説明

電源装置および画像形成装置

【課題】交流電源電圧が遮断されると、できるだけ早期に外部負荷への電力供給を停止させることが可能なスイッチング方式の電源装置を提供すること。
【解決手段】電源部19は、節電モード中などの電力負荷が小さいことが軽負荷検出回路32により検出されているときに、AC電源電圧の入力の遮断がAC遮断検出回路31により検出されると、停止信号出力回路33からスイッチング回路28に対してスイッチング動作を停止させることを指示する信号を出力する。これにより、平滑コンデンサ23に蓄積した電荷の放電に起因する電流がトランス24の一次側に流れ続けることが停止され、外部の電力負荷への電力供給が早期に停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置など各種の外部負荷に電力を供給する電源装置および当該電源装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機などの画像形成装置は、複写などの画像形成動作を実行可能な通常モードと、節電を行う節電モードとを切り替えて実行する機能を有している。通常モードでは、画像形成を実行するのに必要なヒータ、モータ、制御部、操作パネルなどの全てのモジュールに電源部から電力が供給され、節電モードでは、電力供給のラインが切り替えられて、一部のモジュールだけ、例えば制御部内の一部のICや、操作パネル上に配された節電表示用のLEDだけに供給されるようになっている。
【0003】
電源部としては、商用電源である交流電圧を整流した後、平滑コンデンサで平滑し、平滑した直流電圧をトランスの一次側に与えると共にスイッチ素子によりスイッチングして、スイッチングによりトランスの二次側から出力される電圧を整流、平滑後に必要な直流電圧、例えば24〔V〕、5〔V〕などに変圧して、モータ、ヒータ、制御部、操作部などのモジュールに出力する、いわゆるスイッチング方式の電源装置が用いられている。
【0004】
スイッチング方式の電源装置には、スイッチ素子をスイッチング駆動するスイッチングICを有する駆動が備えられ、スイッチングICがトランスの二次側からの電圧供給により動作する構成をとっているものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−289334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のスイッチング電源を用いる場合、節電機能を実行しているときに、ユーザにより画像形成装置の電源スイッチがオフされたことにより商用電源から電源部への交流電源電圧の入力が遮断されると、次のような問題が生じる。
すなわち、電源部への入力電圧が遮断されても、遮断と略同時にトランスの一次側に接続されている平滑コンデンサに蓄積した電荷の放電に起因する電流(放電電流)がトランスの一次側に流れる。この放電電流は、平滑コンデンサに蓄積した電荷の放電が終了するまでの時間に亘ってトランスの一次側に流れるので、この間、トランスの一次側では、入力電圧の遮断前と同様にスイッチング動作が継続される。スイッチング動作が継続されると、電源装置から各モジュールへの電力供給も継続される。
【0007】
放電電流が流れ続ける時間は、電源装置から電力供給を受けるモジュールの電力負荷の大きさにより変わり、電力負荷が大きければモジュールで電力が直ぐに消費されるので、放電電流が流れる時間が短くなる。逆に、電力負荷が小さければ、モジュールでなかなか電力が消費されず、放電電流の流れる時間が長くなる。
入力電圧の遮断が通常モード時に行われた場合、通常モードでは電力を供給されているモジュールの数が多く、これらモジュールが大きな電力負荷になるので、電源装置から電力が出力され続ける時間が短くなる。
【0008】
これに対して、節電モード時では、操作パネルのLEDなど一部のモジュールにしか電力が供給されていないので、通常モード時に比べて電力負荷が極めて小さく、電源装置から電力が出力され続ける時間が長くなり、例えば8秒程度になる複写機(図4(b)参照)も存在する。
電源装置から電力が出力され続ける時間は、操作パネル上の節電表示用のLEDが点灯し続けている時間に相当する。上記のように8秒間とすれば、ユーザは、自己が電源スイッチをオフさせたにも関わらず、8秒に亘ってLEDが点灯している状態を目視することになり、大きな違和感を覚え、場合によっては故障との印象を抱かせるおそれも生じる。
【0009】
上記のような問題は、画像形成装置に限られず、電力負荷が小さいモードに切り替え可能な装置に電力を供給する電源部としての電源装置一般に生じ得る。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、交流電源電圧が遮断されると、できるだけ早期に外部負荷への電力供給を停止させることが可能なスイッチング方式の電源装置およびこれを備える画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る電源装置は、交流電源電圧を整流して得た電圧を平滑コンデンサにより平滑し、平滑後の電圧をスイッチ素子を介してトランスの一次側に与え、当該トランスの一次側に流れる電流をスイッチングすることにより、当該トランスの二次側から一次、二次の巻線比に比例した交流電圧を得ると共に、この電圧から外部負荷に必要な電圧を得る電源装置であって、前記トランスの二次側の出力電圧を動作源にして前記スイッチ素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動回路と、前記交流電源電圧の、前記トランスへの供給の遮断を検出する遮断検出回路と、前記遮断が検出されると当該検出時以降に、前記平滑コンデンサに蓄積した電荷の放電に起因する電流が前記トランスの一次側に流れ続けるのを停止させる停止回路と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記外部負荷は、前記電源装置から供給される電力を、第1の電力負荷に与える通常モードと前記第1の電力負荷よりも消費電力の少ない第2の電力負荷に与える節電モードとを切り替えて実行する機能を有し、前記停止回路は、前記外部負荷が前記節電モードに切り替わっている状態で前記遮断が検出されたときにだけ、前記停止を実行することを特徴とする。
【0012】
ここで、前記停止回路は、前記外部負荷への出力電流の大きさに基づき前記外部負荷が前記節電モードであることを検出する軽負荷検出回路を備え、前記軽負荷検出回路により節電モードが検出されているときに前記遮断が検出されると、前記停止を実行することを特徴とする。
また、前記停止回路は、外部から前記節電モードであることを示す信号を受信し、前記信号を受信しているときに前記遮断が検出されると、前記停止を実行することを特徴とする。
【0013】
さらに、前記停止回路は、前記外部負荷が前記節電モードに切り替わっているときにだけ、前記遮断検出回路に遮断検出に要する電圧を与えることを特徴とする。
ここで、前記遮断検出回路は、スイッチ素子を有し、前記スイッチ素子を介して前記遮断検出に要する電圧を与えられることにより前記遮断検出を行う構成であり、前記停止回路は、前記外部負荷が前記節電モードでないときには、前記スイッチ素子を開き、前記外部負荷が前記節電モードのときには、前記スイッチ素子を閉じることを特徴とする。
【0014】
また、前記停止回路は、前記動作の停止を、前記スイッチング駆動回路にスイッチング動作の停止信号を与えることにより行うことを特徴とする。
さらに、前記停止回路は、前記平滑コンデンサに蓄積した電荷を、前記トランスの一次側とは異なる経路を介して放電させる放電回路を備え、前記動作の停止を、前記放電回路の放電により行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、電源部から供給される電力を、第1の電力負荷に与える通常モードと前記第1の電力負荷よりも消費電力の少ない第2の電力負荷に与える節電モードとを切り替えて実行する画像形成装置であって、前記電源部として上記の電源装置を備えることを特徴とする。
ここで、LED素子を有する操作部を備え、前記LED素子は、前記第2の電力負荷に含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このように交流電源電圧のトランスへの供給の遮断が検出されると、当該検出時以降に、平滑コンデンサに蓄積した電荷の放電に起因する電流がトランスの一次側に流れ続けるのを停止させるので、外部負荷に電力が供給され続けることが防止される。
従って、外部負荷において例えばLEDへの電力供給など電力負荷が小さい状態にあるときに、電源装置への交流電源電圧の入力が遮断された場合、そのLEDへ電力供給を早期に停止させることができ、ユーザに違和感を覚えさせるまでの長い時間に亘ってLEDが発光し続けることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1に係る複写機の全体構成を示す図である。
【図2】複写機に備えられる電源部の回路構成を示すブロック図である。
【図3】電源部の回路構成を示す図である。
【図4】節電モード中にAC入力が遮断されたときにトランスの二次側から出力される電圧波形を測定した実験結果のグラフの例を示す図である。
【図5】変形例に係る電源部の回路構成を示す図である。
【図6】実施の形態2に係る電源部の構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態3に係る電源部の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態4に係る電源部の構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態5に係る電源部の構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態6に係る電源部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る電源装置および画像形成装置の実施の形態を、複写機に適用した例を図面を参照しながら説明する。
<実施の形態1>
(1)複写機の全体構成
図1は、本実施の形態に係る複写機1の全体構成を示す図である。
【0019】
同図に示すように、複写機1は、原稿読取部11と、作像部12と、給紙部13と、転写部14と、定着部15と、操作パネル16と、制御部17と、駆動部18と、電源部19を備え、節電モードを実行する機能を有する。
原稿読取部11は、原稿画像を読み取ってそのデータを出力する。
作像部12は、原稿読取部11により読み取られた原稿画像のデータに基づき、像担持体上にトナー像を作像する。
【0020】
給紙部13は、給紙カセットなどに収容されているシートを1枚ずつ給送する。
転写部14は、給紙部13から給送されたシート上に、像担持体上のトナー像を転写させる。定着部15は、シート上に転写されたトナー像を定着ヒータの熱により加熱すると共に加圧してシートに定着させる。
駆動部18は、作像部12、給紙部13、定着部15などに配置されている像担持体、給紙ローラ、定着ローラなどの回転体を回転駆動させる駆動源であり、例えばDCモータなどが設けられている。
【0021】
電源部19は、スイッチング方式による電源装置であり、電源スイッチ9を介して商用交流電源と接続されており、電源スイッチ9のオンにより入力される交流(AC)電圧を外部負荷に必要な直流電圧に変換して、制御部17を含む各部に出力する。また、入力したAC電圧を定着部15にバイパスして出力する回路としても用いられている。電源部19の回路構成の詳細については、後述する。
【0022】
操作パネル16は、液晶表示部2、LED3、キー群4を備える。
液晶表示部2は、ユーザに対してコピージョブを実行するのに必要な情報の画面などの各種画面を表示させると共に、ユーザからの複写濃度の選択、使用するシートの選択、各種モードの選択、節電モードへの移行指示などをタッチ入力で受け付け、受け付けた内容を制御部17に送る。
【0023】
LED3は、節電モードであることをユーザに示すための節電表示用のLEDであり、節電モードのときにだけ電圧が印加されて点灯する。
キー群4は、ハードキー群であり、複写開始を指示するコピースタートキー、複写枚数を入力するテンキー、節電モードの解除を指示するための節電解除キーなどが含まれる。これらキーの押下による入力情報は、制御部17に送られる。
【0024】
制御部17は、CPU5、ROM、メモリ、ドライバなどのIC、抵抗、コンデンサなどの多数の素子を備え、原稿読取部11〜駆動部18の各部の動作を統括的に制御して、円滑な複写動作を実行する。CPU5は、液晶表示部2から節電モードの移行指示を受信すると、複写機1を通常モードから節電モードに移行させ、節電モード中にキー群4の節電解除キーの入力情報を受信すると、節電モードを解除して、通常モードに戻させる。
【0025】
ここで、通常モードは、電源部19から出力される電力を複写動作に必要なモジュールの全てに供給するモードであり、全てのモジュールとは、操作パネル16のLED3を除く原稿読取部11〜駆動部18までの各部である。従って、電源部19からみると、通常モードでは外部の電力負荷が大きい状態になっていることになる。
なお、図示していないが、各部にはファンモータ、光学センサー、除湿ヒータなどの部材も備えられており、複写を実行していない待機状態であっても、定着ヒータによる電力消費や、これら部材への給電による電力消費なども加わった電力が消費される。
【0026】
節電モードは、電源部19から出力される電力を一部のモジュールだけに供給するモードであり、一部のモジュールとは、制御部17のCPU5と操作パネル16のLED3だけである。定着ヒータ、ファンモータなどの部材への電力供給も停止される。電源部19からみると、節電モードでは外部の電力負荷が大変小さい軽負荷の状態になっている。
操作パネル16については、節電モードでは液晶表示部2が消灯され、これに代わってLED3が点灯するので、ユーザは、節電モード中ではLED3が点灯していることを目視することにより、節電モードに移行していることを知ることができる。
【0027】
図1に示す太い矢印が通常モード時の電力供給ラインになり、細い破線で示す矢印が節電モード時の電力供給ラインになる。なお、各モジュールは、電源部19の出力端子と電力供給を受けるためのラインを介して接続されており、そのラインには、各モジュールへの電力供給を断続するためのスイッチが設けられている。このスイッチの断続がCPU5により制御され、モジュール毎に電力の供給と停止が切り替えられるようになっている。
【0028】
(2)電源部の構成
図2は、電源部19の回路構成を示すブロック図である。
同図に示すように、電源部19は、整流回路21、抵抗22、平滑コンデンサ23、トランス24、ダイオード25、平滑コンデンサ26、出力回路27、スイッチング回路28、停止回路29を備える。
【0029】
電源部19の入力端子101には、商用交流電源からのAC電圧が入力される。
入力端子101は、出力端子102と接続されると共に整流回路21と接続されている。出力端子102は、定着部15と接続されている。
整流回路21は、ダイオードブリッジなどからなり、入力端子101に入力されたAC電圧を整流して、整流後の電圧を、抵抗22を介して平滑コンデンサ23に出力する。
【0030】
平滑コンデンサ23は、電解コンデンサであり、整流後の電圧を平滑して、平滑後の直流電圧をトランス24の一次側に与える。
トランス24は、一次側に流れる直流電流がスイッチング回路28によりスイッチングされることにより、一次、二次の巻数比に比例した交流電圧を二次側から出力する。
トランス24の二次側には、ダイオード25と平滑コンデンサ26からなる回路が接続されており、二次側から出力される交流電圧を整流、平滑して出力回路27に出力する。
【0031】
出力回路27は、入力される電圧を外部に必要なDC電圧、ここでは24〔V〕、5〔V〕、3.3〔V〕に変換した後、出力端子103から電圧毎に電力供給ラインを通じて各モジュールに出力する。なお、3.3Vは、操作パネル16のLED3に供給される電圧である。
スイッチング回路28は、トランス24の二次側からの出力電圧を動作源に動作する。
【0032】
停止回路29は、AC遮断検出回路31と、軽負荷検出回路32と、停止信号出力回路33を備え、電源スイッチ9のオフにより交流電源電圧の入力(以下、「AC入力」という。)が遮断されると、スイッチング回路28のスイッチング動作を停止させる。スイッチング回路28と停止回路29の構成を図3の回路図を用いて説明する。
(3)電源部の回路構成
(3−1)スイッチング回路28の構成
図3に示すように、スイッチング回路28は、スイッチングIC51と、電界効果トランジスタ(FET)52と、ダイオード53と、コンデンサ54などからなる。
【0033】
FET52は、ドレインがトランス24の一次側の巻線41に接続され、ゲートがスイッチングIC51の入力端子bに接続され、ソースが接地されており、スイッチングIC51によりスイッチング駆動される。このスイッチング駆動により、一次側の巻線41にパルス波形の電流が流れ、スイッチング周波数に応じた交流電圧がトランス24の二次側である巻線42と補助巻線43から出力される。
【0034】
二次側の出力電圧を一定に制御するために、外部の電力負荷が大きい通常モードでは、スイッチング周波数を下げてFET52のオン時間を長くして、流れる電流量を増大させて、負荷側に十分なエネルギーが供給される。
一方、節電モード(軽負荷時)では、外部の電力負荷が通常モードよりも小さくなるので、スイッチング周波数を上げてFET52のオン時間を短くして、流れる電流量を低減させて、負荷側へのエネルギー供給量を絞る動作が行われる。なお、スイッチング周波数のオン/オフデューティ比を可変させる構成をとるとしても良い。
【0035】
ダイオード53とコンデンサ54からなる回路は、補助巻線43から出力される交流電圧を整流、平滑した後、スイッチングIC51の入力端子aに出力する。
スイッチングIC51は、入力端子aに入力される電圧を動作源として動作して、出力端子bからFET52をスイッチングするためのパルス信号をFET52のゲートに出力する。スイッチングIC51の入力端子cは、停止信号出力回路33からの信号を入力する端子であり、スイッチングIC51は、当該信号がHレベルのときにはスイッチング動作を実行し、Lレベルのときにはスイッチング動作を停止させる。このようにスイッチング回路28は、FET52がスイッチ素子を構成し、スイッチングIC51が当該スイッチ素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動回路を構成する。
【0036】
スイッチングIC51としては、例えばフィードバック制御によりスイッチング周波数を可変するものを用いるとしても良い。具体的には、出力回路27から現に出力されている電圧値が検出され、検出された電圧値がスイッチングIC51にフィードバックされ、現に出力されている電圧が所定の電圧に一致するように、スイッチングIC51によりスイッチング周波数が可変制御される。
(3−2)停止信号出力回路33の構成
停止信号出力回路33は、NAND回路81からなり、AC遮断検出回路31からの信号が入力される入力端子aと、軽負荷検出回路32からの信号が入力される入力端子bと、スイッチングIC51の入力端子cに信号を出力する出力端子cを有する。
【0037】
ここでは、AC遮断検出回路31からHレベルの信号(AC入力遮断を示す信号)が入力端子aに入力され、かつ、軽負荷検出回路32からHレベルの信号(節電モードを示す信号)が入力端子bに入力されたとき(停止条件を満たしたとき)にだけ、出力端子cからLレベルの信号(スイッチング動作の停止指示を示す信号)を出力する。
(3−3)AC遮断検出回路31の構成
AC遮断検出回路31は、AC入力の遮断(実質的にトランス24への入力電圧の遮断)を検出する回路であり、ダイオード61、62と、抵抗63〜65と、NPN型のトランジスタ66と、電解コンデンサ67などからなる。
【0038】
ダイオード61、62は、入力端子101に入力されるAC電圧を整流して、整流後の電圧を抵抗63、64の直列回路に与える。
トランジスタ66のベースには、抵抗63と64の分圧電圧が印加されており、トランジスタ66のエミッタは接地されている。トランジスタ66のコレクタは、NAND回路81の入力端子aと接続されると共に、整流回路21による整流後の電圧が抵抗65を介して印加されている。トランジスタ66のベースには、電解コンデンサ67のプラス側の端子が接続されている。AC入力が遮断されたときの回路動作については、後述する。
(3−4)軽負荷検出回路32の構成
軽負荷検出回路32は、軽負荷(節電モード)であることを検出する回路であり、オペアンプ71と、抵抗72〜76、コンデンサ77、ダイオード78などからなる。
【0039】
オペアンプ71は、比較器であり、入力端子(+)には、直列接続される抵抗72、73の分圧電圧が基準(ref)電圧として入力される。抵抗72の一方の端子は、ダイオード25のカソードと接続され、他方の端子は、抵抗73を介して接地されている。
ダイオード78のアノードは、ダイオード25のアノードと接続される。
ダイオード78のカソードは、抵抗74を介してオペアンプ71の入力端子(−)に接続されている。オペアンプ71の入力端子(−)は、コンデンサ77を介して接地されている。また、ダイオード78のカソードは、抵抗76を介して接地されている。
【0040】
オペアンプ71の入力端子(−)には、トランス24の二次側から出力される交流電圧がダイオード78で半波整流された後、コンデンサ77に印加され、コンデンサ77の充電と充電後の放電により抵抗76を介してアースに流れるという充放電の動作の繰り返しにより脈流となった、その脈流電圧の平均値を表す電圧が入力される。
上記のようにスイッチング回路28においては、外部の電力負荷が大きい通常モード時と、外部の電力負荷が小さい節電モード時(軽負荷時)とでは、スイッチングIC51によるスイッチング周波数が変化することにより、トランス24の二次側から出力される電力量(電流量)が変わる。トランス24の二次側から出力される電流量が多くなれば、抵抗76に流れる電流量も多くなり、抵抗76の両端の電位差が大きくなってオペアンプ71の入力端子(−)の電位が高くなる。逆に、トランス24の二次側から出力される電流量が少なくなると、オペアンプ71の入力端子(−)の電位が低くなる。
【0041】
本実施の形態では、通常モード時には、オペアンプ71の入力端子(+)に入力される電圧(基準)よりも入力端子(−)に印加される電圧の方が高くなり、オペアンプ71の出力端子(OUT)がLレベルになる。
一方、節電モードでは、通常モードとは入力電圧の大小関係が逆になり、オペアンプ71の入力端子(+)の電圧(基準)よりも入力端子(−)の電圧の方が低くなって、出力端子(OUT)がHレベルに切り替わるように構成されている。
【0042】
通常モードと節電モードとで、オペアンプ71の入力端子(+)と(−)の電位の大小関係が上記の関係に交互に切り替わるように、抵抗72〜76の抵抗値、コンデンサ77の容量などが予め設定される。オペアンプ71には、ここではトランス24の二次側であり出力回路27への入力電圧と同じ直流電圧が動作電圧として与えられている。
なお、NAND回路81の動作電圧としては、例えばオペアンプ71と同様に二次側からの直流電圧がNAND回路81に与えられるとしても良いし、これに代えて、一次側で整流、平滑後の電圧が与えられるとしても良いし、これに限られず、例えばスイッチングIC51の入力端子aに入力される電圧が与えられる構成などをとることもできる。
(3−5)回路動作説明
上記の回路構成において、(i)AC電圧が入力されているときには、AC遮断検出回路31のトランジスタ66がオン状態になるので、トランジスタ66のコレクタの電圧が下がってLレベルになり、コレクタに接続されているNAND回路81の入力端子aもLレベルになる。これにより、NAND回路81の入力端子bがLレベル(通常モード時)でもHレベル(節電モード時)でも、NAND回路81の出力端子cがHレベルになり、スイッチングIC51の入力端子cもHレベルになる。スイッチングIC51の入力端子cがHレベルになることにより、スイッチングIC51によるスイッチング動作が実行され、トランス24の二次側からそのスイッチングに応じた電圧が出力される。
【0043】
(ii)節電モードに切り替えられると、NAND回路81の入力端子bがHレベルに切り替わるが、NAND回路81の出力端子cはHレベルのままであり、スイッチングIC51によるスイッチング動作が継続される。
(iii)節電モード時にAC入力が遮断されると、AC遮断検出回路31のトランジスタ66がオン状態からオフ状態になる。トランジスタ66がオン状態からオフ状態に切り替わる時間の長さは、電解コンデンサ67の容量の大きさにより設定される。この時間としては、例えば商用電源の瞬断を検出するのを避けるのに必要な時間、具体的には0.5秒程度とすることができる。また、これよりも短いまたは長くすることもできる。イミュニティ規格などの電源遮断耐量を満たすための時間が決められている場合には、その規格を満たす時間以上の範囲で、できるだけ短い時間を設定するとしても良い。
【0044】
AC入力の遮断と略同時に、平滑コンデンサ23に蓄積した電荷の放出に起因する電流(放電電流)がトランス24の一次側の巻線41とFET52との直列回路に流れ始める。平滑コンデンサ23からの放電電流がトランス24の一次側の巻線41に入力されると、AC入力の遮断前と同じように二次側からの電圧出力が継続されつつ、二次側から動作電圧を供給されるスイッチング回路28、軽負荷検出回路32も動作し続ける
AC入力の遮断時に節電モード中であったので、複写機1内で通電状態にあったモジュールが制御部17の一部のICと操作パネル16のLED3だけという電力負荷が大変小さい軽負荷の状態であり、このような軽負荷の状況下で、平滑コンデンサ23からの放電電流がトランス24の一次側に流れる。
【0045】
このとき、AC遮断検出回路31のトランジスタ66は、オフ状態になっているので、平滑コンデンサ23の+側の端子の電圧が抵抗65を介してNAND回路81の入力端子aに印加される。これにより、NAND回路81の入力端子aがHレベルに切り替わる。
NAND回路81の入力端子bは、入力遮断後も軽負荷検出回路32が動作し続けているので、Hレベルが維持されている。
【0046】
つまり、節電モード時にAC入力の遮断が検出されると、NAND回路81の入力端子a、bの両方がHレベルになり、NAND回路81の出力端子cがHレベルからLレベルに切り替わる。このLレベルへの切り替わりがスイッチング動作の停止指示になる。
これにより、スイッチングIC51の入力端子cがLレベルになり、スイッチング動作が停止される。
【0047】
スイッチング動作の停止によりトランス24の二次側からの電圧出力が停止されるので、電源部19から各モジュールへの電力供給も停止され、これ以降は操作パネル16のLED3が消灯することになり、AC入力が遮断されたのにも関わらず、ユーザに違和感を覚えるまでの長い時間に亘ってLED3が点灯し続けることが防止される。
なお、節電モードではなく、通常モード時にAC入力が遮断された場合、停止信号出力回路33からスイッチング動作の停止指示がなされず、スイッチング動作の継続によりトランス24の二次側から電圧が出力されることになる。
【0048】
しかしながら、上記のように通常モード時は節電モード時に比べて遥かに電力負荷が大きく、電源部19から出力される電力は、その大電力負荷により直ぐに消費されてしまうので、LED3が長い時間に亘って点灯し続けることはない。
また、再度、AC電圧が入力されると、AC遮断検出回路31のトランジスタ66がオン状態になり、通常モードでも節電モードでもモードに関わらず、スイッチングIC51によるスイッチング動作が開始され、トランス24の二次側から交流電圧が出力される。
【0049】
(4)トランスの二次側の出力電圧波形
図4は、節電モード中にAC入力が遮断されたときにトランス24の二次側から出力される電圧波形を測定した実験結果の例を示すグラフであり、図4(a)が停止回路29を備える電源部を用いた構成(実施例)のものであり、図4(b)が停止回路を備えない構成(従来相当:比較例)のものである。
【0050】
なお、両図は、測定周期が異なっており、図4(a)が2秒/1div、図4(b)が5秒/1divになっている。従って、両図において横軸(時間軸)の長さが同じであっても、図4(b)では、図4(a)の長さの2.5倍の時間を示していることになる。
両図から、実施例ではAC入力の遮断時から二次側の出力電圧が低下し始めるまでの時間がt1(2秒)であるが、比較例ではt2(8秒)もかかっていることが判り、実施例が比較例の1/4程度まで短縮されていることが判る。
【0051】
従って、節電モード中にAC入力が遮断されたとき、操作パネル16のLED3の点灯から消灯までに要する時間が比較例よりも実施例の方が大幅に短縮され、上記の例では2秒程度で消灯し始めるため、ユーザが違和感を覚えることが防止される。
なお、スイッチング動作の停止時に平滑コンデンサ23に残っている蓄積電荷は、回路内で徐々に放電される。
【0052】
<実施の形態1の構成に対する変形例>
図5は、当該変形例に係る電源部111の回路構成を示す図である。
同図に示すように本変形例に係る電源部111は、実施の形態1に係る電源部19の回路構成(図3)とほとんど同じであるが、AC遮断検出回路311が異なっている。
すなわち、AC遮断検出回路311は、直列接続されるダイオード61と抵抗63の間にスイッチ素子68が介在されてなる。スイッチ素子68は、例えば半導体スイッチング素子であり、軽負荷検出回路32のオペアンプ71の出力端子(OUT)から出力される信号により開閉を行う。
【0053】
具体的にスイッチ素子68は、通常モード時にオペアンプ71の出力端子(OUT)からLレベルの信号が出力されているときには開状態に、節電モード時にオペアンプ71の出力端子(OUT)からHレベルの信号が出力されているときには閉状態になる。
これにより、通常モード時には、AC交流電源からの電圧がダイオード61、62からスイッチ素子68を介して抵抗63、64、トランジスタ66などの素子に与えられず、これら素子での電力消費を防止することができる。
【0054】
節電モード時には、AC交流電源からの電圧がAC遮断検出回路311に与えられ、これがAC入力の遮断検出に要する電圧となって当該遮断検出を行う。AC入力の遮断検出方法は、実施の形態1と同じである。
このように本実施の形態では、通常モード時にAC遮断検出回路311を構成する抵抗やトランジスタなどの素子への電力供給を停止させるので、各素子における電力消費を抑止して、さらなる省電力を実現できる。
【0055】
なお、上記では整流回路21で整流される前のAC交流電源からの電圧がスイッチ素子68を介してAC遮断検出回路311に与えられる構成としたが、遮断検出に要する電圧が外部からスイッチ素子を介して与えられる回路であれば、上記の回路に限られず、また遮断検出に要する電圧が整流前のAC交流電圧に限られることもない。
例えば、別のAC遮断検出回路として、上記の軽負荷検出回路32のようにオペアンプを用い、AC入力の整流、平滑後の電圧値と基準値との大小により遮断の有無を検出する回路をとる場合、トランス24の二次側の出力電圧をオペアンプの遮断検出に要する電圧(動作電圧)として当該オペアンプに、モードに応じてスイッチ素子の断続により与えるか、与えないかを切り替える回路構成とすることが可能である。また、例えばトランス24の一次側の電圧が与えられる構成とすることもできる。
【0056】
<実施の形態2>
上記実施の形態1では、スイッチング動作の停止条件が満たされた場合にスイッチングIC51にスイッチング停止指示信号を与える構成としたが、これに代えて、本実施の形態2では、平滑コンデンサ23に蓄積した電荷をトランス24の一次側とは異なる経路を通じて放電させる放電回路を備える構成としており、この点が実施の形態1と異なっている。以下、説明の重複を避けるため、実施の形態1と同じ内容についてはその説明を省略し、同じ構成要素については、同符号を付すものとする。
【0057】
図6は、本実施の形態に係る電源部112の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、電源部112には、実施の形態1の停止信号出力回路33に代えて、放電回路90が設けられている。
放電回路90は、AND回路91と、抵抗92と、トランジスタ93からなり、トランス24の一次側(巻き線41)に並列接続されている。ここで、抵抗92の電気抵抗は、トランス24の巻き線41よりも極小になっている。
【0058】
AND回路91の入力端子aは、AC遮断検出回路31からの信号の入力を受け付け、AND回路91の入力端子bは、軽負荷検出回路32からの信号の入力を受け付ける。
AND回路91の出力端子cは、NPN型のトランジスタ93のベースに接続されている。トランジスタ93のエミッタは接地されており、コレクタは、抵抗92を介して平滑コンデンサ23の+側の端子に接続されている。
【0059】
(i)通常モード時には、AND回路91の入力端子aには、AC遮断検出回路31からのLレベルの信号が入力され、AND回路91の入力端子bには、軽負荷検出回路32からのLレベルの信号が入力されるので、AND回路91の出力端子cは、Lレベルになり、トランジスタ93はオフ状態になる。
従って、平滑コンデンサ23の+側の端子から抵抗92、トランジスタ93を介してアースに至るまでの放電路が形成されない。このことは、節電モードのときも同様である。
【0060】
(ii)節電モード時にAC入力の遮断が検出されると、AND回路91の入力端子aには、AC遮断検出回路31からのHレベルの信号が入力され、AND回路91の入力端子bには、軽負荷検出回路32からのHレベルの信号が入力されるので、AND回路91の出力端子cは、Hレベルになり、トランジスタ93がオン状態になる。
これにより、平滑コンデンサ23の+側の端子から抵抗92、トランジスタ93を介してアースに至るまでの放電路が形成される。トランジスタ93のエミッタ−コレクタ間が略導通状態であり、抵抗92の電気抵抗がトランス24の一次側よりも極小なので、平滑コンデンサ23からの放電電流は、当該放電路を介して瞬時にアースに流れ、トランス24の一次側にはほとんど流れない(トランス24の一次側への電圧供給の遮断)。
【0061】
トランス24の一次側への電圧供給が遮断されると、仮にその時点でFET52のスイッチング駆動が継続されていても、トランス24の一次側の巻線41への電圧の入力がない状態なので、これ以降は二次側から交流電圧が出力されず、AC入力遮断時以降に外部、ここでは操作パネル16のLED3に点灯用電圧が供給され続けることが防止される。
このように放電回路90を設ける構成をとることでも、実施の形態1と同様に、AC入力遮断時以降に平滑コンデンサ23からの放電電流がトランス24の一次側に流れ続けるのを停止させることができる。
【0062】
平滑コンデンサ23からの放電電流がトランス24の一次側に流れないようにするには、放電路の電気抵抗をトランス24の一次側よりも、できるだけ小さくすることが望ましい。実験などにより抵抗値の大きさが決められる。
なお、本実施の形態の回路構成に、上記実施の形態1に対する変形例に係るスイッチ素子68(図5)を設けるようにしても良い。また、上記の放電回路90を、例えば実施の形態1の回路に組み込むとしても良い。
【0063】
<実施の形態3>
上記実施の形態1、2では、節電モードであることを検出する軽負荷検出回路32を電源部19に設ける構成例を説明したが、本実施の形態では、軽負荷検出回路32が設けられておらず、この点が実施の形態1、2と異なっている。
図7は、本実施の形態に係る電源部113の構成を示すブロック図である。
【0064】
同図に示すように、電源部113は、実施の形態1の電源部19に対して軽負荷検出回路32が存在しておらず、制御部17から出力されるスリープ信号(実線)が停止信号出力回路33に入力される構成になっている。このスリープ信号は、節電モードであるか否かを示す信号である。
制御部17は、操作パネル16を介してユーザによる節電モードの指示を受け付けて、複写機1を通常モードから節電モードに移行させる制御を担当するので、節電モードにあるか否かを判断することができる。制御部17は、スリープ信号として、通常モード時にLレベル、節電モード時にHレベルになる信号を停止信号出力回路33に出力する。
【0065】
スリープ信号は、停止信号出力回路33を構成するNAND回路81(図5)の入力端子bに入力され、節電モード時にだけ入力端子bがHレベルになる。
従って、節電モード時にAC入力が遮断されると、上記実施の形態1と同様に、停止信号出力回路33からスイッチング停止指示信号がスイッチング回路28に出力され、スイッチング動作が停止される。
【0066】
このように電源部113が、電源部113から見て外部である制御部17からスリープ信号を受け付ける構成をとることにより、電源部113に軽負荷検出回路32を設けなくて良くなり、回路構成を簡素化しつつ低コスト化を図ることができる。外部からの信号を受け付ける構成であれば良く、外部が制御部以外の別のモジュールであっても良い。
なお、同図では、スリープ信号がAC遮断検出回路31にも入力されている様子を破線で示している。スリープ信号がAC遮断検出回路31にも入力される構成は、AC遮断検出回路31を上記の図5で示す構成にした場合に適用される場合の例を示すものである。この場合、制御部17からのスリープ信号は、図5においてNAND回路81の入力端子bとスイッチ素子68の両方に入力されることになる。
【0067】
<実施の形態4>
本実施の形態は、軽負荷検出回路32を設けない構成を、実施の形態2に適用した構成になっている。
図8は、本実施の形態に係る電源部114の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、電源部114は、軽負荷検出回路32が存在しておらず、制御部17から出力されるスリープ信号(実線)が放電回路90を構成するAND回路91の入力端子bに入力される構成になっている。このスリープ信号は、実施の形態3のスリープ信号と同じ信号である。従って、図8の構成においても、電源部114に軽負荷検出回路32を設けずに済み、回路構成の簡素化と低コスト化を図ることができる。
【0068】
なお、スリープ信号が破線で示すようにAC遮断検出回路31にも入力される構成は、AC遮断検出回路31として図5に示す回路を用いる場合の構成例を示している。この場合、スリープ信号は、AC遮断検出回路31のスイッチ素子68にも入力される。
<実施の形態5>
上記実施の形態3では、スリープ信号が停止信号出力回路33に入力される構成例を説明したが、本実施の形態では、スリープ信号に代えてジャム検出信号が入力されるとしており、この点が実施の形態3と異なっている。
【0069】
図9は、本実施の形態に係る電源部115の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、電源部115の停止信号出力回路33に、制御部17からのジャム検出信号(実線)が入力される構成になっている。ジャム検出信号は、コピージョブ実行中に給紙部13や転写部14などで給紙、搬送中のシートのジャム(紙詰まり)が発生したか否かを示す信号である。
【0070】
本実施の形態では、シートのジャム発生を検出するためのセンサーがシート搬送路の付近に設けられており、制御部17は、当該センサーによりジャムが検出されると、実行中のコピージョブを一旦停止させると共に、必要なモジュール以外のモジュールへの電力供給を停止させる。ここで、必要なモジュールとは、ジャム発生をユーザに知らせるためのジャム発生の旨を示す表示素子、例えば操作パネル16に設けられたLEDと、詰まったシートがユーザにより取り除かれたことを検出するセンサーと、詰まったシートが取り除かれたことが検出されるとジャム解除としてコピージョブを再開させる制御部17自身である。これら必要なモジュール以外の作像部12、転写部14等への大部分のモジュールへの電力供給は、ジャム発生から解除までの間、停止される。
【0071】
制御部17は、ジャム検出信号として、ジャムが発生していないときにLレベル、ジャム発生時にHレベルになる信号を停止信号出力回路33に出力する。
従って、ジャム発生時にAC入力が遮断されると、上記実施の形態1と同様に、停止信号出力回路33からスイッチング停止指示信号がスイッチング回路28に出力されて、スイッチング動作が停止される。
【0072】
ジャム発生時は、上記の節電モードと同様に電源部115からみると、通常モードよりも軽負荷状態になっており、このような軽負荷状態でAC入力が遮断された場合でも、ジャム発生を示すLEDが点灯し続けることが防止される。
なお、上記ではジャム発生を示す表示素子としてLEDを用いた例を説明したが、これに限られない。LEDに代えて、他の表示素子、例えばジャム発生の旨のメッセージを表示させる液晶表示部などとしても良い。この場合も、メッセージ表示がAC入力遮断時以降に表示され続けるのを防止することができる。
【0073】
また、ジャム検出信号を用いる構成は、図9のように停止信号出力回路33に入力される構成に限られず、上記実施の形態4(図8)において、スリープ信号に代えてジャム検出信号が放電回路90に入力される構成としても良い。
なお、上記ではジャムを検出する例としたが、これに限られず、例えばトラブル検出としても良い。トラブルとは、例えば作像部12や給紙部13などのモジュールが故障によりコピージョブが実行できなくなることをいう。トラブルの発生は、制御部17により検出され、ジャム検出信号に代えてトラブル検出信号が停止信号出力回路33に入力される構成をとるとしても良い。
【0074】
この構成をとれば、トラブル検出によりコピージョブが停止されると共に必要なモジュール(操作パネル16の表示部など)以外の大部分のモジュールへの電力供給が停止されて、複写機1は軽負荷状態になる。軽負荷状態においてAC電圧が遮断されると、それまで電力供給されていた操作パネルの表示部への電力の供給がより早く停止され、故障の旨の表示をより早く消灯させることができる。
【0075】
<実施の形態6>
上記実施の形態1、2では、軽負荷(節電モード)時かつAC入力の遮断を停止条件として、この条件が満たされたときにスイッチング動作を強制的に停止させるとしたが、本実施の形態では、AC入力の遮断だけを停止条件としており、この点が異なっている。
図10(a)は、本実施の形態に係る電源部116の構成を示すブロック図である。
【0076】
同図に示すように、電源部116は、軽負荷検出回路が設けられておらず、制御部17からのスリープ信号の入力もなく、実施の形態1の停止信号出力回路33(図2)に代えて停止信号出力回路331が設けられている。
停止信号出力回路331は、図10(b)に示すようにNOT回路からなり、AC遮断検出回路31からのAC遮断検出信号を入力して、そのレベルを反転した信号をスイッチング回路28に出力する。
【0077】
上記のようにAC遮断検出回路31は、AC電圧が入力されているときにはLレベルの信号を出力し、AC入力が遮断されたときにはHレベルの信号を出力する。従って、AC電圧が入力されているときには、停止信号出力回路331の出力信号がHレベルになり、スイッチング動作は停止されない。AC入力が遮断されたときには、停止信号出力回路331の出力信号がLレベルになり、スイッチング動作は停止されることになる。
【0078】
AC入力の遮断が検出されると、通常モードと節電モードのいずれのモードであるかに関わらずスイッチング動作を強制的に停止させる構成であり、軽負荷検出回路を設ける必要がなく、また軽負荷(節電モード)であることの信号入力を外部から受け付ける端子も不要になる。このように構成すれば、さらなる低コスト化を図りつつ、通常よりも電力負荷が小さい軽負荷のモードに切り替わる構成一般に適用することができる。
【0079】
なお、上記ではAC遮断検出回路31の出力信号だけを利用する構成を、実施の形態1に係るスイッチングIC51のスイッチング駆動を停止させる構成に適用した例を説明したが、これに限られない。実施の形態2に係る放電回路90を有する構成(図6)に適用することもできる。この場合、図6の回路構成に対して、AND回路91と軽負荷検出回路32を取り除くと共に、AC遮断検出回路31の出力信号が直接、トランジスタ93のベースに入力される回路構成とされる。
【0080】
これにより、AC電圧が入力されているときには、トランジスタ93がオフになり、平滑コンデンサ23の蓄積電荷が抵抗92、トランジスタ93を通ってアースに流れる放電路が形成されず、AC入力が遮断されたときにだけトランジスタ93がオンになり、当該放電路の形成により、平滑コンデンサ23の蓄積電荷が当該放電路を介して放電される。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
【0081】
(1)上記実施の形態では、本発明に係る画像形成装置を複写機に適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーやモノクロの画像形成に関わらず、像担持体に画像を形成して、形成した画像をシートに転写する画像形成装置であれば、例えばプリンタ、FAX、MFP(Multiple Function Peripheral)等に適用できる。
(2)また、電源部(電源装置)と、電源部から電力供給を受けるモジュール(外部負荷)とを備える画像形成装置の構成例を説明したが、これに限られない。
【0082】
電源装置としては、入力される交流電源電圧から外部負荷(外部の装置)に必要な電圧を得て、当該外部負荷に出力するスイッチング方式の電源装置一般に適用することができる。また、外部負荷としては、電源装置から供給される電力を、第1の電力負荷に与える通常モードと、第1の電力負荷よりも消費電力の少ない第2の電力負荷に与える節電モードとを切り替えて実行する機能を有するものであることが好ましい。
【0083】
(3)さらに、上記実施の形態では、出力回路27をDC−DCコンバータとしたが、これに限られず、例えばDC−ACコンバータであっても良い。さらに、出力回路27を設けない構成をとるとしても良い。
なお、電源部で使用されるIC、トランジスタなどの回路素子および各回路構成が上記のものに限られないことはいうまでもなく、整流、平滑、変圧、スイッチング、AC遮断検出、軽負荷検出、停止信号出力、放電回路などの各機能を実行することができる回路であれば、如何なる構成および部材を用いるとしても構わない。また、スイッチ素子68についても、回路を開閉することができるものであれば、上記のものに限られない。
【0084】
さらに、節電モード時には、電力供給の対象となるモジュールを低消費電力のLED素子などだけにして、通常モードでの第1の電力負荷よりも消費電力が少ない第2の電力負荷に切り替わるように構成したが、節電モード時の電力供給対象のモジュールが上記のものに限られることはない。例えば、操作部に備えられる他の表示素子などを当該電力供給対象のモジュールに適用するとしても良い。
【0085】
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、スイッチング方式の電源装置およびこれを備える画像形成装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 複写機
3 LED
16 操作パネル
19、111、112、113、114、115、116 電源部
21 整流回路
23 平滑コンデンサ
24 トランス
28 スイッチング回路
29 停止回路
31、311 AC遮断検出回路
32 軽負荷検出回路
33、331 停止信号出力回路
51 スイッチングIC
52 FET
68 スイッチ素子
90 放電回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源電圧を整流して得た電圧を平滑コンデンサにより平滑し、平滑後の電圧をスイッチ素子を介してトランスの一次側に与え、当該トランスの一次側に流れる電流をスイッチングすることにより、当該トランスの二次側から一次、二次の巻線比に比例した交流電圧を得ると共に、この電圧から外部負荷に必要な電圧を得る電源装置であって、
前記トランスの二次側の出力電圧を動作源にして前記スイッチ素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動回路と、
前記交流電源電圧の、前記トランスへの供給の遮断を検出する遮断検出回路と、
前記遮断が検出されると当該検出時以降に、前記平滑コンデンサに蓄積した電荷の放電に起因する電流が前記トランスの一次側に流れ続けるのを停止させる停止回路と、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記外部負荷は、
前記電源装置から供給される電力を、第1の電力負荷に与える通常モードと前記第1の電力負荷よりも消費電力の少ない第2の電力負荷に与える節電モードとを切り替えて実行する機能を有し、
前記停止回路は、
前記外部負荷が前記節電モードに切り替わっている状態で前記遮断が検出されたときにだけ、前記停止を実行することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記停止回路は、
前記外部負荷への出力電流の大きさに基づき前記外部負荷が前記節電モードであることを検出する軽負荷検出回路を備え、
前記軽負荷検出回路により節電モードが検出されているときに前記遮断が検出されると、前記停止を実行することを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記停止回路は、
外部から前記節電モードであることを示す信号を受信し、
前記信号を受信しているときに前記遮断が検出されると、前記停止を実行することを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記停止回路は、
前記外部負荷が前記節電モードに切り替わっているときにだけ、前記遮断検出回路に遮断検出に要する電圧を与えることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記遮断検出回路は、
スイッチ素子を有し、前記スイッチ素子を介して前記遮断検出に要する電圧を与えられることにより前記遮断検出を行う構成であり、
前記停止回路は、
前記外部負荷が前記節電モードでないときには、前記スイッチ素子を開き、
前記外部負荷が前記節電モードのときには、前記スイッチ素子を閉じることを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
前記停止回路は、
前記動作の停止を、前記スイッチング駆動回路にスイッチング動作の停止信号を与えることにより行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
前記停止回路は、
前記平滑コンデンサに蓄積した電荷を、前記トランスの一次側とは異なる経路を介して放電させる放電回路を備え、
前記動作の停止を、前記放電回路の放電により行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項9】
電源部から供給される電力を、第1の電力負荷に与える通常モードと前記第1の電力負荷よりも消費電力の少ない第2の電力負荷に与える節電モードとを切り替えて実行する画像形成装置であって、
前記電源部として請求項1〜8のいずれか1項に記載の電源装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
LED素子を有する操作部を備え、
前記LED素子は、前記第2の電力負荷に含まれることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−182514(P2011−182514A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42444(P2010−42444)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】