説明

電源システム、及び電源制御方法

【課題】 電源入力が遮断された際や電源を遮断する際に、負荷への複数の電源電圧を遮断順序にしたがい所定時間内に行う電源システムを提供する。
【解決手段】 電源部100は、電源10から入力される電圧から、中間電圧に変換する。電源部200は、電源部100が出力する中間電圧を入力とし、変換して生成する複数の電圧を出力する。シーケンス制御部400は、電源10から入力される電圧の低下検出を行い、電源部200による電源出力を定められた順序にしたがって、所定時間内での遮断制御を行う。電源部110は、電源10から入力される電圧から、シーケンス制御部400を動作させる電源電圧に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に遮断制御を行う電源システムと電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模集積回路に要求される処理速度の高速化、集積度が向上していくなかで、大規模集積回路の電源電圧仕様が低下する傾向があり、また、1つの大規模集積回路においても複数の電源電圧を必要とするものもあり、複数の電源電圧の電源を用意することが必要になっている。
【0003】
また、回路の高速化と電源電圧の低下に伴い、消費電流の増加や信号電圧の低下が生じていることにより、従来よりも電源から大規模集積回路をはじめとした負荷までの配線による電圧降下の条件が厳しくなり、電源回路から負荷までの配線インピーダンスを低減させることによる対策では対応し難くなっている。そのため、大規模集積回路が配置された基板上に、電源部も合わせて配置する電源構成方法が採用されている。
大規模集積回路が配置された基板上における複数の電源を構成する方法として、例えば、特許文献1による技術を利用する方法がある。その方法は、基板に供給される電圧を、主電源回路によって変換される中間電圧を経て、必要とする出力電圧の種類に応じて複数の電源回路を負荷となる大規模集積回路の近傍に用意して、大規模集積回路に供給される電源を生成する方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、電源投入・遮断時において、異なる電源同士の投入・遮断のタイミングを指定される時間に従う順で制御することが大規模集積回路の信頼性確保のために必要とされている。
【特許文献1】特表2004−528798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の方法では、投入・遮断時に動作する電源制御回路の電源にも、負荷に供給する電源を用いる構成が利用されている。
あるいは、電源入力から主電源回路によって生成し、出力される中間電圧に接続される電源制御回路専用の電源制御用電源を用意する方法が利用されている。
【0006】
しかしながら、負荷と電源制御回路に対して同一の電源によって供給されている従来方式による電源制御回路を安定に動作させるには、最後に遮断する電源によって電源制御回路の電力が供給されることが必要となる。しかし、大規模集積回路が要求する電源の遮断シーケンスでは、多くの場合、最も低い電源電圧を最後に遮断することを要求されている。ところが、その最も低い電圧によって、電源制御回路を動作させ、電源部に対する遮断制御をすることも行い難い。さらに、電源制御回路は、最後に遮断する電源によって動作することになるので、遮断時の動作の安定性確保が問題となる。
【0007】
また、電源から主電源回路によって生成され、出力される中間電圧に接続される電源回路を電源制御回路専用に利用する方法では、主電源回路が出力する中間電圧の負荷と共存するため、接続される負荷の動作状況により中間電圧の低下傾向が変動することになる。そのため、構成する電源回路の出力保持時間を補償するために過剰設計となる問題がある。
【0008】
これに対し、基板外に電源制御回路用の別電源を用意する方法もあるが、これはコストが増大するばかりでなく、装置全体への供給電源が遮断された場合には基板に配置された電源制御回路への供給が行えないという問題が残る。
【0009】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、電源入力が遮断された際や電源を遮断する際に、負荷に供給される複数の電源電圧を定められた遮断順序にしたがい所定時間内に行う電源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するために、本発明は、電源に接続され、前記電源から供給される電源電圧に基づく入力電圧から第1の出力電圧に変換する第1の電源部と、前記第1の電源部が出力する前記第1の出力電圧を入力とし、当該第1の出力電圧を変換して生成する複数の電源電圧を第2の出力電圧群として出力する第2の電源部と、前記電源による前記入力電圧の低下検出を行い、前記第2の電源部による前記第2の出力電圧群の出力を定められた順序にしたがって、所定時間内での遮断する電源制御部と、前記入力電圧の電源に接続され、第2の電圧群の出力を遮断させるまで、前記電源制御部を動作させる第3の電源電圧に変換する第3の電源部と、を備えることを特徴とする電源システムである。
【0011】
また本発明は、上記記載の発明について、電源システムは、前記入力電圧とする前記電源に対する第1の電源部の入力電圧許容範囲の下限値より、前記第3の電源部の入力電圧許容範囲の下限値を低く設定することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上記記載の発明について、電源システムは、前記第1の電源部と前記電源とをコネクタ接続とし、前記コネクタ接続の接続状況を検出する信号が出力される信号ピンを有する接続部を備え、前記電源制御部は、前記接続部の接続状況の検出信号にしたがって、前記電源との接続断を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、電源システムは、電源に接続され、前記電源から供給される電源電圧に基づく入力電圧から第1の出力電圧に変換する第1の電源部と、前記第1の電源部が出力する前記第1の出力電圧を入力とし、当該第1の出力電圧を変換して生成する複数の電源電圧を第2の出力電圧群として出力する第2の電源部と、前記電源による前記入力電圧の低下検出を行い、前記第2の電源部による前記第2の出力電圧群の出力を定められた順序にしたがって、所定時間内での遮断制御を行う電源制御部と、前記入力電圧の電源に接続され、前記第2の電圧群の出力を遮断させるまで、前記電源制御部を動作させる第3の電源電圧に変換する第3の電源部と、を備えることとした。
これにより、負荷変動に影響されずに、負荷に供給される複数の電源電圧の遮断時において、定められた遮断順序を所定時間内に行う電源システムを提供することができる。
【0014】
また、この発明によれば、電源システムは、前記入力電圧とする前記電源に対する第1の電源部の入力電圧許容範囲の下限値より、前記第3の電源部の入力電圧許容範囲の下限値を低く設定することとした。
これにより、入力電圧が低下して第1の電源部が負荷への電源供給を遮断する状況となっても、電源制御部への給電を安定に継続させることができる。
【0015】
また、この発明によれば、電源システムは、前記第1の電源部と前記電源とをコネクタ接続とし、前記コネクタ接続の接続状況を検出する信号を割り付けた信号ピンを有する接続部を備え、前記電源制御部は、前記接続部の接続状況の検出信号にしたがって、前記電源との接続断を検出することとした。
これにより、コネクタの接続がはずれて電源が遮断する状況の検出を、入力電源電圧の低下検出より早い時点で検出でき、電源遮断処理時間に余裕を持つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態による電源システム1について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、第1実施形態による電源システム1を示す概略ブロック図である。
電源システム1は、電源部100、電源部110、電源部201、202、203(まとめて表すときは電源部200という)、シーケンス制御部400を備える。また、電源システム1の負荷となる主要回路部500を示している。
【0018】
電源部100は、電源10からの配線によって電源入力端子に接続され、入力される電源電圧(直流−48V)を中間電圧(直流+12V)に変換し、電源出力端子に出力する。また、電源部100は、電源入力端子と電源出力端子とが絶縁される構成をとる絶縁型直流電源である。電源部100の電源出力端子は、中間配線20により、電源部200の電源入力端子に接続され、電源部200に電力を供給する。
電源部100は、電源10から入力される電圧についての入力電源電圧低下検出部などを備える。
さらに、電源10から入力される電源の電源電圧が低下して、電源部100の入力電源電圧範囲外となると、電源部100は、中間配線20への中間電圧出力を停止する。
【0019】
電源部200は、電源部100の電源出力端子と電源部200の電源入力端子とを接続する中間配線20を通じて直流電圧(+12V)が入力され、入力された直流電圧(+12V)からそれぞれ異なる電圧を出力する非絶縁型直流電源である電源部201、202、203を備える。
電源部200の電源出力端子は、電源出力配線30によって主要回路部500の電源入力端子に接続され、主要回路部500に複数の電源電圧の電源によって電力を供給する。
また、電源部200は、外部からの制御により電源出力配線30への出力を遮断する外部制御機能を備える。
【0020】
電源部200は、電源部100から中間配線20を経て入力される電圧についての入力電圧低下検出部などを備える。電源部200の電源入力端子に接続される中間配線20の電圧が、所定の電圧以下となると電源電圧出力を停止し、電源出力配線30への出力を遮断する。
また、電源部200は、電源出力端子の電源電圧の検出部を備え、電源出力端子の電源電圧が低下すると、電源電圧監視信号61、62、63(以下、まとめて表すときには電源電圧監視信号60という)をアサート、すなわち、「L(ロー)」を出力し、信号を有効にする。電源電圧監視信号61、62、63は、それぞれ、電源部201、202、203の電源出力配線31,32,33の出力電源電圧の低下検出を通知する信号であり、シーケンス制御部400に入力される。
【0021】
電源部110は、電源部100と同じく電源10から供給される直流電圧(−48V)が電源入力端子に接続され、入力される電源電圧(直流−48V)を出力電圧(直流+3.3V)に変換し、電源出力端子に出力する。また、電源部110は、電源入力端子と電源出力端子とが絶縁される構成をとる絶縁型直流電源である。電源部110の電源出力端子は、電源出力配線40により、シーケンス制御部400の電源入力端子に接続され、シーケンス制御部400に電力を供給する。
電源部110は、電源10から入力される電圧についての入力電圧低下検出部などを備える。さらに、電源10から入力される電源の電源電圧が低下して、電源部110の入力電源電圧範囲外となると、電源部110は、電源出力配線40への電圧出力を停止する。
【0022】
シーケンス制御部400は、本電源システム1の各電源部の入出力電圧の電源電圧監視信号などの入力により、電源10の電源投入時・遮断時の各電源出力について必要とされる投入・遮断時の各出力のシーケンスにしたがって、所定内時間により切り換える制御を行う。シーケンス制御部400は、内部に備える計時部により、所定の時間間隔で電源投入・遮断の制御を行う。
また、シーケンス制御部400の電源は、電源部110から供給される。
【0023】
シーケンス制御部400は、電源部100からの電源電圧監視信号21、電源部200からの電源電圧監視信号60を入力信号とし、電源部200に対して必要な遮断制御を行うための信号として、出力停止信号51、52、53(以下、まとめて表すときには出力停止信号50という)を出力する。
【0024】
シーケンス制御部400は、電源10からの電源入力が遮断されて、電源部100からの電源電圧監視信号21の入力を検出すると、電源遮断シーケンス動作を行う。
シーケンス制御部400の行う電源遮断シーケンス動作は、電源部200の電源出力配線30に出力される電圧のうち定格出力電圧が高いほうから順に、電源出力配線30への出力を遮断する動作である。また、シーケンス制御部400は、電源部200の電源出力を順に遮断するときに、遮断した出力電圧が低下していることを検出するため、電源部200からの電源電圧監視信号60の状態変化を検出しながら行う。
シーケンス制御部400は、電源電圧監視信号60を検出すると、所定時間を経た後、次に低い電圧を出力している電源部200に対して、出力停止信号50を出力する。
シーケンス制御部は、最後に残る電源部200の出力を遮断するまで、順に電源遮断シーケンス動作を続ける。
【0025】
図2と図3を参照し、電源遮断時の各電源電圧と電源遮断シーケンスを説明する。
図2は、電源遮断時の各電源電圧と電源遮断シーケンスをグラフとタイミングチャートで示した図である。また、図3は、本実施形態をもとにして測定された電源電圧の変化を示す測定結果である。図1で示す構成と同じ構成及び、信号のグラフとタイミングチャートには、図1と同じ符号により示すことにする。
【0026】
図2(a)は、電源10、中間配線20、電源出力配線40の電源遮断時の電圧変化をX軸に経過時間、Y軸に電源電圧をとりそれぞれのグラフで表している。
電源10は、直流電圧(−48V)が定格出力電圧であり、負の値をとるが、グラフ上では、絶対値で表している。
時間軸の原点の段階では、電源10から直流電圧(−48V)が入力され、電源部100、電源部110のそれぞれの出力となる中間配線20、電源出力配線40上の電圧も定格出力電圧の直流電圧(+12V)、(+3.3V)をそれぞれ出力している。
【0027】
図2(b)は、電源部200の出力電圧を示している。電源部201、202、203の順に出力電圧が低く設定されている。すなわち、その出力である電源出力配線31、32、33上の電圧も、この順で出力定格電圧が低くされることになる。図示した電源部200の定格出力電圧は、それぞれ、直流電圧(+3.3V)、(+2.5V)、(+1.0V)であり、それぞれの電圧の変化を表している。
【0028】
図2(c)は、電源電圧監視信号21、60と出力停止信号50の遷移を図2(a)、(b)と時間軸を合わせたタイムチャートで表す。
【0029】
まず、タイミングT1にて、電源10からの電源入力が、遮断される。しかし、タイミングT1では、電源部10から供給される電圧が、電源部100、110の入力電源電圧低下検出部での検出レベルより高く、電源部100の電源出力端子電圧も正常に出力され、電源電圧監視信号21は未出力の状態である。
これは、電源10からの電源入力が、遮断されても電源部100、110などの容量成分により蓄えられた残留電荷によって残留電圧が生じているためである。その後、負荷として動作している電源部100、110により残留電荷は消費され、残留電圧も徐々に低下する。
【0030】
タイミングT2にて、電源部100により、電源10からの電源入力端子電圧の電源電圧低下検出が行われ、電源電圧監視信号21がアサート、すなわち、信号を「L」にされる。
電源部100によって電源電圧監視信号21がアサートされシーケンス制御部400に入力されたので、シーケンス制御部400は、出力停止信号51をアサート、すなわち、信号を「L」にする。
シーケンス制御部400によってアサートされた出力停止信号51が電源部201に入力される。出力停止信号51が入力された電源部201は、電源出力配線31への出力を遮断する。
電源10の電圧は、電源部100の入力電圧許容範囲の下限値以上を示しているので、中間配線20への出力は通常出力の直流電圧(+12V)を出力し続ける。
【0031】
タイミングT3にて、出力停止信号51を契機に電源部201によって遮断された電源部201の電源出力配線31への出力では、電源部201の電源出力端子電圧が規定値以下になると電源電圧監視信号61がアサートされる。電源電圧監視信号61が接続されるシーケンス制御部400によって、電源電圧監視信号61がアサートされたことが検出され、シーケンス制御部400の内部に備える計時機能により所定時間の遅延時間をカウントする処理を行う。
【0032】
シーケンス制御部400によって、電源電圧監視信号61がアサートされたことが検出されてから、所定時間t1が経過したタイミングT4にて、シーケンス制御部400は、次の電源部202の遮断処理を行う。
タイミングT4にて、シーケンス制御部400によって出力停止信号52がアサートされ電源部202に入力される。出力停止信号52が入力された電源部202は、電源出力配線32への出力を遮断する。
【0033】
タイミングT5にて、出力停止信号52を契機に電源部202によって遮断された電源部202の電源出力配線32への出力では、電源部202の電源出力端子電圧が規定値以下になると電源電圧監視信号62がアサートされる。電源電圧監視信号62が接続されるシーケンス制御部400によって、電源電圧監視信号62がアサートされたことが検出され、シーケンス制御部400の内部に備える計時機能により所定時間の遅延時間をカウントする処理を行う。
【0034】
シーケンス制御部400によって、電源電圧監視信号62がアサートされたことが検出されてから、所定時間t2が経過したタイミングT6にて、シーケンス制御部400は、次の電源部203の遮断処理を行う。
タイミングT6にて、シーケンス制御部400によって出力停止信号53がアサートされ電源部203に入力される。出力停止信号53が入力された電源部203は、電源出力配線33への出力を遮断する。
【0035】
タイミングT7にて、出力停止信号53を契機に電源部203によって遮断された電源部203の電源出力配線33への出力では、電源部203の電源出力端子電圧が規定値以下になると電源電圧監視信号63がアサートされる。電源電圧監視信号63が接続されるシーケンス制御部400によって、電源電圧監視信号63がアサートされたことが検出される。
【0036】
以上の電源遮断シーケンスにより、図1で示す電源システム1の主要回路部500への電源供給が遮断されたことになる。
図3は、図2で示したタイミングチャートによる動作を実験によって検証し、各電源電圧の遷移を測定した観測波形を示したものである。
図3に示す波形は、電源入力配線10、電源出力配線33、32、31の電圧を示している。ここで、電源電圧が負の値をとる電源入力配線10の電圧についてのみ絶対値で示すグラフとなっている。
図2で説明したタイミングT1、T2、T4、T6において各電圧が変化し、電源出力配線30への出力が遮断されていることがわかる。
第1実施形態により、電源入力が遮断された際に、主要回路部500への電源部200から出力される複数の電源電圧を遮断する順序にしたがい所定時間内に遮断することができる。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態で説明するシステムは、第1実施形態で示した電源システム1の応用となる実施形態であり、図4を参照してその説明を行う。
【0038】
図4は、電源システム2と主要回路部500とが、同一の基板3に配置され、電源部700を備える収納盤4に配置される形態を示している。
基板3は、収納盤4に配置される際に、基板3と収納盤4との電気的な接続(電源、接地線、各種信号)を、接続部610、620を介して行う。
【0039】
基板3に配置される電源システム2は、第1実施形態で説明した電源システム1に対して、以下の点が異なっている。
電源システム2は、電源システム1のシーケンス制御部400に代わりシーケンス制御部401に変更する。さらに、電源システム2は、電源制御スイッチ402と接続部610とを備える。電源システム2の他の構成要素は、図1で示した電源システム1から変更がなく、変更のない構成要素には図1と同じ符号をつけることとし、符号の説明を省略する。
【0040】
シーケンス制御部401は、基板3内部で抵抗を介して電源部110の出力電圧に接続された制御線によって接続部610の信号ピンと接続される。収納盤4に基板3が配置された状態では、接続部610の信号ピンは、接続部620の接地電位を出力する信号ピンと接続され、「L(ロー)」レベルを示し、基板3が抜かれた状態では、「H(ハイ)」レベルを示す。これにより、接続部610と接続部620との接続状態の検出で、収納盤4への基板3の配置状態を検出することができる。
この制御線によりシーケンス制御部401に入力される状態信号を、基板実装信号41とする。
シーケンス制御部401は、基板実装信号41を監視し、基板3が収納盤4に配置されている状態から、収納盤4から抜き去られた状態に遷移したことを検出し、当該基板の電源供給停止処理を行う。
シーケンス制御部401は、電源制御スイッチ402から入力される操作検出信号42の検出を契機として、電源制御スイッチ402の状態によって当該基板の電源供給停止処理を行う。
【0041】
シーケンス制御部401は、基板実装信号41及び操作検出信号42を、収納部4から基板3を抜き去る状態とするための検出信号とする。
【0042】
電源制御スイッチ402は、基板3への電源供給を停止させるための入力操作を検出し、操作検出信号42を、シーケンス制御部401に入力する。
【0043】
接続部610は、電源部100と電源部110の電源入力端子に接続される電源線、接地線90に割り付けられた電源ピンにより電源部100と電源部110とが接続される。この電源ピンを介して、収納盤4から基板3に電源が供給される。
接続部610に配置された信号ピンは、制御線によってシーケンス制御部401に接続される。この信号ピンの接続部620との接続状態により、収納盤4に配置されている状態であることの検出信号(基板実装信号41)として利用する。
【0044】
収納盤4は、電源部700及び基板3に接続する接続部620を備え、基板3を収容する。
電源部700は、収納盤4に入力される電源からの配線を電源部700の入力端子に接続し、入力された電源から、基板3に供給する直流(−48V)を生成し、電源部700の電源出力端子と接続部620に割り付けられた電源ピンとを接続する電源配線70を経て、基板3に電力を供給する。
【0045】
接続部620は、電源部700の出力電源端子に接続される電源配線70、接地線80、や、制御線などが接続され、制御線による接地信号81を中継し、基板3の接続部610を介して基板3と接続する。
【0046】
続いて、電源システム2の動作を第1実施形態の電源システム1と対比して説明する。
電源システム2と、前述の電源システム1との違いは、電源遮断制御を開始する条件が増えている点が異なる。
【0047】
シーケンス制御部401に付加された、電源制御スイッチ402による電源遮断制御入力を検出したとき、ならびに基板3を収納盤4から通電中に抜かれたとき(基板抜き去り)の2つの条件を、電源遮断開始の契機として扱う。
【0048】
図5に基板抜き去り時の電源電圧の変化をタイミングチャートに示す。
タイミングチャートにおける初期状態として、収納盤4に基板3が配置され、接続部610、620によって接続されている。そのとき、シーケンス制御部401から制御線によって接続部610に接続された信号ピンは、接続部620で接地電圧に接続されている。
【0049】
タイミングT0にて、収納盤4から基板3が抜かれ、接続部610と接続部620の接続が遮断される。
それにより、電源部700から基板3への電源供給が遮断される。また、シーケンス制御部401から制御線によって接続部610に接続された信号ピンは、接続部620から開放され、基板3内で抵抗を介して電源部110の出力電圧に接続されているため、「H(ハイ)」レベルに変化する。このレベルの変化を、基板実装信号41の変化としてシーケンス制御部401は検出する。
【0050】
シーケンス制御部は、電源遮断開始の契機とする基板実装信号41の入力を検出すると、電源部200への電源遮断シーケンス制御を開始する。
このときの電源部100の電源入力端子電圧は、正常な入力電圧が入力されている状態である。第1実施形態の電源システム1において電源遮断開始の契機とした電源部100の電源入力端子電圧の低下検出を行う前に、これから起こる電源低下を事前に検出できるので、時間に余裕を持って安定に電源停止処理を完了させることができる。
【0051】
第2実施形態により、電源を遮断する際に、主要回路部500への電源部200から出力される複数の電源電圧を遮断する順序にしたがい所定時間内に遮断することができる。
【0052】
なお、第2実施形態において、基板実装信号41の検出を契機とした動作を説明した。
ここで、接続部610、620を介して基板3に電力が供給されていて、シーケンス制御部401で検出される操作検出信号42の入力を契機とする電源停止処理を行う場合には、入力電源電圧が安定しているのでさらに時間に余裕を持って安定に電源停止処理を完了させることができる。
【0053】
なお、電源部100と電源部110は、同じ電源から供給されているので、入力電源の供給が遮断されるときに電源入力端子電圧が徐々に低下するため、入力電圧許容範囲の下限値が低い方が、遅くまで電源出力を行うことができる。
電源部100と電源部110とでは、電源部110の入力電圧許容範囲の下限値を電源部100より低く設定することにより、電源遮断シーケンスにおいて時間に余裕を持って安定に電源停止処理を完了させることができる。
【0054】
なお、主要回路部500及び電源部200での消費電力により、電源部100の電源入力端子電圧が低下して、中間電圧を出力できなくなるまでの時間が変化する。電源遮断シーケンス完了までの制御時間を満足させるには、電源部100の電源入力端子に接続されている容量成分の容量を増やす(例えば、図6に示すコンデンサ11)ことにより、電源部100の電源出力である中間電圧遮断までの時間を確保することができる。
また、電源部100の電源出力端子に接続されている電源部200を順次遮断することにより、電源部100の負荷を軽減でき、電源10の時間当たりの電圧低下率を低減させることができる。
【0055】
なお、各電源部の電源方式について制限はなく、連動させる電源入出力電圧の値、数について実施形態と異なる構成とすることも可能である。
また、第2実施形態での電源部700は、その電源入力を直流電源あるいは交流電源とすることができる。
【0056】
なお、電源部100の電源入力端子への接続において、電源制御シーケンスの妨げにならないものであれば、電源スイッチ、各種保護回路(突入防止、過電圧防止、逆接続防止など)を備えることも可能である。
【0057】
なお、上述の電源システム1、2、6のシーケンス制御部400、401は、内部にコンピュータシステムを有する形態とすることができる。そして、上述した電源の遮断シーケンスの処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1実施形態による電源システム1を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における、電源遮断時のシーケンスを示すタイムチャートである。
【図3】第1実施形態における、電源遮断時の電源電圧の遷移を示す波形である。
【図4】第2実施形態における、電源システム2を利用するシステムを示すブロック図である。
【図5】第2実施形態における、電源遮断時のシーケンスを示すタイムチャートである。
【図6】本実施形態における、電源保持時間の延長方法を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0059】
1 電源システム
100 電源部(第1の電源部)
110 電源部(第3の電源部)
200、201、202、203 電源部(第2の電源部)
400 シーケンス制御部
500 主要回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続され、前記電源から供給される電源電圧に基づく入力電圧から第1の出力電圧に変換する第1の電源部と、
前記第1の電源部が出力する前記第1の出力電圧を入力とし、当該第1の出力電圧を変換して生成する複数の電源電圧を第2の出力電圧群として出力する第2の電源部と、
前記電源による前記入力電圧の低下検出を行い、前記第2の電源部による前記第2の出力電圧群の出力を定められた順序にしたがって、所定時間内で遮断する電源制御部と、
前記入力電圧の電源に接続され、前記第2の電圧群の出力を遮断させるまで、前記電源制御部を動作させる第3の電源電圧に変換する第3の電源部と、
を備えることを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記入力電圧とする前記電源に対する第1の電源部の入力電圧許容範囲の下限値より、前記第3の電源部の入力電圧許容範囲の下限値を低く設定することを特徴とする請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記第1の電源部と前記電源とをコネクタ接続とし、前記コネクタ接続の接続状況を検出する信号が出力される信号ピンを有する接続部を備え、
前記電源制御部は、前記接続部の接続状況の検出信号にしたがって、前記電源との接続断を検出することを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
電源に接続され、前記電源から供給される電源電圧に基づく入力電圧から第1の出力電圧に変換する第1の電源部と、
前記第1の電源部が出力する前記第1の出力電圧を入力とし、当が第1の出力電圧を変換して生成する複数の電源電圧を第2の出力電圧群として出力する第2の電源部とを備える電源システムであって、
前記電源による前記入力電圧の低下検出を行い、前記第2の電源部による前記第2の出力電圧群の出力を定められた順序にしたがって、所定時間内での遮断制御を行う電源制御手段と、
前記入力電圧の電源に接続され、前記第2の電圧群の出力を遮断させるまで、前記電源制御部を動作させる第3の電源電圧への変換手段と、
を備えることを特徴とする電源制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−194961(P2009−194961A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30615(P2008−30615)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(305017712)エスアイアイ・ネットワーク・システムズ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】