチウム一次電池1Aの外装材を兼ねている。また、正極集電体6および負極集電体7には、それぞれ、電力取出部として帯状のリード端子(図3参照)が一体形成されている。
【0030】
枠部材2,3は、正極側枠部材2と負極側枠部材3とからなる。正極側枠部材2および負極側枠部材3は向かい合う面で相互に接着されている。枠部材2,3、正極集電体6および負極集電体7によって活物質充填室10が形成され、その活物質充填室10にセパレータ9、正極活物質層4および負極活物質層5を収容することにより電池本体部14が形成されている。また、セパレータ9とは反対側に位置するように、正極集電体6が正極側枠部材2に、負極集電体7が負極側枠部材3にそれぞれ接着されている。これにより、電池本体部14の気密を保持するシール部11が形成されている。セパレータ9の周縁部9kを負極側枠部材3に固定することにより、活物質充填室10を正極活物質層4が配置された正極側と、負極活物質層5が配置された負極側とに分断している。活物質充填室10内において、正極集電体6とセパレータ9との間に正極活物質層4が保持され、負極集電体7とセパレータ9との間に負極活物質層5が保持されている。このような構造とすることにより、集電体6,7をリチウム一次電池1Aの外装材に兼用することができる。
【0031】
図6から理解できるように、電池本体部14は台地状に盛り上がった形状を有している。電池本体部14の厚さとシール部11の厚さが相違するので、シール部11に隣接する電池本体部14の外周部分に段差が形成されている。
【0032】
また、図7に示す構造のリチウム一次電池1Bを、ICカード100に内蔵することができる。薄型電池としてのリチウム一次電池1Bは、発電要素であるセル22と、セル22を包装するラミネート外装材28,29とを備え、全体として方形かつ板状の形態を有する。セル22とラミネート外装材28,29は、台地状に盛り上がった部分である電池本体部24を形成している。また、セル22の一方の主面側を覆う第一ラミネート外装材28と、他方の主面側を覆う第二ラミネート外装材29とが、電池本体部24の周囲において直接結合し、シール部21を形成している。セル22はシート状の形態を有し、正極集電体26、正極活物質層4、セパレータ9、負極活物質層5および負極集電体27がこの順番で積層された発電要素である。正極活物質層4と正極集電体26が正極を構成し、負極活物質層5と負極集電体27がセパレータ9を介して正極に対向する負極を構成する。
【0033】
上記したリチウム一次電池1A,1Bは、予め切断妨害部材を取り付けた状態で、ICカード100の組立に供することができる。図8に示すのは、切断妨害部材25が取り付けられたリチウム一次電池10Aの斜視図である。リチウム一次電池10Aは、図6および図7で説明したリチウム一次電池1A,1Bのシール部11,21に切断妨害部材25を接着固定したものである。切断妨害部材25で補強することにより、シール部11,21には確実に刃が入り難くなる。場合によっては多少の力では刃が入らないようになる。なお、切断妨害部材25を構成する素材等については、先に説明した通りである。
【0034】
図9は図8のB−B断面を部分的に拡大した模式図である。図6および図7で説明したように、シール部11,21は電池本体部14,24よりも薄肉に形成される。切断妨害部材25は、シール部11,21の厚さと電池本体部14,24の厚さとの相違に基づく段差が形成されている主面側において、シール部11,21の上に配置されている。この配置を採用することにより、電池本体部14,24の最大厚さ、ひいてはリチウム一次電池1A,1Bの最大厚さを増加させることなく、あるいは殆んど増加させることなく、カード本体39(図1)の切断時に薄型電池1A,1Bが一緒に切断されることを妨害する効果を得ることができる。
【0035】
また、電池本体部14,24の厚さ(最大厚さ)をD1とし、シール部11,21の厚さと切断妨害部材25の厚さとの合計厚さをD2とすると、図9の実施形態ではD1<D2である。このような関係を満足するように、シール部11,21と、電池本体部14,24と、切断妨害部材25との三者の相対厚さを調整することにより、薄型電池10Aがスムーズに切断されることを妨害する効果と、薄型電池10Aをカード本体39内に収容してカード本体39を加圧したときに電池本体部14,24に荷重が集中することを防ぐ効果との双方を得ることができる。これらの効果は、D1=D2となっている場合でも同程度得ることができる。また、D1>D2となっている場合でも、薄型電池10Aがスムーズに切断されることを妨害する効果は十分に得られる。電池本体部14,24に荷重が集中することを防ぐ効果についても、得ることができないというわけでは無く、効果の度合いが小さいだけである。
【0036】
また、図10に示すごとく、シール部11,21よりも外側に食み出した枠形態の切断妨害部材251をシール部11,21に取り付けることができる。切断妨害部材251は、一部がシール部11,21上に位置し、残部がシール部11,21よりも外側に位置している。また、シート状の部品を切断妨害部材251としてシール部11,21に接着することにより、図10に示すごとく、シール部11,21に沿った断面L字形状の切断妨害部材251を比較的容易に形成することができる。
【0037】
上記のごとく、切断妨害部材251がシール部11,21から食み出している場合、面内方向からハサミ等の切断器具の刃が到来したとしても、刃はシール部11,21よりも前に必ず切断妨害部材251に突き当たる。この結果として、薄型電池10Aがスムーズに切断されることを妨害する効果を得ることができる。こうした効果は、図2〜図4で説明した切断妨害部材15と同様である。また、図10の実施形態によれば、シール部11,21と切断妨害部材251とが密着しているので、デッドスペースが生じ難いという利点もある。なお、“面内方向”とは、薄型電池10Aの主面(最も広い面)に平行な方向を意味する。
【0038】
以上の説明においては、カードの機能等については特に言及していないが、光や音声を発する機能を付加したカード、ディスプレイを搭載したカード、ICを搭載したカード、あるいは複数の機能を併せ持ったカードなど、各種カードに本発明の要旨を適用することが可能である。また、リチウム一次電池1A,1Bの基本構造を踏襲したリチウムイオン二次電池をカード内蔵用の薄型電池としてもよい。
【0039】
(第二実施形態)
図11に示す電池内蔵カードは、薄型電池1Aの内蔵箇所を避けてマーキングが施されたICカード101である。マーキング51は、当該ICカード101に薄型電池1Aが内蔵されていることをユーザに周知させるとともに、薄型電池1Aの内蔵箇所を切断することを避けるように注意を喚起する役割を担う。図11の実施形態において、マーキング51はカード表面に視認可能に記された印刷部分とされる。また、マーキング51は、平面視で方形をなすICカード101の一辺から対向する他辺に跨って形成することができる。このようなマーキング51に沿ってICカード101を切断する場合には、薄型電池1Aに切断器具の刃が掛からず、安全である。
【0040】
図12は、エンボスを形成したICカード102の斜視図である。マーキングとしての役割を担うエンボス53は、図11で説明した実施形態と同様に、対向する二辺に跨る形態で形成されている。このようなエンボス53によれば、ユーザは、使用済みとなったICカード102をエンボス53に沿って折り曲げて安全に切断することが可能である。また、情報漏洩に対する安全性を高めた状態で薄型電池1Aのみを回収することが可能となる。こうした効果は、図11のICカード101でも同様に得られる。さらには、ICモジュール17が内蔵されている部分と、薄型電池1Aが内蔵されている部分とを分離して個別回収するという廃棄形態を採ることが可能となる。なお、エンボス53に代えて、あるいはエンボス53とともにマーキングとして機能する貫通孔を形成してもよい。ICカード102の縦横に列をなして形成された貫通孔は、エンボス53と同様に、ICカード102が安全に切断されることを補助する。
【0041】
(第三実施形態)
図13は電池内蔵カードの他の一つの実施形態のブロック図である。図13に示すごとく、電池内蔵カードとしてのICカード200は、薄型電池1A、ICモジュール17、表示部19および放電回路部41を備える。放電回路部41は、ICカード200が使用済みとなった場合に薄型電池1Aを強制的に完全放電させる機能を提供する。
【0042】
図14は図13に示す放電回路部41の回路図である。放電回路部41は、薄型電池1Aに接続されるICモジュール等の機器(負荷)に対して並列に、抵抗R1および抵抗R2による直列抵抗と、FET43によって通電のオンオフが可能である抵抗R3とを挿入した回路構成を持っている。抵抗R3の一端が電源(薄型電池1Aの正極側端子)に接続され多端はFET43のソースに接続されている。FET43のドレインが接地(薄型電池1Aの負極側端子)されている。
【0043】
薄型電池1Aの容量が十分に残存している状態においては、抵抗R1と抵抗R2の中点Aの電位がFET43のゲートを駆動する。FET43のソース−ドレイン間が遮断され、薄型電池1Aの電力は殆んど機器側に流れる。一方、回路図中に示すパターン切断箇所を切断すると、FET43のゲートがオフに切り替わってFET43のソースとドレインが導通し、抵抗R3が電力消費を開始する。抵抗R1,R2,R3の大きさを適切に調整することにより、パターン切断箇所が繋がっているカード使用時状態における薄型電池1Aの放電は極力抑制する一方で、パターン切断箇所が切断されたカード使用済み状態での消費電力を上記カード使用時状態よりも高め、薄型電池1Aの放電を促進することができる。
【0044】
たとえば図15に示すごとく、ICカード200の隅を折り取ることによってパターン切断箇所で断線するように、放電回路部41の配線パターン41cを工夫することができる。さらに、第二実施形態で説明したマーキングをICカード200の隅に形成しておくことにより、ユーザは不要となったICカード200の隅を折り取りして、薄型電池1Aの放電を促進することができる。また、ICカード200の一部にハサミ等の切断器具で切り込みを入れることにより、パターン切断箇所で断線するようにしてもよい。ハサミ等で切れ込みを入れる位置は、マーキングによって記すことができる。また、薄型電池1Aが小容量の場合(たとえば50mAh以下)には、抵抗R3を省略して薄型電池1Aの正極と負極とをFET43を介してショートさせるようにしても問題ない。
【0045】
また、パターン切断箇所が切断されることを条件として、ICモジュール17に記録されている情報を消去するプログラムを実行可能なICカード201を提案することができる。具体的には、図16に示すごとく、電圧監視回路部431でたとえばFET43のゲート電圧(図14のA点電圧)を常時モニタする。電圧監視回路部431はモニタした電圧値もしくはその高低をICモジュール17に入力する。カードの所定箇所が切断等されてパターン切断箇所で断線が生じると、FET43のゲート電圧が低下する。電圧監視回路部431からの入力により、ICモジュール17は上記断線を検知するとともに、情報消去用のプログラム(情報消去手段に相当)を起動し、自身が備えるメモリに記録されている個人情報を消去する。このプログラムの実行中においても、ICモジュール17は薄型電池1Aより給電を受ける。このような機能をICカード201に付与することにより、カード廃棄時における情報漏洩の問題を電池の残存電力の問題と併せて解決することが可能となる。
【0046】
なお、ICカード200に内蔵した薄型電池1Aについても、リチウム一次電池だけでなくリチウムイオン二次電池等の他の種類の電池を使用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の電池内蔵カードの一実施形態であるICカードのブロック図。
【図2】図1のICカードの分解斜視図。
【図3】図1のICカードの横断面図。
【図4】図1のICカードの縦断面図。
【図5】切断妨害部材の変形例を示す平面模式図。
【図6】薄型電池の断面図。
【図7】他の一つの薄型電池の断面図。
【図8】本発明の薄型電池の斜視図。
【図9】図8の薄型電池の部分断面模式図。
【図10】切断妨害部材の変形例を示す平面模式図。
【図11】電池内蔵カードの他の実施形態の斜視図。
【図12】同じく電池内蔵カードの他の実施形態の斜視図。
【図13】廃棄対策および切断対策が強化された本発明の電池内蔵カードであるICカードのブロック図。
【図14】図13に示す放電回路部の回路図。
【図15】カードの端を一部切断することにより放電回路部を機能させる実施形態の説明図。
【図16】情報消去機能を持たせたICカードのブロック図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型電池(1A)と、
前記薄型電池(1A)を挟んで支持する複数枚のシート状部品(31,33,35,37)からなるカード本体(39)と、
前記カード本体(39)内に前記薄型電池(1A)とともに配置されて、前記カード本体(39)の切断時に前記薄型電池(1A)が一緒に切断されることを妨げる切断妨害部材(15)と、
を備えたことを特徴とする電池内蔵カード(100)。
【請求項2】
前記切断妨害部材(15)が前記カード本体(39)の外周縁と前記薄型電池(1A)との間に配置されている請求項1記載の電池内蔵カード(100)。
【請求項3】
前記切断妨害部材(15)は、前記カード本体(39)内で前記薄型電池(1A)を包囲する枠形態、もしくは前記薄型電池(1A)の外周部分に一部または全部が重ね合わさった枠形態をなすものである請求項1または2記載の電池内蔵カード(100)。
【請求項4】
前記切断妨害部材(15)が下記(a)(b)(c)(d)のいずれかの素材で構成された請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電池内蔵カード(100)。
(a)フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびポリイミド樹脂からなるグループより選択される一種の樹脂、または上記グループより選択される二種以上の樹脂を含む複合樹脂。
(b)ガラス、カーボン、金属、セラミックおよびアラミド繊維のグループより選択される一種または二種以上の強化材料を樹脂基材中に内包した強化プラスチック、もしくは同強化材料を樹脂基材の表面上に定着させた強化プラスチック。
(c)単体金属または合金。
(d)ボロン繊維、炭化珪素繊維およびアルミナ繊維のグループから選択される高強度繊維。
【請求項5】
発電作用をもたらす要素(4,5,6,7,9)を含む電池本体部(14)と、
前記電池本体部(14)よりも薄肉であって、該電池本体部(14)の周囲に形成されて電池本体部(14)内の気密を保持するシール部(11)と、
前記シール部(11)に取り付けられて該シール部(11)の切断困難性を高める切断妨害部材(25)と、
を備えたことを特徴とするカード用薄型電池(10A)。
【請求項6】
前記電池本体部(14)の最大厚さをD1とし、前記シール部(11)と前記切断妨害部材(25)との合計厚さをD2としたとき、D1≦D2を満足する請求項5記載のカード用薄型電池(10A)。
【請求項7】
薄型電池(1A)と、前記薄型電池(1A)を挟んで支持する複数枚のシート状部品(31,33,35,37)からなるカード本体(39)とを備え、前記薄型電池(1A)が配置されている箇所を避けて前記カード本体(39)にマーキング(51,53)が施されていることを特徴とする電池内蔵カード(101,102)。
【請求項8】
前記マーキング(53)が前記カード本体(39)の一辺から向かい合う辺に跨って形成された、または一辺から隣接する他辺に跨って形成されたエンボス(53)である請求項7記載の電池内蔵カード(102)。
【請求項9】
薄型電池(1A)と、前記薄型電池(1A)を挟んで支持する複数枚のシート状部品(31,33,35,37)からなるカード本体(39)と、前記カード本体(39)内において前記薄型電池(1A)に接続し、前記カード本体(39)の予め定められた位置を切断することを条件として前記薄型電池(1A)の放電を促進する放電回路部(41)と、を備えたことを特徴とする電池内蔵カード(200,201)。
【請求項10】
薄型電池(1A)と、前記薄型電池(1A)を挟んで支持する複数枚のシート状部品(31,33,35,37)からなるカード本体(39)と、前記カード本体(39)内において前記薄型電池(1A)から給電を受けるとともに当該電池内蔵カード(201)の外部からアクセスされることに基づいて情報の読書きを行なう記録手段(17)と、前記カード本体(39)の予め定められた位置を切断することを条件として前記薄型電池(1A)から給電を受けつつ前記記録手段(17)に記録されている情報を消去する情報消去手段(17,41)と、を備えたことを特徴とする電池内蔵カード(201)。
【請求項1】
薄型電池(1A)と、
前記薄型電池(1A)を挟んで支持する複数枚のシート状部品(31,33,35,37)からなるカード本体(39)と、
前記カード本体(39)内に前記薄型電池(1A)とともに配置されて、前記カード本体(39)の切断時に前記薄型電池(1A)が一緒に切断されることを妨げる切断妨害部材(15)と、
を備えたことを特徴とする電池内蔵カード(100)。
【請求項2】
前記切断妨害部材(15)が前記カード本体(39)の外周縁と前記薄型電池(1A)との間に配置されている請求項1記載の電池内蔵カード(100)。
【請求項3】
前記切断妨害部材(15)は、前記カード本体(39)内で前記薄型電池(1A)を包囲する枠形態、もしくは前記薄型電池(1A)の外周部分に一部または全部が重ね合わさった枠形態をなすものである請求項1または2記載の電池内蔵カード(100)。
【請求項4】
前記切断妨害部材(15)が下記(a)(b)(c)(d)のいずれかの素材で構成された請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電池内蔵カード(100)。
(a)フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂およびポリイミド樹脂からなるグループより選択される一種の樹脂、または上記グループより選択される二種以上の樹脂を含む複合樹脂。
(b)ガラス、カーボン、金属、セラミックおよびアラミド繊維のグループより選択される一種または二種以上の強化材料を樹脂基材中に内包した強化プラスチック、もしくは同強化材料を樹脂基材の表面上に定着させた強化プラスチック。
(c)単体金属または合金。
(d)ボロン繊維、炭化珪素繊維およびアルミナ繊維のグループから選択される高強度繊維。
【請求項5】
発電作用をもたらす要素(4,5,6,7,9)を含む電池本体部(14)と、
前記電池本体部(14)よりも薄肉であって、該電池本体部(14)の周囲に形成されて電池本体部(14)内の気密を保持するシール部(11)と、
前記シール部(11)に取り付けられて該シール部(11)の切断困難性を高める切断妨害部材(25)と、
を備えたことを特徴とするカード用薄型電池(10A)。
【請求項6】
前記電池本体部(14)の最大厚さをD1とし、前記シール部(11)と前記切断妨害部材(25)との合計厚さをD2としたとき、D1≦D2を満足する請求項5記載のカード用薄型電池(10A)。
【請求項7】
薄型電池(1A)と、前記薄型電池(1A)を挟んで支持する複数枚のシート状部品(31,33,35,37)からなるカード本体(39)とを備え、前記薄型電池(1A)が配置されている箇所を避けて前記カード本体(39)にマーキング(51,53)が施されていることを特徴とする電池内蔵カード(101,102)。
【請求項8】
前記マーキング(53)が前記カード本体(39)の一辺から向かい合う辺に跨って形成された、または一辺から隣接する他辺に跨って形成されたエンボス(53)である請求項7記載の電池内蔵カード(102)。
【請求項9】
薄型電池(1A)と、前記薄型電池(1A)を挟んで支持する複数枚のシート状部品(31,33,35,37)からなるカード本体(39)と、前記カード本体(39)内において前記薄型電池(1A)に接続し、前記カード本体(39)の予め定められた位置を切断することを条件として前記薄型電池(1A)の放電を促進する放電回路部(41)と、を備えたことを特徴とする電池内蔵カード(200,201)。
【請求項10】
薄型電池(1A)と、前記薄型電池(1A)を挟んで支持する複数枚のシート状部品(31,33,35,37)からなるカード本体(39)と、前記カード本体(39)内において前記薄型電池(1A)から給電を受けるとともに当該電池内蔵カード(201)の外部からアクセスされることに基づいて情報の読書きを行なう記録手段(17)と、前記カード本体(39)の予め定められた位置を切断することを条件として前記薄型電池(1A)から給電を受けつつ前記記録手段(17)に記録されている情報を消去する情報消去手段(17,41)と、を備えたことを特徴とする電池内蔵カード(201)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−318074(P2006−318074A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138010(P2005−138010)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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