説明

電源ソケット

【課題】 絶縁ボディ内に安定して保持され、製造が簡単になる中心ピンを有する電源ソケットを提供する。
【解決手段】 絶縁ボディ1と、弾性端子2と、固持接片3と、中心ピン4とを含む電源ソケットで、前記絶縁ボディ1は、対接面10と、後面20と、前記対接面及び後面の間に形成される収容空間101、102、103と、保持溝601,602とを有する。前記弾性端子2は第1収容空間101内に収容され、前記後面から突出する半田付け部23と、接触部22とを有し、前記固持接片3は第2収容空間102内に収容され、前記後面から突出する半田付け部33と、弾性端子の接触部に接続できる接触部30とを有し、前記中心ピン4は第3収容空間103内に収容され、一対の接触片を含むフォーク状を呈する接触部42と、前記保持溝内に保持される保持部44と、前記後面から突出する半田付け部43とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源ソケットに関し、電子装置に装備される電源ソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電源ソケットは、電子装置の電源方式の切替に用いられ、一般に、中心ピンと、固定接片と、可動接片とを含み、該電源ソケットがプラグに嵌合されない際に、前記固定接片と可動接片とが接触し、且つその中の一つの接片が内部の直流電源の陰極と導通し、前記中心ピンが内部の直流電源の陽極と導通している。こうして、内部の直流電源が該電源ソケットに電力を供給する。該電源ソケットがプラグに嵌合される際に、固定接片が前記可動接片と分離することで、前記内部の直流電源が電源ソケットに電力を供給する回路が切られ、該電源ソケットの中心ピンが外部の直流電源の陽極に導通し、前記固定接片或は可動接片が前記外部の直流電源の陰極に接触し、外部の直流電源が該電源ソケットに電力を供給する。こうして、内部電源と外部電源との電源方式の切替が実現される。
【0003】
従来の電源ソケットは、特許文献1に示すように、電源方式が切替できるものであって、プラグ挿抜用の開口部を有する絶縁ボディと、中心ピンと、固定接片と、可動接片とを含む。前記中心ピンは、L字形形状を呈し、プラグ挿抜用の開口部に挿入されてから90度回転させられることにより、前記絶縁ボディの保持装置に固持される。前記保持装置は、前記絶縁ボディの後壁から突出した凸塊である。
【特許文献1】米国特許第5,007,851号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記保持装置が、絶縁ボディの後壁から突出した凸塊であることで、前記絶縁ボディの嵌合方向の長さが長くなり、製造コストが高くなっている。また、前記中心ピンは一般に、外丸削り加工手段を通じて形成され、プレス加工より製造コストが高くなっている。
【0005】
そこで、本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、改良した新型の電源ソケットを提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、絶縁ボディ内に安定して保持され、製造が簡単になる中心ピンを有する電源ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の電源ソケットは、絶縁ボディと、弾性端子と、固持接片と、中心ピンとを含む。前記絶縁ボディは、先端に位置する対接面と、該対接面に相対する後面と、前記対接面及び後面の間に形成される第1収容空間と、第2収容空間と、第3収容空間と、前記第3収容空間の内側に形成され、且つ該第3収容空間に連通する保持溝とを有する。前記弾性端子は前記第1収容空間内に収容され、前記絶縁ボディの後面から突出する半田付け部と、接触部とを有し、前記固持接片は前記第2収容空間内に収容され、前記絶縁ボディの後面から突出する半田付け部と、前記弾性端子の接触部に接続できる接触部とを有し、前記中心ピンは前記第3収容空間内に収容され、一対の接触片を含むフォーク状を呈する接触部と、前記保持溝内に保持される保持部と、前記絶縁ボディの後面から突出する半田付け部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
従来の技術に比べると、本発明は以下の長所がある。電源ソケットの中心ピンは、その保持部が前記絶縁ボディの保持溝内に係止されることにより、前記絶縁ボディ内に保持され、これにより、電気ソケットの嵌合方向の長さが減少される。また、前記中心ピンは、プレス加工により製造されることで、製造が簡単になり、且つコストが低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の電源ソケットの好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本発明に係る電源ソケットは、絶縁ボディ1と、該絶縁ボディ1内に収容される弾性端子2と、固定接片3と、中心ピン4とを含む。
【0010】
図1及び図2を参照すると、前記絶縁ボディ1が、先端に位置する対接面10と、該対接面10に相対する後面20と、左側壁30と、右側壁40と、頂面50と、底面60と、第1収容空間101と、第2収容空間102と、第3収容空間103と、第1保持溝601と、第2保持溝602と、頂面50に形成される係止溝501とを有する。前記対接面10に前方に向けて延伸して形成される内外の二つの同心の円環10a、10bが配置され、前記内外の二つの同心の円環10a、10bにより、プラグ(図示せず)の中心電極と周辺電極をそれぞれ収容するために用いられる円筒形状を呈する収容孔11a、11bが形成される。また、前記円環10bは絶縁ボディ1の内部に延伸している。
【0011】
前記第1収容空間101と第2収容空間102とは、前記後面20から対接面10に向けて延伸して、弾性端子2と固持接片3とをそれぞれ収容するために用いられ、また、前記第1収容空間101は、前記第2収容空間102の上方に位置し且つ該第2収容空間102に連通する。前記第3収容空間103も後面20から対接面10に向けて延伸し、中心ピン4を収容できる。前記絶縁ボディ1の左右側壁30、40の内側には、弾性端子2と固持接片3とを保持するために用いられ、前記第1収容空間101と第2収容空間102とに連通する二対のスリット12a、12b、13a、13bが形成される。
【0012】
前記絶縁ボディ1の左側壁30の外側には、外部空間に連通する凹部301が形成され、前記係止溝501は、前記頂面50に形成され、前記第1収容空間101に連通する。前記第1保持溝601と第2保持溝602とは、第3収容空間103の両側にそれぞれ形成され、且つ絶縁ボディ1の後面60に近接する。
【0013】
図2を参照すると、前記弾性端子2は、接触部と半田付け部23とを含み、前記接触部は、板状部21と、該板状部21から折曲延在する弾性部25と、該弾性部25の末端に形成される一対の分岐するコンタクト部22と、前記一対のコンタクト部22に下向きに凹み形成される突起221とを含む。前記板状部21の略中心位置には、上向きに延伸している保持部24が形成され、前記半田付け部23は、前記板状部21の末端の中間から延伸している。
【0014】
図2を参照し続けると、前記固持接片3は、接触部と、半田付け部33とを含み、前記接触部は、板状部31と、該板状部31に形成される楕円形状を呈する凸部32とからなる。保持部34が板状部31の左右側の中間位置にそれぞれ対称に形成され、前記半田付け部33は、板状部31の一側から後方に向けて垂直に延伸し、且つ前記板状部31に垂直になっている。
【0015】
図2を参照し続けると、前記中心ピン4は、板状部41と、該板状部41から前方に向けて延在されるフォーク状を呈する接触部42と、後方に向けて延伸される半田付け部43と、前記板状部41の両側に形成される保持部とを含む。前記接触部42は、相対して配置される縦長状の一対の接触片からなり、一対の接触片の間の距離は先端から前記板状部41に向けて少しずつ増える。前記保持部は、前記板状部41の両側にそれぞれ形成される第1保持部44aと第2保持部44bとを含み、前記両保持部44a,44bは下向きに突設される一対の凸刺である。前記板状部41と同一面に位置する半田付け部43は、前記第1保持部44aに近接し且つ前記第2保持部44bから遠く離れることで、板状部41の中心線(図示せず)から離れる状態で配置される。
【0016】
図3を参照すると、前記弾性端子2と固持接片3と中心ピン4とは、金属板材からなり、プレス加工により製造され、前記絶縁ボディ1内に収容される。その中、前記弾性端子2が絶縁ボディ1の後面20から第1収容空間101内に挿入され、且つその板状部21の両側が前記絶縁ボディ1のスリット12a、12bに係止され、該弾性端子2が第1収容空間101内に完全に挿入された際に、その保持部24が絶縁ボディ1の頂面50に形成される係止溝501内にちょうど係合され、これにより、前記弾性端子2が前記絶縁ボディ1内に保持される。また、該弾性端子2の半田付け部23は、絶縁ボディ1の後面20から突出して、ケーブル(図示せず)やプリント基板(図示せず)に接続できる。
【0017】
図3を参照すると、前記固持接片3は、前記絶縁ボディ1の後面20から前記第2収容空間102内に挿入され、その板状部31の両側が絶縁ボディ1のスリット13a、13bに係止され、その半田付け部33は、一部分が絶縁ボディ1の左側壁30に形成される凹部301内に配置されることにより、側面に沿って後面20から突出して、ケーブル(図示せず)やプリント基板(図示せず)に接続できる。該固持接片3は、前記第2収容空間102内に完全に挿入された際に、その板状部31が前記弾性端子2のコンタクト部22の突起221に接続することにより、前記弾性端子2との間の電気的な接続を達成でき、また、その板状部31に形成される凸部32が前記弾性端子2のコンタクト部22の先端に接触することで、前記弾性端子2のコンタクト部22の先端を位置決めする作用を与え、且つ前記弾性端子2との電気的な接続の安定性が強化される。
【0018】
前記中心ピン4は、絶縁ボディ1の後面20から前記第3収容空間103内に挿入され、第3収容空間103内に完全に挿入された際に、該中心ピン4の接触部42が前記絶縁ボディ1の対接面10に突設された円環10aにより形成される収容孔11a内に延伸して配置される。前記弾性端子2のコンタクト部22は前記円環10a、10bの間に形成される収容孔11b内に延伸して配置される。前記中心ピン4の第1保持部44a及び第2保持部44bは、その接触部42から絶縁ボディ1の第1保持溝601と第2保持溝602とにそれぞれ斜めに挿入され(図5を参照する)、この第1保持部44aと第2保持部44bとの末端が前記第1保持溝601と第2保持溝602にそれぞれ係止することにより、該中心ピン4が絶縁ボディ1から離れることを防止できる。
【0019】
前記中心ピン4の半田付け部43は、第1保持部44aに近接し且つ前記第2保持部44bから遠く離れ、即ち前記第1保持部44aと第2保持部44bとの中間に位置しない。だが、前記弾性端子2の半田付け部23は板状部21の中間から延伸されることで、前記中心ピン4が前記絶縁ボディ1内に挿入された際に、その半田付け部43が弾性端子2の半田付け部23に対して片寄って配置される。該中心ピン4の半田付け部43は、前記絶縁ボディ1の後面20から突出して、ケーブル(図示せず)やプリント基板(図示せず)に接続できる。
【0020】
前記弾性端子2と固持接片3と中心ピン4との半田付け部23、33、33は、絶縁ボディ1の後面20に垂直になり、且つその中の中心ピン4の半田付け部43は、前記固持接片3の半田付け部33に垂直になり、前記弾性端子2の半田付け部23に平行になっている。前記弾性端子2の半田付け部23は中心ピン4の半田付け部43に対して片寄って配置され、前記固持接片3の半田付け部33が絶縁ボディ1の左側壁30に配置され、こうして、各半田付け部23、33、43の間に大きい距離が形成され、さらに、ケーブル(図示せず)やプリント基板(図示せず)に接続することが便利になる。
【0021】
本発明に係る電源ソケットに嵌合するプラグ(図示せず)は、一般に中心電極と周辺電極とを含み、該プラグが電源ソケットに挿入される際に、前記中心電極が、絶縁ボディ1の収容孔11aに挿入され、即ち、中心ピン4の接触部42の相対して配置される一対の接触片の間に位置し、前記中心ピン4に電気的に接続する。前記周辺電極が、前記絶縁ボディ1の収容孔11b内に挿入され、即ち弾性端子2と固持接片3との間に挿入されることにより、前記弾性端子2と固持接片3は相互に離れ、こうして、電源方式の切替が実現される。
【0022】
以上、本発明について最良の実施の形態を参照して詳細に説明したが、実施形態はあくまでも例示的なものであり、これらに限定されるものではない。また前記の説明は、本発明に基づきなしうる細部の修正或は変更など、いずれも本発明の請求範囲に属するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る電源ソケットの組合せ斜視図である。
【図2】本発明に係る電源ソケットの分解斜視図である。
【図3】本発明に係る電源ソケットの他の角度から見た組合せ斜視図である。
【図4】図1に示す電源ソケットのA−A線で切断した断面図である。
【図5】図3に示す電源ソケットのB−B線で切断した断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 絶縁ボディ
2 弾性端子
3 固持接片
4 中心ピン
10 対接面
10a、10b 円環
11a、11b 収容孔
12a、12b、13a、13b スリット
20 後面
21、31、41 板状部
22 コンタクト部
23、33、43 半田付け部
24、34 保持部
25 弾性部
30 左側壁
32 凸部
40 右側壁
42 接触部
44a 第1保持部
44b 第2保持部
50 頂面
60 底面
101 第1収容空間
102 第2収容空間
103 第3収容空間
221 突起
301 凹部
501 係止溝
601 第1保持溝
602 第2保持溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に位置する対接面と、該対接面に相対する後面と、前記対接面及び後面の間に形成される第1収容空間と、第2収容空間と、第3収容空間と、前記第3収容空間の内側に形成され、且つ該第3収容空間に連通する保持溝とを有する絶縁ボディと、
前記第1収容空間内に収容され、前記絶縁ボディの後面から突出する半田付け部と、接触部とを有する弾性端子と、
前記第2収容空間内に収容され、前記絶縁ボディの後面から突出する半田付け部と、前記弾性端子の接触部に接続できる接触部とを有する固持接片と、
前記第3収容空間内に収容され、一対の接触片を含むフォーク状を呈する接触部と、前記保持溝内に保持される保持部と、前記絶縁ボディの後面から突出する半田付け部とを有する中心ピンと
を含むことを特徴とする電源ソケット。
【請求項2】
前記中心ピンの保持部は、前記接触部から前記保持溝内に斜めに挿入されることを特徴とする請求項1記載の電源ソケット。
【請求項3】
前記絶縁ボディの保持溝は、前記第3収容空間の両側にそれぞれ形成される第1保持溝と第2保持溝とを含み、前記中心ピンは、板状部を有し、前記保持部が該板状部の両側にそれぞれ形成され、前記第1保持溝と第2保持溝とにそれぞれ係止される第1保持部と第2保持部とを有することを特徴とする請求項2記載の電源ソケット。
【請求項4】
前記第1保持溝と第2保持溝とは、前記絶縁ボディの後面に近接することを特徴とする請求項3記載の電源ソケット。
【請求項5】
前記第1保持部と第2保持部とは、前記板状部の両側にそれぞれ突設される一対の凸刺であることを特徴とする請求項3記載の電源ソケット。
【請求項6】
前記中心ピンの接触部は、前記一対の接触片が相対して配置されることを特徴とする請求項1記載の電源ソケット。
【請求項7】
前記中心ピンは、前記半田付け部と接触部とが同一面に位置されることを特徴とする請求項1記載の電源ソケット。
【請求項8】
前記中心ピンの半田付け部は、前記第1保持部に近接し、且つ前記第2保持部から遠く離れ、即ち板状部の中心線から離れる状態で配置されることを特徴とする請求項1記載の電源ソケット。
【請求項9】
前記絶縁ボディは、相対する左右側壁を有し、前記左側壁の外側に外部空間に連通する凹部が形成され、前記固持接片の半田付け部がその接触部から垂直に延伸して、前記凹部に収容されることを特徴とする請求項1記載の電源ソケット。
【請求項10】
前記絶縁ボディの対接面に、前方に向けて延伸して形成される内外の二つの同心の円環が配置され、前記中心ピンの接触部が前記内の円環により形成される収容孔に延伸して配置され、前記弾性端子の接触部は、前記内外の円環により形成される収容孔に延伸して配置されることを特徴とする請求項1記載の電源ソケット。
【請求項11】
前記弾性端子の接触部は、板状部と、該板状部から折曲延在する弾性部と、該弾性部の末端に形成される一対の分岐するコンタクト部とを含み、前記各コンタクト部には突起がそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1記載の電源ソケット。
【請求項12】
前記固持接片の接触部は、板状部と、該板状部に形成される凸部とを含むことを特徴とする請求項1記載の電源ソケット。
【請求項13】
前記弾性端子のコンタクト部に形成される突起は、前記固持接片に形成される板状部に接触できることを特徴とする請求項12記載の電源ソケット。
【請求項14】
前記弾性端子のコンタクト部の末端は、前記固持接片の板状部に形成される凸部に接触できることを特徴とする請求項12または13記載の電源ソケット。
【請求項15】
前記弾性端子と固持接片と中心ピンとの半田付け部は、前記絶縁ボディの後面に垂直になり、また、前記中心ピンの半田付け部は、前記固持接片の半田付け部に垂直になり、且つ前記弾性端子の半田付け部に平行になることを特徴とする請求項1記載の電源ソケット。
【請求項16】
前記弾性端子と固持接片と中心ピンとの半田付け部は、ケーブルに接続できることを特徴とする請求項1記載の電源ソケット。
【請求項17】
前記弾性端子と固持接片と中心ピンとは、金属板材からなり、プレス加工により製造されることを特徴とする請求項1記載の電源ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−86108(P2006−86108A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165985(P2005−165985)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】