電池状態監視装置
【課題】取り扱う情報量の肥大化を抑制可能な電池状態監視装置を提供する。
【解決手段】電池状態監視装置における監視ユニットU1〜Unの通信部22に、マイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を、予め定めた基準ビット数、および当該基準ビット数よりも低い低ビット数のうち、いずれかを設定する送信ビット数設定部22aを設ける。また、マイコン3および監視ユニットU1〜Unのいずれかに、送信ビット数設定部22aにて設定する送信ビット数を決定する手段(送信ビット数決定部23、またはビット数決定手段3b)を設ける。当該送信ビット数を決定する手段は、監視する組電池1の電池状態が正常である場合に、送信ビット数を低ビット数に決定し、監視する組電池1の電池状態が異常となる場合に、送信ビット数を基準ビット数に決定する。
【解決手段】電池状態監視装置における監視ユニットU1〜Unの通信部22に、マイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を、予め定めた基準ビット数、および当該基準ビット数よりも低い低ビット数のうち、いずれかを設定する送信ビット数設定部22aを設ける。また、マイコン3および監視ユニットU1〜Unのいずれかに、送信ビット数設定部22aにて設定する送信ビット数を決定する手段(送信ビット数決定部23、またはビット数決定手段3b)を設ける。当該送信ビット数を決定する手段は、監視する組電池1の電池状態が正常である場合に、送信ビット数を低ビット数に決定し、監視する組電池1の電池状態が異常となる場合に、送信ビット数を基準ビット数に決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルを複数直列に接続して構成される組電池における電池状態を監視する電池状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組電池を電源装置として走行するハイブリッド自動車や電気自動車では、組電池を安全かつ有効に使用するために、組電池の電池状態(例えば、過充放電、蓄電容量、劣化度合い)を監視する電池状態監視装置を搭載している。
【0003】
この電池状態監視装置として、使用目的に合わせて変更される組電池の種類(鉛蓄電池、リチウムイオン電池等)や電池構成(電池セルの数、各電池セルの接続形態等)に対応するために、測定レンジ、測定チャンネル、測定間隔といった測定パラメータを変更可能としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−39443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電池状態監視装置では、監視対象となる電池セルのセル数が100セル以上なる場合があり、電池セル毎の電池状態を監視すると、電池状態監視装置で取り扱う情報量が膨大なものとなる。
【0006】
また、リチウムイオン電池に代表される二次電池を電池セルとする場合、過放電状態における急速な劣化の進行や、過充電状態による故障から保護するため、過充電や過放電を正確かつ高速に検出することが望まれている。
【0007】
このように、電池状態監視装置では、監視対象が多く、それらの電池状態を正確かつ高速に検出する要請が存在しており、電池状態監視装置にて取り扱う情報量(データ量)の肥大化を避けることができないといった問題がある。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、取り扱う情報量の肥大化を抑制可能な電池状態監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数の電池セル(10)を直列に接続して構成される組電池(1)の電池状態を監視する電池状態監視装置であって、組電池(1)の電池状態を監視する監視手段(U1〜Un)と、監視手段(U1〜Un)の監視結果に応じて、組電池(1)の電池状態を診断する電池状態診断手段(3a)と、を備え、監視手段(U1〜Un)は、複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの電池状態を示すアナログ信号を取得する信号取得手段(20)と、信号取得手段(20)にて取得したアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換手段(21)と、AD変換手段(21)にて変換されたデジタル信号を電池状態診断手段(3a)へ送信する通信手段(22)と、デジタル信号のビット数を、予め定められた基準ビット数、および基準ビット数よりも低い低ビット数のうちいずれかに設定するビット数設定手段(21b、22a)と、を有することを特徴とする。
【0010】
このように、デジタル信号のビット数を低ビット数に設定可能な構成とすれば、監視手段(U1〜Un)から電池状態診断手段(3a)へ送信する情報量、および電池状態診断手段にて処理する情報量を少なくすることが可能となる。従って、電池状態監視装置にて取り扱う情報量の肥大化を抑制することができる。
【0011】
また、請求項2の発明では、請求項1に記載の電池状態監視装置において、ビット数設定手段(22a)は、通信手段(22)にて送信するデジタル信号のビット数を、基準ビット数、および低ビット数のうちいずれかに設定することを特徴とする。
【0012】
これによれば、監視手段(U1〜Un)から電池状態診断手段(3a)へ送信する情報量、および電池状態診断手段(3a)にて処理する情報量を少なくすることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の電池状態監視装置において、ビット数設定手段(21b)は、AD変換手段(21)にて変換するデジタル信号のビット数を、基準ビット数、および低ビット数のうちいずれかに設定することを特徴とする。
【0014】
これによれば、アナログ信号を低ビット数のデジタル信号に変換することができるので、監視手段(U1〜Un)から電池状態診断手段(3a)へ送信する情報量、および電池状態診断手段(3a)にて処理する情報量に加えて、AD変換手段(21)で処理する情報量を少なくすることができる。
【0015】
また、請求項4の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、ビット数設定手段(21b、22a)にて設定するデジタル信号のビット数を決定するビット数決定手段(23、3b)を備え、ビット数決定手段(23、3b)は、ビット数設定手段(21b、22a)にて低ビット数に設定する頻度が、デジタル信号のビット数を基準ビット数に設定する頻度よりも高くなるようにデジタル信号のビット数を決定することを特徴とする。
【0016】
これによれば、デジタル信号のビット数は、基準ビット数よりも低ビット数に設定される頻度が多くなるので、電池状態監視装置にて取り扱う情報量の肥大化を効果的に抑制することができる。
【0017】
ここで、例えば、低負荷時等のように組電池(1)が安定的に使用されている状況、すなわち組電池(1)を流れる電流の電流変動が小さい状況では、高負荷時等に比べて、電池状態が急激に変化する可能性が低く、組電池(1)の電池状態の監視精度を低下させたとしても問題が少ない。
【0018】
そこで、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、ビット数設定手段(21b、22a)にて設定するデジタル信号のビット数を決定するビット数決定手段(23、3b)を備え、ビット数決定手段(23、3b)は、組電池(1)を流れる電流の電流変動が予め定めた基準範囲内である場合に、ビット数設定手段(21b、22a)にてデジタル信号のビット数を低ビット数に設定する頻度を上げることを特徴とする。
【0019】
これによれば、組電池(1)を流れる電流の電流変動が小さい状況において、低ビット数に設定する頻度を上げるので、電池状態監視装置にて取り扱う情報量の肥大化を適切に抑制することができる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の電池状態監視装置において、ビット数決定手段(23、3b)は、組電池(1)を流れる電流の電流変動が基準範囲外である場合に、ビット数設定手段(21b、22a)にてデジタル信号のビット数を基準ビット数に設定する頻度を上げることを特徴とする。
【0021】
これによれば、組電池(1)を流れる電流の電流変動が大きい状況において、基準ビット数に設定する頻度を上げるので、電池状態監視装置にて取り扱う情報量の肥大化を抑制しつつ、組電池(1)の電池状態を精度よく監視することが可能となる。
【0022】
また、請求項7に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、ビット数設定手段(21b、22a)にて設定するデジタル信号のビット数を決定するビット数決定手段(23、3b)を備え、ビット数決定手段(23、3b)は、ビット数設定手段(21b、22a)にてデジタル信号のビット数を低ビット数に設定したときの電池状態が異常となる場合、デジタル信号のビット数を基準ビット数に決定することを特徴とする。
【0023】
これによれば、電池状態が異常となる電池セル(10)が存在する場合に、デジタル信号のビット数を基準ビット数に設定するので、電池状態監視装置にて取り扱う情報量の肥大化を抑制しつつ、組電池(1)の電池状態を精度よく監視することが可能となる。
【0024】
また、請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、デジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲を調整する指定範囲調整手段(20c)を備えることを特徴とする。
【0025】
このように、デジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲を変更可能とすれば、特定の範囲における電池状態の監視精度の向上を図ることが可能となる。
【0026】
具体的には、請求項9に記載の発明のように、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、アナログ信号として、複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの電圧情報を用いる構成とすることができる。
【0027】
また、請求項10に記載の発明のように、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、アナログ信号として、複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの温度情報を用いる構成とすることができる。
【0028】
また、請求項11に記載の発明のように、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、アナログ信号として、複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの電流情報を用いる構成とすることができる。
【0029】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る電池状態監視装置を含む組電池制御システムの全体構成図である。
【図2】第1実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【図3】第1実施形態に係るAD変換回路にて変換するアナログ値とデジタル値との対応関係を示す特性図である。
【図4】第1実施形態に係るマイコンにて行う電池状態の簡易診断処理を説明するための説明図である。
【図5】第1実施形態に係るマイコンにて行う制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【図7】第3実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【図8】第4実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【図9】第5実施形態に係るマイコンにて行う制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第6実施形態に係るマイコンにて行う制御処理の要部の流れを示すフローチャートである。
【図11】第7実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【図12】第7実施形態に係る信号取得部にて調整するアナログ値とデジタル値との対応関係を示す特性図である。
【図13】第7実施形態に係る指定範囲調整部にて行うデジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲の調整を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0032】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る電池状態監視装置を含む組電池制御システムの全体構成図であり、図2は、本実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【0033】
本実施形態では、車載高圧バッテリである組電池1の制御システムに本発明の電池状態監視装置2を適用している。図1に示すように、本実施形態の組電池制御システムは、主たる構成要素として組電池1および電池状態監視装置2を備える。
【0034】
本実施形態の組電池1は、車両走行用の電動機等の各種電気機器(図示略)に電力を供給するものである。具体的には、組電池1は、リチウムイオン電池等からなる複数の電池セル10(例えば、100セル)を直列に接続したもので、互いに隣接する所定数の電池セル毎にグループ化した複数の単位電池B1〜Bnの直列接続体として構成されている。
【0035】
このように構成される組電池1には、検出ラインを介して電池状態監視装置2が接続されている。電池状態監視装置2は、単位電池B1〜Bnにおける少なくとも一部の電池セル10(本実施形態では全ての電池セル10)の過放電状態、過充電状態、劣化状態、蓄電状態、内部抵抗等の電池状態を監視する機能を有する装置である。なお、過放電状態は、各電池セル10の両端の電圧が信頼性の低下を招く過度な低電圧となる異常状態を意味し、過充電状態は、各電池セル10の両端の電圧が信頼性の低下を招く過度な高電圧となる異常状態を意味する。
【0036】
電池状態監視装置2は、主たる構成要素として各単位電池B1〜Bnに対応して設けられ、各単位電池B1〜Bnの電池セル10を監視する監視ユニット(監視手段)U1〜Un、および監視ユニットU1〜Unからの監視結果に応じて組電池1の電池状態の診断等を行うマイコン3を備えている。なお、各監視ユニットU1〜Unは、高電圧の組電池1を電源とし、マイコン3は、図示しない低電圧の補助バッテリを電源としている。
【0037】
監視ユニットU1〜Unは、対応する単位電池B1〜Bnの各電池セル10の両極端子に検出ラインを介して接続され、単位電池B1〜Bnの監視を指示する指示信号に応じて単位電池B1〜Bnにおける各電池セル10の電池状態(本実施形態では電圧)を監視し、監視結果を出力信号として後述するマイコン3へ出力するように構成されている。
【0038】
本実施形態の監視ユニットUi(i=1〜n)は、図2に示すように、主たる構成要素として信号取得部20、AD変換部21、通信部22を備えている。
【0039】
信号取得部20は、対応する単位電池Bi(i=1〜n)の各電池セル10の電圧値(電圧情報)をアナログ信号として取得する信号取得手段として機能する。この信号取得部20は、マルチプレクサ20a、信号増幅回路20b等で構成されている。
【0040】
マルチプレクサ20aは、各電池セル10の正極側端子および負極側端子それぞれに接続された複数の選択スイッチを備えている。この複数の選択スイッチは、図示しないスイッチ切替回路によってオン、オフが制御される。例えば、電池セル10の電圧値をアナログ信号として取得する場合、マルチプレクサ20aにおける複数の選択スイッチのうち、所定の電池セル10の両極端子に接続された選択スイッチがオンされる。
【0041】
信号増幅回路20bは、マルチプレクサ20aの出力側に接続されており、マルチプレクサ20aを介して取得したアナログ信号(電池セル10の電圧値)を増幅させる回路である。本実施形態の信号増幅回路20bとしては、アナログ信号を一定の係数(ゲイン)で増幅する差動増幅回路を用いている。
【0042】
AD変換部21は、信号取得部20にて取得したアナログ信号(アナログ値)をデジタル信号(デジタル値)に変換するAD変換手段として機能するもので、AD変換回路21a等で構成されている。本実施形態のAD変換回路21aは、量子化ビット数(送信ビット数)が予め定められた基準ビット数(本実施形態では8ビット)に設定されている。つまり、本実施形態では、アナログ信号を8ビットのデジタル信号に変換するように構成されている。なお、AD変換回路21aとしては、例えば、ΔΣ変調型や逐次比較型等の周知のAD変換回路を採用することができる。
【0043】
図3は、本実施形態に係るAD変換回路21aにて変換するアナログ値とデジタル値との対応関係を示す特性図であり、図3の(a)がデジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲を示し、(b)がアナログ値とデジタル値との対応関係をグラフ化した図を示している。
【0044】
図3(a)に示すように、AD変換回路21aでは、アナログ信号(0〜5V)を256段階のデジタル値(00000000〜11111111)に変換する。
【0045】
本実施形態では、デジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲が一定となるように構成されており、電池セル10の電圧の範囲が0〜5Vである場合、電圧値を0.02V毎にデジタル値に変換することができる。なお、本実施形態のAD変換回路21aは、電圧値が高くなるに伴い、デジタル値が増加するように構成されている。
【0046】
また、本実施形態では、信号取得部20の信号増幅回路20bでは、アナログ信号を一定のゲインで増幅しているため、図3(b)で示すように、アナログ値とデジタル値とが比例する対応関係となっている。
【0047】
図2に戻り、通信部22は、絶縁素子4を介してマイコン3からの指令信号を受信すると共に、監視ユニットUiにおける監視結果(AD変換部21にて変換したデジタル信号等)をマイコン3へ送信する通信手段として機能する。なお、絶縁素子4は、高電圧で駆動する各監視ユニットU1〜Un(高電圧系)と、低電圧で駆動するマイコン3(低電圧系)とを絶縁した状態で通信可能とするもので、例えば、フォトカプラで構成することができる。
【0048】
本実施形態の通信部22には、マイコン3へ送信するデジタル信号の送信ビット数を設定する送信ビット数設定部22aが設けられている。なお、本実施形態では、通信部22におけるデジタル信号の送信ビット数を設定する送信ビット数設定部22aが、ビット数設定手段を構成している。
【0049】
本実施形態の送信ビット数設定部22aは、マイコン3からの指令信号に応じて、マイコン3へ送信するデジタル信号の送信ビット数を、予め定められた基準ビット数と、基準ビット数よりも低い低ビット数とで切替設定可能に構成されている。なお、デジタル信号のビット数は、初期設定として低ビット数が設定されている。
【0050】
具体的には、本実施形態の送信ビット数設定部22aは、マイコン3からの指令信号に応じて、マイコン3へ送信するデジタル信号の送信ビット数を、8ビットと3ビットとで切替設定可能に構成されている。
【0051】
例えば、送信ビット数設定部22aにてデジタル信号の送信ビット数が8ビットに設定されている場合には、AD変換部21にて変換されたデジタル信号(8ビット)がそのままマイコン3へ送信される。
【0052】
一方、送信ビット数設定部22aにてデジタル信号の送信ビット数が3ビットに設定されている場合には、AD変換部21にて変換されたデジタル信号(8ビット)のうち上位3ビットがマイコン3へ送信される。つまり、8ビットのデジタル信号が「111*****」である場合には、その上位3ビットである「111」が送信され、8ビットのデジタル信号が「001*****」である場合には、その上位3ビットである「001」が送信される。なお、「*」で示す箇所には「1」か「0」のいずれかが設定される。
【0053】
図1に戻り、本実施形態の各監視ユニットU1〜Unは、複数の監視ユニットU1〜Unのうち、最も高電圧側の単位電池Bnに対応する監視ユニットUnだけが接続され、デイジーチェーン接続方式により、隣接する監視ユニット間で通信可能に通信線にて順次接続されている。
【0054】
このように監視ユニットU1〜Un同士を接続する構成とすることで、監視ユニットUnがマイコン3から取得した指示信号を、各監視ユニットU1〜Unで共有することが可能となっている。また、監視ユニットUn以外の監視ユニットU1〜Un−1は、監視ユニットUnを介して間接的にマイコン3に接続されており、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3に対して所定の信号を送信可能となっている。
【0055】
次に、マイコン3は、図示しないMPU、ROM、EEPROM、RAM、入出力部等からなるマイクロコンピュータであって、ROM等の記憶手段に記憶されたプログラムに従って各種処理等を実行するものである。
【0056】
このマイコン3の入出力部には、絶縁素子4を介して監視ユニットUnが接続されると共に、絶縁素子6を介して電流検出装置5が接続されている。なお、電流検出装置5は、組電池1を流れる電流を検出する検出素子5aを有し、検出素子5aの検出値をマイコン3へ送信する電流検出手段を構成している。この電流検出装置5は、組電池1を電源として駆動するものであり、各監視ユニットU1と同様に高電圧系を構成している。また、絶縁素子6は、高電圧で駆動する電流検出装置5(高電圧系)と、マイコン3(低電圧系)とを絶縁した状態で通信可能とするもので、例えば、フォトカプラで構成することができる。
【0057】
本実施形態のマイコン3は、監視ユニットUnへ各電池セル10の監視や、マイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数の変更を指示する各種指示信号を出力すると共に、各監視ユニットU1〜Unから出力される出力信号(デジタル信号)や電流検出装置5の出力信号等を取得する。そして、マイコン3は、各監視ユニットU1〜Unから送信されるデジタル信号に応じて、監視した電池セル10の電池状態を診断する。
【0058】
具体的には、本実施形態のマイコン3は、監視ユニットU1〜Unからのデジタル信号の送信ビット数(分解能)に応じて、各電池セル10の電池状態を詳細に診断する詳細診断処理、および簡易的に診断する簡易診断処理のいずれかを行うように構成されている。
【0059】
まず、電池状態を詳細に診断する詳細診断処理の一例を説明する。マイコン3では、監視ユニットU1〜Unからのデジタル信号の送信ビット数が基準ビット数(8ビット)であった場合、監視ユニットU1〜Unからのデジタル信号の値に基づいて、監視した電池セル10の詳細な電圧値を算出する。そして、マイコン3では、電池セル10の詳細な電圧値を用いて、電池セル10の過充電状態および過放電状態の診断や、電池セル10の詳細な電圧値および電流検出装置5の検出値(電池セル10のIV特性)を用いた各電池セル10の詳細な蓄電容量SOCや劣化状態SOHや内部抵抗の診断を行う。
【0060】
次に、電池状態を簡易的に診断する簡易診断処理の一例を図4に基づいて説明する。図4は、本実施形態に係るマイコン3が行う電池状態を簡易的に診断する簡易診断処理を説明するための説明図である。なお、図4では、アナログ信号の値(アナログ値)、デジタル信号の値(デジタル値)、および電池状態を複数に分割したエリア群との対応関係の一例を示している。
【0061】
マイコン3では、監視ユニットU1〜Unからのデジタル信号の送信ビット数が低ビット数(上位3ビット)であった場合、監視ユニットU1〜Unからのデジタル信号の値に基づいて、監視した電池セル10が、電池劣化エリア、電池過放電エリア、低容量エリア、中間容量エリア、高容量エリア、および電池過充電エリアといった8つのエリア群のうち、いずれのエリアに属するかによって、電池セル10の電池状態を診断する。このような簡易診断処理は、マイコン3のROM等の記憶手段に予め図4で示すようなデジタル値と各エリアとの対応関係を規定した制御マップを記憶し、処理時に当該制御マップを参照することで実現可能である。
【0062】
ここで、図4に示すように、電池劣化エリアは、電池セル10が著しく劣化していると予測されるアナログ値を基準として設定されると共に、電池過放電エリアは、過放電状態と予測されるアナログ値を基準として設定され、さらに、電池過充電エリアは、過充電状態と予測されるアナログ値を基準として設定されている。なお、マイコン3では、電池状態が電池劣化エリア、電池過放電エリア、および電池過充電エリアに属する場合に電池状態が「異常」と診断する。
【0063】
また、低容量エリア、中容量エリア、および高容量エリアは、蓄電容量の余裕度を段階的に示したものであり、それぞれ蓄電容量に問題がないと予測されるアナログ値を基準として設定されている。なお、マイコン3では、電池状態が低容量エリア、中容量エリア、および高容量エリアに属する場合に、電池状態が「正常(安全使用可能)」と診断する。
【0064】
また、本実施形態のマイコン3は、上述した各単位電池B1〜Bnの電池セル10に対する電池状態の診断結果に応じて、各監視ユニットU1〜Unの通信部22での送信ビット数等を決定する。
【0065】
ここで、本実施形態では、マイコン3における組電池1(電池セル10)の電池状態を診断する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、電池状態診断手段3aを構成している。また、本実施形態では、マイコン3における各監視ユニットU1〜Unの通信部22での送信ビット数を決定する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、ビット数決定手段3bを構成している。
【0066】
以上が、本実施形態に係る電池状態監視装置2の全体構成であり、以下、本実施形態に係る電池状態監視装置2の作動の概略について図5に基づいて説明する。図5は、本実施形態に係るマイコン3が実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。この制御ルーチンは、電池状態監視装置2に対して電力が供給されている間に所定の制御周期τで実行される。
【0067】
まず、マイコン3では、絶縁素子4、6を介して、各電池セル10の電池状態(電圧状態、および電流状態)の監視を指示する監視指示信号を、監視ユニットUnおよび電流検出装置5に送信(出力)する(S10)。
【0068】
マイコン3からの監視指示信号を受信した監視ユニットUnでは、監視対象である単位電池Bnの各電池セル10の電圧状態を監視し、その監視結果(電圧情報)を監視指示信号と共に、隣接する低電圧側の単位電池Bn−1に対応する監視ユニットUn−1へ送信する。
【0069】
そして、監視ユニットUn−1では、監視対象である単位電池Bn−1の各電池セル10の電圧状態を監視し、その監視結果を監視指示信号と共に、隣接する低電圧側の単位電池Bn−2に対応する監視ユニットUn−2へ送信する。
【0070】
その後、監視ユニットUn−2、Un−3、・・・、監視ユニットU1といった順に、高電圧側の単位電池Biに対応する監視ユニットUiから隣接する低電圧側の単位電池Bi−1に対応する監視ユニットUi−1へ監視指示信号が送信され、各監視ユニットU1〜Unそれぞれが、対応する単位電池B1〜Bnを監視する。
【0071】
そして、最も低電圧側の単位電池B1に対応する監視ユニットU1では、その監視結果と他の監視ユニットU2〜Unの監視結果とを含む出力信号を、各監視ユニットU1〜Unを繋ぐ通信線および絶縁素子4を介してマイコン3に送信する。
【0072】
また、電流検出装置5では、各監視ユニットU1〜Unで電圧状態を監視した際に、組電池1を流れる電流を検出し、検出した電流を絶縁素子6を介してマイコン3へ出力する。
【0073】
ここで、本実施形態の各監視ユニットU1〜Unは、通信部22にて送信するデジタル信号の送信ビット数が初期設定として低ビット数(本実施形態では3ビット)に設定されており、各監視ユニットU1〜Unの監視結果がそれぞれ3ビットのデジタル信号としてマイコン3に送信される。
【0074】
次に、マイコン3では、各監視ユニットU1〜Unからの監視結果を示すデジタル信号を読み込み(S20)、ステップS20にて読み込んだ各デジタル信号の送信ビット数が、基準ビット数(本実施形態では8ビット)であるか否かを判定する(S30)。
【0075】
ステップS30の判定処理の結果、各デジタル信号の送信ビット数が基準ビット数でない、つまり、各デジタル信号の送信ビット数が低ビット数(上位3ビット)と判定された場合(S30:NO)には、各デジタル信号の値に基づいて、各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態が属するエリアを決定する(S40)。
【0076】
具体的には、本実施形態のステップS40では、各デジタル信号の値に基づいて、予めデジタル信号の値と電池状態が属するエリア群との関係を規定した制御マップを参照して、各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態が属するエリアを決定する(図4参照)。
【0077】
そして、ステップS40にて決定された各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態が属するエリアに基づいて、各電池10の電池状態を診断する(S50)。具体的には、本実施形態では、電池セル10の電池状態が、電池劣化エリア、電池過放電エリア、および電池過充電エリアに属する場合に「異常」と診断し、電池状態が低容量エリア、中容量エリア、および高容量エリアに属する場合に「正常(安全使用可能)」と診断する。
【0078】
次に、ステップS50の診断の結果、電池状態が「異常」と診断された電池セル10が存在するか否かを判定する(S60)。この結果、電池状態が「異常」と診断された電池セル10が存在すると判定された場合(S60:YES)には、当該電池セル10について詳細な電池状態の診断を行うために、電池状態が「異常」と診断された電池セル10を監視する監視ユニット(通信部22の送信ビット数設定部22a)に対して、送信ビット数を低ビット数から基準ビット数への変更を指示する指示信号を送信する(S70)。この際、送信ビット数の変更を指示する指示信号と共に、「異常」と判定された電池セル10の監視を指示する監視指示信号も送信する。これにより、当該監視指示信号を受信した監視ユニットでは、「異常」と判定された電池セル10の電池状態を監視し、当該電池セル10の監視結果を示すデジタル信号(基準ビット数)をマイコン3へ送信する。
【0079】
一方、ステップS60の判定処理の結果、電池状態が「異常」と診断された電池セル10が存在しない、つまり、全ての電池セル10が「正常」と診断された場合(S60:NO)には、電池セル10について詳細な電池状態の診断を行う必要がないと判断できるため、ステップS70をスキップする。
【0080】
次に、電池状態の診断が終了したか否かを判定する(S100)。この判定処理では、各電池セル10の電池状態の診断が完了したか否かを判定する。なお、低ビット数にて電池状態を診断した結果、電池状態が「異常」と診断された電池セル10が存在する場合には、該当する電池セル10それぞれの電池状態を基準ビット数で診断した後に電池状態の診断が完了したと判定する。
【0081】
ステップS100の判定処理の結果、各電池セル10について診断が終了したと判定された場合(S100:YES)には、マイコン3による電池状態の診断処理を終了し、各電池セル10について診断が終了していないと判定された場合(S100:NO)には、ステップS20へ戻る。
【0082】
ここで、ステップS70にて、送信ビット数の変更を指示する指示信号等を該当する監視ユニットに送信した場合、ステップS20に戻り、送信ビット数の変更を指示する指示信号を送信した監視ユニットからの監視結果を示すデジタル信号を読み込む。
【0083】
この場合、監視ユニットからのデジタル信号の送信ビット数が基準ビット数(本実施形態では8ビット)となるので、ステップS30の判定処理を経て、ステップS80へ移行する。
【0084】
このステップS80では、基準ビット数のデジタル信号に基づいて、低ビット数で診断した際に「異常」となった電池セル10の詳細な電圧を算出する(図3参照)。
【0085】
そして、ステップS80で算出した電池セル10の詳細な電圧値を用いて、電池セル10の過充電状態および過放電状態の診断や、電池セル10の詳細な電圧値および電流検出装置5の検出値(電池セル10のIV特性)を用いた各電池セル10の詳細な蓄電容量SOCや劣化状態SOHや内部抵抗の診断を行う(S90)。なお、ステップS90の診断によっても電池状態が異常と診断された場合は、例えば、ユーザへの異常報知や、組電池1と各種電気機器との接続の遮断等を行う。
【0086】
以上、説明した本実施形態の電池状態監視装置2によれば、各監視ユニットU1〜Unの通信部22からマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を、基準ビット数よりもビット数が低い低ビット数に設定することができるので、監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信する情報量(データ量)、およびマイコン3にて処理する情報量を少なくすることが可能となる。従って、電池状態監視装置2にて取り扱う情報量の肥大化を抑制することができる。
【0087】
特に、本実施形態では、通信部22の送信ビット数設定部22aにてデジタル信号の送信ビット数を低ビット数に設定した際の電池状態の診断結果が「異常」を示す場合に、デジタル信号の送信ビット数を基準ビット数に設定するので、電池状態監視装置2にて取り扱う情報量の肥大化を抑制しつつ、組電池1の電池状態を精度よく監視することが可能となる。
【0088】
なお、通常、デジタル信号の送信ビット数が低ビット数に設定されていたとしても、電池状態の診断結果としては、「正常」となる頻度が「異常」となる頻度よりも少ない傾向がある。このため、本実施形態のマイコン3におけるビット数決定手段3bは、通信部22の送信ビット数設定部22aにて低ビット数に設定する頻度が、基準ビット数に設定する頻度よりも高くなるようにデジタル信号のビット数を決定することとなる。
【0089】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6に基づいて説明する。図6は、本実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【0090】
本実施形態では、各監視ユニットU1〜Unへ送信するデジタル信号の送信ビット数を設定する構成が第1実施形態と相違している。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0091】
本実施形態では、通信部22ではなく、AD変換部21にて、デジタル信号の送信ビット数を設定する構成としている。つまり、本実施形態のAD変換部21には、図6に示すように、通信部22を介してマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を設定する送信ビット数設定部21bが設けられている。なお、本実施形態では、AD変換部21におけるデジタル信号の送信ビット数を設定する送信ビット数設定部21bが、ビット数設定手段を構成している。
【0092】
本実施形態の送信ビット数設定部21bは、信号取得部20で取得したアナログ信号をAD変換回路21aにてデジタル信号に変換する送信ビット数を、マイコン3からの指令信号に応じて、基準ビット数および基準ビット数よりも低い低ビット数のいずれかに設定するものである。
【0093】
例えば、送信ビット数設定部21bは、AD変換回路21aでΔΣ変調を実行することで、基準ビット数と低ビット数とを切替設定することが可能である。また、アナログ信号を基準ビット数のデジタル信号に変換するチャンネル、およびアナログ信号を低ビット数のデジタル信号に変換するチャンネルを有するAD変換回路21aを用いると共に、送信ビット数設定部21bにて、AD変換回路21aのチャンネルを切り替えることで、デジタル信号に変換する送信ビット数を切替設定することができる。
【0094】
具体的には、本実施形態の送信ビット数設定部21bは、マイコン3からの指令信号に応じて、通信部22を介してマイコン3へ送信するデジタル信号の送信ビット数を、8ビットと3ビットとで切替設定可能に構成されている。
【0095】
例えば、送信ビット数設定部21bにてデジタル信号のビット数が8ビットに設定されている場合には、信号取得部20で取得したアナログ信号が、AD変換部21にて8ビットのデジタル信号に変換され、変換されたデジタル信号が通信部22を介してマイコン3へ送信される。
【0096】
一方、送信ビット数設定部22aにてデジタル信号の送信ビット数が3ビットに設定されている場合には、信号取得部20で取得したアナログ信号が、AD変換部21にて3ビットのデジタル信号に変換され、変換されたデジタル信号が通信部22を介してマイコン3へ送信される。
【0097】
以上、説明した本実施形態の電池状態監視装置2は、アナログ信号を低ビット数のデジタル信号に変換することができるので、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3へ送信する情報量(データ量)、およびマイコン3にて処理する情報量を少なくすることが可能となる。
【0098】
特に、本実施形態では、AD変換部21に送信ビット数設定部21bを設ける構成としているので、AD変換部21にて低ビット数のデジタル信号に変換することができ、AD変換回路21aにて処理する情報量を少なくすることが可能となる。この結果、AD変換回路21aにおける処理時間の短縮化することができ、電池状態監視装置2における電池状態の診断処理の高速化を図ることが可能となる。
【0099】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図7に基づいて説明する。図7は、本実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【0100】
上述の第1、第2実施形態では、マイコン3からの指示信号に応じて、各監視ユニットU1〜Unの送信ビット数設定部22aで設定する送信ビット数を決定する構成としている。
【0101】
これに対して、本実施形態では、各監視ユニットU1〜Unにて送信ビット数設定部22aで設定する送信ビット数を決定する構成としている点が第1、第2実施形態と相違している。なお、本実施形態では、第1、第2実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0102】
本実施形態の各監視ユニットU1〜Unには、通信部22からマイコン3側へ送信するデジタル信号の値に基づいて、送信ビット数設定部22aにて設定する送信ビット数を決定する送信ビット数決定部23が設けられている。なお、本実施形態では、各監視ユニットU1〜Unにおける送信ビット数決定部23が、ビット数決定手段を構成している。
【0103】
本実施形態の送信ビット数決定部23は、MPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータで構成されており、ROM等の記憶手段に記憶されたプログラムを実行可能に構成されている。
【0104】
具体的には、送信ビット数決定部23は、通信部22からマイコン3側へ送信するデジタル信号の値を読み込み、読み込んだデジタル信号の値が各電池セル10の電池状態の「異常」を示す異常値であるか否かを判定するように構成されている。
【0105】
そして、送信ビット数決定部23では、読み込んだデジタル信号の値が各電池セル10の電池状態の「異常」を示す異常値であると判定した場合に、送信ビット数設定部22aに対して送信ビット数を基準ビット数に変更する指示信号を出力する。
【0106】
一方、送信ビット数決定部23では、読み込んだデジタル信号の値が各電池セル10の電池状態の「正常」を示す正常値であると判定した場合に、送信ビット数設定部22aに対して送信ビット数を基準ビット数よりも低い低ビット数に変更する指示信号を出力する。
【0107】
以上説明した本実施形態によれば、各監視ユニットU1〜Unに、通信部22からマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を決定する送信ビット数決定部23を設ける構成としているので、マイコン3側で行う処理を少なくすることができると共に、各監視ユニットU1〜Unおよびマイコン3間で通信する情報量(データ量)を低減することが可能となる。
【0108】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図8に基づいて説明する。図8は、本実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【0109】
上述の第3実施形態では、AD変換部21にて変換したデジタル信号の値に基づいて、送信ビット数決定部23にて、各監視ユニットU1〜Unの送信ビット数設定部22aで設定する送信ビット数を決定する構成としている。
【0110】
これに対して、本実施形態では、信号取得部20にて取得したアナログ信号の値に基づいて、送信ビット数決定部23にて、送信ビット数設定部22aで設定する送信ビット数を決定する構成としている点が第1〜第3実施形態と相違している。なお、本実施形態では、第1〜第3実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0111】
本実施形態の送信ビット数決定部23は、信号取得部20にて取得したアナログ信号の値に基づいて、送信ビット数設定部22aにて設定する送信ビット数を決定する。
【0112】
具体的には、本実施形態の送信ビット数決定部23は、信号取得部20の信号増幅回路20bで増幅したアナログ信号を読み込み、読み込んだアナログ信号の値が、各電池セル10の電池状態の「異常」を示す異常値であるか否かを判定するように構成されている。
【0113】
そして、送信ビット数決定部23では、読み込んだアナログ信号の値が各電池セル10の電池状態の「異常」を示す異常値であると判定した場合に、送信ビット数設定部22aに対して送信ビット数を基準ビット数に変更する指示信号を出力する。
【0114】
一方、送信ビット数決定部23では、読み込んだアナログ信号の値が各電池セル10の電池状態の「正常」を示す正常値であると判定した場合に、送信ビット数設定部22aに対して送信ビット数を基準ビット数よりも低い低ビット数に変更する指示信号を出力する。
【0115】
以上説明した本実施形態によれば、第3実施形態と同様に、マイコン3側で行う処理を少なくすることができると共に、各監視ユニットU1〜Unおよびマイコン3間で通信する情報量(データ量)を低減することが可能となる。
【0116】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。上述の第1〜第4実施形態では、電池状態(電圧状態)が「異常」となる電池セル10が存在する場合に、デジタル信号の送信ビット数を基準ビット数に設定する構成としている。
【0117】
これに対して、本実施形態では、電池セル10の詳細な電池状態(劣化状態、蓄電容量、内部抵抗等)を診断する詳細診断モードと、電池セル10の簡易的な電池状態(過放電状態、過充電状態等)を診断する簡易診断モードとのいずれの診断モードを実行するかを決定し、当該診断モードの決定に応じて、デジタル信号の送信ビット数を決定する構成としている点が第1〜第4実施形態と相違している。なお、本実施形態では、第1〜第4実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0118】
本実施形態のマイコン3では、図9に示す制御処理を実行する。図9は、本実施形態のマイコン3が実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0119】
図9に示すように、マイコン3では、詳細診断モードと簡易診断モードとのいずれの診断モードを実行するかを決定する(S210)。本実施形態では、ステップS210の診断モード決定処理は、予め簡易診断モードが詳細診断モードに対して優先的に選択され易いように構成された制御マップを参照して決定する。なお、簡易診断モードが詳細診断モードに対して優先的に選択され易い選択条件であれば、制御マップを参照する方法に限らず他の選択条件を用いて診断モードを決定してもよい。
【0120】
次に、監視ユニットUnに対して、各単位電池B1〜Bnの電池セル10の監視を指示する監視指示信号を送信すると共に(S220)、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信する送信ビット数の変更を指示する指示信号を送信する(S230)。なお、ステップS230では、ステップS210にて診断モードが簡易診断モードに決定された場合に送信ビット数を低ビット数に変更する指示信号を送信し、診断モードが詳細診断モードに決定された場合に送信ビット数を基準ビット数に変更する指示信号を送信する。
【0121】
これにより、各監視ユニットU1〜Unでは、監視対象となる各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態を監視し、その後、各監視ユニットU1〜Unの監視結果を含むデジタル信号がマイコン3側へ送信される。
【0122】
次に、マイコン3では各監視ユニットU1〜Unの監視結果等を含むデジタル信号を読み込む(S240)。そして、ステップS210で決定した診断モードが簡易診断モードであるか否かを判定する(S250)。
【0123】
ステップS250の判定処理の結果、診断モードが簡易診断モードであると判定された場合(S250:YES)には、ステップS240にて読み込んだデジタル信号の値に基づいて、各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態が属するエリアを決定する(S260)。
【0124】
具体的には、本実施形態のステップS260では、第1実施形態で説明したステップS40の処理と同様に、各デジタル信号の値に基づいて、予めデジタル信号の値と電池状態が属するエリア群との関係を規定した制御マップを参照して、各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態が属するエリアを決定する。
【0125】
そして、ステップS260にて決定された各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態が属するエリアに基づいて、各電池セル10の電池状態を診断する(S270)。具体的には、本実施形態では、電池セル10の電池状態が、電池劣化エリア、電池過放電エリア、および電池過充電エリアに属する場合に「異常」と診断し、電池状態が低容量エリア、中容量エリア、および高容量エリアに属する場合に「正常(安全使用可能)」と診断する。
【0126】
一方、ステップS250の判定処理の結果、診断モードが詳細診断モードであると判定された場合(S250:NO)には、ステップS240にて読み込んだデジタル信号に基づいて、各電池セル10の詳細な電圧値を算出する(S280)。
【0127】
そして、ステップS280で算出した電池セル10の詳細な電圧値を用いて、電池セル10の過充電状態および過放電状態の診断や、電池セル10の詳細な電圧値および電流検出装置5の検出値(電池セル10のIV特性)を用いた各電池セル10の詳細な蓄電容量SOCや劣化状態SOHや内部抵抗の診断を行う(S290)。
【0128】
その後、各電池セル10について診断が終了したか否かを判定し(S300)、各電池セル10について診断が終了したと判定された場合(S300:YES)には、マイコン3による電池状態の診断処理を終了し、各電池セル10について診断が終了していないと判定された場合(S300:NO)には、ステップS210へ戻る。
【0129】
以上説明した本実施形態では、診断モードの決定に際し、簡易診断モードが、詳細診断モードよりも設定され易い選択条件を採用している。つまり、監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信されるデジタルデータの送信ビット数を低ビット数に設定する頻度が、基準ビット数に設定する頻度よりも高くなるように、デジタルデータの送信ビット数の決定する構成を採用している。
【0130】
これにより、デジタル信号の送信ビット数は、基準ビット数よりも低ビット数に設定される頻度が多くなるので、監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信される情報量(データ量)を少なくすることができる。従って、電池状態監視装置2にて取り扱う情報量の肥大化を効果的に抑制することができる。
【0131】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態は、組電池1を流れる電流の電流変動に基づいて、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信されるデジタル信号の送信ビット数を決定する構成としている点が上述の第5実施形態と相違している。なお、本実施形態では、第1〜第5実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0132】
図10は、本実施形態に係るマイコン3が実行する制御処理の要部の流れを示すフローチャートである。なお、図10のフローチャートは、図9におけるステップS210の処理に対応している。
【0133】
図10に示すように、本実施形態の診断モード決定処理(S210)では、電流検出装置5から送信される電流信号(組電池1を流れる電流値)を読み込む(S210a)。
【0134】
ここで、例えば、低負荷時等のように組電池1が安定的に使用されている状況では、組電池1を流れる電流が比較的安定しており、高負荷時等に比べて、電池状態が急激に変化する可能性が低いといった傾向がある。つまり、組電池1を流れる電流が比較的安定している場合には、各監視ユニットU1〜Unにおける組電池1の電池状態の監視精度を低下させたとしても問題が少ない。
【0135】
そこで、本実施形態では、ステップS210aにて読み込んだ電流から、組電池1を流れる電流の電流変動(例えば、前回の検出値と今回の検出値の差分)を算出し、算出した電流変動が予め定められた基準範囲内であるか否かを判定する(S210b)。
【0136】
ステップS210bの判定処理の結果、電流変動が基準範囲内であると判定された場合(S210b:YES)には、電池状態が急激に変化する可能性が低いと判断できるので、診断モードを簡易診断モードに決定する(S210c)。つまり、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を低ビット数に決定する。
【0137】
一方、ステップS210bの判定処理の結果、電流変動が基準範囲外であると判定された場合(S210b:NO)には、電池状態が急激に変動する可能性が高いと判断できるので、診断モードを詳細診断モードに決定する(S210d)。つまり、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を基準ビット数に決定する。
【0138】
以上説明した本実施形態では、電流変動に応じて送信ビット数を変更する構成としているので、電池状態監視装置にて取り扱う情報量の肥大化を抑制しつつ、組電池1の電池状態を精度よく監視することが可能となる。
【0139】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図11〜図13に基づいて説明する。図11は、本実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【0140】
本実施形態では、各監視ユニットU1〜Unの信号取得部20が、デジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲を変更可能に構成されている点が第1〜第6実施形態と相違している。
【0141】
具体的には、本実施形態の各監視ユニットU1〜Unの信号取得部20には、デジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲、つまり、デジタル信号の単位ビットが示すアナログ値の範囲を調整する指定範囲調整部(指定範囲調整手段)20cが設けられている。
【0142】
この指定範囲調整部20cは、信号増幅回路20bにて増幅されたアナログ信号に対して所定値を加算または減算するオフセット調整、および信号増幅回路20bにてアナログ信号を増幅する際のゲインを調整するゲイン調整を行うように構成されている。本実施形態の指定範囲調整部20cは、デジタル信号の送信ビット数を低ビット数に設定されている場合に、マイコン3側の指示信号等に応じて、オフセット調整およびゲイン調整を行う。
【0143】
ここで、図12は、本実施形態に係る信号取得部20にて調整するアナログ値とデジタル値との対応関係を示す特性図であり、図13は、本実施形態に係る指定範囲調整部20cにて行うデジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲の調整を説明するための説明図である。
【0144】
図12に示すように、太実線Aで示すアナログ値とデジタル値との対応関係から太一点鎖線Bで示す関係となるように調整する場合、アナログ値に所定値を加算するオフセット調整を行うことで、デジタル信号の単位ビットが示すアナログ値の範囲を調整することができる。
【0145】
この場合、例えば、図13(a)、(b)で示すように、オフセット調整にてアナログ値に加算する所定値を0.39とする場合、デジタル値「111」(電池過充電エリア)が示すアナログ値の指定範囲を「4.39〜5.00」から「4.00〜4.61」へ変更することができる。
【0146】
また、図12に示すように、太実線Aで示すアナログ値とデジタル値との対応関係から太二点鎖線Cで示す関係となるように調整する場合、オフセット調整およびゲイン調整を行うことで、デジタル信号の単位ビットが示すアナログ値の範囲を調整することができる。
【0147】
この場合、例えば、図13(a)、(c)で示すように、オフセット調整およびゲイン調整を行うことで、デジタル値「001」(電池過充電エリア)が示すアナログ値の指定範囲を「0.62〜1.23」から「1.67〜2.00」へ変更すると共に、電池過放電エリアが示すアナログ値の指定範囲を「4.39〜5.00」から「4.00〜4.33」へ変更することができる。
【0148】
さらに、図12に示すように、太実線Aで示すアナログ値とデジタル値との対応関係から細一点鎖線Dや細二点鎖線Eで示す対応関係となるように調整する場合、アナログ値に加算する所定値に重み付けするオフセット調整を行うことで、デジタル信号の単位ビットが示すアナログ値の範囲を調整することができる。
【0149】
この場合、例えば、デジタル値「000」〜「011」、「111」(電池劣化エリア、電池過放電エリア、電池過充電エリア)が示すアナログ値の指定範囲を縮小すると共に、デジタル値「100」〜「110」(低容量エリア、中間容量エリア、高容量エリア)が示すアナログ値の指定範囲を拡大することで、図13(d)で示すように、電池状態が異常であることを詳細に監視することができる。
【0150】
逆に、例えば、デジタル値「100」〜「110」(低容量エリア、中間容量エリア、高容量エリア)が示すアナログ値の指定範囲を縮小すると共に、デジタル値「000」〜「011」、「111」(電池劣化エリア、電池過放電エリア、電池過充電エリア)が示すアナログ値の指定範囲を拡大することで、図13(e)で示すように、電池状態が正常であることを詳細に監視することができる。
【0151】
以上説明した本実施形態によれば、デジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号に指定範囲を調整可能な構成を採用しているので、特定の範囲における電池状態の監視精度の向上を図ることが可能となる。
【0152】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0153】
(1)上述の各実施形態では、各監視ユニットU1〜Unにて各単位電池B1〜Bnまたは各電池セル10の電圧状態を監視する例について説明したが、これに限定されない。
【0154】
例えば、各単位電池B1〜Bn、または各電池セル10に電池温度を検出する温度センサ(温度検出手段)が設けられている場合、各単位電池B1〜Bn(電池セル10)の温度情報をアナログ信号として取得し、各監視ユニットU1〜Unにて監視するようにしてもよい。
【0155】
また、各単位電池B1〜Bn、または各電池セル10に、電流を検出する電流センサ(電流検出手段)が設けられている場合、各単位電池B1〜Bn(電池セル10)の電流情報をアナログ信号として取得し、各監視ユニットU1〜Unにて監視するようにしてもよい。
【0156】
(2)上述の各実施形態では、基準ビット数を8ビットとし、低ビット数を3ビットとする例について説明したが、これに限定されず、低ビット数が基準ビット数よりも低いビット数であれば、基準ビット数および低ビット数それぞれを任意のビット数とすることができる。
【0157】
(3)上述の第5、第6実施形態では、マイコン3にて、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を決定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、第3、第4実施形態のように、各監視ユニットU1〜Unに、送信ビット数決定部23を設け、当該送信ビット数決定部23にて各監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を決定するようにしてもよい。この場合、各監視ユニットU1〜Unにおける送信ビット数決定部23が、ビット数決定手段を構成することとなる。
【0158】
(4)上述の第6実施形態では、組電池1を流れる電流の電流変動が基準範囲内であれば、送信ビット数を低ビット数に決定し、当該電流変動が基準範囲外であれば、送信ビット数を基準ビット数に決定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、組電池1を流れる電流の電流変動が基準範囲内であれば、低ビット数が設定される頻度が、基準ビット数が設定される頻度よりも高くなるように、送信ビット数を決定するようにしてもよい。逆に、組電池1を流れる電流の電流変動が基準範囲外であれば、基準ビット数が設定される頻度が、低ビット数が設定される頻度よりも高くなるように、送信ビット数を決定するようにしてもよい。
【0159】
(5)上述の第7実施形態では、信号取得部20の指定範囲調整部20cにて、アナログ信号に対してオフセット調整、および信号増幅回路20bにてアナログ信号を増幅する際のゲインを調整可能とする例について説明したが、これに限定されず、指定範囲調整部20cにてオフセット調整、およびゲイン調整のうち、いずれか一方を調整可能な構成としてもよい。
【0160】
(6)上述の各実施形態では、各監視ユニットU1〜Unにて、単位電池B1〜Bnの各電池セル10の過放電状態、過充電状態、劣化状態、蓄電状態、内部抵抗等の電池状態を監視するようにしているが、これ限らず、例えば、各監視ユニットU1〜Unにて、単位電池B1〜Bn毎の過放電状態、過充電状態、劣化状態、蓄電状態、内部抵抗等の電池状態を監視するようにしてもよい。
【0161】
(7)上述の各実施形態では、電池状態監視装置2では、デイジーチェーン接続方式により、隣接する監視ユニット間を順次接続する構成としているが、これに限らず、例えば、各監視ユニットそれぞれをマイコン3側と接続する構成としてもよい。
【0162】
(8)上述の各実施形態では、電池状態監視装置2における監視手段を複数の監視ユニットU1〜Unで構成する例について説明したが、例えば、組電池1を構成する電池セル10の数が少ない場合等には、単一の監視ユニットにて監視手段を構成するようにしてもよい。
【0163】
(9)上述の各実施形態では、電池状態監視装置2を車載高圧バッテリに適用する例を説明したが、車載高圧バッテリに限らず、他のバッテリに用いてもよい。
【0164】
(10)上述の各実施形態は、可能な範囲で適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0165】
1 組電池
10 電池セル
2 電池状態監視装置
20 信号取得部(信号取得手段)
20c 指定範囲調整部(指定範囲調整手段)
21 AD変換部(AD変換手段)
21b 送信ビット数設定部(送信ビット数設定手段)
22 通信部(通信手段)
22a 送信ビット数設定部(送信ビット数設定手段)
23 送信ビット数決定部(送信ビット数決定手段)
3a 電池状態診断手段
3b 送信ビット数決定手段
B1〜Bn 単位電池
U1〜Un 監視ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルを複数直列に接続して構成される組電池における電池状態を監視する電池状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組電池を電源装置として走行するハイブリッド自動車や電気自動車では、組電池を安全かつ有効に使用するために、組電池の電池状態(例えば、過充放電、蓄電容量、劣化度合い)を監視する電池状態監視装置を搭載している。
【0003】
この電池状態監視装置として、使用目的に合わせて変更される組電池の種類(鉛蓄電池、リチウムイオン電池等)や電池構成(電池セルの数、各電池セルの接続形態等)に対応するために、測定レンジ、測定チャンネル、測定間隔といった測定パラメータを変更可能としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−39443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電池状態監視装置では、監視対象となる電池セルのセル数が100セル以上なる場合があり、電池セル毎の電池状態を監視すると、電池状態監視装置で取り扱う情報量が膨大なものとなる。
【0006】
また、リチウムイオン電池に代表される二次電池を電池セルとする場合、過放電状態における急速な劣化の進行や、過充電状態による故障から保護するため、過充電や過放電を正確かつ高速に検出することが望まれている。
【0007】
このように、電池状態監視装置では、監視対象が多く、それらの電池状態を正確かつ高速に検出する要請が存在しており、電池状態監視装置にて取り扱う情報量(データ量)の肥大化を避けることができないといった問題がある。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、取り扱う情報量の肥大化を抑制可能な電池状態監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数の電池セル(10)を直列に接続して構成される組電池(1)の電池状態を監視する電池状態監視装置であって、組電池(1)の電池状態を監視する監視手段(U1〜Un)と、監視手段(U1〜Un)の監視結果に応じて、組電池(1)の電池状態を診断する電池状態診断手段(3a)と、を備え、監視手段(U1〜Un)は、複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの電池状態を示すアナログ信号を取得する信号取得手段(20)と、信号取得手段(20)にて取得したアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換手段(21)と、AD変換手段(21)にて変換されたデジタル信号を電池状態診断手段(3a)へ送信する通信手段(22)と、デジタル信号のビット数を、予め定められた基準ビット数、および基準ビット数よりも低い低ビット数のうちいずれかに設定するビット数設定手段(21b、22a)と、を有することを特徴とする。
【0010】
このように、デジタル信号のビット数を低ビット数に設定可能な構成とすれば、監視手段(U1〜Un)から電池状態診断手段(3a)へ送信する情報量、および電池状態診断手段にて処理する情報量を少なくすることが可能となる。従って、電池状態監視装置にて取り扱う情報量の肥大化を抑制することができる。
【0011】
また、請求項2の発明では、請求項1に記載の電池状態監視装置において、ビット数設定手段(22a)は、通信手段(22)にて送信するデジタル信号のビット数を、基準ビット数、および低ビット数のうちいずれかに設定することを特徴とする。
【0012】
これによれば、監視手段(U1〜Un)から電池状態診断手段(3a)へ送信する情報量、および電池状態診断手段(3a)にて処理する情報量を少なくすることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の電池状態監視装置において、ビット数設定手段(21b)は、AD変換手段(21)にて変換するデジタル信号のビット数を、基準ビット数、および低ビット数のうちいずれかに設定することを特徴とする。
【0014】
これによれば、アナログ信号を低ビット数のデジタル信号に変換することができるので、監視手段(U1〜Un)から電池状態診断手段(3a)へ送信する情報量、および電池状態診断手段(3a)にて処理する情報量に加えて、AD変換手段(21)で処理する情報量を少なくすることができる。
【0015】
また、請求項4の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、ビット数設定手段(21b、22a)にて設定するデジタル信号のビット数を決定するビット数決定手段(23、3b)を備え、ビット数決定手段(23、3b)は、ビット数設定手段(21b、22a)にて低ビット数に設定する頻度が、デジタル信号のビット数を基準ビット数に設定する頻度よりも高くなるようにデジタル信号のビット数を決定することを特徴とする。
【0016】
これによれば、デジタル信号のビット数は、基準ビット数よりも低ビット数に設定される頻度が多くなるので、電池状態監視装置にて取り扱う情報量の肥大化を効果的に抑制することができる。
【0017】
ここで、例えば、低負荷時等のように組電池(1)が安定的に使用されている状況、すなわち組電池(1)を流れる電流の電流変動が小さい状況では、高負荷時等に比べて、電池状態が急激に変化する可能性が低く、組電池(1)の電池状態の監視精度を低下させたとしても問題が少ない。
【0018】
そこで、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、ビット数設定手段(21b、22a)にて設定するデジタル信号のビット数を決定するビット数決定手段(23、3b)を備え、ビット数決定手段(23、3b)は、組電池(1)を流れる電流の電流変動が予め定めた基準範囲内である場合に、ビット数設定手段(21b、22a)にてデジタル信号のビット数を低ビット数に設定する頻度を上げることを特徴とする。
【0019】
これによれば、組電池(1)を流れる電流の電流変動が小さい状況において、低ビット数に設定する頻度を上げるので、電池状態監視装置にて取り扱う情報量の肥大化を適切に抑制することができる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の電池状態監視装置において、ビット数決定手段(23、3b)は、組電池(1)を流れる電流の電流変動が基準範囲外である場合に、ビット数設定手段(21b、22a)にてデジタル信号のビット数を基準ビット数に設定する頻度を上げることを特徴とする。
【0021】
これによれば、組電池(1)を流れる電流の電流変動が大きい状況において、基準ビット数に設定する頻度を上げるので、電池状態監視装置にて取り扱う情報量の肥大化を抑制しつつ、組電池(1)の電池状態を精度よく監視することが可能となる。
【0022】
また、請求項7に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、ビット数設定手段(21b、22a)にて設定するデジタル信号のビット数を決定するビット数決定手段(23、3b)を備え、ビット数決定手段(23、3b)は、ビット数設定手段(21b、22a)にてデジタル信号のビット数を低ビット数に設定したときの電池状態が異常となる場合、デジタル信号のビット数を基準ビット数に決定することを特徴とする。
【0023】
これによれば、電池状態が異常となる電池セル(10)が存在する場合に、デジタル信号のビット数を基準ビット数に設定するので、電池状態監視装置にて取り扱う情報量の肥大化を抑制しつつ、組電池(1)の電池状態を精度よく監視することが可能となる。
【0024】
また、請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、デジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲を調整する指定範囲調整手段(20c)を備えることを特徴とする。
【0025】
このように、デジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲を変更可能とすれば、特定の範囲における電池状態の監視精度の向上を図ることが可能となる。
【0026】
具体的には、請求項9に記載の発明のように、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、アナログ信号として、複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの電圧情報を用いる構成とすることができる。
【0027】
また、請求項10に記載の発明のように、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、アナログ信号として、複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの温度情報を用いる構成とすることができる。
【0028】
また、請求項11に記載の発明のように、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の電池状態監視装置において、アナログ信号として、複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの電流情報を用いる構成とすることができる。
【0029】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る電池状態監視装置を含む組電池制御システムの全体構成図である。
【図2】第1実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【図3】第1実施形態に係るAD変換回路にて変換するアナログ値とデジタル値との対応関係を示す特性図である。
【図4】第1実施形態に係るマイコンにて行う電池状態の簡易診断処理を説明するための説明図である。
【図5】第1実施形態に係るマイコンにて行う制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【図7】第3実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【図8】第4実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【図9】第5実施形態に係るマイコンにて行う制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第6実施形態に係るマイコンにて行う制御処理の要部の流れを示すフローチャートである。
【図11】第7実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【図12】第7実施形態に係る信号取得部にて調整するアナログ値とデジタル値との対応関係を示す特性図である。
【図13】第7実施形態に係る指定範囲調整部にて行うデジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲の調整を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0032】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る電池状態監視装置を含む組電池制御システムの全体構成図であり、図2は、本実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【0033】
本実施形態では、車載高圧バッテリである組電池1の制御システムに本発明の電池状態監視装置2を適用している。図1に示すように、本実施形態の組電池制御システムは、主たる構成要素として組電池1および電池状態監視装置2を備える。
【0034】
本実施形態の組電池1は、車両走行用の電動機等の各種電気機器(図示略)に電力を供給するものである。具体的には、組電池1は、リチウムイオン電池等からなる複数の電池セル10(例えば、100セル)を直列に接続したもので、互いに隣接する所定数の電池セル毎にグループ化した複数の単位電池B1〜Bnの直列接続体として構成されている。
【0035】
このように構成される組電池1には、検出ラインを介して電池状態監視装置2が接続されている。電池状態監視装置2は、単位電池B1〜Bnにおける少なくとも一部の電池セル10(本実施形態では全ての電池セル10)の過放電状態、過充電状態、劣化状態、蓄電状態、内部抵抗等の電池状態を監視する機能を有する装置である。なお、過放電状態は、各電池セル10の両端の電圧が信頼性の低下を招く過度な低電圧となる異常状態を意味し、過充電状態は、各電池セル10の両端の電圧が信頼性の低下を招く過度な高電圧となる異常状態を意味する。
【0036】
電池状態監視装置2は、主たる構成要素として各単位電池B1〜Bnに対応して設けられ、各単位電池B1〜Bnの電池セル10を監視する監視ユニット(監視手段)U1〜Un、および監視ユニットU1〜Unからの監視結果に応じて組電池1の電池状態の診断等を行うマイコン3を備えている。なお、各監視ユニットU1〜Unは、高電圧の組電池1を電源とし、マイコン3は、図示しない低電圧の補助バッテリを電源としている。
【0037】
監視ユニットU1〜Unは、対応する単位電池B1〜Bnの各電池セル10の両極端子に検出ラインを介して接続され、単位電池B1〜Bnの監視を指示する指示信号に応じて単位電池B1〜Bnにおける各電池セル10の電池状態(本実施形態では電圧)を監視し、監視結果を出力信号として後述するマイコン3へ出力するように構成されている。
【0038】
本実施形態の監視ユニットUi(i=1〜n)は、図2に示すように、主たる構成要素として信号取得部20、AD変換部21、通信部22を備えている。
【0039】
信号取得部20は、対応する単位電池Bi(i=1〜n)の各電池セル10の電圧値(電圧情報)をアナログ信号として取得する信号取得手段として機能する。この信号取得部20は、マルチプレクサ20a、信号増幅回路20b等で構成されている。
【0040】
マルチプレクサ20aは、各電池セル10の正極側端子および負極側端子それぞれに接続された複数の選択スイッチを備えている。この複数の選択スイッチは、図示しないスイッチ切替回路によってオン、オフが制御される。例えば、電池セル10の電圧値をアナログ信号として取得する場合、マルチプレクサ20aにおける複数の選択スイッチのうち、所定の電池セル10の両極端子に接続された選択スイッチがオンされる。
【0041】
信号増幅回路20bは、マルチプレクサ20aの出力側に接続されており、マルチプレクサ20aを介して取得したアナログ信号(電池セル10の電圧値)を増幅させる回路である。本実施形態の信号増幅回路20bとしては、アナログ信号を一定の係数(ゲイン)で増幅する差動増幅回路を用いている。
【0042】
AD変換部21は、信号取得部20にて取得したアナログ信号(アナログ値)をデジタル信号(デジタル値)に変換するAD変換手段として機能するもので、AD変換回路21a等で構成されている。本実施形態のAD変換回路21aは、量子化ビット数(送信ビット数)が予め定められた基準ビット数(本実施形態では8ビット)に設定されている。つまり、本実施形態では、アナログ信号を8ビットのデジタル信号に変換するように構成されている。なお、AD変換回路21aとしては、例えば、ΔΣ変調型や逐次比較型等の周知のAD変換回路を採用することができる。
【0043】
図3は、本実施形態に係るAD変換回路21aにて変換するアナログ値とデジタル値との対応関係を示す特性図であり、図3の(a)がデジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲を示し、(b)がアナログ値とデジタル値との対応関係をグラフ化した図を示している。
【0044】
図3(a)に示すように、AD変換回路21aでは、アナログ信号(0〜5V)を256段階のデジタル値(00000000〜11111111)に変換する。
【0045】
本実施形態では、デジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲が一定となるように構成されており、電池セル10の電圧の範囲が0〜5Vである場合、電圧値を0.02V毎にデジタル値に変換することができる。なお、本実施形態のAD変換回路21aは、電圧値が高くなるに伴い、デジタル値が増加するように構成されている。
【0046】
また、本実施形態では、信号取得部20の信号増幅回路20bでは、アナログ信号を一定のゲインで増幅しているため、図3(b)で示すように、アナログ値とデジタル値とが比例する対応関係となっている。
【0047】
図2に戻り、通信部22は、絶縁素子4を介してマイコン3からの指令信号を受信すると共に、監視ユニットUiにおける監視結果(AD変換部21にて変換したデジタル信号等)をマイコン3へ送信する通信手段として機能する。なお、絶縁素子4は、高電圧で駆動する各監視ユニットU1〜Un(高電圧系)と、低電圧で駆動するマイコン3(低電圧系)とを絶縁した状態で通信可能とするもので、例えば、フォトカプラで構成することができる。
【0048】
本実施形態の通信部22には、マイコン3へ送信するデジタル信号の送信ビット数を設定する送信ビット数設定部22aが設けられている。なお、本実施形態では、通信部22におけるデジタル信号の送信ビット数を設定する送信ビット数設定部22aが、ビット数設定手段を構成している。
【0049】
本実施形態の送信ビット数設定部22aは、マイコン3からの指令信号に応じて、マイコン3へ送信するデジタル信号の送信ビット数を、予め定められた基準ビット数と、基準ビット数よりも低い低ビット数とで切替設定可能に構成されている。なお、デジタル信号のビット数は、初期設定として低ビット数が設定されている。
【0050】
具体的には、本実施形態の送信ビット数設定部22aは、マイコン3からの指令信号に応じて、マイコン3へ送信するデジタル信号の送信ビット数を、8ビットと3ビットとで切替設定可能に構成されている。
【0051】
例えば、送信ビット数設定部22aにてデジタル信号の送信ビット数が8ビットに設定されている場合には、AD変換部21にて変換されたデジタル信号(8ビット)がそのままマイコン3へ送信される。
【0052】
一方、送信ビット数設定部22aにてデジタル信号の送信ビット数が3ビットに設定されている場合には、AD変換部21にて変換されたデジタル信号(8ビット)のうち上位3ビットがマイコン3へ送信される。つまり、8ビットのデジタル信号が「111*****」である場合には、その上位3ビットである「111」が送信され、8ビットのデジタル信号が「001*****」である場合には、その上位3ビットである「001」が送信される。なお、「*」で示す箇所には「1」か「0」のいずれかが設定される。
【0053】
図1に戻り、本実施形態の各監視ユニットU1〜Unは、複数の監視ユニットU1〜Unのうち、最も高電圧側の単位電池Bnに対応する監視ユニットUnだけが接続され、デイジーチェーン接続方式により、隣接する監視ユニット間で通信可能に通信線にて順次接続されている。
【0054】
このように監視ユニットU1〜Un同士を接続する構成とすることで、監視ユニットUnがマイコン3から取得した指示信号を、各監視ユニットU1〜Unで共有することが可能となっている。また、監視ユニットUn以外の監視ユニットU1〜Un−1は、監視ユニットUnを介して間接的にマイコン3に接続されており、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3に対して所定の信号を送信可能となっている。
【0055】
次に、マイコン3は、図示しないMPU、ROM、EEPROM、RAM、入出力部等からなるマイクロコンピュータであって、ROM等の記憶手段に記憶されたプログラムに従って各種処理等を実行するものである。
【0056】
このマイコン3の入出力部には、絶縁素子4を介して監視ユニットUnが接続されると共に、絶縁素子6を介して電流検出装置5が接続されている。なお、電流検出装置5は、組電池1を流れる電流を検出する検出素子5aを有し、検出素子5aの検出値をマイコン3へ送信する電流検出手段を構成している。この電流検出装置5は、組電池1を電源として駆動するものであり、各監視ユニットU1と同様に高電圧系を構成している。また、絶縁素子6は、高電圧で駆動する電流検出装置5(高電圧系)と、マイコン3(低電圧系)とを絶縁した状態で通信可能とするもので、例えば、フォトカプラで構成することができる。
【0057】
本実施形態のマイコン3は、監視ユニットUnへ各電池セル10の監視や、マイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数の変更を指示する各種指示信号を出力すると共に、各監視ユニットU1〜Unから出力される出力信号(デジタル信号)や電流検出装置5の出力信号等を取得する。そして、マイコン3は、各監視ユニットU1〜Unから送信されるデジタル信号に応じて、監視した電池セル10の電池状態を診断する。
【0058】
具体的には、本実施形態のマイコン3は、監視ユニットU1〜Unからのデジタル信号の送信ビット数(分解能)に応じて、各電池セル10の電池状態を詳細に診断する詳細診断処理、および簡易的に診断する簡易診断処理のいずれかを行うように構成されている。
【0059】
まず、電池状態を詳細に診断する詳細診断処理の一例を説明する。マイコン3では、監視ユニットU1〜Unからのデジタル信号の送信ビット数が基準ビット数(8ビット)であった場合、監視ユニットU1〜Unからのデジタル信号の値に基づいて、監視した電池セル10の詳細な電圧値を算出する。そして、マイコン3では、電池セル10の詳細な電圧値を用いて、電池セル10の過充電状態および過放電状態の診断や、電池セル10の詳細な電圧値および電流検出装置5の検出値(電池セル10のIV特性)を用いた各電池セル10の詳細な蓄電容量SOCや劣化状態SOHや内部抵抗の診断を行う。
【0060】
次に、電池状態を簡易的に診断する簡易診断処理の一例を図4に基づいて説明する。図4は、本実施形態に係るマイコン3が行う電池状態を簡易的に診断する簡易診断処理を説明するための説明図である。なお、図4では、アナログ信号の値(アナログ値)、デジタル信号の値(デジタル値)、および電池状態を複数に分割したエリア群との対応関係の一例を示している。
【0061】
マイコン3では、監視ユニットU1〜Unからのデジタル信号の送信ビット数が低ビット数(上位3ビット)であった場合、監視ユニットU1〜Unからのデジタル信号の値に基づいて、監視した電池セル10が、電池劣化エリア、電池過放電エリア、低容量エリア、中間容量エリア、高容量エリア、および電池過充電エリアといった8つのエリア群のうち、いずれのエリアに属するかによって、電池セル10の電池状態を診断する。このような簡易診断処理は、マイコン3のROM等の記憶手段に予め図4で示すようなデジタル値と各エリアとの対応関係を規定した制御マップを記憶し、処理時に当該制御マップを参照することで実現可能である。
【0062】
ここで、図4に示すように、電池劣化エリアは、電池セル10が著しく劣化していると予測されるアナログ値を基準として設定されると共に、電池過放電エリアは、過放電状態と予測されるアナログ値を基準として設定され、さらに、電池過充電エリアは、過充電状態と予測されるアナログ値を基準として設定されている。なお、マイコン3では、電池状態が電池劣化エリア、電池過放電エリア、および電池過充電エリアに属する場合に電池状態が「異常」と診断する。
【0063】
また、低容量エリア、中容量エリア、および高容量エリアは、蓄電容量の余裕度を段階的に示したものであり、それぞれ蓄電容量に問題がないと予測されるアナログ値を基準として設定されている。なお、マイコン3では、電池状態が低容量エリア、中容量エリア、および高容量エリアに属する場合に、電池状態が「正常(安全使用可能)」と診断する。
【0064】
また、本実施形態のマイコン3は、上述した各単位電池B1〜Bnの電池セル10に対する電池状態の診断結果に応じて、各監視ユニットU1〜Unの通信部22での送信ビット数等を決定する。
【0065】
ここで、本実施形態では、マイコン3における組電池1(電池セル10)の電池状態を診断する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、電池状態診断手段3aを構成している。また、本実施形態では、マイコン3における各監視ユニットU1〜Unの通信部22での送信ビット数を決定する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、ビット数決定手段3bを構成している。
【0066】
以上が、本実施形態に係る電池状態監視装置2の全体構成であり、以下、本実施形態に係る電池状態監視装置2の作動の概略について図5に基づいて説明する。図5は、本実施形態に係るマイコン3が実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。この制御ルーチンは、電池状態監視装置2に対して電力が供給されている間に所定の制御周期τで実行される。
【0067】
まず、マイコン3では、絶縁素子4、6を介して、各電池セル10の電池状態(電圧状態、および電流状態)の監視を指示する監視指示信号を、監視ユニットUnおよび電流検出装置5に送信(出力)する(S10)。
【0068】
マイコン3からの監視指示信号を受信した監視ユニットUnでは、監視対象である単位電池Bnの各電池セル10の電圧状態を監視し、その監視結果(電圧情報)を監視指示信号と共に、隣接する低電圧側の単位電池Bn−1に対応する監視ユニットUn−1へ送信する。
【0069】
そして、監視ユニットUn−1では、監視対象である単位電池Bn−1の各電池セル10の電圧状態を監視し、その監視結果を監視指示信号と共に、隣接する低電圧側の単位電池Bn−2に対応する監視ユニットUn−2へ送信する。
【0070】
その後、監視ユニットUn−2、Un−3、・・・、監視ユニットU1といった順に、高電圧側の単位電池Biに対応する監視ユニットUiから隣接する低電圧側の単位電池Bi−1に対応する監視ユニットUi−1へ監視指示信号が送信され、各監視ユニットU1〜Unそれぞれが、対応する単位電池B1〜Bnを監視する。
【0071】
そして、最も低電圧側の単位電池B1に対応する監視ユニットU1では、その監視結果と他の監視ユニットU2〜Unの監視結果とを含む出力信号を、各監視ユニットU1〜Unを繋ぐ通信線および絶縁素子4を介してマイコン3に送信する。
【0072】
また、電流検出装置5では、各監視ユニットU1〜Unで電圧状態を監視した際に、組電池1を流れる電流を検出し、検出した電流を絶縁素子6を介してマイコン3へ出力する。
【0073】
ここで、本実施形態の各監視ユニットU1〜Unは、通信部22にて送信するデジタル信号の送信ビット数が初期設定として低ビット数(本実施形態では3ビット)に設定されており、各監視ユニットU1〜Unの監視結果がそれぞれ3ビットのデジタル信号としてマイコン3に送信される。
【0074】
次に、マイコン3では、各監視ユニットU1〜Unからの監視結果を示すデジタル信号を読み込み(S20)、ステップS20にて読み込んだ各デジタル信号の送信ビット数が、基準ビット数(本実施形態では8ビット)であるか否かを判定する(S30)。
【0075】
ステップS30の判定処理の結果、各デジタル信号の送信ビット数が基準ビット数でない、つまり、各デジタル信号の送信ビット数が低ビット数(上位3ビット)と判定された場合(S30:NO)には、各デジタル信号の値に基づいて、各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態が属するエリアを決定する(S40)。
【0076】
具体的には、本実施形態のステップS40では、各デジタル信号の値に基づいて、予めデジタル信号の値と電池状態が属するエリア群との関係を規定した制御マップを参照して、各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態が属するエリアを決定する(図4参照)。
【0077】
そして、ステップS40にて決定された各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態が属するエリアに基づいて、各電池10の電池状態を診断する(S50)。具体的には、本実施形態では、電池セル10の電池状態が、電池劣化エリア、電池過放電エリア、および電池過充電エリアに属する場合に「異常」と診断し、電池状態が低容量エリア、中容量エリア、および高容量エリアに属する場合に「正常(安全使用可能)」と診断する。
【0078】
次に、ステップS50の診断の結果、電池状態が「異常」と診断された電池セル10が存在するか否かを判定する(S60)。この結果、電池状態が「異常」と診断された電池セル10が存在すると判定された場合(S60:YES)には、当該電池セル10について詳細な電池状態の診断を行うために、電池状態が「異常」と診断された電池セル10を監視する監視ユニット(通信部22の送信ビット数設定部22a)に対して、送信ビット数を低ビット数から基準ビット数への変更を指示する指示信号を送信する(S70)。この際、送信ビット数の変更を指示する指示信号と共に、「異常」と判定された電池セル10の監視を指示する監視指示信号も送信する。これにより、当該監視指示信号を受信した監視ユニットでは、「異常」と判定された電池セル10の電池状態を監視し、当該電池セル10の監視結果を示すデジタル信号(基準ビット数)をマイコン3へ送信する。
【0079】
一方、ステップS60の判定処理の結果、電池状態が「異常」と診断された電池セル10が存在しない、つまり、全ての電池セル10が「正常」と診断された場合(S60:NO)には、電池セル10について詳細な電池状態の診断を行う必要がないと判断できるため、ステップS70をスキップする。
【0080】
次に、電池状態の診断が終了したか否かを判定する(S100)。この判定処理では、各電池セル10の電池状態の診断が完了したか否かを判定する。なお、低ビット数にて電池状態を診断した結果、電池状態が「異常」と診断された電池セル10が存在する場合には、該当する電池セル10それぞれの電池状態を基準ビット数で診断した後に電池状態の診断が完了したと判定する。
【0081】
ステップS100の判定処理の結果、各電池セル10について診断が終了したと判定された場合(S100:YES)には、マイコン3による電池状態の診断処理を終了し、各電池セル10について診断が終了していないと判定された場合(S100:NO)には、ステップS20へ戻る。
【0082】
ここで、ステップS70にて、送信ビット数の変更を指示する指示信号等を該当する監視ユニットに送信した場合、ステップS20に戻り、送信ビット数の変更を指示する指示信号を送信した監視ユニットからの監視結果を示すデジタル信号を読み込む。
【0083】
この場合、監視ユニットからのデジタル信号の送信ビット数が基準ビット数(本実施形態では8ビット)となるので、ステップS30の判定処理を経て、ステップS80へ移行する。
【0084】
このステップS80では、基準ビット数のデジタル信号に基づいて、低ビット数で診断した際に「異常」となった電池セル10の詳細な電圧を算出する(図3参照)。
【0085】
そして、ステップS80で算出した電池セル10の詳細な電圧値を用いて、電池セル10の過充電状態および過放電状態の診断や、電池セル10の詳細な電圧値および電流検出装置5の検出値(電池セル10のIV特性)を用いた各電池セル10の詳細な蓄電容量SOCや劣化状態SOHや内部抵抗の診断を行う(S90)。なお、ステップS90の診断によっても電池状態が異常と診断された場合は、例えば、ユーザへの異常報知や、組電池1と各種電気機器との接続の遮断等を行う。
【0086】
以上、説明した本実施形態の電池状態監視装置2によれば、各監視ユニットU1〜Unの通信部22からマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を、基準ビット数よりもビット数が低い低ビット数に設定することができるので、監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信する情報量(データ量)、およびマイコン3にて処理する情報量を少なくすることが可能となる。従って、電池状態監視装置2にて取り扱う情報量の肥大化を抑制することができる。
【0087】
特に、本実施形態では、通信部22の送信ビット数設定部22aにてデジタル信号の送信ビット数を低ビット数に設定した際の電池状態の診断結果が「異常」を示す場合に、デジタル信号の送信ビット数を基準ビット数に設定するので、電池状態監視装置2にて取り扱う情報量の肥大化を抑制しつつ、組電池1の電池状態を精度よく監視することが可能となる。
【0088】
なお、通常、デジタル信号の送信ビット数が低ビット数に設定されていたとしても、電池状態の診断結果としては、「正常」となる頻度が「異常」となる頻度よりも少ない傾向がある。このため、本実施形態のマイコン3におけるビット数決定手段3bは、通信部22の送信ビット数設定部22aにて低ビット数に設定する頻度が、基準ビット数に設定する頻度よりも高くなるようにデジタル信号のビット数を決定することとなる。
【0089】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6に基づいて説明する。図6は、本実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【0090】
本実施形態では、各監視ユニットU1〜Unへ送信するデジタル信号の送信ビット数を設定する構成が第1実施形態と相違している。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0091】
本実施形態では、通信部22ではなく、AD変換部21にて、デジタル信号の送信ビット数を設定する構成としている。つまり、本実施形態のAD変換部21には、図6に示すように、通信部22を介してマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を設定する送信ビット数設定部21bが設けられている。なお、本実施形態では、AD変換部21におけるデジタル信号の送信ビット数を設定する送信ビット数設定部21bが、ビット数設定手段を構成している。
【0092】
本実施形態の送信ビット数設定部21bは、信号取得部20で取得したアナログ信号をAD変換回路21aにてデジタル信号に変換する送信ビット数を、マイコン3からの指令信号に応じて、基準ビット数および基準ビット数よりも低い低ビット数のいずれかに設定するものである。
【0093】
例えば、送信ビット数設定部21bは、AD変換回路21aでΔΣ変調を実行することで、基準ビット数と低ビット数とを切替設定することが可能である。また、アナログ信号を基準ビット数のデジタル信号に変換するチャンネル、およびアナログ信号を低ビット数のデジタル信号に変換するチャンネルを有するAD変換回路21aを用いると共に、送信ビット数設定部21bにて、AD変換回路21aのチャンネルを切り替えることで、デジタル信号に変換する送信ビット数を切替設定することができる。
【0094】
具体的には、本実施形態の送信ビット数設定部21bは、マイコン3からの指令信号に応じて、通信部22を介してマイコン3へ送信するデジタル信号の送信ビット数を、8ビットと3ビットとで切替設定可能に構成されている。
【0095】
例えば、送信ビット数設定部21bにてデジタル信号のビット数が8ビットに設定されている場合には、信号取得部20で取得したアナログ信号が、AD変換部21にて8ビットのデジタル信号に変換され、変換されたデジタル信号が通信部22を介してマイコン3へ送信される。
【0096】
一方、送信ビット数設定部22aにてデジタル信号の送信ビット数が3ビットに設定されている場合には、信号取得部20で取得したアナログ信号が、AD変換部21にて3ビットのデジタル信号に変換され、変換されたデジタル信号が通信部22を介してマイコン3へ送信される。
【0097】
以上、説明した本実施形態の電池状態監視装置2は、アナログ信号を低ビット数のデジタル信号に変換することができるので、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3へ送信する情報量(データ量)、およびマイコン3にて処理する情報量を少なくすることが可能となる。
【0098】
特に、本実施形態では、AD変換部21に送信ビット数設定部21bを設ける構成としているので、AD変換部21にて低ビット数のデジタル信号に変換することができ、AD変換回路21aにて処理する情報量を少なくすることが可能となる。この結果、AD変換回路21aにおける処理時間の短縮化することができ、電池状態監視装置2における電池状態の診断処理の高速化を図ることが可能となる。
【0099】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図7に基づいて説明する。図7は、本実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【0100】
上述の第1、第2実施形態では、マイコン3からの指示信号に応じて、各監視ユニットU1〜Unの送信ビット数設定部22aで設定する送信ビット数を決定する構成としている。
【0101】
これに対して、本実施形態では、各監視ユニットU1〜Unにて送信ビット数設定部22aで設定する送信ビット数を決定する構成としている点が第1、第2実施形態と相違している。なお、本実施形態では、第1、第2実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0102】
本実施形態の各監視ユニットU1〜Unには、通信部22からマイコン3側へ送信するデジタル信号の値に基づいて、送信ビット数設定部22aにて設定する送信ビット数を決定する送信ビット数決定部23が設けられている。なお、本実施形態では、各監視ユニットU1〜Unにおける送信ビット数決定部23が、ビット数決定手段を構成している。
【0103】
本実施形態の送信ビット数決定部23は、MPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータで構成されており、ROM等の記憶手段に記憶されたプログラムを実行可能に構成されている。
【0104】
具体的には、送信ビット数決定部23は、通信部22からマイコン3側へ送信するデジタル信号の値を読み込み、読み込んだデジタル信号の値が各電池セル10の電池状態の「異常」を示す異常値であるか否かを判定するように構成されている。
【0105】
そして、送信ビット数決定部23では、読み込んだデジタル信号の値が各電池セル10の電池状態の「異常」を示す異常値であると判定した場合に、送信ビット数設定部22aに対して送信ビット数を基準ビット数に変更する指示信号を出力する。
【0106】
一方、送信ビット数決定部23では、読み込んだデジタル信号の値が各電池セル10の電池状態の「正常」を示す正常値であると判定した場合に、送信ビット数設定部22aに対して送信ビット数を基準ビット数よりも低い低ビット数に変更する指示信号を出力する。
【0107】
以上説明した本実施形態によれば、各監視ユニットU1〜Unに、通信部22からマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を決定する送信ビット数決定部23を設ける構成としているので、マイコン3側で行う処理を少なくすることができると共に、各監視ユニットU1〜Unおよびマイコン3間で通信する情報量(データ量)を低減することが可能となる。
【0108】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図8に基づいて説明する。図8は、本実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【0109】
上述の第3実施形態では、AD変換部21にて変換したデジタル信号の値に基づいて、送信ビット数決定部23にて、各監視ユニットU1〜Unの送信ビット数設定部22aで設定する送信ビット数を決定する構成としている。
【0110】
これに対して、本実施形態では、信号取得部20にて取得したアナログ信号の値に基づいて、送信ビット数決定部23にて、送信ビット数設定部22aで設定する送信ビット数を決定する構成としている点が第1〜第3実施形態と相違している。なお、本実施形態では、第1〜第3実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0111】
本実施形態の送信ビット数決定部23は、信号取得部20にて取得したアナログ信号の値に基づいて、送信ビット数設定部22aにて設定する送信ビット数を決定する。
【0112】
具体的には、本実施形態の送信ビット数決定部23は、信号取得部20の信号増幅回路20bで増幅したアナログ信号を読み込み、読み込んだアナログ信号の値が、各電池セル10の電池状態の「異常」を示す異常値であるか否かを判定するように構成されている。
【0113】
そして、送信ビット数決定部23では、読み込んだアナログ信号の値が各電池セル10の電池状態の「異常」を示す異常値であると判定した場合に、送信ビット数設定部22aに対して送信ビット数を基準ビット数に変更する指示信号を出力する。
【0114】
一方、送信ビット数決定部23では、読み込んだアナログ信号の値が各電池セル10の電池状態の「正常」を示す正常値であると判定した場合に、送信ビット数設定部22aに対して送信ビット数を基準ビット数よりも低い低ビット数に変更する指示信号を出力する。
【0115】
以上説明した本実施形態によれば、第3実施形態と同様に、マイコン3側で行う処理を少なくすることができると共に、各監視ユニットU1〜Unおよびマイコン3間で通信する情報量(データ量)を低減することが可能となる。
【0116】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。上述の第1〜第4実施形態では、電池状態(電圧状態)が「異常」となる電池セル10が存在する場合に、デジタル信号の送信ビット数を基準ビット数に設定する構成としている。
【0117】
これに対して、本実施形態では、電池セル10の詳細な電池状態(劣化状態、蓄電容量、内部抵抗等)を診断する詳細診断モードと、電池セル10の簡易的な電池状態(過放電状態、過充電状態等)を診断する簡易診断モードとのいずれの診断モードを実行するかを決定し、当該診断モードの決定に応じて、デジタル信号の送信ビット数を決定する構成としている点が第1〜第4実施形態と相違している。なお、本実施形態では、第1〜第4実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0118】
本実施形態のマイコン3では、図9に示す制御処理を実行する。図9は、本実施形態のマイコン3が実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0119】
図9に示すように、マイコン3では、詳細診断モードと簡易診断モードとのいずれの診断モードを実行するかを決定する(S210)。本実施形態では、ステップS210の診断モード決定処理は、予め簡易診断モードが詳細診断モードに対して優先的に選択され易いように構成された制御マップを参照して決定する。なお、簡易診断モードが詳細診断モードに対して優先的に選択され易い選択条件であれば、制御マップを参照する方法に限らず他の選択条件を用いて診断モードを決定してもよい。
【0120】
次に、監視ユニットUnに対して、各単位電池B1〜Bnの電池セル10の監視を指示する監視指示信号を送信すると共に(S220)、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信する送信ビット数の変更を指示する指示信号を送信する(S230)。なお、ステップS230では、ステップS210にて診断モードが簡易診断モードに決定された場合に送信ビット数を低ビット数に変更する指示信号を送信し、診断モードが詳細診断モードに決定された場合に送信ビット数を基準ビット数に変更する指示信号を送信する。
【0121】
これにより、各監視ユニットU1〜Unでは、監視対象となる各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態を監視し、その後、各監視ユニットU1〜Unの監視結果を含むデジタル信号がマイコン3側へ送信される。
【0122】
次に、マイコン3では各監視ユニットU1〜Unの監視結果等を含むデジタル信号を読み込む(S240)。そして、ステップS210で決定した診断モードが簡易診断モードであるか否かを判定する(S250)。
【0123】
ステップS250の判定処理の結果、診断モードが簡易診断モードであると判定された場合(S250:YES)には、ステップS240にて読み込んだデジタル信号の値に基づいて、各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態が属するエリアを決定する(S260)。
【0124】
具体的には、本実施形態のステップS260では、第1実施形態で説明したステップS40の処理と同様に、各デジタル信号の値に基づいて、予めデジタル信号の値と電池状態が属するエリア群との関係を規定した制御マップを参照して、各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態が属するエリアを決定する。
【0125】
そして、ステップS260にて決定された各単位電池B1〜Bnの電池セル10の電池状態が属するエリアに基づいて、各電池セル10の電池状態を診断する(S270)。具体的には、本実施形態では、電池セル10の電池状態が、電池劣化エリア、電池過放電エリア、および電池過充電エリアに属する場合に「異常」と診断し、電池状態が低容量エリア、中容量エリア、および高容量エリアに属する場合に「正常(安全使用可能)」と診断する。
【0126】
一方、ステップS250の判定処理の結果、診断モードが詳細診断モードであると判定された場合(S250:NO)には、ステップS240にて読み込んだデジタル信号に基づいて、各電池セル10の詳細な電圧値を算出する(S280)。
【0127】
そして、ステップS280で算出した電池セル10の詳細な電圧値を用いて、電池セル10の過充電状態および過放電状態の診断や、電池セル10の詳細な電圧値および電流検出装置5の検出値(電池セル10のIV特性)を用いた各電池セル10の詳細な蓄電容量SOCや劣化状態SOHや内部抵抗の診断を行う(S290)。
【0128】
その後、各電池セル10について診断が終了したか否かを判定し(S300)、各電池セル10について診断が終了したと判定された場合(S300:YES)には、マイコン3による電池状態の診断処理を終了し、各電池セル10について診断が終了していないと判定された場合(S300:NO)には、ステップS210へ戻る。
【0129】
以上説明した本実施形態では、診断モードの決定に際し、簡易診断モードが、詳細診断モードよりも設定され易い選択条件を採用している。つまり、監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信されるデジタルデータの送信ビット数を低ビット数に設定する頻度が、基準ビット数に設定する頻度よりも高くなるように、デジタルデータの送信ビット数の決定する構成を採用している。
【0130】
これにより、デジタル信号の送信ビット数は、基準ビット数よりも低ビット数に設定される頻度が多くなるので、監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信される情報量(データ量)を少なくすることができる。従って、電池状態監視装置2にて取り扱う情報量の肥大化を効果的に抑制することができる。
【0131】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態は、組電池1を流れる電流の電流変動に基づいて、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信されるデジタル信号の送信ビット数を決定する構成としている点が上述の第5実施形態と相違している。なお、本実施形態では、第1〜第5実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0132】
図10は、本実施形態に係るマイコン3が実行する制御処理の要部の流れを示すフローチャートである。なお、図10のフローチャートは、図9におけるステップS210の処理に対応している。
【0133】
図10に示すように、本実施形態の診断モード決定処理(S210)では、電流検出装置5から送信される電流信号(組電池1を流れる電流値)を読み込む(S210a)。
【0134】
ここで、例えば、低負荷時等のように組電池1が安定的に使用されている状況では、組電池1を流れる電流が比較的安定しており、高負荷時等に比べて、電池状態が急激に変化する可能性が低いといった傾向がある。つまり、組電池1を流れる電流が比較的安定している場合には、各監視ユニットU1〜Unにおける組電池1の電池状態の監視精度を低下させたとしても問題が少ない。
【0135】
そこで、本実施形態では、ステップS210aにて読み込んだ電流から、組電池1を流れる電流の電流変動(例えば、前回の検出値と今回の検出値の差分)を算出し、算出した電流変動が予め定められた基準範囲内であるか否かを判定する(S210b)。
【0136】
ステップS210bの判定処理の結果、電流変動が基準範囲内であると判定された場合(S210b:YES)には、電池状態が急激に変化する可能性が低いと判断できるので、診断モードを簡易診断モードに決定する(S210c)。つまり、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を低ビット数に決定する。
【0137】
一方、ステップS210bの判定処理の結果、電流変動が基準範囲外であると判定された場合(S210b:NO)には、電池状態が急激に変動する可能性が高いと判断できるので、診断モードを詳細診断モードに決定する(S210d)。つまり、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を基準ビット数に決定する。
【0138】
以上説明した本実施形態では、電流変動に応じて送信ビット数を変更する構成としているので、電池状態監視装置にて取り扱う情報量の肥大化を抑制しつつ、組電池1の電池状態を精度よく監視することが可能となる。
【0139】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図11〜図13に基づいて説明する。図11は、本実施形態に係る監視ユニットの概略構成図である。
【0140】
本実施形態では、各監視ユニットU1〜Unの信号取得部20が、デジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲を変更可能に構成されている点が第1〜第6実施形態と相違している。
【0141】
具体的には、本実施形態の各監視ユニットU1〜Unの信号取得部20には、デジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲、つまり、デジタル信号の単位ビットが示すアナログ値の範囲を調整する指定範囲調整部(指定範囲調整手段)20cが設けられている。
【0142】
この指定範囲調整部20cは、信号増幅回路20bにて増幅されたアナログ信号に対して所定値を加算または減算するオフセット調整、および信号増幅回路20bにてアナログ信号を増幅する際のゲインを調整するゲイン調整を行うように構成されている。本実施形態の指定範囲調整部20cは、デジタル信号の送信ビット数を低ビット数に設定されている場合に、マイコン3側の指示信号等に応じて、オフセット調整およびゲイン調整を行う。
【0143】
ここで、図12は、本実施形態に係る信号取得部20にて調整するアナログ値とデジタル値との対応関係を示す特性図であり、図13は、本実施形態に係る指定範囲調整部20cにて行うデジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号の指定範囲の調整を説明するための説明図である。
【0144】
図12に示すように、太実線Aで示すアナログ値とデジタル値との対応関係から太一点鎖線Bで示す関係となるように調整する場合、アナログ値に所定値を加算するオフセット調整を行うことで、デジタル信号の単位ビットが示すアナログ値の範囲を調整することができる。
【0145】
この場合、例えば、図13(a)、(b)で示すように、オフセット調整にてアナログ値に加算する所定値を0.39とする場合、デジタル値「111」(電池過充電エリア)が示すアナログ値の指定範囲を「4.39〜5.00」から「4.00〜4.61」へ変更することができる。
【0146】
また、図12に示すように、太実線Aで示すアナログ値とデジタル値との対応関係から太二点鎖線Cで示す関係となるように調整する場合、オフセット調整およびゲイン調整を行うことで、デジタル信号の単位ビットが示すアナログ値の範囲を調整することができる。
【0147】
この場合、例えば、図13(a)、(c)で示すように、オフセット調整およびゲイン調整を行うことで、デジタル値「001」(電池過充電エリア)が示すアナログ値の指定範囲を「0.62〜1.23」から「1.67〜2.00」へ変更すると共に、電池過放電エリアが示すアナログ値の指定範囲を「4.39〜5.00」から「4.00〜4.33」へ変更することができる。
【0148】
さらに、図12に示すように、太実線Aで示すアナログ値とデジタル値との対応関係から細一点鎖線Dや細二点鎖線Eで示す対応関係となるように調整する場合、アナログ値に加算する所定値に重み付けするオフセット調整を行うことで、デジタル信号の単位ビットが示すアナログ値の範囲を調整することができる。
【0149】
この場合、例えば、デジタル値「000」〜「011」、「111」(電池劣化エリア、電池過放電エリア、電池過充電エリア)が示すアナログ値の指定範囲を縮小すると共に、デジタル値「100」〜「110」(低容量エリア、中間容量エリア、高容量エリア)が示すアナログ値の指定範囲を拡大することで、図13(d)で示すように、電池状態が異常であることを詳細に監視することができる。
【0150】
逆に、例えば、デジタル値「100」〜「110」(低容量エリア、中間容量エリア、高容量エリア)が示すアナログ値の指定範囲を縮小すると共に、デジタル値「000」〜「011」、「111」(電池劣化エリア、電池過放電エリア、電池過充電エリア)が示すアナログ値の指定範囲を拡大することで、図13(e)で示すように、電池状態が正常であることを詳細に監視することができる。
【0151】
以上説明した本実施形態によれば、デジタル信号の単位ビットに対応するアナログ信号に指定範囲を調整可能な構成を採用しているので、特定の範囲における電池状態の監視精度の向上を図ることが可能となる。
【0152】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0153】
(1)上述の各実施形態では、各監視ユニットU1〜Unにて各単位電池B1〜Bnまたは各電池セル10の電圧状態を監視する例について説明したが、これに限定されない。
【0154】
例えば、各単位電池B1〜Bn、または各電池セル10に電池温度を検出する温度センサ(温度検出手段)が設けられている場合、各単位電池B1〜Bn(電池セル10)の温度情報をアナログ信号として取得し、各監視ユニットU1〜Unにて監視するようにしてもよい。
【0155】
また、各単位電池B1〜Bn、または各電池セル10に、電流を検出する電流センサ(電流検出手段)が設けられている場合、各単位電池B1〜Bn(電池セル10)の電流情報をアナログ信号として取得し、各監視ユニットU1〜Unにて監視するようにしてもよい。
【0156】
(2)上述の各実施形態では、基準ビット数を8ビットとし、低ビット数を3ビットとする例について説明したが、これに限定されず、低ビット数が基準ビット数よりも低いビット数であれば、基準ビット数および低ビット数それぞれを任意のビット数とすることができる。
【0157】
(3)上述の第5、第6実施形態では、マイコン3にて、各監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を決定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、第3、第4実施形態のように、各監視ユニットU1〜Unに、送信ビット数決定部23を設け、当該送信ビット数決定部23にて各監視ユニットU1〜Unからマイコン3側へ送信するデジタル信号の送信ビット数を決定するようにしてもよい。この場合、各監視ユニットU1〜Unにおける送信ビット数決定部23が、ビット数決定手段を構成することとなる。
【0158】
(4)上述の第6実施形態では、組電池1を流れる電流の電流変動が基準範囲内であれば、送信ビット数を低ビット数に決定し、当該電流変動が基準範囲外であれば、送信ビット数を基準ビット数に決定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、組電池1を流れる電流の電流変動が基準範囲内であれば、低ビット数が設定される頻度が、基準ビット数が設定される頻度よりも高くなるように、送信ビット数を決定するようにしてもよい。逆に、組電池1を流れる電流の電流変動が基準範囲外であれば、基準ビット数が設定される頻度が、低ビット数が設定される頻度よりも高くなるように、送信ビット数を決定するようにしてもよい。
【0159】
(5)上述の第7実施形態では、信号取得部20の指定範囲調整部20cにて、アナログ信号に対してオフセット調整、および信号増幅回路20bにてアナログ信号を増幅する際のゲインを調整可能とする例について説明したが、これに限定されず、指定範囲調整部20cにてオフセット調整、およびゲイン調整のうち、いずれか一方を調整可能な構成としてもよい。
【0160】
(6)上述の各実施形態では、各監視ユニットU1〜Unにて、単位電池B1〜Bnの各電池セル10の過放電状態、過充電状態、劣化状態、蓄電状態、内部抵抗等の電池状態を監視するようにしているが、これ限らず、例えば、各監視ユニットU1〜Unにて、単位電池B1〜Bn毎の過放電状態、過充電状態、劣化状態、蓄電状態、内部抵抗等の電池状態を監視するようにしてもよい。
【0161】
(7)上述の各実施形態では、電池状態監視装置2では、デイジーチェーン接続方式により、隣接する監視ユニット間を順次接続する構成としているが、これに限らず、例えば、各監視ユニットそれぞれをマイコン3側と接続する構成としてもよい。
【0162】
(8)上述の各実施形態では、電池状態監視装置2における監視手段を複数の監視ユニットU1〜Unで構成する例について説明したが、例えば、組電池1を構成する電池セル10の数が少ない場合等には、単一の監視ユニットにて監視手段を構成するようにしてもよい。
【0163】
(9)上述の各実施形態では、電池状態監視装置2を車載高圧バッテリに適用する例を説明したが、車載高圧バッテリに限らず、他のバッテリに用いてもよい。
【0164】
(10)上述の各実施形態は、可能な範囲で適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0165】
1 組電池
10 電池セル
2 電池状態監視装置
20 信号取得部(信号取得手段)
20c 指定範囲調整部(指定範囲調整手段)
21 AD変換部(AD変換手段)
21b 送信ビット数設定部(送信ビット数設定手段)
22 通信部(通信手段)
22a 送信ビット数設定部(送信ビット数設定手段)
23 送信ビット数決定部(送信ビット数決定手段)
3a 電池状態診断手段
3b 送信ビット数決定手段
B1〜Bn 単位電池
U1〜Un 監視ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セル(10)を直列に接続して構成される組電池(1)の電池状態を監視する電池状態監視装置であって、
前記組電池(1)の電池状態を監視する監視手段(U1〜Un)と、
前記監視手段(U1〜Un)の監視結果に応じて、前記組電池(1)の電池状態を診断する電池状態診断手段(3a)と、を備え、
前記監視手段(U1〜Un)は、
前記複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの電池状態を示すアナログ信号を取得する信号取得手段(20)と、
前記信号取得手段(20)にて取得した前記アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換手段(21)と、
前記AD変換手段(21)にて変換された前記デジタル信号を前記電池状態診断手段(3a)へ送信する通信手段(22)と、
前記デジタル信号のビット数を、予め定められた基準ビット数、および前記基準ビット数よりも低い低ビット数のうちいずれかに設定するビット数設定手段(21b、22a)と、
を有することを特徴とする電池状態監視装置。
【請求項2】
前記ビット数設定手段(22a)は、前記通信手段(22)にて送信する前記デジタル信号のビット数を、前記基準ビット数、および前記低ビット数のうちいずれかに設定することを特徴とする請求項1に記載の電池状態監視装置。
【請求項3】
前記ビット数設定手段(21b)は、前記AD変換手段(21)にて変換する前記デジタル信号のビット数を、前記基準ビット数、および前記低ビット数のうちいずれかに設定することを特徴とする請求項1に記載の電池状態監視装置。
【請求項4】
前記ビット数設定手段(21b、22a)にて設定する前記デジタル信号のビット数を決定するビット数決定手段(23、3b)を備え、
前記ビット数決定手段(23、3b)は、前記ビット数設定手段(21b、22a)にて前記低ビット数に設定する頻度が、前記デジタル信号のビット数を前記基準ビット数に設定する頻度よりも高くなるように前記デジタル信号のビット数を決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【請求項5】
前記ビット数設定手段(21b、22a)にて設定する前記デジタル信号のビット数を決定するビット数決定手段(23、3b)を備え、
前記ビット数決定手段(23、3b)は、前記組電池(1)を流れる電流の電流変動が予め定めた基準範囲内である場合に、前記ビット数設定手段(21b、22a)にて前記デジタル信号のビット数を前記低ビット数に設定する頻度を上げることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【請求項6】
前記ビット数決定手段(23、3b)は、前記組電池(1)を流れる電流の電流変動が前記基準範囲外である場合に、前記ビット数設定手段(21b、22a)にて前記デジタル信号のビット数を前記基準ビット数に設定する頻度を上げることを特徴とする請求項5に記載の電池状態監視装置。
【請求項7】
前記ビット数設定手段(21b、22a)にて設定する前記デジタル信号のビット数を決定するビット数決定手段(23、3b)を備え、
前記ビット数決定手段(23、3b)は、前記ビット数設定手段(21b、22a)にて前記デジタル信号のビット数を前記低ビット数に設定したときの前記電池状態が異常となる場合、前記デジタル信号のビット数を前記基準ビット数に決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【請求項8】
前記デジタル信号の単位ビットに対応する前記アナログ信号の指定範囲を調整する指定範囲調整手段(20c)を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【請求項9】
前記アナログ信号は、前記複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの電圧情報であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【請求項10】
前記アナログ信号は、前記複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの温度情報であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【請求項11】
前記アナログ信号は、前記複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルを流れる電流情報であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【請求項1】
複数の電池セル(10)を直列に接続して構成される組電池(1)の電池状態を監視する電池状態監視装置であって、
前記組電池(1)の電池状態を監視する監視手段(U1〜Un)と、
前記監視手段(U1〜Un)の監視結果に応じて、前記組電池(1)の電池状態を診断する電池状態診断手段(3a)と、を備え、
前記監視手段(U1〜Un)は、
前記複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの電池状態を示すアナログ信号を取得する信号取得手段(20)と、
前記信号取得手段(20)にて取得した前記アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換手段(21)と、
前記AD変換手段(21)にて変換された前記デジタル信号を前記電池状態診断手段(3a)へ送信する通信手段(22)と、
前記デジタル信号のビット数を、予め定められた基準ビット数、および前記基準ビット数よりも低い低ビット数のうちいずれかに設定するビット数設定手段(21b、22a)と、
を有することを特徴とする電池状態監視装置。
【請求項2】
前記ビット数設定手段(22a)は、前記通信手段(22)にて送信する前記デジタル信号のビット数を、前記基準ビット数、および前記低ビット数のうちいずれかに設定することを特徴とする請求項1に記載の電池状態監視装置。
【請求項3】
前記ビット数設定手段(21b)は、前記AD変換手段(21)にて変換する前記デジタル信号のビット数を、前記基準ビット数、および前記低ビット数のうちいずれかに設定することを特徴とする請求項1に記載の電池状態監視装置。
【請求項4】
前記ビット数設定手段(21b、22a)にて設定する前記デジタル信号のビット数を決定するビット数決定手段(23、3b)を備え、
前記ビット数決定手段(23、3b)は、前記ビット数設定手段(21b、22a)にて前記低ビット数に設定する頻度が、前記デジタル信号のビット数を前記基準ビット数に設定する頻度よりも高くなるように前記デジタル信号のビット数を決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【請求項5】
前記ビット数設定手段(21b、22a)にて設定する前記デジタル信号のビット数を決定するビット数決定手段(23、3b)を備え、
前記ビット数決定手段(23、3b)は、前記組電池(1)を流れる電流の電流変動が予め定めた基準範囲内である場合に、前記ビット数設定手段(21b、22a)にて前記デジタル信号のビット数を前記低ビット数に設定する頻度を上げることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【請求項6】
前記ビット数決定手段(23、3b)は、前記組電池(1)を流れる電流の電流変動が前記基準範囲外である場合に、前記ビット数設定手段(21b、22a)にて前記デジタル信号のビット数を前記基準ビット数に設定する頻度を上げることを特徴とする請求項5に記載の電池状態監視装置。
【請求項7】
前記ビット数設定手段(21b、22a)にて設定する前記デジタル信号のビット数を決定するビット数決定手段(23、3b)を備え、
前記ビット数決定手段(23、3b)は、前記ビット数設定手段(21b、22a)にて前記デジタル信号のビット数を前記低ビット数に設定したときの前記電池状態が異常となる場合、前記デジタル信号のビット数を前記基準ビット数に決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【請求項8】
前記デジタル信号の単位ビットに対応する前記アナログ信号の指定範囲を調整する指定範囲調整手段(20c)を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【請求項9】
前記アナログ信号は、前記複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの電圧情報であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【請求項10】
前記アナログ信号は、前記複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルの温度情報であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【請求項11】
前記アナログ信号は、前記複数の電池セル(10)のうち、少なくとも一部の電池セルを流れる電流情報であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の電池状態監視装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−24617(P2013−24617A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157316(P2011−157316)
【出願日】平成23年7月18日(2011.7.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月18日(2011.7.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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