説明

電源装置および放電ランプ点灯装置

【課題】回路効率を確保しつつ、負荷変動に伴う制御部の電源変動を抑制して安定的に制御部に給電可能な放電ランプ点灯装置を提供する。
【解決手段】給電部25が、放電ランプFLの状態に応じて互いに異なる複数点から選択的に制御部29に給電する。所定条件時には、給電部25が制御部29に複数点から所定時間給電する。例えば抵抗器などにより常時電力を消費することがなく、回路効率を確保できるとともに、負荷変動に伴う制御部29の電源変動を抑制して安定的に制御部29に給電可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる複数点のいずれかから選択的に制御手段に給電可能な電源装置およびこれを備えた放電ランプ点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば負荷としての放電ランプを点灯させる電源装置としての放電ランプ点灯装置は、商用交流電源を整流した後、この整流した入力電圧を昇圧チョッパ回路などの力率改善回路により昇圧した直流電圧に変換する直流電源と、この直流電源から出力される直流電圧を高周波電圧に変換して放電ランプを点灯させるインバータ回路と、このインバータ回路と放電ランプとの間に接続されインバータ回路から供給される電力を制御するLC共振回路などを備えている。インバータ回路は、例えば対をなすスイッチング素子を備えたハーフブリッジ型のものなどがあり、ドライブするドライブ回路を介してスイッチング素子を制御することによりスイッチング動作させ、所定周波数の高周波電圧を、LC共振回路を介して放電ランプに印加して、放電ランプを、予熱状態から始動状態を経て点灯させることが可能である。
【0003】
このような制御手段は、例えば直流電源側から抵抗器などを備えた電源回路を介して電源をとることが考えられるものの、このような構成の場合、高耐圧の抵抗器で常時電力が消費されるため、回路効率が良好でない。そこで、このような直流電源側からの給電を放電ランプ点灯装置の起動時のみ用い、インバータ回路の起動後はこのインバータ回路側から任意の限流要素を経由して制御手段へと給電する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3379159号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、放電ランプ点灯装置では、放電ランプの点灯状態によっては直流電源からの電圧が低下し、インバータ回路から所望の電力を供給できず、制御手段の電源電圧が低下するおそれがあるという問題点を有している。そして、制御手段がマイコンである場合には、この電源電圧の低下によって制御手段がリセットされるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、回路効率を確保しつつ、負荷変動に伴う制御手段の電源変動を抑制できる電源装置およびこれを備えた放電ランプ点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の電源装置は、直流電源と;この直流電源から出力された直流電圧を高周波交流電圧に変換して負荷に供給するインバータ回路と;このインバータ回路の駆動を制御する制御手段と;互いに異なる複数点のいずれかから、負荷の状態に応じて選択的に制御手段に給電可能であるとともに、所定条件時には複数点から制御手段に所定時間給電可能な給電手段と;を具備しているものである。
【0008】
直流電源は、例えば交流電圧を整流した後、昇圧チョッパ回路などの力率改善回路によって直流電圧を得るものでもよいし、電池電源あるいはキャパシタなどであってもよい。
【0009】
インバータ回路は、例えば対をなすスイッチング素子を備えたハーフブリッジ型などのものが用いられるが、これに限定されるものではない。
【0010】
制御手段は、例えばマイコンなどであり、インバータ回路のスイッチング素子のスイッチングを停止させることによりインバータ回路を停止させることが可能である。
【0011】
互いに異なる複数点から選択的に給電するとは、例えば直流電源側とインバータ回路側とのいずれかなどから給電することをいう。
【0012】
所定条件時とは、例えば負荷が複数の動作状態に連続的に制御される場合、それら動作状態の切り換えの際などがあるが、このタイミングに限定されるものではない。
【0013】
請求項2記載の放電ランプ点灯装置は、請求項1記載の電源装置と;この電源装置により駆動される負荷としての放電ランプと;を具備しているものである。
【0014】
放電ランプとしては、例えば熱陰極型放電ランプが用いられる。
【0015】
請求項3記載の放電ランプ点灯装置は、請求項2記載の放電ランプ点灯装置において、制御手段は、放電ランプを、予熱状態、始動状態および点灯状態のいずれかの状態に制御可能であり、給電手段は、起動時には、直流電源側から制御手段に給電し、インバータ回路の駆動後はこのインバータ回路側から制御手段に給電し、かつ、放電ランプが始動状態と始動状態とのいずれかに移行すると、直流電源側から制御手段に所定時間補助給電するものである。
【0016】
直流電源側からの給電とは、例えば直流電源からの出力される直流電圧を供給する構成でもよいし、交流電圧を整流する場合にはこの整流した電圧を供給する構成でもよい。
【0017】
補助給電とは、インバータ回路側からの給電に追加して直流電源側から給電することをいう。
【0018】
請求項4記載の放電ランプ点灯装置は、請求項2または3記載の放電ランプ点灯装置において、直流電源から出力される直流電圧を検出する検出手段を具備し、制御手段は、放電ランプを、予熱状態、始動状態および点灯状態のいずれかの状態に制御可能であり、給電手段は、起動時には、直流電源側から制御手段に給電し、インバータ回路の駆動後はこのインバータ回路側から制御手段に給電し、かつ、検出手段により検出した直流電圧が所定の閾値を下回ったときに、直流電源側から制御手段に所定時間補助給電するものである。
【0019】
検出手段としては、例えば比較器(コンパレータ)などが用いられる。
【0020】
請求項5記載の放電ランプ点灯装置は、請求項2ないし4いずれか一記載の放電ランプ点灯装置において、制御手段は、少なくとも一部が給電手段とともに集積化されて直流電源に直接接続されているものである。
【0021】
制御手段の少なくとも一部が給電手段とともに集積化されているとは、制御手段全体が給電手段と集積化されている構成でもよいし、インバータ回路の制御部などの主要な部分のみが給電手段と集積化されている構成でもよい。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の電源装置によれば、給電手段が、負荷の状態に応じて互いに異なる複数点から選択的に制御手段に給電するとともに、所定条件時には、制御手段に複数点から所定時間給電することにより、例えば抵抗器などにより常時電力を消費することがなく、回路効率を確保できるとともに、負荷変動に伴う制御手段の電源変動を抑制できる。
【0023】
請求項2記載の放電ランプ点灯装置によれば、負荷として放電ランプを電源装置によって駆動することにより、放電ランプの点灯状態に応じた負荷変動に起因する電源変動を抑制できる。
【0024】
請求項3記載の放電ランプ点灯装置によれば、請求項2記載の放電ランプ点灯装置の効果に加えて、給電手段が、起動時には、直流電源側から制御手段に給電し、インバータ回路の駆動後はこのインバータ回路側から制御手段に給電し、かつ、放電ランプが始動状態または点灯状態に移行すると、直流電源側から制御手段に所定時間補助給電することにより、放電ランプが予熱状態から始動状態に移行した際の制御手段の電源変動をより確実に抑制できる。
【0025】
請求項4記載の放電ランプ点灯装置によれば、請求項2または3記載の放電ランプ点灯装置の効果に加えて、給電手段が、起動時には、直流電源側から制御手段に給電し、インバータ回路の駆動後はこのインバータ回路側から制御手段に給電し、かつ、検出手段により検出した直流電圧が所定の閾値を下回ったときに、直流電源側から制御手段に所定時間補助給電することにより、放電ランプの状態が変化した際の制御手段の電源変動をより確実に抑制できる。
【0026】
請求項5記載の放電ランプ点灯装置によれば、請求項2ないし4いずれか一記載の放電ランプ点灯装置の効果に加えて、制御手段の少なくとも一部を給電手段とともに集積化して直流電源に直接接続することにより、小型で安価な回路構成を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態を示す放電ランプ点灯装置の回路図である。
【図2】同上放電ランプ点灯装置の制御手段の一部を示す回路図である。
【図3】同上放電ランプ点灯装置の各部の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】同上放電ランプ点灯装置を備えた照明器具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0029】
図1は放電ランプ点灯装置の回路図、図2は放電ランプ点灯装置の制御手段の一部を示す回路図、図3は放電ランプ点灯装置の各部の動作タイミングを示すタイミングチャート、図4は放電ランプ点灯装置を備えた照明器具の斜視図である。
【0030】
図1に示すように、電源装置すなわち電子安定器としての熱陰極形放電ランプ点灯装置である放電ランプ点灯装置10は、直流電源11の出力側に、この直流電源11からの直流出力(直流電圧)を高周波交流電圧に変換して出力するインバータ回路13が電気的に接続され、このインバータ回路13の出力側に負荷としての例えば熱陰極形蛍光ランプなどの放電ランプFLが着脱可能に装着される。また、この放電ランプ点灯装置10は、インバータ回路13などを制御する制御素子16を備え、この制御素子16には、インバータ回路13の駆動用のドライバ部であるドライブ素子17が電気的に接続されている。
【0031】
直流電源11は、例えば100V〜242Vなどの商用交流電源eをブリッジダイオードなどの全波整流素子RECによって整流した後、例えば電界効果トランジスタなどのチョッピング用のスイッチング素子および昇圧用のトランスなどを昇圧チョッパ回路などの力率改善回路21によって昇圧し、さらに、平滑用のコンデンサである電解コンデンサC1により平滑して、直流電圧を出力するものである。
【0032】
また、インバータ回路13は、例えば対をなす電界効果トランジスタなどのスイッチング素子を備えた、ハーフブリッジ型、あるいはフルブリッジ型のものなどであり、出力周波数に応じた電圧を出力するためのLC共振回路などの図示しない共振回路を含むものとする。
【0033】
また、放電ランプFLは、各フィラメントFLa,FLbに対して、図示しない予熱回路が接続されている。
【0034】
そして、制御素子16は、例えばいわゆるIC(集積回路)であり、直流電源11の力率改善回路21の出力側に電気的に直接接続された起動電源回路23およびインバータ回路13の出力側に電気的に直接接続された制御電源回路24を有する給電手段としての給電部25と、直流電源11の力率改善回路21と接続される力率改善制御部26、放電ランプFLの動作(点灯)状態に基づいてインバータ回路13のスイッチング素子の動作制御用の周波数信号Pを生成してドライブ素子17へと出力するインバータ制御手段としての発振制御部27、および、放電ランプFLの電圧などを検出することで放電ランプFLの点灯状態を検出する状態検出部28などを一体に有する制御手段としての制御部29とを備えている。
【0035】
なお、制御部29が力率改善制御部26、発振制御部27および状態検出部28などを一体に有するとは、これらが集積化していることをいう。
【0036】
起動電源回路23は、図2に示すように、電圧降下部31および起動部32などを有している。
【0037】
電圧降下部31は、起動電源回路23側から制御部29(図1)へと供給される電圧を所定電圧、例えば12Vに降下させて安定させるためのものである。
【0038】
起動部32は、力率改善回路21(図1)から出力される出力電圧VDCを、電圧降下部31を介して制御部29(図1)側へと供給するための高耐圧部であり、図示しないが、抵抗器および保護素子であるツェナダイオードなどを有している。
【0039】
また、制御電源回路24は、例えばスナバコンデンサを用いるバックアップ電源回路である。
【0040】
したがって、給電部25は、異なる複数点、すなわち直流電源11側である力率改善回路21の出力側と、インバータ回路13側とのそれぞれから選択的に制御部29へと給電可能となっている。
【0041】
また、図1に示す力率改善制御部26は、例えば、電源側の入力電圧、および、力率改善回路21のスイッチング素子に流れるスイッチング電流などの所定の信号に基づいて、このスイッチング素子のスイッチングパルスであるチョッピング用周波数信号PCを生成して出力する機能を有している。
【0042】
発振制御部27は、放電ランプFLを、予熱状態から始動状態を経て点灯させるように連続的に制御するものである。すなわち、発振制御部27は、放電ランプFLを予熱状態とする予熱モード、放電ランプFLを始動状態とする始動モード、および、放電ランプFLを点灯状態としてその点灯状態を制御する点灯モードのそれぞれの制御モードを有している。
【0043】
そして、発振制御部27は、インバータ回路13などを制御することにより、放電ランプFLを、始動前予熱状態から始動状態を経て点灯させるように連続的に制御するものである。すなわち、発振制御部25は、インバータ回路13などを(始動前)予熱モードで動作させることで放電ランプFLを予熱状態とし、インバータ回路13などを始動モードで動作させることで放電ランプFLを始動状態とし、インバータ回路13などを点灯モードで動作させることで放電ランプFLを点灯制御することが可能となっている。
【0044】
また、発振制御部27は、状態検出部28により検出した放電ランプFLの点灯状態に基づいて、所定の周波数を有する周波数信号Pを生成する機能を有している。具体的に、発振制御部27は、検出電圧VCLが第1閾値電圧VTH1を下回っているとき、あるいは、検出電圧VCLが第2閾値電圧VTH2を超えているときに、インバータ回路13を停止させるように周波数信号Pを生成し、それら以外のときには、放電ランプFLの点灯状態に応じた周波数信号Pを生成する。
【0045】
具体的に、発振制御部27は、図2に示すモード制御部35を有している。このモード制御部35は、予熱カウンタ用比較器OP1と、始動カウンタ用比較器OP2とを備えている。
【0046】
予熱カウンタ用比較器OP1は、非反転入力端子に対して、スイッチング素子であるN型のMOSFETQ1のドレイン端子が電気的に接続されているとともに、ツェナダイオードZD1と抵抗器R1および充放電コンデンサCpreの直列回路とがMOSFETQ1に対して並列に電気的に接続されている。このMOSFETQ1は、ソース端子が接地されている。また、予熱カウンタ用比較器OP1は、反転入力端子に対して、参照電圧V1が供給されている。そして、予熱カウンタ用比較器OP1の出力端子は、NOTゲートN1の入力端子と電気的に接続され、このNOTゲートN1の出力端子は、T型フリップフロップであるカウンタTAのT端子と電気的に接続され、このカウンタTAのQ端子は、T型フリップフロップであるカウンタTBのT端子と電気的に接続され、このカウンタTBのQ端子は、T型フリップフロップであるカウンタTCのT端子と電気的に接続されている。これらカウンタTA〜TCのEN端子には、それぞれMOSFETQ1のゲート端子がNOTゲートN2を介して電気的に接続されている。また、これらカウンタTA〜TCの各Q端子は、ANDゲートA1の入力側に電気的に接続され、このANDゲートA1の出力側が、フリップフロップRSpreのS端子に電気的に接続されている。このフリップフロップRSpreのR端子には、MOSFETQ1のゲート端子が電気的に接続されており、Q端子は、NOTゲートN3を介してスイッチング素子としてのNPN型のトランジスタQ2のベース端子に電気的に接続されている。そして、このトランジスタQ2のエミッタ端子は接地され、コレクタ端子には抵抗器R2と定電圧素子であるツェナダイオードZD2との並列回路が電気的に接続され、抵抗器R2が予熱終了用スイッチtpreと電気的に接続されている。また、カウンタTAのQ端子は、予熱モード中であるかどうかを検出するための予熱検出手段であるフリップフロップRSDK1のS端子と電気的に接続され、このフリップフロップRSDK1のR端子には、MOSFETQ1のゲート端子が、ORゲートOR1を介して電気的に接続されている。そして、このフリップフロップRSDK1のQ端子は、ORゲートOR2の入力側に電気的に接続されている。なお、ORゲートOR1の入力側には、フリップフロップRSpreのQ端子が電気的に接続されている(RSpre_Q)。
【0047】
一方、始動カウンタ用比較器OP2は、非反転入力端子に対して、スイッチング素子であるN型のMOSFETQ3のドレイン端子が電気的に接続されているとともに、ツェナダイオードZD3と抵抗器R3および充放電コンデンサCstrの直列回路とがMOSFETQ3に対して並列に電気的に接続されている。このMOSFETQ3のゲート端子には、NOTゲートN3の出力側が電気的に接続されている。また、始動カウンタ用比較器OP2は、反転入力端子に対して、参照電圧V2が供給されている。そして、始動カウンタ用比較器OP2の出力端子は、NOTゲートN4の入力端子と電気的に接続され、このNOTゲートN4の出力端子は、T型フリップフロップであるカウンタTDのT端子と電気的に接続され、このカウンタTDのQ端子は、T型フリップフロップであるカウンタTEのT端子と電気的に接続されている。これらカウンタTD,TEのEN端子には、それぞれNOTゲートN3の出力側(pre_f)がNOTゲートN5を介して電気的に接続されている。また、これらカウンタTD,TEの各Q端子は、それぞれANDゲートA2の入力側に電気的に接続され、このANDゲートA2の入力側には、カウンタTDのT端子がNOTゲートN6を介して接続されている。さらに、このANDゲートA2の出力側は、フリップフロップRSstrのS端子に電気的に接続されている。このフリップフロップRSstrのR端子には、NOTゲートN5の出力側がNOTゲートN7を介して電気的に接続されており、Q端子は、NOTゲートN8を介してスイッチング素子としてのNPN型のトランジスタQ4のベース端子に電気的に接続されている。そして、このトランジスタQ4のエミッタ端子は接地され、コレクタ端子には抵抗器R4と定電圧素子であるツェナダイオードZD4との並列回路が電気的に接続され、抵抗器R4が始動終了用スイッチtstrと電気的に接続されている。さらに、NOTゲートN7の出力側は、放電ランプFL(図1)が始動しているかどうかを検出するための始動検出手段であるフリップフロップRSDK2のR端子に電気的に接続されており、このフリップフロップRSDK2のS端子は、カウンタTDのQ端子と電気的に接続されている。そして、このフリップフロップRSDK2のQ端子は、ORゲートOR2の入力側に電気的に接続されている。
【0048】
また、ORゲートOR2の出力側(DKoff_f)は、電圧降下部31に電気的に接続されているとともに、NOTゲートN9を介して、ANDゲートA3の入力側に電気的に接続されている。このANDゲートA3の入力側には、NOTゲートN9の出力側の他に、制御部29(図1)の電源電圧Vccと動作停止下限電圧(Under Voltage Lock Out、UVLO)との大小を比較判定する比較器OP3の出力端子、および、図1に示す直流電源11側、すなわち出力電圧VDCの低下を検出するための検出手段としての比較器OP4の出力端子がそれぞれ電気的に接続されている。
【0049】
なお、電圧降下部31には、ORゲートOR2の出力側だけでなく、フリップフロップRSpreのQ端子(RSpre_Q)、および、比較器OP3の非反転入力端子がそれぞれ電気的に接続されている。
【0050】
また、比較器OP3には、非反転入力端子に対して、上記電圧降下部31、および、給電部29(図1)へと電気的に接続される電源線33がそれぞれ並列に接続されており、反転入力端子に対して、動作停止下限電圧を設定するための参照電圧V3が供給されている。
【0051】
電源線33には、起動部32がスイッチSを介して電気的に接続されている。このスイッチSは、ANDゲートA3の出力端子と電気的に接続されており、このANDゲートA3からの出力がHレベルになると起動部32と制御部29(図1)側とを電気的に接続するように構成されている。
【0052】
また、比較器OP4には、非反転入力端子に対して、出力電圧VDCの低下を検出するための参照電圧V4が供給されており、反転入力端子に対して、出力電圧VDCが入力されているとともに、力率改善制御部26に出力端子が電気的に接続される比較器OP5の反転入力端子が電気的に接続されている。そして、この比較器OP5の非反転入力端子には、力率改善回路21のチョッピング制御用の参照電圧V5が供給されている。
【0053】
また、図1に示す状態検出部28は、例えば抵抗器などを介して検出した放電ランプ電流(放電ランプ電圧)に基づく放電ランプFLの状態に応じて、発振制御部27を介してドライブ素子17を制御可能に構成されている。
【0054】
そして、ドライブ素子17は、インバータ回路13のスイッチング素子を、発振制御部27から供給される調光用の周波数信号Pに応じて、数十kHz〜200kHz程度の周波数、例えば50kHz以上でスイッチング駆動することで、所定の高周波交流を発生させるものである。
【0055】
このように構成された放電ランプ点灯装置10は、図4に示すような電気機器としての照明器具に適用できる。この照明器具は、放電ランプ点灯装置10が配置された器具本体41、この器具本体41の両端に直管形の放電ランプFLが装着されるソケット42などを備えている。
【0056】
次に、上記一実施の形態の動作を説明する。
【0057】
図1に示す放電ランプ点灯装置10を起動させると、力率改善回路21から制御素子16の制御部29のモード制御部35へと出力電圧VDCが給電される。
【0058】
この力率改善回路21から出力された出力電圧VDCは、起動部32に供給されるとともに、図2に示す比較器OP4の反転入力端子および比較器OP5の反転入力端子にそれぞれ入力され、また、電解コンデンサC1によって平滑されて直流電圧となってインバータ回路13へと入力される。
【0059】
比較器OP4では、参照電圧V4と出力電圧VDCとの大小が比較される。この起動時には、出力電圧VDCが参照電圧V4よりも小さい(VDC<V4)ため、比較器OP4の出力側からANDゲートA3の入力側へとHレベル出力される。
【0060】
このANDゲートA3においては、ORゲートOR2の出力(DKoff_f)が反転入力されているとともに、比較器OP3の出力が入力されている。図3に示すように、起動時、すなわち予熱モードよりも前のタイミングでは、フリップフロップRSDK1の出力(RSDK1_Q)と、フリップフロップRSDK2の出力(RSDK2_Q)とがそれぞれLレベルであるため、ORゲートOR2の出力(DKoff_f)がLレベルとなり、したがって、ANDゲートA3には、NOTゲートN9を介してHレベル信号が入力される。また、比較器OP3からは、制御部29(図1)の電源電圧Vccが動作停止下限電圧を設定する参照電圧V3よりも大きいことにより、Hレベル信号が出力される。したがって、ANDゲートA3からは、スイッチSへとHレベル出力され、このスイッチSがオンされて起動電源回路23の起動部32が電圧降下部31とともに制御部29(図1)に接続される。
【0061】
そして、起動電源回路23では、力率改善回路21からの出力電圧VDCが電圧降下部31によって所定の電圧に降下され、制御部29(図1)へと供給される。この結果、制御部29が動作を開始する。
【0062】
また、比較器OP5では、参照電圧V5と出力電圧VDCとの大小関係により、Hレベル信号とLレベル信号とが交互に力率改善制御部26へと出力され、この力率改善制御部26により、Hレベル信号とLレベル信号とに対応して力率改善回路21のチョッピング用スイッチング素子のスイッチング駆動がチョッピング用周波数信号PCによって行われ、このスイッチング動作により、整流された入力電圧の位相を入力電流の位相と合わせて力率を改善する。
【0063】
さらに、発振制御部27の動作により生成された周波数信号Pによってドライブ素子17を介してインバータ回路13が駆動されることにより、スイッチング素子が、例えば50kHzなどの所定の周波数でオンオフ動作するため、力率改善回路21から出力されて電解コンデンサC1により平滑された直流電圧が高周波交流電圧に変換され、この高周波交流電圧により、共振回路が共振して共振電流が流れて放電ランプFL側へと出力され、また、予熱回路により放電ランプFLのフィラメントFLa,FLbの予熱が開始される。同時に、インバータ回路13が駆動することにより、スナバコンデンサを用いた制御電源回路24(図1)から制御部29(図1)へと給電される。
【0064】
図3に示すように、予熱モードでは、予熱開始とともに充放電コンデンサCpreが定電流回路により所定の定電流で充電され、充放電を繰り返す。
【0065】
この充放電コンデンサCpreの充放電に伴い、予熱カウンタ用比較器OP1では参照電圧V1と充放電コンデンサCpreの出力電圧とが比較され、予熱カウンタ用比較器OP1からの出力がHレベルとLレベルとで交互に切り換わり、NOTゲートN1の出力がLレベルとHレベルとで交互に切り換わる(TFFA_CLK)。この結果、カウンタTA、カウンタTBおよびカウンタTCにより順次信号が生成される(TA_Q,TB_Q,TC_Q)。
【0066】
ここで、カウンタTAからの出力がHレベルになると、このカウンタTAのQ端子に接続されたフリップフロップRSDK1のS端子にHレベル入力され、このフリップフロップRSDK1の出力がHレベルとなる。このため、ORゲートOR2の出力(DKoff_f)がHレベルとなるので、NOTゲートN9を介してANDゲートA3にLレベル信号が入力され、ANDゲートA3からの出力がLレベルとなり、スイッチSがオフされる。したがって、起動電源回路23からの制御部29(図1)への給電が遮断される。すなわち、起動電源回路23は、放電ランプ点灯装置10の起動(予熱モードの開始)から、カウンタTAが最初にHレベル出力するまでの間、換言すれば、充放電コンデンサCpreの最初の充放電の半分の所定時間tだけ、制御部29(図1)に補助給電する。
【0067】
そして、カウンタTA,TB,TCで生成される信号が全てHレベルになるまでの間、フィラメントFLa,FLbの予熱によりフィラメントFLa,FLb間に所定の始動電圧が印加されて放電ランプFLが始動し、カウンタTA,TB,TCで生成される信号が全てHレベルになると、ANDゲートA1からの出力がHレベルとなり(RSpre_S)、フリップフロップRSpreからの出力(RSpre_Q)がHレベルとなる。この結果、NOTゲートN3を介してトランジスタQ2がオフされ、予熱終了用スイッチtpreがオンされて、予熱モードが終了するとともに、ORゲートOR1を介してフリップフロップRSDK1のR端子にHレベル入力され、フリップフロップRSDK1の出力(RSDK1_Q)がLレベルにリセットされる。
【0068】
次いで、図2に示すように、予熱終了用スイッチtpreのオンにより開始された始動モードにおいて、例えば始動モードへの移行による負荷変動に対して直流電源11側の出力電圧VDCが追従できずに出力電圧VDCが参照電圧V4よりも低下した場合、比較器OP4の出力側からANDゲートA3の入力側へとHレベル出力される。また、このとき、フリップフロップRSDK1の出力(RSDK1_Q)と、フリップフロップRSDK2の出力(RSDK2_Q)とがそれぞれLレベルであるため、ORゲートOR2の出力(DKoff_f)がLレベルとなり、したがって、ANDゲートA3には、NOTゲートN9を介してHレベル信号が入力され、かつ、比較器OP3からは、制御部29(図1)の電源電圧Vccが動作停止下限電圧を設定する参照電圧V3よりも大きいことにより、Hレベル信号が出力されてANDゲートA3に入力される。したがって、ANDゲートA3からは、スイッチSへとHレベル出力され、このスイッチSがオンされて起動電源回路23の起動部32が電圧降下部31とともに制御部29(図1)に接続される。
【0069】
そして、起動電源回路23では、力率改善回路21からの出力電圧VDCが電圧降下部31によって所定の電圧に降下され、制御部29(図1)へと補助的に供給される。
【0070】
また、始動モードにおいては、NOTゲートN3からの出力がMOSFETQ3のゲート端子にLレベル入力されてMOSFETQ3がオフされ、充放電コンデンサCstrが定電流回路により所定の定電流で充電され、充放電を繰り返す。
【0071】
この充放電コンデンサCstrの充放電に伴い、始動カウンタ用比較器OP2では参照電圧V2と充放電コンデンサCstrの出力電圧とが比較され、始動カウンタ用比較器OP2からの出力がHレベルとLレベルとで交互に切り換わり、NOTゲートN4の出力がLレベルとHレベルとで交互に切り換わる(TFFD_CLK)。この結果、カウンタTDおよびカウンタTEにより順次信号が生成される(TD_Q,TE_Q)。
【0072】
ここで、カウンタTDからの出力がHレベルになると、このカウンタTDのQ端子に接続されたフリップフロップRSDK2のS端子にHレベル入力され、このフリップフロップRSDK2の出力がHレベルとなる。このため、ORゲートOR2の出力(DKoff_f)がHレベルとなるので、NOTゲートN9を介してANDゲートA3にLレベル信号が入力され、ANDゲートA3からの出力がLレベルとなり、スイッチSがオフされる。したがって、起動電源回路23からの制御部29(図1)への補助給電が遮断される。すなわち、起動電源回路23は、始動モードの開始から、カウンタTDが最初にHレベル出力するまでの間、換言すれば、充放電コンデンサCstrの最初の充放電の半分の所定時間tだけ、制御部29(図1)に補助給電する。
【0073】
そして、カウンタTD,TEにより生成される信号とNOTゲートN4の出力の反転信号とが全てHレベルになるまでの間、始動モードが持続し、これらカウンタTD,TEにより生成される信号とNOTゲートN4の出力の反転信号とが全てHレベルになると、ANDゲートA2からの出力がHレベルとなり(RSstr_S)、フリップフロップRSstrからの出力(RSstr_Q)がHレベルとなる。この結果、NOTゲートN8を介してトランジスタQ4がオフされ、始動終了用スイッチtstrがオンされて、始動モードが終了し、点灯モードへと移行する。
【0074】
そして、放電ランプFLの点灯後、状態検出部28で検出された検出電圧などに基づき、発振制御部27からドライブ素子17へと供給される周波数信号Pを生成することにより、インバータ回路13の駆動周波数を可変させ、放電ランプ電流(放電ランプ電圧、放電ランプ電力)が所定の目標値となるようにフィードバック制御がなされる。
【0075】
このように、上記一実施の形態では、給電部25が、放電ランプFLの状態に応じて互いに異なる複数点から選択的に制御部29に給電するとともに、所定条件時には、制御部29に複数点から所定時間給電する構成とした。
【0076】
具体的に、給電部25が、起動時には、直流電源11に接続された起動電源回路23から制御部29に給電し、インバータ回路13の駆動後はこのインバータ回路13に接続された制御電源回路24から制御部29に給電し、かつ、放電ランプFLが始動状態に移行したり、比較器OP3により検出した直流電源11側の直流電圧、すなわち出力電圧VDCが所定の閾値を下回ったりしたときに、直流電源11に接続された起動電源回路23から制御部29に所定時間補助給電する構成とした。
【0077】
すなわち、直流電源11に接続されていることにより高耐圧に構成される起動部32を備えているために損失が大きい起動電源回路23は、起動時および負荷変動により電力の補助が必要となると予想されるタイミングのみで用い、他のときには起動電源回路23よりも損失が小さい制御電源回路24を用いるため、起動部32が備える抵抗器などにより常時電力を消費することがなく、回路効率を確保できるとともに、放電ランプFLの状態変化すなわち負荷変動に伴う制御部29の電源変動を抑制でき、制御部29を安定して動作させることが可能になる。特に、放電ランプFLのフィラメントのみがインバータ回路13の負荷となる軽負荷状態の予熱状態から始動状態に移行した際などの負荷変動に直流電源11側の出力電圧VDCが追従できずに生じるオーバシュート、あるいはアンダシュートなどの際の制御部29の電源変動を確実に抑制できる。
【0078】
さらに、負荷として放電ランプFLを放電ランプ点灯装置10によって駆動することにより、放電ランプFLの点灯状態に応じた負荷変動に起因する電源変動を抑制できる。
【0079】
また、制御部29を給電部25とともに集積化して直流電源11に直接接続することにより、小型で安価な回路構成を得ることができる。
【0080】
なお、上記一実施の形態において、比較器OP4を設けない構成とすることも可能である。この場合には、直流電源11側からの出力電圧VDCが低下したかどうかに拘らず、予熱モードから始動モードへと移行する際に起動電源回路23から制御部29へと所定時間補助給電をすることが可能になる。
【0081】
また、放電ランプFLのモードの移行時以外でも、比較器OP4により直流電源11側からの出力電圧VDCが所定の電圧よりも低下したことを検出した場合には、起動電源回路23から制御部29へと所定時間補助給電するように構成してもよい。
【0082】
さらに、始動モードから点灯モードに移行した際に、起動電源回路23から制御部29へと所定時間補助給電する構成としてもよい。
【0083】
そして、給電部25は、互いに異なる複数点のいずれかから、放電ランプFLの状態に応じて選択的に制御部29に給電可能で、かつ、所定条件時には複数点から制御部29に給電可能とする構成であれば、上記構成に限定されるものではない。
【0084】
また、負荷としては、放電ランプだけでなく、他の様々な負荷を用いることができる。
【符号の説明】
【0085】
10 電源装置としての放電ランプ点灯装置
11 直流電源
13 インバータ回路
25 給電手段としての給電部
29 制御手段としての制御部
FL 負荷としての放電ランプ
OP4 検出手段としての比較器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と;
この直流電源から出力された直流電圧を高周波交流電圧に変換して負荷に供給するインバータ回路と;
このインバータ回路の駆動を制御する制御手段と;
互いに異なる複数点のいずれかから、負荷の状態に応じて選択的に制御手段に給電可能であるとともに、所定条件時には複数点から制御手段に所定時間給電可能な給電手段と;
を具備していることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源装置と;
この電源装置により駆動される負荷としての放電ランプと;
を具備していることを特徴とする放電ランプ点灯装置。
【請求項3】
制御手段は、放電ランプを、予熱状態、始動状態および点灯状態のいずれかの状態に制御可能であり、
給電手段は、起動時には、直流電源側から制御手段に給電し、インバータ回路の駆動後はこのインバータ回路側から制御手段に給電し、かつ、放電ランプが始動状態と始動状態とのいずれかに移行すると、直流電源側から制御手段に所定時間補助給電する
ことを特徴とする請求項2記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項4】
直流電源から出力される直流電圧を検出する検出手段を具備し、
制御手段は、放電ランプを、予熱状態、始動状態および点灯状態のいずれかの状態に制御可能であり、
給電手段は、起動時には、直流電源側から制御手段に給電し、インバータ回路の駆動後はこのインバータ回路側から制御手段に給電し、かつ、検出手段により検出した直流電圧が所定の閾値を下回ったときに、直流電源側から制御手段に所定時間補助給電する
ことを特徴とする請求項2または3記載の放電ランプ点灯装置。
【請求項5】
制御手段は、少なくとも一部が給電手段とともに集積化されて直流電源に直接接続されている
ことを特徴とする請求項2ないし4いずれか一記載の放電ランプ点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−30295(P2011−30295A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170858(P2009−170858)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】