電源切替え装置
【課題】電源切り替え時の信頼性を向上した電源切替え装置の実現を課題とする。
【解決手段】負荷に供給する電源を第一の電源と第二の電源との間で切り替える電源切替え装置において、第一の電源あるいは第二の電源の一方に接続され、接続された電源から入力する信号の大きさに応じたレベルを持つ信号を出力する第一のコンパレータと、第一のコンパレータ出力を積分する積分回路と、積分回路から入力する信号の大きさに応じたレベルを持つ信号を出力する第二のコンパレータと、第一の電源と第二の電源とが入力側に接続され、第二のコンパレータ出力信号の値に応じて電源の系統を切り替えるリレーの動作を制御して、出力する電流を第一の電源から供給される電流と第二の電源から供給される電流とのいずれかに切り替える切り替え部とを備える。
【解決手段】負荷に供給する電源を第一の電源と第二の電源との間で切り替える電源切替え装置において、第一の電源あるいは第二の電源の一方に接続され、接続された電源から入力する信号の大きさに応じたレベルを持つ信号を出力する第一のコンパレータと、第一のコンパレータ出力を積分する積分回路と、積分回路から入力する信号の大きさに応じたレベルを持つ信号を出力する第二のコンパレータと、第一の電源と第二の電源とが入力側に接続され、第二のコンパレータ出力信号の値に応じて電源の系統を切り替えるリレーの動作を制御して、出力する電流を第一の電源から供給される電流と第二の電源から供給される電流とのいずれかに切り替える切り替え部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の電源切替え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数のサーバを一カ所に設置したデータセンタの普及が進んでいる。データセンタには、サーバを高密度かつ大量設置するが前提となっているため、コスト、サイズ双方の関係から個々のサーバの冗長性を集約する傾向が出てきている。
【0003】
例えば、電源の停止によるサーバ装置運用停止を防ぐ目的で、サーバの電源としてUPS(無停電電源装置、Uninterruptible Power Supply)が用いられている。UPSを用いる場合、個別のサーバ単位、あるいはラック単位で小容量のUPSを設置するという対応が取られているが、これとは別に、大容量のUPSをデータセンタなどのファシリティに複数設置するという代替手段がとられることもある。
【0004】
大容量のUPS装置を用いる場合、一台のUPSが担当するサーバの台数が増えてくるために、UPSに必要とされる信頼性は、小容量のUPSを用いる場合と比較して、必然的に高くなってくる。
【0005】
UPSの信頼性を保ちつつ、サーバの電源系の信頼性を得る対応として、無瞬断電源切り替え装置(Static Transfer Switch、以下「STS」と称する)といわれる装置が用いられている。STSには、電源入力として2系統の交流電源入力が設けられ、一系統の電源入力がダウンした場合には即座にもう一系統の電源入力に切り替えて、サーバへの電源供給を継続する対応が取られている。
【0006】
図24は、STSを用いたサーバシステムの一例である。図24の例では、各サーバがPSUを搭載しており、各PSUに一台のSTSが接続されている。図24の例では計4台のサーバが設置されていることから、計4台のSTSが設けられる。
【0007】
各STSには、A側の系統の電源と、B側の系統の電源との、互いに独立した電源系統が接続されている。図24の例では、A側が主系統、B側が呼び系統の電源系統であるものとする。STSは、主系統の電源がダウンした場合に、サーバに影響を与えないように予備系統、つまりB側の系統に電源系統を切り替える。
【0008】
図25は、STSの構成の概要を示す図面である。STSはその内部にリレースイッチが設けられている。リレースイッチは、コントローラの制御によって、サーバに供給する電源の系統をA側、B側の一方に切り替える。たとえば、A側の系統から電源が供給されている状態でA側系統の電源がダウンした場合、コントローラはこれを検出し、リレースイッチを制御する。コントローラの制御によってリレースイッチがA側からB側に切りかえられ、サーバにはB側の系統から電源が供給されることになる。
【0009】
データセンタでは、建屋の特定箇所にUPSを集約するという対応が取られる。しかし、この場合には、UPS/STSとサーバとを接続するための配線が長くなってしまい、コストあるいはメンテナンスの容易さという面からは不利になる。
【0010】
以下は、電源装置に関連する技術を開示する先行技術文献の例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−264367号公報
【特許文献2】特開2002−034177号公報
【特許文献3】特開2007−215344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
瞬間的な停電(瞬断)の影響からサーバを守るためには、交流の半サイクル以下で切り替えができることが望ましい。交流電力の周波数が60hzであれば8ms、50hzであれば10msが半サイクルに相当する。
【0013】
半導体リレーは一般的に高速動作が可能であり、半導体リレーをSTSに用いれば瞬断の検出から1ms程度の期間でUPSの切り替えも可能となる。しかし、装置が比較的高価になるという問題がある。また、半導体リレーが故障した場合にはショートモードとなってしまうため、STSに保護回路を設ける必要が出てきてしまう。
【0014】
これに対し、機械式リレーは比較的安価ではあるが、切り替えの時間に5ms程度の時間を要してしまい、半サイクル以下での切り替えを実現するには切り替え時間が遅い。
【0015】
本発明は、瞬断の検出時における切り替えの信頼性を向上した電源切り替え装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、その一形態において、負荷に供給する電源を、第一の電源と第二の電源との間で切り替える電源切替え装置において、前記第一の電源あるいは前記第二の電源の一方に接続された、電源から入力する信号の大きさに応じたレベルを持つ二値の信号を出力する第一のコンパレータと、前記第一のコンパレータ出力を積分する積分回路と、前記積分回路から入力する信号の大きさに応じたレベルを持つ二値の信号を出力する第二のコンパレータとを備えた制御部と、前記第一の電源と前記第二の電源とが入力側に接続され、前記第二のコンパレータ出力信号の値に応じて、出力する電流を前記第一の電源から供給される電流と前記第二の電源から供給される電流とのいずれかに切り替える切り替え部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一形態によれば、電源切り替え時の信頼性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による情報処理システムの構成を示す図面である。
【図2】情報処理システムの一変形例を示す図面である。
【図3】コントローラと切り替え回路との構成を示す図面である。
【図4】コントローラと切り替え回路との各部の信号波形を示す図面である。
【図5】コントローラの変形例を示す図面である。
【図6】コントローラ各部の信号波形を示す図面である。
【図7】コンパレータを二つ備えた電源切替え装置の構成を示す図面である。
【図8】コンパレータが単一と仮定した場合のコントローラ各部の信号波形を示す図面である。
【図9】コンパレータを二つ備えた電源切替え装置の各部の信号波形を示す図面である。
【図10】コントローラの動作を処理手順として記載したフローチャートである。
【図11】電源切替え装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】1チップマイコンを用いたコントローラを有する電源切替え装置の構成を示す図面である。
【図13】電源切替え装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】アナログ部の動作を示すフローチャートである。
【図15】デジタル部の動作を示すフローチャートである。
【図16】直流電源に接続された電源切替え装置の構成を示す図面である。
【図17】逆流防止した電源切替え装置の構成を示す図面である。
【図18】逆流防止した電源切替え装置の構成を示す図面である。
【図19】交流電源と直流電源とに接続された電源切替え装置の構成を示す図面である。
【図20】サーバからの電流逆流を示す図面である。
【図21】逆流電流の影響を説明する図面である。
【図22】電源切り替え装置等の回路例を示す図面である。
【図23】電源切替え装置の応用例を示す図面である。
【図24】STSを用いたサーバシステムの一例を示す図面である。
【図25】STSの構成の概要を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による情報処理システムの構成を示す。
【0020】
図1の情報処理システムは、複数のサーバ(サーバ1〜サーバn)を有するシステムを例示している。
【0021】
図1に示す各サーバには、UPS-AとUPS-Bとの二つのUPSから電源が供給される。また、各サーバに対応して、サーバに電源を供給するUPSをUPS-AとUPS-Bとの間で切り替えるスイッチSW1〜SWnが設けられている。
【0022】
また、各UPSの動作状態、具体的に言えば電圧を検知する検知回路が図1の情報処理システムに設けられている。検知回路は、UPS-AとUPS-Bとの双方に接続されており、検知したUPSの状況に応じて、UPS-A側あるいはUPS-B側のいずれの側に切り替えるのかを指示する信号を各スイッチに送出する。各スイッチは、検知回路からの信号に基づいて、UPS-A側あるいはUPS-B側に切り替える。
【0023】
図1の例では、複数のサーバ1〜サーバnはラックに搭載されており、スイッチSW1〜SWn、検知回路もラック内に搭載される。一方、双方のUPSは、ラックが設置された建屋内など、ラックの外部に設けられる。
【0024】
図1では、複数のスイッチがひとつの検知回路を共有しているため、サーバ毎に検知回路を設ける必要はなくなる。
【0025】
図2は、情報処理システムの一変形例である。図2の要素のうち、図1に共通なものについては説明を省略する。図2の例では、検知回路が2つ設けられている。各検知回路は、それぞれ別のUPSの電圧を監視する。具体的には、検知回路AはUPS−Aに、検知回路BはUPS−Bに接続され、接続しているUPSの電圧を監視している。また、検知回路間は相互に接続されており、相互に状況を通知する。
【0026】
図2では、検知回路Aと検知回路Bとは、互いに異なるスイッチに接続されている。検知回路AはスイッチSW1、SW3・・・に接続され、これらのスイッチのオンオフを制御する。また、検知回路BはスイッチSW2・・・、SWnに接続され、これらスイッチのオンオフを制御する。
【0027】
各検知回路は、定常状態では各UPSが電力を供給するサーバの数を、各UPSの定格の50%でバランスさせるよう、各スイッチを制御する。そして、各検知回路は、自身が電圧監視をしているUPSがダウンしたことを検知した場合には、ダウンしたUPSから電力が供給されているサーバに対応するスイッチを切り替え、他方のUPSからの電源供給を可能とする。
【0028】
図3は、本実施形態の検知回路(コントローラ)と切り替え回路(スイッチ)との構成を示す図面である。また、図4は図3に示す回路各部の信号波形を示す図面である。図4において、(a)はA側電源ラインからの入力信号波形を、(b)は絶対値回路の出力波形を、(c)は積分回路の出力波形を、(d)は切替え装置トリガ出力波形を、(e)は切替え装置の出力波形を、それぞれ示している。
【0029】
図3は、A側電源とB側電源との2つの交流電源が設けられ、定常状態ではA側電源から電源をサーバに供給し、B側電源を予備用電源として用いる例を示している。
【0030】
図3に示すように、本実施形態のコントローラは、アッテネータ、絶対値回路、積分回路、コンパレータを備え、またこれらの要素に電力を供給する制御回路用電源を有する。
【0031】
図3の例では、コントローラにはA側電源からのラインが接続されている。図4に示す例では、(a)に示すようにA側電源ラインから入力する信号は、一部波形が欠けている。これは、瞬断などが発生している状態を示している。
【0032】
A側電源ラインから入力した電源電圧はアッテネータによって減衰させられ、絶対値回路に入力する。絶対値回路は、図4(b)に示すように、入力した交流電源の絶対値を示す信号を出力する。図4では、絶対値回路出力信号は正の値を持つ信号として出力される。
【0033】
絶対値回路から出力した信号は積分回路に入力し、図4(c)に示すように積分された信号が出力する。図4に示すように、積分回路出力は常時飽和させられている。積分回路からの出力信号は、A側電源ラインからの電源電圧が供給されているか否か、言い換えるとA側電源が動作しているかあるいはダウンしているかを示す信号となっている。図4の例で、A側電源ラインからの入力信号波形が欠けている部分に対応する位置では、積分回路の出力信号は0Vとなっている。
【0034】
積分回路からの出力信号はコンパレータに入力する。コンパレータは、図4(c)に示す閾値と入力する信号とを比較し、入力する信号の値に応じた、1または0の二値の値を持つ信号を切り替え信号として出力する。図3の例では、入力信号が高いレベルの場合には0の、入力信号が低いレベルの場合には1の値を持つ信号を出力するものとする。
【0035】
切り替え回路は、リレーとリレードライバとを備える。図3の例では、ドライバは機械式ドライバである。機械式リレーには、A側電源ラインとB側電源ラインとが入力として接続されており、サーバなどに接続される出力ラインが出力として接続されている。
【0036】
リレードライバは、コントローラから出力される切り替え信号の値によって、機械式リレーをA側電源ラインあるいはB側電源ラインの一方に切り替える。定常時、つまりA側電源が動作している状態では、機械式リレーはA側電源ラインの側に切り替えられる。図4(d)に示す切替え装置トリガ出力は、コントローラからリレードライバに出力される切り替え信号波形に対応する。切り替え装置トリガ出力は、図4に示す(1)のようにA側電源のダウンから2ms以内に出力される。つまり、コントローラはA側電源のダウンを2ms以内に検出可能であることを示す。
【0037】
切り替え信号を受けたリレードライバはリレーを切り替える。図4(e)の切り替え装置出力波形は、A側電源からB側電源への切り替えを考慮した、切替え装置からの信号出力波形を示している。A側電源がダウンすると、一時的に切替え装置からの出力信号は0Vとなるが、図4の(2)に示すように、A側電源のダウンから8ms以内にB側電源にリレーが切り替えられ、サーバ等に供給される電源を復帰させることができる。
【0038】
図3の回路では、積分回路を常時飽和させているため、積分回路の出力低下を検出することによって電源信号の半サイクル以下でのリレー切り替えを可能としている。
【0039】
なお、コントローラの制御回路用電源は、その動作電源が切り替え回路の出力ラインから供給されている。このため、A側電源がダウンしても、B側電源にリレーを切り替えることで、制御回路用電源にも電力を安定して供給することができる。
【0040】
図5は、コントローラの一変形例を示す図面である。また、図6は、図3における各部の信号波形を示す図面である。図6において、(a)はA側入力の信号波形を、(b)は絶対値回路の出力波形を、(c)は積分回路の出力波形を、(d)は切替え装置トリガ出力波形を、それぞれ示している。
【0041】
図3の例では、切り替え回路の出力ラインと制御回路用電源とが電気的に接続されている。そのため、A側電源ラインがダウンしたときに制御回路用電源でノイズが発生してしまうと、これば出力ライン−機械式リレーを介してコントローラに逆流してしまう。図5の細矢印は、電流の逆流の態様を示すものである。図6のA側入力波形(a)では、制御回路用電源からのノイズが逆流した状態の波形を示している。図6(a)に示す波形の(1)の部分が逆流ノイズに相当する。A側電源ラインがダウンしたにも関わらずコントローラに電流が逆流することによって、絶対値回路出力は図6(b)のように変化する。図6(b)の絶対値回路出力は、図4と比較してなだらかに変化する。そのため、積分回路出力は図6(c)のように変化し、積分回路出力が閾値以下となるタイミングは図4の場合よりも遅延する。したがって、図6(e)に示すように、切り替え信号がリレードライバに出力されるタイミングが遅延し、リレーが切り替えられる時間が遅れてしまう問題が生じる可能性がある。
【0042】
そのため、図5の回路では、制御回路用電源と切り替えfd回路の出力ラインとを接続するライン上にラインフィルタを設け、制御回路用電源で発生したノイズの影響を低減することを可能とする。
【0043】
図7は、他の実施形態によるコントローラを備えた電源切替え装置の構成を示す図面である。図7のコントローラは、図3等のコントローラに相当する要素である。図7のコントローラに、A側、B側2系統の交流入力をリレーによって切り替えてAC出力とする。
【0044】
図7のコントローラは、電圧調整回路(アッテネータに相当)、ハイパスフィルタ、整流回路(絶対値回路に相当)、第一のコンパレータ、ローパスフィルタ、第2のコンパレータおよびロジック回路を有する。図7のコントローラはさらに、コントローラ内の各部に電力を供給するコントローラ電源を備えている。コントローラ電源へは、リレーの出力ラインから電力が供給される。
【0045】
図7のコントローラは、図3などの検知回路とは異なり、複数のコンパレータを備えている。以下、その理由を説明する。
【0046】
図8は、比較例として、コンパレータが単一であると仮定した場合の、コントローラ各部の信号波形を示している。比較例の場合には、入力信号を整流回路で整流して、積分回路(ローパスフィルタに相当)で積分し、コンパレータを用いて二値化している。ここで、リレーを切り替えた場合に発生するショットノイズが、コントローラに入力する。そのため、特にリレーをB側電源からA側電源に復帰させた場合にチャタリングが発生してしまう。
【0047】
そこで、図7のコントローラでは、コンパレータを二つ設けて、発生するショットノイズへの耐性を向上させている。
【0048】
図9は、図7に図示した回路各部の出力信号を示している。以下、図7および図9を用いて説明する。なお、図10は、コントローラの動作を、処理手順の形態で記載したフローチャートである。
【0049】
コントローラの電圧調整回路には、A側電源ラインが入力として接続されている。電圧調整回路は、図10のS1でA側電源ラインから入力するAC入力信号を降圧する(S2)。電圧調整回路で降圧された入力信号は、ハイパスフィルタによってAC周波数以下の周波数成分が除去される(S3)。その後、信号は整流回路によって全波整流され(S4)、第一のコンパレータに入力する。
【0050】
第一のコンパレータは、入力する信号の電圧値に応じた値を持つ二値信号を出力する(S5)。図7の例では、入力信号の電圧が所定以上の場合にローレベルの信号を、入力信号の電圧が所定以下の場合にハイレベルの信号を出力する。図9の整流波形に示した点線は、コンパレータの閾値電圧を示している。図9に示すように、整流波形の電圧が閾値以上の場合にはコンパレータ出力はハイレベルとなり、整流波形の電圧が閾値以下の場合にはコンパレータ出力はローレベルとなる。
【0051】
第一コンパレータによって二値化された信号は、ローパスフィルタ、つまり積分回路に入力する。ローパスフィルタは入力信号を積分し、ノイズ成分が除去される(S6)。次に、積分回路出力は第二のコンパレータに入力する。
【0052】
第二のコンパレータは、入力信号の電圧が閾値以上の場合にハイレベルの信号を出力して、入力信号の電圧が閾値以下の場合にローレベルの信号を出力する。図9の積分回路出力波形に示されている点線は、第二のコンパレータの閾値電圧を示している。
【0053】
この後、第二のコンパレータ出力はロジック回路を介してリレーに入力する。リレーはコントローラからの出力信号に応じて、A側電源ラインとB側電源ラインとの一方に切り替える。図7の例では、コントローラ出力がローレベルの場合にはA側電源ラインに、ハイレベルの場合にはB側電源ラインに、それぞれリレーが切り替えられる。
【0054】
図11は、図7に示した回路の動作を示すフローチャートである。
【0055】
定常状態では、コントローラはA側電源ラインの電圧を監視している(S11、S12)。その動作は図7、図9、図10に関連して説明したとおりである。
【0056】
A側電源ライン監視の結果、A側電源ラインからのAC入力が断たれたことが検出された場合には(S13、YES)、コントローラからリレーに対し、A側電源ラインからB側電源ラインへの切り替えを指示する信号が出力される(S14)。これにより、リレーはB側電源ラインに切り替えられ、サーバに対してB側電源ラインを介して電力が供給される。
【0057】
この後も、コントローラは定常的にA側電源ラインの電圧監視を行う(S15)。その結果、Aが側電源ラインからのAC供給が復帰した場合には(S16、YES)、A側電源の復帰から一定時間が経過した後に、動作が安定したか否かの確認を行う(S17)。安定が確認された場合には(S17、YES)、その後コントローラからリレーに切り替え信号が出力される(S18)。この切り替え信号受信に応じて、リレーはB側電源ラインからA側電源ラインに切り替えられ、サーバに対するA側電源ラインからの電力供給が復帰する。
【0058】
一方、安定が確認されなかった場合(S17、NO)、切り替え信号はリレーには出力されない。そのため、B側電源からサーバへの電力供給状態が維持される。
【0059】
図7の例では、アナログ的な回路を用いた場合の例を示したが、コントローラの機能は部分的にデジタル的な処理で行うことが可能である。
【0060】
図12は、一部の機能をデジタル処理で置き換えた場合のコントローラの構成を示す図面である。図12の例では、整流回路の後段に1チップマイコンが設けられている。
【0061】
図13は、図12に示すコントローラのおおまかな処理を示した図面である。図12のコントローラを構成する要素のうち、電圧調整回路、ハイパスフィルタおよび整流回路はアナログ的に動作するので、まずアナログ部による処理が実行される(S22)。その後、1チップマイコンつまりデジタル部によって処理が行われる(S23)。
【0062】
図14は、アナログ部による動作の手順をフローチャートの形式で記載した図面である。図12の回路では、電圧調整回路によって、コントローラに入力した信号が降圧され(S32)、ハイパスフィルタによってAC周波数以下の周波数成分が除去された後(S33)、整流回路で全波整流が行われる(S34)。この動作は、図7に示した回路の動作と同様なものである。
【0063】
図15は、図12の回路のデジタル部による処理手順を示すフローチャートである。図12の回路の例では、デジタル部である1チップマイコンには、あらかじめ図15の処理を実行するためのプログラムが設定されているものとする。なお、特に図示はしないが、1チップマイコンの外部に、図15の処理を1チップマイコンに行わせるためのプログラムを記憶したメモリなどを設けてもよいことはいうまでもない。
【0064】
デジタル部に信号が入力すると、入力信号がサンプリングされた後、コンパレータに相当する処理が実行される(S41)。コンパレータの処理として、図7の回路と同様に、入力信号がハイレベルの場合にローレベルの信号が、入力信号がローレベルの場合にハイレベルの信号が、それぞれ出力されるものとする。
【0065】
続いて、コンパレータ出力信号の電圧が、電圧閾値以上か否かが判定される(S42)。コンパレータからの信号電圧が電圧閾値以上の場合(S42、YES)には、値が「0」のフラグが設定され、コンパレータからの信号電圧が電圧閾値以下の場合(S42、NO)には、値が「1」のフラグが設定される。これらのフラグは、コンパレータによる判断結果を示す値が設定されるものであり、値が「0」の状況では、A側電源からの信号電圧が低下していることになる。
【0066】
1チップマイコンでは次いで、コンパレータが出力するフラグの値を判別する処理が行われる(S43)。この処理では、値が「0」のフラグがあらかじめ設定された閾値個数分連続しているか否か、言い換えるとA側電源からの信号出力が低下している状況が所定時間以上継続しているか否かが判定される。
【0067】
値が「0」のフラグが閾値数分だけ続いている場合(S43、YES)には、A側電源がダウンしたものとして、コントローラからリレーに対してA側電源からB側電源に切り替えを指示する切り替え信号が出力される(S44)。
【0068】
一方、値が「0」のフラグが閾値数続いていない場合(S43、NO)には、続いて、値が「1」のフラグが閾値数以上続いているか否かが判別される(S45)。A側電源がダウンしている状態で、値が「1」のフラグが閾値数以上続いている場合(S45、YES)には、A側電源が復帰したと考えることができる。この場合には、コントローラからリレーに対し、B側電源からA側電源に切り替えるための切り替え信号が出力される(S46)。
【0069】
また、値が「1」のフラグも閾値数続いていない場合には(S45、NO)、処理を終了し、以降のフラグ判別の状態により、必要に応じてリレー動作を切り替えるための切り替え信号がコントローラからリレーに出力される。
【0070】
図16は、実施形態による電源切替え装置の更なる変形例を示す図面である。
【0071】
図16に示す回路は、供給電力が直流の場合のコントローラと周辺回路の構成例を示す。図16に示すリレーには、A側電源ラインとB側電源ラインとの2つのDC電源ラインが接続されている。また、コントローラにはA側電源ラインが接続されている。
【0072】
図16の例ではDC電源を扱っているため、交流信号を整流するための整流回路や、低周波成分を除去するハイパスフィルタは必要ではない。コントローラに入力した信号は、電圧調整回路によって降圧された後、図7に示す回路と同様に、第一のコンパレータ、ローパスフィルタ、第二のコンパレータ、ロジック回路を介して、切り替え信号としてリレーに供給される。
【0073】
ここで、電源供給系統を切り替えた場合、負荷の電源回路などから電流が逆流してくる可能性がある。しかし、図16の例では直流電流を扱っているため、リレーと負荷との間に逆流防止用のダイオードを付加することで、電流の逆流を防止することが可能である。
【0074】
図17は、図16に図示した回路の変形例である。図17の回路は、図16に示す第一のコンパレータ、ローパスフィルタ、第二のコンパレータ、ロジック回路の機能を、デジタル的な処理を実行する1チップマイコンに実行させるものであり、図12と同様な動作を行うものである。
【0075】
図18は、更なる変形例による回路を開示するものであり、リレーに交流のA側電源ラインと、直流のB側電源ラインとが入力として接続された例を示している。定常時には、A側電源ラインからの電流をAC−DCコンバータで直流電流に変換して、リレーを介して負荷に供給する。一方、B側電源ラインは予備用電力源として用いられるものであり、たとえばバッテリーが接続される。A側電源ラインからの電力供給が断たれた場合には、リレーがB側電源ラインに切り替えられる。これによって、B側電源ラインから供給される直流電流がリレーを介して負荷に供給される。
【0076】
図19は、交流電源と直流電源とを併用した場合の回路例を示す図面である。図19(A)はダイオードOR回路を用いた例を、図19(B)はSTS回路を用いた例を、それぞれ示す。
【0077】
図19(A)および図19(B)において、バッテリーは図18に示すB側電源に相当する。図19(A)の例では、ダイオードをかいしてB側電源であるバッテリーを負荷側に接続している。また、負荷の手前には逆流防止ダイオードが接続される。図19(A)の回路では、A側からの電圧が低下して、B側電圧>A側電圧という関係になった場合、即座にバッテリーから負荷に電力が供給される。
【0078】
図19(A)の例は、ダイオードを用いるだけでよいため、回路を構成する部品点数が少なくなる。しかしながら、ダイオードを介してB側電源であるバッテリーが負荷に接続されているため、ダイオードによる電圧降下が生じてしまう。
【0079】
また、A側電源がダウンしていなくても、A側電源の電圧が変動する可能性がある。この場合には、A側電源とB側電源との双方の電源から電力が供給されることになってしまう。そして、バッテリーは実質的に負荷に接続された状態となっているため、バッテリーの自然消耗が起きる可能性がある。そのため図19(A)の例では2次電池や充電回路が必要となる。
【0080】
これに対し、図19(B)の例では、電源系統の切り替えにSTS回路を用いている。図19(B)の回路はそのため、図19(A)の回路と比較すると部品点数が増える。しかしながら、図19(B)の回路ではダイオードを用いていないため、電圧損失の要素となりえるのはリレーの接触抵抗のみとなる。また、図19(B)の例ではリレーを用いているため、A側電源のラインとB側電源のラインとを絶縁することが可能である。そのため、A側電源が正常に動作している状況では、B側電源であるバッテリーの消耗を抑えることが可能であり、バッテリーの寿命を図19(B)の回路と比較して延ばすことが期待できる。したがって、図19(B)の回路では、状況によっては1次電池の利用を考慮することも可能である。
【0081】
図20は、負荷としてのサーバの電源回路からの電流逆流を説明する図面である。図20では、リレーは図示省略している。
【0082】
A側電源とサーバの電源回路との間には、A側電源の電圧を監視するコントローラが設けられている。サーバの電源回路には、入力容量とインダクタとが存在する。通常時にサーバに電力が供給されている状態で、電源回路の入力容量とインダクタに電力が溜まる。ここでA側電源がダウンし、サーバに電力が供給されなくなった場合には、サーバ電源回路の入力容量やインダクタに蓄積した電力が、コントローラ側に逆流する可能性が出てくる。
【0083】
コントローラに電流が逆流すると、コントローラが検出すべき電圧値がすぐには0Vとはならないため、コントローラの誤検出が生じ、A側電源がダウンしているにもかかわらずコントローラが電源断を検出できず、リレーの切り替えが遅れる可能性がある。
【0084】
ここで、コントローラでは電圧調整回路によって、入力電圧を降圧しているが、電圧調整回路出力がほぼ一定になるように対応している。そのため、A側電源から供給される電圧が高い高出力状態の場合には、サーバの電源回路の入力容量やインダクタに溜まった電力に基づく逆流電流の電圧値はピークの電圧値と比較して相対的に低くなるため、コントローラの誤検出によるリレー切り替え遅延の影響はそれほど大きくならない(図21(b))。
【0085】
これに対し、低出力の状態では、もともとの入力電圧が小さいため、逆流電流の電圧値が相対的に大きなものとなり、コントローラによる電圧監視動作に大きな影響を与えることになってしまう(図21(a))。
【0086】
このような逆流電流の影響を小さくするために、コントローラの入力側にハイパスフィルタを設けるという対応も可能である(図21(c))。しかし、ハイパスフィルタを設けることで、消費電力が増加するという問題も生じ得る。そのため、低出力時の切り替え遅延の影響と、ハイパスフィルタを設けることの消費電力増加との相関を考慮して、両者のバランスを取ることができるようにハイパスフィルタの特性を決定することが重要となる。なお、適切なハイパスフィルタの特定は、電力を供給する装置や使用環境などによっても変化しうるため、ここでは詳細な特性については説明を省略する。
【0087】
図22は、各部の回路構成例を示す図面である。上記の装置は、たとえば図22のような回路構成で実現可能である。
【0088】
リレースイッチには、2系統の200ボルトの交流電流が入力する。また、リレースイッチにはリレーRY1、RY2が設けられ、電源回路に入力する電流を切り替える。通常時は、図示上側の電力系統にリレーは切り替えられている。
【0089】
リレースイッチから出力した電流は電源回路を介して、サーバなどの負荷に供給される。また、リレー出力は、電源断検出回路にも入力する。
【0090】
電源断検出回路には、ハイパスフィルタHPF、整流回路、第一のコンパレータ、ローパスフィルタLPFおよび第二のコンパレータが設けられており、第二のコンパレータ出力はロジック部に入力する。
【0091】
ロジック部は、図示CN2より、リレー切り替え信号を出力する。
【0092】
リレー駆動回路は、ロジックから出力された信号に応じて、リレーRY1、RY2を切り替える。
【0093】
なお、第1コンパレータ、ローパスフィルタ、第2のコンパレータ、ロジック部は、必要に応じて1チップマイコン化が可能である。
【0094】
図23は、実施形態による電源切替え装置の応用例を説明する図面である。
【0095】
図23は、n台のサーバがサーバラックに搭載された例を図示している。サーバラック内にはコンセントバーが設けられている。また、サーバラックにはA回路とB回路との、2つの電源供給用回路が接続されている。
【0096】
図23図示下端には、B回路の電圧を検出するための検知回路が設けられている。また、コンセントバーの内部には、各サーバに対応して、本実施形態による電源切り替え回路が設けられている。検知回路は、各電源切り替え回路に接続されており、B回路の電圧検出の結果に応じて、各電源切り替え回路に切り替え信号を出力する。
【0097】
図23のようにサーバラック内に電源切り替え回路と検知回路とを設けることで、検知回路や電源切り替え回路と各サーバとの距離を大きくとらなくてもよくなる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の電源切替え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数のサーバを一カ所に設置したデータセンタの普及が進んでいる。データセンタには、サーバを高密度かつ大量設置するが前提となっているため、コスト、サイズ双方の関係から個々のサーバの冗長性を集約する傾向が出てきている。
【0003】
例えば、電源の停止によるサーバ装置運用停止を防ぐ目的で、サーバの電源としてUPS(無停電電源装置、Uninterruptible Power Supply)が用いられている。UPSを用いる場合、個別のサーバ単位、あるいはラック単位で小容量のUPSを設置するという対応が取られているが、これとは別に、大容量のUPSをデータセンタなどのファシリティに複数設置するという代替手段がとられることもある。
【0004】
大容量のUPS装置を用いる場合、一台のUPSが担当するサーバの台数が増えてくるために、UPSに必要とされる信頼性は、小容量のUPSを用いる場合と比較して、必然的に高くなってくる。
【0005】
UPSの信頼性を保ちつつ、サーバの電源系の信頼性を得る対応として、無瞬断電源切り替え装置(Static Transfer Switch、以下「STS」と称する)といわれる装置が用いられている。STSには、電源入力として2系統の交流電源入力が設けられ、一系統の電源入力がダウンした場合には即座にもう一系統の電源入力に切り替えて、サーバへの電源供給を継続する対応が取られている。
【0006】
図24は、STSを用いたサーバシステムの一例である。図24の例では、各サーバがPSUを搭載しており、各PSUに一台のSTSが接続されている。図24の例では計4台のサーバが設置されていることから、計4台のSTSが設けられる。
【0007】
各STSには、A側の系統の電源と、B側の系統の電源との、互いに独立した電源系統が接続されている。図24の例では、A側が主系統、B側が呼び系統の電源系統であるものとする。STSは、主系統の電源がダウンした場合に、サーバに影響を与えないように予備系統、つまりB側の系統に電源系統を切り替える。
【0008】
図25は、STSの構成の概要を示す図面である。STSはその内部にリレースイッチが設けられている。リレースイッチは、コントローラの制御によって、サーバに供給する電源の系統をA側、B側の一方に切り替える。たとえば、A側の系統から電源が供給されている状態でA側系統の電源がダウンした場合、コントローラはこれを検出し、リレースイッチを制御する。コントローラの制御によってリレースイッチがA側からB側に切りかえられ、サーバにはB側の系統から電源が供給されることになる。
【0009】
データセンタでは、建屋の特定箇所にUPSを集約するという対応が取られる。しかし、この場合には、UPS/STSとサーバとを接続するための配線が長くなってしまい、コストあるいはメンテナンスの容易さという面からは不利になる。
【0010】
以下は、電源装置に関連する技術を開示する先行技術文献の例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−264367号公報
【特許文献2】特開2002−034177号公報
【特許文献3】特開2007−215344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
瞬間的な停電(瞬断)の影響からサーバを守るためには、交流の半サイクル以下で切り替えができることが望ましい。交流電力の周波数が60hzであれば8ms、50hzであれば10msが半サイクルに相当する。
【0013】
半導体リレーは一般的に高速動作が可能であり、半導体リレーをSTSに用いれば瞬断の検出から1ms程度の期間でUPSの切り替えも可能となる。しかし、装置が比較的高価になるという問題がある。また、半導体リレーが故障した場合にはショートモードとなってしまうため、STSに保護回路を設ける必要が出てきてしまう。
【0014】
これに対し、機械式リレーは比較的安価ではあるが、切り替えの時間に5ms程度の時間を要してしまい、半サイクル以下での切り替えを実現するには切り替え時間が遅い。
【0015】
本発明は、瞬断の検出時における切り替えの信頼性を向上した電源切り替え装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、その一形態において、負荷に供給する電源を、第一の電源と第二の電源との間で切り替える電源切替え装置において、前記第一の電源あるいは前記第二の電源の一方に接続された、電源から入力する信号の大きさに応じたレベルを持つ二値の信号を出力する第一のコンパレータと、前記第一のコンパレータ出力を積分する積分回路と、前記積分回路から入力する信号の大きさに応じたレベルを持つ二値の信号を出力する第二のコンパレータとを備えた制御部と、前記第一の電源と前記第二の電源とが入力側に接続され、前記第二のコンパレータ出力信号の値に応じて、出力する電流を前記第一の電源から供給される電流と前記第二の電源から供給される電流とのいずれかに切り替える切り替え部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一形態によれば、電源切り替え時の信頼性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による情報処理システムの構成を示す図面である。
【図2】情報処理システムの一変形例を示す図面である。
【図3】コントローラと切り替え回路との構成を示す図面である。
【図4】コントローラと切り替え回路との各部の信号波形を示す図面である。
【図5】コントローラの変形例を示す図面である。
【図6】コントローラ各部の信号波形を示す図面である。
【図7】コンパレータを二つ備えた電源切替え装置の構成を示す図面である。
【図8】コンパレータが単一と仮定した場合のコントローラ各部の信号波形を示す図面である。
【図9】コンパレータを二つ備えた電源切替え装置の各部の信号波形を示す図面である。
【図10】コントローラの動作を処理手順として記載したフローチャートである。
【図11】電源切替え装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】1チップマイコンを用いたコントローラを有する電源切替え装置の構成を示す図面である。
【図13】電源切替え装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】アナログ部の動作を示すフローチャートである。
【図15】デジタル部の動作を示すフローチャートである。
【図16】直流電源に接続された電源切替え装置の構成を示す図面である。
【図17】逆流防止した電源切替え装置の構成を示す図面である。
【図18】逆流防止した電源切替え装置の構成を示す図面である。
【図19】交流電源と直流電源とに接続された電源切替え装置の構成を示す図面である。
【図20】サーバからの電流逆流を示す図面である。
【図21】逆流電流の影響を説明する図面である。
【図22】電源切り替え装置等の回路例を示す図面である。
【図23】電源切替え装置の応用例を示す図面である。
【図24】STSを用いたサーバシステムの一例を示す図面である。
【図25】STSの構成の概要を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による情報処理システムの構成を示す。
【0020】
図1の情報処理システムは、複数のサーバ(サーバ1〜サーバn)を有するシステムを例示している。
【0021】
図1に示す各サーバには、UPS-AとUPS-Bとの二つのUPSから電源が供給される。また、各サーバに対応して、サーバに電源を供給するUPSをUPS-AとUPS-Bとの間で切り替えるスイッチSW1〜SWnが設けられている。
【0022】
また、各UPSの動作状態、具体的に言えば電圧を検知する検知回路が図1の情報処理システムに設けられている。検知回路は、UPS-AとUPS-Bとの双方に接続されており、検知したUPSの状況に応じて、UPS-A側あるいはUPS-B側のいずれの側に切り替えるのかを指示する信号を各スイッチに送出する。各スイッチは、検知回路からの信号に基づいて、UPS-A側あるいはUPS-B側に切り替える。
【0023】
図1の例では、複数のサーバ1〜サーバnはラックに搭載されており、スイッチSW1〜SWn、検知回路もラック内に搭載される。一方、双方のUPSは、ラックが設置された建屋内など、ラックの外部に設けられる。
【0024】
図1では、複数のスイッチがひとつの検知回路を共有しているため、サーバ毎に検知回路を設ける必要はなくなる。
【0025】
図2は、情報処理システムの一変形例である。図2の要素のうち、図1に共通なものについては説明を省略する。図2の例では、検知回路が2つ設けられている。各検知回路は、それぞれ別のUPSの電圧を監視する。具体的には、検知回路AはUPS−Aに、検知回路BはUPS−Bに接続され、接続しているUPSの電圧を監視している。また、検知回路間は相互に接続されており、相互に状況を通知する。
【0026】
図2では、検知回路Aと検知回路Bとは、互いに異なるスイッチに接続されている。検知回路AはスイッチSW1、SW3・・・に接続され、これらのスイッチのオンオフを制御する。また、検知回路BはスイッチSW2・・・、SWnに接続され、これらスイッチのオンオフを制御する。
【0027】
各検知回路は、定常状態では各UPSが電力を供給するサーバの数を、各UPSの定格の50%でバランスさせるよう、各スイッチを制御する。そして、各検知回路は、自身が電圧監視をしているUPSがダウンしたことを検知した場合には、ダウンしたUPSから電力が供給されているサーバに対応するスイッチを切り替え、他方のUPSからの電源供給を可能とする。
【0028】
図3は、本実施形態の検知回路(コントローラ)と切り替え回路(スイッチ)との構成を示す図面である。また、図4は図3に示す回路各部の信号波形を示す図面である。図4において、(a)はA側電源ラインからの入力信号波形を、(b)は絶対値回路の出力波形を、(c)は積分回路の出力波形を、(d)は切替え装置トリガ出力波形を、(e)は切替え装置の出力波形を、それぞれ示している。
【0029】
図3は、A側電源とB側電源との2つの交流電源が設けられ、定常状態ではA側電源から電源をサーバに供給し、B側電源を予備用電源として用いる例を示している。
【0030】
図3に示すように、本実施形態のコントローラは、アッテネータ、絶対値回路、積分回路、コンパレータを備え、またこれらの要素に電力を供給する制御回路用電源を有する。
【0031】
図3の例では、コントローラにはA側電源からのラインが接続されている。図4に示す例では、(a)に示すようにA側電源ラインから入力する信号は、一部波形が欠けている。これは、瞬断などが発生している状態を示している。
【0032】
A側電源ラインから入力した電源電圧はアッテネータによって減衰させられ、絶対値回路に入力する。絶対値回路は、図4(b)に示すように、入力した交流電源の絶対値を示す信号を出力する。図4では、絶対値回路出力信号は正の値を持つ信号として出力される。
【0033】
絶対値回路から出力した信号は積分回路に入力し、図4(c)に示すように積分された信号が出力する。図4に示すように、積分回路出力は常時飽和させられている。積分回路からの出力信号は、A側電源ラインからの電源電圧が供給されているか否か、言い換えるとA側電源が動作しているかあるいはダウンしているかを示す信号となっている。図4の例で、A側電源ラインからの入力信号波形が欠けている部分に対応する位置では、積分回路の出力信号は0Vとなっている。
【0034】
積分回路からの出力信号はコンパレータに入力する。コンパレータは、図4(c)に示す閾値と入力する信号とを比較し、入力する信号の値に応じた、1または0の二値の値を持つ信号を切り替え信号として出力する。図3の例では、入力信号が高いレベルの場合には0の、入力信号が低いレベルの場合には1の値を持つ信号を出力するものとする。
【0035】
切り替え回路は、リレーとリレードライバとを備える。図3の例では、ドライバは機械式ドライバである。機械式リレーには、A側電源ラインとB側電源ラインとが入力として接続されており、サーバなどに接続される出力ラインが出力として接続されている。
【0036】
リレードライバは、コントローラから出力される切り替え信号の値によって、機械式リレーをA側電源ラインあるいはB側電源ラインの一方に切り替える。定常時、つまりA側電源が動作している状態では、機械式リレーはA側電源ラインの側に切り替えられる。図4(d)に示す切替え装置トリガ出力は、コントローラからリレードライバに出力される切り替え信号波形に対応する。切り替え装置トリガ出力は、図4に示す(1)のようにA側電源のダウンから2ms以内に出力される。つまり、コントローラはA側電源のダウンを2ms以内に検出可能であることを示す。
【0037】
切り替え信号を受けたリレードライバはリレーを切り替える。図4(e)の切り替え装置出力波形は、A側電源からB側電源への切り替えを考慮した、切替え装置からの信号出力波形を示している。A側電源がダウンすると、一時的に切替え装置からの出力信号は0Vとなるが、図4の(2)に示すように、A側電源のダウンから8ms以内にB側電源にリレーが切り替えられ、サーバ等に供給される電源を復帰させることができる。
【0038】
図3の回路では、積分回路を常時飽和させているため、積分回路の出力低下を検出することによって電源信号の半サイクル以下でのリレー切り替えを可能としている。
【0039】
なお、コントローラの制御回路用電源は、その動作電源が切り替え回路の出力ラインから供給されている。このため、A側電源がダウンしても、B側電源にリレーを切り替えることで、制御回路用電源にも電力を安定して供給することができる。
【0040】
図5は、コントローラの一変形例を示す図面である。また、図6は、図3における各部の信号波形を示す図面である。図6において、(a)はA側入力の信号波形を、(b)は絶対値回路の出力波形を、(c)は積分回路の出力波形を、(d)は切替え装置トリガ出力波形を、それぞれ示している。
【0041】
図3の例では、切り替え回路の出力ラインと制御回路用電源とが電気的に接続されている。そのため、A側電源ラインがダウンしたときに制御回路用電源でノイズが発生してしまうと、これば出力ライン−機械式リレーを介してコントローラに逆流してしまう。図5の細矢印は、電流の逆流の態様を示すものである。図6のA側入力波形(a)では、制御回路用電源からのノイズが逆流した状態の波形を示している。図6(a)に示す波形の(1)の部分が逆流ノイズに相当する。A側電源ラインがダウンしたにも関わらずコントローラに電流が逆流することによって、絶対値回路出力は図6(b)のように変化する。図6(b)の絶対値回路出力は、図4と比較してなだらかに変化する。そのため、積分回路出力は図6(c)のように変化し、積分回路出力が閾値以下となるタイミングは図4の場合よりも遅延する。したがって、図6(e)に示すように、切り替え信号がリレードライバに出力されるタイミングが遅延し、リレーが切り替えられる時間が遅れてしまう問題が生じる可能性がある。
【0042】
そのため、図5の回路では、制御回路用電源と切り替えfd回路の出力ラインとを接続するライン上にラインフィルタを設け、制御回路用電源で発生したノイズの影響を低減することを可能とする。
【0043】
図7は、他の実施形態によるコントローラを備えた電源切替え装置の構成を示す図面である。図7のコントローラは、図3等のコントローラに相当する要素である。図7のコントローラに、A側、B側2系統の交流入力をリレーによって切り替えてAC出力とする。
【0044】
図7のコントローラは、電圧調整回路(アッテネータに相当)、ハイパスフィルタ、整流回路(絶対値回路に相当)、第一のコンパレータ、ローパスフィルタ、第2のコンパレータおよびロジック回路を有する。図7のコントローラはさらに、コントローラ内の各部に電力を供給するコントローラ電源を備えている。コントローラ電源へは、リレーの出力ラインから電力が供給される。
【0045】
図7のコントローラは、図3などの検知回路とは異なり、複数のコンパレータを備えている。以下、その理由を説明する。
【0046】
図8は、比較例として、コンパレータが単一であると仮定した場合の、コントローラ各部の信号波形を示している。比較例の場合には、入力信号を整流回路で整流して、積分回路(ローパスフィルタに相当)で積分し、コンパレータを用いて二値化している。ここで、リレーを切り替えた場合に発生するショットノイズが、コントローラに入力する。そのため、特にリレーをB側電源からA側電源に復帰させた場合にチャタリングが発生してしまう。
【0047】
そこで、図7のコントローラでは、コンパレータを二つ設けて、発生するショットノイズへの耐性を向上させている。
【0048】
図9は、図7に図示した回路各部の出力信号を示している。以下、図7および図9を用いて説明する。なお、図10は、コントローラの動作を、処理手順の形態で記載したフローチャートである。
【0049】
コントローラの電圧調整回路には、A側電源ラインが入力として接続されている。電圧調整回路は、図10のS1でA側電源ラインから入力するAC入力信号を降圧する(S2)。電圧調整回路で降圧された入力信号は、ハイパスフィルタによってAC周波数以下の周波数成分が除去される(S3)。その後、信号は整流回路によって全波整流され(S4)、第一のコンパレータに入力する。
【0050】
第一のコンパレータは、入力する信号の電圧値に応じた値を持つ二値信号を出力する(S5)。図7の例では、入力信号の電圧が所定以上の場合にローレベルの信号を、入力信号の電圧が所定以下の場合にハイレベルの信号を出力する。図9の整流波形に示した点線は、コンパレータの閾値電圧を示している。図9に示すように、整流波形の電圧が閾値以上の場合にはコンパレータ出力はハイレベルとなり、整流波形の電圧が閾値以下の場合にはコンパレータ出力はローレベルとなる。
【0051】
第一コンパレータによって二値化された信号は、ローパスフィルタ、つまり積分回路に入力する。ローパスフィルタは入力信号を積分し、ノイズ成分が除去される(S6)。次に、積分回路出力は第二のコンパレータに入力する。
【0052】
第二のコンパレータは、入力信号の電圧が閾値以上の場合にハイレベルの信号を出力して、入力信号の電圧が閾値以下の場合にローレベルの信号を出力する。図9の積分回路出力波形に示されている点線は、第二のコンパレータの閾値電圧を示している。
【0053】
この後、第二のコンパレータ出力はロジック回路を介してリレーに入力する。リレーはコントローラからの出力信号に応じて、A側電源ラインとB側電源ラインとの一方に切り替える。図7の例では、コントローラ出力がローレベルの場合にはA側電源ラインに、ハイレベルの場合にはB側電源ラインに、それぞれリレーが切り替えられる。
【0054】
図11は、図7に示した回路の動作を示すフローチャートである。
【0055】
定常状態では、コントローラはA側電源ラインの電圧を監視している(S11、S12)。その動作は図7、図9、図10に関連して説明したとおりである。
【0056】
A側電源ライン監視の結果、A側電源ラインからのAC入力が断たれたことが検出された場合には(S13、YES)、コントローラからリレーに対し、A側電源ラインからB側電源ラインへの切り替えを指示する信号が出力される(S14)。これにより、リレーはB側電源ラインに切り替えられ、サーバに対してB側電源ラインを介して電力が供給される。
【0057】
この後も、コントローラは定常的にA側電源ラインの電圧監視を行う(S15)。その結果、Aが側電源ラインからのAC供給が復帰した場合には(S16、YES)、A側電源の復帰から一定時間が経過した後に、動作が安定したか否かの確認を行う(S17)。安定が確認された場合には(S17、YES)、その後コントローラからリレーに切り替え信号が出力される(S18)。この切り替え信号受信に応じて、リレーはB側電源ラインからA側電源ラインに切り替えられ、サーバに対するA側電源ラインからの電力供給が復帰する。
【0058】
一方、安定が確認されなかった場合(S17、NO)、切り替え信号はリレーには出力されない。そのため、B側電源からサーバへの電力供給状態が維持される。
【0059】
図7の例では、アナログ的な回路を用いた場合の例を示したが、コントローラの機能は部分的にデジタル的な処理で行うことが可能である。
【0060】
図12は、一部の機能をデジタル処理で置き換えた場合のコントローラの構成を示す図面である。図12の例では、整流回路の後段に1チップマイコンが設けられている。
【0061】
図13は、図12に示すコントローラのおおまかな処理を示した図面である。図12のコントローラを構成する要素のうち、電圧調整回路、ハイパスフィルタおよび整流回路はアナログ的に動作するので、まずアナログ部による処理が実行される(S22)。その後、1チップマイコンつまりデジタル部によって処理が行われる(S23)。
【0062】
図14は、アナログ部による動作の手順をフローチャートの形式で記載した図面である。図12の回路では、電圧調整回路によって、コントローラに入力した信号が降圧され(S32)、ハイパスフィルタによってAC周波数以下の周波数成分が除去された後(S33)、整流回路で全波整流が行われる(S34)。この動作は、図7に示した回路の動作と同様なものである。
【0063】
図15は、図12の回路のデジタル部による処理手順を示すフローチャートである。図12の回路の例では、デジタル部である1チップマイコンには、あらかじめ図15の処理を実行するためのプログラムが設定されているものとする。なお、特に図示はしないが、1チップマイコンの外部に、図15の処理を1チップマイコンに行わせるためのプログラムを記憶したメモリなどを設けてもよいことはいうまでもない。
【0064】
デジタル部に信号が入力すると、入力信号がサンプリングされた後、コンパレータに相当する処理が実行される(S41)。コンパレータの処理として、図7の回路と同様に、入力信号がハイレベルの場合にローレベルの信号が、入力信号がローレベルの場合にハイレベルの信号が、それぞれ出力されるものとする。
【0065】
続いて、コンパレータ出力信号の電圧が、電圧閾値以上か否かが判定される(S42)。コンパレータからの信号電圧が電圧閾値以上の場合(S42、YES)には、値が「0」のフラグが設定され、コンパレータからの信号電圧が電圧閾値以下の場合(S42、NO)には、値が「1」のフラグが設定される。これらのフラグは、コンパレータによる判断結果を示す値が設定されるものであり、値が「0」の状況では、A側電源からの信号電圧が低下していることになる。
【0066】
1チップマイコンでは次いで、コンパレータが出力するフラグの値を判別する処理が行われる(S43)。この処理では、値が「0」のフラグがあらかじめ設定された閾値個数分連続しているか否か、言い換えるとA側電源からの信号出力が低下している状況が所定時間以上継続しているか否かが判定される。
【0067】
値が「0」のフラグが閾値数分だけ続いている場合(S43、YES)には、A側電源がダウンしたものとして、コントローラからリレーに対してA側電源からB側電源に切り替えを指示する切り替え信号が出力される(S44)。
【0068】
一方、値が「0」のフラグが閾値数続いていない場合(S43、NO)には、続いて、値が「1」のフラグが閾値数以上続いているか否かが判別される(S45)。A側電源がダウンしている状態で、値が「1」のフラグが閾値数以上続いている場合(S45、YES)には、A側電源が復帰したと考えることができる。この場合には、コントローラからリレーに対し、B側電源からA側電源に切り替えるための切り替え信号が出力される(S46)。
【0069】
また、値が「1」のフラグも閾値数続いていない場合には(S45、NO)、処理を終了し、以降のフラグ判別の状態により、必要に応じてリレー動作を切り替えるための切り替え信号がコントローラからリレーに出力される。
【0070】
図16は、実施形態による電源切替え装置の更なる変形例を示す図面である。
【0071】
図16に示す回路は、供給電力が直流の場合のコントローラと周辺回路の構成例を示す。図16に示すリレーには、A側電源ラインとB側電源ラインとの2つのDC電源ラインが接続されている。また、コントローラにはA側電源ラインが接続されている。
【0072】
図16の例ではDC電源を扱っているため、交流信号を整流するための整流回路や、低周波成分を除去するハイパスフィルタは必要ではない。コントローラに入力した信号は、電圧調整回路によって降圧された後、図7に示す回路と同様に、第一のコンパレータ、ローパスフィルタ、第二のコンパレータ、ロジック回路を介して、切り替え信号としてリレーに供給される。
【0073】
ここで、電源供給系統を切り替えた場合、負荷の電源回路などから電流が逆流してくる可能性がある。しかし、図16の例では直流電流を扱っているため、リレーと負荷との間に逆流防止用のダイオードを付加することで、電流の逆流を防止することが可能である。
【0074】
図17は、図16に図示した回路の変形例である。図17の回路は、図16に示す第一のコンパレータ、ローパスフィルタ、第二のコンパレータ、ロジック回路の機能を、デジタル的な処理を実行する1チップマイコンに実行させるものであり、図12と同様な動作を行うものである。
【0075】
図18は、更なる変形例による回路を開示するものであり、リレーに交流のA側電源ラインと、直流のB側電源ラインとが入力として接続された例を示している。定常時には、A側電源ラインからの電流をAC−DCコンバータで直流電流に変換して、リレーを介して負荷に供給する。一方、B側電源ラインは予備用電力源として用いられるものであり、たとえばバッテリーが接続される。A側電源ラインからの電力供給が断たれた場合には、リレーがB側電源ラインに切り替えられる。これによって、B側電源ラインから供給される直流電流がリレーを介して負荷に供給される。
【0076】
図19は、交流電源と直流電源とを併用した場合の回路例を示す図面である。図19(A)はダイオードOR回路を用いた例を、図19(B)はSTS回路を用いた例を、それぞれ示す。
【0077】
図19(A)および図19(B)において、バッテリーは図18に示すB側電源に相当する。図19(A)の例では、ダイオードをかいしてB側電源であるバッテリーを負荷側に接続している。また、負荷の手前には逆流防止ダイオードが接続される。図19(A)の回路では、A側からの電圧が低下して、B側電圧>A側電圧という関係になった場合、即座にバッテリーから負荷に電力が供給される。
【0078】
図19(A)の例は、ダイオードを用いるだけでよいため、回路を構成する部品点数が少なくなる。しかしながら、ダイオードを介してB側電源であるバッテリーが負荷に接続されているため、ダイオードによる電圧降下が生じてしまう。
【0079】
また、A側電源がダウンしていなくても、A側電源の電圧が変動する可能性がある。この場合には、A側電源とB側電源との双方の電源から電力が供給されることになってしまう。そして、バッテリーは実質的に負荷に接続された状態となっているため、バッテリーの自然消耗が起きる可能性がある。そのため図19(A)の例では2次電池や充電回路が必要となる。
【0080】
これに対し、図19(B)の例では、電源系統の切り替えにSTS回路を用いている。図19(B)の回路はそのため、図19(A)の回路と比較すると部品点数が増える。しかしながら、図19(B)の回路ではダイオードを用いていないため、電圧損失の要素となりえるのはリレーの接触抵抗のみとなる。また、図19(B)の例ではリレーを用いているため、A側電源のラインとB側電源のラインとを絶縁することが可能である。そのため、A側電源が正常に動作している状況では、B側電源であるバッテリーの消耗を抑えることが可能であり、バッテリーの寿命を図19(B)の回路と比較して延ばすことが期待できる。したがって、図19(B)の回路では、状況によっては1次電池の利用を考慮することも可能である。
【0081】
図20は、負荷としてのサーバの電源回路からの電流逆流を説明する図面である。図20では、リレーは図示省略している。
【0082】
A側電源とサーバの電源回路との間には、A側電源の電圧を監視するコントローラが設けられている。サーバの電源回路には、入力容量とインダクタとが存在する。通常時にサーバに電力が供給されている状態で、電源回路の入力容量とインダクタに電力が溜まる。ここでA側電源がダウンし、サーバに電力が供給されなくなった場合には、サーバ電源回路の入力容量やインダクタに蓄積した電力が、コントローラ側に逆流する可能性が出てくる。
【0083】
コントローラに電流が逆流すると、コントローラが検出すべき電圧値がすぐには0Vとはならないため、コントローラの誤検出が生じ、A側電源がダウンしているにもかかわらずコントローラが電源断を検出できず、リレーの切り替えが遅れる可能性がある。
【0084】
ここで、コントローラでは電圧調整回路によって、入力電圧を降圧しているが、電圧調整回路出力がほぼ一定になるように対応している。そのため、A側電源から供給される電圧が高い高出力状態の場合には、サーバの電源回路の入力容量やインダクタに溜まった電力に基づく逆流電流の電圧値はピークの電圧値と比較して相対的に低くなるため、コントローラの誤検出によるリレー切り替え遅延の影響はそれほど大きくならない(図21(b))。
【0085】
これに対し、低出力の状態では、もともとの入力電圧が小さいため、逆流電流の電圧値が相対的に大きなものとなり、コントローラによる電圧監視動作に大きな影響を与えることになってしまう(図21(a))。
【0086】
このような逆流電流の影響を小さくするために、コントローラの入力側にハイパスフィルタを設けるという対応も可能である(図21(c))。しかし、ハイパスフィルタを設けることで、消費電力が増加するという問題も生じ得る。そのため、低出力時の切り替え遅延の影響と、ハイパスフィルタを設けることの消費電力増加との相関を考慮して、両者のバランスを取ることができるようにハイパスフィルタの特性を決定することが重要となる。なお、適切なハイパスフィルタの特定は、電力を供給する装置や使用環境などによっても変化しうるため、ここでは詳細な特性については説明を省略する。
【0087】
図22は、各部の回路構成例を示す図面である。上記の装置は、たとえば図22のような回路構成で実現可能である。
【0088】
リレースイッチには、2系統の200ボルトの交流電流が入力する。また、リレースイッチにはリレーRY1、RY2が設けられ、電源回路に入力する電流を切り替える。通常時は、図示上側の電力系統にリレーは切り替えられている。
【0089】
リレースイッチから出力した電流は電源回路を介して、サーバなどの負荷に供給される。また、リレー出力は、電源断検出回路にも入力する。
【0090】
電源断検出回路には、ハイパスフィルタHPF、整流回路、第一のコンパレータ、ローパスフィルタLPFおよび第二のコンパレータが設けられており、第二のコンパレータ出力はロジック部に入力する。
【0091】
ロジック部は、図示CN2より、リレー切り替え信号を出力する。
【0092】
リレー駆動回路は、ロジックから出力された信号に応じて、リレーRY1、RY2を切り替える。
【0093】
なお、第1コンパレータ、ローパスフィルタ、第2のコンパレータ、ロジック部は、必要に応じて1チップマイコン化が可能である。
【0094】
図23は、実施形態による電源切替え装置の応用例を説明する図面である。
【0095】
図23は、n台のサーバがサーバラックに搭載された例を図示している。サーバラック内にはコンセントバーが設けられている。また、サーバラックにはA回路とB回路との、2つの電源供給用回路が接続されている。
【0096】
図23図示下端には、B回路の電圧を検出するための検知回路が設けられている。また、コンセントバーの内部には、各サーバに対応して、本実施形態による電源切り替え回路が設けられている。検知回路は、各電源切り替え回路に接続されており、B回路の電圧検出の結果に応じて、各電源切り替え回路に切り替え信号を出力する。
【0097】
図23のようにサーバラック内に電源切り替え回路と検知回路とを設けることで、検知回路や電源切り替え回路と各サーバとの距離を大きくとらなくてもよくなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に供給する電源を、第一の電源と第二の電源との間で切り替える電源切替え装置において、
前記第一の電源あるいは前記第二の電源の一方に接続され、
接続された電源から入力する信号の大きさに応じたレベルを持つ二値の信号を出力する第一のコンパレータと、
前記第一のコンパレータ出力を積分する積分回路と、
前記積分回路から入力する信号の大きさに応じたレベルを持つ二値の信号を出力する第二のコンパレータと、を備えた制御部と、
前記第一の電源と前記第二の電源とが入力側に接続され、前記第二のコンパレータ出力信号の値に応じて、出力する電流を前記第一の電源から供給される電流と前記第二の電源から供給される電流とのいずれかに切り替える切り替え部と、
を備えたことを特徴とする、電源切替え装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源切り替え装置は交流電源に接続され、
前記制御部はさらに、
入力する信号を整流する整流回路と、
前記整流回路で整流された信号から、特定周波数以下の周波数成分を除去するハイパスフィルタとを備え、
前記ハイパスフィルタ出力が前記第一コンパレータに入力することを特徴とする、電源切替え装置。
【請求項3】
請求項記載の電源切替え装置はさらに、
前記電源切替え装置内の動作電源を供給する電源装置を備え、
前記電源装置は前記切り替え部の出力に接続され、前記切り替え部の出力から電源が供給されることを特徴とする、電源切り替え装置。
【請求項1】
負荷に供給する電源を、第一の電源と第二の電源との間で切り替える電源切替え装置において、
前記第一の電源あるいは前記第二の電源の一方に接続され、
接続された電源から入力する信号の大きさに応じたレベルを持つ二値の信号を出力する第一のコンパレータと、
前記第一のコンパレータ出力を積分する積分回路と、
前記積分回路から入力する信号の大きさに応じたレベルを持つ二値の信号を出力する第二のコンパレータと、を備えた制御部と、
前記第一の電源と前記第二の電源とが入力側に接続され、前記第二のコンパレータ出力信号の値に応じて、出力する電流を前記第一の電源から供給される電流と前記第二の電源から供給される電流とのいずれかに切り替える切り替え部と、
を備えたことを特徴とする、電源切替え装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源切り替え装置は交流電源に接続され、
前記制御部はさらに、
入力する信号を整流する整流回路と、
前記整流回路で整流された信号から、特定周波数以下の周波数成分を除去するハイパスフィルタとを備え、
前記ハイパスフィルタ出力が前記第一コンパレータに入力することを特徴とする、電源切替え装置。
【請求項3】
請求項記載の電源切替え装置はさらに、
前記電源切替え装置内の動作電源を供給する電源装置を備え、
前記電源装置は前記切り替え部の出力に接続され、前記切り替え部の出力から電源が供給されることを特徴とする、電源切り替え装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2013−74735(P2013−74735A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212470(P2011−212470)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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