説明

電源用保安器及び電源回路保安装置

【課題】劣化表示回路を小型化し、更に、電源用保安器のメンテナンス時のバリスタ性能確認を正確に行う。
【解決手段】電源用保安器は、電源端子41,42間に接続されたバリスタ46と、このバリスタ45に対して直列に接続されたヒューズ45と、バリスタ46に対して並列に接続され、そのバリスタ46の劣化状態を表示する劣化表示回路50とを備えている。劣化表示回路50は、ヒューズ45を介して駆動電流が供給されると点灯し、ヒューズ45が切れて駆動電流の供給が停止されると消灯するLED52と、このLED5に対して逆極性方向に並列接続されたダイオード53と、LED52に対して直列に接続された電流制限用のコンデンサ51と、LED52及びコンデンサ51に対して直列に接続された電流制限用の抵抗54とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、劣化表示機能付き電源用保安器と、この電源用保安器及びシールド付き高耐電圧の絶縁トランス(絶縁変圧器)を有する電源回路保安装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交流電源側から被保護機器側へ侵入する誘導雷サージ、開閉サージ等の異常電圧から被保護機器を保護するための電源回路保安装置が知られている。
【0003】
図2は、従来の単相用の電源回路保安装置の構成例を示す回路図である。
この単相用の電源回路保安装置は、対接地間の雷サージ防護用のシールド付き高耐電圧の絶縁トランス10と、線間の雷サージ吸収用の電源用保安器(SPD)20とから構成され、一般に耐雷トランスと呼ばれている。
【0004】
シールド付き高耐電圧の絶縁トランス10は、常時交流(以下「AC」という。)電源電圧100V又は200Vが印加される配電線側の入力端子U1,V1に接続された入力側巻線11と、被保護機器側の出力端子U2,V2に接続された出力側巻線12と、この入力側巻線11と出力側巻線12との間に設けられて接地端子Eに接続されたシールド13と、を有している。
【0005】
電源用保安器20は、入力端子U1,V1間に接続され、雷サージ等の異常電圧が線間に印加されると通電し、その線間電圧を除去するものであり、バリスタ等で構成されている。バリスタは、線間電圧が基準値以上の異常電圧のときには抵抗値が小さくなり、線間電圧が基準値よりも小さいときには抵抗値が大きくなる素子である。
【0006】
バリスタは、劣化すると常時通電してしまう可能性が有る。バリスタに過大電流が通電し続けると、このバリスタが焼損する可能性が有り、ひいてはバリスタが内蔵されている電源用保安器20が焼損する可能性も有る。そのため、バリスタに対してヒューズを直列に接続し、バリスタが劣化した場合(即ち、バリスタに過大電流が所定時間通電するようになってしまった場合)には、ヒューズが切れて、バリスタに過大電流が長時間通電されないようにしている。
【0007】
電源用保安器20には、劣化表示機能が付いていないのが現状であるが、安全性等の見地から、ヒューズが切れたこと(言い換えれば、バリスタが劣化したこと)を表示するための劣化表示回路を付加することが望ましい。
【0008】
そこで、劣化表示回路を構成する場合、下記の特許文献1〜3等に記載された発光素子(以下「LED」という。)点灯回路を適用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−238110号公報
【特許文献2】特開2005−341681号公報
【特許文献3】特開2009−218508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の図2に示すような電源用保安器20に、特許文献1〜3等に記載されたLED点灯回路を適用した場合、図3に示すような電源用保安器20の回路構成が考えられる。
【0011】
図3は、図2中の電源用保安器20の構成例を示す回路図である。
この電源用保安器20は、図1中の入力端子U1に接続される第1の電源端子21と、図1中の入力端子V1に接続される第2の電源端子22とを有している。第1及び第2の電源端子21,22間には、ヒューズ23とバリスタ24とが直列に接続され、そのバリスタ24に対して並列に、劣化表示回路25が接続されている。
【0012】
劣化表示回路25は、LED25aと抵抗25bの直列回路により構成されている。LED25aは、ヒューズ23を介して駆動電流が供給されると点灯し、そのヒューズ23が切断されて駆動電流の供給が停止されると消灯する素子である。LED25aは、基本的に定電流で駆動する素子であり、このLED25aを流れる電流をほぼ一定にするために、電流制限用の抵抗25bが接続されている。
【0013】
電源用保安器20において、電源端子21,22間には、AC電源電圧100V又200Vが印加され、バリスタ24がオフ状態になっている。正常時、ヒューズ23が切れていないので、劣化表示回路25に電流が通電され、LED25aが点灯している。これにより、目視で、電源用保安器20が正常(即ち、バリスタ24が正常)であることを確認できる。
【0014】
雷サージ等の異常電圧が電源端子21,22間に印加されると、バリスタ24がオン状態になって、ヒューズ23及びバリスタ24に電流が流れ、その異常電圧が吸収される。この際、劣化表示回路25にも電流が流れ、LED25aが点灯している。
【0015】
異常時、バリスタ24が故障して異常電流が流れ続けると、ヒューズ23が切れる。ヒューズ23が切れると、劣化表示回路25に電流が通電しなくなるので(非通電状態)、LED25aが消灯する。これにより、目視で、電源用保安器20が異常(即ち、バリスタ24が異常)であることを確認できる。
【0016】
なお、劣化表示回路25には通電が必要であるため、対接地間のみを保護するような保安器に劣化表示回路25を付加しても意味がない。これは、通常時に、LED25aに通電するような回路を構成できないからである。
【0017】
しかしながら、図3に示すような電源用保安器20では、以下の(1)、(2)のような課題がある。
【0018】
(1) 電源用保安器20の動作時に、バリスタ24が導通すると、過大なサージ電流の一部が劣化表示回路25にも流れる。そのため、電流制限用の抵抗25bとしては、定格容量と耐電圧の両面を考慮し、定格容量及び耐電圧が高性能なものを用いる必要があり、通常の抵抗よりも外形寸法が大きくなる。その結果、劣化表示回路25の外形寸法が大きくなって、電源用保安器20の小型化が困難である。
【0019】
(2) 電源用保安器20のメンテナンス時、試験機にてバリスタ24の両電極間に直流(以下「DC」という。)電流を通電し、バリスタ24の性能を確認(即ち、制限電圧であるバリスタ電圧が所定値であるか否かを確認)している。例えば、バリスタ24にDC1mAの電流を流した時のバリスタ両電極間のバリスタ電圧値(V1mA)を測定することにより、バリスタ24の劣化状態(即ち、性能)を検知できる。しかし、このDC電流の通電の際、一部のDC電流が、劣化表示回路25に流れ込むため、性能確認の正確性に欠ける。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項1に係る発明の電源用保安器は、第1及び第2の電源端子間に接続され、前記第1及び第2の電源端子間に印加される電圧が基準値以上の異常電圧のときには抵抗値が小さくなり、前記電圧が前記基準値よりも小さいときには前記抵抗値が大きくなるバリスタと、前記第1及び第2の電源端子間において前記バリスタに対して直列に接続され、前記バリスタが劣化して前記バリスタに異常電流が流れ続けると切断されるヒューズと、前記バリスタに対して並列に接続され、前記バリスタの劣化状態を表示する劣化表示回路と、を備えている。
【0021】
そして、前記劣化表示回路は、前記ヒューズを介して駆動電流が供給されると点灯し、前記ヒューズが切断されて前記駆動電流の供給が停止されると消灯するLEDと、前記LEDに対して逆極性方向に並列接続されたダイオードと、前記LEDに対して直列に接続され、前記LEDに流れる前記駆動電流を制限する高耐電圧のコンデンサと、前記LED及び前記コンデンサに対して直列に接続され、前記LED及び前記コンデンサに流れる前記駆動電流を制限する補助用の抵抗と、を有することを特徴とする。
【0022】
請求項2に係る発明の電源用保安器は、接続点と第2の電源端子との間に接続されたバリスタと、第1の電源端子と前記接続点との間に接続された第1のヒューズと、前記バリスタに対して並列に接続された劣化表示回路と、を備えている。
【0023】
そして、前記劣化表示回路は、前記接続点から前記第2の電源端子の方向へ駆動電流が供給されると点灯し、前記駆動電流の供給が停止されると消灯する1つ又は複数のLEDと、前記接続点と前記第2の電源端子との間において前記1つ又は複数のLEDに対して直列に接続された1つ又は複数の第2のヒューズと、前記1つ又は複数のLEDと前記1つ又は複数の第2のヒューズとに対して逆極性方向に並列接続されたダイオードと、前記1つ又は複数のLEDと前記1つ又は複数の第2のヒューズとに対して直列に接続され、前記LED及び前記第2のヒューズに流れる前記駆動電流を制限する高耐電圧のコンデンサと、前記1つ又は複数のLEDと前記1つ又は複数の第2のヒューズとに対して直列に接続され、前記LED、前記第2のヒューズ及び前記コンデンサに流れる前記駆動電流を制限する補助用の抵抗と、を有することを特徴とする。
【0024】
請求項3に係る発明の電源用保安器は、第1及び第2の接続点間に接続された第1のバリスタと、前記第1の接続点と接地端子との間に接続された第2のバリスタと、前記第2の接続点と前記接地端子との間に接続された第3のバリスタと、前記第1の電源端子と前記第1の接続点との間に接続された第1のヒューズと、前記第2の電源端子と前記第2の接続点との間に接続された第2のヒューズと、前記第1のバリスタに対して並列に接続された劣化表示回路と、を備えている。
【0025】
そして、前記劣化表示回路は、前記第1及び第2の接続点を介して駆動電流が供給されると点灯し、前記駆動電流の供給が停止されると消灯するLEDと、前記LEDに対して逆極性方向に並列接続されたダイオードと、前記LEDに対して直列に接続され、前記LEDに流れる前記駆動電流を制限する高耐電圧のコンデンサと、前記LED及び前記コンデンサに対して直列に接続され、前記LED及び前記コンデンサに流れる前記駆動電流を制限する補助用の抵抗と、を有することを特徴とする。
【0026】
請求項4に係る発明の電源用保安器は、第1及び第2の接続点間に接続された第1のバリスタと、前記第2の接続点と第3の接続点との間に接続された第2のバリスタと、前記第1の接続点と前記第3の接続点との間に接続された第3のバリスタと、前記第1の接続点と第4の接続点との間に接続された第4のバリスタと、前記第2の接続点と前記第4の接続点との間に接続された第5のバリスタと、前記第3の接続点と前記第4の接続点との間に接続された第6のバリスタと、第1の電源端子と前記第1の接続点との間に接続された第1のヒューズと、第2の電源端子と前記第2の接続点との間に接続された第2のヒューズと、第3の電源端子と前記第3の接続点との間に接続された第3のヒューズと、前記第4の接続点と接地端子との間に接続されたアレスタと、前記第1のバリスタに対して並列に接続された第1の劣化表示回路と、前記第2のバリスタに対して並列に接続された第2の劣化表示回路と、を備えている。
【0027】
そして、前記第1の劣化表示回路は、前記第1及び第2の接続点を介して第1の駆動電流が供給されると点灯し、前記第1の駆動電流の供給が停止されると消灯する第1のLEDと、前記第1のLEDに対して逆極性方向に並列接続された第1のダイオードと、前記第1のLEDに対して直列に接続され、前記第1のLEDに流れる前記第1の駆動電流を制限する高耐電圧の第1のコンデンサと、前記第1のLED及び前記第1のコンデンサに対して直列に接続され、前記第1のLED発光素子及び前記第1のコンデンサに流れる前記第1の駆動電流を制限する補助用の第1の抵抗とを有している。
【0028】
更に、前記第2の劣化表示回路は、前記第2及び第3の接続点を介して第2の駆動電流が供給されると点灯し、前記第2の駆動電流の供給が停止されると消灯する第2のLEDと、前記第2のLEDに対して逆極性方向に並列接続された第2のダイオードと、前記第2のLEDに対して直列に接続され、前記第2のLEDに流れる前記第2の駆動電流を制限する高耐電圧の第2のコンデンサと、前記第2のLED及び前記第2のコンデンサに対して直列に接続され、前記第2のLED及び前記第2のコンデンサに流れる前記第2の駆動電流を制限する補助用の第2の抵抗と、を有することを特徴とする。
【0029】
請求項5に係る発明の電源用保安器は、第1及び第4の接続点間に接続された第1のバリスタと、前記第2及び第4の接続点間に接続された第2のバリスタと、前記第3及び第4の接続点間に接続された第3のバリスタと、第1の電源端子と前記第1の接続点との間に接続された第1のヒューズと、第2の電源端子と前記第2の接続点との間に接続された第2のヒューズと、第3の電源端子と前記第3の接続点との間に接続された第3のヒューズと、前記第4の接続点と接地端子との間に接続されたアレスタと、前記第1及び第2の接続点間に直列に接続された第1の劣化表示回路と、前記第2及び第3の接続点間に直列に接続された第2の劣化表示回路と、を備えている。
【0030】
そして、前記第1の劣化表示回路は、前記第2の接続点から前記第1の接続点の方向へ第1の駆動電流が供給されると点灯し、前記第1の駆動電流の供給が停止されると消灯する第1のLEDと、前記第1のLEDに対して逆極性方向に並列接続された第1のダイオードと、前記第1のLEDに対して直列に接続され、前記第1のLEDに流れる前記第1の駆動電流を制限する高耐電圧の第1のコンデンサと、前記第1のLED及び前記第1のコンデンサに対して直列に接続され、前記第1のLED及び前記第1のコンデンサに流れる前記第1の駆動電流を制限する補助用の第1の抵抗とを有している。
【0031】
更に、前記第2の劣化表示回路は、前記第2の接続点から前記第3の接続点の方向へ第2の駆動電流が供給されると点灯し、前記第2の駆動電流の供給が停止されると消灯する第2のLEDと、前記第2のLEDに対して逆極性方向に並列接続された第2のダイオードと、前記第2のLEDに対して直列に接続され、前記第2のLEDに流れる前記第2の駆動電流を制限する高耐電圧の第2のコンデンサと、前記第2のLED及び前記第2のコンデンサに対して直列に接続され、前記第2のLED及び前記第2のコンデンサに流れる前記第2の駆動電流を制限する補助用の第2の抵抗と、を有することを特徴とする。
【0032】
請求項6に係る発明の電源回路保安装置は、請求項1、2又は3記載の電源用保安器と、前記第1及び第2の電源端子に接続された入力側巻線と被保護機器側に接続された出力側巻線とを有するシールド付き高耐電圧の絶縁トランスと、を備えたことを特徴とする。
【0033】
請求項7に係る発明の電源回路保安装置は、請求項4又は5記載の電源用保安器と、前記第1、第2及び第3の電源端子に接続された入力側巻線と被保護機器側に接続された出力側巻線とを有するシールド付き高耐電圧の絶縁トランスと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
請求項1、6に係る発明によれば、電流制限用のコンデンサを用いたので、劣化表示回路の大きさを小型化できる。更に、劣化表示回路が電流制限用のコンデンサで直流的に切れているので、電源用保安器のメンテナンス時のバリスタ性能確認を正確に行うことができる。
【0035】
請求項2、6に係る発明によれば、請求項1に係る発明とほぼ同様の効果がある。更に、第2のヒューズとLEDとの直列回路を設けたので、電源用保安器に侵入する異常電圧の大きさを検知することができる。
【0036】
請求項3、6に係る発明によれば、請求項1に係る発明と同様の効果がある。更に、第2、第3のバリスタが異常の場合にも、第1、第2のヒューズが切れてLEDが消灯するので、電源用保安器が異常であることを確認できる。
【0037】
請求項4、7に係る発明によれば、請求項1に係る発明と同様の効果がある。更に、第4、第5、第6のバリスタが異常の場合にも、第1、第2、第3のヒューズが切れて第1、第2のLEDが消灯するので、電源用保安器が異常であることを確認できる。
【0038】
請求項5、7に係る発明によれば、請求項4に係る発明とほぼ同様の効果がある。特に、請求項5、7に係る発明では、第1、第2、第3のバリスタが線間及び対接地間兼用に設けられているので、防護素子であるバリスタの個数を減少できる。そして、第1、第2、第3のバリスタが異常の場合にも、第1、第2、第3のヒューズが切れて第1、第2のLEDが消灯するので、電源用保安器が異常であることを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は本発明の実施例1における単相用の電源回路保安装置の構成例を示す回路図である。
【図2】図2は従来の単相用の電源回路保安装置の構成例を示す回路図である。
【図3】図3は図2中の電源用保安器20の構成例を示す回路図である。
【図4】図4は図1中の電源用保安器40の構造例を示す概略の斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施例2における三相用の電源回路保安装置の全体の構成を示す回路図である。
【図6】図6は本発明の実施例3における単相用の電源回路保安装置の構成例を示す回路図である。
【図7】図7は本発明の実施例4における三相用の電源回路保安装置の構成例を示す回路図である。
【図8】図8は本発明の実施例5における三相用の電源回路保安装置の構成例を示す回路図である。
【図9】図9は本発明の実施例6における電源用保安器の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0041】
(実施例1の構成)
図1(a)、(b)は、本発明の実施例1における単相用の電源回路保安装置の構成例を示す回路図であり、同図(a)は電源回路保安装置の全体を示す回路図、及び同図(b)は同図(a)中の電源用保安器を示す回路図である。
【0042】
図1(a)に示すように、単相用の電源回路保安装置は、対接地間の雷サージ防護用のシールド付き高耐電圧の絶縁トランス30と、線間の雷サージ吸収用の電源用保安器(SPD)40とから構成されている。
【0043】
シールド付き高耐電圧の絶縁トランス30は、常時AC電源電圧100V又は200Vが印加される配電線側の入力端子U1,V1に接続された入力側巻線31と、被保護機器側の出力端子U2,V2に接続された出力側巻線32と、この入力側巻線31と出力側巻線32との間に設けられて接地端子Eに接続されたシールド33と、を有している。入力側巻線31と出力側巻線32との間には、接地されたシールド33が設けられているので、例えば、出力側電圧を入力側電圧の約1/1000以下に低下することができる。
【0044】
電源用保安器40は、入力端子U1,V1間に接続され、雷サージ等の異常電圧が線間に印加されると通電し、その線間電圧を除去するものである。
【0045】
図1(b)に示すように、電源用保安器40は、図1(a)中の入力端子U1に接続される第1の電源端子41と、図1(a)中の入力端子V1に接続される第2の電源端子42とを有している。第1及び第2の電源端子41,42間には、ヒューズ45、接続点P、及びバリスタ46が直列に接続され、そのバリスタ46に対して並列に、劣化表示回路50が接続されている。
【0046】
劣化表示回路50は、電流制限用のコンデンサ51、LED52、ダイオード53、及び電流制限を行う補助用の抵抗54を有している。コンデンサ51、LED52のアノード・カソード、及び抵抗54は、接続点Pと電源端子42との間に直列に接続されている。LED52に対して並列に、ダイオード53が逆極性方向に接続されている。即ち、LED52のアノードに、ダイオード53のカソードが接続され、LED52のカソードに、ダイオード53のアノードが接続されている。
【0047】
LED52は、逆方向に電圧を掛けた場合の耐電圧が、通常のシリコンダイオードよりも遙かに小さく(例えば、−5V程度)、これを超えると破壊される。そのため、LED52に対して逆方向の電流が流れないように、ダイオード53が設けられている。
【0048】
図4は、図1中の電源用保安器40の構造例を示す概略の斜視図である。
この電源用保安器40は、ジャック盤58とSPDプラグ59とで構成され、この電源用保安器40のケース60が、ジャック盤58側のジャックケース60−1と、SPDプラグ59側のプラグケース60−2とに、分割されている。SPDプラグ59は、矢印で示すように、ジャック盤58に対して挿入及び離脱可能に挿着される構造になっている。
【0049】
ジャック盤58側のジャックケース60−1は、略箱形の基台部61と、この基台部61の両側面から上方向に延設された一対の側壁部62−1,62−2とにより構成されている。これらの基台部61及び側壁部62−1,62−2により囲まれた領域により、SPDプラグ59を挿入及び離脱可能に収容するためのプラグ収容部63が形成されている。基台部61の底面には、図示しない固定爪と移動爪とが、一定距離離れて対向して設けられ、これらの固定爪と移動爪とにより、図示しない機器取り付け用レール(Mounting rails for devices、例えば、DINレール)を挟持し、このDINレールに対してジャック盤58を取り外し可能に固定する構造になっている。
【0050】
一方の側壁部62−1の外側面には、1つの電線導入孔63−1が設けられている。その側壁部62−1の上面には、1つの端子開口孔64−1が形成されている。端子開口孔64−1内には、螺子形の電源端子41が取り付けられている。電線導入孔63−1に挿入された図示しない電線の端末部は、電源端子41により固定されるようになっている。
【0051】
同様に、他方の側壁部62−2の外側面には、図示しない1つの電線導入孔が設けられている。その側壁部62−2の上面には、1つの端子開口部64−2が形成されている。端子開口部64−2内には、螺子形の電源端子42が取り付けられている。側壁部62−2側の電線導入孔に挿入された図示しない電線の端末部は、電源端子42により固定されるようになっている。
【0052】
SPDプラグ59側のプラグケース60−2は、略直方体形状をなし、この内部に、ヒューズ45、バリスタ46、及び劣化表示回路50等が設けられている。劣化表示回路50は、プラグケース60−2内の上部に配置され、その劣化表示回路50中のLED52が、外部から視認可能な状態で取り付けられている。
【0053】
(実施例1の電源回路保安装置の全体の動作)
図1(a)の電源回路保安装置において、配電線及び接地間の雷サージ等の異常電圧が入力端子U1,V1に侵入してくると、その異常電圧は、絶縁トランス30により遮断される。しかし、異常電圧が高周波性の場合、普通の絶縁トランスでは、入力側巻線及び出力側巻線間の静電容量を通して出力端子U2,V2に侵入してくる。ところが、本実施例1の絶縁トランス30では、入力側巻線31と出力側巻線32との間に、シールド33が設けられ、このシールド33が接地端子Eに接続されているので、絶縁トランス30の出力側電圧が入力側電圧の約1/1000以下に低下する。これにより、出力端子U2,V2に接続された図示しない被保護機器が、異常電圧から保護される。
【0054】
又、配電線間における雷サージ等の異常電圧が入力端子U1,V1に侵入してくると、絶縁トランス30は、入力側巻線31及び出力側巻線32間が電磁的に結合しているので、入力側の異常電圧が絶縁トランス30の周波数特性により、かなりなまった電圧波形となって、出力側に伝送される。しかし、入力端子U1,V1間に電源用保安器40が設けられているので、入力側の異常電圧がその電源用保安器40により除去され、出力端子U2,V2に接続された図示しない被保護機器が保護される。
【0055】
(実施例1の電源用保安器の動作)
図1(b)の電源用保安器40において、正常時には、電源端子41,42間に周波数50Hz又は60HzのAC電源電圧100V又200Vが印加され、バリスタ46が高抵抗値(即ち、オフ状態)になっている。このような正常時には、ヒューズ45が切れていないので、劣化表示回路50に電流が通電され、電源端子41→ヒューズ45→コンデンサ51→LED52→抵抗54→電源端子42、の経路で流れる順方向の電流により、LED52が点灯している。この際、劣化表示回路50に流れる電流は、周波数が50Hz又は60Hzという低周波であるので、コンデンサ51のインピーダンス値が大きい。そのため、コンデンサ51は、従来の図3中の電流制限用の抵抗25bと同様に、LED52を流れる電流をほぼ一定にする働きがある。ほぼ一定の電流がLED52に流れると、LED52が点灯するので、目視で、電源用保安器40が正常(即ち、バリスタ46が正常)であることを確認できる。
【0056】
なお、逆方向の電流は、電源端子42→抵抗54→ダイオード53→コンデンサ51→ヒューズ45→電源端子41、の経路で流れるので、LED52が保護される。
【0057】
配電線間における雷サージ等の異常電圧が電源端子41,42に侵入してくると、バリスタ46が低抵抗値(即ち、オン状態)になって、ヒューズ45及びバリスタ46に電流が流れ、その異常電圧が除去される。ヒューズ45及びバリスタ46に流れる電流の一部は、劣化表示回路50にも流れ、電源端子41→ヒューズ45→コンデンサ51→LED52→抵抗53→電源端子42、の経路で流れる電流により、LED52が点灯している。
【0058】
この際、劣化表示回路50に流れる電流において、インパルス波形の立ち上がりや立ち下がりが急激に変化する部分では、周波数が高いために、コンデンサ51のインピーダンス値が小さく、このコンデンサ51を通して電流波形の一部がLED52に流れ込み、LED52が破損するおそれがある。そこで、本実施例1では、補助用の抵抗54を挿入して、LED52に流れ込む電流を制限し、LED52の破損を防止している。補助用の抵抗54は、バリスタ46がブレークダウン電圧にするまでの僅かな時間だけなので、小容量のもので足りる。又、仮に、抵抗挿入により、LED52の点灯時の輝度が不足する場合には、高輝度LEDの採用等により、輝度不足を解消できる。
【0059】
バリスタ46が故障して異常電流が流れ続けるような異常状態の場合には、ヒューズ45が切れる。これにより、バリスタ46の焼損等の事故を防止できる。ヒューズ45が切れると、劣化表示回路50に電流が通電しなくなるので(非通電状態)、LED52が消灯する。これにより、目視で、電源用保安器40が異常(即ち、バリスタ46が異常)であることを確認できる。
【0060】
(実施例1の効果)
本実施例1の電源用保安器40及び電源回路保安装置によれば、次の(1)、(2)のような効果がある。
【0061】
(1) 図3中の電流制限用の抵抗25bに代えて、コンデンサ51を用いたので、劣化表示回路50の大きさを小型化できる。
【0062】
例えば、図3の電源用保安器20において、バリスタ24に流れる雷サージを20kA以上、700V〜800Vであると仮定した場合、劣化表示回路25を流れるサージ電流は、LED25aを保護するために、時間1μsの間に3アンペア(A)程度に制限する必要がある。そのため、制限用抵抗25bの容量は、3ワット(W)、10kΩ程度になり、例えば、制限用抵抗25bが円筒形状の場合、直径4〜5mm、長さ25〜30mmという大型のものになる。これに対し、本実施例1の図1(b)の劣化表示回路50では、制限用抵抗25bに代えてコンデンサ51を使用しているので、抵抗値10kΩに相当するインピーダンス値のコンデンサ51の外形寸法は、例えば、方形状のチップの場合、厚み2mm、縦7mm、及び横7mm程度の大きさになる。又、補助用抵抗54の容量は、W・1/16、10kΩ程度であり、方形状のチップの場合、厚み1mm、縦3mm、及び横2mm程度の大きさになる。そのため、制限用抵抗25bに比べて、コンデンサ51及び補助用抵抗54が小型になるので、図4のようなSPDプラグ59の空いているスペースに、劣化表示回路50を容易に内蔵させることができる。又、劣化表示回路50内蔵の他の形状の電源用保安器40を小型に作れる。
【0063】
(2) 劣化表示回路50がコンデンサ51でDC的に切れているので、電源用保安器40のメンテナンス時のバリスタ性能確認を正確に行うことができる。
【0064】
例えば、試験機にてバリスタ46の両電極間にDC電流を通電し、バリスタ46の性能を確認する場合(即ち、バリスタ電圧である制限電圧が所定値であるか否か確認する場合)、そのDC電流の一部が劣化表示回路50に流れ込むことがないため、バリスタ46の性能確認を正確に行うことができる。
【実施例2】
【0065】
(実施例2の構成)
図5は、本発明の実施例2における三相用の電源回路保安装置の全体の構成を示す回路図であり、実施例1を示す図1(a)、(b)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0066】
本実施例2の三相用の電源回路保安装置では、実施例1の単相用の絶縁トランス30とは異なる構成の三相用の絶縁トランス30Aと、実施例1の電源用保安器40と同様の構成の3つの電源用保安器(SPD)40−1,40−2,40−3とから構成されている。
【0067】
三相用の絶縁トランス30Aは、対接地間の雷サージ防護用のシールド付き高耐電圧の絶縁トランスであって、常時三相AC電源電圧200Vが印加される配電線側の入力端子U1,V1,N1のうちの入力端子U1,V1に接続された入力側巻線31−1と、入力端子V1,N1に接続された入力側巻線31−2と、入力端子U1,N1に接続された入力巻線31−3と、被保護機器側の出力端子U2,V2,N2のうちの出力端子U2,V2に接続された出力側巻線32−1と、出力端子V2,N2に接続された出力側巻線32−2と、出力端子U2,N2に接続された出力側巻線32−3と、これらの入力側巻線31−1〜31−3と出力側巻線32−1〜32−3との間に設けられて接地端子Eに接続されたシールド33と、を有している。実施例1と同様に、入力側巻線31−1〜31−3と出力側巻線32−1〜32−3との間には、接地されたシールド33が設けられているので、例えば、出力側電圧を入力側電圧の約1/1000以下に低下することができる。
【0068】
3個の電源用保安器40−1〜40−3は、線間の雷サージ吸収用の保安器である。そのうち、電源用保安器40−1は、入力端子U1,V1間に接続され、電源用保安器40−2は、入力端子V1,N1間に接続され、更に、電源用保安器40−3は、入力端子U1,N1間に接続されている。これらの各電源用保安器40−1〜40−3は、雷サージ等の異常電圧が線間に印加されると通電し、その線間電圧を除去するものであり、実施例1の電源用保安器40と同一の構成である。
【0069】
(実施例2の動作)
図5の電源回路保安装置において、配電線及び接地間の雷サージ等の異常電圧が入力端子U1,V1,N1に侵入してくると、その異常電圧は、絶縁トランス30Aにより遮断される。その異常電圧が高周波性の場合、絶縁トランス30Aの入力側巻線31−1〜31−3と出力側巻線32−1〜32−3との間に、接地端子Eに接続されたシールド33が設けられているので、実施例1と同様に、絶縁トランス30Aの出力側電圧が入力側電圧の約1/1000以下に低下する。これにより、出力端子U2,V2,N2に接続された図示しない保護機器が、異常電圧から保護される。
【0070】
又、配電線間における雷サージ等の異常電圧が入力端子U1,V1,N1に侵入してくると、絶縁トランス30Aは、入力側巻線31−1〜31−3及び出力側巻線32−1〜32−3間が電磁的に結合しているので、実施例1と同様に、入力側の異常電圧が絶縁トランス30Aの周波数特性により、かなりなまった電圧波形となって、出力側に伝送される。しかし、各入力端子U1,V1,N1間に電源用保安器40−1〜40−3がそれぞれ設けられているので、入力側の異常電圧がその電源用保安器40Aにより除去され、出力端子U2,V2,N2に接続された図示しない被保護機器が保護される。
【0071】
各電源用保安器40−1〜40−3における動作は、実施例1の電源用保安器40と同様である。
【0072】
(実施例2の効果)
本実施例2の電源用保安器40−1〜40−3及び電源回路保安装置によれば、実施例1の効果(1)、(2)と同様の効果がある。
【実施例3】
【0073】
(実施例3の構成)
図6(a)、(b)は、本発明の実施例3における単相用の電源回路保安装置の構成例を示す回路図であり、同図(a)は電源回路保安装置の全体を示す回路図、及び同図(b)は同図(a)中の電源用保安器を示す回路図である。この図6(a)、(b)において、実施例1を示す図1(a)、(b)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0074】
図6(a)に示すように、本実施例3の単相用の電源回路保安装置は、実施例1と同様の対接地間の雷サージ防護用のシールド付き高耐電圧の絶縁トランス30と、実施例1の電源用保安器40とは構成の異なる線間及び対接地間の雷サージ吸収用の電源用保安器(SPD)40Aとから構成されている。電源用保安器40Aは、入力端子U1,V1及びグランド間に接続され、雷サージ等の異常電圧が線間又は対接地間に印加されると通電し、その線間電圧又は対接地間電圧を除去するものである。
【0075】
図6(b)に示すように、電源用保安器40Aは、図6(a)中の入力端子U1に接続される第1の電源端子41と、図6(a)中の入力端子V1に接続される第2の電源端子42と、グランドに接続される2つの接地端子44−1,44−2とを有している。第1及び第2の電源端子41,42間には、第1のヒューズ45−1、第1の接続点P1、第1のバリスタ46−1、第2の接続点P2、及び第2のヒューズ45−2が直列に接続されている。第1の接続点P1と接地端子44−1との間には、第2のバリスタ46−2が接続されると共に、第2の接続点P2と接地端子44−2との間にも、第3のバリスタ46−3が接続されている。更に、第1のバリスタ46−1に対して並列に、実施例1と同様の劣化表示回路50が接続されている。
【0076】
劣化表示回路50は、電流制限用のコンデンサ51、LED52、ダイオード53、及び電流制限を行う補助用の抵抗54により構成されている。
【0077】
(実施例3の電源用保安器の動作)
図6(b)の電源用保安器40Aにおいて、正常時には、電源端子41,42間に周波数50Hz又は60HzのAC電源電圧100V又200Vが印加され、バリスタ46−1〜46−3が高抵抗値(即ち、オフ状態)になっている。このような正常時には、ヒューズ45−1,45−2が切れていないので、劣化表示回路50に電流が通電され、電源端子41→ヒューズ45−1→接続点P1→コンデンサ51→LED52→抵抗54→接続点P2→ヒューズ45−2→電源端子42、の経路で流れる順方向の電流により、LED52が点灯している。この際、劣化表示回路50に流れる電流は、周波数が50Hz又は60Hzという低周波であるので、コンデンサ51のインピーダンス値が大きい。そのため、コンデンサ51は、従来の図3中の電流制限用の抵抗25bと同様に、LED52を流れる電流をほぼ一定にする働きがある。ほぼ一定の電流がLED52に流れると、LED52が点灯するので、目視で、電源用保安器40Aが正常(即ち、バリスタ46−1が正常)であることを確認できる。
【0078】
なお、逆方向の電流は、電源端子42→ヒューズ45−2→接続点P2→抵抗54→ダイオード53→コンデンサ51→接続点P1→ヒューズ45−1→電源端子41、の経路で流れるので、LED52が保護される。
【0079】
配電線間における雷サージ等の異常電圧が電源端子41,42に侵入してくると、バリスタ46−1が低抵抗値(即ち、オン状態)になって、ヒューズ45−1、バリスタ46−1及びヒューズ45−2に電流が流れ、その異常電圧が除去される。ヒューズ45−1、バリスタ46−1及びヒューズ45−2に流れる電流の一部は、劣化表示回路50にも流れ、コンデンサ51→LED52→抵抗53、の経路で流れる電流により、LED52が点灯している。
【0080】
この際、実施例1と同様に、劣化表示回路50に流れる電流において、インパルス波形の立ち上がりや立ち下がりが急激に変化する部分では、周波数が高いために、コンデンサ51のインピーダンス値が小さく、このコンデンサ51を通して電流波形の一部がLED52に流れ込み、LED52が破損するおそれがある。しかし、補助用の抵抗54が挿入されているので、LED52に流れ込む電流が制限され、LED52の破損が防止される。補助用の抵抗54は、バリスタ46−1がブレークダウン電圧にするまでの僅かな時間だけなので、小容量のもので足りる。
【0081】
バリスタ46−1が故障して異常電流が流れ続けるような異常状態の場合には、ヒューズ45−1,45−2が切れる。これにより、バリスタ46−1の焼損等の事故を防止できる。ヒューズ45−1,45−2が切れると、劣化表示回路50に電流が通電しなくなるので(非通電状態)、LED52が消灯する。これにより、目視で、電源用保安器40Aが異常(即ち、バリスタ46−1が異常)であることを確認できる。
【0082】
又、対接地間における雷サージ等の異常電圧が電源端子41及び接地端子44−1間(又は電源端子42及び接地端子44−2間)に侵入してくると、バリスタ46−2(又はバリスタ46−3)が低抵抗値(即ち、オン状態)になって、ヒューズ45−1及びバリスタ46−2(又は、ヒューズ45−2及びバリスタ46−3)に電流が流れ、その異常電圧が除去される。
【0083】
バリスタ46−2(又はバリスタ46−3)が故障して異常電流が流れ続けるような異常状態の場合には、ヒューズ45−1(又はヒューズ45−2)が切れる。これにより、バリスタ46−2(又はバリスタ46−3)の焼損等の事故を防止できる。ヒューズ45−1(又はヒューズ45−2)が切れると、劣化表示回路50に電流が通電しなくなるので(非通電状態)、LED52が消灯する。これにより、目視で、電源用保安器40Aが異常(即ち、バリスタ46−2又は46−3が異常)であることを確認できる。
【0084】
(実施例3の効果)
本実施例3の電源用保安器40A及び電源回路保安装置によれば、実施例1の効果(1)、(2)と同様の効果がある。更に、対接地間に設けられたバリスタ46−2,46−3が異常の場合にも、ヒューズ45−1,45−2が切れてLED52が消灯するので、電源用保安器40Aが異常であることを確認できる。
【実施例4】
【0085】
(実施例4の構成)
図7(a)、(b)は、本発明の実施例4における三相用の電源回路保安装置の構成例を示す回路図であり、同図(a)は電源回路保安装置の全体を示す回路図、及び同図(b)は同図(a)中の電源用保安器を示す回路図である。この図7(a)、(b)において、実施例1を示す図1(a)、(b)、実施例2を示す図5、及び実施例3を示す図6(b)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0086】
図7(a)に示すように、本実施例4の三相用の電源回路保安装置は、実施例2と同様の対接地間の雷サージ防護用のシールド付き高耐電圧の絶縁トランス30Aと、実施例3の電源用保安器40Aとは構成の異なる線間及び対接地間の雷サージ吸収用の電源用保安器(SPD)40Bとから構成されている。電源用保安器40Bは、入力端子U1,V1,N1及びグランド間に接続され、雷サージ等の異常電圧が線間又は対接地間に印加されると通電し、その線間電圧又は対接地間電圧を除去するものである。
【0087】
図7(b)に示すように、電源用保安器40Bは、図7(a)中の入力端子U1に接続される第1の電源端子41と、図7(a)中の入力端子V1に接続される第2の電源端子42と、図7(a)中の入力端子N1に接続される第3の電源端子43と、グランドに接続される接地端子44とを有している。第1及び第2の電源端子41,42間には、第1のヒューズ45−1、第1の接続点P1、第1のバリスタ46−1、第2の接続点P2、及び第2のヒューズ45−2が直列に接続されている。第2及び第3の電源端子42,43間には、第2のヒューズ45−2、第2の接続点P2、第2のバリスタ46−2、第3の接続点P3、及び第3のヒューズ45−3が直列に接続されている。
【0088】
第1の接続点P1と第3の接続点P3との間には、第3のバリスタ46−3が接続され、第1の接続点P1と第4の接続点P4との間には、第4のバリスタ46−4が接続され、第2の接続点P2と第4の接続点P4との間には、第5のバリスタ46−5が接続され、更に、第3の接続点P3と第4の接続点P4との間には、第6のバリスタ46−6が接続されている。第4の接続点P4と接地端子44との間には、バリスタ46−4〜46−6の漏れ電流を遮断するために、避雷管であるアレスタ47が接続されている。
【0089】
第1のバリスタ46−1に対して並列に、実施例3の劣化表示回路50と同様の第1の劣化表示回路50−1が接続されている。更に、第2のバリスタ46−2に対して並列に、実施例3の劣化表示回路50と同様の第2の劣化表示回路50−2が接続されている。
【0090】
各劣化表示回路50−1,50−2は、電流制限用のコンデンサ51、LED52、ダイオード53、及び電流制限を行う補助用の抵抗54により、それぞれ構成されている。
【0091】
(実施例4の電源用保安器の動作)
図7(b)の電源用保安器40Bにおいて、正常時には、電源端子41,42,43間に周波数50Hz又は60Hzの三相AC電源電圧200Vが印加され、バリスタ46−1〜46−6が高抵抗値(即ち、オフ状態)になり、アレスタ47がオフ状態(即ち、非放電状態)になっている。このような正常時には、ヒューズ45−1〜45−3が切れていないので、劣化表示回路50−1,50−2に電流が通電され、電源端子41→ヒューズ45−1→接続点P1→劣化表示回路50−1内のコンデンサ51→LED52→抵抗54→接続点P2、の経路で流れる順方向の電流により、劣化表示回路50−1内のLED52が点灯している。更に、電源端子42→ヒューズ45−2→接続点P2→劣化表示回路50−2内のコンデンサ51→LED52→抵抗54→接続点P3→ヒューズ45−3→電源端子43、の経路で流れる順方向の電流により、劣化表示回路50−2内のLED52が点灯している。
【0092】
この際、各劣化表示回路50−1,50−2に流れる電流は、周波数が50Hz又は60Hzという低周波であるので、各コンデンサ51のインピーダンス値が大きい。そのため、各コンデンサ51は、従来の図3中の電流制限用の抵抗25bと同様に、各LED52を流れる電流をほぼ一定にする働きがある。ほぼ一定の電流が各LED52に流れると、各LED52が点灯するので、目視で、電源用保安器40Bが正常(即ち、バリスタ46−1,46−2が正常)であることを確認できる。
【0093】
配電線間における雷サージ等の異常電圧が電源端子41,42,43に侵入してくると、バリスタ46−1,46−2が低抵抗値(即ち、オン状態)になって、ヒューズ45−1〜45−3及びバリスタ46−1,46−2に電流が流れ、その異常電圧が除去される。ヒューズ45−1〜45−3及びバリスタ46−1,46−2に流れる電流の一部は、各劣化表示回路50−1,50−2にも流れ、コンデンサ51→LED52→抵抗53、の経路で流れる電流により、各LED52が点灯している。
【0094】
この際、実施例3と同様に、各劣化表示回路50−1,50−2に流れる電流において、インパルス波形の立ち上がりや立ち下がりが急激に変化する部分では、周波数が高いために、各コンデンサ51のインピーダンス値が小さく、この各コンデンサ51を通して電流波形の一部が各LED52に流れ込み、各LED52が破損するおそれがある。しかし、補助用の各抵抗54が挿入されているので、各LED52に流れ込む電流が制限され、各LED52の破損が防止される。補助用の各抵抗54は、バリスタ46−1,46−2がブレークダウン電圧にするまでの僅かな時間だけなので、小容量のもので足りる。
【0095】
バリスタ46−1〜46−3が故障して異常電流が流れ続けるような異常状態の場合には、ヒューズ45−1〜45−3が切れる。これにより、バリスタ46−1〜46−3の焼損等の事故を防止できる。ヒューズ45−1〜45−3が切れると、各劣化表示回路50−1,50−2に電流が通電しなくなるので(非通電状態)、各LED52が消灯する。これにより、目視で、電源用保安器40Bが異常(即ち、バリスタ46−1〜46−3が異常)であることを確認できる。
【0096】
又、対接地間における雷サージ等の異常電圧が電源端子41、42,43及び接地端子44間に侵入してくると、バリスタ46−4〜46−6が低抵抗値(即ち、オン状態)になると共に、アレスタ47が放電し、ヒューズ45−1〜45−3、バリスタ46−4〜46−6、及びアレスタ47に電流が流れ、その異常電圧が除去される。
【0097】
バリスタ46−4〜46−6が故障して異常電流が流れ続けるような異常状態の場合には、アレスタ47が放電し、ヒューズ45−1〜45−3が切れる。これにより、バリスタ46−4〜46−6の焼損等の事故を防止できる。ヒューズ45−1〜45−3が切れると、各劣化表示回路50−1,50−2に電流が通電しなくなるので(非通電状態)、各LED52が消灯する。これにより、目視で、電源用保安器40Bが異常(即ち、バリスタ46−4〜46−6が異常)であることを確認できる。
【0098】
(実施例4の効果)
本実施例4の電源用保安器40B及び電源回路保安装置によれば、実施例1の効果(1)、(2)と同様の効果がある。更に、対接地間に設けられたバリスタ46−4〜46−6が異常の場合にも、ヒューズ45−1〜45−3が切れて各LED52が消灯するので、電源用保安器40Bが異常であることを確認できる。
【実施例5】
【0099】
(実施例5の構成)
図8(a)、(b)は、本発明の実施例5における三相用の電源回路保安装置の構成例を示す回路図であり、同図(a)は電源回路保安装置の全体を示す回路図、及び同図(b)は同図(a)中の電源用保安器を示す回路図である。この図8(a)、(b)において、実施例4を示す図7(a)、(b)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0100】
図8(a)に示すように、本実施例5の三相用の電源回路保安装置は、実施例4と同様の対接地間の雷サージ防護用のシールド付き高耐電圧の絶縁トランス30Aと、実施例4の電源用保安器40Bとは構成の異なる線間及び対接地間の雷サージ吸収用の電源用保安器(SPD)40Cとから構成されている。電源用保安器40Cは、入力端子U1,V1,N1及びグランド間に接続され、雷サージ等の異常電圧が線間又は対接地間に印加されると通電し、その線間電圧又は対接地間電圧を除去するものである。
【0101】
図8(b)に示すように、電源用保安器40Cは、図8(a)中の入力端子U1に接続される第1の電源端子41と、図8(a)中の入力端子V1に接続される第2の電源端子42と、図8(a)中の入力端子N1に接続される第3の電源端子43と、グランドに接続される接地端子44とを有している。第1及び第2の電源端子41,42間には、第1のヒューズ45−1、第1の接続点P1、第1のバリスタ46−1、第4の接続点P4、第2のバリスタ46−2、第2の接続点P2、及び第2のヒューズ45−2が直列に接続されている。第2及び第3の電源端子42,43間には、第2のヒューズ45−2、第2の接続点P2、第2のバリスタ46−2、第4の接続点P4、第3のバリスタ46−3、第3の接続点P3、及び第3のヒューズ45−3が直列に接続されている。第4の接続点P4と接地端子44との間には、バリスタ46−1〜46−3の漏れ電流を遮断するために、避雷管であるアレスタ47が接続されている。
【0102】
第1及び第2のバリスタ46−1,46−2に対して並列に、実施例4と同様の第1の劣化表示回路50−1が、第1及び第2の接続点P1,P2間に接続されている。更に、第2及び第3のバリスタ46−2,46−3に対して並列に、実施例4と同様の第2の劣化表示回路50−2が、第2及び第3の接続点P2,P3間に接続されている。
【0103】
実施例4と同様に、各劣化表示回路50−1,50−2は、電流制限用のコンデンサ51、LED52、ダイオード53、及び電流制限を行う補助用の抵抗54により、それぞれ構成されている。
【0104】
(実施例5の電源用保安器の動作)
図8(b)の電源用保安器40Cにおいて、正常時には、電源端子41,42,43間に周波数50Hz又は60Hzの三相AC電源電圧200Vが印加され、バリスタ46−1〜46−3が高抵抗値(即ち、オフ状態)になり、アレスタ47がオフ状態(即ち、非放電状態)になっている。このような正常時には、ヒューズ45−1〜45−3が切れていないので、劣化表示回路50−1,50−2に電流が通電され、電源端子42→ヒューズ45−2→接続点P2→劣化表示回路50−1内のコンデンサ51→LED52→抵抗54→接続点P1→ヒューズ45−1→電源端子41、の経路で流れる順方向の電流により、劣化表示回路50−1内のLED52が点灯している。更に、電源端子42→ヒューズ45−2→接続点P2→劣化表示回路50−2内のコンデンサ51→LED52→抵抗54→接続点P3→ヒューズ45−3→電源端子43、の経路で流れる順方向の電流により、劣化表示回路50−2内のLED52が点灯している。
【0105】
この際、各劣化表示回路50−1,50−2に流れる電流は、周波数が50Hz又は60Hzという低周波であるので、各コンデンサ51のインピーダンス値が大きい。そのため、各コンデンサ51は、従来の図3中の電流制限用の抵抗25bと同様に、各LED52を流れる電流をほぼ一定にする働きがある。ほぼ一定の電流が各LED52に流れると、各LED52が点灯するので、目視で、電源用保安器40Cが正常(即ち、バリスタ46−1〜46−3が正常)であることを確認できる。
【0106】
配電線間における雷サージ等の異常電圧が電源端子41,42,43に侵入してくると、バリスタ46−1〜46−3が低抵抗値(即ち、オン状態)になって、ヒューズ45−1〜45−3及びバリスタ46−1〜46−3に電流が流れ、その異常電圧が除去される。ヒューズ45−1〜45−3及びバリスタ46−1〜46−3に流れる電流の一部は、各劣化表示回路50−1,50−2にも流れ、コンデンサ51→LED52→抵抗53、の経路で流れる電流により、各LED52が点灯している。
【0107】
この際、実施例4と同様に、各劣化表示回路50−1,50−2に流れる電流において、インパルス波形の立ち上がりや立ち下がりが急激に変化する部分では、周波数が高いために、各コンデンサ51のインピーダンス値が小さく、この各コンデンサ51を通して電流波形の一部が各LED52に流れ込み、各LED52が破損するおそれがある。しかし、補助用の各抵抗54が挿入されているので、各LED52に流れ込む電流が制限され、各LED52の破損が防止される。補助用の各抵抗54は、バリスタ46−1〜46−3がブレークダウン電圧にするまでの僅かな時間だけなので、小容量のもので足りる。
【0108】
バリスタ46−1〜46−3が故障して異常電流が流れ続けるような異常状態の場合には、ヒューズ45−1〜45−3が切れる。これにより、バリスタ46−1〜46−3の焼損等の事故を防止できる。ヒューズ45−1〜45−3が切れると、各劣化表示回路50−1,50−2に電流が通電しなくなるので(非通電状態)、各LED52が消灯する。これにより、目視で、電源用保安器40Cが異常(即ち、バリスタ46−1〜46−3が異常)であることを確認できる。
【0109】
又、対接地間における雷サージ等の異常電圧が電源端子41、42,43及び接地端子44間に侵入してくると、バリスタ46−1〜46−3が低抵抗値(即ち、オン状態)になると共に、アレスタ47が放電し、ヒューズ45−1〜45−3、バリスタ46−1〜46−3、及びアレスタ47に電流が流れ、その異常電圧が除去される。
【0110】
バリスタ46−1〜46−3が故障して異常電流が流れ続けるような異常状態の場合には、アレスタ47が放電し、ヒューズ45−1〜45−3が切れる。これにより、バリスタ46−1〜46−3の焼損等の事故を防止できる。ヒューズ45−1〜45−3が切れると、各劣化表示回路50−1,50−2に電流が通電しなくなるので(非通電状態)、各LED52が消灯する。これにより、目視で、電源用保安器40Cが異常(即ち、バリスタ46−1〜46−3が異常)であることを確認できる。
【0111】
(実施例5の効果)
本実施例5の電源用保安器40C及び電源回路保安装置によれば、実施例4とほぼ同様の効果がある。特に、本実施例5では、バリスタ46−1〜46−3が線間及び対接地間兼用に設けられているので、防護素子であるバリスタ46−1〜46−3の個数を減少できる。そして、バリスタ46−1〜46−3が異常の場合にも、ヒューズ45−1〜45−3が切れて各LED52が消灯するので、電源用保安器40Cが異常であることを確認できる。
【実施例6】
【0112】
(実施例6の構成)
図9は、本発明の実施例6における電源用保安器の構成を示す回路図であり、実施例1を示す図1(b)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0113】
本実施例6の電源用保安器50Dでは、実施例1の電源用保安器50と同様の第1、第2の電源端子41,42、ヒューズ45及びバリスタ46と、実施例1の劣化表示回路50とは異なる構成の劣化表示回路50Dとを備えている。
【0114】
本実施例6の劣化表示回路50Dでは、実施例1と同様のコンデンサ51、ダイオード53及び抵抗54と、実施例1のLED52とは異なる複数(例えば、3つ)の第1、第2、第3のLED52−1〜52−3及び第1、第2、第3のヒューズ55−1〜55−3からなる3つの第1、第2、第3の直列回路とを備えている。第1のLED52−1及び第1のヒューズ55−1からなる第1の直列回路と、第2のLED52−2及び第2のヒューズ55−2からなる第2の直列回路と、第3のLED52−3及び第3のヒューズ55−3からなる第3の直列回路とは、ダイオード53に対して並列に接続されている。
【0115】
例えば、第3のヒューズ55−3の切断電流値は、ヒューズ45の切断電流値に対応した大きな値に設定され、第2のヒューズ55−2の切断電流値は、第3のヒューズ55−3の切断容量値よりも小さく設定され、第1のヒューズ55−1の切断電流値は、第2のヒューズ55−2の切断電流値よりも小さく設定されている。
【0116】
(実施例6の電源用保安器の動作)
電源用保安器40Dにおいて、正常時には、電源端子41,42間に周波数50Hz又は60HzのAC電源電圧100V又200Vが印加され、バリスタ46が高抵抗値(即ち、オフ状態)になっている。このような正常時には、ヒューズ45,55−1〜55−3が切れていないので、劣化表示回路50Dに電流が通電され、電源端子41→ヒューズ45→コンデンサ51→ヒューズ55−1〜55−3及びLED52−1〜52−3からなる3つの直列回路→抵抗54→電源端子42、の経路で流れる順方向の電流により、各LED52−1〜52−3が点灯している。この際、劣化表示回路50Dに流れる電流は、周波数が50Hz又は60Hzという低周波であるので、コンデンサ51のインピーダンス値が大きい。そのため、コンデンサ51は、各LED52−1〜52−3を流れる電流をほぼ一定にする働きがある。ほぼ一定の電流が各LED52−1〜52−3に流れると、各LED52−1〜52−3が点灯するので、目視で、電源用保安器40Dが正常(即ち、バリスタ46が正常)であることを確認できる。
【0117】
配電線間における雷サージ等の異常電圧が電源端子41,42に侵入してくると、バリスタ46が低抵抗値(即ち、オン状態)になって、ヒューズ45及びバリスタ46に電流が流れ、その異常電圧が除去される。ヒューズ45及びバリスタ46に流れる電流の一部は、劣化表示回路50Dにも流れ、各LED52−1〜52−3が点灯している。
【0118】
この際、劣化表示回路50Dに流れる電流において、インパルス波形の立ち上がりや立ち下がりが急激に変化する部分では、周波数が高いために、コンデンサ51のインピーダンス値が小さく、このコンデンサ51を通して電流波形の一部が各ヒューズ55−1〜55−3及び各LED52−1〜52−3に流れ込み、LED52−1〜52−3が破損するおそれがある。そこで、本実施例6では、実施例1とほぼ同様に、補助用の抵抗54を挿入して、各LED52−1〜52−3に流れ込む電流を制限し、各LED52−1〜52−3の破損を防止している。補助用の抵抗54は、バリスタ46がブレークダウン電圧にするまでの僅かな時間だけなので、小容量のもので足りる。
【0119】
バリスタ46が故障して異常電流が流れ続けるような異常状態の場合には、ヒューズ45,55−3が切れる。これにより、バリスタ46の焼損等の事故を防止できる。ヒューズ45,55−3が切れると、劣化表示回路50Dに電流が通電しなくなるので(非通電状態)、全てのLED52−1〜52−3が消灯する。これにより、目視で、電源用保安器40Dが異常(即ち、バリスタ46が異常)であることを確認できる。
【0120】
電源端子41,42に侵入する異常電圧が比較的小さい場合(即ち、バリスタ46がオン状態にならず、且つヒューズ45が切断されない程度の異常電圧の場合)、ヒューズ55−2が切断されると、LED52−2が消灯する。これにより、比較的小さい異常電圧が侵入したことを検知できる。
【0121】
前記異常電圧が更に小さい場合、ヒューズ55−1が切断されると、LED52−1が消灯する。これにより、小さな異常電流が侵入したことを検知できる。
【0122】
(実施例6の効果)
本実施例6の電源用保安器40D及び電源回路保安装置によれば、実施例1とほぼ同様の効果がある。更に、切断電流値の異なる複数のヒューズ55−1〜55−3と複数のLED52−1〜52−3との直列回路を複数設けたので、電源用保安器40Dに侵入する異常電圧の大きさを検知することができる。
【0123】
(変形例)
本発明は、上記実施例1〜6に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)、(b)のようなものがある。
【0124】
(a) 電流制限用のコンデンサ51は、複数個のコンデンサを並列に接続して容量を大きくしても良い。
【0125】
(b) 実施例1〜6では、絶縁トランス30,30Aを有する電源回路保安装置に適用される電源用保安器40,40A〜40Dについて説明したが、この電源用保安器40,40A〜40Dは、電源回路保安装置以外のサージ侵入箇所に設けても良い。
【符号の説明】
【0126】
30,30A 絶縁トランス
40,40−1〜40−3,40A,40B,40C,40D 電源用保安器
45,45−1〜45−3,55−1〜55−3 ヒューズ
46,46−1〜46−6 バリスタ
47 アレスタ
50,50−1,50−2 劣化表示回路
51 コンデンサ
52,52−1〜52−3 LED
54 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の電源端子間に接続され、前記第1及び第2の電源端子間に印加される電圧が基準値以上の異常電圧のときには抵抗値が小さくなり、前記電圧が前記基準値よりも小さいときには前記抵抗値が大きくなるバリスタと、
前記第1及び第2の電源端子間において前記バリスタに対して直列に接続され、前記バリスタが劣化して前記バリスタに異常電流が流れ続けると切断されるヒューズと、
前記バリスタに対して並列に接続され、前記バリスタの劣化状態を表示する劣化表示回路と、
を備えた電源用保安器であって、
前記劣化表示回路は、
前記ヒューズを介して駆動電流が供給されると点灯し、前記ヒューズが切断されて前記駆動電流の供給が停止されると消灯する発光素子と、
前記発光素子に対して逆極性方向に並列接続されたダイオードと、
前記発光素子に対して直列に接続され、前記発光素子に流れる前記駆動電流を制限する高耐電圧のコンデンサと、
前記発光素子及び前記コンデンサに対して直列に接続され、前記発光素子及び前記コンデンサに流れる前記駆動電流を制限する補助用の抵抗と、
を有することを特徴とする電源用保安器。
【請求項2】
接続点と第2の電源端子との間に接続されたバリスタと、
第1の電源端子と前記接続点との間に接続された第1のヒューズと、
前記バリスタに対して並列に接続された劣化表示回路と、
を備えた電源用保安器であって、
前記劣化表示回路は、
前記接続点から前記第2の電源端子の方向へ駆動電流が供給されると点灯し、前記駆動電流の供給が停止されると消灯する1つ又は複数の発光素子と、
前記接続点と前記第2の電源端子との間において前記1つ又は複数の発光素子に対して直列に接続された1つ又は複数の第2のヒューズと、
前記1つ又は複数の発光素子と前記1つ又は複数の第2のヒューズとに対して逆極性方向に並列接続されたダイオードと、
前記1つ又は複数の発光素子と前記1つ又は複数の第2のヒューズとに対して直列に接続され、前記発光素子及び前記第2のヒューズに流れる前記駆動電流を制限する高耐電圧のコンデンサと、
前記1つ又は複数の発光素子と前記1つ又は複数の第2のヒューズとに対して直列に接続され、前記発光素子、前記第2のヒューズ及び前記コンデンサに流れる前記駆動電流を制限する補助用の抵抗と、
を有することを特徴とする電源用保安器。
【請求項3】
第1及び第2の接続点間に接続された第1のバリスタと、
前記第1の接続点と接地端子との間に接続された第2のバリスタと、
前記第2の接続点と前記接地端子との間に接続された第3のバリスタと、
前記第1の電源端子と前記第1の接続点との間に接続された第1のヒューズと、
前記第2の電源端子と前記第2の接続点との間に接続された第2のヒューズと、
前記第1のバリスタに対して並列に接続された劣化表示回路と、
を備えた電源用保安器であって、
前記劣化表示回路は、
前記第1及び第2の接続点を介して駆動電流が供給されると点灯し、前記駆動電流の供給が停止されると消灯する発光素子と、
前記発光素子に対して逆極性方向に並列接続されたダイオードと、
前記発光素子に対して直列に接続され、前記発光素子に流れる前記駆動電流を制限する高耐電圧のコンデンサと、
前記発光素子及び前記コンデンサに対して直列に接続され、前記発光素子及び前記コンデンサに流れる前記駆動電流を制限する補助用の抵抗と、
を有することを特徴とする電源用保安器。
【請求項4】
第1及び第2の接続点間に接続された第1のバリスタと、
前記第2の接続点と第3の接続点との間に接続された第2のバリスタと、
前記第1の接続点と前記第3の接続点との間に接続された第3のバリスタと、
前記第1の接続点と第4の接続点との間に接続された第4のバリスタと、
前記第2の接続点と前記第4の接続点との間に接続された第5のバリスタと、
前記第3の接続点と前記第4の接続点との間に接続された第6のバリスタと、
第1の電源端子と前記第1の接続点との間に接続された第1のヒューズと、
第2の電源端子と前記第2の接続点との間に接続された第2のヒューズと、
第3の電源端子と前記第3の接続点との間に接続された第3のヒューズと、
前記第4の接続点と接地端子との間に接続されたアレスタと、
前記第1のバリスタに対して並列に接続された第1の劣化表示回路と、
前記第2のバリスタに対して並列に接続された第2の劣化表示回路と、
を備えた電源用保安器であって、
前記第1の劣化表示回路は、
前記第1及び第2の接続点を介して第1の駆動電流が供給されると点灯し、前記第1の駆動電流の供給が停止されると消灯する第1の発光素子と、
前記第1の発光素子に対して逆極性方向に並列接続された第1のダイオードと、
前記第1の発光素子に対して直列に接続され、前記第1の発光素子に流れる前記第1の駆動電流を制限する高耐電圧の第1のコンデンサと、
前記第1の発光素子及び前記第1のコンデンサに対して直列に接続され、前記第1の発光素子及び前記第1のコンデンサに流れる前記第1の駆動電流を制限する補助用の第1の抵抗とを有し、
前記第2の劣化表示回路は、
前記第2及び第3の接続点を介して第2の駆動電流が供給されると点灯し、前記第2の駆動電流の供給が停止されると消灯する第2の発光素子と、
前記第2の発光素子に対して逆極性方向に並列接続された第2のダイオードと、
前記第2の発光素子に対して直列に接続され、前記第2の発光素子に流れる前記第2の駆動電流を制限する高耐電圧の第2のコンデンサと、
前記第2の発光素子及び前記第2のコンデンサに対して直列に接続され、前記第2の発光素子及び前記第2のコンデンサに流れる前記第2の駆動電流を制限する補助用の第2の抵抗と、
を有することを特徴とする電源用保安器。
【請求項5】
第1及び第4の接続点間に接続された第1のバリスタと、
前記第2及び第4の接続点間に接続された第2のバリスタと、
前記第3及び第4の接続点間に接続された第3のバリスタと、
第1の電源端子と前記第1の接続点との間に接続された第1のヒューズと、
第2の電源端子と前記第2の接続点との間に接続された第2のヒューズと、
第3の電源端子と前記第3の接続点との間に接続された第3のヒューズと、
前記第4の接続点と接地端子との間に接続されたアレスタと、
前記第1及び第2の接続点間に直列に接続された第1の劣化表示回路と、
前記第2及び第3の接続点間に直列に接続された第2の劣化表示回路と、
を備えた電源用保安器であって、
前記第1の劣化表示回路は、
前記第2の接続点から前記第1の接続点の方向へ第1の駆動電流が供給されると点灯し、前記第1の駆動電流の供給が停止されると消灯する第1の発光素子と、
前記第1の発光素子に対して逆極性方向に並列接続された第1のダイオードと、
前記第1の発光素子に対して直列に接続され、前記第1の発光素子に流れる前記第1の駆動電流を制限する高耐電圧の第1のコンデンサと、
前記第1の発光素子及び前記第1のコンデンサに対して直列に接続され、前記第1の発光素子及び前記第1のコンデンサに流れる前記第1の駆動電流を制限する補助用の第1の抵抗とを有し、
前記第2の劣化表示回路は、
前記第2の接続点から前記第3の接続点の方向へ第2の駆動電流が供給されると点灯し、前記第2の駆動電流の供給が停止されると消灯する第2の発光素子と、
前記第2の発光素子に対して逆極性方向に並列接続された第2のダイオードと、
前記第2の発光素子に対して直列に接続され、前記第2の発光素子に流れる前記第2の駆動電流を制限する高耐電圧の第2のコンデンサと、
前記第2の発光素子及び前記第2のコンデンサに対して直列に接続され、前記第2の発光素子及び前記第2のコンデンサに流れる前記第2の駆動電流を制限する補助用の第2の抵抗と、
を有することを特徴とする電源用保安器。
【請求項6】
請求項1、2又は3記載の電源用保安器と、
前記第1及び第2の電源端子に接続された入力側巻線と被保護機器側に接続された出力側巻線とを有するシールド付き高耐電圧の絶縁トランスと、
を備えたことを特徴とする電源回路保安装置。
【請求項7】
請求項4又は5記載の電源用保安器と、
前記第1、第2及び第3の電源端子に接続された入力側巻線と被保護機器側に接続された出力側巻線とを有するシールド付き高耐電圧の絶縁トランスと、
を備えたことを特徴とする電源回路保安装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−222960(P2012−222960A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86265(P2011−86265)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000130835)株式会社サンコーシヤ (64)
【Fターム(参考)】