説明

電波システム用光伝送装置

【課題】簡易な構成で、複数の空中線で受信した無線信号を高安定に受信器に伝送することが可能な、電波システム用光伝送装置を得る。
【解決手段】無線信号を受信する複数の空中線1−1〜Nと、各空中線1で受信した無線信号で強度変調された変調光を出力する複数のレーザ3−1〜Nと、各レーザ3−1〜Nから出力された各変調光を伝送する複数の光ファイバ10,11と、各光ファイバ10,11から出力された各変調光を無線信号に復調する複数の光電変換器4−1〜Nと、各光電変換器4−1〜Nから出力された無線信号が入力される複数の受信装置6−1〜Nとを備え、光ファイバ10,11の一部を複数芯のテープ心線ファイバ11で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電波システム用光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電波監視システム(例えばDEURAS-D)は、複数の空中線で受信した無線信号により、電波の到来方向を推定する。通常、空中線は見通しの良いビル屋上や鉄塔に設置し、空中線で受信した無線信号を下まで降ろした後、受信器に入力し、各空中線で受信した無線信号の位相情報などをもとに、電波の到来方向を測定していた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、空中線と受信器間の同軸ケーブルの伝送損失低減、設置の柔軟性向上から、光ファイバを用いてマイクロ波を伝送するRoF(Radio on Fiber)技術も報告されている。前記のような複数のマイクロ波を伝送するときに、各マイクロ波信号同士の位相差の変動を低減するために、光波長多重通信技術を適用して、1本の光ファイバで複数の信号を多重することにより、経路間の相対位相の変動を抑えている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4014981号公報
【特許文献2】特開2006−261748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような従来の電波監視システムでは、ビルの屋上や鉄塔の上に設置した複数の空中線で受信したマイクロ波信号を、同軸ケーブルを用いて下方に降ろしていることから、同軸ケーブルの重量、可とう性、質量、および、設置の自由度が限られるという問題点があった。また、複数の同軸ケーブルで各空中線で受信した信号を伝送することから、温度や振動などの外乱により各ケーブル間で位相変動が生じると、電波の到来方向の測定精度が低下するという問題点もあった。一般的な同軸ケーブル(RG−217/Uなど)では、絶縁体の誘電率は負の温度係数をもち、導体の線膨張係数より1桁以上大きいため、温度による電気長の変動が生じ、素子間で位相差が生じる。
【0006】
上記のような問題点を解決する手段として、特許文献2に記載のような、光ファイバを用いてマイクロ波を伝送するRoF技術があり、これによると、軽量で可とう性のよい光ファイバを伝送路として使用することで設置の自由度を向上することが可能となる。また、一般的に、同軸ケーブルに比べ、光ファイバは温度に対する電気長の変動は小さいが、それでも温度変動が生じるため、特許文献2では、一本の光ファイバに複数の空中線で受信した無線信号を光波長多重伝送により伝送している。しかしながら、光波長多重伝送を行うため、波長制御されたレーザ光源、波長の異なる光信号を合成する波長多重合波器、および、分波する波長多重分波器などが必要となるため、光部品の増大、波長安定性など、各部品への仕様が厳しくなるという問題点があった。
【0007】
この発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、簡易な構成で、複数の空中線で受信した無線信号を高安定に受信器に伝送することが可能な、電波システム用光伝送装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、無線信号を受信する複数の空中線と、各前記空中線で受信した無線信号で強度変調された変調光を出力する複数の電気/光変換手段と、各前記電気/光変換手段から出力された各変調光を伝送する複数の光ファイバと、各前記光ファイバから出力された各変調光を無線信号に復調する複数の光/電気変換手段と、各前記光/電気変換手段から出力された無線信号が入力される複数の受信装置とを備え、前記光ファイバの一部を複数芯のテープ心線ファイバで構成したことを特徴とする電波システム用光伝送装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、無線信号を受信する複数の空中線と、各前記空中線で受信した無線信号で強度変調された変調光を出力する複数の電気/光変換手段と、各前記電気/光変換手段から出力された各変調光を伝送する複数の光ファイバと、各前記光ファイバから出力された各変調光を無線信号に復調する複数の光/電気変換手段と、各前記光/電気変換手段から出力された無線信号が入力される複数の受信装置とを備え、前記光ファイバの一部を複数芯のテープ心線ファイバで構成したことを特徴とする電波システム用光伝送装置であるので、簡易な構成で、複数の空中線で受信した無線信号を高安定に受信器に伝送することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る電波システム用光伝送装置の構成を示した構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2に係る電波システム用光伝送装置の構成を示した構成図である。
【図3】この発明の実施の形態3に係る電波システム用光伝送装置の構成を示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る電波システム用光伝送装置について、図1を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る電波システム用光伝送装置の構成を示す図である。
【0012】
図1において、本実施の形態1に係る電波システム用光伝送装置は、無線信号を受信する複数(N個)の空中線1−1〜Nと、各空中線1−1〜Nで受信した無線信号を入力として、各空中線1−1〜Nからの無線信号で強度変調した変調光を出力する複数(N個)のレーザ3−1〜N(電気/光変換手段)と、各レーザ3−1〜Nから出力した変調光を伝送する複数(N本)の光ファイバ10−1〜Nと、各光ファイバ10−1〜Nに接続され、当該変調光を伝送する、複数芯(N本以上の芯数)のテープ心線ファイバ11と、テープ心線ファイバ11を構成している複数のファイバ12によって伝送された各変調光を入力として、それらを無線信号に復調する複数(N個)の光電変換器4−1〜N(光/電気変換手段)と、光電変換器4−1〜Nで復調された無線信号を入力とする受信装置6−1〜Nとが設けられている。
【0013】
なお、図1において、実線を光ファイバ、破線を電線として記述する。すなわち、図1に示すように、空中線1−1〜Nとレーザ3−1〜Nとの間、および、光電変換手段4−1〜Nと第2の受信装置6−1〜Nとの間は、電線で接続されている。また、レーザ3−1〜Nとテープ心線ファイバ11との間、および、テープ心線ファイバ11と光電変換手段4−1〜Nとの間は、光ファイバで接続されている。
【0014】
次に、本実施の形態1に係る電波システム用光伝送装置の動作について図面を参照しながら説明する。
【0015】
各空中線1−1〜Nで受信した無線信号は、各空中線1−1〜Nに接続されたマイクロ波線路(電線)を伝搬し、各レーザ3−1〜Nに入力される。各レーザ3−1〜Nは所定のバイアス電流で駆動され、そのバイアス電流を基準に入力無線信号でレーザ光が強度変調され、変調光として各レーザ3−1〜Nから出力される。各レーザ3−1〜Nから出力した各変調光は、各々光ファイバ10−1〜Nを介して伝送される。ここで、各光ファイバ10−1〜Nは、複数(N本以上)の芯数で構成されるテープ心線ファイバ11の各ファイバ12に接続されており、テープ心線ファイバ11の各ファイバ12を介して各変調光がさらに伝送される。
【0016】
なお、テープ心線ファイバ11は、複数本の光ファイバUV心線をファイバ12として横一列に並べ、UV硬化性樹脂で一括被覆を施したものである。通常、光ファイバUV心線は、外径約0.25mmであり、これら8本が並べられた8芯のテープ心線になったものでは、外径は約0.3×8mm程度で、従来用いていた同軸ケーブルに比べてかなり細い。
【0017】
テープ心線ファイバ11の各ファイバ12から出射した変調光は、各々光電変換器4−1〜Nで電気信号に変換され、各空中線1−1〜Nで受信した無線信号に復調される。復調された各無線信号を各受信器6−1〜Nへと入力することにより、従来のシステムと同様に運用が可能となる。
【0018】
以上のように、本実施の形態1においては、複数(N個)の空中線1−1〜Nで受信した受信信号を、各々、レーザ3−1〜Nで光信号に変換した後に、テープ心線ファイバ11でまとめて伝送させている。テープ心線ファイバ11は、複数の光ファイバUV心線(すなわち、ファイバ12)が一括被覆されており、また、外形も前述のように細いことから、テープ心線ファイバ11の伝送中は、温度変動などの環境変動が生じても、全ての光ファイバUV心線がほぼ同じように変動を受けるため、ファイバ伝送中の位相は全ての光ファイバUV心線で同じように変動し、素子間の相対位相の変動を小さくすることができる。これにより、本実施の形態1においては、簡易な構成で、複数の空中線1−1〜Nで受信した無線信号を、高安定に、各受信器6−1〜Nに伝送することが可能な、電波システム用光伝送装置を得ることができる。
【0019】
なお、本実施の形態1では、空中線1−1〜Nから受信信号を直接レーザ3−1〜Nに印加しているが、この場合に限らず、空中線1−1〜Nとレーザ3−1〜Nとの間にマイクロ波増幅器または帯域フィルタなどの通常のマイクロ波部品を挿入してもよいことは言うまでもない。
【0020】
また、上記の実施の形態1の説明においては、空中線で受信した無線信号を伝送する受信用光伝送装置に関して説明したが、レーザと光電変換器とを置き換えて、かつ、受信装置を送信装置に置換えることにより、送信用光伝送装置としても適用可能となることは言うまでもない。
【0021】
送信用光伝送装置として用いる場合の構成および動作について簡単に説明する。図1の構成において、6−1〜Nは送信装置であり、4−1〜Nは、送信装置6−1〜Nから出力された無線信号で強度変調した変調光を出力するレーザ(電気/光変換手段)であり、11は各レーザ4−1〜Nにより出力された変調光を伝送するテープ心線ファイバであり、10−1〜Nは、テープ心線ファイバ11によって伝送された変調光をさらに伝送する光ファイバであり、3−1〜Nは、光ファイバ10を出力した変調光を無線信号に復調する光電変換器(光/電気変換手段)であり、1−1〜Nは、光電変換器3−1〜Nから出力された無線信号を空中に放射する空中線である。
【0022】
当該構成において、送信装置6−1〜Nから出力された無線信号で強度変調された変調波が各レーザ4−1〜Nから出力され、各レーザ4−1〜Nにより出力された変調光はテープ心線ファイバ11および光ファイバ10−1〜Nにより伝送され、光電変換器3−1〜Nに入力される。光電変換器3−1〜Nは入力された変調光を無線信号に復調し、空中線1−1〜Nより空中に放射する。
【0023】
このように、本実施の形態1を送信用光伝送装置として用いた場合においても、複数の送信装置6−1〜Nから出力された送信すべき無線信号を、各々、レーザ4−1〜Nで光信号に変換した後に、テープ心線ファイバ11でまとめて伝送させるようにしたので、受信用光伝送装置として用いた場合と同様に、テープ心線ファイバ11の伝送中は、温度変動などの環境変動が生じても、全ての光ファイバUV心線が同じように変動を受けるため、ファイバ伝送中の位相は全ての光ファイバUV心線で同じように変動し、素子間の相対位相の変動を小さくすることができ、これにより、簡易な構成で、複数の空中線1−1〜Nから送信する無線信号を、高安定に、各送信装置6−1〜Nから伝送することが可能な、電波システム用光伝送装置を得ることができる。
【0024】
実施の形態2.
図2は、この発明の実施の形態2に係る電波システム用光伝送装置の構成を示す図である。図2に示す実施の形態2の構成において、図1に示す実施の形態1の構成と同一な構成部分は、同一符号を付して示し、ここではその説明は省略する。図2に示す実施の形態2の構成おいては、図1に示す実施の形態1の構成に対し、基準信号発生手段20と、レーザ21(第2の電気/光変換手段)と、光電変換手段22(第2の光/電気変換手段)と、第2の空中線23とを追加した点が、実施の形態1と異なる。
【0025】
基準信号発生手段20は基準信号となる基準無線信号を発生させ出力するものである。レーザ21は、基準信号発生手段20から出力された基準無線信号を入力とし、当該基準無線信号で強度変調された変調光を出力し、光ファイバおよびテープ心線ファイバ11を介して、光電変換手段22に入力するものである。光電変換手段22は、入力された強度変調光を無線信号に復調するものであり、第2の空中線23は、光電変換手段22によって得られた無線信号を空間に放射させるものである。
【0026】
ここで、図2に示すように、基準信号発生手段20とレーザ21との間、および、光電変換手段22と第2の空中線23との間は、いずれも、電線で接続されている。また、レーザ21とテープ心線ファイバ11との間、および、テープ心線ファイバ11と光電変換手段22との間は、いずれも、光ファイバで接続されている。
【0027】
前記実施の形態1では、テープ心線ファイバ11における経路間の相対位相変動は抑圧されるが、各空中線1−1〜Nから各光電変換器3−1〜Nまでの間、および、各光電変換器3−1〜Nからテープ心線ファイバ11までの間は、離れて設置されているため、温度などの外乱の影響は経路間で異なるため、相対位相にも変動が生じ得る。
【0028】
そこで、本実施の形態においては、基準信号発生手段20と、レーザ21と、光電変換手段22と、第2の空中線23とを追加し、基準信号用の無線信号を第2の空中線23から放射し、それに基づいて、各経路の電気長差の誤差を求めて、環境変動などによる経路間の電気長変動を補償するようにした。
【0029】
本実施の形態においては、図2に示す構成において、基準信号発生手段20は基準信号用の無線信号を出力して、当該出力された基準信号用の無線信号によりレーザ21を強度変調する。レーザ21から出射された強度変調光は、光ファイバおよびテープ心線ファイバ11を介して、空中線1−1〜N近傍に設置した光電変換手段22に入力されて、無線信号に復調され、第2の空中線23から空間に放射される。第2の空中線23から放射された当該基準信号用の無線信号は各空中線1−1〜Nで受信後、レーザ3−1〜Nに入力される。レーザ3−1〜Nでは、基準信号用の無線信号でレーザ光が強度変調され、変調光として各レーザ3−1〜Nから出力される。その後は、前記実施の形態1と同じ動作が行われ、各受信装置6−1〜Nへと入力される。
【0030】
ここで、基準信号放射用の第2の空中線23、および、空中線1−1〜Nの位置が分かっていれば、当該位置情報に基づいて、基準信号放射用の第2の空中線23の方向を測定することにより、各経路の電気長差の誤差を求めることが可能である。
【0031】
他の動作については、前記実施の形態1と同じである。
【0032】
このように、本実施の形態2においては、テープ心線ファイバ11以外の部分、すなわち、各空中線1−1〜Nから各光電変換器3−1〜Nまでの間、および、各光電変換器3−1〜Nからテープ心線ファイバ11までの間の部分の電気長の変動量を予測することができるため、環境変動などによる経路間の電気長変動を補償することが可能となる。
【0033】
なお、図2では、基準信号をテープ心線ファイバ11を用いて伝送しているが、その場合に限らず、基準信号伝送用の光ファイバをテープ心線ファイバ11とは別に独立して設置するようにしても良い。
【0034】
また、前記実施の形態2では、基準信号用の空中線23を、無線信号受信用の空中線1−1〜Nとは別途に設けているが、無線信号受信用の空中線1−1〜Nの中の1つを基準信号用の空中線と兼ねても良い。
【0035】
以上の実施の形態1乃至2では、空中線11−1〜Nでの受信信号でレーザ3−1〜Nを直接変調しているが、レーザからはCW(連続波)光を出力させ、光変調器(例えば、LiNbO3を用いた外部変調器など)を用いて、レーザから出力したCW光を強度変調しても良いことは言うまでもない。
【0036】
以上のように、本実施の形態2によれば、前記実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、基準信号用の無線信号を空中線1−1〜Nの近傍で空中に放射し、それにより、温度等の環境変動による経路間の電気長変動を補償するようにしたので、空中線で受信した無線信号をより高安定に受信装置6−1〜Nに伝送することが可能となるという効果が得られる。
【0037】
実施の形態3.
図3は、この発明の実施の形態3に係る電波システム用光伝送装置の構成を示した図である。図3に示す実施の形態3の構成において、図1に示す実施の形態1の構成と同一の構成部分については同一符号を付して示し、ここではその説明は省略する。図3に示す実施の形態3の構成においては、図1に示す実施の形態1の構成に対し、レーザ3−1〜Nの代わりに、レーザ24−1〜N(光出力手段)と、光ファイバ25(第3の光ファイバ)と、光強度変調器26−1〜N(光強度変調手段)とを設けた点が異なる。
【0038】
レーザ24−1〜Nは、空中線1−1〜Nの個数と同数のN個設けられており、かつ、空中線1−1〜Nから離れた位置に設置されているものである。各レーザ24−1〜Nは、連続波であるCW光を出力する。光ファイバ25は、レーザ24−1〜Nの個数と同数のN本設けられており、それぞれ、レーザ24−1〜Nに接続されて、レーザ24−1〜Nから出力されたCW光を、光強度変調器26−1〜Nまで伝送するものである。光強度変調器26−1〜Nは、空中線1−1〜Nの個数および光ファイバ25の本数と同数のN個設けられており、各光ファイバ25によって伝送されてきたCW光を、各空中線1−1〜Nで受信した無線信号で、各々強度変調するものである。
【0039】
本実施の形態においては、図3に示す構成において、空中線1−1〜Nから離れた位置に設置した空中線1−1〜Nと同数のN個のレーザ24−1〜Nから出力したCW光を、各々光ファイバ25を介して、空中線1−1〜N近傍に設置した複数N個の光強度変調器26−1〜Nに入力する。一方、複数N個の空中線1−1〜Nで受信した各無線信号を各々光強度変調器26−1〜Nに入力することにより、無線信号で強度変調された強度変調光が各光強度変調器26−1〜Nから出力される。各光強度変調器26−1〜Nを出力した強度変調光は、各々、前記実施の形態1と同様に、テープ心線光ファイバ11を介して、各々、光電変換器4−1〜Nにて無線信号に復調され、各々、受信装置6−1〜Nに入力される。
【0040】
通常、空中線1−1〜Nは、見晴らしの良いビルの屋上や鉄塔の上に設置されることが多いが、これらのところは電源が限られていることが多い。そこで、本実施の形態3のような構成にすることにより、光強度変調器26−1〜Nを無バイアスで使用し、レーザ24−1〜Nを空中線1−1〜Nから離れた電源設置が容易な地点に設置することが可能となるため、装置の敷設を簡易にすることができる。
【0041】
本実施の形態3の上記の説明においては、複数Nのレーザ24−1〜Nと光強度変調器26−1〜Nとの間を、別々の光ファイバを介して接続しているが、この場合に限らず、前記実施の形態1または2で示したように、テープ心線ファイバ11の一部を使用するようにしても良い。
【0042】
また、本実施の形態3の上記の説明においては、各空中線1−1〜Nおよび光強度変調器26−1〜N毎に、レーザ24−1〜NをN個用いているが、その場合に限らず、1台以上N台未満のレーザ24を設けて、それらから出力されるレーザ光を光分配などでN個に分配し、各分配光を光強度変調器26−1〜Nに入力させるようにしても良い。
【0043】
以上のように、本実施の形態3においては、前記実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、前記実施の形態1におけるレーザ3−1〜Nの代わりに、空中線1−1〜Nから離れた位置に設置した空中線1−1〜Nと同数のN個のレーザ24−1〜Nから出力したCW光を光ファイバ25を介して空中線1−1〜N近傍に設置した複数N個の光強度変調器26−1〜Nに入力して、そこから変調光を出力するようにしたので、光強度変調器26−1〜Nを無バイアスで使用し、レーザ24−1〜Nを空中線1−1〜Nから離れた電源設置が容易な地点に設置することが可能となるため、装置の敷設を簡易にすることができるという効果が得られる。
【0044】
なお、この発明の実施の形態1〜3は、電波監視システム等の電波システム(例えばDEURAS−D)用における空中線から受信器間の信号伝送部に関して述べたものであり、受信器後段の構成を規定するものではない。
【0045】
また、この発明の実施の形態1〜3は、電波監視システムに関わらず、複数の空中線で受信した各無線信号を伝送する装置であれば、いずれの装置にも適用可能なことは言うまでもない。
【0046】
また、この発明の実施の形態2〜3では、空中線で受信した無線信号を伝送する受信用光伝送装置に関して説明したが、実施の形態1で説明したように、レーザと光電変換器とを置き換え、かつ、受信装置を送信装置に置換えることにより、送信用光伝送装置としても適用可能となることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1−1,1−2,1−N 空中線、3−1,3−2,3−N レーザ、4−1,4−2,4−N 光電変換器、6−1,6−2,6−N 受信装置、10−1,10−N 光ファイバ、11 テープ心線ファイバ、12 ファイバ、20 基準信号発生手段、21 レーザ、22 光電変換手段、23 第2の空中線、24−1,24−2,24−N レーザ、25 光ファイバ、26−1,26−2,26−N 光強度変調器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を受信する複数の空中線と、
各前記空中線で受信した無線信号で強度変調された変調光を出力する複数の電気/光変換手段と、
各前記電気/光変換手段から出力された各変調光を伝送する複数の光ファイバと、
各前記光ファイバから出力された各変調光を無線信号に復調する複数の光/電気変換手段と、
各前記光/電気変換手段から出力された無線信号が入力される複数の受信装置と
を備え、
前記光ファイバの一部を複数芯のテープ心線ファイバで構成したことを特徴とする電波システム用光伝送装置。
【請求項2】
基準無線信号を出力する基準無線信号発生手段と、
前記基準無線信号発生手段から出力された基準無線信号で強度変調された変調光を出力する第2の電気/光変換手段と、
前記第2の電気/光変換手段から出力された変調光を前記空中線近傍まで伝送する第2の光ファイバと、
前記第2の光ファイバから出力された変調光を前記基準無線信号に復調する第2の光/電気変換手段と、
前記光/電気変換手段から出力された前記基準無線信号を空間に放射する第2の空中線と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の電波システム用光伝送装置。
【請求項3】
前記電気/光変換手段はレーザから構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電波システム用光伝送装置。
【請求項4】
前記電気/光変換手段は、
連続波を出力する複数の光出力手段と、
前記光出力手段から出力された連続波を、前記空中線近傍まで伝送する複数の第3の光ファイバと、
各前記第3の光ファイバから出力された前記連続波を各前記空中線で受信した無線信号で各々強度変調する複数の光強度変調手段と
から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電波システム用光伝送装置。
【請求項5】
送信すべき無線信号が出力される複数の送信装置と、
各前記送信装置から出力された無線信号で強度変調した変調光を出力する複数の電気/光変換手段と、
各前記電気/光変換手段を出力した各変調光を伝送する複数の光ファイバと、
各前記光ファイバを出力した各変調光を無線信号に復調する複数の光/電気変換手段と、
各前記光/電気変換手段から出力された無線信号を送信する複数の空中線と
を備え、
前記光ファイバの一部を複数芯のテープ心線ファイバで構成したことを特徴とする電波システム用光伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−142453(P2011−142453A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1331(P2010−1331)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】