説明

電波探知装置及びそれに用いるレーダ数判定方法

【課題】 同一方位の目標が単一のレーダから発射された電波であるか、複数のレーダから発射されたされた電波であるかを判定可能な電波探知装置を提供する。
【解決手段】 電波探知装置は、PRIフィルタ(14)を用いてレーダ波の分離を行い、周波数、方位、受信電力、パルス幅、PRIの情報を持つ目標データを作成して目標データ管理テーブル(18)に記録する。電波探知装置は、PRIフィルタ(14)後のTOAのうちの最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとを抽出して目標データに付加する付加手段(TOA情報付加回路16)を有し、付加手段(TOA情報付加回路16)にて最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとが付加された目標データを目標データ管理テーブル(18)に記録している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電波探知装置及びそれに用いるレーダ判定方法に関し、特にPRI(Pulse Repetition Interval)フィルタを用いる電波探知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する電波探知装置は、図7に示すような構成となっている。図7において、本発明に関連する電波探知装置は、空中線31と、受信機32と、パルスデータ抽出回路33と、PRIフィルタ回路34と、諸元算出回路35と、目標データ更新回路36と、目標データ管理テーブル37と、目標表示回路38とから構成されている。
【0003】
空中線31は、広帯域の電波を受信する。受信機32は、空中線31で受信した電波を後段の回路が最適に動作するように信号変換(周波数ダウンコンバート、信号増幅)する。PRIフィルタ回路34は、混在しているパルスデータを、PRI毎に分離する。
【0004】
諸元算出回路35は、周波数、方位、受信電力、パルス幅、PRIの情報を持つ「目標データ」を作成する。「目標データ」としては、これらの諸元のほかに、他の諸元も含まれることがあるが、ここで基本的な諸元のみで、他は省略する。
【0005】
目標データ更新回路36は、目標データ管理テーブル37を参照し、算出した「目標データ」の諸元が、目標データ管理テーブル37にある「目標データ」と同じ諸元であるならば、その「目標データ」同士を統合し、目標データ管理テーブル37に元々登録されていた「目標データ」を統合した「目標データ」に書き換える。
【0006】
目標表示回路38は、目標データ管理テーブル37に記録された目標データを、オペレータに対し、方位方向に分けて表示する。尚、上記のようなPRIフィルタに関しては、下記の特許文献1に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−258521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明に関連する電波探知装置では、PRIフィルタ後のパルスデータより、最も早い時刻のTOA(Time Of Arrival:パルスの受信時刻)と最も遅い時刻のTOAとを抽出せず、またパルスデータも保存していないため、時間的な情報が失われ、目標データの連続受信区間の時間的な重なりを分析することができないという問題がある。
【0009】
また、本発明に関連する電波探知装置では、時間的な重なりの情報がないため、目標データをオペレータが手動で、単一のレーダか、複数のレーダかを判定するしかないという問題がある。
【0010】
つまり、本発明に関連する電波探知装置では、PRIフィルタで目標データを分離する場合、PRIを切換えて動作するレーダ等の目標は、PRI毎に別々の目標と判断され、同一の目標と判別することができない。
【0011】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、同一方位の目標が単一のレーダから発射された電波であるか、複数のレーダから発射されたされた電波であるかを判定することができる電波探知装置及びそれに用いるレーダ数判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による電波探知装置は、PRI(Pulse Repetition Interval)フィルタを用いてレーダ波の分離を行い、周波数、方位、受信電力、パルス幅、PRIの情報を持つ目標データを作成して目標データ管理テーブルに記録する電波探知装置であって、
前記PRIフィルタ後のTOA(Time Of Arrival)のうちの最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとを抽出して前記目標データに付加する付加手段を備え、
前記付加手段にて前記最も早い時刻のTOAと前記最も遅い時刻のTOAとが付加された目標データを前記目標データ管理テーブルに記録している。
【0013】
本発明によるレーダ数判定方法は、PRI(Pulse Repetition Interval)フィルタを用いてレーダ波の分離を行い、周波数、方位、受信電力、パルス幅、PRIの情報を持つ目標データを作成して目標データ管理テーブルに記録する電波探知装置に用いるレーダ数判定方法であって、
前記電波探知装置が、前記PRIフィルタ後のTOA(Time Of Arrival)のうちの最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとを抽出して前記目標データに付加する付加処理を実行し、前記付加処理にて前記最も早い時刻のTOAと前記最も遅い時刻のTOAとが付加された目標データを前記目標データ管理テーブルに記録している。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、同一方位の目標が単一のレーダから発射された電波であるか、複数のレーダから発射されたされた電波であるかを判定することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態による電波探知装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるレーダ数判定方法の概念を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による電波探知装置の動作を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による電波探知装置の動作を説明するための図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態による電波探知装置の動作を説明するための図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による電波探知装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明に関連する電波探知装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明による電波探知装置の概要について説明する。本発明による電波探知装置は、最も早い時刻のTOA(Time Of Arrival:パルスの受信時刻)と最も遅い時刻のTOAとを抽出することによって連続受信区間を抽出し、この情報を目標データ管理テーブルに記録し、同一方位TOA比較回路にて目標データ同士の連続受信区間の重なりを判定することによって、自動的に単一のレーダであるか、複数のレーダであるかを判定する仕組みを提供可能としたことを特徴とする。
【0017】
本発明は、電波探知装置のPRI(Pulse Repetition Interval)フィルタを用いたレーダ波の分離方式において、同一方位から複数の目標を検出した場合、その複数の目標が、1つのレーダがPRIを変更するため、電波探知装置側では複数の目標と検出しているのか、それとも実際に複数のレーダが存在するため、電波探知装置側では複数の目標と検出しているのか、その情報を自動的にオペレータに提示できることを特徴としている。
【0018】
図1は本発明の第1の実施の形態による電波探知装置の構成例を示すブロック図であり、図2は本発明の第1の実施の形態によるレーダ数判定方法の概念を示す図である。図2(a)はパルス列の例を示しており、図2(b)は本発明の第1の実施の形態によるレーダ数判定方法の概念を示している。
【0019】
図1において、本発明の第1の実施の形態による電波探知装置は、空中線11と、受信機12と、パルスデータ抽出回路13と、PRIフィルタ回路14と、諸元算出回路15と、TOA情報付加回路16と、目標データ更新回路17と、目標データ管理テーブル18と、同一方位TOA比較回路19と、目標表示回路20とから構成されている。
【0020】
空中線11は、広帯域の電波を受信する。受信機12は、空中線11で受信した電波を後段の回路が最適に動作するように信号変換(周波数ダウンコンバート、信号増幅)する。
【0021】
パルスデータ抽出回路13は、受信機12にて信号変換された高周波信号であるパルス信号から、パルス信号の諸元(周波数、方位、受信電力、パルス幅、TOA)を抽出する。
【0022】
PRIフィルタ回路14は、混在しているパルスデータを、PRI毎に分離する。諸元算出回路15は、周波数、方位、受信電力、パルス幅、PRIの情報をもつ「目標データ」を作成する。上記の背景技術に記載の処理においては、PRIが異なれば、その他諸元が同一であっても異なる目標として管理される。
【0023】
TOA情報付加回路16は、諸元算出回路15で「目標データ」を作成するのに使用されたパルス列の連続受信区間を抽出する。連続受信区間を抽出とは、具体的には連続したパルス列のTOAのうち、最も早い時刻のTOAと、最も遅い時刻のTOAとを抽出し、「目標データ」の付加情報として追加する。
【0024】
目標データ更新回路17は、目標データ管理テーブル18を参照し、算出した「目標データ」の諸元が、目標データ管理テーブル18にある「目標データ」と同じ諸元であるならば、その「目標データ」同士を統合し、目標データ管理テーブル18に元々登録されていた「目標データ」を、統合した「目標データ」に書き換える。最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとについては、上書きせずに、追加をする。
【0025】
目標表示回路20は、目標データ管理テーブル18に記録された目標データを、オペレータに対し、方位方向に分けて表示する。
【0026】
同一方位TOA比較回路19は、目標データ管理テーブル18上の、PRI以外の情報が同一である目標データについて、そのパルス列連続受信区間の重なりがある場合に、異なる目標から発射されたものと判定する。これは、同じレーダから同じ周波数で異なるPRIのパルス列を複数種類、同時刻に発射することがないためである。
【0027】
N回以上の連続区間について、重なりを持たない場合には、同一目標から発射されたものと判定する。具体的には目標データ同士で最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとを比較することにより、連続受信区間の重なりがあるか判定する(図2参照)。
【0028】
同一方位TOA比較回路19は、目標データが、同一のレーダから発射されたものであるか、複数のレーダから発射されたものであるかの判定結果を目標データの諸元として追加する。目標表示回路20では、これらの目標が1つの目標であるか、複数の目標であるかも表示する。
【0029】
このように、本実施の形態では、TOAのうち、最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとを目標データ管理テーブル18に目標毎に記録・蓄積しているので、他の目標データと、これらとを比較・分析することができる。本実施の形態では、これらを比較・分析することによって、同一方位の目標データが1つのレーダから発射されたものか、複数のレーダから発射されたものかを判断することができる。
【0030】
また、本実施の形態では、TOAの履歴を、同一方位の目標データ同士で比較することによって、1つのレーダであるか、二つのレーダ(複数のレーダ)であるかを判断する。
【0031】
図3〜図5は本発明の第1の実施の形態による電波探知装置の動作を説明するための図である。これら図1〜図4を参照して本発明の実施の形態によるレーダ数判定方法について説明する。
【0032】
空中線11は、広帯域の電波を受信する。受信機12は、空中線11で受信した電波を後段の回路が最適に動作するように信号変換(周波数ダウンコンバート、信号増幅)する。パルスデータ抽出回路13は、受信機12にて信号変換された高周波信号であるパルス信号から、パルス信号の諸元(周波数、方位、受信電力、パルス幅、TOA)を抽出する。
【0033】
PRIフィルタ回路14は、複数のPRI信号が混在しているパルス信号を、PRI毎に分離する。諸元算出回路15は、周波数、方位、受信電力、パルス幅、PRIの情報をもつ「目標データ」を作成する。
【0034】
上記の背景技術に記載の処理においては、PRIが異なれば、その他諸元が同一であっても異なる目標として管理される。「目標データ」としては、これらの諸元のほかに、他の諸元も含まれることがあるが、ここで基本的な諸元のみで、他は省略する。
【0035】
TOA情報付加回路16は、諸元算出回路15で「目標データ」を作成するのに使用されたパルス列の連続受信区間を抽出する。連続受信区間を抽出とは、具体的には連続したパルス列のTOAのうち、最も早い時刻のTOAと、最も遅い時刻のTOAとを抽出し、「目標データ」の付加情報として追加する。
【0036】
目標データ更新回路17は、目標データ管理テーブル18を参照し、算出した「目標データ」の諸元が、目標データ管理テーブル18にある「目標データ」と同じ諸元であるならば、その「目標データ」同士を統合し、目標データ管理テーブル18に元々登録されていた「目標データ」を、統合した「目標データ」に書き換える。最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとについては、上書きせずに、追加する。
【0037】
目標表示回路20は、目標データ管理テーブル18に記録された目標データを、オペレータに対し、方位方向に分けて表示する。
【0038】
同一方位TOA比較回路19は、目標データ管理テーブル18上の、PRI以外の情報が同一である目標データについて、そのパルス列連続受信区間の重なりがある場合に、異なる目標から発射されたものと判定する。これは同じレーダから、同じ周波数で、異なるPRIのパルス列を複数種類、同時刻に発射することがないためである。
【0039】
同一方位TOA比較回路19は、N回以上の連続区間について、重なりを持たない場合に、同一目標から発射されたものと判定する。具体的には、目標データ同士で最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとを比較することにより、連続受信区間の重なりがあるかを判定する。
【0040】
同一方位TOA比較回路19は、目標データが、同一のレーダから発射されたものであるか、複数のレーダから発射されたものであるかの判定結果を目標データの諸元として追加する。目標表示回路20では、これらの目標が1つの目標であるか、複数の目標であるかも表示する。
【0041】
このように、本実施の形態では、TOAのうち、最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとを目標データ管理テーブル18に目標毎に記録・蓄積しているので、他の目標データと、これらとを比較・分析することができる。本実施の形態では、これらを比較・分析することによって、同一方位の目標データが1つのレーダから発射されたものか、複数のレーダから発射されたものかを判断することができる。
【0042】
次に、図1に示す諸元算出回路15、TOA情報付加回路16、目標データ更新回路17、目標データ管理テーブル18の動作について図3を参照して説明する。また、同一方位TOA比較回路19の動作について図4を参照して説明する。
【0043】
図3には、図1に示す諸元算出回路15、TOA情報付加回路16、目標データ更新回路17、目標データ管理テーブル18の詳細な動作を示している。図3において、諸元(周波数、方位、)は、PRIフィルタ回路14から出力されたパルスデータから、諸元算出回路15にて算出される。
【0044】
通常、諸元算出回路15では、これらの諸元しか計算されないが、TOA情報付加回路16にて、最も早い時刻のTOA及び最も遅い時刻のTOAも算出し、こけらを目標データに付加して目標データ更新回路17に出力する。
【0045】
目標データ更新回路17は、目標データ管理テーブル18にある、同様の諸元と、算出された目標データとを比較して統合する。各諸元の統合の方法としては、単純平均、重み付けをした平均、単純な上書き等が考えられるが、本発明とは直接関係しないので、その詳細については説明を省略する。
【0046】
最も早い時刻のTOA及び最も早い時刻のTOAは、時刻であることから統合はせず、情報として追加する。こうして新たに作成された目標データは、目標データ管理テーブル18に出力され、目標データ管理テーブル18の情報は上書きされる。
【0047】
同一方位TOA比較回路19は、目標データ管理テーブル18内の同一方位データの最も早い時刻のTOAと最も早い時刻のTOAとを比較し、パルスデータ同士の重なりを判定する。
【0048】
図4にはパルスデータ同士の重なりのパターンを示している。図4に示すパターン1の重なりのパターンが1回でも生じている場合は、その目標データ同士は、1つのレーダから発射されたパルス列ではなく、2つの別のレーダから発射されたものと判定することができる。これは、1つのレーダから同時に二つのパルスを発射することがないからである。
【0049】
その理由は、もしも1つのレーダから同時(=パルスの連続区間を重ねて)に同一周波数で異なるPRIのパルス列を発射した場合、レーダはその反射波を受信してレーダの処理を実施するが、周波数が同じであるために、混信して受信することになり、正しく処理することができない。
【0050】
このことから、単一のレーダが、パルスの連続区間を重ねて発射することはなく、逆にパルスの連続区間が重なっていれば1つのレーダから発射されたものではないパルス列同士であると判断することができる。
【0051】
図4に示すパターン2の重なりのパターンは、1つの目標データの最も時刻の遅いTOAともう1つの目標データの最も早い時刻のTOAとが同じ[パターン2の(1)]、または1つの目標データの最も時刻の遅いTOAともう1つの目標データの最も早い時刻のTOAとの差が、比較している目標データどちらかのPRIに一致するパターン[パターン2の(2)]であり、このパターンの場合、比較している2つの目標データが同期していると判断してよく、PRIをスイッチさせた1つのレーダから発射された目標と判定する。
【0052】
電波環境等の影響による、受信状況によっては、パルスを全て受信できない場合もある。パルスを全て受信できない場合、TOAの比較において、条件に一致しない場合も生じるが、一致する回数がN回以上であれば、1つの目標データとして判定するようにすることで、たまたま一致したものを同一目標であると誤判断することを防ぎ、受信状況に対する柔軟性を持たせる。Nはシステムのパラメータとして、そのシステム毎によって決定する。
【0053】
図4に示すパターン3の重なりのパターンは、1つの目標データの最も時刻の遅いTOAともう1つの目標データの最も早い時刻のTOAとの差が、比較している目標データのどちらのPRIよりも小さい、または大きいパターンである。
【0054】
同期していない場合は、時間の経過の後、パターン1と同じになる。このため、判断を保留し、ある程度の時間が経過した後、パターン1のようになれば、1つのレーダから発射されたパルス列ではなく、2つの別のレーダから発射されたものと判定する。時間の経過後もパターン1のようにならなければ、重なっていないことから、パターン2のように同期していると判定する。
【0055】
このように、本実施の形態では、重なりのパターンを判定して、PRI以外の諸元が一致する目標データ同士が、単一のレーダを表しているか、2つのレーダを表しているかを判定することができる。本実施の形態では、この情報を目標データに付加する。
【0056】
比較は2つの目標データに対して実施される。同一方位の目標データが複数ある場合、総当りで比較を実施する。これによって、図5に示すように、3つ以上の複数のPRIがスイッチしている場合でも、単一のレーダであると判断することができる。例えば、図5に示すように、3つである場合、それぞれパターン3と判定された後にパターン2と判定され、これら3つのパルスは、単一レーダから発射されたものと判定することができる。
【0057】
同一方位TOA比較回路19は、目標データ管理テーブル18が更新される毎に動作し、時間が経過するにつれ、判定内容が変化する。但し、一回でもパターン1の重なりのパターンが検出されている場合、それらの目標データは、1つのレーダから発射されたものではなく、判定内容を変化させない。また、同一方位同士の比較は、更新された目標データのみに実施し、計算負荷を軽減させる。
【0058】
以上詳細に実施例の動作について述べたが、図1に示す空中線11、受信機12、パルスデータ抽出回路13、PRIフィルタ回路14、目標表示回路20は、当分野ではよく知られており、また本発明とは直接関係しないので、その詳細な動作についての説明は省略する。
【0059】
このように、本実施の形態では、最も早い時刻のTOAと最も早い時刻のTOAとを比較し、目標データ同士の連続受信区間の重なりを判定しているので、同一方位の目標が単一のレーダから発射された電波であるか、それとも2つのレーダ(複数のレーダ)から発射されたされた電波であるかを判定することができる。
【0060】
また、本実施の形態では、最も早い時刻のTOAと最も早い時刻のTOAとを比較し、目標データ同士の連続受信区間の重なりを自動的に判定しているので、今まで、オペレータが手動で目標データを分析し、レーダの数を判断しているのに対し、自動的にレーダ数を判定することができる。
【0061】
さらに、本実施の形態では、同一方位の目標データの比較が複数あっても、2づつ、全ての目標データに対して比較を実施し、かつ判定結果を時間毎に更新しているので、同一方位の目標が単一のレーダから発射された電波であるか、それとも2つのレーダから発射されたされた電波であるかを判定することができるため、実際の目標が単一のレーダか、複数のレーダかを判定することができる。
【0062】
さらにまた、本実施の形態では、最も早い時刻のTOAと最も早い時刻のTOAとを比較し、目標データ同士の連続受信区間の重なりを判定しているので、同一方位の目標が単一のレーダから発射された電波であるか、それとも2つのレーダから発射されたされた電波であるかの確度の高い判定を行うことができる。
【0063】
図6は本発明の第2の実施の形態による電波探知装置の構成例を示すブロック図である。図6において、本発明の第2の実施の形態は、その基本的構成が上記の図1に示す本発明の第1の実施の形態による電波探知装置と同様であるが、受信機12から諸元算出回路15までの処理についてさらに工夫している。
【0064】
つまり、図6において、本発明の第2の実施の形態による電波探知装置では、空中線11の後段に分配器21を設け、受信機12a〜12n、パルスデータ抽出回路13a〜13n、PRIフィルタ回路14a〜14n、諸元算出回路15a〜15n、TOA情報付加回路16a〜16nを複数の構成としている。
【0065】
このように、本実施の形態では、受信機12a〜12nから諸元算出回路15a〜15nまでの回路を複数の構成とすることで、上述した本発明の第1の実施の形態による効果に加えて、瞬時に受信できる帯域の増加、処理速度の高速化という効果が得られる。
【符号の説明】
【0066】
11 空中線
12,12a〜12n 受信機
13,13a〜13n パルスデータ抽出回路
14,14a〜14n PRIフィルタ回路
15,15a〜15n 諸元算出回路
16,16a〜16n TOA情報付加回路
17 目標データ更新回路
18 目標データ管理テーブル
19 同一方位TOA比較回路
20 目標表示回路
21 分配器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PRI(Pulse Repetition Interval)フィルタを用いてレーダ波の分離を行い、周波数、方位、受信電力、パルス幅、PRIの情報を持つ目標データを作成して目標データ管理テーブルに記録する電波探知装置であって、
前記PRIフィルタ後のTOA(Time Of Arrival)のうちの最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとを抽出して前記目標データに付加する付加手段を有し、
前記付加手段にて前記最も早い時刻のTOAと前記最も遅い時刻のTOAとが付加された目標データを前記目標データ管理テーブルに記録することを特徴とする電波探知装置。
【請求項2】
同一方位の目標データの最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとを比較して目標データ同士の連続受信区間の重なりを判定する比較手段を含むことを特徴とする請求項1記載の電波探知装置。
【請求項3】
前記比較手段は、前記目標データ同士の連続受信区間の時間的な重なり判定を前記目標データ管理テーブルが更新される毎に実施することを特徴とする請求項2記載の電波探知装置。
【請求項4】
前記レーダ波を受信する空中線の後段に分配器を設け、
前記分配器にて分配されたレーダ波各々の分離を行うPRIフィルタと、前記目標データを作成する作成手段と、前記付加手段とをそれぞれ複数配設したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電波探知装置。
【請求項5】
PRI(Pulse Repetition Interval)フィルタを用いてレーダ波の分離を行い、周波数、方位、受信電力、パルス幅、PRIの情報を持つ目標データを作成して目標データ管理テーブルに記録する電波探知装置に用いるレーダ数判定方法であって、
前記電波探知装置が、前記PRIフィルタ後のTOA(Time Of Arrival)のうちの最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとを抽出して前記目標データに付加する付加処理を実行し、前記付加処理にて前記最も早い時刻のTOAと前記最も遅い時刻のTOAとが付加された目標データを前記目標データ管理テーブルに記録することを特徴とするレーダ数判定方法。
【請求項6】
前記電波探知装置が、同一方位の目標データの最も早い時刻のTOAと最も遅い時刻のTOAとを比較して目標データ同士の連続受信区間の重なりを判定する比較処理を実行することを特徴とする請求項5記載のレーダ数判定方法。
【請求項7】
前記電波探知装置が、前記比較処理において、前記目標データ同士の連続受信区間の時間的な重なり判定を前記目標データ管理テーブルが更新される毎に実施することを特徴とする請求項6記載のレーダ数判定方法。
【請求項8】
前記電波探知装置に、前記レーダ波を受信する空中線の後段に分配器を設け、
前記電波探知装置に、前記分配器にて分配されたレーダ波各々の分離を行うPRIフィルタと、前記目標データを作成する作成手段と、前記付加処理を行う付加手段とをそれぞれ複数配設したことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載のレーダ数判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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