説明

電池配線モジュール

【課題】電池配線モジュールを小型化する。
【解決手段】電池配線モジュール20は、正極及び負極の電極端子12A,12Bを有する複数の単電池11の隣り合う電極端子12A,12B間を接続する複数の接続部材21と、各接続部材21を保持する複数の保持部24と、接続部材21に重ねられ電線W1の端末部に接続される電圧検知端子37と、電圧検知端子37に接続された電線W1が通される電線通し部36と、を備え、電線W1の電圧検知端子37からの延出方向は、接続部材21の接続方向と直交する方向Yに対して傾斜した方向X1であり、この方向に延出された電線W1が電線通し部36に通されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車用の電池モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する単電池が複数個並んで配列されており、隣り合う単電池の電極端子間がバスバー(接続部材)で接続されることにより複数の単電池が直列や並列に接続されるようになっている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のバスバモジュール(電池配線モジュール)は、単電池の電圧を検知するための正方形状の電圧検知用の端子がバスバーに重ねられている。この電圧検知用の端子に接続された電線が電池ECUに導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−170884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の構成では、電圧検知用の端子に連なる電線は電線接続部とともに、バスバーの接続方向に対して直交する方向に延出された後、第2収容部においてほぼ直角に曲げられて電池ECU側に導かれる。しかしながら、このように、電線をバスバーの接続方向に対して直交する方向に延出する場合には、電線や電線接続部のスペースが必要になり電池配線モジュールの小型化の障害となりやすいという問題がある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電池配線モジュールを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電池配線モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池の隣り合う電極端子間を接続する複数の接続部材と、前記各接続部材を保持する複数の保持部と、前記接続部材に重ねられ電線の端末部に接続された検知端子と、前記検知端子に接続された前記電線が通される電線通し部と、を備え、前記電線の前記検知端子からの延出方向は、前記接続部材の接続方向と直交する方向に対して傾斜した方向であり、この方向に延出された前記電線が前記電線通し部に通されているところに特徴を有する。
本発明の構成によれば、電線が接続部材の接続方向と直交する方向に延出される場合と比較して、延出方向が接続部材の接続方向と直交する方向に対して傾斜した分だけ、接続部材の接続方向と直交する方向のスペースを確保しなくてもよい。よって、電池配線モジュールを小型化することが可能となる。
【0008】
・前記電線は、前記接続部材の接続方向には延出されない。
電線が接続部材の接続方向に延出されていると、電線の長さが長くなりやすいが、本構成によれば、電線が長くなることを抑制できる。
【0009】
・前記電線通し部は、前記複数の保持部に沿って設けられており、前記電線の前記延出方向は、前記電線通し部の側に向けられている。
前記電線を前記電線通し部の側とは反対側に延出させると、電線の長さが長くなるが、本構成によれば、電線の長さを短くすることが可能になる。
【0010】
・前記保持部には、前記接続部材を外部と仕切る仕切り壁が設けられ、前記検知端子は、前記接続部材に重ねられる平板部を有しており、前記仕切り壁に前記平板部の角部が入り込んでいる。
このようにすれば、前記平板部の角部が仕切り壁に入り込んでいる分だけ電池配線モジュールを小型化することが可能になる。
【0011】
・前記仕切り壁には、前記平板部の角部を嵌め入れる凹部が形成されている。
このようにすれば、簡易な構成で電池配線モジュールを小型化することが可能になるとともに、凹部によりボルト締め等の際に検知端子を回転させないことが可能になる。
【0012】
・前記仕切り壁の内面には、前記平板部の角部を通す通し凹部が形成されている。
このようにすれば、簡易な構成で電池配線モジュールを小型化することが可能になるとともに、ボルト締め等の際に検知端子を回転させないことが可能になる。
【0013】
・前記通し凹部は、前記仕切り壁を貫通する通し孔である。
このようにすれば、より一層、電池配線モジュールを小型することが可能になる。
・前記仕切り壁には、前記通し孔を貫通した前記平板部の角部を覆う補助壁が前記仕切り壁の外面側に形成されている。
平板部が外部に露出していると絶縁性に懸念が生じるが、本構成によれば、絶縁性の低下を防止することが可能になる。
【0014】
・前記複数の保持部には、前記接続部材に重ねられる複数の検知端子が設けられており、前記複数の検知端子のうち、前記接続部材の接続方向における一方の端部の検知端子からは、前記接続部材の接続方向における他方の側に電線が延出されている。
電池配線モジュールの端部側については、電線の延出方向によっては電線が電池配線モジュールから飛び出すことが懸念されるが、本構成によれば、前記複数の検知端子のうち、前記接続部材の接続方向における一方の端部の検知端子からは、接続部材の接続方向における他方の側に電線が延出されているため、電線の電池配線モジュールからの飛び出しを防止することが可能になる。
【0015】
・電池配線モジュールは、複数の連結ユニットを連結して構成したものであり、前記各連結ユニットに前記保持部及び前記電線通し部が設けられ、前記連結ユニットが連結されることで、隣り合う連結ユニットにおける前記電線通し部が連なる。
電池配線モジュールを一体に成形すると、単電池数の変更に応じた電池配線モジュールの構成の変更(長さ等の変更)に新たな金型等が必要になるが、本構成によれば、単電池の数に応じて連結ユニットの連結数を変更すればよいため、電池配線モジュールの構成の変更が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電池配線モジュールを小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1に係る電池配線モジュールが取り付けられた電池モジュールについて一部を省略して表した平面図
【図2】電池配線モジュールの一部を省略して表した平面図
【図3】電圧検知端子が取り付けられた部分を拡大して表した図
【図4】他の異なる配置の電圧検知端子が取り付けられた部分を拡大して表した図
【図5】電池配線モジュールの一部を拡大して表した正面図
【図6】収容部材の一部を省略して表した平面図
【図7】図3で表した部分の保持部を拡大して表した図
【図8】図4で表した部分の保持部を拡大して表した図
【図9】図6のA−A断面図
【図10】図6のB−B断面図
【図11】実施形態2に係る電池配線モジュールを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を図1〜図10を参照しつつ説明する。
本実施形態の電池配線モジュール20は、図1に示すように、単電池11が複数個並べられた単電池群に取付けられて電池モジュール10を構成するものであり、この電池モジュール10は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の駆動源として使用される。以下では、前後方向については図1の上方を前方、下方を後方とし、図1の紙面手前側を上方、紙面奥方を下方として説明する。
【0019】
電池モジュール10は、図1に示すように、例えば横並びに配列された複数個の単電池11(単電池群)と、複数個の単電池11に取付けられる電池配線モジュール20とを備えて構成されている。
単電池11は、内部に図示しない発電要素が収容された直方体状の本体部の端面から垂直に突出するナット状の電極端子12A,12B(正極を12A,負極を12Bとして図示)及びナット状の中間電極12Cを有する。
【0020】
各単電池11の極性(正負)の向きは、互いに隣り合う単電池11が逆向きになるように配置されており、これにより、互いに異極の電極端子12A,12Bが隣り合うように構成されている。これら複数の単電池11は図示しない保持板によって固定されている。
【0021】
電池配線モジュール20は、図2に示すように、左右に隣り合う電極端子12A,12B間を接続する複数の接続部材21と、各接続部材21に重ねられ電線W1の端末部に接続されて単電池11の電圧を検知する複数の電圧検知端子37(本発明の構成である「検知端子」の一例)と、電線W2の端末部に接続された複数の中間電圧検出端子43と、接続部材21,電圧検知端子37及び中間電圧検出端子43を収容する合成樹脂製の収容部材20Aとを備えて構成されている。
接続部材21は、銅、銅合金、アルミニウム等の金属からなり、概ね長方形の板状をなし、締結部材であるボルトの軸部が挿通される挿通孔22,22を有する。挿通孔22,22は、左右方向に長い長円形状をなす。
【0022】
電圧検知端子37は、単電池11の電圧を測定するために設けられており、図3に示すように、長方形状の平板部38と、平板部38に連なり電線W1の端末部に接続される接続部39とからなる。
平板部38は、直角の4つの角部を有し、ほぼ中心部に挿通孔22とほぼ連通する(中心軸が等しい)円形の挿通孔38Aを有する。平板部38の長辺が電線W1の延出方向X1に沿う方向に形成されており、一方の短辺側に接続部39(及び電線W1)が連なる。
【0023】
接続部39は、平板部38の短辺(短径)側から段差状に幅寸法を狭くして形成されており、この接続部39に被覆電線からなる電線W1の端末部において絶縁被覆(絶縁層)を剥ぎ取り露出させた導体部が圧着等により接続されている。
【0024】
中間電圧検出端子43は、単電池11の中間部の電圧を測定するためのものであって、図2に示すように、電圧検知端子37の平板部38よりも小さい板状の矩形部と、矩形部に連なり被覆電線である電線W2の端末の絶縁被覆を剥ぎ取り露出させた導体に圧着される圧着部とからなる。矩形部は、中心部にボルトの軸部を挿通可能な挿通孔を有する。
【0025】
電線W1及び電線W2は、後述する電線通し部36に集められて右方の図示しない電池ECUに導かれる。この電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、単電池11の電圧・電流・温度等の検知、各単電池11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0026】
収容部材20Aは、図6に示すように、各接続部材21を保持する複数の保持部24と、中間電圧検出端子43を収容する端子収容部45と、電線W1及び電線W2が通される電線通し部36とを有する。
複数の保持部24は、収容部材20Aの前側及び後側にそれぞれ一列状に並んで設けられており、共に、接続部材21が載置される底板25と、接続部材21を囲むように形成されてなる仕切り壁27とを有する。
【0027】
底板25は、幅方向の中間部において前後の仕切り壁27の基端部を連結する中間支持部と、左右の端部において仕切り壁27の基端から内側にわずかに突出する底縁部とからなり、底板25のない部分が電極端子12A,12Bが配される開口部26とされる。
仕切り壁27は、工具等が電極端子12A,12B及び接続部材21に接触して短絡することを防止するために、工具等の接触が防止される高さで接続部材21を包囲するように接続部材21の周囲に環状に立設されている。
この環状の仕切り壁27は、前後一対設けられ左右方向に延びる対向壁と、左右一対設けられ前後方向に延びる側壁とが連なって角筒状に構成されている。
【0028】
仕切り壁27(の各対向壁)には、接続部材21の離脱を規制する前後方向に撓み変形可能な係止片29が設けられている。接続部材21が係止片29の内方側に突出する部分の下側に配されることで接続部材21の離脱が規制される。
また、仕切り壁27には、図7に示すように、電圧検知端子37の平板部38の角部が上方から嵌め込まれる凹部27A,27B,27Cと、仕切り壁27を貫通して設けられ電圧検知端子37の他の角部が挿通される通し孔27D(図10参照)とが設けられている。
【0029】
凹部27A,27B,27Cは、電圧検知端子37が載置される高さ位置(接続部材21の上面の位置)に設けられており、電圧検知端子37の軸(平板部38の幅方向の中心)方向X1が前後方向Y(接続部材21の接続方向と直交する方向)に対して傾斜した方向(角度θ1)となる姿勢で平板部38を位置決め(回り止め)することができるものであり、図7に示すように、平板部38の3つの角部を嵌め込んで位置決めできるように、仕切り壁27の上面及び内面を切欠いて形成されている。なお、凹部27B,27Cについては、平板部38の角部が仕切り壁27の外部に露出しないように仕切り壁27が平板部38の角部の外側に沿って枠形に回り込んだ形状となっている。
【0030】
通し孔27Dは、平板部38の角部を通すことが可能なスリット状に貫通する貫通孔であり、平板部38の厚みよりわずかに大きい径(上下の径)で開口している。
仕切り壁27を貫通する通し孔27Dの外面側には補助壁32が設けられており、補助壁32により通し孔27Dの全体が覆われている。補助壁32は、仕切り壁27の外面に対しては、所定間隔を空けて形成されており、通し孔27Dを貫通した平板部38の角部が補助壁32の内側に配される。この補助壁32は、左右方向に段差状に仕切り壁27との間隔を狭くすることで仕切り壁27と一体に連なる。
【0031】
また、保持部24において仕切り壁27の角の部分を含む位置には、電圧検知端子37の接続部39が通される通し溝30が凹設されている。通し溝30には、電圧検知端子37の接続部39を両側から挟持する一対の挟持片30A,30Aが形成されている。この通し溝30は、保持部24における電線通し部36側の角の位置に、電線通し部36に対して斜めの方向から連通(合流)するように設けられている。
これにより、電圧検知端子37が取付けられて通し溝30に接続部39が収容されると、図3に示すように、電線W1(及び接続部39)の電圧検知端子37(の平板部38)からの延出方向は、前後方向Y(接続部材21の接続方向と直交する方向)に対して傾斜した方向(角度θ1傾斜した方向)となり、この方向に延出された電線W1が折り返すように湾曲して電線通し部36に通される。
【0032】
ここで、後側の保持部24の列の端部の保持部24Bに装着される電圧検知端子37Bについては、図4に示すように、他の電圧検知端子37Aとは前後方向の軸Yに対して異なる方向X2(θ2<θ1)に電線W1が延出されている。したがって、仕切り壁27に設けられるこの電圧検知端子37Bの角部が嵌め入れられる凹部28A,28B及び角部が通される通し孔28Dについても他の保持部24Aとは異なる位置に配されている(図8参照)。
【0033】
端子収容部45は、図6に示すように、中間電圧検出端子43を装着する装着凹部45Aが電線通し部36に連なるように形成されており、この装着凹部45Aには、単電池11の中間電極12Cと接続するための矩形孔が開口している。装着凹部45Aに中間電圧検出端子43が装着されて電線W2が電線通し部36に通される。
【0034】
電線通し部36は、前側の保持部24と端子収容部45との間、及び、端子収容部45と後側の保持部24との間にそれぞれ(2列)溝状に設けられている。
電線通し部36には、電線W1,W2を電線通し部36内に保持するための一対の爪部36Aが上部に対向して設けられている。
【0035】
なお、収容部材20Aは、複数の連結ユニットから構成されており(図6のC−Cで連結ユニットの境界部分を示す)、各連結ユニット間は、接続部材21を介して連結されており、接続部材21に凹設された被係合部と、各連結ユニットに凸設された係合部とがクリアランスを有しつつ係合することにより、左右の連結ユニットがクリアランスの範囲で寸法公差を吸収できるようになっている。この連結ユニットが左右に連結されると隣り合う連結ユニットの電線通し部36同士が連なる。
【0036】
次に、電池配線モジュール20の組み付けについて説明する。
複数の連結ユニットを左右に連ねて収容部材20Aを形成する(図6)。
次に、接続部材21,電線W2の端末に接続された中間電圧検出端子43を収容部材20Aの保持部24及び端子収容部45に装着する。そして、各電圧検知端子37の角部を通し孔27D,28Dに通しつつ凹部27A〜27C,28A,27Bに嵌め込んで装着するとともに、電線W1及び電線W2を電線通し部36に通すと電池配線モジュール20が形成される(図2)。
【0037】
次に、電池配線モジュール20における接続部材21、電圧検知端子37の挿通孔22,38A及び中間電圧検出端子43の挿通孔を複数の単電池11(単電池群)の全ての電極端子12A〜12Cのボルト孔の位置に合わせ、電池配線モジュール20を複数の単電池11に取り付ける(図1)。そして、ナット状の電極端子12A〜12Cの全てにボルトを螺合させて電池モジュール10とする。
【0038】
上記実施形態の構成によれば、以下の効果を奏する。
(1)電池配線モジュール20は、正極及び負極の電極端子12A,12Bを有する複数の単電池11の隣り合う電極端子12A,12B間を接続する複数の接続部材21と、各接続部材21を保持する複数の保持部24と、接続部材21に重ねられ電線W1(電線)の端末部に接続される電圧検知端子37(検知端子)と、電圧検知端子37に接続された電線が通される電線通し部36と、を備え、電線W1の電圧検知端子37からの延出方向は、前後方向Y(接続部材21の接続方向と直交する方向)に対して傾斜した方向X1(X2)であり、この方向に延出された電線W1が電線通し部36に通されている。
このようにすれば、電線W1が前後方向Y(接続部材21の接続方向と直交する方向)に延出される場合と比較して、接続部材21の前後方向Y(接続方向と直交する方向)のスペースを確保しなくてもよい。よって、電池配線モジュール20を小型化することが可能となる。
【0039】
(2)電線W1が左右方向(接続部材21の接続方向)に延出されていると、電線W1の長さが長くなりやすいが、本実施形態によれば、電線W1は、接続部材21の接続方向には延出されないため、電線W1が長くなることを抑制することができる。
(3)電線通し部36は、複数の保持部24に沿って設けられており、電線W1の延出方向は、電線通し部36の側に向けられている。
電線W1を電線通し部36の側とは反対側に延出させると、電線W1の長さが長くなるが、本実施形態によれば、電線W1の長さを短くすることが可能になる。
【0040】
(4)保持部24には、接続部材21を外部と仕切る仕切り壁27が設けられ、電圧検知端子37は、接続部材21に重ねられる平板部38を有しており、仕切り壁27に平板部38の角部が入り込んでいるため、平板部38の角部が仕切り壁27に入り込んでいる分だけ電池配線モジュール20を小型化することが可能になる。
(5)仕切り壁27には、平板部38の角部を嵌め入れる凹部27A〜27C,28A,28Bが形成されているため、簡易な構成で電池配線モジュール20を小型化することが可能になるとともに、凹部27A〜27Cにより電圧検知端子37(検知端子)を位置決めすることが可能になる。
【0041】
(6)仕切り壁27の内面には、平板部38の角部を通す通し孔27D,28D(通し凹部)が形成されているため、簡易な構成で電池配線モジュール20を小型化することが可能になるとともに、電圧検知端子37(検知端子)を位置決めすることが可能になる。
(7)通し孔27D,28Dは、仕切り壁27を貫通する貫通孔であるため、より一層、電池配線モジュール20を小型することが可能になる。
【0042】
(8)仕切り壁27には、通し孔27D,28Dを貫通した平板部38の角部を覆う補助壁32が仕切り壁27の外面側に形成されている。
平板部38が外部に露出していると絶縁性に懸念が生じるが、本実施形態によれば、絶縁性の低下を防止することが可能になる。
(9)複数の保持部24には、接続部材21に重ねられる複数の電圧検知端子37が設けられており、複数の電圧検知端子37のうち、左右方向(接続部材21の接続方向)における左端部(一方の端部)の電圧検知端子37Bからは、左右方向(接続部材21の接続方向)における右方(他方)の側に電線W1が延出されている。
電池配線モジュール20の端部側については、電線W1の延出方向によっては電線W1が電池配線モジュール20から飛び出すことが懸念されるが、本実施形態によれば、複数の電圧検知端子37(検知端子)のうち、左右方向(接続部材21の接続方向)における左端部(一方の端部)の電圧検知端子37Bからは、左右方向(接続部材21の接続方向)における右方(他方)の側に電線W1が延出されているため、電線W1の電池配線モジュール20からの飛び出しを防止することが可能になる。
【0043】
(10)電池配線モジュール20は、複数の連結ユニットを連結して構成したものであり、各連結ユニットに保持部24及び電線通し部36が設けられ、連結ユニットが連結されることで、隣り合う連結ユニットにおける電線通し部36が連なる。
電池配線モジュール20を一体に成形すると、単電池11の数の変更に応じた電池配線モジュール20の構成の変更(長さ等の変更)に新たな金型等が必要になるが、本実施形態によれば、単電池11の数に応じて連結ユニットの連結数を変更すればよいため、電池配線モジュール20の構成の変更が容易になる。
【0044】
<実施形態2>
実施形態2について、図11を参照しつつ説明する。以下では、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態1の電池配線モジュール20は、通し溝30から電線通し部36に導かれた電線W1及び電線W2は、折り返すように湾曲して電線通し部36の右側に導かれたが、実施形態2の電池配線モジュール50は、図11に示すように、通し溝30から電線通し部36に導かれた電線W1及び電線W2は、(折り返さずに)通し溝30からやや傾斜して電線通し部36に合流し電線通し部36の左側に導かれるものである。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、接続部材21は、異極の電極端子12A,12Bを接続(直列接続)するものとしたが、これに限られず、同極の電極端子12A,12A(12B,12B)を接続(並列接続)するものでもよい。例えば、上記実施形態の電池モジュール10に更に別の単電池11を並列接続し、この並列接続における同極の電極端子12A,12Aを複数の接続部材21(電池配線モジュール20)で接続するようにしたものでもよい。
【0046】
(2)電池モジュール10を構成する単電池11の数については、上記実施形態の個数に限られず、電池配線モジュール20についても単電池11の個数に応じて適宜形状を変更することができる。
(3)上記実施形態では、複数の別体の連結ユニットを連結することにより電池配線モジュール20を構成したが、これに限られず、例えば、一枚の(一体型の)接続プレートで電池配線モジュールを構成し、この接続プレートの複数の保持部24に接続部材21及び電圧検知端子37が保持されるようにしてもよい。
【0047】
(4)電圧検知端子37からの電線W1の延出方向については、上記実施形態の方向に限られず、少なくとも前後方向Y(接続部材21の接続方向に対して直交する方向)に対して傾斜していればよい。
(5)上記実施形態では、電圧検知端子37を設ける構成としたが、これに限らず、電圧以外の電流等の単電池11の状態を検知する検知端子を設けるようにしてもよい。
【0048】
(6)上記実施形態では、電圧検知端子37の角部が貫通する通し孔を仕切り壁27に設けるようにしていたが、これに限らず、仕切り壁27の内面側に(仕切り壁27を貫通していない)通し凹部を電圧検知端子37の角部が入り込むように設けてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…電池モジュール
11…単電池
12A,12B…電極端子
12…中間電極
20…電池配線モジュール
20A…収容部材
21…接続部材
24(24A,24B)…保持部
25…底板
27…仕切り壁
27A〜27C,28A,28B…凹部
27D,28D…通し孔(通し凹部)
29…係止片
30…通し溝
32…補助壁
36…電線通し部
37(37A,37B)…電圧検知端子(検知端子)
38…平板部
38A…挿通孔
39…接続部
43…中間電圧検出端子
45…端子収容部
45A…装着凹部
W1…(電圧検知端子に接続される)電線
W2…(中間電圧検出端子に接続される)電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池の隣り合う電極端子間を接続する複数の接続部材と、
前記各接続部材を保持する複数の保持部と、
前記接続部材に重ねられ電線の端末部に接続された検知端子と、
前記検知端子に接続された前記電線が通される電線通し部と、を備え、
前記電線の前記検知端子からの延出方向は、前記接続部材の接続方向と直交する方向に対して傾斜した方向であり、この方向に延出された前記電線が前記電線通し部に通されている電池配線モジュール。
【請求項2】
前記電線は、前記接続部材の接続方向には延出されないことを特徴とする請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項3】
前記電線通し部は、前記複数の保持部に沿って設けられており、前記電線の前記延出方向は、前記電線通し部の側に向けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電池配線モジュール。
【請求項4】
前記保持部には、前記接続部材を外部と仕切る仕切り壁が設けられ、前記検知端子は、前記接続部材に重ねられる平板部を有しており、前記仕切り壁に前記平板部の角部が入り込んでいることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項5】
前記仕切り壁には、前記平板部の角部を嵌め入れる凹部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電池配線モジュール。
【請求項6】
前記仕切り壁の内面には、前記平板部の角部を通す通し凹部が形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電池配線モジュール。
【請求項7】
前記通し凹部は、前記仕切り壁を貫通する通し孔であることを特徴とする請求項6に記載の電池配線モジュール。
【請求項8】
前記仕切り壁には、前記通し孔を貫通した前記平板部の角部を覆う補助壁が前記仕切り壁の外面側に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の電池配線モジュール。
【請求項9】
前記複数の保持部には、前記接続部材に重ねられる複数の検知端子が設けられており、
前記複数の検知端子のうち、前記接続部材の接続方向における一方の端部の検知端子からは、前記接続部材の接続方向における他方の側に電線が延出されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項10】
前記電池配線モジュールは、複数の連結ユニットを連結して構成したものであり、前記各連結ユニットに前記保持部及び前記電線通し部が設けられ、前記連結ユニットが連結されることで、隣り合う連結ユニットにおける前記電線通し部が連なることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−16382(P2013−16382A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149077(P2011−149077)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】