説明

電源装置の欠相検出方法及び装置

【課題】本発明は、3相4線式交流電源のN相電流をシャント抵抗を介してN相電圧として検出し、このN相電圧の変化を用いて3相ラインの短絡又は断線の有無を検出することを目的とする。
【解決手段】本発明による電源装置の欠相検出方法及び装置は、N相電流(Ni)を検出するシャント抵抗(20)で得られたN相電圧(Ne)を、フィルタ部(24)、全波整流回路(10A)、平滑回路(10B)、増幅回路(26)を介してデジタル変換回路(28)に入力し、3相ライン(U,V,W)における欠相の有無を検出する方法と構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置の欠相検出方法及び装置に関し、特に、3相4線式交流電源のN相電流をシャント抵抗を介してN相電圧として検出し、このN相電圧の変化を用いてU、V、W相ラインの短絡又は断線の有無を検出するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の電源装置の欠相検出方法及び装置としては、例えば、社内製作のみで特許出願を行っていないため、特許文献等を開示していないが、図2で示される構成を挙げることができる。
【0003】
すなわち、図2において符号1で示されるものは、U、V、W、N相ラインU、V、W、Nを有する3相4線式交流電源であり、この3相4線式交流電源1からのU、V、W、N相電流Ui、Vi、Wi、Niは、直流変換装置2へ入力されている。
前記直流変換装置2では、前記U、V、W、N相電流Ui、Vi、Wi、Niに基づいて交流直流変換が行われ、3相の直流電源3が得られる。
【0004】
前記3相4線式交流電源1の前記各ラインU、V、W、Nには、U相電流検出回路4、V相電流検出回路5及びW相電流検出回路6が接続され、各電流検出回路4、5、6には、前記N相ラインNが共通接続されている。
前記U相電流検出回路4にはU相ラインUが接続され、前記V相電流検出回路5にはV相ラインVが接続され、前記W相電流検出回路6にはW相ラインWが接続されている。
【0005】
前記各電流検出回路4、5、6は、前記3相4線式交流電源1に接続された全波整流・平滑回路10、電圧レベル検出回路11及び絶縁型結合回路12から構成されている。
前記各電流検出回路4、5、6においては、各ラインU、V、WからのU相、V相、W相電流Ui、Vi、Wiが各全波整流・平滑回路10で全波整流されてU相電圧Ue、Ve、Weに変換された後、各電圧レベル検出回路11を介してフォトカプラ型の絶縁型結合回路12に入力され、検出用のロジック回路13へ入力されるように構成されている。
【0006】
従って、前述の構成において、前記各ラインU、V、Wの何れかに短絡又は断線による異常状態が発生した場合、各相ラインU、V、W、Nに流れる各相電流Ui、Vi、Wi、Niが変化し、この変化状態を各電流検出回路4、5、6で検出することにより、何れの相のラインU、V、Wが異常であるかを検出することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の電源装置の欠相検出方法及び装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の従来構成においては、各相の相電流を検出するための各検出回路が相の数である3個必要であり、電源装置としては回路規模が大形化し、極力、小形化が要求されるユーザーニーズに応えることは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による電源装置の欠相検出方法は、3相4線式交流電源からのU相、V相、W相及びN相の各電流を直流変換装置に入力して直流電源を得る電源装置を用い、前記N相電流を検出するシャント抵抗と、前記シャント抵抗に接続された絶縁アンプと、前記絶縁アンプにフィルタ回路、全波整流回路及び平滑回路を介して接続された増幅回路と、前記増幅回路に接続されたデジタル変換回路とを用い、前記U相、V相、W相電流を供給するU、V、W相ラインの何れかに短絡又は断線が発生した場合に前記シャント抵抗を流れる前記N相電流をN相電圧として検出し、前記N相電圧を前記フィルタ回路、全波整流回路及び平滑回路を介して直流電圧化して前記増幅回路で増幅した後にデジタル変換回路でデジタル化し、前記N相電圧をデジタルN相電圧に変換して前記3相4線式交流電源の異常状態を検出する方法であり、また、電源装置の欠相検出装置は、3相4線式交流電源からのU相、V相、W相及びN相の各電流を直流変換装置に入力して直流電源を得る電源装置において、前記N相電流を検出するシャント抵抗と、前記シャント抵抗に接続された絶縁アンプと、前記絶縁アンプにフィルタ回路、全波整流回路及び平滑回路を介して接続された増幅回路と、前記増幅回路に接続されたデジタル変換回路と、を備え、前記U相、V相、W相電流を供給するU,V,W相ラインの何れかに短絡又は断線が発生した場合に前記シャント抵抗を流れる前記N相電流をN相電圧として検出し、前記N相電圧を前記フィルタ回路、全波整流回路及び平滑回路を介して直流電圧化して前記増幅回路で増幅した後にデジタル変換回路でデジタル化し、前記N相電圧をデジタルN相電圧に変換して前記3相4線式交流電源の異常状態を検出する構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明による電源装置の欠相検出方法及び装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、3相4線式交流電源からのU相、V相、W相及びN相の各電流を直流変換装置に入力して直流電源を得る電源装置を用い、前記N相電流を検出するシャント抵抗と、前記シャント抵抗に接続された絶縁アンプと、前記絶縁アンプにフィルタ回路、全波整流回路及び平滑回路を介して接続された増幅回路と、前記増幅回路に接続されたデジタル変換回路とを用い、前記U相、V相、W相電流を供給するU、V、W相ラインの何れかに短絡又は断線が発生した場合に前記シャント抵抗を流れる前記N相電流をN相電圧として検出し、前記N相電圧を前記フィルタ回路、全波整流回路及び平滑回路を介して直流電圧化して前記増幅回路で増幅した後にデジタル変換回路でデジタル化し、前記N相電圧をデジタルN相電圧に変換して前記3相4線式交流電源の異常状態を検出することにより、直流変換装置に接続する検出系としては、1個の検出系のみとなり、従来の構成のように3個の検出系を用いる必要がなく、回路構成を従来よりも大幅に簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、3相4線式交流電源のN相電流をシャント抵抗を介してN相電圧として検出し、このN相電圧の変化を用いてU、V、W相ラインの短絡又は断線の有無を検出するようにした電源装置の欠相検出方法及び装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明による電源装置の欠相検出方法及び装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を用いて説明する。
図1において符号1で示されるものは、U、V、W、N相ラインU、V、W、Nを有する3相4線式交流電源であり、この3相4線式交流電源1からのU、V、W、N相電流Ui、Vi、Wi、Niは、直流変換装置2へ入力されている。
前記直流変換装置2では、前記U、V、W、N相電流Ui、Vi、Wi、Niに基づいて交流直流変換が行われ、3相の直流電源3が得られる。
【0012】
前記N相ラインNには、そのライン上に一部を形成するように、シャント抵抗20が直列状に設けられており、このシャント抵抗20の両端に接続された入力ライン21は絶縁アンプ22に接続され、前記シャント抵抗20から出力される前記N相電流Niを変換したN相電圧Neが前記絶縁アンプ22に入力されている。
【0013】
前記絶縁アンプ22は、差動回路23とフィルタ部24からなるフィルタ回路25、全波整流回路10A、平滑回路10B、増幅回路26を介してコンパレータ27で構成されるデジタル変換回路28に入力され、デジタルN相電圧29として、図示しないロジック回路30に入力されるように構成されている。
【0014】
前記フィルタ回路25のフィルタ特性は、100Hz〜700Hzのバイパスフィルタを構成し、前記3相4線式交流電源1が115VAC/400Hz3相であるため、この400Hz成分以外をフィルタリング(濾過)するように構成されている。
前記コンパレータ27の+端子27aには、−端子27bに入力される過電流に対して閾値を設定するための過電流閾値設定としての予め設定された検出電圧31が入力されている。
【0015】
次に、動作について述べる。前述の図1の構成において、3相4線式交流電源1が直流変換装置2に入力されて交流から直流に変換された後、直流電源3として他の図示しない機器に供給される。
【0016】
前述の状態において、前記3相4線式交流電源1の1相が断線又は短絡等によって欠相した場合、ニュートラル相であるN相ラインNに、入力電流(U相、V相、W相Ui、V、Wi)の何れかの約1.7倍のアンバランス電流が流れるため、この電流がN相電圧Neとして、絶縁アンプ22、フィルタ回路25、全波整流回路10A、平滑回路10B、増幅回路26を経てデジタル変換回路28に入力され、予め設定された閾値である検出電圧31と比較されてデジタルN相電圧29としてロジック回路30で判定され、前述の欠相の発生を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による電源装置の欠相検出方法及び装置を示す構成図である。
【図2】従来構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0018】
1 3相4線式交流電源
2 直流変換装置
3 直流電源
U U相ライン
V V相ライン
W W相ライン
N N相ライン
Ui U相電流
Vi V相電流
Wi W相電流
Ni N相電流
10A 全波整流回路
10B 平滑回路
20 シャント抵抗
21 入力ライン
22 絶縁アンプ
23 差動回路
24 フィルタ部
25 フィルタ回路
26 増幅回路
27 コンパレータ
28 デジタル変換回路
29 デジタルN相電圧
30 ロジック回路
31 検出電圧(過電流閾値設定)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相4線式交流電源(1)からのU相、V相、W相及びN相の各電流(Ui,Vi,Wi,Ni)を直流変換装置(2)に入力して直流電源(3)を得る電源装置を用い、前記N相電流(Ni)を検出するシャント抵抗(20)と、前記シャント抵抗(20)に接続された絶縁アンプ(22)と、前記絶縁アンプ(22)にフィルタ回路(25)、全波整流回路(10A)及び平滑回路(10B)を介して接続された増幅回路(26)と、前記増幅回路(26)に接続されたデジタル変換回路(28)とを用い、
前記U相、V相、W相電流(Ui,Vi,Wi)を供給するU,V,W相ライン(U,V,W)の何れかに短絡又は断線が発生した場合に前記シャント抵抗(20)を流れる前記N相電流(Ni)をN相電圧(Ne)として検出し、前記N相電圧(Ne)を前記フィルタ回路(25)、全波整流回路(10A)及び平滑回路(10B)を介して直流電圧化して前記増幅回路(26)で増幅した後にデジタル変換回路(28)でデジタル化し、前記N相電圧(Ne)をデジタルN相電圧(29)に変換して前記3相4線式交流電源(1)の異常状態を検出することを特徴とする電源装置の欠相検出方法。
【請求項2】
3相4線式交流電源(1)からのU相、V相、W相及びN相の各電流(Ui,Vi,Wi,Ni)を直流変換装置(2)に入力して直流電源(3)を得る電源装置において、
前記N相電流(Ni)を検出するシャント抵抗(20)と、前記シャント抵抗(20)に接続された絶縁アンプ(22)と、前記絶縁アンプ(22)にフィルタ回路(25)、全波整流回路(10A)及び平滑回路(10B)を介して接続された増幅回路(26)と、前記増幅回路(26)に接続されたデジタル変換回路(28)と、を備え、
前記U相、V相、W相電流(Ui,Vi,Wi)を供給するU,V,W相ライン(U,V,W)の何れかに短絡又は断線が発生した場合に前記シャント抵抗(10)を流れる前記N相電流(Ni)をN相電圧(Ne)として検出し、前記N相電圧(Ne)を前記フィルタ回路(25)、全波整流回路(10A)及び平滑回路(10B)を介して直流電圧化して前記増幅回路(26)で増幅した後にデジタル変換回路(28)でデジタル化し、前記N相電圧(Ne)をデジタルN相電圧(29)に変換して前記3相4線式交流電源(1)の異常状態を検出することを特徴とする電源装置の欠相検出装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−93897(P2010−93897A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259696(P2008−259696)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】