説明

電池溶接部の検査方法

【課題】第1電池構成部材と第2電池構成部材とを溶接してなる電池溶接部の溶接の良否を、適切且つ簡易に判定できる電池溶接部の検査方法を提供する。
【解決手段】プローブ12(超音波送受信器)から送信した超音波を、封口部材115(第2電池構成部材)の外面115cのうち電池溶接部115Xの表面115Yを含む超音波照射部115Sに照射し、封口部材115及び負極集電部材130(第1電池構成部材)で反射した反射超音波をプローブ12で受信する計測工程(ステップS2,S3)と、受信した反射超音波のうち、電池溶接部115Xを経由して、負極集電部材130の裏面131bで反射した特定反射超音波の強度に基づいて、電池溶接部115Xの溶接の良否を判定する判定工程(ステップS4〜S7)と、を備える電池溶接部の検査方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1電池構成部材と第2電池構成部材とを溶接してなる電池溶接部の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、多数の部材で構成されており、金属部材の数も多い。このような金属部材同士の接合方法として、溶接が用いられる場合がある。例えば、電極板の電荷を集電する金属からなる集電部材(第1電池構成部材)と、金属からなる電池ケース(第2電池構成部材)とを溶接した電池が挙げられる。
ところで、近年、非破壊的に電池内部を超音波により検査する手法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、電池内部へ超音波を発振する超音波振動子と、電池内部で得られた超音波の反射波および透過波を受信する超音波センサとを、電池の電槽壁に配置しそれぞれ上下運動させる。このとき、超音波センサで得た超音波データをもとに、電池内部構造をブラウン管表示に映像として出力して検査する。
【0003】
【特許文献1】特開昭62−56809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、超音波振動子および超音波センサを上下させながら検査する工程、および、電池内部構造をブラウン管で映像化して1つずつ欠陥を探す工程を別途設ける必要があるなど、検査時間が長くかかり、実用性が低かった。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、第1電池構成部材と第2電池構成部材とを溶接してなる電池溶接部の溶接の良否を、適切且つ簡易に判定できる電池溶接部の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その解決手段は、第1電池構成部材と第2電池構成部材とを溶接してなる電池溶接部であって、上記第2電池構成部材のうち上記第1電池構成部材との溶接面と反対側に位置する外面から、上記第1電池構成部材のうち上記第2電池構成部材との溶接面と反対側に位置する裏面に向かって形成された電池溶接部の検査方法であって、超音波送受信器から送信した超音波を、上記第2電池構成部材の上記外面のうち上記電池溶接部の表面を含む超音波照射部に照射し、上記第2電池構成部材及び上記第1電池構成部材で反射した反射超音波を上記超音波送受信器で受信する計測工程と、受信した上記反射超音波のうち、上記電池溶接部を経由して、上記第1電池構成部材の上記裏面で反射した特定反射超音波の強度に基づいて、上記電池溶接部の溶接の良否を判定する判定工程と、を備える電池溶接部の検査方法である。
【0007】
本発明の電池溶接部の検査方法は、第1電池構成部材と第2電池構成部材とを溶接してなる電池溶接部であって、第2電池構成部材の外面から第1電池構成部材の裏面に向かって形成された電池溶接部について、溶接の良否を検査する方法である。
本発明の検査方法では、計測工程で受信した反射超音波のうち、電池溶接部を経由して第1電池構成部材の裏面で反射した特定反射超音波の強度に基づいて、電池溶接部の溶接の良否を判定する。
【0008】
特定反射超音波の強度は、電池溶接部の溶接状態により異なる。具体的には、第1電池構成部材と第2電池構成部材との溶接の程度によって第1電池構成部材への超音波の伝わり易さが異なるので、これに応じて特定超音波の強度も異なってくる。詳細には、第1電池構成部材と第2電池構成部材との溶接界面(溶接前に第1電池構成部材と第2電池構成部材との界面であったと想定される仮想界面)における電池溶接部の断面積(以下、溶接界面断面積ともいう)が大きいほど、第1電池構成部材に超音波が伝わり易くなる(伝わる経路が増大する)ので、特定反射超音波の強度が大きくなる。また、溶接界面断面積が大きいほど、第1電池構成部材と第2電池構成部材との接合が強固になるので好ましい。従って、受信した特定反射超音波の強度に基づいて、適切に、電池溶接部の溶接の良否を判定することができる。例えば、特定反射超音波の強度が所定の閾値(合格基準値)以上であれば、電池溶接部の溶接は良好(十分)であると判定し、所定の閾値(合格基準値)未満であれば溶接不良(溶接不十分)と判定することができる。
【0009】
このように、本発明の検査方法によれば、第1電池構成部材と第2電池構成部材とを溶接してなる電池溶接部の溶接の良否を、適切且つ簡易に判定することができる。
【0010】
なお、超音波送受信器と超音波照射部(第2電池構成部材の外面)との間には、水、トルエン、イソパラフィン系炭化水素、エタノール、メタノール、ヘキサン、エチレングリコール等の液体を介在させるのが好ましい。超音波送受信器と超音波照射部との間で、超音波が伝わり易くなるからである。例えば、第1電池構成部材を溶接した第2電池構成部材を水中に浸漬し、超音波送受信器の送受信部(先端部)を水中に入れた状態で、計測工程を行うのが好ましい。超音波送受信器としては、例えば、超音波探触子(プローブ)を挙げることができる。
【0011】
さらに、上記の電池溶接部の検査方法であって、前記第1電池構成部材は、電極板に接続された集電部材であり、前記第2電池構成部材は、上記電極板及び上記集電部材を収容する電池ケース(または電池ケースの構成部材)である電池溶接部の検査方法とすると良い。
【0012】
本発明の検査方法によれば、集電部材と電池ケースまたはその構成部材(封口部材など)との溶接状態を、適切且つ簡易に判断することができる。すなわち、集電部材と電池ケース(またはその構成部材)とを溶接してなる電池溶接部の溶接の良否を、適切且つ簡易に判定することができる。
【0013】
さらに、上記の電池溶接部の検査方法であって、前記電池溶接部は、前記第1電池構成部材を前記第2電池構成部材に接触させた状態で、上記第2電池構成部材の前記外面にエネルギービームを照射して、上記第1電池構成部材を上記第2電池構成部材に溶接してなる電池溶接部の検査方法とするのが好ましい。
【0014】
第1電池構成部材を第2電池構成部材に接触させた状態で、第2電池構成部材の外面にエネルギービーム(電子ビームやレーザービーム等)を照射することで、電池溶接部を形成して、第1電池構成部材と第2電池構成部材とを溶接することができる。しかしながら、内部への溶け込み量が小さく、第1電池構成部材と第2電池構成部材との溶接界面における電池溶接部の断面積(溶接界面断面積)が小さくなった場合は、第1電池構成部材と第2電池構成部材との溶接は不十分(溶接不良)となる。これに対し、本発明の検査方法を用いることで、このような溶接不良を適切に見極めることができる。
【0015】
さらに、上記いずれかの電池溶接部の検査方法であって、前記判定工程は、前記特定反射超音波の強度が、前記第1電池構成部材と前記第2電池構成部材との溶接界面における前記電池溶接部の断面積が合格値であるときに得られる合格基準値以上であるか否かを判定し、上記特定反射超音波の強度が上記合格基準値以上であれば上記電池溶接部の溶接は良好であると判定する電池溶接部の検査方法とするのが好ましい。
【0016】
前述のように、溶接界面断面積が大きいほど、第1電池構成部材に超音波が伝わり易くなるので、特定反射超音波の強度が大きくなる。また、溶接界面断面積が大きいほど、第1電池構成部材と第2電池構成部材との接合が強固となるので好ましい。従って、特定反射超音波の強度が合格基準値以上であれば、第1電池構成部材と第2電池構成部材との溶接(電池溶接部の溶接)が良好(合格レベル)であると判断することができる。逆に、特定反射超音波の強度が合格基準値未満であれば、第1電池構成部材と第2電池構成部材とが溶接されていても、溶接が不十分である(合格レベルに達していない)として溶接不良と判断することができる。
【0017】
さらに、上記いずれかの電池溶接部の検査方法であって、前記判定工程は、受信した前記反射超音波の波形に基づいて、前記第1電池構成部材と前記第2電池構成部材とが溶接されているか否かを判定する第1判定工程と、上記第1判定工程において上記第1電池構成部材と上記第2電池構成部材とが溶接されていると判定した場合に、前記特定反射超音波の強度が、上記第1電池構成部材と上記第2電池構成部材との溶接界面における前記電池溶接部の断面積が合格値であるときに得られる合格基準値以上であるか否かを判定する第2判定工程と、を備える電池溶接部の検査方法とすると良い。
【0018】
本発明では、第1判定工程において、計測工程で受信した反射超音波の波形に基づいて、第1電池構成部材と第2電池構成部材とが溶接されているか否かを判定する。第1電池構成部材と第2電池構成部材とが溶接されている場合は、電池溶接部を通じて第2電池構成部材と第1電池構成部材との間で超音波が伝わるが、第1電池構成部材と第2電池構成部材とが溶接されていない場合は、第2電池構成部材と第1電池構成部材との間で超音波が伝わらない。このため、第1電池構成部材と第2電池構成部材とが溶接されている場合と溶接されていない場合とでは、反射超音波の波形が大きく異なる。従って、受信した反射超音波の波形を見れば、容易且つ適切に、第1電池構成部材と第2電池構成部材とが溶接されているか否かを判断することができる。
【0019】
さらに、本発明では、第1判定工程において第1電池構成部材と第2電池構成部材とが溶接されていると判定した場合に、特定反射超音波の強度が、第1電池構成部材と第2電池構成部材との溶接界面(電池溶接部において、溶接前に第1電池構成部材と第2電池構成部材との界面であったと想定される仮想界面)における電池溶接部の断面積(以下、溶接界面断面積ともいう)が合格値であるときに得られる合格基準値以上であるか否かを判定する。
【0020】
前述のように、溶接界面断面積が大きいほど、第1電池構成部材に超音波が伝わり易くなるので、特定反射超音波の強度が大きくなる。また、溶接界面断面積が大きいほど、第1電池構成部材と第2電池構成部材との接合が強固となるので好ましい。従って、特定反射超音波の強度が合格基準値以上であれば、第1電池構成部材と第2電池構成部材との溶接(電池溶接部の溶接)が良好(合格レベル)であると判断することができる。逆に、特定反射超音波の強度が合格基準値未満であれば、第1電池構成部材と第2電池構成部材とが溶接されていても、溶接が不十分である(合格レベルに達していない)として溶接不良と判断することができる。
【0021】
このように、本発明の検査方法では、第1電池構成部材と第2電池構成部材とが溶接されているか否かを判定し、さらに、第1電池構成部材と第2電池構成部材とが溶接されている場合であっても、第1電池構成部材と第2電池構成部材との溶接(電池溶接部の溶接)が十分であるか(合格レベルに達しているか)否かまで判断することができる。
【0022】
なお、特定反射超音波の強度の合格基準値は、前もって、実験等により取得しておく。例えば、エネルギービームの照射量を段階的に異ならせて第1電池構成部材と第2電池構成部材とを溶接したサンプルを多数用意し、各サンプルについて、本発明の検査方法の計測工程により、特定反射超音波の強度を取得する。その後、各サンプルを分解して、第1電池構成部材と第2電池構成部材との溶接界面における電池溶接部の断面積(溶接界面断面積)を実測する。そして、実測した溶接界面断面積が合格値であるサンプルを抽出し、このサンプルで得られた特定反射超音波の強度を合格基準値と定めることができる。
【0023】
さらに、上記いずれかの電池溶接部の検査方法であって、前記計測工程に先立って、前記電池溶接部の前記表面を平坦にする平坦化工程を備える電池溶接部の検査方法とすると良い。
【0024】
本発明の検査方法では、計測工程に先立って、電池溶接部の表面を平坦にする。第1電池構成部材と第2電池構成部材とを溶接してなる電池溶接部の表面は、凹凸状になりがちである。特に、第2電池構成部材の外面の複数箇所にエネルギービームを照射して溶接した場合は、電池溶接部の表面の凹凸が大きくなる。電池溶接部の表面が凹凸状であると、計測工程で電池溶接部の表面に照射した超音波が電池溶接部の内部に透過し難くなり、適切な測定ができない虞がある。これに対し、計測工程に先立って、電池溶接部の表面を平坦にしておくことで、電池溶接部の表面に照射した超音波が電池溶接部の内部に透過し易くなるので、計測工程において適切な測定を行うことができる。
【0025】
なお、平坦化工程としては、例えば、先端がフラットなエンドミルを用いて、電池溶接部の表面を切削して平坦にする方法を挙げることができる。
【0026】
さらに、上記の電池溶接部の検査方法であって、前記平坦化工程は、前記電池溶接部の前記表面の表面粗さRaを40μm以下にする電池溶接部の検査方法とすると良い。
【0027】
本発明の検査方法では、平坦化工程において、電池溶接部の表面の表面粗さRa(JIS B0601;算術平均高さ)を40μm以下にする。これにより、電池溶接部の表面に照射した超音波が電池溶接部の内部に透過し易くなるので、計測工程において適切な測定を行うことができる。
【0028】
さらに、上記いずれかの電池溶接部の検査方法であって、前記電池溶接部の正規位置からの位置ズレであって、前記第2電池構成部材の前記外面に沿う方向のうち第1方向にかかる位置ズレを、第1方向位置ズレとし、上記第1方向位置ズレの許容範囲を第1方向許容範囲とし、上記第1方向許容範囲に含まれる全ての上記電池溶接部を想定し、想定した全ての上記電池溶接部の前記表面が重なり合う部分の上記第1方向にかかる寸法を第1方向重なり寸法とし、上記正規位置に位置する上記電池溶接部の上記表面の中心を正規位置中心としたとき、前記計測工程は、上記第1方向許容範囲に含まれる上記電池溶接部について、上記正規位置中心を前記超音波照射部の中心とし、且つ、上記超音波照射部の上記第1方向にかかる寸法を上記第1方向重なり寸法より小さくして、上記超音波照射部に超音波を照射する電池溶接部の検査方法とすると良い。
【0029】
第1電池構成部材と第2電池構成部材との溶接位置が第1方向にずれて、電池溶接部が正規位置から第1方向に位置ズレすることがある。このため、第1方向位置ズレの許容範囲(第1方向許容範囲)を決めておき、第1方向許容範囲に含まれるものについてのみ、本発明の検査対象とする(計測工程等を行う)。一方、第1方向許容範囲から外れているものは、溶接不良として検査対象から除外する(計測工程等を行わない)。
【0030】
ところで、検査対象となる電池溶接部毎に、電池溶接部の第1方向位置ズレを測定し、電池溶接部の表面の中心が超音波照射部の中心となるように超音波送受信器の位置を調整して、超音波を照射する手法とすれば、電池溶接部における溶接の良否を適切に判定することができると考えられる。しかしながら、このような手法とすれば、超音波送受信器を位置決めするために時間を要し、また、検査装置も高価になるので好ましくない。
【0031】
これに対し、本発明の検査方法では、第1方向許容範囲に含まれる電池溶接部について、正規位置中心を超音波照射部の中心として、超音波照射部に超音波を照射する。すなわち、電池溶接部が正規位置から第1方向に位置ズレしているか否かに拘わらず、第1方向許容範囲に含まれる電池溶接部について、常に、正規位置中心を超音波照射部の中心として、超音波照射部に超音波を照射する。正規位置中心は不変の位置であるため、このような照射方法とすることで、検査対象となる全ての電池溶接部(すなわち、第1方向位置ズレが第1方向許容範囲内である電池溶接部)について、一定の位置に超音波を照射すれば良いので、計測工程が簡易にでき好ましい。
【0032】
また、電池溶接部の表面全体が超音波照射部に含まれるように超音波を照射(すなわち、電池溶接部の表面全体に超音波を照射)して計測工程を行うようにすれば、電池溶接部の全体について、溶接の良否を適切に判定することができるとも考えられる。しかしながら、上述のように、正規位置中心を超音波照射部の中心として、超音波照射部に超音波を照射する手法では、電池溶接部が第1方向位置ズレしている場合、電池溶接部の表面のうち正規位置から外れている部分に超音波が照射されず、代わりに、第1方向について電池溶接部の表面から外れた部分に超音波が照射されることになる。このため、電池溶接部における溶接状態が等しい場合でも、電池溶接部が第1方向に位置ズレしているときと位置ズレしていないときとで、超音波送受信器で受信される反射超音波が異なるものとなる。
【0033】
例えば、電池溶接部が第1方向位置ズレしている場合、電池溶接部の溶接状態が良好(溶接界面断面積が合格値以上)であったとしても、特定反射超音波の強度が合格基準値未満となり、溶接不良と判定してしまう虞がある。このように、電池溶接部の第1方向位置ズレの程度によって、特定反射超音波の強度が大きく変動し、電池溶接部の溶接の良否を適切に判定することができない(誤判定する)虞がある。
なお、第1方向許容範囲に含まれる全ての電池溶接部について、電池溶接部の表面全体が超音波照射部に含まれるように超音波照射部を大きくすると、ノイズが大きくなり、電池溶接部の溶接の良否を適切に判定することができなくなる。
【0034】
これに対し、本発明の検査方法では、超音波照射部の第1方向にかかる寸法を第1方向重なり寸法より小さくして、超音波を照射する。これにより、第1方向位置ズレが第1方向許容範囲に含まれるいずれの電池溶接部(すなわち、検査対象となる全ての電池溶接部)についても、第1方向について電池溶接部の表面から外れた部分に超音波が照射されることを防止できる。
【0035】
ところで、このように照射した場合、第1方向について電池溶接部の一部にしか超音波を照射することができないので、電池溶接部の一部しか検査することができない。しかしながら、電池溶接部の溶接状態は、第1方向について同程度になっている。従って、電池溶接部のうち、検査することができる部分とその他の部分とでは、溶接状態は同程度である。本願発明者が調査したところ、電池溶接部のうち照射した超音波が透過する部位(以下、超音波透過部ともいう)にかかる溶接界面断面積と、電池溶接部全体にかかる溶接界面断面積とは、比例関係にあった。従って、第1方向について電池溶接部の一部を検査することで、電池溶接部全体の溶接状態を、適切に把握することができる。従って、超音波照射部の第1方向にかかる寸法を第1方向重なり寸法より小さくして超音波を照射することで、電池溶接部における溶接の良否を適切に検査することができる。
【0036】
さらに、上記の電池溶接部の検査方法であって、前記電池溶接部は、前記第1電池構成部材を前記第2電池構成部材に接触させた状態で、上記第2電池構成部材の前記外面のうち前記第1方向に一列に並ぶ複数箇所にエネルギービームを照射して、上記第1電池構成部材を上記第2電池構成部材に溶接してなる電池溶接部の検査方法とすると良い。
【0037】
第2電池構成部材の外面のうち第1方向に一列に並ぶ複数箇所にエネルギービームを照射して、第1電池構成部材を第2電池構成部材に溶接した場合、電池溶接部が正規位置から第1方向に位置ズレすることがある。これに対し、前述のように超音波を照射することで、簡易に且つ適切に、電池溶接部における溶接の良否を検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、本実施形態にかかる電池溶接部の検査方法を利用して製造される電池100について説明する。電池100は、金属製の電池ケース110と、安全弁113と、電池ケース110内に収容された電極体150とを備える角形密閉式ニッケル水素電池である。
【0039】
電池ケース110は、金属(具体的には、ニッケルメッキ鋼板)からなり、図1及び図2に示すように、矩形箱状をなす電槽111と、矩形板状をなす封口部材115とを有している。さらに、電槽111の底部111bには、この電槽111と電気的に絶縁された第1正極端子140b及び第2正極端子140cが設けられている。
また、封口部材115は、電槽111の開口端111fに当接した状態で全周溶接され、電槽111の開口部111gを封止している(図3参照)。これにより、封口部材115と電槽111とが一体化されて、電池ケース110を構成している。
【0040】
また、電極体150は、複数の正極板160と複数の負極板170とが、1枚ずつセパレータ180を介して交互に積層されている(図3参照)。
このうち、セパレータ180としては、例えば、親水化処理された合成樹脂からなる不織布を用いることができる。
【0041】
正極板160は、詳細を図示しないが、ニッケルからなり、三次元網状構造をなす正極基板(発泡ニッケル基板)と、この正極基板に充填された正極合剤(正極活物質など)とを有している。なお、本実施形態では、正極活物質として、水酸化ニッケルを含む活物質を用いている。
【0042】
さらに、正極板160はいずれも、正極接合端部160rが、電槽111の底部111b側(図3において右側)に延出するように配置されている。この正極接合端部160rはいずれも、矩形板状をなす正極集電部材120に、電子ビーム溶接等により接合されている。さらに、正極集電部材120は、レーザ溶接等により、第1正極端子140b及び第2正極端子140cに接合されている。このようにして、第1正極端子140b及び第2正極端子140cと正極板160とが、電気的に接続されている。
【0043】
また、負極板170は、詳細を図示しないが、ニッケルメッキ鋼板からなり、多数の貫通孔が穿孔された負極基板と、この負極基板に担持された負極合剤(水素吸蔵合金を含む)とからなる。また、負極板170はいずれも、負極接合端部170rが、封口部材115側(図3において左側)に延出するように配置されている。
【0044】
負極板170の負極接合端部170rは、いずれも、矩形板状をなす負極集電部材130に、電子ビーム溶接等により接合されている。さらに、負極集電部材130(第1電池構成部材に相当する)は、封口部材115(第2電池構成部材に相当する)に、YAGレーザー溶接により接合されている。詳細には、図4に拡大して示すように、負極集電部材130の溶接面131cを封口部材115の溶接面115bに接触させた状態で、封口部材115の外面115c(電池ケース110の外面)にレーザービームを照射して、負極集電部材130を封口部材115(電池ケース110)に溶接している。これにより、封口部材115の外面115cから負極集電部材130の裏面131bに向かって、電池溶接部115Xが形成される。
【0045】
次に、本実施形態にかかる電池溶接部の検査方法、及び、これを利用した電池の製造方法について説明する。
まず、正極板160、負極板170、及びセパレータ180を積層して電極体150を形成する。次いで、電子ビーム溶接等により、正極板160の正極接合端部160rを、正極集電部材120に接合する。さらに、電子ビーム溶接等により、負極板170の負極接合端部170rを、負極集電部材130に接合する。詳細には、図4に示すように、負極集電部材130の接続面130aに負極板170(負極接合端部170r)を突き合わせて溶接している。
【0046】
また、これとは別に、電槽111に第1正極端子140b及び第2正極端子140cを固着する。具体的には、電槽111の貫通穴111hにシール部材145を装着すると共に、第1正極端子140b及び第2正極端子140cの極柱部141を外側から挿入する。次いで、極柱部141の筒内に流体圧をかけて、極柱部141の一端側を径方向外側に膨出させ、更に軸方向に圧縮変形させて、圧縮変形部141hを形成する。これにより、第1正極端子140b及び第2正極端子140cが、電槽111と電気的に絶縁しつつ、電槽111に固着される(図3参照)。
【0047】
次に、電極体150と正極集電部材120と負極集電部材130とが接合されてなる接合体を、開口部111gから電槽111内に挿入する。次いで、第1正極端子140b及び第2正極端子140cの外側からその極柱部141の凹みに向けてレーザを照射し、極柱部141の圧縮変形部141hと正極集電部材120とを接合する。
【0048】
なお、図3及び図4に示すように、負極集電部材130には、長手方向(図3において上下方向)に4カ所打ち抜かれて、舌状の舌部131が形成されている。この舌部131は、負極集電部材130の板厚方向(図3において左右方向)について、接続面130aと反対側(図3において左側)に屈曲変形され、板厚方向に弾性変形可能となっている。一方、図3及び図4に示すように、封口部材115のうち、負極集電部材130の舌部131が当接する部分は、電池ケース110の内側(図3及び図4において右側)に凹む凹部115aとされている。
【0049】
次に、封口部材115を電槽111の開口端111fに当接させて、電槽111の開口部111gを封口部材115で塞ぎ、この状態で全周をレーザ溶接する。これにより、電槽111と封口部材115とが一体となって電池ケース110が形成される。このとき、負極集電部材130の舌部131が、封口部材115(凹部115a)の溶接面115bに、弾性的に当接する。そこで、封口部材115(凹部115a)の外面115cにレーザービームを照射し、封口部材115の凹部115aと負極集電部材130の舌部131とを溶接する。このとき、封口部材115の凹部115aと負極集電部材130の舌部131とが、溶融し凝固して、電池溶接部115Xが形成される(図4参照)。
【0050】
なお、本実施形態では、封口部材115(凹部115a)の外面115cのうち、第1方向X(図1及び図10において左右方向)に一列に並ぶ10カ所にレーザービームを照射して、負極集電部材130の舌部131と封口部材115の凹部115aとを溶接(電池溶接部115Xを形成)している。これにより、電池溶接部115Xは、第1方向X(図1及び図10において左右方向)に連なって延びる形態となる。
【0051】
ところで、負極集電部材130の舌部131と封口部材115の凹部115aとの溶接が良好に行われたか否かを、形成された電池溶接部115Xの外観(表面115Y)から判断することは難しい。その一方、電池溶接部115Xの形成が適切になされていない(溶接が適切になされていない)場合には、4つの電池溶接部115Xの一部に電流が集中して発熱したり、電池の内部抵抗が上昇したりする不具合が生じる虞がある。このため、電池溶接部115Xにおいて、負極集電部材130と封口部材115とが適切に溶接されているか否かを判定することが要求されている。
【0052】
そこで、本実施形態では、上述の電極体150と負極集電部材130との溶接工程に引き続いて、電池溶接部115Xの溶接状態を、超音波を用いて検査する。なお、本実施形態では、全ての未完成電池100M(負極集電部材130の舌部131と封口部材115の凹部115aとの溶接まで終えた製造途中の電池、図5参照)について検査を行うのではなく、所定期間(例えば、1時間)で製造された未完成電池100Mの中から選択した1ヶの未完成電池100Mについて、後述する平坦化工程、計測工程、及び判定工程を行う。すなわち、抜き打ち検査を行う。
【0053】
図5には、電池溶接部115Xの検査に用いる溶接検査装置10の概要を示している。この溶接検査装置10は、図示しない超音波振動子を内蔵する円筒状のプローブ12(超音波送受信器)と、超音波受信回路14と、プローブ12を保持する保持具17と、この保持具17を上下方向に移動させるアクチュエータ16と、コントローラ18とを備える。さらに、溶接検査装置10は、水槽22と、これを載置するテーブル20と、テーブル20を水平方向(具体的には、第1方向Xに直交する第2方向Y、図5において左右方向)に移動させるアクチュエータ21を備える。
【0054】
プローブ12は、図示しない超音波振動子の振動により超音波MWを発生させ、その先端部12b(先端開口の直径が5mm)から超音波を送信する。さらに、プローブ12は、反射して戻ってきた超音波MW(反射超音波)を受信し、受信した超音波MWを電気信号に変換して超音波受信回路14に入力する。コントローラ18は、プローブ12、超音波受信回路14、アクチュエータ16、及びアクチュエータ21の動作を制御する。なお、コントローラ18には、表示部19が設けられている。この表示部19には、プローブ12で受信した超音波MWの波形図、強度等が表示される。
【0055】
水槽22内には水Wが収容されている。水槽22の底部22bには、未完成電池100Mを固定する固定部材23が取り付けられている。固定部材23に固定された未完成電池100Mは、水W中に沈むようになっている。
【0056】
ここからは、本実施形態にかかる電池溶接部の検査方法について、図6を参照しつつ詳細に説明する。
まず、ステップS1(平坦化工程)において、電池溶接部115Xの表面115Yを、切削により平坦にする。エネルギービーム(本実施形態ではレーザービーム)の照射により負極集電部材130と封口部材115とを溶接してなる電池溶接部115Xの表面115Yは、凹凸状になりがちである。特に、本実施形態のように、複数箇所(具体的には、10カ所)にエネルギービームを照射して溶接した場合は、図7に示すように、電池溶接部115Xの表面115Yの凹凸が大きくなる。電池溶接部115Xの表面115Yの凹凸が大きいと、後の計測工程において、電池溶接部115Xの表面115Yに照射した超音波MWが電池溶接部115Xの内部に透過し難くなり、適切な測定ができない虞がある。
【0057】
そこで、本実施形態では、計測工程に先立って、未完成電池100Mについて、電池溶接部115Xの表面115Yを平坦にする。具体的には、先端がフラットな直径5mmのエンドミル31を取り付けたボール盤30を用いて、電池溶接部115Xの表面115Yを切削する。詳細には、軸線周りに回転させたエンドミル31を、その軸線方向下方(図7において下方)に移動させ、電池溶接部115Xの表面115Yの凹部115Zよりも内側(図7において下側)に位置する切削ラインL(図7において二点差線で示す線)まで切削する。これにより、図8に示すように、電池溶接部115Xの表面115Yを平坦にすることができる。平坦化工程を終えた電池溶接部115Xの表面115Yの表面粗さRaを測定したところ、40μm以下であった。
【0058】
なお、第1方向X(図7及び図8において左右方向)にかかる電池溶接部115Xの表面115Yの寸法は、5mmである(図10参照)。従って、直径5mmのエンドミル31を用いて切削することで、電池溶接部115Xの表面115Yの全体を平坦(表面粗さRaを40μm以下)にすることができる。
【0059】
このように、計測工程に先立って、電池溶接部115Xの表面115Yを平坦(表面粗さRaを40μm以下)にしておくことで、電池溶接部115Xの表面115Yに照射した超音波MWが電池溶接部115Xの内部に透過し易くなるので、後の計測工程において適切な測定を行うことが可能となる。
【0060】
次に、ステップS2(計測工程)に進み、溶接検査装置10を用いて、封口部材115の超音波照射部115Sに超音波を照射する。具体的には、まず、図5に示すように、平坦化工程を終えた未完成電池100Mを、封口部材115が上向きになるように水槽22中の固定部材23に固定して、水W中に沈める。次に、コントローラ18の制御によりアクチュエータ21を駆動してテーブル20を移動させ、封口部材115の外面115cのうち電池溶接部115Xの表面115Yを含む超音波照射部115S(図9参照)を、プローブ12の直下に配置する。
【0061】
次いで、コントローラ18の制御によりアクチュエータ16を駆動して保持具17を降下させ、図9に示すように、プローブ12の先端部12bを水W中に入れる。その後、コントローラ18の制御により、プローブ12内の超音波振動子を短時間だけ振動させ、バースト波状(パルス状)で20MHzの超音波MWを発生させる。この超音波MWは、プローブ12の先端部12bから送信され、水Wを通じて、封口部材115の超音波照射部115Sに照射される。
【0062】
ところで、本実施形態のように、封口部材115(凹部115a)の外面115cのうち、第1方向X(図10において左右方向)に一列に並ぶ10カ所にレーザービームを照射して溶接する手法では、電池溶接部115Xが正規位置から第1方向X(図10において左右方向)に位置ズレすることがある。このため、本実施形態では、第1方向Xへの位置ズレの許容範囲(第1方向許容範囲)を決めておき、第1方向許容範囲から外れているものは溶接不良として検査対象から除外し、第1方向許容範囲に含まれるものについてのみ検査対象としている。
【0063】
具体的には、図10に示すように、電池溶接部115Xの表面115Yの中心C1が封口部材115の凹部115aの中央に位置する場合の電池溶接部115Xの位置を、電池溶接部115Xの正規位置としている。また、図11に示すように、電池溶接部115Xが封口部材115の凹部115aの右端に位置する場合の電池溶接部115Xの位置を、電池溶接部115Xの第1方向許容範囲の右側限界位置としている。また、図12に示すように、電池溶接部115Xが封口部材115の凹部115aの左端に位置する場合の電池溶接部115Xの位置を、電池溶接部115Xの第1方向許容範囲の左側限界位置としている。
【0064】
従って、電池溶接部115Xの全体が封口部材115の凹部115a内に位置する場合、この電池溶接部115Xについては、第1方向許容範囲内に含まれるとして計測工程を行う。一方、電池溶接部115Xの一部が封口部材115の凹部115aから外れている場合、この電池溶接部115Xについては、第1方向許容範囲から外れているとして計測工程を行わない。
【0065】
ところで、本実施形態の未完成電池100Mは、図1に示すように、4つの電池溶接部115Xを有している。従って、4つの電池溶接部115Xの全てが第1方向許容範囲内に含まれている場合のみ、各電池溶接部115Xについて計測工程を行う。一方、4つの電池溶接部115Xのいずれかが第1方向許容範囲から外れている場合は、いずれの電池溶接部115Xについても計測工程を行うことなく、その未完成電池100Mについては溶接不良とする。
【0066】
なお、図10〜図15は、封口部材115の凹部115aを拡大した図である。図10に示すように、本実施形態では、封口部材115の凹部115aの第1方向Xにかかる寸法は6.5mm、電池溶接部115Xの第1方向Xにかかる寸法は5mmである。
【0067】
ところで、検査対象となる各々の電池溶接部115X毎に、電池溶接部115Xの第1方向Xへの位置ズレを測定し、電池溶接部115Xの表面115Yの中心C1が超音波照射部115Sの中心となるようにプローブ12(超音波送受信器)の位置を調整して、超音波を照射する手法とすれば、電池溶接部115Xにおける溶接の良否を適切に判定することができると考えられる。しかしながら、このような手法とすれば、プローブ12を位置決めするために時間を要し、また、検査装置も高価になるので好ましくない。
【0068】
これに対し、本実施形態では、図13に示すように、正規位置中心CSを超音波照射部115S(図13において破線で示す直径2mmの円で囲まれた部分)の中心として、超音波照射部115Sに超音波MWを照射する。ここで、正規位置中心CSとは、図10に示すように、電池溶接部115Xが正規位置に位置している場合の、電池溶接部115Xの表面115Yの中心C1の位置のことである。
すなわち、本実施形態では、電池溶接部115Xが正規位置から第1方向Xに位置ズレしているか否かに拘わらず、常に、正規位置中心CSを超音波照射部115Sの中心として、超音波照射部115Sに超音波MWを照射する。正規位置中心CSは不変の位置であるため、このような照射方法とすることで、計測工程を行う全ての未完成電池100Mについて、一定の位置に超音波を照射すれば良いので、計測工程が簡易にでき好ましい。
【0069】
また、図14に示すように、電池溶接部115Xの表面115Yの全体が超音波照射部115KSに含まれるようにプローブ12から超音波を照射(すなわち、電池溶接部115Xの表面115Yの全体に超音波を照射)して計測工程を行うようにすれば、電池溶接部115Xの全体について、溶接の良否を適切に判定することができるとも考えられる。しかしながら、正規位置中心CSを超音波照射部の中心として、超音波照射部に超音波を照射する手法では、図15に示すように、電池溶接部115Xが第1方向X(図15では右側)に位置ズレしている場合、電池溶接部115Xの表面115Yのうち正規位置から外れている部分(図15において、破線円の右側に位置する部分)に超音波が照射されず、代わりに、第1方向Xについて電池溶接部115Xの表面115Yから外れた部分(図15においてハッチングで示す部分)に超音波が照射されることになる。換言すれば、超音波照射部115KSが、第1方向Xについて電池溶接部115Xの表面115Yを含まない部分を有することになる。
【0070】
このため、この照射方法では、電池溶接部115Xにおける溶接状態が等しい場合でも、電池溶接部115Xが第1方向Xに位置ズレしているときと位置ズレしていないときとで、プローブ12で受信される反射超音波が異なるものとなる。例えば、電池溶接部115Xが第1方向Xに位置ズレしている場合、電池溶接部115Xにおける溶接状態が良好であったとしても、反射超音波の強度が合格基準値より小さくなり、溶接不良と判定してしまう虞がある。このように、電池溶接部115Xの第1方向Xへの位置ズレの程度によって、反射超音波の強度が大きく変動し、電池溶接部における溶接の良否を適切に判定することができない(誤判定する)虞がある。
【0071】
なお、第1方向許容範囲に含まれる全ての電池溶接部115Xについて、電池溶接部115Xの表面115Y全体が超音波照射部115KS内に含まれるように、超音波照射部115KSをさらに大きくすれば、(本実施形態では、超音波照射部115KSの直径を6.5mm以上にすれば)上記問題が解決できるとも考えられる。しかしながら、超音波照射部をこのように大きくすると、プローブ12で受信されるノイズが大きくなり、電池溶接部115Xの溶接の良否を適切に判定することができなくなる。
【0072】
これに対し、本実施形態では、図13に示すように、超音波照射部115Sの第1方向Xにかかる寸法を第1方向重なり寸法D(本実施形態では、3.5mm)より小さくして、超音波MWを照射する。ここで、第1方向重なり寸法Dとは、第1方向Xに位置ズレした電池溶接部115Xのうち第1方向許容範囲に含まれる全ての電池溶接部115Xを想定し、想定した全ての電池溶接部115Xの表面115Yが重なり合う部分(第1方向重なり部115W、図13においてハッチングで示す部分)の第1方向Xにかかる寸法のことである。すなわち、電池溶接部115Xが第1方向許容範囲の右端に位置する場合(図11に示す場合)と、電池溶接部115Xが第1方向許容範囲の左端に位置する場合(図12に示す場合)とで、電池溶接部115Xの表面115Yが重なり合う部分の第1方向Xにかかる寸法のことである。
【0073】
本実施形態では、このように照射することで、第1方向Xへの位置ズレが第1方向許容範囲に含まれるいずれの電池溶接部115X(すなわち、計測工程の対象となる全ての電池溶接部115X)についても、第1方向Xについて電池溶接部115Xの表面115Yから外れた部分に超音波が照射されることを防止できる。換言すれば、「超音波照射部115Sが、第1方向Xについて電池溶接部115Xの表面115Yを含まない部分を有すること」を防止できる。従って、電池溶接部115Xの第1方向Xへの位置ズレの影響で、反射超音波の強度が変動するのを防止できる。
【0074】
ところで、このように照射した場合、第1方向について電池溶接部115Xの一部(図13において破線円内に位置する部分)にしか超音波MWを照射することができないので、第1方向について電池溶接部115Xの一部(図13において破線円内に位置する部分)しか溶接状態を検査することができない。しかしながら、電池溶接部115Xの溶接状態は、第1方向Xについて同程度になっている。従って、電池溶接部115Xのうち、検査することができる部分(図13において破線円内に位置する部分)とその他の部分(図13において破線円の外に位置する部分)とでは、溶接状態は同程度である。
【0075】
ここで、電池溶接部115Xのうち超音波MWを照射する部位(図13において破線円内に位置する部分)の溶接状態と、電池溶接部115X全体の溶接状態とを調査した結果について説明する。具体的には、図16に示すように、電池溶接部115Xのうち超音波MWが透過する超音波透過部115XB(図16において破線で挟まれた部分)の溶接界面断面積と、電池溶接部115X全体にかかる溶接界面断面積とを測定した。なお、図16では、説明の都合上、電池溶接部115Xの切断面を表すハッチング(図8参照)を省略している。
【0076】
なお、溶接界面断面積とは、負極集電部材130の舌部131と封口部材115の凹部115aとの溶接界面IF(溶接前に負極集電部材130の舌部131と封口部材115の凹部115aとの界面であった仮想界面KIF)における電池溶接部115Xの断面積のことである(図16参照)。溶接界面断面積の測定は、負極集電部材130の舌部131と封口部材115の凹部115aとを、溶接界面IF(仮想界面KIF)で切断分離した状態で行った。本実施形態では、溶接状態を異ならせた(レーザービームの照射量を異ならせて溶接した)20ヶのサンプル(電池溶接部115X)を用意して、各サンプルについて溶接界面断面積の測定を行った。これらの測定結果を、超音波透過部115XBの溶接界面断面積と電池溶接部115X全体の溶接界面断面積との関係図として、図17に示す。
【0077】
図17に示すように、超音波透過部115XBの溶接界面断面積と、電池溶接部115X全体の溶接界面断面積とは、比例関係にあった。この結果より、いずれのサンプルについても、電池溶接部115Xの溶接状態は、第1方向Xについて同程度になっているといえる。従って、第1方向Xについて電池溶接部115Xの一部を検査することで、電池溶接部115X全体の溶接状態を、適切に把握することができる。従って、第1方向Xにかかる寸法を第1方向重なり寸法Dより小さくした超音波照射部115Sに超音波MWを照射することで、電池溶接部115Xの溶接状態を適切に検査することができる。
【0078】
プローブ12の先端部12bから送信され、水Wを通じて、封口部材115の超音波照射部115Sに照射された超音波MWは、図18に示すように、封口部材115の内部に透過してゆく(伝わってゆく)。
ところで、負極集電部材130の舌部131と封口部材115の凹部115aとが溶接されている場合は、封口部材115の超音波照射部115Sに照射された超音波MWは、電池溶接部115Xを通じて、負極集電部材130の舌部131に伝わってゆく。詳細には、溶接界面断面積(溶接界面IF(仮想界面KIF)における電池溶接部115Xの断面積)が大きいほど、負極集電部材130の舌部131に超音波が伝わり易くなる(超音波が伝わる経路が増大する)。このため、溶接界面断面積が大きいほど、電池溶接部115Xを経由して、負極集電部材130(舌部131)の裏面131bで反射した超音波MW(これを特定反射超音波SMWという)の強度は大きくなる。溶接界面断面積が大きいほど、負極集電部材130と封口部材115との溶接が強固になる(良好である)ことから、プローブ12で受信した特定反射超音波SMWの強度に基づいて、電池溶接部115Xの溶接の良否を判定することが可能となる。
【0079】
図18には、負極集電部材130の舌部131と封口部材115の凹部115aとの溶接が良好である(電池溶接部115Xの溶接が良好)ときに、超音波照射部115Sに照射した超音波MWが伝わる様子を示している。また、図19には、負極集電部材130の舌部131と封口部材115の凹部115aとの溶接が不十分(溶接不良)である(電池溶接部115Xの溶接が不良)ときに、超音波照射部115Sに照射した超音波MWが伝わる様子を示している。なお、図18〜図20では、説明の都合上、負極集電部材130及び封口部材115の断面を表すハッチング(図4参照)の一部を省略している。
【0080】
図18と図19を比較するとわかるように、図18の電池溶接部115Xは、図19の電池溶接部115Xに比べて、溶け込み深さ(図18において、封口部材115の外面115cから下方に延びる長さ)が大きいので、溶接界面断面積(溶接界面IF(仮想界面KIF)における電池溶接部115Xの断面積)が大きくなっている。このため、図18に示す状態の方が、図19に示す状態よりも、負極集電部材130の舌部131に超音波MWが伝わり易くなるので(舌部131に伝わる超音波MWの強度が大きくなるので)、特定反射超音波SMWの強度も大きくなる。
【0081】
ここで、電池溶接部115Xの溶接が良好な場合(図18参照)に、計測工程においてプローブ12で受信した(表示部19に表示された)超音波MW(反射超音波)の波形図を、図21に示す。また、電池溶接部115Xの溶接が不十分な場合(図19参照)に、計測工程においてプローブ12で受信した(表示部19に表示された)超音波MW(反射超音波)の波形図を、図22に示す。なお、図18及び図19において、t0は、封口部材115の外面115cで反射した超音波MWをプローブ12で受信した時間であり、t1は、特定反射超音波SMWをプローブ12で受信した時間である。
【0082】
図21と図22とを比較するとわかるように、時間t1における超音波MW(すなわち、特定反射超音波SMW)の強度は、図21(図18に示す溶接良好な場合)のほうが図22(図19に示す溶接不十分な場合)よりもかなり大きくなった。具体的には、図18に示す溶接良好な場合では、時間t1での超音波MW(特定反射超音波SMW)の強度が、プローブ12から送信した超音波MWの強度の67%となった。
【0083】
なお、本実施形態の計測工程では、溶接検査装置10の表示部19に、特定反射超音波SMWの強度(時間t1における超音波の強度、図21及び図22参照)が、プローブ12から送信した超音波MWの強度に対する割合(%)である「エコー高さ」として表示される。従って、本実施形態の計測工程では、特定反射超音波SMWの強度を、「エコー高さ」として取得する。
【0084】
しかるに、電池溶接部115Xの溶接が良好な場合(図18参照)は、エコー高さが67%となった。一方、電池溶接部115Xの溶接が不十分な場合(図19参照)は、エコー高さが20%となった。なお、エコー高さ(%)は、プローブ12で受信された超音波MWの波形と共に、溶接検査装置10の表示部19に表示される。
従って、後の判定工程において、プローブ12で受信した特定反射超音波SMWの強度に基づいて、具体的にはエコー高さ(%)に基づいて、電池溶接部115Xの溶接の良否を判定することが可能となる。
【0085】
また、負極集電部材130の舌部131と封口部材115の凹部115aとが溶接されていない場合は、封口部材115の超音波照射部115Sに照射された超音波MWは、負極集電部材130の舌部131に伝わらない。具体的には、図20に示すように、封口部材115の内部に透過した超音波MWは、負極集電部材130の舌部131に伝わることなく、封口部材115の溶接面115bで反射してしまう。
【0086】
ここで、負極集電部材130と封口部材115とが溶接されていない場合(図20参照)に、計測工程においてプローブ12で受信した(表示部19に表示された)超音波MW(反射超音波)の波形を、図23に示す。図23(負極集電部材130と封口部材115とが溶接されていない場合)の波形は、図21及び図22(負極集電部材130と封口部材115とが溶接されている場合)の波形と大きく異なることがわかる。従って、プローブ12で受信した(表示部19に表示された)超音波MW(反射超音波)の波形を見れば、負極集電部材130と封口部材115とが溶接されているか否かを判断することができる。溶接されていないと判断された場合は、溶接不良と判定する。
【0087】
ところで、本実施形態では、電池溶接部115X全体の溶接界面断面積(溶接界面IF(仮想界面KIF)における電池溶接部115Xの断面積)が1.5mm2以上であれば、電池溶接部115Xの溶接(封口部材115と負極集電部材130との溶接)が良好(合格)であるとしている。すなわち、電池溶接部115X全体の溶接界面断面積の合格値を1.5mm2としている。
【0088】
図17から、電池溶接部115X全体の溶接界面断面積が1.5mm2である場合、超音波透過部115XB(電池溶接部115Xのうち、照射した超音波MWが透過する部位)の溶接界面断面積は0.8mm2になることがわかる。従って、超音波透過部115XBの溶接界面断面積が0.8mm2であるときに得られるエコー高さを合格基準値Tとして、溶接されていると判断されたものについて、計測工程で得られたエコー高さが合格基準値T以上であれば合格(溶接良好)と判断し、計測工程で得られたエコー高さが合格基準値T未満であれば不合格(溶接不十分)と判断することができる。
【0089】
ここで、合格基準値Tを決定するために、レーザービームの照射量を段階的に異ならせて負極集電部材130と封口部材115とを溶接したサンプル(電池溶接部115X)を20ヶ用意し、各サンプルについて、本実施形態の溶接検査装置10を用いて、エコー高さ(特定反射超音波SMWの強度)を測定した。これらの測定結果を、エコー高さと超音波透過部115XBの溶接界面断面積との関係図として、図24に示す。
なお、超音波透過部115XBの溶接界面断面積は、エコー高さ測定後、負極集電部材130の舌部131と封口部材115の凹部115aとを、溶接界面IF(仮想界面KIF)で切断分離して測定した。
【0090】
図24に示すように、エコー高さと、超音波透過部115XBの溶接界面断面積とは、比例関係にあった。本実施形態では、図24に示す関係図より、合格基準値T(超音波透過部115XBの溶接界面断面積が0.8mm2であるときに得られるエコー高さ)=30%と決定した。従って、溶接されていると判断されたものについて、計測工程で得られたエコー高さが30%以上であれば合格(溶接良好)と判断し、30%未満であれば不合格(溶接不十分)と判断する。
【0091】
ステップS2において超音波を照射した後、図6に示すように、ステップS3(計測工程)に進み、プローブ12で受信した反射超音波の波形図(図21〜図23参照)とエコー高さ(特定反射超音波SMWの強度)を、表示部19への表示により取得する。
なお、本実施形態では、ステップS2,S3が計測工程に相当する。
次いで、ステップS4(第1判定工程)に進み、得られた反射超音波の波形に基づいて、負極集電部材130の舌部131と封口部材115の凹部115aとが溶接されているか否かを判定する。具体的には、図21及び図22に示すような波形である場合には、両者は溶接されていると判断し、図23に示すような波形である場合は、両者は溶接されていないと判断する。
【0092】
ステップS4において、溶接されていない(No)と判定した場合は、ステップS5に進み、溶接不良と判定する。この場合、検査を行った未完成電池100Mと共に所定期間(例えば、1時間)で製造された全ての未完成電池100Mが、溶接不良であると推定することができる。
【0093】
一方、ステップS4において、溶接されている(Yes)と判定した場合は、ステップ6(第2判定工程)に進み、エコー高さが合格基準値T(本実施形態では30%)以上であるか否かを判定する。エコー高さが合格基準値T以上である場合は、ステップS7に進み、溶接良好と判定する。
【0094】
一方、エコー高さが合格基準値T未満である場合は、ステップS5に進み、溶接不良(溶接不十分)と判定する。この場合、検査を行った未完成電池100Mと共に所定期間(例えば、1時間)で製造された全ての未完成電池100Mが、溶接不良(溶接不十分)であると推定することができる。
なお、本実施形態では、ステップS4〜S7が判定工程に相当する。
【0095】
本実施形態では、未完成電池100Mに形成されている4ヶの電池溶接部115Xについて、上述のステップS1〜S7の処理を行う。そして、4ヶの電池溶接部115Xの全てについて、ステップS7において溶接良好と判定された場合、この未完成電池100Mと共に所定期間(例えば、1時間)で製造された残りの未完成電池100Mの全てを、合格品とする。その後、合格品とされた未完成電池100Mについて、公知の手法により、電池ケース110内に電解液を注入し、安全弁113を電池ケース110に取り付けて、電池100を完成させる。なお、ステップS1〜S7の処理を行った未完成電池100Mは廃棄する。
【0096】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態では、封口部材と負極集電部材とを溶接した電池溶接部に、本発明の検査方法を適用した場合について説明した。しかしながら、これに限定されることなく、例えば、正極端子部材(電池ケースの一部である)と正極集電部材とを溶接した電池溶接部など、他の異なる電池構成部材を溶接してなる電池溶接部に、本発明の検査方法を適用しても良い。
【0097】
また、実施形態では、封口部材と負極集電部材との溶接後、ステップS1〜S7の処理を行い、その後電解液を注入し、電池ケースに安全弁を取り付けた。しかしながら、封口部材と負極集電部材との溶接後、電解液を注入し、安全弁を付けた後に、ステップS1〜S7の処理を行うなど、ステップS1〜S7の処理を行うタイミングを適宜変更しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】電池及び未完成電池の上面図である。
【図2】電池及び未完成電池の側面図である。
【図3】電池及び未完成電池の断面図であり、図1のA−A矢視断面図に相当する。
【図4】図3のB部拡大図である。
【図5】実施形態にかかる電池溶接部の検査方法を説明する図である。
【図6】実施形態にかかる電池溶接部の検査方法の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施形態にかかる平坦化工程を説明する図である。
【図8】平坦化工程を終えた後の電池溶接部の表面を示す図であり、図1のC−C矢視断面図に相当する。
【図9】実施形態にかかる計測工程を説明する図である。
【図10】電池溶接部の第1方向位置ズレを説明する図である。
【図11】電池溶接部の第1方向位置ズレを説明する図である。
【図12】電池溶接部の第1方向位置ズレを説明する図である。
【図13】電池溶接部の表面の第1方向重なり寸法と超音波照射部を示す図である。
【図14】比較形態にかかる超音波照射方法を説明する図である。
【図15】比較形態にかかる超音波照射方法を説明する図である。
【図16】超音波透過部を説明する図である。
【図17】超音波透過部の溶接界面断面積と、電池溶接部全体の溶接界面断面積との関係図である。
【図18】負極集電部材と封口部材との溶接が良好である場合において、超音波が伝わる様子を説明する図である。
【図19】負極集電部材と封口部材との溶接が不十分である場合において、超音波が伝わる様子を説明する図である。
【図20】負極集電部材と封口部材とが溶接されていない場合において、超音波が伝わる様子を説明する図である。
【図21】プローブ(超音波送受信器)で受信した反射超音波の波形図であり、負極集電部材と封口部材との溶接が良好である場合の波形図である。
【図22】プローブ(超音波送受信器)で受信した反射超音波の波形図であり、負極集電部材と封口部材との溶接が不十分である場合の波形図である。
【図23】プローブ(超音波送受信器)で受信した反射超音波の波形図であり、負極集電部材と封口部材とが溶接されていない場合の波形図である。
【図24】エコー高さと超音波透過部の溶接界面断面積との関係図である。
【符号の説明】
【0099】
12 プローブ(超音波送受信器)
100 電池
100M 未完成電池
110 電池ケース(第2電池構成部材)
115 封口部材(第2電池構成部材、電池ケース)
115b 封口部材の溶接面
115c 封口部材の外面(第2電池構成部材の外面)
115S 超音波照射部
115X 電池溶接部
130 負極集電部材(第1電池構成部材、集電部材)
131b 負極集電部材の裏面(第1電池構成部材の裏面)
131c 負極集電部材の溶接面
150 電極体
170 負極板(電極板)
CS 正規位置中心
D 第1方向重なり寸法
IF 負極集電部材(第1電池構成部材)と封口部材(第2電池構成部材)との溶接界面
MW 超音波
SMW 特定反射超音波
X 第1方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電池構成部材と第2電池構成部材とを溶接してなる電池溶接部であって、上記第2電池構成部材のうち上記第1電池構成部材との溶接面と反対側に位置する外面から、上記第1電池構成部材のうち上記第2電池構成部材との溶接面と反対側に位置する裏面に向かって形成された電池溶接部の検査方法であって、
超音波送受信器から送信した超音波を、上記第2電池構成部材の上記外面のうち上記電池溶接部の表面を含む超音波照射部に照射し、上記第2電池構成部材及び上記第1電池構成部材で反射した反射超音波を上記超音波送受信器で受信する計測工程と、
受信した上記反射超音波のうち、上記電池溶接部を経由して、上記第1電池構成部材の上記裏面で反射した特定反射超音波の強度に基づいて、上記電池溶接部の溶接の良否を判定する判定工程と、を備える
電池溶接部の検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電池溶接部の検査方法であって、
前記第1電池構成部材は、電極板に接続された集電部材であり、
前記第2電池構成部材は、上記電極板及び上記集電部材を収容する電池ケースである
電池溶接部の検査方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電池溶接部の検査方法であって、
前記判定工程は、
受信した前記反射超音波の波形に基づいて、前記第1電池構成部材と前記第2電池構成部材とが溶接されているか否かを判定する第1判定工程と、
上記第1判定工程において上記第1電池構成部材と上記第2電池構成部材とが溶接されていると判定した場合に、前記特定反射超音波の強度が、上記第1電池構成部材と上記第2電池構成部材との溶接界面における前記電池溶接部の断面積が合格値であるときに得られる合格基準値以上であるか否かを判定する第2判定工程と、を備える
電池溶接部の検査方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電池溶接部の検査方法であって、
前記計測工程に先立って、
前記電池溶接部の前記表面を平坦にする平坦化工程を備える
電池溶接部の検査方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電池溶接部の検査方法であって、
前記平坦化工程は、
前記電池溶接部の前記表面の表面粗さRaを40μm以下にする
電池溶接部の検査方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の電池溶接部の検査方法であって、
前記電池溶接部の正規位置からの位置ズレであって、前記第2電池構成部材の前記外面に沿う方向のうち第1方向にかかる位置ズレを、第1方向位置ズレとし、
上記第1方向位置ズレの許容範囲を第1方向許容範囲とし、
上記第1方向許容範囲に含まれる全ての上記電池溶接部を想定し、想定した全ての上記電池溶接部の前記表面が重なり合う部分の上記第1方向にかかる寸法を第1方向重なり寸法とし、
上記正規位置に位置する上記電池溶接部の上記表面の中心を正規位置中心としたとき、
前記計測工程は、
上記第1方向許容範囲に含まれる上記電池溶接部について、上記正規位置中心を前記超音波照射部の中心とし、且つ、上記超音波照射部の上記第1方向にかかる寸法を上記第1方向重なり寸法より小さくして、上記超音波照射部に超音波を照射する
電池溶接部の検査方法。
【請求項7】
請求項6に記載の電池溶接部の検査方法であって、
前記電池溶接部は、
前記第1電池構成部材を前記第2電池構成部材に接触させた状態で、上記第2電池構成部材の前記外面のうち前記第1方向に一列に並ぶ複数箇所にエネルギービームを照射して、上記第1電池構成部材を上記第2電池構成部材に溶接してなる
電池溶接部の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−101780(P2010−101780A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274097(P2008−274097)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(399107063)パナソニックEVエナジー株式会社 (193)
【Fターム(参考)】