電池包装体
【課題】柔軟性に優れた薄型電池に対する水蒸気バリア性を確保する。
【解決手段】シート状の電極群と、非水電解質と、電極群と非水電解質とを密閉収納する第1外装体と、を含む薄型電池と、薄型電池を密閉収納する第2外装体と、を含み、電極群は、第1集電体シートおよびその表面に付着した第1活物質層を含む第1電極と、第2集電体シートおよびその表面に付着した第2活物質層を含む第2電極と、第1活物質層と第2活物質層との間に介在する、非水電解質を含む電解質層と、具備し、第1外装体の引張弾性率は、10〜100MPaであり、第2外装体の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の環境において、0.001g/m2・day以下である、電池包装体。
【解決手段】シート状の電極群と、非水電解質と、電極群と非水電解質とを密閉収納する第1外装体と、を含む薄型電池と、薄型電池を密閉収納する第2外装体と、を含み、電極群は、第1集電体シートおよびその表面に付着した第1活物質層を含む第1電極と、第2集電体シートおよびその表面に付着した第2活物質層を含む第2電極と、第1活物質層と第2活物質層との間に介在する、非水電解質を含む電解質層と、具備し、第1外装体の引張弾性率は、10〜100MPaであり、第2外装体の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の環境において、0.001g/m2・day以下である、電池包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の電極群と、非水電解質と、これらを密閉収納する第1外装体と、を含む薄型電池と、薄型電池を密閉収納する第2外装体と、を含む、電池包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、音声録音再生装置、腕時計、動画および静止画撮影機、液晶ディスプレイ、電卓、ICカード、温度センサ、補聴器、および感圧ブザーのような小型の電子機器の電源として、薄型電池が用いられている。
【0003】
生体に接触した状態で作動するデバイス(生体貼付型装置)にも、薄型電池が用いられている。このようなデバイスとして、所定の電位を与えると、生体外皮を通して体内へ薬剤を供給するイオントフォレシス経皮投薬装置等が開発されている。また、体温、血圧、および脈拍のような生体情報を測定する測定回路と、測定された生体情報をチェックする監視部と、生体情報に関する電波信号を病院および消防のような施設へ送信する無線送信回路と、を備えたシート状の生体情報測定発信装置が開発されている。利用者の健康上の異変を示す生体情報が得られた場合、生体情報は自動的に病院等に伝達される。
【0004】
上記の小型の電子機器およびデバイスの更なる小型化に伴い、薄型電池の更なる薄型化が求められている。このような要求に対して、外装体に、薄くかつ柔軟なラミネートフィルムを用いた薄型電池が検討されている(特許文献1)。ラミネートフィルムは、金属箔、およびその両面に形成された樹脂層からなる。このような薄型電池では、袋状のラミネートフィルムからなる外装体に、正極、負極、および正極と負極との間に配された電解質層を含むシート状の電極群が収納されている。一般に、電極群には一対のリードが接続され、それらの一部は、外部端子として、外装体の封止部より外部へ露出している。
【0005】
ラミネートフィルムからなる外装体の代わりに、樹脂のベースフィルムと可撓性無機材料層とからなる薄型電池用のパッケージを用いることも提案されている(特許文献2)。無機材料層に、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等を用いることで、比較的シール性に優れたパッケージを安価で提供することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−285881号公報
【特許文献2】特開平6−231739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の外装体やパッケージを用いた薄型電池は、電池の厚さを可能な限り低減しているにも関わらず、様々な外力が加えられる可能性のある小型電子機器に適用することを考慮すると、柔軟性が十分であるとはいえない。例えば、生体貼付型装置のように厚さを低減した電子機器の場合、電子機器の容積の相当な部分は薄型電池により占められている。このような電子機器を生体に接触させたとき、薄型電池の柔軟性が不十分であると、良好な装着感が得られず、電子機器の使用者に不快感を与えることになる。そこで、薄型電池の柔軟性の更なる向上が求められている。
【0008】
薄型電池の柔軟性を向上させるために、外装体の厚さを極限まで小さくすることも考えられる。しかし、外装体は、電池の構成要素を外気から保護する役割を果たすことが必要であり、特に水蒸気に対するバリア性が要求される。高い柔軟性を得るために外装体の厚さを小さくしすぎると、必要な水蒸気バリア性を確保することが困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記を鑑み、本発明は、シート状の電極群と、非水電解質と、前記電極群と前記非水電解質とを密閉収納する第1外装体と、を含む薄型電池と、前記薄型電池を密閉収納する第2外装体と、を含み、前記電極群は、第1集電体シートおよびその表面に付着した第1活物質層を含む第1電極と、第2集電体シートおよびその表面に付着した第2活物質層を含む第2電極と、前記第1活物質層と前記第2活物質層との間に介在する、前記非水電解質を含む電解質層と、具備し、前記第1外装体の引張弾性率は、10〜100MPaであり、前記第2外装体の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の環境において、0.001g/m2・day以下である、電池包装体に関する。
【0010】
本発明の電池包装体は、一局面において、前記薄型電池からの電力供給により駆動される電子機器を具備する。この場合、前記第2外装体は、前記薄型電池とともに前記電子機器を密閉収納する。
【0011】
第1外装体の引張弾性率を10〜100MPaに設定することにより、薄型電池の柔軟性が向上し、人体に対する装着感が大きく改善される。第2外装体の水蒸気透過率を、温度40℃、相対湿度90%の環境において、0.001g/m2・day以下とすることにより、十分なバリア性が確保される。薄型電池を使用する際には、第2外装体を開封して、薄型電池や電子機器を取り出して使用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第2外装体により十分な水蒸気バリア性が確保されるため、第1外装体に高度な水蒸気バリア性を付与する必要がない。よって、第1外装体の引張弾性率を10〜100MPaまで小さくすることができ、その結果、薄型電池の柔軟性を十分に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る第1外装体または第2外装体を形成するラミネートフィルムの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る薄型電池(図3)のII−II線概略断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る薄型電池の上面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電池包装体(図5)のIV−IV線概略断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る電池包装体の上面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る薄型電池の概略断面図である。
【図7】生体情報測定装置を具備する電池−電子機器接合体の一例を示す斜視図である。
【図8】変形させた同接合体の外観の一例を示す斜視図である。
【図9】イオントフォレシス経皮投薬装置の一例を概念的に示す上面図である。
【図10】同イオントフォレシス経皮投薬装置(図9)のX−X線概略断面図である。
【図11】同イオントフォレシス経皮投薬装置に薄型電池を一体化させた電池ー電子機器接合体の一例の図10に対応する断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る電池包装体の上面図である。
【図13】本発明の更に他の実施形態に係る電池包装体の上面図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る電池−電子機器接合体の回路図である。
【図15】負荷がイオントフォレシス経皮投薬装置である場合の第1回路の回路図の一例である。
【図16】強制放電作動スイッチを具備する電池−電子機器接合体の一例およびそれを強制放電させる際の手順を示す図である。
【図17】強制放電作動スイッチを具備する電池の一例を示す上面図である。
【図18】押しボタン式の強制放電作動スイッチの一例の第1SW端子と第2SW端子が離間した状態(a)から接触した状態(b)への動作を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の電池包装体は、シート状の電極群と、非水電解質と、電極群と非水電解質とを密閉収納する第1外装体と、を含む薄型電池(以下、単に電池とも称する)と、電池を密閉収納する第2外装体と、を含む。ここで、電極群は、第1集電体シートおよびその表面に付着した第1活物質層を含む第1電極と、第2集電体シートおよびその表面に付着した第2活物質層を含む第2電極と、第1活物質層と第2活物質層との間に介在する、非水電解質を含む電解質層と、具備する。すなわち、薄型電池は、一次または二次の非水電解質電池である。第1外装体の引張弾性率は、10〜100MPaであり、第2外装体の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の環境において、0.001g/m2・day以下である。
【0015】
電極群の厚さを低減した薄型電池においては、外装体の柔軟性が電池全体の柔軟性の向上に与える影響を無視できない。電極群と非水電解質(すなわち発電要素)を密閉収納する第1外装体の引張弾性率を10〜100MPaに設定することにより、電池の柔軟性が向上し、人体に対する装着感が大きく改善される。また、外装体として必要な強度を維持できる。柔軟性の点では、第1外装体の引張弾性率は小さいほど望ましく、例えば90MPa以下が望ましく、80MPa以下がより好ましく、50MPa以上がさらに好ましい。ただし、耐屈曲性のような機械的強度を考慮すると、10MPa以上が望ましく、15MPa以上がより好ましく、20MPa以上がさらに好ましい。なお、これらの上限および下限は、任意に組み合わせて引張弾性率の範囲を設定できる。
【0016】
ただし、このような第1外装体は、水蒸気に対するバリア性が従来のラミネートフィルムやパッケージよりも低くなる傾向がある。この点については、薄型電池を密閉収納する第2外装体の水蒸気透過率を、温度40℃、相対湿度90%の環境において、0.001g/m2・day以下とすることにより、十分なバリア性が確保される。
【0017】
第2外装体は、使用されない期間中の電池を外気から保護する役割を有する。従って、第2外装体の水蒸気透過率は、低いほど望ましく、例えば0.0005g/m2・day以下が好ましく、0.0001g/m2・day以下がより好ましく、0.00005g/m2・day以下がさらに好ましく、当然、0g/m2・dayでもよい。
【0018】
本発明の電池包装体は、薄型電池からの電力供給により駆動される電子機器を具備することができる。電子機器は、薄型電池とともに、第2外装体により密閉収納すればよい。この場合、薄型電池と電子機器とが、一体となってシート化されている形態が好ましい。このような電子機器として、例えば、生体情報測定装置やイオントフォレシス経皮投薬装置が挙げられる。薄型電池と電子機器とが一体化されたシート状の物品を、以下、電池−電子機器接合体または電池デバイスとも称する。シート状の電池−電子機器接合体または電池デバイスは、それ自体も柔軟性を有するように構成される。
【0019】
電池または電池−電子機器接合体を使用する際には、第2外装体を開封して、電池または接合体を取り出して使用する。電池または電池−電子機器接合体の使用期間は、電池包装体の流通および保存に供される期間に比べて短いため、第1外装体は、適度なバリア性を有すればよく、高度なバリア性を要しない。電池または電池−電子機器接合体の使用期間としては、例えば、50時間以下または200時間以下が想定される。
【0020】
電池または電池−電子機器接合体の比較的短い使用期間中であっても、外気が電池の発電要素に与える影響は、できるだけ排除することが望ましい。そのような観点から、第1外装体の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の環境において、2g/m2・day以下であることが好ましく、1g/m2・day以下であることが更に好ましく、0.3g/m2・day以下がより好ましく、0.1g/m2・day以下が特に好ましく、当然、0g/m2・dayでもよい。
【0021】
第1外装体は、耐屈曲性に優れた柔軟性の高いシート状材料で構成される。第1外装体の構造は、特に限定されないが、例えば、水蒸気バリア層およびその両面に形成された樹脂層を含む。バリア層を有する第1外装体を用いることにより、電池または電池−電子機器接合体の使用期間中における外気の影響(水蒸気が電池の発電要素に与える影響)を、効果的に低減することができる。
【0022】
第2外装体の材料は、特に限定されない。ただし、第2外装体も、耐屈曲性に優れた柔軟性の高いシート状材料で構成することが、開封し易く、取り扱いも容易であり、使用者にとって便利である。従って、第1外装体と同様に、バリア層およびその両面に形成された樹脂層を含むシート状材料を用いることが好ましい。
【0023】
第2外装体の引張弾性率は、特に限定されないが、十分な水蒸気バリア性と外装体としての強度を両立させる観点から、例えば300MPa以上の引張弾性率を有することが好ましい。ただし、上記のように、開封や取り扱いの容易さを確保する観点から、2000MPa以下とすることが好ましく、1000MPa以下とすることがより好ましい。
【0024】
好ましい一形態において、第2外装体は、第1外装体の5倍〜200倍の引張弾性率を有する。また、好ましい一形態において、第1外装体は、第2外装体の5倍〜10000倍の水蒸気透過率を有する。
【0025】
薄型電池の厚さは、特に限定されないが、柔軟性および人体に対する装着感を考慮すると、1mm以下、さらには0.7mm以下であることが好ましい。シート状の電池−電子機器接合体の厚さは、薄型電池よりも多少厚くなる場合もあるが、同様の観点から、1mm以下であることが好ましい。ただし、薄型電池および電池−電子機器接合体の厚さは、いずれも5mm程度以下であれば、比較的良好な装着性が得られる場合もある。なお、これらの厚さを50μm未満にすることは技術的に困難であるから、厚さの下限は50μmである。
【0026】
薄型電池が、一次電池である場合(あるいは二次電池である場合でも)、電池または電池−電子機器接合体の使用後は、これを廃棄することとなる。その際、電池に電力が残存していると、予想外の外部短絡が生じたり、電池が破損したりした場合に不都合である。そこで、使用後の電池を強制放電させることが望ましい。そのような強制放電は、例えば、電池または電池−電子機器接合体に、強制放電作動スイッチを設けることにより達成可能となる。強制放電作動スイッチは、例えば、前記第1電極と前記第2電極とが外部短絡した状態と、前記第1電極と前記第2電極とが外部短絡していない状態と、を切り替えるスイッチであればよい。すなわち、第1電極と第2電極との接続(電気的接続)を開状態から閉状態に変換して第1電極と第2電極とを外部短絡させるスイッチであればよい。
【0027】
強制放電作動スイッチは、例えば、第1電極と電気的に接続された第1SW端子と、第2電極と電気的に接続された第2SW端子とを具備する。第1電極と第1SW端子は、第1経路により電気的に接続される。第2電極と第2SW端子は、第2経路により電気的に接続される。第1SW端子と第2SW端子とが電気的に接続されることで、外部短絡回路が形成される。これらの経路の一部および/または強制放電作動スイッチの各端子は、電池と一体化されている電子機器に設けてもよい。第1経路および第2経路は、様々な導電性材料により形成することができる。
【0028】
電極群の構造は、特に限定されないが、シート化するのに適した電極が用いられる。
好ましい一形態において、電極群は、第1集電体シートおよびその一方の表面に付着した第1活物質層を含む第1電極、第2集電体シートおよびその一方の表面に付着した第2活物質層を含む第2電極、ならびに第1活物質層と第2活物質層との間に介在する電解質層を含む。そして、第1集電体シートの他方の表面および第2集電体シートの他方の表面は、それぞれ第1外装体の内面と接している。
【0029】
このような電極群は、基本的に、1枚の第1電極と、1枚の第2電極とを、貼り合わせた構造、すなわち、正極と電解質層と負極からなる三層構造(あるいは、正極集電体シートと正極活物質層と電解質層と負極活物質層と負極集電体シートからなる五層構造)を有する。ただし、本発明は、両端の正極と負極の間に、さらに、少なくとも1つの正極および少なくとも1つの負極を含む電極群を具備する薄型電池を排除するものではない。
【0030】
好ましい他の一形態において、電極群は、第1集電体シートおよびその一方の表面に付着した第1活物質層を含む、一対の第1電極、第2集電体シートおよびその両面に付着した第2活物質層を含む第2電極、ならびに第1活物質層と第2活物質層との間に介在する電解質層を含む。そして、一対の第1集電体シートの他方の表面は、それぞれ外装体の内面と接している。
【0031】
このような電極群は、基本的に、1枚の第2電極を、一対の第1電極で挟んだ構造、すなわち、最外層の一対の第1電極と、内層の第2電極と、第1電極と第2電極との間に介在する2層の電解質層からなる五層構造を有する。ただし、本発明は、さらに、少なくとも1つの追加の第1電極および少なくとも1つの追加の第2電極を含む五層を超える構造の電極群を具備する薄型電池を排除するものではない。また、場合によっては、1つの第1電極および1つの第2電極を重ねて偏平形状に捲回してなる電極群を具備する薄型電池を排除するものでもない。
【0032】
第1活物質層または第2活物質層が負極活物質層である場合、負極活物質層は、負極活物質、結着剤および必要に応じて導電剤を含む合剤層でもよく、蒸着のような気相法で形成される堆積膜でもよく、金属シートでもよい。合剤層に含ませる負極活物質としては、炭素材料(例えば黒鉛)、ケイ素合金、ケイ素酸化物などが挙げられる。堆積膜としては、ケイ素合金膜、ケイ素酸化物膜などが挙げられる。金属シートとしては、シート状のリチウム金属またはリチウム合金を用いることができる。負極活物質層の厚みは、例えば1〜200μmであることが好ましい。
【0033】
なお、上記の強制放電スイッチは、負極活物質層が、金属リチウムまたはリチウム合金を含む場合には、安全性の向上の観点から、電池または電池−電子機器接合体に組み込むことが特に望ましい。負極集電体シートとの密着力を高める観点から、シート状のリチウム金属またはリチウム合金の厚みは、10〜100μmであることが好ましい。厚みを100μm以下とすることで、負極活物質層が優れた柔軟性を維持することができ、電池の屈曲時に負極集電体シートからの負極活物質層の剥離が高度に抑制される。負極活物質層の厚みを10μm以上とすることで、エネルギー密度の高い電池を得やすくなる。ここで、負極活物質層の厚みは、未放電状態時または充電状態の厚みである。
【0034】
第1集電体シートまたは第2集電体シートが負極集電体シートである場合、負極集電体シートには、金属フィルム、金属箔などが用いられる。負極集電体シートは、負極活物質と合金を形成せず、電子伝導性に優れていることが好ましい。よって、負極集電体シートは、銅、ニッケル、チタンおよびこれらの合金ならびにステンレス鋼からなる群より選ばれる少なくとも1種の箔であることが好ましい。負極集電体シートの厚みは、例えば5〜30μmであることが好ましい。負極集電体シートの厚みを5μm以上とすることで、負極集電体シートは優れた強度を維持することができる。負極集電体シートの厚みを30μm以下とすることで、負極集電体に、より高い柔軟性を付与することができ、屈曲時に負極集電体シートに大きなストレスが発生しにくくなる。
【0035】
第1活物質層または第2活物質層が正極活物質層である場合、正極活物質層は、正極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とを含む合剤層でもよく、蒸着のような気相法で形成される堆積膜でもよい。正極活物質は、特に限定されないが、例えば、二酸化マンガン、フッ化カーボン(フッ化黒鉛)、リチウム含有複合酸化物、金属硫化物および有機硫黄化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。正極活物質層の厚みは、例えば1〜300μmであることが好ましい。
【0036】
一次電池の正極活物質としては、(CFw)m(式中、mは1以上の整数であり、0<w≦1)で表されるフッ化黒鉛や、二酸化マンガンが適している。二次電池の正極活物質としては、リチウム含有複合酸化物、例えば、LixaCoO2、LixaNiO2、LixaMnO2、LixaCoyNi1-yO2、LixaCoyM1-yOz、LixaNi1-yMyOz、LixbMn2O4、LixbMn2-yMyO4などが適している。ここで、Mは、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、SbおよびBよりなる群から選ばれる少なくとも1つの元素であり、xa=0〜1.2、xb=0〜2、y=0〜0.9、z=2〜2.3である。xaおよびxbは、充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
【0037】
第1集電体シートまたは第2集電体シートが正極集電体シートである場合、正極集電体シートには、金属フィルム、金属箔、金属繊維の不織布のような金属材料が用いられる。正極集電体シートは、例えば、銀、ニッケル、パラジウム、金、白金、アルミニウムおよびこれらの合金ならびにステンレス鋼からなる群より選ばれる少なくとも1種の箔であることが好ましい。正極集電体シートの厚さは、例えば1〜30μmであることが好ましい。
【0038】
次に、図1を参照して、第1外装体および第2外装体に適用し得る、バリア層およびその両面に形成された樹脂層を具備するシート状材料(ラミネートフィルム)について詳しく説明する。
ラミネートフィルム8は、無機材料層(バリア層)8aと、バリア層8aの一方の面に接着された第1の樹脂フィルム8bと、バリア層8aの他方の面に接着された第2の樹脂フィルム8cとを含む積層体である。
【0039】
バリア層8aの形成に用いられる無機材料は、特に限定されないが、バリア性能、強度、耐屈曲性などの点で、金属層、セラミックス層などを用いることが好適である。また、リチウム基準(vs.Li+/Li)で、3ボルト以上の耐電圧を有するバリア層を形成しうる無機材料が好ましい。具体的には、例えば、アルミニウム,チタン,ニッケル,鉄,白金,金,銀等の金属材料や、酸化ケイ素,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム等の無機酸化物材料が好ましい。耐電圧に優れたバリア層を形成することにより、バリア層の酸化等による破損を抑制することができる。これらの中では、得られるラミネートフィルムの可撓性とバリア性とのバランスに優れる点から、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素が特に好ましく、製造コストが低い点からはアルミニウムが特に好ましい。
【0040】
第1外装体のバリア層の厚さは、第1外装体の柔軟性を確保する観点からは、薄いほど望ましく、例えば35μm未満が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。ただし、薄型電池または電池−電子機器接合体の使用期間中のバリア性を確保する観点からは、例えば0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.05μm以上がさらに好ましい。なお、これらの上限および下限は、任意に組み合わせて厚さの範囲を設定できる。例えば、第1外装体では、厚さ0.01〜0.1μmのバリア層が好ましい。
【0041】
一方、第2外装体のバリア層の厚さは、第1外装体のバリア層よりも、バリア性に優れている必要がある。これは、電池包装体の流通および保存に供される期間が比較的長いためである。従って、第2外装体のバリア層の厚さは、比較的厚いことが望ましく、例えば35μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましく、45μm以上がさらに好ましい。ただし、使用者にとって取り扱い易い柔軟性を確保する観点から、第2外装体のバリア層の厚さは、例えば200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、60μm以下がさらに好ましい。なお、これらの上限および下限は、任意に組み合わせて厚さの範囲を設定できる。例えば、第2外装体では、厚さ35〜100μmのバリア層が好ましい。
【0042】
厚さ0.01〜1μmのバリア層を有する第1外装体として好適なラミネートフィルムは、第1の樹脂フィルム8bの一面に、厚みが0.01〜1μmの無機材料の蒸着層8aを形成し、さらに、第2の樹脂フィルム8cをラミネートすることにより製造される。蒸着層8aは、平均厚さが0.01〜1μmになるように無機材料を堆積させることにより形成される。蒸着法の具体例としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法、溶射法等が挙げられる。これらの中では、真空蒸着法が特に好ましく用いられる。
【0043】
蒸着層の平均的な厚さは、好ましくは0.01〜1μm、さらに好ましくは0.02〜0.3μmである。蒸着層の平均的な厚さを0.1μm以下とすることで、ラミネートフィルムは可撓性に特に優れたものとなり、その結果、電池の可撓性も高くなる。また、蒸着層の平均的な厚さを0.01μm以上とすることで、第1外装体に要求される程度のバリア性を十分に確保することができる。
【0044】
厚さ40〜100μmのバリア層を有する第2外装体として好適なラミネートフィルムは、例えば、厚みが40〜100μmの金属箔8aを、第1の樹脂フィルム8bと、第2の樹脂フィルム8cとで、挟んで、ラミネートすることにより製造される。
【0045】
熱溶着の容易さ、耐電解質性および耐薬品性の観点から、第1外装体および第2外装体の内面側に配置される樹脂フィルムの材料は、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などであることが好ましい。また、同様の観点から、内面側の樹脂フィルムの厚さは、10〜100μm、さらには10〜50μmであることが好ましい。
【0046】
強度、耐衝撃性および耐薬品性の観点から、第1外装体および第2外装体の外面側に配置される樹脂フィルムは、6,6−ナイロン、6−ナイロンのようなポリアミド(PA)、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステルなどが好ましい。また、同様の観点から、外面側の樹脂フィルムの厚さは、5〜100μm、さらには10〜50μmであることが好ましい。
【0047】
具体的には、第1外装体および第2外装体としては、PP/Al箔/PAのラミネートフィルム、PP/Al箔/PPのラミネートフィルム、PE/Al箔/PEのラミネートフィルム、酸変性PP/PET/Al箔/PETのラミネートフィルム、酸変性PE/PA/Al箔/PETのラミネートフィルム、アイオノマー樹脂/Ni箔/PE/PETのラミネートフィルム、EVA/PE/Al箔/PETのラミネートフィルム、アイオノマー樹脂/PET/Al箔/PETのラミネートフィルムが挙げられる。
【0048】
ラミネートフィルムの全厚は、例えば15〜300μmであり、30〜150μmであることが好ましい。ラミネートフィルムの全厚が上記範囲であれば、第1外装体および第2外装体に要求される様々な性能を十分に確保することができ、薄型電池や電池包装体の厚さを小さく維持することも容易である。
【0049】
次に、本発明の一実施形態に係る薄型電池について、図2、3を参照しながら説明する。
図2は、薄型電池21の概略断面図である。図3は、電池21の上面図である。図2は、図3のII−II線断面図に相当する。電池21は、電極群13と、電極群13を収納する第1外装体8とを備える。電極群13は、負極11、正極12、および負極11と正極12との間に介在する電解質層7を具備する。負極11は、負極集電体シート1および負極集電体シート1の一方の表面に付着した負極活物質層2を有する。正極12は、正極集電体シート4および正極集電体シート4の一方の表面に付着した正極活物質層5を有する。負極11および正極12は、電解質層7を介して、正極活物質層5と負極活物質層2とが向かい合うように配置されている。負極集電体シート1には負極リード3が接続され、正極集電体シート4には正極リード6が接続されている。負極リード3および正極リード6の一部は、第1外装体8から外部へ露出しており、その露出部は負極外部端子および正極外部端子として機能する。
【0050】
第1外装体8は、図1に示すような、バリア層8aと、その両面にそれぞれ形成された第1の樹脂フィルム8bおよび第2の樹脂フィルム8cと、を具備するラミネートフィルムで形成されている。ラミネートフィルムを第1外装体に形成する方法は特に限定されない。例えば、ラミネートフィルムが、電極群13を平面に沿って2つ並べたときの矩形の面積よりも大きな面積を有する場合、このラミネートフィルムをセンターラインで折り返し、センターラインで繋がれた対向する2辺の周縁部を接着することにより、袋状の第1外装体が得られる。一方、ラミネートフィルムをセンターラインで折り返し、ラミネートフィルムの両端同士を重ね合わせた後、端部同士を溶着すれば、筒状の第1外装体が得られる。
【0051】
負極活物質層2は、例えば、シート状のリチウム金属またはリチウム合金である。リチウム合金としては、例えば、Li−Si合金、Li−Sn合金、Li−Al合金、Li−Ga合金、Li−Mg合金、またはLi−In合金が用いられる。負極容量を確保する観点から、リチウム合金中において、Li以外の元素が存在する割合は、0.1〜10重量%が好ましい。負極集電体シート1にリチウム金属またはリチウム合金を圧着させて、負極集電体シート1とリチウム金属またはリチウム合金とを密着させることにより、負極11が得られる。
【0052】
正極活物質層5は、例えば、正極集電体シート4の一方の面に形成され、正極活物質、結着剤、および必要に応じて導電剤を含む合剤層である。合剤層は良好な柔軟性を有するため、電池の屈曲時に正極集電体シートの変形に十分に追従することができる。
【0053】
正極または負極の合剤層に含ませる導電剤には、天然黒鉛、人造黒鉛などのグラファイト類;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類などが用いられる。
【0054】
正極または負極の合剤層に含ませる結着剤には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸などのアクリル樹脂、スチレンブタジエンゴムなどのゴム類などが用いられる。
【0055】
電解質層7としては、例えば、高分子電解質、固体電解質、セパレータに含浸させた非水電解液等を用いることができる。これらの中では漏液を抑制することができる点から高分子電解質または固体電解質が好ましい。
【0056】
高分子電解質は、例えば、リチウム塩と非水溶媒との混合物である電解液をマトリクスポリマーに保持させることにより調製される。リチウム塩の具体例としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、イミド塩類等が挙げられる。また、非水溶媒の具体例としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状炭酸エステル;ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル;等が挙げられる。マトリクスポリマーの具体例としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とを繰り返し単位に含む共重合体、フッ化ビニリデン(VdF)とトリフルオロエチレン(TFE)とを繰り返し単位に含む共重合体等のフッ素系ポリマー,シリコンゲル,アクリルゲル,アクリロニトリルゲル,ポリフォスファゼン変性ポリマー,ポリエチレンオキサイド,ポリプロピレンオキサイド及びこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等が挙げられる。
【0057】
固体電解質は、例えば、正極または負極の表面に、PVD法やCVD法を用いて、リチウムイオン伝導体を堆積させることにより調製できる。リチウムイオン伝導体の具体例としては、リチウム硫化物等が挙げられる。
【0058】
セパレータに含浸させる非水電解液は、上述したようなリチウム塩と非水溶媒とを混合することで調製される。セパレータとしては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィンや、ポリアミドイミド等のポリアミド等の樹脂から成形された微多孔膜が好ましく用いられる。セパレータの厚さは、例えば8〜30μmである。
【0059】
負極リード3および正極リード6は、例えば、負極集電体シートまたは正極集電体シートにそれぞれ溶接により接続される。負極リードとしては、例えば、銅リード、銅合金リード、ニッケルリード等が好ましく用いられる。正極リードとしては、例えば、ニッケルリード、アルミニウムリード等が好ましく用いられる。
【0060】
薄型電池は、例えば、以下のように作製される。
負極と正極とを、負極活物質層と正極活物質層とが向かい合うように配置し、電解質層を介して、重ね合わせ、電極群を構成する。このとき、負極には、負極リードを取り付け、正極に正極リードを取り付ける。一方、筒状に形成された第1外装体の一方の開口から電極群を挿入した後、その開口を熱溶着により閉じる。この時、筒状の第1外装体の一方の開口から正極リードおよび負極リードの一部が外部へ露出するように電極群を配置する。この露出部が正極外部端子および負極外部端子となる。次に、筒状の第1外装体の他方の開口から非水電解液を注入した後、その開口を熱溶着により閉じる。このようにして、電極群を第1外装体内に密閉する。
【0061】
次に、本発明の一実施形態に係る電池包装体について、図4、5を参照しながら説明する。
図4は、電池包装体31の縦断面図である。図5は、電池包装体31の上面図である。図5は、図4のIV−IV線断面図に相当する。電池21は、第2外装体9により密閉収納されている。第2外装体9は、例えば、対向する2枚の同形状のラミネートフィルムで形成されている。ラミネートフィルムは、図1に示すような、バリア層8aと、その両面にそれぞれ形成された第1の樹脂フィルム8bおよび第2の樹脂フィルム8cを具備する。
【0062】
電池包装体31は、例えば、以下のように作製される。
まず、2枚の同形状のラミネートフィルムを重ね、対向する周縁部9aのうち、3辺の周縁部を熱溶着などにより接着する。これにより、ラミネートフィルムからなる袋状の第2外装体が得られる。次に、残りの1辺の周縁部に相当する第2外装体の開口から、薄型電池21を挿入する。その後、第2外装体の開口を熱溶着などにより接着し、密閉する。開口を密閉する前に、第2外装体の内部を減圧したり、窒素などの不活性ガスを封入したりしてもよい。第2外装体の内部に不活性ガスを封入することにより、万一、第2外装体にピンホールなどが発生して第2外装体内に外気が侵入した場合でも、不活性ガスの大部分が外気で置換されるまでには、かなりの時間を要する。よって、電池21への外気の影響を最小限に抑えることができる。
【0063】
次に、上記の実施形態の第1の変形例について、図6を参照しながら説明する。本変形例は、薄型電池の構成が上記実施形態とは相違する。
図6の電池21Aは、電極群13Aと、電極群13Aを収納する第1外装体8Aとを備える。電極群13Aは、1枚の負極11Aと、これを挟むように配置された一対の正極12Aと、負極11Aと正極12Aとの間に介在する電解質層7Aとを具備する。このような構造は、対称性がよく、いずれの方向に屈曲させても、電池21Aに付与される応力の程度に大きな差が生じない。よって、例えば、電池21Aを電子機器に組み込む際に、電池の方向を意識する必要がなくなる点で便利である。
【0064】
負極11Aは、負極集電体シート1Aおよび負極集電体シート1Aの両方の表面にそれぞれ付着した負極活物質層2Aを有する。一方、一対の正極12Aは、正極集電体シート4Aおよび正極集電体シート4Aの一方の表面のみに付着した正極活物質層5を有する。一対の正極12Aは、電解質層7を介して、正極活物質層5Aと負極11Aとが向かい合うように、負極11Aを挟んで配置される。負極集電体シート1Aには負極リード3Aが接続され、正極集電体シート4Aには正極リード6Aが接続されている。負極リード3Aおよび正極リード6Aの一部は、第1外装体8Aから外部へ露出しており、その露出部は負極端子および正極端子として機能する。なお、第1外装体8Aと各リードとの間には、密閉性を高めるためにシール材料10を介在させてもよい。シール材料10には、熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0065】
次に、上記の実施形態の第2の変形例について、図7A、7B、7Cおよび7Dを参照しながら説明する。
近年、医療分野においては、医師等が患者等の生体情報を監視することを目的として、生体貼付型装置が開発されている。このような生体貼付型装置として、例えば、生体の肌に接触させて、血圧、体温、脈拍等の生体情報を常時測定して無線送信するような生体情報測定装置が挙げられる。また、同じく生体貼付型装置として、所定の電位を与えると、生体外皮を通して体内へ薬剤を供給するイオントフォレシス経皮投薬装置の開発も進められている。
【0066】
生体貼付型装置は、ウェアラブル携帯端末とも称され、生体に密着した状態で使用されるために、長時間肌に密着させていても不快を感じない程度の可撓性が要求される。従って、生体貼付型装置の駆動用電源にも優れた可撓性が要求される。薄型電池は、このような装置の電源として有用である。また、生体貼付型装置は、使用後に廃棄する使い捨てタイプのものが便利である。したがって、開封後の所定期間内に使用することが予定されている、電池または電池−電子機器接合体を内包する電池包装体の用途としても生体貼付型装置は適している。
【0067】
本変形例の電池包装体は、薄型電池とともに、電池からの電力供給により駆動される電子機器を内包するものである。電子機器としては、既に述べたように、生体情報測定装置やイオントフォレシス経皮投薬装置が適している。電池と電子機器は、一体となってシート化されており、フレキシブルな電池−電子機器接合体(電池デバイス)として、第2外装体内に密閉収納される。
【0068】
図7は、生体情報測定装置を具備する電池−電子機器接合体の一例を斜視図で示す。図8は、同接合体を変形させた場合の外観の一例を示している。
生体情報測定装置40は、その構成素子を保持するシート状の保持部材41を具備する。保持部材41は、柔軟性を有する材料で構成され、その内部から表面までの領域に、温度センサ43、感圧素子45、記憶部46、情報送信部47、ボタンスイッチSW1および制御部48が埋め込まれている。薄型電池21は、保持部材41の内部に設けられた平坦な空間に収容されている。つまり、電池21と生体情報測定装置40は、一体となってシート化されており、電池−電子機器接合体42を構成している。なお、電池21は、図2〜3に示したような構造でもよく、図6に示したような構造でもよく、それ以外の構造でもよい。
【0069】
保持部材41には、例えば絶縁性の樹脂材料を用いることができる。電池−電子機器接合体の一方の主面に、例えば粘着力を有する粘着剤49を塗布することで、生体情報測定装置40をユーザの手首、足首、首等に巻き付けることが可能となる。
【0070】
温度センサ43は、例えばサーミスタや熱電対等の感熱素子を用いて構成されており、ユーザの体温を示す信号を制御部48へ出力する。感圧素子45は、ユーザの血圧や脈拍を示す信号を制御部48へ出力する。出力された信号に応じた情報を記憶する記憶部46には、例えば不揮発性メモリを用いることができる。情報送信部47は、制御部48からの信号に応じて必要な情報を電波に変換して放射する。スイッチSW1は、生体情報測定装置40のオンとオフとを切り替える際に使用される。温度センサ43、感圧素子45、記憶部46、情報送信部47、スイッチSW1および制御部48は、例えばフレキシブル基板などに取り付けられ、基板表面に形成された配線パターンにより電気的に接続されている。
【0071】
制御部48は、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、装置の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、これらの周辺回路等とを備えており、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、生体情報測定装置40の各部の動作を制御する。
【0072】
図9は、イオントフォレシス経皮投薬装置の一例を概念的に示す上面図であり、図10は、同装置の概略断面図である。図10は、図9のX−X線断面図に相当する。図11は、同装置に薄型電池101を一体化させた電池ー電子機器接合体の一例の図10に対応する断面図である。
イオントフォレシス経皮投薬装置40Aは、その構成素子を保持するシート状の保持部材111を具備する。保持部材111は、柔軟性を有する材料で構成される。保持部材111の内部には、薄型電池からの電力を制御する半導体素子112と、一対の平坦な電極113、114と、これら一対の電極113、114とそれぞれ対面する一対のリザーバ113a、114aとが埋設されている。リザーバ113a、114aは、いずれも通電可能なゲル状の材料で構成されている。リザーバ113a、114aのいずれか一方には、イオン性薬剤が封入されている。半導体素子112は、例えば定電流ダイオードのような整流作用を有する素子であり、各電極と直列に接続されている。リザーバ113a、114aは、人体等の生体の皮膚に直接貼付される。
【0073】
一対の電極間に電圧を印加すると、その間に配置されたイオン性薬剤は、電極間の電界により加速されて、皮下組織に浸透する。皮膚からの薬剤の浸透性は、半導体素子112によりコントロールされる。
【0074】
次に、上記の実施形態の第3の変形例について、図12、13を参照しながら説明する。本変形例では、第2外装体により内包される薄型電池または電池−電子機器接合体の数が任意に設定される。
図12は、2つの薄型電池21を、1つの第2外装体9A内に密閉収納した電池包装体31Aを上面図で示している。図13は、2つの電池−電子機器接合体42Aを、1つの第2外装体9B内に密閉収納した電池包装体31Bを上面図で示している。電池−電子機器接合体42Aは、例えば、薄型電池21と一体化されたイオントフォレシス経皮投薬装置40Aである。いずれの電池包装体においても、第2外装体は、2枚のラミネートフィルムを重ね、対向する周縁部9Aaおよび9Baのうち、4辺の周縁部を熱溶着などにより接着することにより形成されている。
【0075】
第2外装体により内包される電池または電池−電子機器接合体の数は任意であり、より多くの電池または電池−電子機器接合体を1つの第2外装体内に密閉収納してもよい。また、第2外装体の形状、大きさ、接着部分の配置などは、特に限定されない。例えば、所定の大きさを有するラミネートフィルムを二つに折り曲げ、筒状または袋状にした後、これに電池または電池−電子機器接合体を収納し、その後、残りのラミネートフィルムの端部同士を溶着してもよい。さらに、ラミネートフィルムの互いに隣り合う電池の間の部分(図12の9Ab)または電池−電子機器接合体の間の部分(図13の9Bb)を熱溶着し、電池毎または電池−電子機器接合体毎に密閉された空間を設けるようにしてもよい。
【0076】
なお、図13では、電子機器(例えばイオントフォレシス経皮投薬装置40A)を電池21と並列に配置した場合を示したが、電子機器自体がシート化されている場合には、電池21と電子機器とを上下に重ねて積層体としてもよい。
【0077】
次に、上記の実施形態の第4の変形例について、図14、15を参照しながら説明する。
本変形例では、薄型電池または電池−電子機器接合体が、その使用後に、電池を強制放電させる手段を具備する。電池または電池−電子機器接合体を使用後に廃棄する際、電池に電力が残存している場合には、廃棄前または廃棄後の短い期間内に、電池を強制放電させておくことが望ましい。そこで、電池または電池−電子機器接合体には、その使用後に、開状態から閉状態にすることで電池に外部短絡回路が形成されるような、強制放電作動スイッチを設けておくことが望ましい。
【0078】
図14に示すように、電池−電子機器接合体100は、通常、電池101と、電子機器(負荷)102と、これらを直列に接続する各経路とを具備する回路(第1回路)110を具備する。第1回路110は、第1スイッチ103により開状態から閉状態に変換される。負荷102が、図7および図8で示される生体情報測定装置である場合、スイッチSW1が第1スイッチ103に該当する。
【0079】
図15は、負荷102がイオントフォレシス経皮投薬装置である場合の第1回路の回路図の一例である。第1スイッチ103を開状態から閉状態にすることで、電池101と投薬装置の定電流回路112と、投薬装置の一対の電極113、114とが接続される。一対の電極113、114の間の抵抗Rは、生体の皮膚に貼付されたゲル状の材料からなるリザーバ間の抵抗を示している。
【0080】
図14に示す本変形例の場合、第1回路110の他に、電池の第1電極と、第2電極と、抵抗105と、これらを直列に接続する各経路とを具備する第2回路120を具備する。第2回路120は、強制放電作動スイッチ(第2スイッチ)104により開状態から閉状態に変換される。強制放電作動スイッチ104が第1電極と第1経路を介して接続された第1SW端子と、第2電極と第2経路を介して接続された第2SW端子とを具備する場合、第1SW端子と第2SW端子とを接続することで、外部短絡回路が形成される。
【0081】
電池−電子機器接合体の使用を終えた者が、強制放電作動スイッチを開状態から閉状態に変換(第1SW端子と第2SW端子とを接続)することにより、電池101の正極と負極とが抵抗105だけを介して外部短絡する。これにより、比較的大きな電流が、第2回路120を流れ続け、短期間のうちに電池は完全放電状態に至ることとなる。抵抗105は、第2回路にあまり大きな電流が流れないように、必要に応じて、電池101と直列に接続される。ただし、第2回路に大きな電流が流れる心配がない場合、例えば、第2スイッチの接触状態や正極と負極とを接続させる経路に起因して十分な抵抗が既に存在する場合には、さらに抵抗105を接続する必要はない。
【0082】
電池および電池−電子機器接合体は、柔軟性に優れているため、容易に、物理的に変形させることができる。従って、強制放電作動スイッチ104は、電池または電池−電子機器接合体に物理的な変形を加えることで、開状態から閉状態に変換するものであってもよい。この場合、物理的な変形を加える前には互いに離間されていた第1SW端子と第2SW端子とが、変形後の状態では互いに接触した状態となる。
【0083】
次に、強制放電作動スイッチ(第2スイッチ)の具体的な構成について説明する。
図16(a)の電池−電子機器接合体42Bは、矩形の形状を有し、長手方向に沿う一方の辺の両端付近に、電池21の第1電極と第1経路を介して接続された第1SW端子104xと、電池21の第2電極と第2経路を介して接続された第2SW端子104yとを具備する。電池−電子機器接合体42Bは、例えば、薄型電池21と一体化されたイオントフォレシス経皮投薬装置40Aである。第1SW端子104xと第2SW端子104yは、所定の折り曲げ位置(破線X)で電池−電子機器接合体42Bを折り曲げた場合に、互いに対向するように配置されている。電池−電子機器接合体42Bは、薄いシート状であるため、その使用を終えた者が容易に折り曲げ可能である。つまり、図16(b)、(c)に示すように、電池−電子機器接合体42Bを折り曲げる動作により、第1SW端子104xと第2SW端子104yとが接触し、電池21を含む外部短絡回路が形成される。
【0084】
折り曲げられた電池−電子機器接合体42Bは、図16(c)のように、第1SW端子104xと第2SW端子104yとが接触した状態を、少なくとも暫くの間は維持することが望ましい。したがって、電池−電子機器接合体42Bは、第1SW端子104xと第2SW端子104yとを接触させた状態で固定し得る固定手段を具備することが好ましい。このような要請に対しては、例えば、第1SW端子104xおよび第2SW端子104yが露出する側の電池−電子機器接合体42Bの面に、粘着剤を付与することが望ましい。このような粘着剤は、生体に電池−電子機器接合体42Bを貼付するためにも利用することができる。あるいは、第1SW端子104xおよび第2SW端子104yの一方を凹状に、他方を凸状に形成し、両者が互いに係合するように構成してもよい。
【0085】
第1SW端子および第2SW端子の形態は、特に限定されない。例えば、第1SW端子と第2SW端子との確実な接触を確保するために、第1SW端子と第2SW端子の面積をより大きくしてもよい。また、イオントフォレシス経皮投薬装置の場合は、リザーバ113a、113bがそれぞれ第1SW端子、第2SW端子となっても構わない。また、電池−電子機器接合体に限らず、電池自体に強制放電作動スイッチを構成する第1SW端子および第2SW端子を形成してもよい。
【0086】
図17に示す薄型電池21Bは、負極リード3Aと正極リード6Aが、矩形の電池の互いに対向する二辺から外部に導出されている。リード3A、6Aは、外部に露出する部分以外に、シール材料10A、10Bで覆われた内部リード部3a、6aを有する。内部リード部3a、6aは、強制放電作動スイッチを構成する外部に露出した第1SW端子23および第2SW端子24とそれぞれ接続されている。第1SW端子23および第2SW端子24の面積は、いずれも電池の輪郭で囲まれた面積の1〜20%である。電池21Bを破線Yで折り曲げて二つ折りにすると、第1SW端子23と第2SW端子24とが、ほぼ確実に接触する。また、電池21Bの第1SW端子23と第2SW端子24とが露出する面には、その端子面を除いて、ほぼ全面にわたって粘着剤25が付与されており、粘着剤25により第1SW端子23と第2SW端子24とが接触した状態が維持される。
【0087】
リード3A、6Aは、電池の外部端子として利用されるが、これらは内部リード部3a、6a(第1SW端子23、第2SW端子24)と互いに互換性がある。つまり、リード3A、6Aを適宜整形して強制放電作動スイッチのSW端子として利用するとともに、第1SW端子23、第2SW端子24を電池の外部端子(電子機器に接続する電力供給用の端子)として利用してもよい。
【0088】
強制放電作動スイッチが、電池または電池−電子機器接合体の折り曲げに伴って開状態から閉状態に変換される場合、電池または電池−電子機器接合体には、折り曲げ予定部を設けることが望ましい。折り曲げ予定部は、電池または電池−電子機器接合体の他の部分よりも、柔軟性が高くなるように設計される。例えば、折り曲げ予定部の引張弾性率は、他の部分よりも小さくなるように設計される。あるいは、折り曲げ予定部の幅を、他の部分より狭くしてもよい。
【0089】
強制放電作動スイッチは、電池または電池−電子機器接合体の折り曲げに伴って開状態から閉状態に変換されるものである必要はない。例えば、押しボタン式のスイッチでもよい。また、強制放電作動スイッチは、電池または電池−電子機器接合体の物理的変形に伴って作動するものでなくてもよい。例えば、電池−電子機器接合体が生体に貼付された状態から剥がされたときに、自動的に使用終了を検知し、強制放電作動スイッチが作動するように、制御回路で制御してもよい。このような制御回路は、電子機器に組み込めばよい。
【0090】
図18に押しボタン式スイッチの一例を示す。図18において、第1SW端子23Aは環状の絞り部(小径部)27を有する円筒形状であり、第1SW端子23Aと対向配置された第2SW端子24Aは平坦形状である。図18(a)に示すように、第2SW端子24Aの周縁部には、第1SW端子23Aと第2SW端子24Aとを離間させるとともに、第1SW端子23Aの絞り部27と係合させる鍔部28を有する絶縁性スペーサ26が取り付けられている。電池または電池−電子機器接合体の使用前および使用中は、第1SW端子23Aと第2SW端子24Aとが離間した状態((a)の状態)であり、その使用後に第1SW端子23Aを第2SW端子24Aに向かって押し込むと、図18(b)に示すように、鍔部28が絞り部27に係合するとともに、第1SW端子23Aと第2SW端子24Aとが接触した状態で固定される。なお、第1SW端子23Aは、例えば、電池の第1電極と接続されて外部に導出されるリード片3bの一部と接続する。同様に、第2SW端子24Aは、電池の第2電極と接続されて外部に導出されるリード片6bの一部と接続する。
【0091】
なお、電池を強制放電させる手段は、図14に示すような、第2回路に限られない。シート化された電子機器が、図9および図10に示すように、その主要平坦面の対称な位置に、電池の正極および負極と接続された一対の電極を有する場合には、その一対の電極を折り曲げなどの物理的変形により接触させる構成としてもよい。
【0092】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
以下の手順で、図2、3に示す薄型電池を作製した。
(1)負極の作製
負極集電体シート1として、厚さ12μmの電解銅箔を準備した。その電解銅箔の一方の面に、負極活物質層2であるリチウム金属箔(厚み20μm)を100N/cmの線圧で圧着し、負極11を得た。これを5mm×5mmのタブ部を有する50mm×50mmのサイズに切り抜いた後、タブ部に銅製の負極リード3を超音波溶接した。
【0093】
(2)正極の作製
正極活物質である350℃で加熱した電解二酸化マンガンと、導電剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)の溶液とを、二酸化マンガン:アセチレンブラック:PVDFの重量比が100:5:5となるように混合した後、NMPを適量加え、正極合剤ペーストを得た。
【0094】
正極集電体シート4として、アルミニウム箔(厚さ15μm)を準備した。そのアルミニウム箔の一方の面に、正極合剤を塗布し、85℃で10分乾燥し、正極活物質層5を形成した後、それをロールプレス機にて12000N/cmの線圧で圧縮し、正極12を得た。これを5mm×5mmのタブ部を有する50mm×50mmのサイズに切り抜いた後、120℃で2時間減圧乾燥した。タブ部にアルミニウムの正極リード6を超音波溶接した。
【0095】
(3)電極群の作製
負極活物質層2と正極活物質層5とが互いに向かい合うように負極11および正極12を配置した後、負極11と正極12との間に、微多孔性ポリエチレンフィルム(52mm×52mm、厚さ9μm、)からなるセパレータを配置し、電極群13を得た。
【0096】
(4)電池の組立て
アルミニウム製のバリア層を有する筒状のラミネートフィルムからなる第1外装体8に電極群13を収納した。ラミネートフィルムには、PP層(厚さ35μm)/アルミニウム蒸着膜(厚さ0.05μm)/ナイロン(PA)層(厚さ15μm)の3層構造で、総厚約50μmのものを用いた。PP層を内側に、PA層を外側に配置した。
【0097】
第1外装体8の一方の開口に正極リード6および負極リード3を通し、正極リード6の一部および負極リード3の一部を外装体8から露出させた。各リードを挟んで、第1外装体8の一方の開口を熱溶着により閉じた。正極リード6および負極リード3における第1外装体8内から外部へ露出した部分を、それぞれ正極外部端子および負極外部端子とした。次に、第1外装体8の他方の開口から非水電解質0.8gを注入した後、660mmHgの減圧環境下で10秒間脱気した。非水電解質には、LiClO4を1mol/Lの濃度で溶解させた非水溶媒を用いた。非水溶媒には、プロピレンカーボネートおよびジメトキシエタンの混合溶媒(体積比1:1)を用いた。
【0098】
第1外装体8の他方の開口を熱溶着により閉じ、第1外装体8内に電極群13を密閉した。このようにして、サイズ60mm×65mm、厚さ約0.2mmの薄型電池21(電池A)を作製した。 得られた電池は45℃で1日間エージングした。
【0099】
(5)電池包装体の作製
アルミニウム製のバリア層を有する2枚のラミネートフィルムからなる第2外装体9により、薄型電池21を密閉収納した。まず、65mm×65mmのサイズの2枚のラミネートフィルムを準備した。ラミネートフィルムには、PP層(厚さ45μm)/アルミニウム箔(厚さ40μm)/ナイロン(PA)層(厚さ25μm)の3層構造で、総厚約120μmのものを用いた。2枚のラミネートフィルムをPP層が内側になるように重ね、対向する周縁部のうち3辺の周縁部を熱溶着により接着し、ラミネートフィルムからなる袋状の第2外装体9を形成した。次に、残りの1辺の周縁部に相当する第2外装体の開口から、電池21を挿入した。その後、第2外装体の開口を、窒素雰囲気中で熱溶着により接着し、電池包装体Aを得た。
【0100】
[評価]
【0101】
各外装体の引張弾性率を以下の方法で測定した。
各外装体を構成するラミネートフィルムを平行部幅5mm、標線間距離20mmの引張試験3号ダンベルに切出し、JIS K7161に準拠して5mm/分の引張速度にて万能試験機を用いて引張試験を行い、引張弾性率を求めた。
【0102】
各外装体の水蒸気透過率を以下の方法で測定した。
JIS K7129 B法に準拠して、各外装体を構成するラミネートフィルムの水蒸気透過率を、温度40℃、相対湿度90%の環境下で測定した。
【0103】
第1外装体および第2外装体のバリア層を、下記のように変更したこと以外、上記と同様に薄型電池と電池包装体を作製した。「(比)」は比較例である。
【0104】
【表1】
【0105】
引張弾性率が小さくなるほど、人体に対する装着感は向上する。しかし、表1より、第1外装体の引張弾性率が小さくなるほど、バリア層が薄くなり、水蒸気透過率が高くなる傾向があることがわかる。なお、第1外装体の引張弾性率が100MPaを超えると、電池の柔軟性が不十分となり、十分に満足のいく装着感が得られない。
【0106】
次に、各電池包装体と、第2外装体に密閉収納する前の電池とを準備し、下記の所定期間、温度25℃、相対湿度60%の環境にこれらを保存し、保存後の電池の放電容量を測定した。保存前の電池についても、あらかじめ同様に放電容量を測定した。保存後の電池の保存前に対する容量維持率を算出した。
なお、放電容量の測定は下記条件で実施した。
環境温度:25℃
放電電流密度:250μA/cm2(正極の単位面積あたりの電流値)
放電終止電圧:1.8V
そして、下記式より、保存後の電池の容量維持率(%)を求めた。
容量維持率(%)=(保存後の電池の放電容量/保存前の電池の放電容量)×100
【0107】
【表2】
【0108】
以上より、水蒸気透過率の低い第2外装体で密閉収納することで、第1外装体の水蒸気透過率に関わらず、薄型電池の性能が長期間維持されることがわかる。
また、第2外装体を開封後は、水蒸気透過率の高い(引張弾性率の低い)第1外装体を具備する電池であっても、電子機器の駆動用電源として必要とされる短期間であれば、性能が維持されることがわかる。
【0109】
《実施例2》
以下の手順で、図17に示すような薄型電池を作製した。
(1)負極の作製
負極11のサイズを60×40mmの長方形とし、タブ部および負極リード3の位置を一方の短辺の中央に変更し、負極リード3の幅を6mmとしたこと以外、実施例1と同様の負極を作製した。
【0110】
(2)正極の作製
正極12のサイズを60×40mmの長方形とし、タブ部および正極リード6の位置を一方の短辺の中央に変更し、正極リード6の幅を6mmとしたこと以外、実施例1と同様の正極を作製した。
【0111】
(3)電極群の作製
実施例1と同様に、負極活物質層2と正極活物質層5とが互いに向かい合うように負極11および正極12を配置した。ただし、正極リードと負極リードは、互いに逆方向に突出させた。その後、負極11と正極12との間に、微多孔性ポリエチレンフィルム(62mm×42mm、厚さ9μm)からなるセパレータを配置し、電極群13を得た。
【0112】
(4)電池の組立て
実施例1で用いたのと同じラミネートフィルムからなる第1外装体8に、電極群13を収納した。ただし、第1外装体8のサイズは電極群13のサイズに応じて変更した。また、2枚のラミネートフィルムをPP層が内側になるように重ね、対向する周縁部のうち、一対の長辺に対応する周縁部を熱溶着により接着し、筒状のラミネートフィルムからなる第1外装体を形成した。
【0113】
第1外装体8の一方の開口に正極リード6、他方の開口に負極リード3を通し、正極リード6の一部および負極リード3の一部を外装体8から露出させた。負極リード3を挟んで、外装体8の一方の開口を熱溶着により閉じた。次に、外装体8の他方の開口から非水電解質0.8gを注入した後、660mmHgの減圧環境下で10秒間脱気した。非水電解質には、実施例1と同じものを用いた。その後、正極リード6を挟んで、第1外装体8の他方の開口を熱溶着により閉じ、第1外装体8内に電極群13を密閉した。このようにして、サイズ75mm×50mm、厚さ約0.2mmの薄型電池21(電池X)を作製した。 得られた電池は45℃で1日間エージングした。
【0114】
負極リード3および正極リード6における外装体8内から外部へ露出した部分を、突出方向に沿って2つのリード片に分割した。そして、一方の負極リード片3aおよび一方の正極リード片6aを、電池の同じ面側に折り曲げ、先端部を除いて絶縁テープ10Aで覆うとともに電池に固定した。次に、負極リード片3aおよび正極リード片6aの先端に、それぞれサイズ14mm×14mmの銅箔およびアルミニウム箔を負極外部端子23および正極外部端子24として溶接し、各々を接着剤で第1外装体8の外面に貼り付けた。銅箔およびアルミニウム箔を貼り付けた第1外装体の面の余白には、粘着剤を塗布した。
【0115】
(5)電池−電子機器接合体の作製
図9、10に示すようなサイズ80mm×70mmのイオントフォレシス経皮投薬装置を準備した。投薬装置の一方の面の中央には、定電流ダイオードを有する半導体素子112を配置し、他方の面には、一対の電極113、114およびこれに積層された一対のリザーバ113a、114aを並列に配置した。半導体素子112の両側には、電極113、114と導通する一対の接続用端子を配置した。その一対の接続用端子を、それぞれ電池101の負極外部端子23および正極外部端子24と接触させるとともに、図11に示すように、電池101と投薬装置を積層した。電池に塗布された粘着剤により、電池と投薬装置は互いに固定された。
【0116】
他方の負極リード片3Aおよび他方の正極リード片6Aを、投薬装置側に折り曲げ、先端部を除いて絶縁テープで覆うとともに投薬装置に固定した。次に、負極リード片3Aおよび正極リード片6Aの先端に、それぞれサイズ14mm×14mmの銅箔およびアルミニウム箔を負極SW端子および正極SW端子として溶接した。負極SW端子および正極SW端子を、接着剤で、投薬装置のリザーバが露出する面の周縁部に貼り付け、電池−電子機器接合体を完成させた。
【0117】
(6)電池包装体の作製
実施例1で用いたのと同じラミネートフィルムからなる第2外装体9により、実施例1と同様の要領で、電池−電子機器接合体を密閉収納した。1000時間後に第2外装体を開封し、電池−電子機器接合体の電池電圧を測定し、投薬装置を作動させ、電池容量の10%を消費させた。そして、投薬装置のリザーバが露出する面に設けられた負極SW端子と正極SW端子とが接触するように、電池−電子機器接合体を二つ折にして固定した。24時間後に電池電圧を測定したところ、0.05Vであり、電池が完全放電状態であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の電池包装体は、水蒸気に対するバリア性とともに柔軟性を確保することが要求される薄型電池や、これと一体化された電子機器、特に、生体に貼り付けて使用するイオントフォレシス経皮投薬装置や生体情報測定装置のような小型の電子機器に適用できる。
【符号の説明】
【0119】
1:負極集電体シート、2:負極活物質層、3:負極リード、4:正極集電体シート、5:正極活物質層、6:正極リード、7:電解質層、8:第1外装体、9:第2外装体、11:負極、12:正極、13:電極群、21,101:薄型電池、31:電池包装体、40,102:電子機器、41:保持部材、42,100:電池−電子機器接合体、103:第1スイッチ、104:強制放電作動スイッチ(第2スイッチ)、105:抵抗、110:第1回路、120:第2回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の電極群と、非水電解質と、これらを密閉収納する第1外装体と、を含む薄型電池と、薄型電池を密閉収納する第2外装体と、を含む、電池包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、音声録音再生装置、腕時計、動画および静止画撮影機、液晶ディスプレイ、電卓、ICカード、温度センサ、補聴器、および感圧ブザーのような小型の電子機器の電源として、薄型電池が用いられている。
【0003】
生体に接触した状態で作動するデバイス(生体貼付型装置)にも、薄型電池が用いられている。このようなデバイスとして、所定の電位を与えると、生体外皮を通して体内へ薬剤を供給するイオントフォレシス経皮投薬装置等が開発されている。また、体温、血圧、および脈拍のような生体情報を測定する測定回路と、測定された生体情報をチェックする監視部と、生体情報に関する電波信号を病院および消防のような施設へ送信する無線送信回路と、を備えたシート状の生体情報測定発信装置が開発されている。利用者の健康上の異変を示す生体情報が得られた場合、生体情報は自動的に病院等に伝達される。
【0004】
上記の小型の電子機器およびデバイスの更なる小型化に伴い、薄型電池の更なる薄型化が求められている。このような要求に対して、外装体に、薄くかつ柔軟なラミネートフィルムを用いた薄型電池が検討されている(特許文献1)。ラミネートフィルムは、金属箔、およびその両面に形成された樹脂層からなる。このような薄型電池では、袋状のラミネートフィルムからなる外装体に、正極、負極、および正極と負極との間に配された電解質層を含むシート状の電極群が収納されている。一般に、電極群には一対のリードが接続され、それらの一部は、外部端子として、外装体の封止部より外部へ露出している。
【0005】
ラミネートフィルムからなる外装体の代わりに、樹脂のベースフィルムと可撓性無機材料層とからなる薄型電池用のパッケージを用いることも提案されている(特許文献2)。無機材料層に、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等を用いることで、比較的シール性に優れたパッケージを安価で提供することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−285881号公報
【特許文献2】特開平6−231739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の外装体やパッケージを用いた薄型電池は、電池の厚さを可能な限り低減しているにも関わらず、様々な外力が加えられる可能性のある小型電子機器に適用することを考慮すると、柔軟性が十分であるとはいえない。例えば、生体貼付型装置のように厚さを低減した電子機器の場合、電子機器の容積の相当な部分は薄型電池により占められている。このような電子機器を生体に接触させたとき、薄型電池の柔軟性が不十分であると、良好な装着感が得られず、電子機器の使用者に不快感を与えることになる。そこで、薄型電池の柔軟性の更なる向上が求められている。
【0008】
薄型電池の柔軟性を向上させるために、外装体の厚さを極限まで小さくすることも考えられる。しかし、外装体は、電池の構成要素を外気から保護する役割を果たすことが必要であり、特に水蒸気に対するバリア性が要求される。高い柔軟性を得るために外装体の厚さを小さくしすぎると、必要な水蒸気バリア性を確保することが困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記を鑑み、本発明は、シート状の電極群と、非水電解質と、前記電極群と前記非水電解質とを密閉収納する第1外装体と、を含む薄型電池と、前記薄型電池を密閉収納する第2外装体と、を含み、前記電極群は、第1集電体シートおよびその表面に付着した第1活物質層を含む第1電極と、第2集電体シートおよびその表面に付着した第2活物質層を含む第2電極と、前記第1活物質層と前記第2活物質層との間に介在する、前記非水電解質を含む電解質層と、具備し、前記第1外装体の引張弾性率は、10〜100MPaであり、前記第2外装体の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の環境において、0.001g/m2・day以下である、電池包装体に関する。
【0010】
本発明の電池包装体は、一局面において、前記薄型電池からの電力供給により駆動される電子機器を具備する。この場合、前記第2外装体は、前記薄型電池とともに前記電子機器を密閉収納する。
【0011】
第1外装体の引張弾性率を10〜100MPaに設定することにより、薄型電池の柔軟性が向上し、人体に対する装着感が大きく改善される。第2外装体の水蒸気透過率を、温度40℃、相対湿度90%の環境において、0.001g/m2・day以下とすることにより、十分なバリア性が確保される。薄型電池を使用する際には、第2外装体を開封して、薄型電池や電子機器を取り出して使用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第2外装体により十分な水蒸気バリア性が確保されるため、第1外装体に高度な水蒸気バリア性を付与する必要がない。よって、第1外装体の引張弾性率を10〜100MPaまで小さくすることができ、その結果、薄型電池の柔軟性を十分に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る第1外装体または第2外装体を形成するラミネートフィルムの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る薄型電池(図3)のII−II線概略断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る薄型電池の上面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電池包装体(図5)のIV−IV線概略断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る電池包装体の上面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る薄型電池の概略断面図である。
【図7】生体情報測定装置を具備する電池−電子機器接合体の一例を示す斜視図である。
【図8】変形させた同接合体の外観の一例を示す斜視図である。
【図9】イオントフォレシス経皮投薬装置の一例を概念的に示す上面図である。
【図10】同イオントフォレシス経皮投薬装置(図9)のX−X線概略断面図である。
【図11】同イオントフォレシス経皮投薬装置に薄型電池を一体化させた電池ー電子機器接合体の一例の図10に対応する断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る電池包装体の上面図である。
【図13】本発明の更に他の実施形態に係る電池包装体の上面図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る電池−電子機器接合体の回路図である。
【図15】負荷がイオントフォレシス経皮投薬装置である場合の第1回路の回路図の一例である。
【図16】強制放電作動スイッチを具備する電池−電子機器接合体の一例およびそれを強制放電させる際の手順を示す図である。
【図17】強制放電作動スイッチを具備する電池の一例を示す上面図である。
【図18】押しボタン式の強制放電作動スイッチの一例の第1SW端子と第2SW端子が離間した状態(a)から接触した状態(b)への動作を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の電池包装体は、シート状の電極群と、非水電解質と、電極群と非水電解質とを密閉収納する第1外装体と、を含む薄型電池(以下、単に電池とも称する)と、電池を密閉収納する第2外装体と、を含む。ここで、電極群は、第1集電体シートおよびその表面に付着した第1活物質層を含む第1電極と、第2集電体シートおよびその表面に付着した第2活物質層を含む第2電極と、第1活物質層と第2活物質層との間に介在する、非水電解質を含む電解質層と、具備する。すなわち、薄型電池は、一次または二次の非水電解質電池である。第1外装体の引張弾性率は、10〜100MPaであり、第2外装体の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の環境において、0.001g/m2・day以下である。
【0015】
電極群の厚さを低減した薄型電池においては、外装体の柔軟性が電池全体の柔軟性の向上に与える影響を無視できない。電極群と非水電解質(すなわち発電要素)を密閉収納する第1外装体の引張弾性率を10〜100MPaに設定することにより、電池の柔軟性が向上し、人体に対する装着感が大きく改善される。また、外装体として必要な強度を維持できる。柔軟性の点では、第1外装体の引張弾性率は小さいほど望ましく、例えば90MPa以下が望ましく、80MPa以下がより好ましく、50MPa以上がさらに好ましい。ただし、耐屈曲性のような機械的強度を考慮すると、10MPa以上が望ましく、15MPa以上がより好ましく、20MPa以上がさらに好ましい。なお、これらの上限および下限は、任意に組み合わせて引張弾性率の範囲を設定できる。
【0016】
ただし、このような第1外装体は、水蒸気に対するバリア性が従来のラミネートフィルムやパッケージよりも低くなる傾向がある。この点については、薄型電池を密閉収納する第2外装体の水蒸気透過率を、温度40℃、相対湿度90%の環境において、0.001g/m2・day以下とすることにより、十分なバリア性が確保される。
【0017】
第2外装体は、使用されない期間中の電池を外気から保護する役割を有する。従って、第2外装体の水蒸気透過率は、低いほど望ましく、例えば0.0005g/m2・day以下が好ましく、0.0001g/m2・day以下がより好ましく、0.00005g/m2・day以下がさらに好ましく、当然、0g/m2・dayでもよい。
【0018】
本発明の電池包装体は、薄型電池からの電力供給により駆動される電子機器を具備することができる。電子機器は、薄型電池とともに、第2外装体により密閉収納すればよい。この場合、薄型電池と電子機器とが、一体となってシート化されている形態が好ましい。このような電子機器として、例えば、生体情報測定装置やイオントフォレシス経皮投薬装置が挙げられる。薄型電池と電子機器とが一体化されたシート状の物品を、以下、電池−電子機器接合体または電池デバイスとも称する。シート状の電池−電子機器接合体または電池デバイスは、それ自体も柔軟性を有するように構成される。
【0019】
電池または電池−電子機器接合体を使用する際には、第2外装体を開封して、電池または接合体を取り出して使用する。電池または電池−電子機器接合体の使用期間は、電池包装体の流通および保存に供される期間に比べて短いため、第1外装体は、適度なバリア性を有すればよく、高度なバリア性を要しない。電池または電池−電子機器接合体の使用期間としては、例えば、50時間以下または200時間以下が想定される。
【0020】
電池または電池−電子機器接合体の比較的短い使用期間中であっても、外気が電池の発電要素に与える影響は、できるだけ排除することが望ましい。そのような観点から、第1外装体の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の環境において、2g/m2・day以下であることが好ましく、1g/m2・day以下であることが更に好ましく、0.3g/m2・day以下がより好ましく、0.1g/m2・day以下が特に好ましく、当然、0g/m2・dayでもよい。
【0021】
第1外装体は、耐屈曲性に優れた柔軟性の高いシート状材料で構成される。第1外装体の構造は、特に限定されないが、例えば、水蒸気バリア層およびその両面に形成された樹脂層を含む。バリア層を有する第1外装体を用いることにより、電池または電池−電子機器接合体の使用期間中における外気の影響(水蒸気が電池の発電要素に与える影響)を、効果的に低減することができる。
【0022】
第2外装体の材料は、特に限定されない。ただし、第2外装体も、耐屈曲性に優れた柔軟性の高いシート状材料で構成することが、開封し易く、取り扱いも容易であり、使用者にとって便利である。従って、第1外装体と同様に、バリア層およびその両面に形成された樹脂層を含むシート状材料を用いることが好ましい。
【0023】
第2外装体の引張弾性率は、特に限定されないが、十分な水蒸気バリア性と外装体としての強度を両立させる観点から、例えば300MPa以上の引張弾性率を有することが好ましい。ただし、上記のように、開封や取り扱いの容易さを確保する観点から、2000MPa以下とすることが好ましく、1000MPa以下とすることがより好ましい。
【0024】
好ましい一形態において、第2外装体は、第1外装体の5倍〜200倍の引張弾性率を有する。また、好ましい一形態において、第1外装体は、第2外装体の5倍〜10000倍の水蒸気透過率を有する。
【0025】
薄型電池の厚さは、特に限定されないが、柔軟性および人体に対する装着感を考慮すると、1mm以下、さらには0.7mm以下であることが好ましい。シート状の電池−電子機器接合体の厚さは、薄型電池よりも多少厚くなる場合もあるが、同様の観点から、1mm以下であることが好ましい。ただし、薄型電池および電池−電子機器接合体の厚さは、いずれも5mm程度以下であれば、比較的良好な装着性が得られる場合もある。なお、これらの厚さを50μm未満にすることは技術的に困難であるから、厚さの下限は50μmである。
【0026】
薄型電池が、一次電池である場合(あるいは二次電池である場合でも)、電池または電池−電子機器接合体の使用後は、これを廃棄することとなる。その際、電池に電力が残存していると、予想外の外部短絡が生じたり、電池が破損したりした場合に不都合である。そこで、使用後の電池を強制放電させることが望ましい。そのような強制放電は、例えば、電池または電池−電子機器接合体に、強制放電作動スイッチを設けることにより達成可能となる。強制放電作動スイッチは、例えば、前記第1電極と前記第2電極とが外部短絡した状態と、前記第1電極と前記第2電極とが外部短絡していない状態と、を切り替えるスイッチであればよい。すなわち、第1電極と第2電極との接続(電気的接続)を開状態から閉状態に変換して第1電極と第2電極とを外部短絡させるスイッチであればよい。
【0027】
強制放電作動スイッチは、例えば、第1電極と電気的に接続された第1SW端子と、第2電極と電気的に接続された第2SW端子とを具備する。第1電極と第1SW端子は、第1経路により電気的に接続される。第2電極と第2SW端子は、第2経路により電気的に接続される。第1SW端子と第2SW端子とが電気的に接続されることで、外部短絡回路が形成される。これらの経路の一部および/または強制放電作動スイッチの各端子は、電池と一体化されている電子機器に設けてもよい。第1経路および第2経路は、様々な導電性材料により形成することができる。
【0028】
電極群の構造は、特に限定されないが、シート化するのに適した電極が用いられる。
好ましい一形態において、電極群は、第1集電体シートおよびその一方の表面に付着した第1活物質層を含む第1電極、第2集電体シートおよびその一方の表面に付着した第2活物質層を含む第2電極、ならびに第1活物質層と第2活物質層との間に介在する電解質層を含む。そして、第1集電体シートの他方の表面および第2集電体シートの他方の表面は、それぞれ第1外装体の内面と接している。
【0029】
このような電極群は、基本的に、1枚の第1電極と、1枚の第2電極とを、貼り合わせた構造、すなわち、正極と電解質層と負極からなる三層構造(あるいは、正極集電体シートと正極活物質層と電解質層と負極活物質層と負極集電体シートからなる五層構造)を有する。ただし、本発明は、両端の正極と負極の間に、さらに、少なくとも1つの正極および少なくとも1つの負極を含む電極群を具備する薄型電池を排除するものではない。
【0030】
好ましい他の一形態において、電極群は、第1集電体シートおよびその一方の表面に付着した第1活物質層を含む、一対の第1電極、第2集電体シートおよびその両面に付着した第2活物質層を含む第2電極、ならびに第1活物質層と第2活物質層との間に介在する電解質層を含む。そして、一対の第1集電体シートの他方の表面は、それぞれ外装体の内面と接している。
【0031】
このような電極群は、基本的に、1枚の第2電極を、一対の第1電極で挟んだ構造、すなわち、最外層の一対の第1電極と、内層の第2電極と、第1電極と第2電極との間に介在する2層の電解質層からなる五層構造を有する。ただし、本発明は、さらに、少なくとも1つの追加の第1電極および少なくとも1つの追加の第2電極を含む五層を超える構造の電極群を具備する薄型電池を排除するものではない。また、場合によっては、1つの第1電極および1つの第2電極を重ねて偏平形状に捲回してなる電極群を具備する薄型電池を排除するものでもない。
【0032】
第1活物質層または第2活物質層が負極活物質層である場合、負極活物質層は、負極活物質、結着剤および必要に応じて導電剤を含む合剤層でもよく、蒸着のような気相法で形成される堆積膜でもよく、金属シートでもよい。合剤層に含ませる負極活物質としては、炭素材料(例えば黒鉛)、ケイ素合金、ケイ素酸化物などが挙げられる。堆積膜としては、ケイ素合金膜、ケイ素酸化物膜などが挙げられる。金属シートとしては、シート状のリチウム金属またはリチウム合金を用いることができる。負極活物質層の厚みは、例えば1〜200μmであることが好ましい。
【0033】
なお、上記の強制放電スイッチは、負極活物質層が、金属リチウムまたはリチウム合金を含む場合には、安全性の向上の観点から、電池または電池−電子機器接合体に組み込むことが特に望ましい。負極集電体シートとの密着力を高める観点から、シート状のリチウム金属またはリチウム合金の厚みは、10〜100μmであることが好ましい。厚みを100μm以下とすることで、負極活物質層が優れた柔軟性を維持することができ、電池の屈曲時に負極集電体シートからの負極活物質層の剥離が高度に抑制される。負極活物質層の厚みを10μm以上とすることで、エネルギー密度の高い電池を得やすくなる。ここで、負極活物質層の厚みは、未放電状態時または充電状態の厚みである。
【0034】
第1集電体シートまたは第2集電体シートが負極集電体シートである場合、負極集電体シートには、金属フィルム、金属箔などが用いられる。負極集電体シートは、負極活物質と合金を形成せず、電子伝導性に優れていることが好ましい。よって、負極集電体シートは、銅、ニッケル、チタンおよびこれらの合金ならびにステンレス鋼からなる群より選ばれる少なくとも1種の箔であることが好ましい。負極集電体シートの厚みは、例えば5〜30μmであることが好ましい。負極集電体シートの厚みを5μm以上とすることで、負極集電体シートは優れた強度を維持することができる。負極集電体シートの厚みを30μm以下とすることで、負極集電体に、より高い柔軟性を付与することができ、屈曲時に負極集電体シートに大きなストレスが発生しにくくなる。
【0035】
第1活物質層または第2活物質層が正極活物質層である場合、正極活物質層は、正極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とを含む合剤層でもよく、蒸着のような気相法で形成される堆積膜でもよい。正極活物質は、特に限定されないが、例えば、二酸化マンガン、フッ化カーボン(フッ化黒鉛)、リチウム含有複合酸化物、金属硫化物および有機硫黄化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。正極活物質層の厚みは、例えば1〜300μmであることが好ましい。
【0036】
一次電池の正極活物質としては、(CFw)m(式中、mは1以上の整数であり、0<w≦1)で表されるフッ化黒鉛や、二酸化マンガンが適している。二次電池の正極活物質としては、リチウム含有複合酸化物、例えば、LixaCoO2、LixaNiO2、LixaMnO2、LixaCoyNi1-yO2、LixaCoyM1-yOz、LixaNi1-yMyOz、LixbMn2O4、LixbMn2-yMyO4などが適している。ここで、Mは、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、SbおよびBよりなる群から選ばれる少なくとも1つの元素であり、xa=0〜1.2、xb=0〜2、y=0〜0.9、z=2〜2.3である。xaおよびxbは、充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
【0037】
第1集電体シートまたは第2集電体シートが正極集電体シートである場合、正極集電体シートには、金属フィルム、金属箔、金属繊維の不織布のような金属材料が用いられる。正極集電体シートは、例えば、銀、ニッケル、パラジウム、金、白金、アルミニウムおよびこれらの合金ならびにステンレス鋼からなる群より選ばれる少なくとも1種の箔であることが好ましい。正極集電体シートの厚さは、例えば1〜30μmであることが好ましい。
【0038】
次に、図1を参照して、第1外装体および第2外装体に適用し得る、バリア層およびその両面に形成された樹脂層を具備するシート状材料(ラミネートフィルム)について詳しく説明する。
ラミネートフィルム8は、無機材料層(バリア層)8aと、バリア層8aの一方の面に接着された第1の樹脂フィルム8bと、バリア層8aの他方の面に接着された第2の樹脂フィルム8cとを含む積層体である。
【0039】
バリア層8aの形成に用いられる無機材料は、特に限定されないが、バリア性能、強度、耐屈曲性などの点で、金属層、セラミックス層などを用いることが好適である。また、リチウム基準(vs.Li+/Li)で、3ボルト以上の耐電圧を有するバリア層を形成しうる無機材料が好ましい。具体的には、例えば、アルミニウム,チタン,ニッケル,鉄,白金,金,銀等の金属材料や、酸化ケイ素,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム等の無機酸化物材料が好ましい。耐電圧に優れたバリア層を形成することにより、バリア層の酸化等による破損を抑制することができる。これらの中では、得られるラミネートフィルムの可撓性とバリア性とのバランスに優れる点から、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素が特に好ましく、製造コストが低い点からはアルミニウムが特に好ましい。
【0040】
第1外装体のバリア層の厚さは、第1外装体の柔軟性を確保する観点からは、薄いほど望ましく、例えば35μm未満が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。ただし、薄型電池または電池−電子機器接合体の使用期間中のバリア性を確保する観点からは、例えば0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.05μm以上がさらに好ましい。なお、これらの上限および下限は、任意に組み合わせて厚さの範囲を設定できる。例えば、第1外装体では、厚さ0.01〜0.1μmのバリア層が好ましい。
【0041】
一方、第2外装体のバリア層の厚さは、第1外装体のバリア層よりも、バリア性に優れている必要がある。これは、電池包装体の流通および保存に供される期間が比較的長いためである。従って、第2外装体のバリア層の厚さは、比較的厚いことが望ましく、例えば35μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましく、45μm以上がさらに好ましい。ただし、使用者にとって取り扱い易い柔軟性を確保する観点から、第2外装体のバリア層の厚さは、例えば200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、60μm以下がさらに好ましい。なお、これらの上限および下限は、任意に組み合わせて厚さの範囲を設定できる。例えば、第2外装体では、厚さ35〜100μmのバリア層が好ましい。
【0042】
厚さ0.01〜1μmのバリア層を有する第1外装体として好適なラミネートフィルムは、第1の樹脂フィルム8bの一面に、厚みが0.01〜1μmの無機材料の蒸着層8aを形成し、さらに、第2の樹脂フィルム8cをラミネートすることにより製造される。蒸着層8aは、平均厚さが0.01〜1μmになるように無機材料を堆積させることにより形成される。蒸着法の具体例としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法、溶射法等が挙げられる。これらの中では、真空蒸着法が特に好ましく用いられる。
【0043】
蒸着層の平均的な厚さは、好ましくは0.01〜1μm、さらに好ましくは0.02〜0.3μmである。蒸着層の平均的な厚さを0.1μm以下とすることで、ラミネートフィルムは可撓性に特に優れたものとなり、その結果、電池の可撓性も高くなる。また、蒸着層の平均的な厚さを0.01μm以上とすることで、第1外装体に要求される程度のバリア性を十分に確保することができる。
【0044】
厚さ40〜100μmのバリア層を有する第2外装体として好適なラミネートフィルムは、例えば、厚みが40〜100μmの金属箔8aを、第1の樹脂フィルム8bと、第2の樹脂フィルム8cとで、挟んで、ラミネートすることにより製造される。
【0045】
熱溶着の容易さ、耐電解質性および耐薬品性の観点から、第1外装体および第2外装体の内面側に配置される樹脂フィルムの材料は、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などであることが好ましい。また、同様の観点から、内面側の樹脂フィルムの厚さは、10〜100μm、さらには10〜50μmであることが好ましい。
【0046】
強度、耐衝撃性および耐薬品性の観点から、第1外装体および第2外装体の外面側に配置される樹脂フィルムは、6,6−ナイロン、6−ナイロンのようなポリアミド(PA)、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステルなどが好ましい。また、同様の観点から、外面側の樹脂フィルムの厚さは、5〜100μm、さらには10〜50μmであることが好ましい。
【0047】
具体的には、第1外装体および第2外装体としては、PP/Al箔/PAのラミネートフィルム、PP/Al箔/PPのラミネートフィルム、PE/Al箔/PEのラミネートフィルム、酸変性PP/PET/Al箔/PETのラミネートフィルム、酸変性PE/PA/Al箔/PETのラミネートフィルム、アイオノマー樹脂/Ni箔/PE/PETのラミネートフィルム、EVA/PE/Al箔/PETのラミネートフィルム、アイオノマー樹脂/PET/Al箔/PETのラミネートフィルムが挙げられる。
【0048】
ラミネートフィルムの全厚は、例えば15〜300μmであり、30〜150μmであることが好ましい。ラミネートフィルムの全厚が上記範囲であれば、第1外装体および第2外装体に要求される様々な性能を十分に確保することができ、薄型電池や電池包装体の厚さを小さく維持することも容易である。
【0049】
次に、本発明の一実施形態に係る薄型電池について、図2、3を参照しながら説明する。
図2は、薄型電池21の概略断面図である。図3は、電池21の上面図である。図2は、図3のII−II線断面図に相当する。電池21は、電極群13と、電極群13を収納する第1外装体8とを備える。電極群13は、負極11、正極12、および負極11と正極12との間に介在する電解質層7を具備する。負極11は、負極集電体シート1および負極集電体シート1の一方の表面に付着した負極活物質層2を有する。正極12は、正極集電体シート4および正極集電体シート4の一方の表面に付着した正極活物質層5を有する。負極11および正極12は、電解質層7を介して、正極活物質層5と負極活物質層2とが向かい合うように配置されている。負極集電体シート1には負極リード3が接続され、正極集電体シート4には正極リード6が接続されている。負極リード3および正極リード6の一部は、第1外装体8から外部へ露出しており、その露出部は負極外部端子および正極外部端子として機能する。
【0050】
第1外装体8は、図1に示すような、バリア層8aと、その両面にそれぞれ形成された第1の樹脂フィルム8bおよび第2の樹脂フィルム8cと、を具備するラミネートフィルムで形成されている。ラミネートフィルムを第1外装体に形成する方法は特に限定されない。例えば、ラミネートフィルムが、電極群13を平面に沿って2つ並べたときの矩形の面積よりも大きな面積を有する場合、このラミネートフィルムをセンターラインで折り返し、センターラインで繋がれた対向する2辺の周縁部を接着することにより、袋状の第1外装体が得られる。一方、ラミネートフィルムをセンターラインで折り返し、ラミネートフィルムの両端同士を重ね合わせた後、端部同士を溶着すれば、筒状の第1外装体が得られる。
【0051】
負極活物質層2は、例えば、シート状のリチウム金属またはリチウム合金である。リチウム合金としては、例えば、Li−Si合金、Li−Sn合金、Li−Al合金、Li−Ga合金、Li−Mg合金、またはLi−In合金が用いられる。負極容量を確保する観点から、リチウム合金中において、Li以外の元素が存在する割合は、0.1〜10重量%が好ましい。負極集電体シート1にリチウム金属またはリチウム合金を圧着させて、負極集電体シート1とリチウム金属またはリチウム合金とを密着させることにより、負極11が得られる。
【0052】
正極活物質層5は、例えば、正極集電体シート4の一方の面に形成され、正極活物質、結着剤、および必要に応じて導電剤を含む合剤層である。合剤層は良好な柔軟性を有するため、電池の屈曲時に正極集電体シートの変形に十分に追従することができる。
【0053】
正極または負極の合剤層に含ませる導電剤には、天然黒鉛、人造黒鉛などのグラファイト類;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類などが用いられる。
【0054】
正極または負極の合剤層に含ませる結着剤には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸などのアクリル樹脂、スチレンブタジエンゴムなどのゴム類などが用いられる。
【0055】
電解質層7としては、例えば、高分子電解質、固体電解質、セパレータに含浸させた非水電解液等を用いることができる。これらの中では漏液を抑制することができる点から高分子電解質または固体電解質が好ましい。
【0056】
高分子電解質は、例えば、リチウム塩と非水溶媒との混合物である電解液をマトリクスポリマーに保持させることにより調製される。リチウム塩の具体例としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、イミド塩類等が挙げられる。また、非水溶媒の具体例としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状炭酸エステル;ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル;等が挙げられる。マトリクスポリマーの具体例としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とを繰り返し単位に含む共重合体、フッ化ビニリデン(VdF)とトリフルオロエチレン(TFE)とを繰り返し単位に含む共重合体等のフッ素系ポリマー,シリコンゲル,アクリルゲル,アクリロニトリルゲル,ポリフォスファゼン変性ポリマー,ポリエチレンオキサイド,ポリプロピレンオキサイド及びこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等が挙げられる。
【0057】
固体電解質は、例えば、正極または負極の表面に、PVD法やCVD法を用いて、リチウムイオン伝導体を堆積させることにより調製できる。リチウムイオン伝導体の具体例としては、リチウム硫化物等が挙げられる。
【0058】
セパレータに含浸させる非水電解液は、上述したようなリチウム塩と非水溶媒とを混合することで調製される。セパレータとしては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィンや、ポリアミドイミド等のポリアミド等の樹脂から成形された微多孔膜が好ましく用いられる。セパレータの厚さは、例えば8〜30μmである。
【0059】
負極リード3および正極リード6は、例えば、負極集電体シートまたは正極集電体シートにそれぞれ溶接により接続される。負極リードとしては、例えば、銅リード、銅合金リード、ニッケルリード等が好ましく用いられる。正極リードとしては、例えば、ニッケルリード、アルミニウムリード等が好ましく用いられる。
【0060】
薄型電池は、例えば、以下のように作製される。
負極と正極とを、負極活物質層と正極活物質層とが向かい合うように配置し、電解質層を介して、重ね合わせ、電極群を構成する。このとき、負極には、負極リードを取り付け、正極に正極リードを取り付ける。一方、筒状に形成された第1外装体の一方の開口から電極群を挿入した後、その開口を熱溶着により閉じる。この時、筒状の第1外装体の一方の開口から正極リードおよび負極リードの一部が外部へ露出するように電極群を配置する。この露出部が正極外部端子および負極外部端子となる。次に、筒状の第1外装体の他方の開口から非水電解液を注入した後、その開口を熱溶着により閉じる。このようにして、電極群を第1外装体内に密閉する。
【0061】
次に、本発明の一実施形態に係る電池包装体について、図4、5を参照しながら説明する。
図4は、電池包装体31の縦断面図である。図5は、電池包装体31の上面図である。図5は、図4のIV−IV線断面図に相当する。電池21は、第2外装体9により密閉収納されている。第2外装体9は、例えば、対向する2枚の同形状のラミネートフィルムで形成されている。ラミネートフィルムは、図1に示すような、バリア層8aと、その両面にそれぞれ形成された第1の樹脂フィルム8bおよび第2の樹脂フィルム8cを具備する。
【0062】
電池包装体31は、例えば、以下のように作製される。
まず、2枚の同形状のラミネートフィルムを重ね、対向する周縁部9aのうち、3辺の周縁部を熱溶着などにより接着する。これにより、ラミネートフィルムからなる袋状の第2外装体が得られる。次に、残りの1辺の周縁部に相当する第2外装体の開口から、薄型電池21を挿入する。その後、第2外装体の開口を熱溶着などにより接着し、密閉する。開口を密閉する前に、第2外装体の内部を減圧したり、窒素などの不活性ガスを封入したりしてもよい。第2外装体の内部に不活性ガスを封入することにより、万一、第2外装体にピンホールなどが発生して第2外装体内に外気が侵入した場合でも、不活性ガスの大部分が外気で置換されるまでには、かなりの時間を要する。よって、電池21への外気の影響を最小限に抑えることができる。
【0063】
次に、上記の実施形態の第1の変形例について、図6を参照しながら説明する。本変形例は、薄型電池の構成が上記実施形態とは相違する。
図6の電池21Aは、電極群13Aと、電極群13Aを収納する第1外装体8Aとを備える。電極群13Aは、1枚の負極11Aと、これを挟むように配置された一対の正極12Aと、負極11Aと正極12Aとの間に介在する電解質層7Aとを具備する。このような構造は、対称性がよく、いずれの方向に屈曲させても、電池21Aに付与される応力の程度に大きな差が生じない。よって、例えば、電池21Aを電子機器に組み込む際に、電池の方向を意識する必要がなくなる点で便利である。
【0064】
負極11Aは、負極集電体シート1Aおよび負極集電体シート1Aの両方の表面にそれぞれ付着した負極活物質層2Aを有する。一方、一対の正極12Aは、正極集電体シート4Aおよび正極集電体シート4Aの一方の表面のみに付着した正極活物質層5を有する。一対の正極12Aは、電解質層7を介して、正極活物質層5Aと負極11Aとが向かい合うように、負極11Aを挟んで配置される。負極集電体シート1Aには負極リード3Aが接続され、正極集電体シート4Aには正極リード6Aが接続されている。負極リード3Aおよび正極リード6Aの一部は、第1外装体8Aから外部へ露出しており、その露出部は負極端子および正極端子として機能する。なお、第1外装体8Aと各リードとの間には、密閉性を高めるためにシール材料10を介在させてもよい。シール材料10には、熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0065】
次に、上記の実施形態の第2の変形例について、図7A、7B、7Cおよび7Dを参照しながら説明する。
近年、医療分野においては、医師等が患者等の生体情報を監視することを目的として、生体貼付型装置が開発されている。このような生体貼付型装置として、例えば、生体の肌に接触させて、血圧、体温、脈拍等の生体情報を常時測定して無線送信するような生体情報測定装置が挙げられる。また、同じく生体貼付型装置として、所定の電位を与えると、生体外皮を通して体内へ薬剤を供給するイオントフォレシス経皮投薬装置の開発も進められている。
【0066】
生体貼付型装置は、ウェアラブル携帯端末とも称され、生体に密着した状態で使用されるために、長時間肌に密着させていても不快を感じない程度の可撓性が要求される。従って、生体貼付型装置の駆動用電源にも優れた可撓性が要求される。薄型電池は、このような装置の電源として有用である。また、生体貼付型装置は、使用後に廃棄する使い捨てタイプのものが便利である。したがって、開封後の所定期間内に使用することが予定されている、電池または電池−電子機器接合体を内包する電池包装体の用途としても生体貼付型装置は適している。
【0067】
本変形例の電池包装体は、薄型電池とともに、電池からの電力供給により駆動される電子機器を内包するものである。電子機器としては、既に述べたように、生体情報測定装置やイオントフォレシス経皮投薬装置が適している。電池と電子機器は、一体となってシート化されており、フレキシブルな電池−電子機器接合体(電池デバイス)として、第2外装体内に密閉収納される。
【0068】
図7は、生体情報測定装置を具備する電池−電子機器接合体の一例を斜視図で示す。図8は、同接合体を変形させた場合の外観の一例を示している。
生体情報測定装置40は、その構成素子を保持するシート状の保持部材41を具備する。保持部材41は、柔軟性を有する材料で構成され、その内部から表面までの領域に、温度センサ43、感圧素子45、記憶部46、情報送信部47、ボタンスイッチSW1および制御部48が埋め込まれている。薄型電池21は、保持部材41の内部に設けられた平坦な空間に収容されている。つまり、電池21と生体情報測定装置40は、一体となってシート化されており、電池−電子機器接合体42を構成している。なお、電池21は、図2〜3に示したような構造でもよく、図6に示したような構造でもよく、それ以外の構造でもよい。
【0069】
保持部材41には、例えば絶縁性の樹脂材料を用いることができる。電池−電子機器接合体の一方の主面に、例えば粘着力を有する粘着剤49を塗布することで、生体情報測定装置40をユーザの手首、足首、首等に巻き付けることが可能となる。
【0070】
温度センサ43は、例えばサーミスタや熱電対等の感熱素子を用いて構成されており、ユーザの体温を示す信号を制御部48へ出力する。感圧素子45は、ユーザの血圧や脈拍を示す信号を制御部48へ出力する。出力された信号に応じた情報を記憶する記憶部46には、例えば不揮発性メモリを用いることができる。情報送信部47は、制御部48からの信号に応じて必要な情報を電波に変換して放射する。スイッチSW1は、生体情報測定装置40のオンとオフとを切り替える際に使用される。温度センサ43、感圧素子45、記憶部46、情報送信部47、スイッチSW1および制御部48は、例えばフレキシブル基板などに取り付けられ、基板表面に形成された配線パターンにより電気的に接続されている。
【0071】
制御部48は、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、装置の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、これらの周辺回路等とを備えており、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、生体情報測定装置40の各部の動作を制御する。
【0072】
図9は、イオントフォレシス経皮投薬装置の一例を概念的に示す上面図であり、図10は、同装置の概略断面図である。図10は、図9のX−X線断面図に相当する。図11は、同装置に薄型電池101を一体化させた電池ー電子機器接合体の一例の図10に対応する断面図である。
イオントフォレシス経皮投薬装置40Aは、その構成素子を保持するシート状の保持部材111を具備する。保持部材111は、柔軟性を有する材料で構成される。保持部材111の内部には、薄型電池からの電力を制御する半導体素子112と、一対の平坦な電極113、114と、これら一対の電極113、114とそれぞれ対面する一対のリザーバ113a、114aとが埋設されている。リザーバ113a、114aは、いずれも通電可能なゲル状の材料で構成されている。リザーバ113a、114aのいずれか一方には、イオン性薬剤が封入されている。半導体素子112は、例えば定電流ダイオードのような整流作用を有する素子であり、各電極と直列に接続されている。リザーバ113a、114aは、人体等の生体の皮膚に直接貼付される。
【0073】
一対の電極間に電圧を印加すると、その間に配置されたイオン性薬剤は、電極間の電界により加速されて、皮下組織に浸透する。皮膚からの薬剤の浸透性は、半導体素子112によりコントロールされる。
【0074】
次に、上記の実施形態の第3の変形例について、図12、13を参照しながら説明する。本変形例では、第2外装体により内包される薄型電池または電池−電子機器接合体の数が任意に設定される。
図12は、2つの薄型電池21を、1つの第2外装体9A内に密閉収納した電池包装体31Aを上面図で示している。図13は、2つの電池−電子機器接合体42Aを、1つの第2外装体9B内に密閉収納した電池包装体31Bを上面図で示している。電池−電子機器接合体42Aは、例えば、薄型電池21と一体化されたイオントフォレシス経皮投薬装置40Aである。いずれの電池包装体においても、第2外装体は、2枚のラミネートフィルムを重ね、対向する周縁部9Aaおよび9Baのうち、4辺の周縁部を熱溶着などにより接着することにより形成されている。
【0075】
第2外装体により内包される電池または電池−電子機器接合体の数は任意であり、より多くの電池または電池−電子機器接合体を1つの第2外装体内に密閉収納してもよい。また、第2外装体の形状、大きさ、接着部分の配置などは、特に限定されない。例えば、所定の大きさを有するラミネートフィルムを二つに折り曲げ、筒状または袋状にした後、これに電池または電池−電子機器接合体を収納し、その後、残りのラミネートフィルムの端部同士を溶着してもよい。さらに、ラミネートフィルムの互いに隣り合う電池の間の部分(図12の9Ab)または電池−電子機器接合体の間の部分(図13の9Bb)を熱溶着し、電池毎または電池−電子機器接合体毎に密閉された空間を設けるようにしてもよい。
【0076】
なお、図13では、電子機器(例えばイオントフォレシス経皮投薬装置40A)を電池21と並列に配置した場合を示したが、電子機器自体がシート化されている場合には、電池21と電子機器とを上下に重ねて積層体としてもよい。
【0077】
次に、上記の実施形態の第4の変形例について、図14、15を参照しながら説明する。
本変形例では、薄型電池または電池−電子機器接合体が、その使用後に、電池を強制放電させる手段を具備する。電池または電池−電子機器接合体を使用後に廃棄する際、電池に電力が残存している場合には、廃棄前または廃棄後の短い期間内に、電池を強制放電させておくことが望ましい。そこで、電池または電池−電子機器接合体には、その使用後に、開状態から閉状態にすることで電池に外部短絡回路が形成されるような、強制放電作動スイッチを設けておくことが望ましい。
【0078】
図14に示すように、電池−電子機器接合体100は、通常、電池101と、電子機器(負荷)102と、これらを直列に接続する各経路とを具備する回路(第1回路)110を具備する。第1回路110は、第1スイッチ103により開状態から閉状態に変換される。負荷102が、図7および図8で示される生体情報測定装置である場合、スイッチSW1が第1スイッチ103に該当する。
【0079】
図15は、負荷102がイオントフォレシス経皮投薬装置である場合の第1回路の回路図の一例である。第1スイッチ103を開状態から閉状態にすることで、電池101と投薬装置の定電流回路112と、投薬装置の一対の電極113、114とが接続される。一対の電極113、114の間の抵抗Rは、生体の皮膚に貼付されたゲル状の材料からなるリザーバ間の抵抗を示している。
【0080】
図14に示す本変形例の場合、第1回路110の他に、電池の第1電極と、第2電極と、抵抗105と、これらを直列に接続する各経路とを具備する第2回路120を具備する。第2回路120は、強制放電作動スイッチ(第2スイッチ)104により開状態から閉状態に変換される。強制放電作動スイッチ104が第1電極と第1経路を介して接続された第1SW端子と、第2電極と第2経路を介して接続された第2SW端子とを具備する場合、第1SW端子と第2SW端子とを接続することで、外部短絡回路が形成される。
【0081】
電池−電子機器接合体の使用を終えた者が、強制放電作動スイッチを開状態から閉状態に変換(第1SW端子と第2SW端子とを接続)することにより、電池101の正極と負極とが抵抗105だけを介して外部短絡する。これにより、比較的大きな電流が、第2回路120を流れ続け、短期間のうちに電池は完全放電状態に至ることとなる。抵抗105は、第2回路にあまり大きな電流が流れないように、必要に応じて、電池101と直列に接続される。ただし、第2回路に大きな電流が流れる心配がない場合、例えば、第2スイッチの接触状態や正極と負極とを接続させる経路に起因して十分な抵抗が既に存在する場合には、さらに抵抗105を接続する必要はない。
【0082】
電池および電池−電子機器接合体は、柔軟性に優れているため、容易に、物理的に変形させることができる。従って、強制放電作動スイッチ104は、電池または電池−電子機器接合体に物理的な変形を加えることで、開状態から閉状態に変換するものであってもよい。この場合、物理的な変形を加える前には互いに離間されていた第1SW端子と第2SW端子とが、変形後の状態では互いに接触した状態となる。
【0083】
次に、強制放電作動スイッチ(第2スイッチ)の具体的な構成について説明する。
図16(a)の電池−電子機器接合体42Bは、矩形の形状を有し、長手方向に沿う一方の辺の両端付近に、電池21の第1電極と第1経路を介して接続された第1SW端子104xと、電池21の第2電極と第2経路を介して接続された第2SW端子104yとを具備する。電池−電子機器接合体42Bは、例えば、薄型電池21と一体化されたイオントフォレシス経皮投薬装置40Aである。第1SW端子104xと第2SW端子104yは、所定の折り曲げ位置(破線X)で電池−電子機器接合体42Bを折り曲げた場合に、互いに対向するように配置されている。電池−電子機器接合体42Bは、薄いシート状であるため、その使用を終えた者が容易に折り曲げ可能である。つまり、図16(b)、(c)に示すように、電池−電子機器接合体42Bを折り曲げる動作により、第1SW端子104xと第2SW端子104yとが接触し、電池21を含む外部短絡回路が形成される。
【0084】
折り曲げられた電池−電子機器接合体42Bは、図16(c)のように、第1SW端子104xと第2SW端子104yとが接触した状態を、少なくとも暫くの間は維持することが望ましい。したがって、電池−電子機器接合体42Bは、第1SW端子104xと第2SW端子104yとを接触させた状態で固定し得る固定手段を具備することが好ましい。このような要請に対しては、例えば、第1SW端子104xおよび第2SW端子104yが露出する側の電池−電子機器接合体42Bの面に、粘着剤を付与することが望ましい。このような粘着剤は、生体に電池−電子機器接合体42Bを貼付するためにも利用することができる。あるいは、第1SW端子104xおよび第2SW端子104yの一方を凹状に、他方を凸状に形成し、両者が互いに係合するように構成してもよい。
【0085】
第1SW端子および第2SW端子の形態は、特に限定されない。例えば、第1SW端子と第2SW端子との確実な接触を確保するために、第1SW端子と第2SW端子の面積をより大きくしてもよい。また、イオントフォレシス経皮投薬装置の場合は、リザーバ113a、113bがそれぞれ第1SW端子、第2SW端子となっても構わない。また、電池−電子機器接合体に限らず、電池自体に強制放電作動スイッチを構成する第1SW端子および第2SW端子を形成してもよい。
【0086】
図17に示す薄型電池21Bは、負極リード3Aと正極リード6Aが、矩形の電池の互いに対向する二辺から外部に導出されている。リード3A、6Aは、外部に露出する部分以外に、シール材料10A、10Bで覆われた内部リード部3a、6aを有する。内部リード部3a、6aは、強制放電作動スイッチを構成する外部に露出した第1SW端子23および第2SW端子24とそれぞれ接続されている。第1SW端子23および第2SW端子24の面積は、いずれも電池の輪郭で囲まれた面積の1〜20%である。電池21Bを破線Yで折り曲げて二つ折りにすると、第1SW端子23と第2SW端子24とが、ほぼ確実に接触する。また、電池21Bの第1SW端子23と第2SW端子24とが露出する面には、その端子面を除いて、ほぼ全面にわたって粘着剤25が付与されており、粘着剤25により第1SW端子23と第2SW端子24とが接触した状態が維持される。
【0087】
リード3A、6Aは、電池の外部端子として利用されるが、これらは内部リード部3a、6a(第1SW端子23、第2SW端子24)と互いに互換性がある。つまり、リード3A、6Aを適宜整形して強制放電作動スイッチのSW端子として利用するとともに、第1SW端子23、第2SW端子24を電池の外部端子(電子機器に接続する電力供給用の端子)として利用してもよい。
【0088】
強制放電作動スイッチが、電池または電池−電子機器接合体の折り曲げに伴って開状態から閉状態に変換される場合、電池または電池−電子機器接合体には、折り曲げ予定部を設けることが望ましい。折り曲げ予定部は、電池または電池−電子機器接合体の他の部分よりも、柔軟性が高くなるように設計される。例えば、折り曲げ予定部の引張弾性率は、他の部分よりも小さくなるように設計される。あるいは、折り曲げ予定部の幅を、他の部分より狭くしてもよい。
【0089】
強制放電作動スイッチは、電池または電池−電子機器接合体の折り曲げに伴って開状態から閉状態に変換されるものである必要はない。例えば、押しボタン式のスイッチでもよい。また、強制放電作動スイッチは、電池または電池−電子機器接合体の物理的変形に伴って作動するものでなくてもよい。例えば、電池−電子機器接合体が生体に貼付された状態から剥がされたときに、自動的に使用終了を検知し、強制放電作動スイッチが作動するように、制御回路で制御してもよい。このような制御回路は、電子機器に組み込めばよい。
【0090】
図18に押しボタン式スイッチの一例を示す。図18において、第1SW端子23Aは環状の絞り部(小径部)27を有する円筒形状であり、第1SW端子23Aと対向配置された第2SW端子24Aは平坦形状である。図18(a)に示すように、第2SW端子24Aの周縁部には、第1SW端子23Aと第2SW端子24Aとを離間させるとともに、第1SW端子23Aの絞り部27と係合させる鍔部28を有する絶縁性スペーサ26が取り付けられている。電池または電池−電子機器接合体の使用前および使用中は、第1SW端子23Aと第2SW端子24Aとが離間した状態((a)の状態)であり、その使用後に第1SW端子23Aを第2SW端子24Aに向かって押し込むと、図18(b)に示すように、鍔部28が絞り部27に係合するとともに、第1SW端子23Aと第2SW端子24Aとが接触した状態で固定される。なお、第1SW端子23Aは、例えば、電池の第1電極と接続されて外部に導出されるリード片3bの一部と接続する。同様に、第2SW端子24Aは、電池の第2電極と接続されて外部に導出されるリード片6bの一部と接続する。
【0091】
なお、電池を強制放電させる手段は、図14に示すような、第2回路に限られない。シート化された電子機器が、図9および図10に示すように、その主要平坦面の対称な位置に、電池の正極および負極と接続された一対の電極を有する場合には、その一対の電極を折り曲げなどの物理的変形により接触させる構成としてもよい。
【0092】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
以下の手順で、図2、3に示す薄型電池を作製した。
(1)負極の作製
負極集電体シート1として、厚さ12μmの電解銅箔を準備した。その電解銅箔の一方の面に、負極活物質層2であるリチウム金属箔(厚み20μm)を100N/cmの線圧で圧着し、負極11を得た。これを5mm×5mmのタブ部を有する50mm×50mmのサイズに切り抜いた後、タブ部に銅製の負極リード3を超音波溶接した。
【0093】
(2)正極の作製
正極活物質である350℃で加熱した電解二酸化マンガンと、導電剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)の溶液とを、二酸化マンガン:アセチレンブラック:PVDFの重量比が100:5:5となるように混合した後、NMPを適量加え、正極合剤ペーストを得た。
【0094】
正極集電体シート4として、アルミニウム箔(厚さ15μm)を準備した。そのアルミニウム箔の一方の面に、正極合剤を塗布し、85℃で10分乾燥し、正極活物質層5を形成した後、それをロールプレス機にて12000N/cmの線圧で圧縮し、正極12を得た。これを5mm×5mmのタブ部を有する50mm×50mmのサイズに切り抜いた後、120℃で2時間減圧乾燥した。タブ部にアルミニウムの正極リード6を超音波溶接した。
【0095】
(3)電極群の作製
負極活物質層2と正極活物質層5とが互いに向かい合うように負極11および正極12を配置した後、負極11と正極12との間に、微多孔性ポリエチレンフィルム(52mm×52mm、厚さ9μm、)からなるセパレータを配置し、電極群13を得た。
【0096】
(4)電池の組立て
アルミニウム製のバリア層を有する筒状のラミネートフィルムからなる第1外装体8に電極群13を収納した。ラミネートフィルムには、PP層(厚さ35μm)/アルミニウム蒸着膜(厚さ0.05μm)/ナイロン(PA)層(厚さ15μm)の3層構造で、総厚約50μmのものを用いた。PP層を内側に、PA層を外側に配置した。
【0097】
第1外装体8の一方の開口に正極リード6および負極リード3を通し、正極リード6の一部および負極リード3の一部を外装体8から露出させた。各リードを挟んで、第1外装体8の一方の開口を熱溶着により閉じた。正極リード6および負極リード3における第1外装体8内から外部へ露出した部分を、それぞれ正極外部端子および負極外部端子とした。次に、第1外装体8の他方の開口から非水電解質0.8gを注入した後、660mmHgの減圧環境下で10秒間脱気した。非水電解質には、LiClO4を1mol/Lの濃度で溶解させた非水溶媒を用いた。非水溶媒には、プロピレンカーボネートおよびジメトキシエタンの混合溶媒(体積比1:1)を用いた。
【0098】
第1外装体8の他方の開口を熱溶着により閉じ、第1外装体8内に電極群13を密閉した。このようにして、サイズ60mm×65mm、厚さ約0.2mmの薄型電池21(電池A)を作製した。 得られた電池は45℃で1日間エージングした。
【0099】
(5)電池包装体の作製
アルミニウム製のバリア層を有する2枚のラミネートフィルムからなる第2外装体9により、薄型電池21を密閉収納した。まず、65mm×65mmのサイズの2枚のラミネートフィルムを準備した。ラミネートフィルムには、PP層(厚さ45μm)/アルミニウム箔(厚さ40μm)/ナイロン(PA)層(厚さ25μm)の3層構造で、総厚約120μmのものを用いた。2枚のラミネートフィルムをPP層が内側になるように重ね、対向する周縁部のうち3辺の周縁部を熱溶着により接着し、ラミネートフィルムからなる袋状の第2外装体9を形成した。次に、残りの1辺の周縁部に相当する第2外装体の開口から、電池21を挿入した。その後、第2外装体の開口を、窒素雰囲気中で熱溶着により接着し、電池包装体Aを得た。
【0100】
[評価]
【0101】
各外装体の引張弾性率を以下の方法で測定した。
各外装体を構成するラミネートフィルムを平行部幅5mm、標線間距離20mmの引張試験3号ダンベルに切出し、JIS K7161に準拠して5mm/分の引張速度にて万能試験機を用いて引張試験を行い、引張弾性率を求めた。
【0102】
各外装体の水蒸気透過率を以下の方法で測定した。
JIS K7129 B法に準拠して、各外装体を構成するラミネートフィルムの水蒸気透過率を、温度40℃、相対湿度90%の環境下で測定した。
【0103】
第1外装体および第2外装体のバリア層を、下記のように変更したこと以外、上記と同様に薄型電池と電池包装体を作製した。「(比)」は比較例である。
【0104】
【表1】
【0105】
引張弾性率が小さくなるほど、人体に対する装着感は向上する。しかし、表1より、第1外装体の引張弾性率が小さくなるほど、バリア層が薄くなり、水蒸気透過率が高くなる傾向があることがわかる。なお、第1外装体の引張弾性率が100MPaを超えると、電池の柔軟性が不十分となり、十分に満足のいく装着感が得られない。
【0106】
次に、各電池包装体と、第2外装体に密閉収納する前の電池とを準備し、下記の所定期間、温度25℃、相対湿度60%の環境にこれらを保存し、保存後の電池の放電容量を測定した。保存前の電池についても、あらかじめ同様に放電容量を測定した。保存後の電池の保存前に対する容量維持率を算出した。
なお、放電容量の測定は下記条件で実施した。
環境温度:25℃
放電電流密度:250μA/cm2(正極の単位面積あたりの電流値)
放電終止電圧:1.8V
そして、下記式より、保存後の電池の容量維持率(%)を求めた。
容量維持率(%)=(保存後の電池の放電容量/保存前の電池の放電容量)×100
【0107】
【表2】
【0108】
以上より、水蒸気透過率の低い第2外装体で密閉収納することで、第1外装体の水蒸気透過率に関わらず、薄型電池の性能が長期間維持されることがわかる。
また、第2外装体を開封後は、水蒸気透過率の高い(引張弾性率の低い)第1外装体を具備する電池であっても、電子機器の駆動用電源として必要とされる短期間であれば、性能が維持されることがわかる。
【0109】
《実施例2》
以下の手順で、図17に示すような薄型電池を作製した。
(1)負極の作製
負極11のサイズを60×40mmの長方形とし、タブ部および負極リード3の位置を一方の短辺の中央に変更し、負極リード3の幅を6mmとしたこと以外、実施例1と同様の負極を作製した。
【0110】
(2)正極の作製
正極12のサイズを60×40mmの長方形とし、タブ部および正極リード6の位置を一方の短辺の中央に変更し、正極リード6の幅を6mmとしたこと以外、実施例1と同様の正極を作製した。
【0111】
(3)電極群の作製
実施例1と同様に、負極活物質層2と正極活物質層5とが互いに向かい合うように負極11および正極12を配置した。ただし、正極リードと負極リードは、互いに逆方向に突出させた。その後、負極11と正極12との間に、微多孔性ポリエチレンフィルム(62mm×42mm、厚さ9μm)からなるセパレータを配置し、電極群13を得た。
【0112】
(4)電池の組立て
実施例1で用いたのと同じラミネートフィルムからなる第1外装体8に、電極群13を収納した。ただし、第1外装体8のサイズは電極群13のサイズに応じて変更した。また、2枚のラミネートフィルムをPP層が内側になるように重ね、対向する周縁部のうち、一対の長辺に対応する周縁部を熱溶着により接着し、筒状のラミネートフィルムからなる第1外装体を形成した。
【0113】
第1外装体8の一方の開口に正極リード6、他方の開口に負極リード3を通し、正極リード6の一部および負極リード3の一部を外装体8から露出させた。負極リード3を挟んで、外装体8の一方の開口を熱溶着により閉じた。次に、外装体8の他方の開口から非水電解質0.8gを注入した後、660mmHgの減圧環境下で10秒間脱気した。非水電解質には、実施例1と同じものを用いた。その後、正極リード6を挟んで、第1外装体8の他方の開口を熱溶着により閉じ、第1外装体8内に電極群13を密閉した。このようにして、サイズ75mm×50mm、厚さ約0.2mmの薄型電池21(電池X)を作製した。 得られた電池は45℃で1日間エージングした。
【0114】
負極リード3および正極リード6における外装体8内から外部へ露出した部分を、突出方向に沿って2つのリード片に分割した。そして、一方の負極リード片3aおよび一方の正極リード片6aを、電池の同じ面側に折り曲げ、先端部を除いて絶縁テープ10Aで覆うとともに電池に固定した。次に、負極リード片3aおよび正極リード片6aの先端に、それぞれサイズ14mm×14mmの銅箔およびアルミニウム箔を負極外部端子23および正極外部端子24として溶接し、各々を接着剤で第1外装体8の外面に貼り付けた。銅箔およびアルミニウム箔を貼り付けた第1外装体の面の余白には、粘着剤を塗布した。
【0115】
(5)電池−電子機器接合体の作製
図9、10に示すようなサイズ80mm×70mmのイオントフォレシス経皮投薬装置を準備した。投薬装置の一方の面の中央には、定電流ダイオードを有する半導体素子112を配置し、他方の面には、一対の電極113、114およびこれに積層された一対のリザーバ113a、114aを並列に配置した。半導体素子112の両側には、電極113、114と導通する一対の接続用端子を配置した。その一対の接続用端子を、それぞれ電池101の負極外部端子23および正極外部端子24と接触させるとともに、図11に示すように、電池101と投薬装置を積層した。電池に塗布された粘着剤により、電池と投薬装置は互いに固定された。
【0116】
他方の負極リード片3Aおよび他方の正極リード片6Aを、投薬装置側に折り曲げ、先端部を除いて絶縁テープで覆うとともに投薬装置に固定した。次に、負極リード片3Aおよび正極リード片6Aの先端に、それぞれサイズ14mm×14mmの銅箔およびアルミニウム箔を負極SW端子および正極SW端子として溶接した。負極SW端子および正極SW端子を、接着剤で、投薬装置のリザーバが露出する面の周縁部に貼り付け、電池−電子機器接合体を完成させた。
【0117】
(6)電池包装体の作製
実施例1で用いたのと同じラミネートフィルムからなる第2外装体9により、実施例1と同様の要領で、電池−電子機器接合体を密閉収納した。1000時間後に第2外装体を開封し、電池−電子機器接合体の電池電圧を測定し、投薬装置を作動させ、電池容量の10%を消費させた。そして、投薬装置のリザーバが露出する面に設けられた負極SW端子と正極SW端子とが接触するように、電池−電子機器接合体を二つ折にして固定した。24時間後に電池電圧を測定したところ、0.05Vであり、電池が完全放電状態であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の電池包装体は、水蒸気に対するバリア性とともに柔軟性を確保することが要求される薄型電池や、これと一体化された電子機器、特に、生体に貼り付けて使用するイオントフォレシス経皮投薬装置や生体情報測定装置のような小型の電子機器に適用できる。
【符号の説明】
【0119】
1:負極集電体シート、2:負極活物質層、3:負極リード、4:正極集電体シート、5:正極活物質層、6:正極リード、7:電解質層、8:第1外装体、9:第2外装体、11:負極、12:正極、13:電極群、21,101:薄型電池、31:電池包装体、40,102:電子機器、41:保持部材、42,100:電池−電子機器接合体、103:第1スイッチ、104:強制放電作動スイッチ(第2スイッチ)、105:抵抗、110:第1回路、120:第2回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の電極群と、非水電解質と、前記電極群と前記非水電解質とを密閉収納する第1外装体と、を含む薄型電池と、前記薄型電池を密閉収納する第2外装体と、を含み、
前記電極群は、第1集電体シートおよびその表面に付着した第1活物質層を含む第1電極と、第2集電体シートおよびその表面に付着した第2活物質層を含む第2電極と、前記第1活物質層と前記第2活物質層との間に介在する、前記非水電解質を含む電解質層と、具備し、
前記第1外装体の引張弾性率は、10〜100MPaであり、
前記第2外装体の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の環境において、0.001g/m2・day以下である、電池包装体。
【請求項2】
前記第1外装体の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の環境において、1g/m2・day以下である、請求項1記載の電池包装体。
【請求項3】
前記第1外装体は、水蒸気バリア層および前記バリア層の両面に形成された樹脂層を含み、前記バリア層の厚さが、35μm未満である、請求項1または2記載の電池包装体。
【請求項4】
前記バリア層の厚さが、1μm以下である、請求項3記載の電池包装体。
【請求項5】
前記第2外装体は、水蒸気バリア層および前記バリア層の両面に形成された樹脂層を含み、前記バリア層の厚さが、35μm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項6】
前記バリア層が、金属層またはセラミックス層である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項7】
前記薄型電池の厚さが、1mm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項8】
さらに、前記薄型電池からの電力供給により駆動される電子機器を具備し、
前記第2外装体は、前記薄型電池とともに前記電子機器を密閉収納する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項9】
前記薄型電池と前記電子機器とが、一体となってシート化されている、請求項8記載の電池包装体。
【請求項10】
前記第1電極と前記第2電極とが外部短絡した状態と、前記第1電極と前記第2電極とが外部短絡していない状態と、を切り替える強制放電作動スイッチを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項11】
前記第1活物質層または前記第2活物質層が、金属リチウムまたはリチウム合金を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項12】
前記電子機器が、生体情報測定装置またはイオントフォレシス経皮投薬装置である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項13】
前記第1活物質層が、前記第1集電体シートの一方の表面のみに付着しており、
前記第2活物質層が、前記第2集電体シートの一方の表面のみに付着しており、
前記第1集電体シートの他方の表面および前記第2集電体シートの他方の表面は、前記第1外装体の内面と接している、請求項1〜12のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項14】
一対の前記第1電極を具備し、
前記第1活物質層は、前記第1集電体シートの一方の表面のみに付着しており、
前記第2活物質層は、前記第2集電体シートの両方の表面に付着しており、
前記第2電極は、前記一対の第1電極の第1活物質層間に挟持されており、
前記一対の第1電極の第1集電体シートの他方の表面は、それぞれ前記第1外装体の内面と接している、請求項1〜12のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項1】
シート状の電極群と、非水電解質と、前記電極群と前記非水電解質とを密閉収納する第1外装体と、を含む薄型電池と、前記薄型電池を密閉収納する第2外装体と、を含み、
前記電極群は、第1集電体シートおよびその表面に付着した第1活物質層を含む第1電極と、第2集電体シートおよびその表面に付着した第2活物質層を含む第2電極と、前記第1活物質層と前記第2活物質層との間に介在する、前記非水電解質を含む電解質層と、具備し、
前記第1外装体の引張弾性率は、10〜100MPaであり、
前記第2外装体の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の環境において、0.001g/m2・day以下である、電池包装体。
【請求項2】
前記第1外装体の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の環境において、1g/m2・day以下である、請求項1記載の電池包装体。
【請求項3】
前記第1外装体は、水蒸気バリア層および前記バリア層の両面に形成された樹脂層を含み、前記バリア層の厚さが、35μm未満である、請求項1または2記載の電池包装体。
【請求項4】
前記バリア層の厚さが、1μm以下である、請求項3記載の電池包装体。
【請求項5】
前記第2外装体は、水蒸気バリア層および前記バリア層の両面に形成された樹脂層を含み、前記バリア層の厚さが、35μm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項6】
前記バリア層が、金属層またはセラミックス層である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項7】
前記薄型電池の厚さが、1mm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項8】
さらに、前記薄型電池からの電力供給により駆動される電子機器を具備し、
前記第2外装体は、前記薄型電池とともに前記電子機器を密閉収納する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項9】
前記薄型電池と前記電子機器とが、一体となってシート化されている、請求項8記載の電池包装体。
【請求項10】
前記第1電極と前記第2電極とが外部短絡した状態と、前記第1電極と前記第2電極とが外部短絡していない状態と、を切り替える強制放電作動スイッチを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項11】
前記第1活物質層または前記第2活物質層が、金属リチウムまたはリチウム合金を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項12】
前記電子機器が、生体情報測定装置またはイオントフォレシス経皮投薬装置である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項13】
前記第1活物質層が、前記第1集電体シートの一方の表面のみに付着しており、
前記第2活物質層が、前記第2集電体シートの一方の表面のみに付着しており、
前記第1集電体シートの他方の表面および前記第2集電体シートの他方の表面は、前記第1外装体の内面と接している、請求項1〜12のいずれか1項に記載の電池包装体。
【請求項14】
一対の前記第1電極を具備し、
前記第1活物質層は、前記第1集電体シートの一方の表面のみに付着しており、
前記第2活物質層は、前記第2集電体シートの両方の表面に付着しており、
前記第2電極は、前記一対の第1電極の第1活物質層間に挟持されており、
前記一対の第1電極の第1集電体シートの他方の表面は、それぞれ前記第1外装体の内面と接している、請求項1〜12のいずれか1項に記載の電池包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図13】
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【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−48042(P2013−48042A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185770(P2011−185770)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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