説明

電池配線モジュール

【課題】製造コストを低減させることが可能な電池配線モジュールを提供する。
【解決手段】正極及び負極の電極部12A,12Bを有する複数の単電池11の隣り合う電極部12A,12Bに接触して電極部12A,12B間を電気的に接続する金属製の接続部材21が樹脂プロテクタ24に保持されてなる電池配線モジュール20であって、樹脂プロテクタ24は、接続部材21を外部と仕切る仕切り壁28を備えており、接続部材21には、仕切り壁28の内側の領域のうち所定の領域について肉抜きした肉抜き部23が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車用の電池モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する単電池が複数個並んで配列されており、隣り合う単電池の電極端子間がバスバー(接続部材)で接続されることにより複数の単電池が直列や並列に接続されるようになっている。
ここで、下記特許文献1のように、合成樹脂製の複数の接続ユニットにそれぞれ接続部材を収容し、隣り合う接続ユニットを連結することにより、複数の接続部材を一体的に装着することが考えられた。
【0003】
この特許文献1の電池接続アセンブリ(電池配線モジュール)は、接続ユニットに、接続部材の周縁に沿って接続部材を包囲する壁部(仕切り壁)が設けられており、この壁部により接続部材を外部と絶縁するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−170884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電池配線モジュールの接続部材は、一般に銅又は銅合金等の金属材料が用いられているが、この金属材料の使用量を少なくすることができれば、材料費を抑えることができ、製造コストを低減することが可能となる。
【0006】
一方、仕切り壁が接続部材を包囲する領域を小さくすることができれば、仕切り壁に応じて接続部材も小さいものとなるため、接続部材の金属材料の使用量を少なくして製造コストを低減することが可能である。
ここで、接続部材は、一般に電池配線モジュールの単電池への取付けの際にボルト等の締結部材で締結されるようになっている。そのため、仕切り壁が接続部材を包囲する領域内は、締結の際にボルトの頭部を嵌め込むソケット等の工具を挿入可能なスペースが必要があり、仕切り壁が包囲する領域を小さくして接続部材の金属材料の使用量を少なくすることは容易ではないという問題があった。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、製造コストを低減させることが可能な電池配線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電池配線モジュールは、正極及び負極の電極部を有する複数の単電池の隣り合う電極部に接触して前記電極部間を電気的に接続する金属製の接続部材が樹脂プロテクタに保持されてなる電池配線モジュールであって、前記樹脂プロテクタは、前記接続部材を外部と仕切る仕切り壁を備えており、前記接続部材には、前記仕切り壁の内側の領域のうち所定の領域について肉抜きした肉抜き部が形成されているところに特徴を有する。
本構成によれば、前記接続部材には、前記仕切り壁の内側における所定の領域について肉抜きした肉抜き部が形成されているため、仕切り壁の内側の領域のうち、肉抜きされた所定の領域の面積に応じて接続部材の材料費を低減することができる。よって、電池配線モジュールの製造コストを低減することができる。
【0009】
上記構成に加えて、以下の構成を有すればより好ましい。
・前記樹脂プロテクタには、前記肉抜きされた所定の領域に配されて前記接続部材を位置決めする位置決め部が設けられている。
このようにすれば、肉抜きされた所定の領域を使用して、位置決め部により接続部材を位置決めすることができる。
【0010】
・前記位置決め部は、前記接続部材を超えない高さで形成されている。
このようにすれば、例えば、接続部材を締結するための工具が仕切り壁の内側に挿入されたとしても、工具が位置決め部に接触することを防止できる。
【0011】
・前記肉抜き部は、前記接続部材の縁部を切欠いた切欠きである。
このようにすれば、例えば肉抜き部を貫通孔とする場合と比較して、肉抜き部の成形を容易にすることができる。また、比較的電流が流れる割合の少ない部分を肉抜き部とすることが容易になる。
【0012】
・前記肉抜き部は、前記接続部材の接続方向における端部側を肉抜きしている。
比較的電流が流れる割合の少ない部分を肉抜き部とすることができるため、接続部材の電気抵抗を増加させることなく、接続部材の材料費を低減することが可能になる。
【0013】
・前記肉抜き部は、前記接続部材のうち前記各電極部と接触する一対の接触部及び前記一対の接触部を結ぶ領域を除いた部分に設けられている。
より電流が流れる割合の少ない部分を肉抜き部とすることができるため、接続部材の電気抵抗を増加させることなく、接続部材の材料費を低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電池配線モジュールの製造コストを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1に係る電池配線モジュールが取り付けられた電池モジュールを示す平面図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】複数の単電池が並べられた状態を表した平面図
【図4】電池配線のジュールを示す平面図
【図5】図4のB−B断面図
【図6】実施形態2に係る電池配線モジュールを示す平面図
【図7】実施形態3に係る電池配線モジュールを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を図1〜図5を参照しつつ説明する。
実施形態1の電池配線モジュール20は、図1に示すように、複数の単電池11を並べて構成された単電池群に取付けられて電池モジュール10を構成するものであり、この電池モジュール10は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の駆動源として使用される。以下では、前後方向については図1の下方を前方、上方を後方とし、図1の紙面手前側を上方、紙面奥方を下方として説明する。
【0017】
(電池モジュール10)
電池モジュール10は、横並びに配列された複数個の単電池11と、複数個の単電池11に取付けられる電池配線モジュール20とを備えて構成されている。
単電池11は、図3に示すように、内部に図示しない発電要素が収容された直方体状の本体部の上端面から垂直に突出する電極部12A,12B(正極を12A,負極を12Bとして図示)とを有する。
【0018】
電極部12A,12Bは、共に、ナット状であって、金属製の導体部13の外周を樹脂部14が包囲して構成されており、その上端部(先端部)は、樹脂部14の上端から上方に所定寸法突出した導体部13が露出している。この露出した導体部13は、上面(先端面)が平坦な長方形状であり、中心部に締結部材であるボルトBTと螺合するネジ孔15が形成されている。
【0019】
各単電池11の極性(正負)の向きは、互いに隣り合う単電池11が逆向きになるように配置されており、これにより、互いに異極の電極部12A,12Bが隣り合うように構成されている。これら複数の単電池11は図示しない保持板によって固定されている。
【0020】
(電池配線モジュール20)
電池配線モジュール20は、図4に示すように、左右に隣り合う電極部12A,12B間を接続する複数の接続部材21と、接続部材21を保持する合成樹脂製の樹脂プロテクタ24とを備えて構成されている。
接続部材21は、銅、銅合金、アルミニウム等の金属からなり、概ね長方形の板状をなしており、その四隅の位置(角部)は、丸みを帯びている。この接続部材21は、ボルトBTの軸部が挿通される一対の円形状の挿通孔22,22を有する。
【0021】
この接続部材21の左右方向(接続方向)の端縁(端部)は、後述する仕切り壁28の内側の領域のうち、左右の両端側の所定の領域に相当する部分が切欠かれた形状の肉抜き部23(切欠部)とされている。
この肉抜き部23は、仮に仕切り壁28の内側の全体に接続部材21を形成した場合に、接続部材21のうち電流が流れる割合が少ない部分について肉抜きした(切欠きを設けた)肉抜き部23とするようになっている。
【0022】
具体的には、肉抜き部23は、接続部材21のうち電極部12A,12Bと接触する一対の接触部21A,21A(接続部材21のうち電極部12A,12Bが接触する領域。図4参照)及び一対の接触部21A,21Aを結ぶ領域21Bを、電流が多く流れる領域と想定し、これらの領域を除いた比較的流れる電流が少ないと想定される部分に接続部材21を肉抜きした肉抜き部23を設けている。
【0023】
なお、電池配線モジュール20には、図4には表されていないが、単電池11の電圧を検知するための電圧検知端子(図示しない)を接続部材21に重ねて配することができる。電圧検知端子は、長方形状の平板の後方に電線が圧着されており、この電線は、図示しない電池ECUに導かれる。この電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、単電池11の電圧・電流・温度等の検知、各単電池11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
また、単電池11の直列接続の端部に位置する電極部12A,12Bには、図示はしないが、外部のインバータ等に連なる端子が接続される。
【0024】
(樹脂プロテクタ24)
樹脂プロテクタ24は、各接続部材21を保持する複数の保持部25を有する。
複数の保持部25は樹脂プロテクタ24の前側及び後側にそれぞれ左右に並んで設けられており、共に、図5に示すように、接続部材21が載置される底板26と、接続部材21を外部と仕切る仕切り壁28と、仕切り壁28から突出し接続部材21を左右方向の両側から位置決めする位置決め部32とを有する。
【0025】
底板26は、仕切り壁28の幅方向の中間部において前後の仕切り壁28間を連結している。この中間部の底板26の両側は、底板26が形成されておらず、電極部12A,12Bが進入可能な開口部27とされている。
仕切り壁28は、接続部材21の周囲に角筒状に立設されており、工具等が接続部材21やボルトBTに接触して短絡することを防止するために、工具等の接触が防止される高さで接続部材21を包囲している。
【0026】
より詳しくは、仕切り壁28は、接続部材21の接続方向に延出された一対の対向壁28A,28Aと、一対の対向壁28A,28Aを連ねる一対の側壁28B,28Bとから形成されている。
この仕切り壁28が仕切る領域の大きさは、図4に示すように、電池配線モジュール20の複数の単電池11への取付けの際に締結部材であるボルトBTの頭部を嵌め込むソケットSTが挿入できる大きさである。
【0027】
仕切り壁28には、仕切り壁28の内面側から仕切り壁28を肉薄にした肉薄部31が設けられている。肉薄部31は、ソケットSTの周縁部が仕切り壁28に当接しないように設けられており、仕切り壁28の上端からソケットSTが進入しうる所定の高さ(図2のC−C)までの部分を含むように設けられている。
【0028】
仕切り壁28の各対向壁28A,28Aには、図5に示すように、接続部材21の離脱を規制する離脱規制片29が設けられている。離脱規制片29は、仕切り壁28の対向壁28A,28Aにコ字状の切欠き30を設けることにより、前後方向に撓み変形可能に構成されており、下端側に向けて厚み寸法が傾斜状に大きく形成されている。そして、接続部材21が離脱規制片29の爪状の部分の下側に配されることで接続部材21の離脱が規制される。
【0029】
位置決め部32は、接続部材21の高さ位置とほぼ同じ位置において、仕切り壁28の内面から内方側に水平に突出している。
位置決め部32の突出寸法は、接続部材21の側縁の直線状の端面にほぼ隙間なく密着する寸法である。位置決め部32の厚みは、突出寸法の全長に亘ってほぼ一定の厚みであって、接続部材21の厚み寸法よりわずかに薄い厚み寸法とされている。このように形成された位置決め部32は、図4に示すように、仕切り壁28の内側の領域において、ソケットSTが進入しうる範囲内に配される。しかしながら、この範囲に位置決め部32を形成したとしても、位置決め部32は、図2のC−Cの高さまでしか下降しないソケットSTの下端よりも低い位置に上端32Aを有するためソケットSTに接触することはない。
【0030】
なお、仕切り壁28のうち、位置決め部32よりも下方側は、内周面が開口部27の孔縁を構成する電極保護壁33とされており、電極部12A,12Bの先端側を電極保護壁33の内側に収容して保護する。
また、樹脂プロテクタ24には、図4に示すように、単電池11の直列接続の端部に位置する電極部12A,12Bに外部の端子を接続するための接続部35が複数並んだ保持部25の端部側に連なって設けられている。
さらに、樹脂プロテクタ24には、複数の保持部25に沿って電線通し溝34が設けられており、電圧検知端子が装着された場合には電圧検知端子に連なる電線が電線通し溝34に通される。この樹脂プロテクタ24は、複数の連結ユニット(図示しない)を互いに左右に連結して構成されており、複数の連結ユニットを連結することにより、各連結ユニットに設けられた電線通し溝34が連なる。
【0031】
次に、電池配線モジュール20の組み付けについて説明する。
複数の連結ユニットを左右に連結して樹脂プロテクタ24を形成する。
次に、接続部材21が一対の位置決め部32の間に挟まれるように、離脱規制片29を撓み変形させ、接続部材21を底板26に載置すると、離脱規制片29が復元変形し、離脱規制片29の爪が接続部材21の縁部の上方に配される。このとき、接続部材21の左右の側縁の肉抜き部23については、一対の位置決め部32の間にほぼ隙間なく挟まれて位置決めされた状態となる。なお、この後、電線の端末に接続された図示しない電圧検知端子を接続部材21に重ねて装着してもよい。これにより、電池配線モジュール20が形成される(図4,図5)。
【0032】
次に、複数の単電池11の電極部12A,12Bのネジ孔15を接続部材21の挿通孔22,22の位置に合わせて電池配線モジュール20を複数の単電池11に装着する。
ぞして、接続部材21の挿通孔22,22にボルトBTの軸部を通し、ボルトBTの頭部をソケットSTに嵌めてソケットSTを回転させることにより、接続部材21が電極部12A,12Bにボルト締めされる。これにより、電池モジュール10が形成される(図1)。
【0033】
上記実施形態の構成によれば、以下の作用・効果を奏する。
(1)正極及び負極の電極部12A,12Bを有する複数の単電池11の隣り合う電極部12A,12Bに接触して電極部12A,12B間を電気的に接続する金属製の接続部材21が樹脂プロテクタ24に保持されてなる電池配線モジュール20であって、樹脂プロテクタ24は、接続部材21を外部と仕切る仕切り壁28を備えており、接続部材21には、仕切り壁28の内側の領域のうち所定の領域について肉抜きした肉抜き部23が形成されている。
本実施形態によれば、接続部材21には、仕切り壁28の内側における所定の領域について肉抜きした肉抜き部23が形成されているため、仕切り壁28の内側の領域のうち、肉抜きされた所定の領域の面積に応じて接続部材21の材料費を低減することができる。よって、電池配線モジュール20の製造コストを低減することができる。
【0034】
(2)樹脂プロテクタ24には、肉抜きされた所定の領域に配されて接続部材21を位置決めする位置決め部32が設けられている。
このようにすれば、肉抜きされた所定の領域を使用して、位置決め部32により接続部材21を位置決めすることができる。
【0035】
(3)位置決め部32は、接続部材21を超えない高さで形成されている。
このようにすれば、例えば、接続部材21を締結するための工具が仕切り壁28の内側に挿入されたとしても、工具が位置決め部32に接触することを防止できる。
【0036】
(4)肉抜き部23は、接続部材21の縁部を切欠いた切欠きである。
このようにすれば、例えば肉抜き部23を貫通孔とする場合と比較して、肉抜き部23の成形を容易にすることができる。また、比較的電流が流れる割合の少ない部分を肉抜き部23とすることが容易になる。
【0037】
(5)肉抜き部23は、接続部材21の接続方向における端部側を肉抜きしている。
比較的電流が流れる割合の少ない部分を肉抜き部23とすることができるため、接続部材21の電気抵抗を増加させることなく、接続部材21の材料費を低減することが可能になる。
【0038】
(6)肉抜き部23は、接続部材21のうち各電極部12A,12Bと接触する一対の接触部21A,21A及び一対の接触部21A,21Aを結ぶ領域21Bを除いた部分に設けられている。
比較的電流が流れる割合の少ない部分を肉抜き部23とすることができるため、接続部材21の電気抵抗を増加させることなく、接続部材21の材料費を低減することが可能になる。
【0039】
<実施形態2>
実施形態2について、図6を参照しつつ説明する。実施形態2の電池配線モジュール40は、図6に示すように、実施形態1とは肉抜き部23に対して縁部の切欠きを増やした肉抜き部42を形成したものである。他の構成は、実施形態1と同一である。以下では、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
電極部12A,12B間を接続する接続部材41は、前後の端縁(接続部材の側縁)を切欠くことにより、前後方向の径(接続部材の幅寸法)を段差状に縮径した肉抜き部42を形成している。この肉抜き部42は、接続部材41を段差状に縮径する段差部43と、接続部材41の前後方向の径(接続部材の幅寸法)を狭くした幅狭端部44とからなり、段差部43は、左右方向の位置が概ね挿通孔22,22の内側の端部とほぼ等しい位置とされている。幅狭端部44は、接続部材41のうち、電極部12A,12Bと接触する長方形状の一対の接触部21A,21Aの外側(接触部21A,21Aの領域を侵食しない領域)に設けられる。
【0041】
<実施形態3>
実施形態3について、図7を参照しつつ説明する。以下では、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態3の電池配線モジュール50は、図7に示すように、肉抜き部52を接続部材51の前後の端縁(接続部材51の接続方向の側縁)に設けるとともに、仕切り壁28について、この肉抜き部52の対応する位置に位置決め部53を突出させたものである。
【0042】
肉抜き部52は、接続部材51の前後の端部を左右方向に長い長方形状(段差状)に切り欠いて形成されている(接続部材21の幅寸法を段差状に狭くして形成されている)。肉抜き部52は、通し孔22,22の両側に計4箇所形成されている。
この肉抜き部52の切欠き深さ(前後方向の径)は、接続部材51のうち、電極部12A,12Bと接触する長方形状の一対の接触部21A,21Aの領域に到達しない深さで切欠いている。
【0043】
位置決め部53は、接続部材51の肉抜き部52に対応する位置、具体的には、各対向壁28A,28Aの内方側に長方形状に突出している。位置決め部53の突出寸法は、肉抜き部52の接続部材51の側面からの切欠き深さ寸法より僅かに小さい。位置決め部53の上下方向の位置は肉抜き部52の上下方向の位置と同じである。なお、位置決め部53の角部は、テーパ状に角が取られている。
【0044】
位置決め部53の左右方向(接続部材51の接続方向)の長さは、肉抜き部52の左右方向の長さよりも小さくされており、位置決め部53と肉抜き部52との間には、左右方向にクリアランスが形成されている。このクリアランスにより、組み付け時において、接続部材51の接続方向における寸法誤差が吸収される。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、接続部材21,41,51の縁部に肉抜き部23,42,52を設けることとしたが、これに限られない。例えば、接続部材を貫通する貫通孔(図示しない)を肉抜き部としてもよい。この場合、貫通孔の形状は、円形状や長方形状等の種々の形状が可能である。また、貫通孔を形成する場合には、接続部材を位置決めする位置決め部として、例えば、貫通孔を通るピン状の位置決め部(図示しない)を設けて接続部材を位置決めするようにしてもよい。
【0046】
(2)上記実施形態では、接続部材21,41,51を位置決めする位置決め部32,53を設けたが、位置決め部32,53を設けないことも可能である。例えば、仕切り壁28の対向壁28A,28A又は側壁28B,28Bの間に接続部材21,41,51を挟持することで、接続部材21,41,51を所定の位置に保持するようにしてもよい。
【0047】
(3)上記実施形態では、位置決め部32,53の高さは、接続部材21,41,51をとほぼ同じ高さとしたが、この高さに限られず、ソケットSTが挿入される範囲に設けられる位置決め部32,53の上端が接続部材21,41,51の上面よりも上方であって、ソケットSTの下面に当接しない高さとしてもよい。
【0048】
(4)実施形態1及び実施形態2では、側壁28B,28Bにおける前後方向の中間部から位置決め部32,53を突出させることとしたが、これに限られず、仕切り壁28の内側のうち、側壁28B,28Bの中間部以外の他の部分から位置決め部を突出させるようにしてもよい。また、一箇所の肉抜き部23,42,52について1つの位置決め部32,53を設けるものに限らず、一箇所の肉抜き部23,42,52について複数の位置決め部を設けるようにしてもよい。
【0049】
(5)上記実施形態では、接続部材21,41,51は、異極の電極部12A,12Bを接続(直列接続)するものとしたが、これに限られず、同極の電極部12A(12B)を接続(並列接続)するものでもよい。例えば、上記実施形態の電池モジュール10に更に別の単電池11を並列接続し、この並列接続における同極の電極部12A,12Bを複数の接続部材21(41,51)で接続するようにしたものでもよい。
【0050】
(6)電池モジュール10を構成する単電池11の数については、上記実施形態の個数(7個)に限られず、他の個数でもよい。また、電池配線モジュール20についても単電池11の個数に応じて適宜形状を変更することができる。
(7)上記実施形態では、複数の別体の連結ユニットを連結することにより樹脂プロテクタを構成したが、これに限られず、例えば、一枚の(一体型の)接続プレートで樹脂プロテクタを構成するものでもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…電池モジュール
11…単電池
12A,12B…電極部
13…導体部
14…樹脂部
20,40,50…電池配線モジュール
21,41,51…接続部材
21A…接触部
22…挿通孔
23,42,52…肉抜き部
24…樹脂プロテクタ
25…保持部
27…開口部
28…仕切り壁
28A…対向壁
28B…側壁
29…離脱規制片
32,53…位置決め部
43…段差部
BT…ボルト
ST…ソケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極部を有する複数の単電池の隣り合う電極部に接触して前記電極部間を電気的に接続する金属製の接続部材が樹脂プロテクタに保持されてなる電池配線モジュールであって、
前記樹脂プロテクタは、前記接続部材を外部と仕切る仕切り壁を備えており、
前記接続部材には、前記仕切り壁の内側の領域のうち所定の領域について肉抜きした肉抜き部が形成されている電池配線モジュール。
【請求項2】
前記樹脂プロテクタには、前記肉抜きされた所定の領域に配されて前記接続部材を位置決めする位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項3】
前記位置決め部は、前記接続部材を超えない高さで形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電池配線モジュール。
【請求項4】
前記肉抜き部は、前記接続部材の縁部を切欠いた切欠きであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項5】
前記肉抜き部は、前記接続部材の接続方向における端部側を肉抜きしていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項6】
前記肉抜き部は、前記接続部材のうち前記各電極部と接触する一対の接触部及び前記一対の接触部を結ぶ領域を除いた部分に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−30339(P2013−30339A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165099(P2011−165099)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】