説明

電池用負極グリッド

電池用の負極グリッドの製造方法であって、この方法が、電池のグリッド材料のストリップを準備するステップと、この電池グリッド材料に打ち抜き操作を行ってグリッドから材料を除去するステップとを含む。この打ち抜き操作は、フレームで囲まれた複数のグリッドワイヤを有する電池負極グリッドを製造する。電池グリッドは頂部フレーム部材を備える。第1の側部フレーム部材が第1の端で頂部フレーム部材と連結する。第2の側部フレーム部材が第2の端で頂部フレーム部材と連結する。底部フレーム部材が、頂部フレーム部材とは離間し、かつ第1の側部フレーム部材および第2の側部フレーム部材と連結する。負極グリッドは、高分子セパレータの中に設けられた場合に、高分子セパレータに穴をあける可能性のあるむき出しになったワイヤ端を含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年3月2日に出願された米国仮特許出願第60/904,404号の優先権および利益を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書中に取り込まれる。本発明は一般に電池(例えば自動車などの車両用の始動、照明、点火用鉛蓄電池)の分野に関する。特に、本発明はそのような電池に使用される負極グリッドおよびその負極グリッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池は通常多数のセル要素を含み、このセル要素は硫酸電解液を含む容器中の隔室内に設けられる。各セル要素は、少なくとも1つの正極プレートとしてのグリッド、少なくとも1つの負極プレートとしてのグリッド、および各正極プレートと負極プレートの間に配置された多孔性セパレータ(例えば、高分子セパレータ)、を備えている。正極プレートおよび負極プレートはそれぞれ電気化学的な活物質(バッテリペーストと称する)を支持する鉛あるいは鉛合金のグリッドからなっている。この活物質は鉛ベースの材料(すなわち、電池の充電/放電の異なる段階での、PbO、PbO2、Pb、またはPbSO4)であり、グリッド上に張り付けられる。グリッドは、電流伝導に寄与する正極活物質と負極活物質との間の電気的接触を与える。
【0003】
通常、正極グリッドと負極グリッドは異なる工程を用いて製造される。例えば、正極グリッドは多くの異なる方法を用いて作られる。1つの方法としては、従来法であるグラビティ鋳造ブックモールド法の利用がある。別の、少し新しい方法としては、グリッドの構造を形成するための(例えば、連続打ち抜き型を利用した)打ち抜き操作を用いてそこから材料を取り除くための打ち抜き型に入れられる事前に鋳込まれた金属(例えば鉛合金)の連続したストリップを用いて連続的な工程でグリッドを作る方法がある。
【0004】
グリッドの個々のワイヤは、特別仕様の打ち抜き型を利用して、バッテリペーストの接着性を改善させるために変形させられるか、あるいは“コイニング”される。このプロセスは以下の米国特許に詳細に記述されている。その開示全体が参照により本明細書中に取り込まれる。
【0005】
その一方で、負極グリッドは通常エキスパンドメタル工程を用いて形成される。鉛合金のストリップが、鋳造(この場合は、鋳造ストリップと呼ぶ)もしくは鋳造後の圧延(この場合は、加工ストリップと呼ぶ)によって製造され、相互に接続された電池グリッドのストリップに所望のグリッドパターンを生成するために、その後、このストリップが入れられ引き伸ばされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,582,936号
【特許文献2】米国特許第5,989,749号
【特許文献3】米国特許第6,203,948号
【特許文献4】米国特許第6,274,274号
【特許文献5】米国特許第6,953,641号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鉛蓄電池に使用する負極グリッドの製法としては改良方法が提供されることが望ましい。また、生産性および性能を改良する特徴を有する負極グリッドが提供されることも望まれている。本開示を読む者にとって明らかなような、上記あるいはその他の有利な特徴の1つ以上を含むグリッドおよび/またはグリッドの製造方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例示的な実施形態は、電池用の負極グリッドの製造方法に関し、この方法が電池のグリッド材料のストリップを準備するステップと、この電池グリッド材料に打ち抜き操作を行ってグリッドから材料を除去してグリッドを形成するステップと、を含む。この打ち抜き操作は、フレームで囲まれた複数のグリッドワイヤを有する電池負極グリッドを製造する。電池のグリッドが頂部フレーム部材を含む。第1の側部フレーム部材が第1の端で頂部フレーム部材と連結している。第2の側部フレーム部材が第2の端で頂部フレーム部材と連結している。底部フレーム部材が、頂部フレーム部材とは離間し、かつ第1の側部フレーム部材および第2の側部フレーム部材と連結している。負極グリッドは、高分子セパレータの中に設けられた場合に、高分子セパレータに穴をあける可能性のあるむき出しになったワイヤ端を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的実施形態による、外部の一部を切り取った電池の透視図である。
【図2】エキスパンドメタル工程を用いて製造した、従来技術による鉛蓄電池用負極グリッドの平面図である。
【図3】例示的実施形態による、電池負極グリッドの平面図である。
【図4】いくつかの実施形態によるグリッドワイヤの断面図である。
【図5】いくつかの実施形態によるグリッドワイヤの断面図である。
【図6】いくつかの実施形態によるグリッドワイヤの断面図である。
【図7】いくつかの実施形態によるグリッドワイヤの断面図である。
【図8】いくつかの実施形態によるグリッドワイヤの断面図である。
【図9】別の例示的実施形態による、電池用負極グリッドの平面図である。
【図10】図9に示したグリッドの部分詳細図である。
【図11】図9に示したグリッドの部分詳細図である。
【図12】別の例示的実施形態による、負極グリッドの平面図である。
【図13】別の例示的実施形態による、負極グリッドの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1はハウジングとしての容器12と、そのハウジング12に連結したカバーとしての蓋14とを有する電池10の、外部の一部を切り取った透視図である。端子としての電極16、18がカバー14の上面から突き出ている。例示的な実施形態によると、端子16が正極であり、端子18が負極である。別の例示的な実施形態によれば、端子は他の場所に設けられていてもよい。(例えば、側面端子蓄電池の場合のように容器の正面に配置されてもよい)。
【0011】
ハウジング12はその内部が、壁としての仕切22によって分離されたスペース20に分割されている。それぞれのスペース20の内部には、交互に配置された正極プレート32(例えば電極、グリッド)と負極プレート34(例えば電極、グリッド)とからなるセル要素30が設けられている。正極プレートと負極プレートとは多孔性の高分子セパレータ36で分離されている。(例えば負極プレートは、米国特許第6,001,503号明細書に示され、説明されているように、隣接する正極プレートから分離するためにセパレータ収容体内に設けられる。)正極プレート32から延在する薄板状端子33が吊り下げ用電極40に連結され、負極プレート34から延在する薄板状端子35が吊り下げ用電極42に連結されている。正極側吊り下げ用電極はそれから正極端子16に連結され、負極側吊り下げ用電極は負極端子18に電気的に連結される。
【0012】
図2は従来技術による負極グリッドとしてのプレート100の平面図を示す。グリッド100は、頂部フレーム部材としての要素110を含み、要素110は、そこから延在する集電薄板状端子形状の部材120を有する。グリッド100は、また底部フレーム部材としての要素112も含む。頂部フレーム部材110と底部フレーム部材112の間には、ダイヤモンドパターン状に配置された複数の相互接続されたワイヤ130がある。ノード132はワイヤの交点に設けられる。
【0013】
通常、図2に示されたような負極グリッドは、金属シートにナイフの刃を用いてさまざまな点に切れ目を入れた後に、シートの両端を反対方向に引っ張ってシートの切れ目部分を複数のグリッドワイヤに発展させるというエキスパンドメタル工程によって製造される。図2に示すように、頂部フレーム要素と底部フレーム要素がエキスパンド工程で反対方向へ引っ張られ、相互接続したワイヤが形成される。エキスパンド工程が終了すると、シートが切断されてグリッドとなるが、ここで、グリッドの両側面に沿って露出したワイヤ端(例えば図2のワイヤ端134)が残される。このような配置での1つの問題点は、負極グリッドの両側面におけるグリッドワイヤ端がセパレータ収容体に穴をあけて、隣接する正極プレートの一部との接触をもたらす可能性があることである。そうなると電池の内部短絡が生じ、電池寿命の大幅な低下を招きやすい。
【0014】
例示的な実施形態によると、エキスパンドメタル工程でグリッドを形成する代わりに、この方法では、金属(例えば鉛合金)のシートが連続打ち抜き(punching)型を通過し、連続打ち抜き型が図3に示すグリッド形状を形成するように材料を取り除くという連続的な打ち抜き操作でグリッドが形成される。一実施形態によれば、通常の鉛または鉛合金の電池グリッド材料(鉛−カルシウム−錫合金などの)が溶融され、連続鋳造されて、グリッド材料の連続ストリップが形成される。次に、この連続ストリップが圧延あるいは鍛造されて、ストリップの厚さまたは結晶粒構造が調整される。次に、この連続ストリップからグリッド材料を打ち抜くことによって、一連の相互接続された電池グリッドが形成される。
【0015】
打ち抜き(punching)操作の間、ストリップは連続ストリップとして維持され、連続的な打ち抜き操作によって相互接続されたグリッド形状が形成される(すなわち、数段階の打ち抜き操作が終了すると電池グリッドに対して特徴が与えられる)。相互接続された電池グリッドのそれぞれは、図3に示す前述したフレームで囲まれたグリッド網を有する。
【0016】
打ち抜き操作としての工程によって相互接続されたグリッドを有するストリップが形成された後、ストリップの電池グリッドワイヤ部分に打ち抜き(stamping)またはコイニング(coining)の操作としての工程が行われてもよい。図4〜図7に示すように、打ち抜き操作としての工程は、グリッドワイヤがノード間に修正された断面を有するように、グリッドワイヤを変形またはコイニングするために用いられる。例えば、打ち抜き操作としての工程は、図4に示すように打ち抜かれたグリッドワイヤの四角形断面を八角形断面に変形する型を含んでいてもよい。或いは、打ち抜き型は、図5に示されるように、グリッドワイヤとノードとが交わるグリッドワイヤの両端における断面に対して、グリッドワイヤの中間部分を約20度〜約70度回転させて使用してもよい。その他にも、図6〜図7に示されるように、修正が行われてもよい。
【0017】
打ち抜き工程により製造された四角形断面よりもすぐれた改良ペースト接着特性を負極グリッドに与えるように、任意の数の修正グリッドワイヤ形状が選択されてもよいことを理解されたい。種々の例示的実施形態によれば、修正グリッドワイヤは、実質的に、ダイヤモンド形、菱形、六角形、八角形、もしくは楕円形を有する。打ち抜き位置でグリッドワイヤを変形させる場合に、個々のグリッドワイヤ部分の端から端までのグリッドワイヤ長沿いの変形領域は異なっていてもよい。例えば一実施形態によれば、グリッドワイヤ部の両端間のグリッドワイヤ長の約90%が打ち抜き位置で変形される(例えば、グリッドワイヤ部の一方の端に近い部分のグリッドワイヤ長の約5%が四角形断面を有し、グリッドワイヤ長の中央の約90%が実質的に八角形断面を有し、グリッドワイヤ部の他方の端に近い部分のグリッドワイヤ長の約5%が四角形断面を有する)。他の例示的実施形態によれば、違う割合でワイヤが変形されてもよい。
【0018】
別の例示的実施形態によれば、グリッドワイヤは打ち抜きまたはコイニングをされなくてもよく、図8に示される断面形状を有する(例えば、修正を行わない四角形断面)。
【0019】
ノードは変形されないままであることが好ましいが、場合によっては打ち抜き場でノードを変形またはコイニングすることが有利になることもある。ノード並びにグリッドワイヤのコイニングはグリッドストリップを非平面とし易いので、プレートの一方に他方よりもより厚くペーストを塗布する傾向のある塗布操作にはこの作用が有益となる。次に、グリッドストリップは、面に薄く塗布されるペーストがより容易に流れるように、すなわち、通常は底面方向に面する凹面が、ペーストが薄く塗布される別の方向に面するようにペースト装置に配設される。
【0020】
たとえば、電池ペーストの接着性向上などを含む種々の利点を得るために、グリッドのすべてもしくは一部を金属合金(例えば鉛合金)で被覆してもよいことにも留意されたい。そのような被覆の例は、米国特許第6,953,641号明細書に記載されており、その開示全体が参照により本明細書中に取り込まれる。
【0021】
次に、相互接続されたグリッドは、電池ペーストの塗布処理が施され、ストリップが切断されて複数の電池プレートが形成される。あるいは、相互接続されたグリッドは、塗布する前に複数のグリッドに切断され、後の使用に備えて貯蔵される。エキスパンドメタルグリッドに代えて、ここで説明したようなグリッドを利用する利点の1つは、エキスパンドメタルグリッドでは固定オリフィス塗布機でペーストを塗布できない(面外に捩れたワイヤによる干渉のため)のに対し、打ち抜かれたグリッドではその制約がないことである。
【0022】
例示的な実施形態によれば、負極グリッド200はペースト塗布前の厚さが約0.010インチ〜0.050インチの間である。エキスパンドメタル工程で作られた従来の負極グリッドは、ストリップの厚さが、約0.022インチ〜0.035インチの間であり、引き伸ばされたメッシュの厚さは、約0.030インチ〜0.045インチの間である。薄い負極グリッドを用いた電池を提供することの1つの利点は、個々の負極グリッドによって占められる空間が小さい(例えば、同じ電池に追加してグリッドを入れることができるか、もしくは電池をより小さくできる)ために、そのような薄いグリッドを用いた電池のエネルギ密度が高くなることである。
【0023】
図3を参照すると、例示的な実施形態による改良された負極グリッド200が示されている。グリッド200は、(そこから延在する集電薄板状端子220を有する)頂部フレーム部材としての要素210と、底部フレーム部材としての要素212と、第1の側部フレーム部材としての要素214と、第2の側部フレーム部材としての要素216とを備えている。側部フレーム部材214、216は、頂部フレーム部材210と底部フレーム部材212のそれぞれ反対側の端に連結して、ほぼ四角形形状の囲われた領域を形成する。複数のグリッドワイヤ230は、ノード232で交差するダイヤモンドパターン状に配列されている。
【0024】
図3をさらに参照すると、グリッドワイヤ230が複数の交点(例えば、グリッドワイヤ230が頂部フレーム部材210と交差する点)で頂部フレーム部材210と連結している。これらの交点は、グリッドワイヤ230と頂部フレーム部材210との間の合わせ目の導電性を支援するための特徴250を有している。導電性を増強する特徴によって、比較的薄いグリッドワイヤ230が頂部フレーム部材210と材料的に効率のよい方法(例えば、可能な限り少ない材料の使用)で連結し、更に、グリッドワイヤ230と頂部フレーム部材210との間の強力な接合をもたらす。図3でわかるように、グリッドワイヤ230が頂部フレーム部材210に近づくにつれてグリッドワイヤが次第に幅広になっている。グリッドワイヤ230が頂部フレーム部材210に近づくにつれて次第に幅広になっていることに加えて、交点はその両側において曲線状となっている。この曲線すなわち曲率を持つことは打ち抜き操作によってのみ可能であって、エキスパンドメタル工程では得ることができない。側部および底部フレーム部材212、214、216も、グリッドワイヤ230が側部および底部フレーム部材212、214、216と連結する交点において同様の特徴を持つ。
【0025】
図3をさらに参照すると、側部、頂部、および/または底部フレーム部材210、212、214、216が、1つまたは複数の特徴260(例えば切り口、切れ込み、窪み、など)を含み、電池のグリッドを使用している間にグリッドが成長することを制御および/または補償するように支援する(例えば、図3の側部フレーム部材214、216に形成された切り口を参照)。この特徴260により局所的に弱い領域が設けられ、グリッド200が使用中に成長した場合にはこの特徴部分260が壊れて、グリッドの成長を制限および/または制御する。他の例示的な実施形態によると、米国特許出願第11/984,666号明細書(この開示全体が参照により本明細書中に取り込まれる)に表示され記述されているようなグリッドの成長を制限あるいは制御する特徴が、ここに記述しているグリッドに取り込まれてもよい。
【0026】
図3に示した例示の実施形態の1つの有利な点は、フレーム部材210、212、214、および216がグリッド200の全外周に亘って縁としてのフレームを形成するので、電池のセパレータに穴を開けて電池内部での短絡を起こす可能性のあるワイヤ端の露出がないことである。この結果として、電池の寿命を延ばすことに繋がる(例えば短絡を防ぐ)。
【0027】
図3は例示的な実施形態による1つの負極グリッド200を示しているが、他の構成も可能であることに留意されたい。図9〜図13に、他の例示的実施形態によるその他の可能な構成を示している。(図9〜図13中の符号は図3に使用されたものと同じである。)上述したさまざまな特徴(例えば、導通を支援する特徴、グリッドの成長の制御および/または補償を支援する切り口あるいは切れ込み、ワイヤ断面を変形するための打ち抜き、鉛合金などの合金でのグリッド全体あるいは一部の被覆、など)もまた、適宜に図9〜図13の実施形態と共に用いてもよい。
【0028】
例えば、図9〜図11においては、グリッドワイヤのダイヤモンドパターンが図3に示したものよりも引き伸ばされたグリッド300が示されている。(例えば、ダイヤモンドパターンが交差するワイヤの間で実質的に正方形の開口とはなっていない。)このタイプの引き伸ばされたダイヤモンドパターンはエキスパンドメタル工程では作ることができない。頂部、側部、および/または底部のフレーム要素としての部材は、グリッドワイヤとフレーム部材との間の合わせ目の導電性を支援するための(例えば、グリッドワイヤの幅をフレーム部材との交点の近くで段階的に拡げる、などの)特徴を含んでいる(例えば、グリッドワイヤ330と頂部フレーム部材310との間に形成された特徴350を示す図9を参照)。特徴350は、グリッドワイヤとフレーム部材とのすべての交点でそのようになっていてもよいし(例えば、特徴350を示す図9を参照)、あるいは、ある交点のみであってもよい(例えば、集電薄板状端子320の左側の交点の左側だけとか、集電薄板状端子320の右側の交点の右側だけとか)。更に、側部、頂部、および/または底部のフレーム要素としての部材も、使用中のグリッドの成長を制御および/または補償を支援するための特徴(例えば、切り口や成長制限装置、などの)を含んでもよい(例えば、側部フレーム要素314、316に形成された特徴360を示す図9を参照)。
【0029】
図12はグリッド400の例示的実施形態を示し、グリッド400はワイヤ間にほぼ六角形の開口部が配列されている(たとえば、“ハニカム”構造ができている)。頂部、側部、および/または底部のフレーム要素としての部材は、グリッドワイヤとフレーム部材との間の合わせ目の導電性を支援するための(例えば、グリッドワイヤの幅をフレーム部材との交点の近くで段階的に拡げる、などの)特徴を含んでいる(例えば、グリッドワイヤ430と頂部フレーム部材410との間に形成された特徴450を示す図12を参照)。特徴450はグリッドワイヤとフレーム部材とのすべての交点においてそうであってもよいし、あるいは、ある交点のみであってもよい。更に、側部、頂部、および/または底部のフレーム要素としての部材も、使用中のグリッドの成長を制御および/または補償を支援するための特徴(例えば、切り口や成長制限装置、など)を含んでもよい(例えば、フレーム要素414、416に形成された特徴460を示す図12を参照)。図12に示された設計の長所の1つは、例えば、図9に示された設計でそれぞれのノード332に4つのワイヤが集まっているのに対比して、それぞれのノード432には3つのワイヤが集まっていることである。このような構成の利点の1つは、ノードで使用される材料が少ないということである。
【0030】
図13はグリッド500の例示的実施形態を示し、グリッド500はワイヤ間にほぼ四角形の開口部が配列されている。垂直ワイヤは、頂部としての上部フレーム要素510と底部としての下部フレーム要素512との間に連続的に張り架けられているのに対し、側部フレーム要素514と516との間のグリッド全体に亘って左から右へ連続的に繋がらないように、水平ワイヤが隣接する垂直ワイヤ間に張り架けられている。図13に示された例示的実施形態によれば、それぞれの完成された四角形の開口部は実質的に同一サイズとなっている(部分的な四角形開口部はグリッドの中のどこにあるかによってサイズが異なっている)。別の例示的実施形態によれば、完成された四角形の開口部が異なるサイズを有してもよい。頂部、側部、および/または底部のフレーム要素としての部材は、グリッドワイヤとフレーム部材との間の合わせ目の導電性を支援するための(例えば、グリッドワイヤの幅をフレーム部材との交点の近くで段階的に拡げる、などの)特徴を含んでいる(例えば、グリッドワイヤ530と頂部フレーム部材510との間の特徴550を示す図13を参照)。特徴550は、グリッドワイヤ530とフレーム部材とのすべての交点においてそうであってもよいし、あるいは、ある交点のみであってもよい。側部、頂部および/または底部のフレーム要素は、グリッドを使用している間のグリッドの成長の制御および/または補償を支援するための特徴(図示せず)を含んでいてもよい。
【0031】
例示的実施形態によれば、電池は、打ち抜きおよび/またはコイニング工程で形成される正極および負極の両方のプレートとしてのグリッドを用いて製造される。
【0032】
例示的実施形態によれば、前述の任意の例示的実施形態による負極グリッドは、表1に示す組成を含む鉛合金から作られる。
【0033】
【表1】

【0034】
別の例示的実施形態によれば、前述の任意の例示的実施形態による負極グリッドが、表2に示す組成を含む鉛合金から作られる。
【0035】
【表2】

【0036】
上記の方法で負極グリッドを形成することの1つの有利な特徴は、エキスパンドメタル工程で製造されたグリッドに比べてこのグリッドでは必要とする材料の量が少ないことである。その結果として、上述したようなグリッドを用いることにより、重量および材料コストの削減を実現することが可能である。
【0037】
種々の例示的実施形態に示した電池グリッドの構成および配置は、説明のためだけであることに留意することが重要である。本開示においては本発明のいくつかの実施形態を詳細に記述したに過ぎないが、この開示を精査する当業者であれば、ここに開示した主題の新規の教示および利点から著しく乖離することなしに、多くの修正(例えば、サイズのバリエーション、寸法、構造、種々の要素の形状および大きさ、パラメータ値、取付方法、材料や色や向きの使用方法、などの変更)が可能であることは容易に理解されるであろう。従って、そのような変更のすべては、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲内に含まれることが意図されている。代わりの実施形態によって、任意の工程または方法のステップの順序もしくは順番を変更あるいは再構築してもよい。本発明の範囲から乖離することなしに、種々の実施形態の設計、動作条件、および配置に関して、その他の代替、修正、変更、省略を行ってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池用グリッド材料のストリップを準備するステップと、
前記電池用グリッド材料に打ち抜き(punching)操作を行って材料を除去してグリッドを形成するステップと、
を含む電池用の負極グリッドの製造方法であって、
前記打ち抜き操作は、頂部フレーム部材、前記頂部フレームとその第1の端で連結している第1の側部フレーム部材、前記頂部フレームとその第2の端で連結している第2の側部フレーム部材、及び前記頂部フレーム部材とは離間し、かつ前記第1の側部フレーム部材および前記第2の側部フレーム部材と連結している底部フレーム部材からなるフレームで囲まれた複数のグリッドワイヤを有する電池負極グリッドを製造し、
前記負極グリッドが、高分子セパレータの中に設けられた場合に、前記高分子セパレータに穴をあける可能性のあるむき出しになったワイヤ端を含まないことを特徴とする電池用の負極グリッドの製造方法。
【請求項2】
前記打ち抜き操作が連続的な打ち抜き操作であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電池グリッド材料が、厚さおよび結晶粒構造の少なくとも1つを調整するように加工される連続鋳造された鉛合金ストリップであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電池グリッドが、約0.010インチから約0.050インチの間の範囲の厚さを有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記連続鋳造された鉛合金ストリップからグリッド材料を打ち抜くことにより一連の相互接続された電池グリッドが形成されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のワイヤが、ダイヤモンド型、ハニカム型、四角形型からなる群より選択されるパタ−ンに配列されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のワイヤが、ワイヤ同士がほぼ直角に交差するダイヤモンドパターンを形成することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のワイヤが、ワイヤ同士が直角には交差しない、細長のダイヤモンドパターンを形成することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記頂部フレーム要素、前記第1の側部フレーム要素、前記第2の側部フレーム要素、前記底部フレーム要素の少なくとも1つが、前記グリッドの使用中におけるグリッドの成長を補償するための特徴的構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のグリッドワイヤが相互に複数のノードで交差し、かつ前記複数のワイヤが、前記頂部フレーム部材と前記複数のグリッドワイヤとの間の導電性を高めるために、前記頂部フレーム部材と前記複数のグリッドワイヤとの間に曲率を有する複数の交差点で前記頂部フレーム部材と連結し、前記グリッドワイヤは前記頂部フレーム部材との交差点に近づくにつれて次第に幅が増大することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記グリッドワイヤを、八角形、ダイヤモンド形、ひし形、六角形、楕円形からなる群から選ばれる1つの形を有する断面に加工するために、前記複数のグリッドワイヤがコイニング操作によってコイニング(coining)されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記グリッドワイヤが、その両端におけるノード間の長さの約90%に亘って変形されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電池グリッドのノードがコイニング操作によってコイニングされることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記電池グリッドが鉛合金で被覆されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記電池グリッドを活物質で被覆するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記電池グリッド材料が鉛−カルシウム−錫合金であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記電池グリッド材料が、0.05〜0.50%カルシウム、0.001〜2.5%アンチモン、0.01〜2.0%錫、0.001〜0.1%銅、0.001〜0.25%砒素、0.01〜0.05%ビスマス、0.003〜0.01%銀、残りが鉛、である組成を有することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記材料の前記組成が、0.05〜0.15%カルシウム、0.002%未満のアンチモン、0.5%より多い錫、0.005%未満の銅、0.002%未満の砒素、0.02%未満のビスマス、0.005%未満の銀、残りが鉛、であることを特徴とする請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−520607(P2010−520607A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552810(P2009−552810)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/055481
【国際公開番号】WO2008/109429
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(508205992)ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー (7)
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
【住所又は居所原語表記】912 East 32nd Street Holland, MI 49423 USA
【Fターム(参考)】