説明

電池配線モジュール

【課題】電池配線モジュールを小型化する。
【解決手段】電池配線モジュール20は、正極および負極の電極端子12A,12Bを有する複数の単電池11の隣り合う電極端子12A,12B間を接続する複数の接続部材21と、各接続部材21を保持する複数の保持部24と、接続部材21に重ねられる平板部38を有し、電線W1に接続された電圧検知端子37と、電圧検知端子37に接続された電線Wが通される電線通し部36と、を備え、電線W1の電圧検知端子37からの引き出し方向X1は、隣り合う単電池11の並び方向と直交する方向Yに対して傾斜した方向であり、平板部38は、短辺38Sと長辺38Lが周方向に交互に配されてなる長方形状とされ、短辺38Sの寸法は、平板部38に圧接される座面12Dの直径と同じ寸法、あるいはこれよりも大きめの寸法とされている構成としたところに特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車用の電池モジュールは、正極および負極の電極端子を有する単電池が複数個並んで配列されており、隣り合う単電池の電極端子間がバスバー(接続部材)で接続されることにより複数の単電池が直列や並列に接続されるようになっている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のバスバモジュール(電池配線モジュール)は、単電池の電圧を検知するための正方形状の電圧検知用の端子がバスバーに重ねられている。この電圧検知用の端子に接続された電線が電池ECUに導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−170884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の構成では、電圧検知用の端子に連なる電線は電線接続部とともに、単電池の幅方向(隣り合う単電池の並び方向と直交する方向)に引き出された後、第2収容部においてほぼ直角に曲げられて電池ECU側に導かれる。しかしながら、電線を単電池の幅方向に引き出すと、電線や電線接続部を配設するためのスペースが単電池の幅方向に大きくなるため、電池配線モジュールの小型化の障害となりやすいという問題がある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電池配線モジュールを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、正極および負極の電極端子を有する複数の単電池の隣り合う電極端子間を接続する複数の接続部材と、各接続部材を保持する複数の保持部と、接続部材に重ねられる端子部を有し、電線に接続された検知端子と、検知端子に接続された電線が通される電線通し部と、を備え、電線の検知端子からの引き出し方向は、隣り合う単電池の並び方向と直交する方向に対して傾斜した方向であり、端子部は、短辺と長辺が周方向に交互に配されてなる四角形状とされ、端子部の短辺の寸法は、端子部に圧接される座面の最大寸法と同じ寸法、あるいはこれよりも大きめの寸法とされている構成としたところに特徴を有する。
【0008】
このような構成によると、検知端子の端子部の短辺を座面の最大寸法と同じ寸法、あるいはこれよりも大きめの寸法となるように短くしたから、検知端子の端子部が正方形状とされている場合(すなわち端子部が長辺のみで構成されている場合)と比較して、隣り合う単電池の並び方向と直交する方向のスペースを確保しなくてもよい。よって、電池配線モジュールを小型化することができる。
【0009】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
検知端子は、短辺もしくは長辺のいずれか一方の辺に連なるとともに電線の端末部に接続された接続部を有し、この接続部は、一方の辺の延出方向に対して直交する方向に延出されている構成としてもよい。
このような構成によると、接続部が隣り合う単電池の並び方向と直交する方向に延出される場合と比較して、隣り合う単電池の並び方向と直交する方向のスペースを確保しなくてもよい。
【0010】
電線通し部は、複数の保持部に沿って設けられており、接続部の延出方向は、電線通し部の側に向けられている構成としてもよい。
接続部に接続された電線を電線通し部の側とは反対側に引き出すと、電線の長さが長くなるが、本構成によれば、接続部に接続された電線を電線通し部の側に引き出すことができるため、電線の長さを短くすることが可能になる。
【0011】
保持部には、接続部材を外部と仕切る仕切り壁が設けられ、この仕切り壁に端子部の角部が入り込んでいる構成としてもよい。
このような構成によると、端子部の角部が仕切り壁に入り込んでいる分だけ電池配線モジュールを小型化することが可能になる。
【0012】
仕切り壁には、端子部の角部を嵌め入れる凹部が形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、簡易な構成で電池配線モジュールを小型化することが可能になるとともに、凹部によりボルト締めなどの際に検知端子を回転させないことが可能になる。
【0013】
仕切り壁の内面には、端子部の角部を通す通し凹部が形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、簡易な構成で電池配線モジュールを小型化することが可能になるとともに、ボルト締めなどの際に検知端子を回転させないことが可能になる。
【0014】
通し凹部は、仕切り壁を貫通する通し孔である構成としてもよい。
このような構成によると、より一層電池配線モジュールを小型化することが可能になる。
【0015】
仕切り壁には、通し孔を貫通した端子部の角部を覆う補助壁が仕切り壁の外面側に形成されている構成としてもよい。
端子部が外部に露出していると絶縁性に懸念が生じるが、本構成によれば、絶縁性の低下を防止することができる。
【0016】
電池配線モジュールは、複数の連結ユニットを連結して構成したものであり、各連結ユニットに電線通し部が設けられ、連結ユニットが連結されることで、隣り合う連結ユニットにおける電線通し部が連なる構成としてもよい。
電池配線モジュールを一体に成形すると、単電池数の変更に応じた電池配線モジュールの構成の変更(長さなどの変更)に新たな金型などが必要になるが、本構成によれば、単電池の数に応じて連結ユニットの連結数を変更すればよいため、電池配線モジュールの構成の変更が容易になる。
【0017】
接続部は、端子部における短辺の中央部に連なっている構成としてもよい。
このような構成によると、検知端子の電線通し部側への突出寸法をより小型化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電池配線モジュールを小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1に係る電池配線モジュールが取り付けられた電池モジュールの一部を省略して表した平面図
【図2】電池配線モジュールの一部を省略して表した平面図
【図3】電圧検知端子が取り付けられた部分を拡大して表した図
【図4】他の異なる配置の電圧検知端子が取り付けられた部分を拡大して表した図
【図5】電池配線モジュールの一部を拡大して表した正面図
【図6】樹脂プロテクタの一部を省略して表した平面図
【図7】図3で表した部分の保持部を拡大して表した図
【図8】図4で表した部分の保持部を拡大して表した図
【図9】図6のA−A断面図
【図10】図6のB−B断面図
【図11】複数個の単電池が並べられてなる単電池群の一部を省略して表した平面図
【図12】実施形態2に係る電池配線モジュールにおいて電圧検知端子が取り付けられた部分を拡大して表した図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図10の図面を参照しながら説明する。本実施形態の電池配線モジュール20は、図1に示すように、単電池11が複数個並べられた単電池群(図11参照)に取り付けられて電池モジュール10を構成するものであり、この電池モジュール10は、例えば電気自動車やハイブリッド車の駆動源として使用される。なお、以下において前後方向は図1の上方を前方、下方を後方とし、上下方向は図1の紙面手前側を上方、紙面奥方を下方として説明する。
【0021】
電池モジュール10は、図1に示すように、例えば横並びに配列された複数個の単電池11(単電池群)と、複数個の単電池11に取り付けられる電池配線モジュール20とを備えて構成されている。
単電池11は、図11に示すように、内部に図示しない発電要素が収容された直方体状の本体部の端面から垂直に突出するナット状の電極端子12A,12B(正極を12A,負極を12Bとして図示)、およびナット状の中間電極12Cを有する。各電極端子12A,12Bおよび各中間電極12Cの上面は電極側の座面12Cとされており、この座面12Cにはボルト(図示せず)が螺合可能なボルト孔が下方に凹んで形成されている。
【0022】
各単電池11の極性(正負)の向きは、互いに隣り合う単電池11が逆向きになるように配置されており、これにより、互いに異極の電極端子12A,12Bが隣り合うように構成されている。これら複数の単電池11は図示しない保持板によって固定されている。
【0023】
電池配線モジュール20は、図2に示すように、左右に隣り合う電極端子12A,12B間を接続する複数の接続部材21と、各接続部材21に重ねられ電線W1の端末部に接続されて単電池11の電圧を検知する複数の電圧検知端子37(本発明の構成である「検知端子」の一例)と、電線W2の端末部に接続された複数の中間電圧検出端子43と、接続部材21,電圧検知端子37,および中間電圧検出端子43を収容する合成樹脂製の樹脂プロテクタ20Aとを備えて構成されている。
接続部材21は、銅,銅合金,アルミニウムなどの金属からなり、概ね長方形の板状をなし、締結部材であるボルトの軸部が挿通される挿通孔22,22を有する。挿通孔22,22は、左右方向に長い長円形状をなす。
【0024】
電圧検知端子37は、単電池11の電圧を測定するために設けられており、図3に示すように、長方形状の平板部(本発明の構成である「端子部」の一例)38と、平板部38に連なり電線W1の端末部に接続される接続部39とからなる。
平板部38は、短辺38Sと長辺38Lが周方向に交互に配されてなる長方形状とされている。また、平板部38は、直角の4つの角部を有し、ほぼ中心部に挿通孔22とほぼ連通する(中心軸が等しい)円形の挿通孔38Aを有する。平板部38の長辺38Lが電線W1の引き出し方向X1に沿う方向に形成されており、平板部38の短辺38Sの中央部に接続部39(および電線W1)が連なる。
【0025】
接続部39は、平板部38の短辺38Sから段差状に幅寸法を狭くして形成されており、この接続部39に被覆電線からなる電線W1の端末部において絶縁被覆(絶縁層)を剥ぎ取り露出させた導体部が例えば圧着により接続されている。また、接続部39は、平板部38の短辺38Sの延出方向Sと直交する方向(すなわち平板部38の長辺38Lの延出方向L)に延出されている。
【0026】
なお、図3においては挿通孔22に各ボルトが挿通された場合におけるボルト側の座面13を破線で示している。平板部38の短辺38Sの寸法は、ボルト側の座面13の直径(最大寸法)よりもやや大きめの寸法とされ、平板部38の範囲内にボルト側の座面13の全体が配置されるように設定されている。また、ボルト側の座面13の直径は、電極側の座面12Dの一辺の長さ(最小寸法)よりも小さめの寸法とされ、電極側の座面13の範囲内にボルト側の座面13の全体が配置されるように設定されている。
【0027】
中間電圧検出端子43は、単電池11の中間部の電圧を測定するためのものであって、図2に示すように、電圧検知端子37の平板部38よりも小さい板状の矩形部と、矩形部に連なり被覆電線である電線W2の端末の絶縁被覆を剥ぎ取り露出させた導体に圧着される圧着部とからなる。矩形部は、中心部にボルトの軸部を挿通可能な挿通孔を有する。
【0028】
電線W1および電線W2は、後述する電線通し部36に集められて右方の図示しない電池ECUに導かれる。この電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子などが搭載されたものであって、単電池11の電圧,電流,温度などの検知や、各単電池11の充放電コントロールなどを行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0029】
樹脂プロテクタ20Aは、図6に示すように、各接続部材21を保持する複数の保持部24と、中間電圧検出端子43を収容する端子収容部45と、電線W1および電線W2が通される電線通し部36とを有する。
複数の保持部24は、樹脂プロテクタ20Aの前側および後側にそれぞれ一列状に並んで設けられており、共に、接続部材21が載置される底板25と、接続部材21を囲むように形成されてなる仕切り壁27とを有する。
【0030】
底板25は、図7に示すように、幅方向の中間部において前後の仕切り壁27の基端部を連結する中間支持部25Aと、左右の端部において仕切り壁27の基端から内側にわずかに突出する底縁部25Bとからなり、底板25のない部分が電極端子12A,12Bが配される開口部26とされる。
仕切り壁27は、例えば締結工具が電極端子12A,12Bおよび接続部材21に接触して短絡することを防止するために、締結工具の接触が防止される高さで接続部材21を包囲するように接続部材21の周囲に環状に立設されている。
この環状の仕切り壁27は、前後一対設けられ左右方向に延びる対向壁27Eと、左右一対設けられ前後方向に延びる側壁27Fとが連なって角筒状に構成されている。
【0031】
仕切り壁27(の各対向壁27E)には、接続部材21の離脱を規制する前後方向に撓み変形可能な係止片29が設けられている。接続部材21が係止片29の内方側に突出する部分の下側に配されることで接続部材21の離脱が規制される。
また、仕切り壁27には、図7に示すように、電圧検知端子37の平板部38の角部が上方から嵌め込まれる凹部27A,27B,27Cが設けられている。また、各凹部27A,27B,27Cのうち通し溝30に遠い側に位置する凹部27Aには、図10に示すように、通し孔27Dが仕切り壁27を貫通して設けられている。この通し孔27Dには、電圧検知端子37の角部のうち凹部27Aに嵌め込まれた角部が挿通される。
【0032】
凹部27A,27B,27Cは、電圧検知端子37が載置される高さ位置(接続部材21の上面の位置)に設けられており、電線W1の引き出し方向X1が前後方向Y(隣り合う単電池11の並び方向と直交する方向)に対して傾斜した方向(角度θ1)となる姿勢で平板部38を位置決め(回り止め)することができるものであり、図7に示すように、平板部38の3つの角部を嵌め込んで位置決めできるように、仕切り壁27の上面および内面を切欠いて形成されている。なお、凹部27B,27Cについては、平板部38の角部が仕切り壁27の外部に露出しないように仕切り壁27が平板部38の角部の外側に沿って枠形に回り込んだ形状となっている。
【0033】
通し孔27Dは、平板部38の角部を通すことが可能なスリット状に貫通する貫通孔であり、平板部38の厚みよりわずかに大きい径(上下の径)で開口している。
仕切り壁27を貫通する通し孔27Dの外面側には補助壁32が設けられており、補助壁32により通し孔27Dの全体が覆われている。補助壁32は、仕切り壁27の外面に対しては、所定間隔を空けて形成されており、通し孔27Dを貫通した平板部38の角部が補助壁32の内側に配される。この補助壁32は、左右方向に段差状に仕切り壁27との間隔を狭くすることで仕切り壁27と一体に連なる。
【0034】
また、保持部24において仕切り壁27の角の部分を含む位置には、電圧検知端子37の接続部39が通される通し溝30が凹設されている。通し溝30には、電圧検知端子37の接続部39を両側から挟持する一対の挟持片30A,30Aが形成されている。この通し溝30は、保持部24における電線通し部36側の角の位置に、電線通し部36に対して斜めの方向から連通(合流)するように設けられている。
これにより、電圧検知端子37が取り付けられて通し溝30に接続部39が収容されると、図3に示すように、電線W1の電圧検知端子37(の接続部39)からの引き出し方向は、前後方向Y(隣り合う単電池11の並び方向と直交する方向)に対して傾斜した方向(角度θ1傾斜した方向)となり、この方向に引き出された電線W1が折り返すように湾曲して電線通し部36に通される。
【0035】
ここで、後側の保持部24の列の端部の保持部24Bに装着される電圧検知端子37Bについては、図4に示すように、他の電圧検知端子37Aとは前後方向Yに対して傾斜した方向(角度θ2傾斜した方向、θ2<θ1)X2に電線W1が引き出されている。したがって、仕切り壁27に設けられるこの電圧検知端子37Bの角部が嵌め入れられる凹部28A,28Bおよび角部が通される通し孔28Dについても他の保持部24Aとは異なる位置に配されている(図8参照)。
【0036】
端子収容部45は、図6に示すように、中間電圧検出端子43を装着する装着凹部45Aが電線通し部36に連なるように形成されており、この装着凹部45Aには、単電池11の中間電極12Cと接続するための矩形孔が開口している。装着凹部45Aに中間電圧検出端子43が装着されて電線W2が電線通し部36に通される。
【0037】
電線通し部36は、前側の保持部24と端子収容部45との間、および端子収容部45と後側の保持部24との間にそれぞれ(2列)溝状に設けられている。電線通し部36には、電線W1,W2を電線通し部36内に保持するための一対の爪部36Aが電線W1,W2の上部において前後方向に対向して設けられている。
【0038】
なお、樹脂プロテクタ20Aは、複数の連結ユニットから構成されており(図6のC−Cで連結ユニットの境界部分を示す)、各連結ユニット間は、接続部材21を介して連結されており、接続部材21に凹設された被係合部と、各連結ユニットに凸設された係合部とがクリアランスを有しつつ係合することにより、左右の連結ユニットがクリアランスの範囲で寸法公差を吸収できるようになっている。この連結ユニットが左右に連結されると隣り合う連結ユニットの電線通し部36同士が連なる。
【0039】
次に、電池配線モジュール20の組み付けについて説明する。
まず、複数の連結ユニットを左右に連ねて樹脂プロテクタ20Aを形成する(図6)。次に、接続部材21,電線W2の端末に接続された中間電圧検出端子43を樹脂プロテクタ20Aの保持部24および端子収容部45に装着する。そして、各電圧検知端子37の角部を通し孔27D,28Dに通しつつ凹部27A〜27C,28A,27Bに嵌め込んで装着するとともに、電線W1および電線W2を電線通し部36に通すと電池配線モジュール20が形成される(図2)。
【0040】
次に、電池配線モジュール20における接続部材21、電圧検知端子37の挿通孔22,38Aおよび中間電圧検出端子43の挿通孔を複数の単電池11(単電池群)の全ての電極端子12A〜12Cの位置に合わせ、電池配線モジュール20を複数の単電池11に取り付ける(図1)。そして、ナット形状の電極端子12A〜12Cの全てにボルトを螺合させて電極側の座面12Dと電極端子12A〜12Cとを圧接状態で導通可能に接続し、電池モジュール10とする。
【0041】
上記実施形態の構成によれば、以下の効果を奏する。
(1)電池配線モジュール20は、正極および負極の電極端子12A,12Bを有する複数の単電池11の隣り合う電極端子12A,12B間を接続する複数の接続部材21と、各接続部材21を保持する複数の保持部24と、接続部材21に重ねられる平板部38を有し、電線W1に接続された電圧検知端子37と、電圧検知端子37に接続された電線Wが通される電線通し部36と、を備え、電線W1の電圧検知端子37からの引き出し方向X1は、隣り合う単電池11の並び方向と直交する方向Yに対して傾斜した方向であり、平板部38は、短辺38Sと長辺38Lが交互に配されてなる長方形状とされ、短辺38Sの寸法は、平板部38に圧接されるボルト側の座面13の直径と同じ寸法、あるいはこれよりも大きめの寸法とされている構成としたところに特徴を有する。
【0042】
このような構成によると、電圧検知端子37の平板部38の短辺38Sをボルト側の座面13の直径と同じ寸法、あるいはこれよりも大きめの寸法となるように短くしたから、電圧検知端子37の平板部38が正方形状とされている場合(すなわち平板部が長辺のみで構成されている場合)と比較して、隣り合う単電池11の並び方向と直交する方向Yにおけるスペースを確保しなくてもよい。よって、電池配線モジュール20を小型化することができる。
【0043】
(2)電圧検知端子37は、平板部38の短辺38Sに連なるとともに電線W1の端末部に接続された接続部39を有し、この接続部39は、短辺38Sの延出方向Sに対して直交する方向(長辺38Lの延出方向L)に延出されている構成としてもよい。
このような構成によると、接続部39が隣り合う単電池11の並び方向と直交する方向に延出される場合と比較して、隣り合う単電池11の並び方向と直交する方向Yにおけるスペースを確保しなくてもよい。
(3)電線通し部36は、複数の保持部24に沿って設けられており、接続部39の延出方向は、電線通し部36の側に向けられている構成としてもよい。
接続部39に接続された電線W1を電線通し部36の側とは反対側に引き出すと、電線W1の長さが長くなるが、本構成によれば、接続部39に接続された電線W1を電線通し部36の側に引き出すことができるため、電線W1の長さを短くすることが可能になる。
【0044】
(4)保持部24には、接続部材21を外部と仕切る仕切り壁27が設けられ、この仕切り壁27に平板部38の角部が入り込んでいるため、平板部38の角部が仕切り壁27に入り込んでいる分だけ電池配線モジュール20を小型化することが可能になる。
(5)仕切り壁27には、平板部38の角部を嵌め入れる凹部27A〜27C,28A,28Bが形成されているため、簡易な構成で電池配線モジュール20を小型化することが可能になるとともに、凹部27A〜27Cにより電圧検知端子37(検知端子)を位置決めすることが可能になる。
【0045】
(6)仕切り壁27の内面には、平板部38の角部を通す通し孔27D,28D(通し凹部)が形成されているため、簡易な構成で電池配線モジュール20を小型化することが可能になるとともに、電圧検知端子37(検知端子)を位置決めすることが可能になる。
(7)通し孔27D,28Dは、仕切り壁27を貫通する貫通孔であるため、より一層、電池配線モジュール20を小型化することが可能になる。
【0046】
(8)仕切り壁27には、通し孔27D,28Dを貫通した平板部38の角部を覆う補助壁32が仕切り壁27の外面側に形成されている。
平板部38が外部に露出していると絶縁性に懸念が生じるが、本実施形態によれば、絶縁性の低下を防止することが可能になる。
(9)電池配線モジュール20は、複数の連結ユニットを連結して構成したものであり、各連結ユニットに保持部24および電線通し部36が設けられ、連結ユニットが連結されることで、隣り合う連結ユニットにおける電線通し部36が連なる。
電池配線モジュール20を一体に成形すると、単電池11の数の変更に応じた電池配線モジュール20の構成の変更(長さなどの変更)に新たな金型などが必要になるが、本実施形態によれば、単電池11の数に応じて連結ユニットの連結数を変更すればよいため、電池配線モジュール20の構成の変更が容易になる。
【0047】
(10)接続部39は、平板部38における短辺38Sの中央部に連なっている構成としてもよい。
このような構成によると、電圧検知端子37の電線通し部36側への突出寸法S1を確保しなくてもよい。ここで、突出寸法S1とは、隣り合う単電池11の並び方向と直交する方向Yにおける挿通孔22の軸心から凹部27Cの先端までの寸法である(図3、図4参照)。
【0048】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図11を参照しながら説明する。本実施形態において実施形態1と同じ構成については、実施形態1の符合の数字部分に100を足した符合を用いるものとする。本実施形態における電池配線モジュール120は、実施形態1における電圧検知端子37の形状を一部変更したものであって、その他の構成については実施形態1と同様であるため、実施形態1と重複する構成、作用、および効果の説明については省略する。すなわち、本実施形態の電圧検知端子137は、実施形態1の電圧検知端子37と同様に、長方形状とされているものの、接続部139が平板部138の長辺138Lの中央部に連なる点で実施形態1と異なる。
【0049】
本実施形態によると、接続部139が隣り合う単電池111の並び方向と直交する方向Yに延出される場合と比較して、電線W1の引き出し方向X1における接続部139の突出寸法S2を確保しなくてもよい。ここで、突出寸法S2とは、電線W1の引き出し方向X1における挿通孔122の軸心から接続部139の先端までの寸法である。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、接続部材は、異極の電極端子を接続(直列接続)するものとしたが、これに限られず、同極の電極端子を接続(並列接続)するものでもよい。例えば、上記実施形態の電池モジュールと、別の電池モジュールとを並列接続し、この並列接続における同極の電極端子を複数の接続部材(電池配線モジュール)で接続するようにしたものでもよい。
【0051】
(2)電池モジュールを構成する単電池の数については、上記実施形態の個数に限られず、電池配線モジュールについても単電池の個数に応じて適宜形状を変更することができる。
(3)上記実施形態では、複数の別体の連結ユニットを連結することにより電池配線モジュールを構成したが、これに限られず、例えば、一枚の(一体型の)接続プレートで電池配線モジュールを構成し、この接続プレートの複数の保持部に接続部材および電圧検知端子が保持されるようにしてもよい。
(4)電圧検知端子からの電線の引き出し方向については、上記実施形態の方向に限られず、少なくとも隣り合う単電池の並び方向と直交する方向Yに対して傾斜していればよい。
【0052】
(5)上記実施形態では、電圧検知端子を設ける構成としたが、これに限られず、例えば単電池に流れる電流の状態を検知する電流検知端子を設けてもよい。
(6)上記実施形態では、電圧検知端子の角部が貫通する通し孔を仕切り壁に設けるようにしていたが、これに限られず、仕切り壁の内面側に(仕切り壁を貫通していない)通し凹部を設け、この通し凹部に電圧検知端子の角部が入り込むようにしてもよい。
【0053】
(7)上記実施形態では、接続部が平板部の短辺もしくは長辺の中央部に設けられているものの、本発明によると、接続部が平板部の角部に設けられていてもよい。
(8)上記実施形態では、短辺の寸法がボルト側の座面の直径よりも大きめの寸法とされているものの、本発明によると、短辺の寸法がボルト側の座面の直径と同じ寸法であってもよい。
【0054】
(9)上記実施形態では、ボルト側の座面の形状が円形とされているものの、本発明によると、ボルト側の座面の形状が正方形や正六角形であってもよい。この場合、ボルト側の座面の最大寸法とは、座面の対角方向における角部間の寸法となる。
(10)上記実施形態では、長方形状の平板部とされているものの、本発明によると、平行四辺形状の平板部であってもよい。また、本発明の端子部は平板状に限定されず、その厚さや形状は問わない。
(11)上記実施形態では、電極端子がナット形状とされているものの、本発明によると、電極端子がスタッドボルトなどのボルト形状とされていてもよい。この場合、電極端子の基端部に台座部が形成され、この台座部の上面が電極側の座面となる。一方、電極端子に螺合されるナットの下面がナット側の座面となる。したがって、短辺の寸法は、ナット側の座面の最大寸法と同じ寸法、あるいはこれよりも大きめの寸法になる。
【符号の説明】
【0055】
10…電池モジュール
11…単電池
12A…正極(電極端子)
12B…負極(電極端子)
12D…(ボルト側の)座面
20…電池配線モジュール
21…接続部材
24…保持部
27…仕切り壁
27A〜27C,28A,28B…凹部
27D,28D…通し孔(通し凹部)
32…補助壁
36…電線通し部
37(37A,37B)…電圧検知端子(検知端子)
38…平板部(端子部)
38L…長辺
38S…短辺
39…接続部
L…長辺の延出方向
S…短辺の延出方向
S1…電圧検知端子の電線通し部側への突出寸法
S2…接続部の突出寸法
W1…(電圧検知端子に接続される)電線
X1…電線の引き出し方向
Y…単電池の並び方向と直交する方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極および負極の電極端子を有する複数の単電池の隣り合う電極端子間を接続する複数の接続部材と、
前記各接続部材を保持する複数の保持部と、
前記接続部材に重ねられる端子部を有し、電線に接続された検知端子と、
前記検知端子に接続された前記電線が通される電線通し部と、を備え、
前記電線の前記検知端子からの引き出し方向は、隣り合う単電池の並び方向と直交する方向に対して傾斜した方向であり、前記端子部は、短辺と長辺が周方向に交互に配されてなる四角形状とされ、前記短辺の寸法は、前記端子部に圧接される座面の最大寸法と同じ寸法、あるいはこれよりも大きめの寸法とされている電池配線モジュール。
【請求項2】
前記検知端子は、前記短辺もしくは前記長辺のいずれか一方の辺に連なるとともに前記電線の端末部に接続された接続部を有し、この接続部は、前記一方の辺の延出方向に対して直交する方向に延出されていることを特徴とする請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項3】
前記電線通し部は、前記複数の保持部に沿って設けられており、前記接続部の延出方向は、前記電線通し部の側に向けられていることを特徴とする請求項2に記載の電池配線モジュール。
【請求項4】
前記保持部には、前記接続部材を外部と仕切る仕切り壁が設けられ、この仕切り壁に前記端子部の角部が入り込んでいることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項5】
前記仕切り壁には、前記端子部の角部を嵌め入れる凹部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電池配線モジュール。
【請求項6】
前記仕切り壁の内面には、前記端子部の角部を通す通し凹部が形成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の電池配線モジュール。
【請求項7】
前記通し凹部は、前記仕切り壁を貫通する通し孔であることを特徴とする請求項6に記載の電池配線モジュール。
【請求項8】
前記仕切り壁には、前記通し孔を貫通した前記端子部の角部を覆う補助壁が前記仕切り壁の外面側に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の電池配線モジュール。
【請求項9】
前記電池配線モジュールは、複数の連結ユニットを連結して構成したものであり、前記各連結ユニットに前記電線通し部が設けられ、前記連結ユニットが連結されることで、隣り合う連結ユニットにおける前記電線通し部が連なることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項10】
前記接続部は、前記端子部における前記短辺の中央部に連なっていることを特徴とする請求項2ないし請求項9のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−37987(P2013−37987A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174838(P2011−174838)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】