説明

電源装置及び温度検出装置

【課題】蓄電池の温度が正確に把握できる電源装置の提供。
【解決手段】本発明の電源装置は、一端に開口2aが形成された函状の本体部2と、該開口2aを開閉可能に該本体部2に設けられた蓋体4と、該本体部2に収容され充放電可能な電池8と、該本体部2に収容可能であり該電池8からの直流電圧を交流電圧に変換し出力するインバータ装置5と、を備え、該電池8は車載用の鉛蓄電池からなり、該鉛蓄電池の端子81には、該電極端子81の温度を検出するためのサーミスタ88が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及び温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地震や災害などによって停電が発生した場合に備えて、非常用の電源装置の需要が増加している。
【0003】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−278832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、長時間使用可能な大容量の非常用電源装置への要望がある。100Vの交流電圧を出力するための非常用電源では、蓄電池の他にインバータ装置等の様々な機器を有している。
【0006】
電源装置に搭載された蓄電池は、長時間の使用によっても大きく温度が上昇することはない。その一方で、過剰な温度環境で使用すると、蓄電池の急激な性能劣化につながってしまう。そのため、蓄電池の温度を監視する必要がある。また、蓄電池の故障等による異常発熱が生じた場合にも蓄電池の性能劣化が進んでしまう。
【0007】
そこで、本発明では、蓄電池の温度が正確に把握できる電源装置及び温度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、一端に開口が形成された函状の本体部と、該開口を開閉可能に該本体部に設けられた蓋体と、該本体部に収容され充放電可能な電池と、該本体部に収容可能であり該電池からの直流電圧を交流電圧に変換し出力するインバータ装置と、を備え、該電池は車載用の鉛蓄電池からなり、該鉛蓄電池の電極端子には、該電極端子の温度を検出するための温度検出手段が設けられている電源装置を提供している。
【0009】
電池は車載用の鉛蓄電池からなり、鉛蓄電池の電極端子には、電極端子の温度を検出するための温度検出手段が設けられているため、鉛蓄電池の外部において鉛蓄電池の温度変化を温度検出手段によって正確に把握することができる。
【0010】
ここで、該温度検出手段はサーミスタからなり、該サーミスタは該電極端子に固定された金属製の圧着端子に固定されていることが好ましい。
【0011】
温度検出手段はサーミスタからなり、サーミスタは電極端子に固定された金属製の圧着端子に固定されているため、熱伝導性の高い圧着端子により電極端子からサーミスタへ熱が伝達され易くなり、より正確に鉛蓄電池の温度変化を把握することができる。また、簡単な構成で容易に電極端子にサーミスタを固定することができる。
【0012】
また、該温度検出手段は該鉛蓄電池の陽極の該電極端子に固定されていることが好ましい。温度検出手段は鉛蓄電池の陽極の電極端子に固定されているため、より正確に鉛蓄電池の温度変化を把握することができる。
【0013】
また、該鉛蓄電池の陰極の該電極端子には、サーマルプロテクタが固定されていることが好ましい。鉛蓄電池の陰極の電極端子には、サーマルプロテクタが固定されているため、電池異常を検出することができる。
【0014】
また、該鉛蓄電池の該電極端子にはアダプタが接続され、該サーマルプロテクタは、該鉛蓄電池と該アダプタの出力端子との間に配置されていることが好ましい。該サーマルプロテクタは、該鉛蓄電池と該アダプタの出力端子との間に配置されているため、電池異常時に充放電を停止することができる。
【0015】
また、該サーマルプロテクタは、該電極端子に固定された銅製ホルダに固定されていることが好ましい。サーマルプロテクタは、電極端子に固定された銅製ホルダに固定されているため、振動が加わった場合でも、サーマルプロテクタが陰極の電極端子から外れにくくすることができる。
【0016】
また、該鉛蓄電池の電極端子に設けられ該電極端子の温度を検出するための温度検出手段を備えることが好ましい。鉛蓄電池の電極端子に設けられ電極端子の温度を検出するための温度検出手段を備えるため、鉛蓄電池の外部において鉛蓄電池の温度変化を温度検出手段によって正確に把握することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば蓄電池の温度が正確に把握できる電源装置を提供するこができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る電源装置のインバータ装置がメインボディに収容された状態の正面斜視図
【図2】本発明の実施形態に係る電源装置のインバータ装置がメインボディに収容された状態を正面から見た断面図
【図3】本発明の実施形態に係る電源装置のインバータ装置がメインボディに収容された状態を側方から見た断面図
【図4】本発明の実施形態に係る電源装置のハンドルが収納位置にあるときの背面図
【図5】本発明の実施形態に係る電源装置のインバータ装置がメインボディに収容された状態の背面斜視図
【図6A】本発明の実施形態に係る電源装置の上蓋及び中蓋を取外した状態の平面図
【図6B】本発明の実施形態に係る電源装置のサーミスタ88の詳細な位置を示す図
【図6C】本発明の実施形態に係る電源装置のサーマルプロテクタの詳細な位置を示す図
【図6D】本発明の実施形態に係る電源装置のバッテリの部分拡大図
【図7】本発明の実施形態に係る電源装置のハンドルの図4のVII−VIIに沿った断面図
【図8】本発明の実施形態に係る電源装置のハンドルが伸長位置にあるときの背面図
【図9A】本発明の実施形態に係る電源装置が後側に転倒した状態を示す断面図
【図9B】本発明の実施形態に係る電源装置が後側に転倒した状態を示す断面図
【図10A】本発明の実施形態に係る電源装置が前側に転倒した状態を示す断面図
【図10B】本発明の実施形態に係る電源装置が前側に反転した状態を示す断面図
【図11】本発明の実施形態に係る電源装置の上蓋の平面斜視図
【図12】本発明の実施形態に係る電源装置の上蓋の底面斜視図
【図13】本発明の実施形態に係る電源装置のインバータ装置が上蓋に固定された状態を正面から見た断面図
【図14】本発明の実施形態に係る電源装置のインバータ装置が上蓋に固定された状態を側方から見た断面図
【図15】本発明の実施形態に係る電源装置の上蓋の平面図
【図16】本発明の実施形態に係る電源装置の図15のXVI−XVIに沿った断面のみを示した図
【図17】本発明の実施形態に係る電源装置の中蓋の斜視図
【図18】本発明の実施形態に係る電源装置の中蓋の平面図
【図19】本発明の実施形態に係る電源装置の図18のXIX−XIXに沿った断面のみを示した図
【図20】本発明の実施形態に係る電源装置のバッテリの斜視図
【図21】本発明の実施形態に係る電源装置の上蓋及び中蓋を取外した状態の斜視図
【図22】本発明の実施形態に係る電源装置の側方から見た部分断面図
【図23】本発明の実施形態に係る電源装置のバッテリプレートの斜視図
【図24】本発明の実施形態のインバータ装置の斜視図
【図25】本発明の実施形態の第1の変形例に係る電源装置のインバータ装置が上蓋に固定され正弦波アダプタがメインボディに収容された状態を正面から見た断面図
【図26】本発明の実施形態の第1の変形例に係る電源装置のインバータ装置が上蓋に固定され正弦波アダプタがメインボディに収容された状態を側方から見た断面図
【図27】本発明の実施形態の第1の変形例に係る電源装置の正弦波アダプタの斜視図
【図28】電池アダプタ、インバータ装置の回路図。
【図29】本発明の実施の形態における電圧波形の変化を説明する図。
【図30】本発明の実施の形態における正弦波アダプタの回路図。
【図31】本発明の実施の形態における充電制御における時間と、電池電圧及び電流との関係を示すグラフ図。
【図32】本発明の実施の形態における電池温度と、充電電圧及び充電完了時間の関係を示す表。
【図33】本発明の実施の形態における充放電制御を示すフローチャートの一部。
【図34】本発明の実施の形態における充放電制御を示すフローチャートの残りの一部。
【図35】本発明の実施の形態におけるインバータ装置の出力制御を示すフローチャート。
【図36】本発明の実施の形態における正弦波アダプタの出力制御を示すフローチャート。
【図37】本発明の実施形態の第2の変形例に係るハンドルの正面図
【図38】本発明の実施形態の第2の変形例に係るハンドルの側面図
【図39】本発明の実施形態の第3の変形例に係る電源装置の背面斜視図
【図40】本発明の実施形態の第3の変形例に係る電源装置のメインボディの背面斜視図
【図41】本発明の実施形態の第3の変形例に係る電源装置のメインボディの側面図
【0019】
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る電源装置1の構成について、添付の図面に基づき説明する。
【0021】
図1及び図2に示すように、電源装置1は、メインボディ2と、ハンドル3と、上蓋4と、インバータ装置5と、中蓋6と、アダプタ7と、バッテリ8と、から主に構成されている。図2に示すように、メインボディ2からハンドル3の延出する方向を上と定義し、逆を下と定義する。また、図3に示すように、メインボディ2に対してハンドル3が設けられている側を後と定義し、逆を前と定義する。上下方向及び前後方向と直交する方向を左右方向と定義する(図2)。
【0022】
図21に示すように、メインボディ2の上面には開口2aが形成されており、上蓋4は開口2aを開閉可能である。メインボディ2には、インバータ装置5と、中蓋6と、アダプタ7と、バッテリ8とが収容されている。図2及び図3において、上蓋4の上にアダプタ7が装着されたインバータ装置5が点線で描写されているが、これは、インバータ装置5は上蓋4の上に固定可能であることを示している。同様に、図13及び図14において、中蓋6の上にインバータ装置5が点線で描写されアダプタ7が中蓋6内に点線で描写されているが、これは、インバータ装置5は中蓋6に載置可能でありアダプタ7は中蓋6に収容可能であることを示している。メインボディ2は本発明の本体部に相当し、上蓋4は本発明の蓋体に相当し、バッテリ8は本発明の電池に相当する。
【0023】
図4及び図5に示すように、メインボディ2の下端部後面の左右方向両端には、2つの車輪21が設けられている。メインボディ2の上部の左右方向の側面には、作業者が電源装置1を持ち上げる際に把持する把持部22が左右対称に設けられている。メインボディ2の詳細な構成は後述する。
【0024】
ハンドル3は、メインボディ2の後面に設けられ、図4に示す収納位置と図8に示す伸長位置との間を上下方向に移動可能に構成されている。ハンドル3と車輪21とはいずれもメインボディ2の背面に設けられており、作業者はハンドル3を伸長位置まで伸ばして電源装置1を斜めに倒すことで、電源装置1を容易に運搬することができる。ハンドル3の詳細な構成は後述する。
【0025】
図2に示すように、上蓋4の右端にはヒンジ41が設けられていて、上蓋4はヒンジ41を中心にメインボディ2対して回動可能に構成される。上蓋4は、メインボディに設けられたラッチ42によってメインボディ2に固定される。上蓋4の詳細な構成は後述する。
【0026】
インバータ装置5は、バッテリ8の直流12Vの入力を矩形波の交流100Vとして出力している。インバータ装置5に図24の点線で示す電池パック5C(電動工具用電池パック、例えば14.4V)を挿入することにより、インバータ装置5を電源装置1から取外して、インバータ装置5を単独で電源として使用することもできる。ただし、電動工具用電池パック5Cの容量(3.0Ah)は、バッテリ8の容量(38Ah)と比較して小さい。アダプタ7をインバータ装置5に装着し、後述の電源ケーブル56の一端をインバータ装置5に接続し、電源ケーブル56の他端を家庭用100V電源に接続することにより、インバータ装置5及びアダプタ7を介してバッテリ8を充電することができる。インバータ装置5は充電機能も備えている。インバータ装置の詳細な構成は後述する。
【0027】
中蓋6は、図2及び図3に示すように、メインボディ2の上下方向略中央に配置されており、アダプタ7を収容可能に構成されている。中蓋6の上面は、インバータ装置5を載置可能である。中蓋6の詳細な構成は後述する。
【0028】
アダプタ7は、アダプタ7から延出するアダプタケーブル71と、インバータ装置5と接続される接続部72とシガーソケットとを備えている。アダプタ7は、アダプタケーブル71を介してバッテリ8と電気的に接続されており、アダプタ7を図示せぬ電動工具などに接続することにより、電源装置1を12Vの直流電源として使用することができる。なお、バッテリ8が12Vでも、アダプタ7内に昇圧回路や降圧回路を設ければ、例えば14,4Vや10,8Vの電動工具にも使用することができる。また、アダプタ7をインバータ装置5に装着し、インバータ装置5から出力を得ることにより、電源装置1を100Vの交流電源として電動工具等に使用することができる。接続部72は、端子部72Aと、レール部72Bと、ラッチ部72Cとから構成されている。
【0029】
バッテリ8は、メインボディ2の下部に配置されており、電源装置1の電源としての役割を果たす。本実施の形態では、バッテリ8の一例として車載用の鉛蓄電池を採用している。バッテリ8は、端子81を備えていて、端子81及びアダプタケーブル71を介してアダプタ7と接続されている。バッテリ8の詳細な構成は後述する。
【0030】
メインボディ2の下面には、4つの突起23が設けられており、図3に示すように、電源装置1を地面に置いた状態では、4つの突起23が地面と接地し、車輪21は地面と離間している。メインボディ2は、外殻を規定するアウターボディ24と、メインボディ2内の空間を画成するインナーボディ25と、を組み合わせることにより構成される。アウターボディ24は、電源装置1が転倒した際の衝撃を吸収する役割を果たす。本体部2には緩衝材2Aが設けられている。具体的には、アウターボディ24とインナーボディ25との間に設けられている。本実施の形態では、緩衝材2Aは充填材であり、一例としてウレタンを採用している。アウターボディ24及びインナーボディ25はそれぞれブロー成型の樹脂から成る。本実施の形態では、バッテリ8から希硫酸が漏れ出す可能性を考慮して、インナーボディ25及びアウターボディ24にポリエチレンを採用した。
【0031】
アウターボディ24とインナーボディ25との間に緩衝材2Aを充填したため、バッテリ8が外気温度に影響され難くなるとともに、外部からの衝撃からバッテリ8等を保護することができる。仮にバッテリ8の温度が上昇した場合であっても、熱を後述する上蓋溝部47、及び中蓋溝部63等から外部に逃がすことができるため、メインボディ2内が高温になることを抑制することができる。また、バッテリ8から水素ガスが発生したとしても同様に溝部から外部に逃がすことができる。
【0032】
なお、緩衝材2Aはインナーボディ25とアウターボディ24の間でなくてもよい。すなわち、バッテリ8を外力から保護できるのであれば、インナーボディ25とバッテリ8の間、あるいは、インナーボディ25に取り付けられていてもよい。さらに、本実施形態ではインナーボディ25とアウターボディ24をブロー成型としたが、二層成型とし、インナーボディ25の外側、あるいはアウターボディ24の外側に緩衝材2Aとしてエラストマを設けてもよい。
【0033】
アウターボディ24には、図示せぬフックが着脱可能に設けられており、アダプタ7又はアダプタケーブル71を一時的に係止することができる。アウターボディ24には、さらに、図示せぬ端子収容部が着脱可能に設けられており、端子収容部にアダプタ7の端子を収容することができる。これにより、アダプタ7の端子が外部に曝されることが防止できる。
【0034】
アウターボディ24の後面上部には、ハンドル3を保持する保持部31が設けられている。保持部31は複数のボルト又はネジ32によってメインボディ2に固定されている。保持部31の直下には、ハンドル3と当接可能な凸部24Aが設けられている。
【0035】
メインボディ2の内部には、上から上室26、中室27、下室28がそれぞれ規定されていて、上室26にはインバータ装置5が、中室27には中蓋6及びアダプタ7が、下室28にはバッテリ8がそれぞれ配置されている。
【0036】
図3に示すように、インナーボディ25には対向するアウターボディ24側に凹んでいる複数の凹部25aが形成されている。これにより、メインボディ2内の空間を広く確保することができるとともに、インナーボディ25の剛性を上げることができる。さらに、使用する緩衝材2Aの量を減らすことができるため、製造コストの削減が可能となる。
【0037】
インナーボディ25の下面には、アウターボディ24とインナーボディ25とが当接している当接部25Aが規定されている。当接部25Aでは、アウターボディ24は上側に凹んでいて、インナーボディ25は下側に凸となっており、それらが互いに当接している。当接部25Aは、インナーボディ25の下面の左右方向全幅に(図2)、且つ前後方向の所定距離に(図3)亘って設けられた水平面である。当接部25Aは、前後方向の中央から前寄りに設けられている。
【0038】
当接部25Aの右端には、アウターボディ24とインナーボディ25とを貫通する水抜き穴25bが形成されている(図2)。図3に示すように、当接部25Aの前後には、当接部25Aに向けて少なくとも1°以上下方に傾斜している傾斜部25Bが設けられている。これにより、メインボディ2の底面に落ちた水は傾斜部25Bの傾斜に沿って流れて当接部25Aに集まり、水抜き穴25bから外部へと排出される。
【0039】
図3に示すように、インナーボディ25の下面には、後述のバッテリプレート82が配置されている。メインボディ2の下部には、アウターボディ24とインナーボディ25とを貫通し後述のバッテリシャフト83が挿入される貫通穴2bが形成されている。詳細な構成は後述する。
【0040】
図6A及び図21に示すように、インナーボディ25には、内方に突出しバッテリ8を保持する4つのリブ25Cが設けられている。リブ25Cは上下方向に延び、下室28の略矩形を成すインナーボディ25の断面の4隅に設けられている。リブ25Cとバッテリ8との間には、バッテリ8がインナーボディ25に対して滑る(ずれる)ことを防止する滑り止め部材25Dがそれぞれ設けられている。滑り止め部材25Dは、バッテリ8とインナーボディ25との間の緩衝材としての役割も果たす。中蓋6は、4つのリブ25Cの上に載置される。
【0041】
ハンドル3は、図4に示すように、作業者が把持する略U字状のハンドル把持部33と、ハンドル3が伸長位置にあるとき保持部31と当接する被当接部34と、ハンドル把持部33と被当接部34とを繋ぐ伸長部35と、被当接部34と平行な補強部材36と、から構成される。ハンドル3は、図7に示すように、断面形状が略半月形状の第1ハンドル部37と、第1ハンドル部37と同形状の第2ハンドル部38と、から構成される。詳細には、第1ハンドル部37の略半月形状の直線部分に規定された接合面37Aと、第2ハンドル部38の略半月形状の直線部分に規定された接合面38Aと、を図示せぬ複数のビスで固定することにより形成される。このように、ハンドル3の断面は、接合面37A、38Aに関して面対称形状の半割状をなしている。これにより、安価なブロー成形でハンドル3の強度を向上させることが可能となるが、強度上、特に問題がなければ中空円筒形状のハンドルとしても良い。なお、第1ハンドル部37及び第2ハンドル部38は中空となっている。
【0042】
被当接部34は、水平方向に延び、円周方向全周に亘って緩衝材34Aが設けられている(図4)。緩衝材34Aの前側(メインボディ2側)は、収納位置において常時アウターボディ24と接触している。これにより、ハンドル3のがたつきが防止される。
【0043】
本実施の形態では、緩衝材34Aの一例としてゴムダンパを採用している。伸長部35は、垂直方向に延び、保持部31に上下方向に移動可能に支持されている。ハンドル3が伸長位置に位置しているとき(図8)、緩衝材34Aは保持部31と当接している。図9Aに示すように、電源装置1が後方に転倒した場合であっても、緩衝材34Aが最初に接地するため、他の部分の損傷を防止することができる。補強部材36は、ハンドル3の補強のための部材であり、略U字状のハンドル把持部33の開口部分を塞ぐように設けられている。緩衝材34Aは、本発明の弾性部材に相当する。
【0044】
図5に示すように、保持部31は、ハンドル3を移動可能に保持するハンドル保持部31Aと、被当接部34と平行な当接部31Bと、第1ダンパ31Cと、から構成される。ハンドル保持部31Aは金属製のプレス部品であって、左右方向に第1ダンパ31Cを挟むようにして2つ設けられており、ボルト32でメインボディ2に固定されている。当接部31Bには、緩衝材34Aと当接可能な第2ダンパ31Dが設けられている。第2ダンパ31Dによって、被当接部34と当接部31Bとの当接の衝撃の更なる緩和が可能となる。図8に示すように、当接部31B及び第2ダンパ31Dの左右方向の幅W1は、被当接部34の左右方向の幅W2(より詳細には、伸長部35間の距離)よりも小さくなるように設定される。これにより、被当接部34と伸長部35との接続箇所Rが当接部31Bに当たって損傷することを防止できる。第2ダンパ31Dは、本発明の弾性部材に相当する。当接部31Bは、ハンドル3の移動を規制するストッパとしての役割も果たす。
【0045】
図9Bに示すように、第1ダンパ31Cは、メインボディ2から後方に最も離間した位置に設けられている。第1ダンパ31Cは、電源装置1が後方に転倒した場合であっても、第1ダンパ31Cが緩衝材34Aの次に接地してメインボディ2に与える衝撃を緩和するため、転倒時の機器の破損等を防止することが出来る。
【0046】
ハンドル3が図3に示すように収納位置にあるとき、ハンドル把持部33は上蓋4又は上蓋4に固定されたインバータ装置5(点線)の最上端よりも上方に突出している。図3に示す位置に、電源装置1の重心Gが規定されていて、重心Gとハンドル3のハンドル把持部33とは、距離Lだけ離間している。この距離Lは、電源装置1を180°反転した状態を安定保持することが出来ない程度に定められる。本実施の形態では、バッテリ8の一例として車載用の鉛蓄電池を採用しているため、バッテリ8の状態によっては内部から電解液の希硫酸が漏れ出す可能性がある。図10Aに示すように、電源装置1が90°転倒した状態ではバッテリ8から希硫酸が漏れ出す可能性は低いが、バッテリ8が180°反転した場合には希硫酸が漏れ出す虞がある。本実施の形態では、距離Lが上述したように決定されているため、図10Bに示すように、ハンドル3が妨げになって電源装置1が180°反転した状態を維持できず、図10Aの状態になる。従って、たとえ電源装置1が前方に勢いよく転倒したとしても、バッテリ8から希硫酸が漏れ出すことを防止できる。ハンドル把持部33が、本発明の最突出部に相当する。
【0047】
上蓋4は略長方形状をなし、図11及び図12に示すように、ラッチプレート43と、上蓋4の周縁に設けられた壁部44と、ラッチ42と係合可能なラッチ係合部45と、ヒンジ41が取付けられるヒンジ取付部46と、から構成される。上蓋4には、上面4Aと、上蓋4の周縁であって壁部44が設けられていない平坦部4Bと、下面4Cとが規定されている。上蓋4には、さらに、上下方向に直交する断面形状が略U字状の上蓋溝部47と、下面4Cに形成された第1窪部48と、第1窪部48に隣接する第2窪部49と、が形成されている。図2及び図3に示すように、上蓋4は軽量化のために内部が空洞となっている。ラッチプレート43は、本発明のインバータ装置固定部に相当する。
【0048】
図13及び図14に示すように、上蓋4はインバータ装置5を固定可能である。図11に示すように、ラッチプレート43には、2つの上方に突出する係合部43Aが左右方向に所定距離離間して設けられている。係合部43Aと、インバータ装置5に設けられた着脱ボタン53の被係合部とが係合することにより、インバータ装置5は上蓋4に固定される。
【0049】
ラッチプレート43は、複数のビスで上蓋4に固定されており、当該ビスを取外すことで上蓋4から取外すことができる。ラッチプレート43を上蓋4から取外した状態の上蓋4の上面図を図15に示す。図15のXVI−XVIに沿った断面図を図16に示す。上蓋4の上面4A及び平坦部4Bは、後方に向かって下方に少なくとも1°以上傾斜している。これにより、雨水が係合部43A周辺に溜まることがなく、後述する上蓋4の壁部44が存在しない箇所(平坦部4B)から雨水を排出することができる。
【0050】
上蓋溝部47の全周に亘って、上面4A及び平坦部4Bよりも僅かに高い周縁部47Aが設けられている。図2に示すように、上蓋4の下面4Cは、第1窪部48及び第2窪部49が形成されている部分以外の少なくとも一部で、メインボディ2に収容されたインバータ装置5を押圧している。これにより、インバータ装置5はメインボディ2内で固定される。
【0051】
壁部44は、上蓋4の周縁に略U字状であって略U字の開口が後側(ハンドル側)に位置するように設けられている。また、上蓋4の後側は、図11に示すように、壁部44と周縁部47Aとの間の周縁部分には壁部44が設けられていない平坦部4Bが存在している。これにより、作業者が電源装置1を運搬するために電源装置1を後方に倒すと、上蓋4に溜まった水が平坦部4Bを通って積極的に上蓋4から外部に排出される。なお、上蓋溝部47の周囲には周縁部47Aが設けられているため、電源装置1を後方に倒してもメインボディ2内への水の侵入を抑制することができる。図5及び図11に示すように、壁部44の高さは係合部43Aの高さよりも高く設定されている。これにより、上方から板状の部材が落ちてきた場合でも、壁部44の上面で当該部材を受けることができるため、係合部43Aが損傷することを防止できる。図14に示すように、壁部44の高さは、インバータ装置5の高さよりも低く設定されている。これにより、前方から壁部44に遮られることなくインバータ装置5が装着されているか否か及び表示パネル51の状態を確認することができる。
【0052】
ラッチ係合部45は、上蓋4の左側面に設けられていて(図11)、ラッチ42と係合することにより上蓋4がメインボディ2に固定される。上蓋4の右側面にヒンジ取付部46が設けられていて(図12)、ヒンジ取付部46にヒンジ41が取付けられる。
【0053】
上蓋溝部47は、上蓋4の後面に形成されており、上蓋溝部47を通じてメインボディ2内に収容された機器のケーブルを外部に引出すことができる。図11に示すように、上蓋溝部47は、上蓋4の後面に形成されており、アダプタ7はインバータ装置5の後方側に装着される。アダプタ7が装着される近傍に上蓋溝部47を形成することにより、アダプタ7等のケーブル等を容易にメインボディ2の外部に引出すことができると共に、アダプタ7の配線の露出を最小限に抑えることができ、配線をコンパクトにまとめることが可能になる。インバータ装置5が上蓋4に固定された状態の時、アダプタケーブル71が上蓋溝部47を通る。従って、上蓋溝部47の上下方向に直交する断面の断面積はアダプタケーブル71の断面積よりも十分大きくなるよう設定される。図12及び図16に示すように、上蓋溝部47の下側には、曲面部47Bが設けられている。曲面部47Bの曲率は、他の部分(例えば、上面4Aと壁部44との接続部分)の曲率よりも大きくなるように設定されている。これにより、上蓋溝部47を通過するケーブルが上蓋溝部47に引っ掛ることを防止している。
【0054】
第1窪部48は、図2及び図3に示すように、上方に突出した後述のインバータ装置5の収容部54の形状に沿って上蓋4の内側に窪んでいる。これにより、第1窪部48は収容部54と係合可能となる。図14の点線で示されたインバータ装置5と実線で示されたインバータ装置5とを比較すると、実線で示されたインバータ装置5はアダプタ7が装着されているため、収容部54の後方にアダプタ7が突出している。インバータ装置5にアダプタ7を装着したままインバータ装置5を中蓋6上に載置し上蓋4を閉じようとしても、第1窪部48の周囲の下面4Cがアダプタ7と当接し上蓋4を閉じることができない。
【0055】
バッテリ8は、使用時に中央部に配置されている弁から水素ガスが排出される構成になっている。この水素ガスがメインボディ2内部に溜まらないようにする目的から、本実施形態においては上蓋4の後面にU字形状の上蓋溝部47を設けており、水素ガスを容易に外部に排出できる構成としている。一方、アダプタ7の制御回路は、アダプタ7の端子が異物混入、或いは取付機器の故障によりショートが生じた場合、アダプタ7の制御回路に設置されているヒューズが切れる構成になっている。このヒューズが切れる際に火花が散ることになるため、インバータ装置5を収容部54に配置して、このインバータ装置5にアダプタ7を接続した状態で上蓋4が閉まった状態で、かつ、作業者が上蓋溝部47を塞いだ状態で製品を使用した場合、密閉状態の上室26で火花が散ることが懸念される。このため、アダプタ7を接続した状態でインバータ装置5を収容部54に配置した場合には、上蓋4が閉まらない構成とした。
【0056】
本実施の形態では、メインボディ2内に水素ガスが充満してすることを防ぐために、中蓋6上にインバータ装置5を配置しアダプタ7又は電動工具用電池パック5Cをインバータ装置5に装着した状態で上蓋4を閉じることができないように構成されている。これより、仮に上蓋溝部47による換気口が塞がった状態で製品を使用された場合でも収容部54に配置した状態でインバータ装置5を使用できないため水素ガスによる不具合を防止できるようになる。なお、ヒューズが切れるとバッテリ8とインバータ装置5は遮断されるため、その状態では水素ガスは発生しない。主にバッテリ8の充電時に水素ガスが発生する。また、アダプタ7をインバータ装置5に装着したまま放置すると、インバータ装置5の回路等によってバッテリ8が消費されてしまうが、アダプタ7を装着した状態で上蓋4を閉まらなくすることでバッテリ8の無駄な電力消費を抑制することができる。
【0057】
第2窪部49は、第1窪部48に隣接するように形成されており、上蓋4の剛性アップのために設けられる。
【0058】
インバータ装置5は、上蓋4と中蓋6とに挟まれた状態でメインボディ2に収容されている。図24に示すように、インバータ装置5には、インバータ装置5の状態を表示する表示パネル51と、出力ケーブル52と、着脱ボタン53と、アダプタ7または点線で示した電動工具用電池パック5Cを収容する収容部54と、外部からの入力を受ける電力入力部55と(図3)、電力入力部55に着脱可能に設けられた電源ケーブル56と、バンド係止部57と、を有している。インバータ装置5には、側方に突出し中蓋6と係合可能な側方突出部5Aと、前方に突出し中蓋6と係合可能な前方突出部5Bとが規定されている。アダプタ7のインバータ装置5への接続部72は、電動工具用電池パック5Cと同じ形状となっている。これにより、インバータ装置5はアダプタ7と電動工具用電池パック5Cの夫々に対応した接続部を設ける必要がないため大型化することがない。
【0059】
表示パネル51にはLEDランプが設けられていて、LEDランプの点灯あるいは点滅の状態によって、作業者はバッテリ8を電源として使用しているか、バッテリ8を充電しているか、あるいは、電源装置1に異常が発生しているかを判断することができる。出力ケーブル52からは、アダプタ7を介してバッテリ8から入力された直流電圧あるいは電動工具用電池パック5Cから入力された直流電圧を100Vの交流電圧として出力している。
【0060】
着脱ボタン53は、左右方向両端に設けられており、着脱ボタン53を押すことで、インバータ装置5の上蓋4への着脱ができる。ラッチプレート43の係合部43Aと、着脱ボタン53の被係合部とが係合することにより、インバータ装置5は上蓋4に固定される。バンド係止部57は、インバータ装置5の前部の左右方向両端に設けられており、図示せぬ肩掛けバンドを係止することができる。これにより、インバータ装置5をメインボディ2から取り出し、肩掛けバンドをバンド係止部57に係止することにより、インバータ装置5を単独で使用することができる。この際、インバータ装置5の電源としては電動工具用電池パック5Cを使用すれば携帯性を向上することができる。また、アダプタ7を介してバッテリ8を使用したい場合でも、上蓋4からインバータ装置5を取外し肩掛けバンドで携帯すれば、上蓋4上面に、例えばドライバードリル等の電動工具や、電動工具用電池パック5Cを載置することができるため、使用用途を広げることができる。
【0061】
中蓋6は、中室27に配置され、上室26と下室28とを区画している。中蓋6は、図17に示すように、周囲壁61を有し、底面6Aが規定されている。中蓋6の中央には、アダプタ7を収容するアダプタ収納部62が形成され、後側の周囲壁61には中蓋溝部63が形成されている(図18)。図2及び図3に示すように、中蓋6は軽量化のために内部が空洞となっている。メインボディ2は、重量のあるバッテリ8(15kg)を支えるため、アウターボディ24とインナーボディ25との間に緩衝材2Aを充填して剛性を高めているが、アダプタ7は、重量が軽い(1kg)ため、中蓋6の内部が空洞でもアダプタ7の支持が可能である。
【0062】
底面6Aは水平な面であって、底面6Aを上下方向に貫通する2つの貫通穴6aが形成されている。2つの貫通穴6aは、右側の周囲壁61の近傍及び左側の周囲壁61の近傍に所定距離離間して位置している。上室26と下室28とは、2つの貫通穴6a及び中蓋溝部63によって連通している。2つの貫通穴6aは、アダプタ収納部62に溜まった水を抜く水抜き穴として機能するとともに、バッテリ8から発生した水素ガスを抜くガス抜き穴としての役割も果たす。これにより、アダプタ収納部62に水が溜まることを防止できるとともに、バッテリ8から発生した水素ガスが下室28に充満することを防止できる。
【0063】
前、右、左の周囲壁61の上面には、周囲壁61が下方に凹んだ受入部64が設けられており、受入部64においてインバータ装置5を載置可能となっている。左右方向の受入部64にはインバータ装置5の側方突出部5Aが載置され、前方の受入部64にはインバータ装置5の前方突出部5Bが載置される。これにより、中蓋6にインバータ装置5を載置した状態では、インバータ装置5は中蓋6上で前後方向及び左右方向に移動不能となる。後面の周囲壁61には、下方向に凹んだケーブル受部65が設けられている。ケーブル受部65は、インバータ装置5を載置した際にインバータ装置5の背面から延びる出力ケーブル52などを支持するために設けられている。つまり、ケーブル受部65は、インバータ装置5を中蓋6に載置した時、それぞれのケーブルが延出している方向の周囲壁61に設けられている。
【0064】
後側の周囲壁61に設けられたケーブル受部65と中蓋溝部63との接続部分には、第1曲面部66が設けられている。第1曲面部66では、ケーブル受部65の底面と、後側の周囲壁61と中蓋溝部63とを繋ぐ側面と、の曲率が大きく設定されている。これにより、アダプタ収納部62にアダプタ7を収容する際、周囲壁61にアダプタケーブル71が引っ掛ることを防止できる。
【0065】
アダプタ収納部62は、上方から見て中蓋6の略中央部に設けられており(図18)、受入部64よりも下方に位置している(図17)。アダプタ収納部62は、アダプタ7及びアダプタケーブル71の一部を収容することができる容積を備えている。これにより、インバータ装置5を中蓋6上に載置した状態でアダプタ7をアダプタ収納部62に収容することができる(図2)。また、アダプタ7がインバータ装置5に装着されている等によってアダプタ収納部62にアダプタ7が収容されていない場合には、電動工具用電池パック5C等、収容部62に収容可能な大きさのものを収容しても良い。これにより、電源装置1を運搬する際に電源装置1以外の装置も一緒に運搬できるため運搬性を向上することができる。
【0066】
中蓋溝部63は、図18に示すように、平面視略U字状をなしており、中蓋溝部63を通じてアダプタ収納部62に収容されたアダプタケーブル71を引出すことができる。図18に示すように、中蓋溝部63は後側の周囲壁61に形成されている。図3に示すように、バッテリ8も端子81が後側になるように下室28に配置されている。端子81が配置される側と同じ側に中蓋溝部63を形成することにより、アダプタ収納部62にアダプタ7を収容した際、アダプタケーブル71の引回し量を最小限とすることができる。
【0067】
図19に示すように、中蓋溝部63の周縁には、底面6Aと中蓋溝部63とを繋ぐ部分に第2曲面部63Aが、第2曲面部63Aの直下に第3曲面部63Bが設けられている。第2曲面部63A及び第3曲面部63Bの曲率は同一であり、他の部分(例えば、周囲壁61と底面6A)の曲率よりも大きく設定されている。曲面部47Bの曲率よりも第2曲面部63A及び第3曲面部63Bの曲率のほうが大きくなるように設定されている。これは、中蓋6はバッテリ8の直上に位置していることから、アダプタケーブル71が中蓋溝部63に引っ掛る可能性が高くなるためである。
【0068】
図3に示すように、保持部31は、中蓋6の後方かつ直上に位置している。保持部31では、ハンドル保持部31Aのメインボディ2への固定の補強のために、アウターボディ24とインナーボディ25との距離が近接している。これにより、インナーボディ25と上蓋4とインバータ装置5と中蓋6とによってケーブル収納空間6bが画成される。より詳細には、ケーブル収納空間6bはインバータ装置5が中蓋6に載置された状態において、インバータ装置5と対向する位置に画成されている。ケーブル収納空間6bには、インバータ装置5を中蓋6に載置した際のインバータ装置5の背面から延びる出力ケーブル52やアダプタケーブル71が収容される。これにより、ケーブルを収容する空間を形成するためにアウターボディ24等を出っ張らせる必要がないため、電源装置1が大型化することを抑制することができる。
【0069】
バッテリ8は、図20から図22に示すように、メインボディ2に載置された略板状のバッテリプレート82と、バッテリプレート82の左右方向両端から上方に延出するバッテリシャフト83と、蝶ボルト84によってバッテリシャフト83に固定された支持プレート85と、バッテリシャフト83の一端に螺合するボルト86と、によってメインボディ2に固定されている。バッテリプレート82とバッテリ8との間には、滑り止め部材82Bが設けられている(図22)。本実施の形態では、滑り止め部材82Bの一例としてゴムダンパを採用している。バッテリプレート82は金属製であって、図23に示すように、前後方向端部が上方に向けて折り返されることにより2つの規制部82Aが設けられている。2つの規制部82A間の距離D1は、バッテリ8の前後方向の距離D2(図22)よりも僅かに大きく設定されている。これにより、バッテリ8の前後方向の移動が規制される。バッテリプレート82の前後方向中央から前方寄りの位置にバッテリシャフト83が挿通されるシャフト貫通孔82aが形成されている。シャフト貫通孔82aは、左右方向に所定距離離間して2つ形成されている。バッテリシャフト83は、シャフト貫通孔82a及びメインボディ2に形成された貫通穴2bを貫通してボルト86によってメインボディ2に固定される。バッテリ8は、バッテリプレート82の規制部82A及びバッテリシャフト83によってバッテリプレート82上に載置される際に容易に位置決めすることができる。
【0070】
図3に示すように、バッテリ8は、下室28の前後方向中央から前方寄りの位置でバッテリシャフト83に支持されている。アウターボディ24及びインナーボディ25をブロー成型する際、車輪21を収容する凹みを形成する必要があるが、成型上の問題で当該凹みと当接部25Aとを近づけるとブロー成形では、その形状を保持することができない問題があった。一方、バッテリ8の中央部に水素ガスを放出する弁を配置し、バッテリプレート82の設置位置をバッテリ8の中央部にした場合、バッテリプレート82が弁を塞ぐ問題というがあった。これらを回避するためには単純にメインボディ2のサイズを大きくすれば良いが、本実施の形態のように車輪21を収容する凹みと当接部25Aとの距離を十分保ことができるようにバッテリ8をバッテリシャフト83によって前後方向中央から前方寄りで支持することで、メインボディ2のコンパクト化、およびコストダウンを実現した。
【0071】
図2に示すように、バッテリ8は、下室28のメインボディ2の左右方向中央から左寄りの位置に固定されている。上蓋4はヒンジ41を支点として回動するため、上蓋4を開にしたときには電源装置1の重心が右に寄る。上蓋4を開とした時でも電源装置1の重心のバランスを左右方向の中心に近い位置に保つため、バッテリ8は中央から左寄りに固定されている。これによりバッテリ8の右側に空間が出来たため、当該空間の当接部25Aに水抜き穴25bが形成されている。
【0072】
図2に示すように、バッテリ8は、左右方向両端から上方に延びるバッテリシャフト83によって左右方向の移動を規制されている。図22に示すように、支持プレート85とバッテリ8との間には、バッテリ8の表面保護の及びバッテリ8の滑り止めのための弾性材87が設けられている。蝶ボルト84で支持プレート85及び弾性材87をバッテリ8に押圧することにより、バッテリ8は上下方向の移動を規制される。これにより、バッテリ8はメインボディ2に完全に固定される。支持プレート85は、幅方向の距離D3に亘って、絶縁体85Aが設けられている(図20)。図6Aに示すように、距離D3は、端子81の間の距離D4よりも長く設定される。これにより、バッテリ8を交換する際に支持プレート85がバッテリ8の端子に接触してショートしてしまうことを抑制することができる。
【0073】
図6Bに示すように、アダプタケーブル71から、各端子81にケーブル71Aが延びていて、ケーブル71Aの先端に圧着端子71Bが設けられている。圧着端子71Bは、端子81と係合する端子係合部71Cと、ケーブル71Aが挿入されるケーブル受入部71Dとを備えている。端子係合部71Cと端子81とが繋がることで、アダプタ7とバッテリ8とが電気的に接続される。端子81は、図6Aに示す状態において、右側がプラス、左側がマイナスとなる。ボルトによって端子係合部71Cがプラス端子81に固定されているため、電源装置1の運搬時等に生じる振動等によってサーミスタ88がバッテリ8から外れることを確実に防止することができる。
【0074】
圧着端子71B上であって、プラス側の端子81とケーブル71Aとが係合している近傍には、温度検出手段としてのサーミスタ88が設けられている。図6Bに示すように、サーミスタケーブル88Aの先端にサーミスタ88が固定されている状態で、サーミスタ88及びケーブル88Aをケーブル受入部71Dに挿入し当該箇所を圧着して固定する。このとき、ケーブル受入部71Dの内周面にはエポキシが塗布されており、圧着によってサーミスタ88が破損することを防止している。サーミスタケーブル88Aはアダプタ7に接続されており、アダプタ7によりバッテリ8の温度を検出することができる。
【0075】
また、図6Dに示すように、マイナス側の端子81にはサーマルプロテクタ89がボルトにより2つ固定されている。サーマルプロテクタのケーブルはアダプタ7に接続され、電池異常を検出できるようになっている。2つのサーマルプロテクタ89は銅製ホルダ90で保持され、シリコン89Aによって銅製ホルダ90に固定されている。銅製ホルダ90はボルトによりバッテリ7のマイナス側端子81に固定されている。一方のサーマルプロテクタ89は、アダプタ7に設けられ直流12Vを出力可能なシガーソケットとバッテリ8の出力経路に配置されている。他方のサーマルプロテクタ89はバッテリ8の充電経路及びインバータ装置5への電力供給経路に配置されている。
【0076】
サーマルプロテクタ89は、電池異常等により電池温度が高温(例えば65℃以上)になると開状態となり、上記した経路が遮断される。これにより、電池異常時に充放電を停止することができる。
【0077】
通常、蓄電池の温度は、長時間連続で使用しても余り上昇しない。しかしながら、高温、或いは低温の温度環境で使用した場合、電池の性能劣化や電池故障が生じる場合がある。このため、本発明では、温度に関する使用条件を設けた構成にしている。温度制御の構成としてはインバータ装置5側への電源供給の温度制御のためにサーミスタ88を設け、シガーソケットプラグへの出力制御及び充電時の温度保護をするためにサーマルプロテクタを2個設けた。
【0078】
また、温度制御の精度向上の目的から、1個のサーミスタ88はバッテリ8のプラス端子に、2個のサ−マルプロテクタはマイナス端子81に直付けの構成とした。なお、サーマルプロテクタについてはマイナス端子81に2個とも直付けし、かつ、温度を精度良く読み取ることができるように銅製のホルダに対してシリコンにより2個のサーマルプロテクタを直接接着させて、端子部にナット(ボルト)により固定している。これより、運搬時等に生じる振動等によるサーマルプロテクタやサーミスタ88の脱落、断線等を防止することが可能となり、かつ、温度制御の精度も向上することができる。
【0079】
図6に示すように、アダプタケーブル71の端部が端子81に固定された後、結束バンドによって支持プレート85に固定されている。これにより、アダプタケーブル71が端子81と接続している部分に負荷が掛かって当該箇所が損傷あるいは切断することを防止している。
【0080】
バッテリ8の上面には、バッテリ8の水素ガスを抜くための複数のガス抜き穴8aが形成されている。支持プレート85は、ガス抜き穴8aとずれた位置に設けられる。なお、バッテリ8、アダプタ7、インバータ装置5の回路構成及び電気的な作用については、後述の第1の変形例において詳述する。
【0081】
本実施の形態の第1の変形例を、図25から図27に示す。本実施の形態の第1の変形例では、中蓋6に正弦波アダプタ9が載置されており、インバータ装置5は上蓋4に固定されている。
【0082】
正弦波アダプタ9は、インバータ装置5から出力された矩形波の交流電圧を正弦波の交流電圧に変換可能な装置である。インバータ装置5の出力ケーブル52を正弦波アダプタ9に接続し、正弦波アダプタ9から出力を得ることにより、電源装置1を100Vの正弦波の交流電源として使用することが可能となる。
【0083】
図27に示すように、正弦波アダプタ9は、インバータ装置5と係合可能な係合部91と、正弦波アダプタ9の設定状態を表示する表示部92と、正弦波アダプタ9の出力周波数を設定する設定部93と、出力ケーブル90Aと、外部からの入力を受ける入力部90B(図26)と、を備えている。正弦波アダプタ9には、側方に突出し中蓋6と係合可能な側方突出部9Aと、前方に突出し中蓋6と係合可能な前方突出部9Bとが規定されている。係合部91は、ラッチプレート43に設けられた係合部43Aと略同一形状であり、上方に突出している。作業者は、インバータ装置5に設けられた着脱ボタン53の操作により、インバータ装置5を正弦波アダプタ9に着脱することができる。これにより、インバータ装置5と正弦波アダプタ9を携帯することが可能となり使用用途を広げることができる。
【0084】
表示部92には、2つのLEDランプが設けられていて、設定部93が50Hzに設定されている時は一方のLEDランプが点灯し、設定部93が60Hzに設定されている時は他方のLEDランプが点灯する。出力ケーブル90Aの先端には差込プラグ90AAが設けられている。入力部90Bには、インバータ装置5からの出力が入力される。
【0085】
ケーブル収納空間6bには、正弦波アダプタ9を中蓋6に載置した際の正弦波アダプタ9の背面から延びる出力ケーブル90Aなどが収容される。左右方向の受入部64には正弦波アダプタ9の側方突出部9Aが載置され、前方の受入部64には正弦波アダプタ9の前方突出部9Bが載置される。これにより、中蓋6に正弦波アダプタ9を載置した状態では、正弦波アダプタ9は中蓋6上で前後方向及び左右方向に移動不能となる。
【0086】
図25に示す状態の時、上蓋溝部47には最大で、正弦波アダプタ9が中蓋6に載置された状態のとき、アダプタケーブル71と、インバータ装置5から正弦波アダプタ9に接続される出力ケーブル52と、正弦波アダプタ9から出力される出力ケーブル90Aと、の3本のケーブルが通る可能性がある。上蓋溝部47の上下方向に直交する断面は、当該3本のケーブルが通ることができる程度の断面積を有している。
【0087】
次に、バッテリ8、アダプタ7、インバータ装置5、正弦波アダプタ9の回路構成について説明する。
【0088】
アダプタ7は、プラス側端子1071Aと、マイナス側端子1071Bと、端子1072A〜1072Gと、マイコン1710と、定電圧回路1720と、充電電流検出回路1730と、低消費回路1740と、電源電圧検出回路1750と、出力停止回路1760と、充電回路1770と、充電タイマリセット回路1781と、識別抵抗1785と、残量表示回路1784と、放電停止回路1786と、バッテリ8のサーミスタ1707(=サーミスタ88)と接続される温度検出部1707Aを有する。
【0089】
プラス側端子1071Aとマイナス側端子1071Bは、それぞれバッテリ8のプラス側端子1081Aとマイナス側端子1081Bと接続され、バッテリ8からの直流電圧を入力する。入力側のプラス側端子1071Aとマイナス側端子1071Bとは、それぞれ出力側のプラス側端子1072Bとマイナス側端子1072Cと接続されており、バッテリ8から入力された直流電圧を端子1072B、1072Cよりインバータ装置5へ出力する。尚、マイナス側端子1072Cはバッテリ8のマイナス側端子1081Bに接続されている。
【0090】
電源電圧検出回路1750は抵抗1751、1752とを有している。抵抗1751、1752は、プラス側の端子1071Aと出力側のマイナス側端子1072C間に直列に接続され、抵抗1751と抵抗1752とによる分圧電圧をマイコン1710に出力する。
【0091】
低消費回路1740は、FET1741、1743と、抵抗1742、1744、1747,1748と、ダイオード1746と、コンデンサ1745とを有する。低消費回路1740は、プラス側の端子1071Aと定電圧回路1720との間に接続されている。詳細には、FET1741のソースと端子1071Aとが接続され、FET1741のドレインと定電圧回路1720とが接続されている。インバータ装置5からの電圧が、端子1072Dを介して、低消費回路1740に印加されると、FET1743がオンとなり、FET1741もオンとなる。このため、バッテリ8からの出力電圧が定電圧回路1720に印加される。一方、インバータ装置5から電圧が低消費回路1740に印加されていないときには、FET1743はオフであり、よって、FET1741もオフとなる。そのため、バッテリ8からの出力電圧は定電圧回路1720には印加されない。従って、マイコン1710も駆動しない。このように、インバータ装置5が動作していないときには、バッテリ8がアダプタ7に対して電力を供給することはなく、バッテリ8が無駄な電力を消費することを防止している。
【0092】
定電圧回路1720は、三端子レギュレータ1723と、発振防止用コンデンサ1722とを備えており、バッテリ8からの電圧を所定の電圧(例えば5V)に変換し、マイコン1710等の駆動電力を供給する。
【0093】
充電電流検出回路1730は、抵抗1731〜1735と、オペアンプ1736と、コンデンサ1737とを有している。抵抗1731は、入力側端子1071Bと出力側端子1072C間に接続されている。充電電流検出回路1730は、抵抗1731に流れる電流をオペアンプ1736で増幅し、マイコン1710に入力している。これにより、マイコン1710は、抵抗1731に流れる電流を測定することができる。
【0094】
充電タイマリセット回路1781は、抵抗1782と、トランジスタ1783とを有する。トランジスタ1783のコレクタは、識別抵抗1785と、端子1072Eとを介して、インバータ装置5(端子1052E)に接続されている。トランジスタ1783のエミッタはマイナス側端子1072Cに接続されている。マイコン1710が、ハイレベルの信号を送出するとトランジスタ1783はオンとなり、リセット信号がインバータ装置5に出力される。尚、マイコン1710は、充電タイマリセット回路1781、識別抵抗1785、端子1072Eを介してインバータ装置5に識別信号を送信する。識別抵抗1785はバッテリ8に対応したものである。インバータ装置5は、識別信号により、バッテリ8の電圧値などの電気特性を判断することができる。識別抵抗1785の抵抗値は、電動工具用電池パック2Cの識別抵抗と異なる値に設定されている。即ち、識別抵抗1785と識別抵抗とが異なるため、識別抵抗1785を介して出力されるアダプタ7の識別信号と、識別抵抗とを介して出力される電池パック5Cの識別信号とは、互いに異なる。従って、インバータ装置5は、アダプタ7が接続されているか、電池パック5Cが接続されているかを識別信号に基づいて判断することができる。
【0095】
放電停止回路1786は、抵抗1787と、トランジスタ1788と、抵抗1789とを有する。トランジスタ1788のコレクタは、抵抗1789および端子1072Gを介して、インバータ装置5に接続されている。トランジスタ1788のエミッタはマイナス側端子1072Cに接続されている。マイコン1710が、電源電圧検出回路1750の出力に基づきバッテリ8の出力電圧が所定レベルより低下したと判断したときには、ハイレベルの信号を放電停止回路1786に送出する。すると、トランジスタ1788はオンとなり、放電停止信号(LD信号)がインバータ装置5に出力される。一方、マイコン1710がバッテリ8の出力電圧が所定レベルより低下していない、即ち、放電を継続することに支障がないと判断したときには、マイコン1710はローレベルの信号を放電停止回路1786に送出する。すると、トランジスタ1788はオフとなり、放電停止信号は出力されない。なお、マイコン1710から放電停止回路1786に出力される信号は、後述する出力停止回路1760にも出力され、放電停止回路1786から放電停止信号が出力されるときには、出力停止回路1760はバッテリ8とシガーソケットプラグ1073とを遮断し、シガーソケットプラグ1073からの電圧出力を停止する。
【0096】
マイコン1710は、端子1072Fに接続されており、充電停止信号(LE信号)を端子1072Fを介してインバータ装置5に出力する。
【0097】
残量表示回路1784は、抵抗1795と、LED1074とを有しており、バッテリの残量(電源電圧検出回路1750にて検出された電圧値)に応じて、LED1074を点灯している。本実施の形態では、マイコン1701は、電源電圧検出回路1750にて検出された電圧値が、バッテリ8の最大電圧の70パーセント以上と判断したときには、LED1074を連続点灯表示させる。また、電圧値が、バッテリ8の最大電圧の30パーセント以上、70パーセント未満と判断したときには、LED1074を点滅表示させる。電圧値が、バッテリ8の最大電圧の30パーセント未満と判断したときには、LED1074を、電圧値が30パーセント以上、70パーセント未満のときより早い間隔で、点滅表示させる。従って、ユーザはLED1074によってバッテリ8の電池残量を認識することができる。
【0098】
シガーソケットプラグ1073は端子1073Aと、1073Bとを有する。プラス側端子1073Aは、端子1071Aと出力停止回路1760とを介してバッテリ8のプラス側端子1081Aに接続されている。シガーソケットプラグ1073の他方の端子1073Bはバッテリ8のマイナス側端子1081Bに接続されている。尚、バッテリ8の出力は、シガーソケット端子1073A、1073Bと、端子1072B、1072Cとの両方から同時に出力可能である。すなわち、シガーソケット端子1073から直流12Vを出力できると共に、インバータ装置5から矩形波100Vを出力することができる。後述の正弦波アダプタ9を接続すれば、直流12Vと正弦波AC100Vを同時に出力することができる。
【0099】
出力停止回路1760は、バッテリ8のプラス側端子1071Aとシガーソケットプラグ1073の端子1073Aとの間に設けられている。出力停止回路1760は、FET1761と抵抗1762、1763、1765〜367、1769、1792と、トランジスタ1764、1791とツェナーダイオード1768とを有する。トランジスタ1791のベースはマイコン1710と接続されている。FET1761のソースは、端子1071Aと接続され、ドレインは、端子1073Aと接続されている。トランジスタ1791のベースにマイコン1710からハイレベルの信号が印加されるとトランジスタ1791はオンとなり、トランジスタ1764はオフとなる。そのため、FET1761はオフとなり、端子1071Aと端子1073Aとが遮断される。一方、トランジスタ1791のベースにマイコン1710からローレベルの信号が印加されるとトランジスタ1792はオフとなり、ツェナーダイオード1768,抵抗1767,1766,1765の経路に電流が流れるため、トランジスタ1764はオンとなる。その結果、FET1761はオンとなり、端子1071Aと端子1073Aとが接続され、バッテリ8の出力電圧をシガーソケットプラグの端子1073Aと1073Bから取り出すことができる。このようにシガーソケットプラグ1073を設けることにより、シガーソケットプラグ1073からバッテリ8の直流電圧をそのまま出力することができる。これにより、シガーソケットを有する電子機器をアダプタ7に挿入し使用することができる。また、バッテリ8の電圧が低下したときには、出力停止回路1760によって、バッテリ8の放電停止し、過放電を防止することができる。尚、バッテリ8が所定値以上の電圧であれば、ツェナーダイオード1768、抵抗1767,1766を介してトランジスタ1764がオンするので、FET1761がオンしシガーソケットプラグ1073に電力が供給される。
【0100】
充電回路1770は、FET1771と、抵抗1772、1773、1775と、トランジスタ1774とを有する。トランジスタ1774のベースは、抵抗1775を介してマイコン1710の出力端子に接続されている。FET1771のドレインは、バッテリ8のプラス側端子1071Aおよび定電圧回路1720に接続され、ソースは、アダプタ7の出力側端子1072Aに接続されている。バッテリ8は、インバータ装置5から端子1072A、1072Bに印加された電圧によって充電される。マイコン1710は、バッテリ8を充電するときには、ハイレベルの信号をトランジスタ1774のベースに出力してトランジスタ1774をオンとする。トランジスタ1774がオンとなるとFET1771もオンとなり、充電路が形成されバッテリ8は充電される。一方、マイコン1710がローレベルの信号をトランジスタ1774のベースに印加すると、FET1771はオフとなり充電路は遮断され、バッテリ8への充電が停止される。
【0101】
サーミスタ1707が、バッテリ8の近傍(プラス側端子1081A)に設置(ボルトで固定)されている。固定具(ボルト)によって端子に固定されているため、電池温度を効率的に検出することができ、振動等による外力により外れにくいようになっている。マイコン1710は、サーミスタ1707と温度検出部1707Aにより、バッテリ8の温度を測定している。定電圧回路1720は、温度検出部1707Aに電力を供給している。
【0102】
2つのサーマルプロテクタ1708A、1708B(=サーマルプロテクタ89)が、バッテリ8(マイナス側端子1081B)の近傍に設置(ボルトで固定)されている。2つのサーマルプロテクタ1708A、1708Bは銅製ホルダ1709で保持され、シリコンによって銅製ホルダ1709に固定されている。銅製ホルダ1709はボルトによりバッテリ8のマイナス側端子1081Bに固定されている。サーマルプロテクタ1708Aは、シガーソケット1073(端子1073A、1073B)と鉛充電地8の出力経路に配置されている。サーマルプロテクタ1708Bはバッテリ8の充電経路及びインバータ装置5への電力供給経路(スイッチ1525)に配置されている。尚、サーマルプロテクタ1708A、1708Bは、アダプタ7、バッテリ8と別部材として定義したが、アダプタ7の一部、または、バッテリ8の一部としてもよい。
【0103】
サーマルプロテクタ1708A、1708Bは、電池異常等により電池温度が高温(例えば65℃以上)になると開状態となり、上記した経路が遮断される。これにより、電池異常時に充放電を停止することができる。
【0104】
サーマルプロテクタ1708Aが開状態となると、トランジスタ1764のゲートに信号が入力されなくなるためFET1761がオフしシガーソケットプラグ1073への出力が遮断される。
【0105】
サーマルプロテクタ1708Bが開状態となると、充電部5Bとバッテリ8との充電経路が遮断される。さらに、インバータ装置5のスイッチ1525(後述)を介して定電圧回路1521への電力供給が遮断されるため制御部1501(後述)が駆動できなくなりインバータ装置5の動作が停止される。
【0106】
通常、蓄電池の温度は、長時間連続で使用しても余り上昇しない。しかしながら、高温、或いは低温の温度環境で使用した場合、電池の性能劣化や電池故障が生じる場合がある。このため、本発明では、温度に関する使用条件を設けた構成にしている。温度制御の構成としてはインバータ装置5側への電源供給の温度制御のためにサーミスタ1707を設け、シガーソケットプラグ1073への出力制御及び充電時の温度保護をするために、前述のように2つのサーマルプロテクタ1708A、1708Bを設けている。
【0107】
インバータ装置5には、アダプタ7を介してバッテリ8から直流電圧が供給され(図29(a))、インバータ装置5は、当該直流電圧を昇圧した上で(図29(b))、矩形波電圧に変換して出力する(図29(c))。正弦波アダプタ9は、まず、当該矩形波電圧を直流電圧に整流し(図29(d))、当該直流電圧を変圧する(図29(e))。そして、変圧された直流電圧をパルス波電圧に変換した後(図29(f))、当該矩形波電圧を正弦波電圧に変換する(図29(g))。当該正弦波電圧は、端子1098A、1098B(商用電源用のコンセント)を介して精密機器等に出力可能である。
【0108】
図28に示されるように、インバータ装置5は、放電部5Aと充電部5Bとを有する。放電部5Aは、電池電圧検出部1510と、スイッチ1525と、定電圧回路1521と、昇圧回路1540と、整流・平滑回路1550と、昇圧電圧検出部1560と、インバータ回路1570と、電流検出抵抗1517と、PWM信号出力部1511と、制御部1501とを備えている。放電部5Aは、端子1052B、1052Cに入力された直流電圧を矩形波形状の交流電圧に変換して端子1057A、1057Bに出力している。
【0109】
電池電圧検出部1510は、電池電圧検出抵抗1511及び1512を備えている。電池電圧検出抵抗1511及び1512は、プラス側端子1052Bとマイナス側端子1052Cとの間に直列に接続されており、端子1052に接続された電池(図28の例では、アダプタ7に接続されたバッテリ8)の電池電圧の電池電圧検出抵抗1511と電池電圧検出抵抗1512とによる分圧電圧を制御部1501に出力する。なお、端子1072B、1072Cには電動工具用の電池パック5Cを接続することも可能である。
【0110】
電源スイッチ1525及び定電圧回路1521は、プラス側端子1052Bと制御部1501との間に直列に接続されている。定電圧回路1521は、三端子レギュレータ1522と、発振防止用コンデンサ1523及び1524と、を備えており、ユーザにより電源スイッチ1525がオンされると、アダプタ7(バッテリ8)からの電圧を所定の直流電圧(例えば5V)に変換し、制御部1501に駆動電力として供給する。なお、電源スイッチ1525がオフされると、制御部1501に駆動電力が供給されなくなるので、インバータ装置5全体がオフされることとなる。
【0111】
昇圧回路1540は、トランス1541と、FET1531と、抵抗1532、サーミスタ1533とを備えており、トランス1541は、一次側巻線1541aと、二次側巻線1541bと、を備えている。
【0112】
一次側巻線1541aは、プラス側端子1052Bとマイナス側端子1052Cとの間に接続されており、トランス1541の一次側巻線1541aとマイナス側端子1052Cとの間には、更に、FET1531が配置されている。FET1531のゲートには、FET1531をオン・オフさせるための第1のPWM信号が制御部1501から入力され、FET1531のオン・オフにより、アダプタ7(あるいは電池パック5C)から供給された直流電力は交流電力に変換されてトランス1541の一次側巻線1541aに出力される。一次側巻線1541aに入力された交流電力は、一次側巻線1541aと二次側巻線1541bとの巻数比に応じて変圧されて二次側巻線1541bから出力される。サーミスタ1533は、FET431の温度を検出し、制御部1501は、FET1531の温度が所定の温度より高いと判断すると、第1のPWM信号によって、FET1531をオフさせ、トランス1541への電流の供給を遮断する。これは回路部品、特にFET1531が高温により破損することを防止するためである。
【0113】
整流・平滑回路1550は、整流ダイオード1551及び1552と、平滑コンデンサ1553と、を備えており、これらにより、トランス1541により昇圧された交流電力を整流・平滑して直流電力として出力する。
【0114】
昇圧電圧検出部1560は、互いに直列接続された抵抗1561及び1562から構成されており、整流・平滑回路1550から出力された直流の昇圧電圧(平滑コンデンサ電圧、例えば141V)を検出し、昇圧電圧の、抵抗1561と抵抗1562とによる分圧電圧を制御部1501に出力する。
【0115】
インバータ回路1570は、4つのFET1571−1574から構成されており、直列に接続されたFET1571及び1572と、直列に接続されたFET1573及び1574とが、平滑コンデンサ1553に並列に接続されている。詳細には、FET1571のドレインは、整流ダイオード1551及び1552のカソードと接続され、FET1571のソースは、FET1572のドレインに接続されている。また、FET1573のドレインは、整流ダイオード1551及び1552のカソードと接続され、FET1573のソースは、FET1574のドレインに接続されている。
【0116】
更に、FET1571のソース及びFET1572のドレイン、FET1573のソース及びFET1574のドレインは、それぞれ、出力端子1057A、1057Bと接続されており、出力端子1057A、1057Bは、正弦波アダプタの1092A、1092Bに接続可能である。FET1571−1574のゲートには、FET1571−1574をオン・オフさせるための第2のPWM信号がPWM信号出力部1511から入力され、FET1571−1574のオン・オフにより、整流・平滑回路1550から出力された直流電圧は矩形波形の交流電圧(例えばAC100V)に変換されて正弦波アダプタ9に出力される。
【0117】
電流検出抵抗1517は、FET1572のソース及びFET1574のソースと、マイナス側端子1052Cとの間に接続されており、電流検出抵抗1517の高電圧側の端子は制御部1501と接続されている。このような構成により、電流検出抵抗1517は、インバータ装置5に流れる電流を抵抗の電圧降下により検出し、電圧として制御部1501に出力する。
【0118】
制御部1501は、昇圧電圧検出部1560によって検出された昇圧電圧に基づき、昇圧電圧が目標実効値(例えば、141V)となるよう第1のPWM信号をFET1531のゲートに出力する。また、制御部1501は、目標実効値(例えば、AC100V)を有する交流電力が端子1057に出力されるような第2のPWM信号をPWM信号出力部1511を介してFET1571−1574のゲートに出力する。本実施の形態では、制御部1501は、FET1571とFET1574(以降、第1のセット)と、FET1572とFET1573(以降、第2のセット)とを、それぞれ1セットとして、第1のセットと第2のセットを交互にオン・オフさせるような第2のPWM信号を出力する。すなわち、制御部1501は、目標の昇圧電圧になるように、昇圧電圧検出部1560によって検出された昇圧電圧のフィードバック情報に基づき、FET1531のゲート信号を制御する。
【0119】
また、制御部1501は、電池電圧検出部1510によって検出された電池電圧に基づき、アダプタ7に接続されたバッテリ8の過放電の判断を行う。具体的には、電池電圧検出部1510によって検出された電池電圧が所定の過放電電圧より小さい場合には、バッテリ8に過放電が生じていると判断し、インバータ装置5への出力を停止させるための第1のPWM信号及び第2のPWM信号を出力する。すなわち、第1及び第2のPWM信号の少なくとも一方を停止する。また、制御部1501は、信号端子1052Gから放電停止信号(LD信号)を受信した場合にも、端子1057への出力を停止させるための第1のPWM信号及び第2のPWM信号を出力する。すなわち、第1及び第2のPWM信号の少なくとも一方を停止する。
【0120】
更に、制御部1501は、電流検出抵抗1517によって検出された電流(電圧)に基づき、過電流の判断を行う。詳細には、電流検出抵抗1517によって検出された電流がインバータ回路1570のFET1571−4715の過電流閾値を超えていた場合に、FET1531のオン・オフ動作を停止させるための第1のPWM信号をFET1531のゲートに出力し、FET1571−1574のオン・オフ動作を停止させるための第2のPWM信号をFET1571−1574のゲートに出力する。これにより、ACモータ1071への電力の供給が停止されるので、過電流によりACモータ1071やインバータ回路1570(特にFET1571−1574)が故障することを防止することができる。なお、FET1531とFET1571−1574の一方のオン・オフ動作を停止するようにしても良い。
【0121】
充電部5Bは、整流回路1581と、平滑コンデンサ1582と、FETドライバIC1583と、降圧回路1590と、整流・平滑回路1585と、フィードバック制御部1588と、スイッチ1589と、コンデンサ1595とを有する。
【0122】
整流回路1581は、端子1058A、1058Bと接続され、端子1058A、1058Bから入力された交流電圧を整流する。平滑コンデンサ1582は、整流回路1581で整流された電流を平滑する。尚、端子1058には商用電源が入力される。
【0123】
降圧回路1590は、トランス1591と、FET1542とを備えており、トランス1591は、一次側巻線1591aと、二次側巻線1591bと、を備えている。
【0124】
一次側巻線1591aは、プラス側端子1058Aとマイナス側端子1058Bとの間に接続されており、トランス1591の一次側巻線1591aとマイナス側端子1058Bとの間には、更に、FET1542が接続されている。FET1542のゲートには、FETドライバIC1583から第3のPWM信号が入力され、FET1542はPWM信号に応じてオン・オフし、供給された直流電圧は交流電圧に変換されてトランス1591の一次側巻線1591aに印加される。一次側巻線1591aに印加された交流電圧は、一次側巻線1591aと二次側巻線1591bとの巻数比に応じて変圧されて二次側巻線1591bから出力される。尚、マイコン1501は、端子1052Eから入力された識別信号をFETドライバIC1583に入力する。FETドライバIC1583は、識別信号に基づいて、バッテリ8に対応したデューティ比となるような第3のPMW信号を生成している。これにより、充電部5Bからバッテリ8に対応した電圧が供給される。
【0125】
整流・平滑回路1585は、整流ダイオード1586と、平滑コンデンサ1587とを備えており、これらにより、トランス1591により降圧された交流出力を整流・平滑して直流電圧としてアダプタ7側に出力する。即ち、整流・平滑回路1785のプラス側は端子1052Aに接続され、マイナス側は端子1052Cに接続されている。スイッチ1589がオンすると、整流・平滑回路1585によって整流・平滑された直流電圧が端子1052Aを介してアダプタ7に出力される。
【0126】
フィードバック制御部1588は、フィードバック回路1588aと、抵抗1588bとを有する。フィードバック回路1588aは、抵抗1588bを流れる電流を検出し、検出した電流に応じて、フォトカプラ1584を介して、FETドライバIC1583に制御信号を送る。即ち、抵抗1588bの電流が減少したら、フィードバック制御回路1588aは、FETドライバIC1583がデューティ比を増加させる第3のPMW信号を送信するように制御し、逆に抵抗1588bの電流が増加したら、FETドライバIC1583がデューティ比を減少させる第3のPMW信号を送信するように制御する。
【0127】
スイッチ1589は、端子1052Aと昇圧・平滑回路1585との間に接続されており、充電のオン、オフを切替える。制御部1501は、充電開始時からの充電時間tcを計時している。充電時間が所定の時間tcfを経過したら、制御部1501は、スイッチ1589をオフに切替え充電を停止する。インバータ装置5は専用(電動工具用)の電池パック5Cの使用を前提としている。所定の時間tcfは、電池パック5Cが過充電になるのを防ぐように設定されている。また、制御部1501に端子1052Eからの充電停止信号(LE信号)が入力された場合にもスイッチ1589をオフにする。
【0128】
次に、正弦波アダプタ9の回路構成について説明する。図30は、正弦波アダプタ9の回路図である。
【0129】
図30に示すように、正弦波アダプタ9は、入力端子1097(1097A、1097B)と、出力端子(1098A、1098B)と、整流回路1911と、第1平滑コンデンサ1902と、突入電流防止回路1903と、電圧検出回路1094と、補助電源1095と、昇圧回路1096と、第2平滑コンデンサ1907と、インバータ回路1098と、電流検出抵抗1099と、ドライバIC1902と、マイコン1903と、周波数切替回路1920と、表示部1083(=表示部92)と、ファン機構1084と、リレー回路1990とを備えている。
【0130】
整流回路1911及び第1平滑コンデンサ1902は、インバータ装置5から入力された矩形波電圧(図29(c))を整流・平滑し、図29(d)及び(e)に示すように、インバータ装置5から入力された電圧の最大値に相当する直流電圧を出力する。
【0131】
突入電流防止回路1903は、電源投入時に正弦波アダプタ9内に大きな突入電流が流れることを防止するためのものであり、主に、FET1931と、突入電流防止用抵抗1932と、分圧抵抗1933及び1934と、を備えている。突入電流防止用抵抗1932は、第1平滑コンデンサ1902に大電流が流れない程度の抵抗値を有している。
【0132】
FET1931は、インバータ装置5の電源投入後(正弦波アダプタ9の動作開始後)、整流回路1911及び第1平滑コンデンサ1902から出力された電圧の分圧抵抗1933及び1934による分圧がFET1931のゲート電圧まで上昇するまでオフしている。この場合には、突入電流防止用抵抗1932が第1平滑コンデンサ1902と直列に接続されており、全体としてのインピーダンスが増加することとなるので、大きな突入電流が正弦波アダプタ9内に流れることが防止されている。
【0133】
一方、上記分圧がFET1931のゲート電圧まで上昇するとFET1931はオンし、突入電流防止用抵抗1932には電流が流れなくなる。しかしながら、この頃には、大きな突入電流も収まっているので、FET1931がオンした後の定常時にも突入電流防止用抵抗1932に電流が流れて電力が浪費されることが防止される。
【0134】
電圧検出回路1094は、直列に接続された電圧検出抵抗1941及び1942を備えており、整流回路1911及び第1平滑コンデンサ1902から出力された電圧すなわち第1平滑コンデンサ1902の充電電圧の電圧検出抵抗1941及び1942による分圧電圧をマイコン1903に出力する。
【0135】
補助電源1095は、三端子レギュレータ1951と、発振防止用コンデンサ1952及び1953と、を備えており、整流回路1911及び第1平滑コンデンサ1902から出力された電圧を所定の直流電圧(例えば5V)に変換し、マイコン1903等に駆動電圧として供給する。
【0136】
昇圧回路1096は、コイル1961と、FET1962と、スイッチングIC1963と、整流ダイオード1964と、電圧検出抵抗1965及び1966と、を備えている。
【0137】
スイッチングIC1963が、FET1962をオン・オフさせることにより、コイル1961に蓄えられた電圧がパルス状に出力される。当該パルス状の電圧は、整流ダイオード1964及び第2平滑コンデンサ1907により整流・平滑されて直流電圧として出力される。本実施の形態では、図29(e)に示すように、昇圧回路1096及び第2平滑コンデンサ1907からは141Vの直流電圧が出力される。電圧検出抵抗1965及び1966は第2平滑コンデンサ1907の電圧を監視してスイッチングIC1963にフィードバックする。スイッチングIC1963は、第2平滑コンデンサ1907の電圧が141VになるようにFET1962をオン・オフさせる。
【0138】
インバータ回路1098は、インバータ部1981と、フィルタ部1982と、を備えている。
【0139】
インバータ部1981は、4つのFET1981a−1981dを備えている。FET1981aのドレインは、整流ダイオード1964のカソードと接続され、FET1981aのソースは、FET1981bのドレインに接続されている。また、FET1981cのドレインは、整流ダイオード1964のカソードと接続され、FET1981cのソースは、FET1981dのドレインに接続されている。FET1981a−1981dのゲートには、FET1981a−1981dをオン・オフさせるための第2のPWM信号がドライバIC1902により入力され、FET1981a−1981dのオン・オフにより、昇圧回路1096及び第2平滑コンデンサ1907から出力された直流電圧はパルス波電圧(図29(f))に変換される。
【0140】
フィルタ部1982は、コイル1982a及び1982bと、コンデンサ1982cと、を備えており、コイル1982aにはFET1981aのソース及びFET1981bのドレインが接続され、コイル1982bにはFET1981cのソース及びFET1981dのドレインが接続されている。インバータ部1981(FET1981a−1981d)から出力されたパルス波電圧は、フィルタ部1982を介して正弦波電圧に変換される(図29(g))。
【0141】
電流検出抵抗1099は、FET1981bのソース及びFET1981dのソースと、GNDとの間に接続されており、電流検出抵抗1099の高電圧側の端子はマイコン1903と接続されている。このような構成により、電流検出抵抗1099は、インバータ回路1098(正弦波アダプタ9)に流れる電流を検出し、電圧としてマイコン1903に出力する。
【0142】
マイコン1903は、電圧検出回路1094によって検出された電圧に基づき、スイッチングIC1963のオン・オフ制御を行う。所定の直流電圧(本実施の形態では、141V)が昇圧回路1096及び第2平滑コンデンサ1907から出力されるように、すなわち第2平滑コンデンサ1907の昇圧電圧が141VになるようにスイッチングIC1963がFET1962をPWM制御する。
【0143】
また、マイコン1903は、実効値100Vのパルス波電圧がインバータ回路1908から出力されるような第2のPWM信号をドライバIC1902を介してFET1981a−1981dのゲートに出力する。本実施の形態では、マイコン1903は、通常時には、FET1981aとFET1981d(以降、第1のセット)と、FET1981bとFET1981c(以降、第2のセット)とを、それぞれ1セットとして、第1のセットと第2のセットをデューティ比100%で交互にオン・オフさせるような第2のPWM信号を出力する。なお、各FETを20kHzのスイッチング周波数でオン・オフさせるような第2のPWM信号を出力する。このとき後述する周波数切替回路1920によって設定された出力周波数(図29(f)では50Hz)で出力する。
【0144】
更に、本実施の形態によるマイコン1903は、正弦波アダプタ9の動作開始時に、入力電圧監視、昇圧要否判別、及び、ソフトスタートを行う。
【0145】
入力電圧監視では、インバータ装置5から入力された矩形波電圧の最大値が第1範囲(本実施の形態では、99V以上169V以下)から外れている場合に、昇圧回路1096及びインバータ回路1908の動作を停止させる。これにより、正弦波アダプタ9内のFET等の素子の破損が抑制される。
【0146】
昇圧要否判別では、マイコン1903は、矩形波電圧の最大値が第2範囲(本実施の形態では、127V以上141V以下)に含まれている場合に、昇圧回路1096の動作を停止させる。これにより、無駄に昇圧回路1096を動作させて電力が浪費することが防止される。
【0147】
ソフトスタートでは、インバータ回路1908の動作を開始させた直後から所定時間(本実施の形態では、100μs)に亘ってインバータ回路1908に流れる電流が所定値(本実施の形態では、10A)より大きかった場合に、第2のPWM信号のデューティを50%に下げ、その後、2.5sかけてデューティを100%に戻す。これにより、正弦波アダプタ9及びインバータ装置5内に大電流が流れることが抑制される。
【0148】
周波数切替回路1920は、スイッチ1921と、EEPROM1922と、を備えている。
【0149】
ユーザは、スイッチ221を所定時間(例えば、3秒間)押下することにより、正弦波アダプタ9から出力される正弦波電圧の周波数を50Hzと60Hzとの間で切り替えることができる。詳細には、スイッチ221が押下されると周波数切替回路1920からマイコン1903にHIGHレベルの周波数切替信号が入力されるので、マイコン1903は、正弦波アダプタ9から出力される正弦波電圧の周波数を切り替えるために、周波数切替信号に応じて第2のPWM信号を変化させる。
【0150】
EEPROM1922は、マイコン1903の動作停止時、すなわち、インバータ装置5からの電力の供給が停止された時の周波数を記憶しており、マイコン1903は、次回の動作開始時に、EEPROM1922に記憶された周波数に応じた第2のPWM信号を出力する。
【0151】
表示部1083は、トランジスタ1831と、LED1832と、を備えている。マイコン1903がLOW信号を出力することでトランジスタ1831がオンしLED1832が点灯又は点滅する。図30には図示していないが、実際には、トランジスタ1831は、50Hz緑点灯用トランジスタと、50Hz赤点灯用トランジスタと、60Hz緑点灯用トランジスタと、60Hz赤点灯用トランジスタと、を備えており、LED1832は、50Hz緑点灯用トランジスタと接続された50Hz緑LEDと、50Hz赤点灯用トランジスタと接続された50Hz赤LEDと、60Hz緑点灯用トランジスタと接続された60Hz緑LEDと、60Hz赤点灯用トランジスタと接続された60Hz赤LEDと、を備えており、マイコン1903は、正弦波アダプタ9の状態に応じたLEDを点灯させるような信号を表示部1083に出力する。
【0152】
周波数切替回路1920で周波数が50Hzに設定されている場合には、50Hz緑LEDを点灯させ、60Hzに設定されている場合には、60Hz緑LEDを点灯させる。
【0153】
また、電流検出抵抗1099によって検出された電流が4A以上の場合、設定されている周波数の赤LEDを点灯させ、5A以上の場合、設定されている周波数の赤LEDを点滅させる。
【0154】
また、図示していないが、FET1962には、温度検出手段(例えばサーミスタ)が近接して配置されており、サーミスタにより検出された温度が100度以上であった場合、設定されている周波数の緑LEDを点滅させる。
【0155】
更に、周波数切替回路1920において周波数が切り替えられた時、設定されている周波数の緑及び赤LEDを0.5秒周期で3秒間点滅させ、続いて、0.2秒周期で2秒間点滅させた後、緑LEDのみを点灯させる。なお、緑LEDと赤LEDの両方が点灯している場合には、橙色に点灯することとなる。
【0156】
ファン機構1084は、主に、冷却ファン1841と、トランジスタ1842と、を備えており、マイコン1903は、駆動電力が供給されるとトランジスタ1842にオン信号を出力することにより、冷却ファン1841を動作させる。
【0157】
リレー回路1990は、スイッチ1991、1992とを有する。プラス側端子1097Aとプラス側端子1098Aとの間にスイッチ1991が設けられ、マイナス側端子1097Bとマイナス側端子1098Bとの間にスイッチ1992が設けられている。スイッチ1991、1992のオン・オフはマイコン1903により制御される。リレー回路1990は正弦波アダプタ9に入力された電圧が正弦波の場合にオンし、入力電圧をそのまま出力する。このとき、昇圧回路1096、インバータ回路1098は動作しないため、無駄な電力消費を抑制することができる。
【0158】
図31は、アダプタ7によるバッテリ8の充電時における制御を示すグラフである。横軸が充電開始時間t0からの充電時間を示し、縦軸にそれぞれ充電電流と、電池電圧とを示している。マイコン1710は、電源電圧検出回路1750における抵抗1751、1752の分圧電圧からバッテリ8の電圧を測定している。マイコン1710は、充電開始時間t0から、バッテリ8の電圧がV1になる時間t1までの時間間隔T1を求め、時間間隔T1の長さに応じて時間間隔T2を決定している。マイコン1710は、時間t1から時間間隔T2経った時間t2に充電を停止している。尚、上述のように、インバータ装置5は、充電経過時間tcが所定の時間tcf経つと自動的にスイッチ1589をオフするようにしている。本実施の形態のバッテリ8は、電池パック5C(容量3.0Ah)より大きい電池容量(38Ah)を有している。上記の所定の時間tcfは、電池パック5Cを過充電から保護するための時間である。なお、電池パック5Cがリチウム電池の場合には、電池パック内に過充電や過放電、過電流を防止するために保護ICが内蔵されており、過充電状態等になった場合には電池パック5Cからインバータ装置5側に充電停止信号が出力されることで、過充電にならないように構成されている。過放電、過電流についても同様である。万が一、何らかの原因で保護ICが動作しなかった場合、電池パック5Cの充電完了時間tcf(基準値)を制御部1501に記憶させているため、この充電時間を経過したら強制的にスイッチ1589をオフするようにしている。充電時間の上限が所定の時間tcfであると、リチウム電池パック5Cより大容量のバッテリ8を満充電するためには不十分な時間になりうる。そのため、マイコン1710は、充電時間がtcfになる前に、充電タイマリセット回路1781を介して、リセット信号を送信し、インバータ装置5における充電経過時間tcを0にリセットするようにしている。また、リセット信号を送信した時間から、時間tcf経過する前にリセット信号を送信する。従って、バッテリ8の充電時間がt2になるまで、マイコン1710は、所定間隔(時間tcfより短い間隔)でリセット信号を送信し続ける。これにより、インバータ装置5がスイッチ1589をオフすることを防止して、バッテリ8を時間t2まで充電可能にしている。なお、所定間隔でリセット信号を送信しなくても、充電されている電池が鉛蓄電池8と判断された場合には、充電タイマリセット回路1781からリセット信号を出力し、充電タイマーを無効にしてもよい。
【0159】
図32(a)に示されるように、バッテリ8の充電電圧V1は、サーミスタ1707及び温度検出手段1707Aの検出するバッテリ8の温度に応じて異なる値が決定される。図32(b)に示されるように、時間間隔T1と時間間隔T2との関係もサーミスタ1707(温度検出部1707A)の示すバッテリ8の温度によって決定される。
【0160】
図33は、マイコン1710による充放電制御を示すフローチャートである。充放電制御において、上記の図32(b)に示される時間T2を求めている。尚、充放電制御の開始時には、充電回路1770におけるトランジスタ1784のベースにベース電流を入力していないため、FET1771はオフとなっている。このため充電経路が遮断されておりバッテリ8は充電されていない。また、充放電制御とは独立して、マイコン1710は、リセット信号を上述のように送信している。なお、バッテリ8の充電は、インバータ装置5の端子1058が商用電源に接続された場合に行うことができる。
【0161】
S1において、マイコン1710は、電源電圧検出回路1750の示すバッテリ8の電圧が10.5V以上かを判断している。バッテリ8の電圧が10.5V以上であれば(S1:YES)、S3において、マイコン1710は、サーミスタ1707(温度検出部1707A)の示すバッテリ8の温度が−15℃以上、60℃未満であるかどうかを判定する。バッテリ8の電圧が10.5V未満であるか(S1:NO)、または、バッテリ8の温度が−15℃未満か、60℃以上である場合には(S3:NO)、S5において、マイコン1710は、放電停止回路1786から放電停止信号を出力させて、インバータ装置5の放電を停止させ、バッテリ8の放電を停止させる。すなわち、インバータ装置5の制御部1501は、放電停止回路1786から放電停止信号を受けると、昇圧回路1540、インバータ回路1570の一方あるいは両方のFETへの信号を停止する。これにより、バッテリ8が過放電状態になることを防止することができる。また、バッテリ8の温度は所定範囲外の異常温度の場合にも放電しないようにしているため、バッテリ8の急激な性能劣化を抑制することができる。
【0162】
S5を実行後か、または、バッテリ8の温度が−15℃以上、60℃未満であるとき(S3:YES)、S7において、マイコン1710は、電源電圧検出回路1750の示すバッテリ8の電圧が12.85V以下であるかを判断する。電源電圧検出回路1750の示すバッテリ8の電圧が12.85Vより大きい場合には(S7:NO)、S1に戻る。即ち、バッテリ8の電圧が12.85Vより大きい場合には、電圧が十分高く、バッテリ8に充電を行う必要はないため、下記のS11からの充電を行わず、インバータ装置5あるいは正弦波アダプタ9に外部機器が接続されている場合にはバッテリ8が放電をするようにしている。
【0163】
電源電圧検出回路1750の示すバッテリ8の電圧が12.85V以下である場合には(S7:YES)、S9において、サーミスタ1707の示すバッテリ8の温度が−10℃以上、50℃未満であるかどうかを判断する。サーミスタ1707の示すバッテリ8の温度が−10℃以上、50℃未満のときには(S9:YES)、S11において、マイコン1710は充電回路1770のトランジスタ1774のベースに充電開始信号を出力しFET1771をオンにして、端子1072Aと端子1071Aとを通電させ、バッテリ8の充電を開始する。
【0164】
一方、サーミスタ1707の示すバッテリ8の温度が−10℃未満か、または、50℃以上であるときには、S13において、マイコン1710は、充電回路1770のFET1771をオフにして、バッテリ8の充電を停止する。S15において、マイコン1710は、充電停止信号を端子1072Fに出力させて、インバータ装置5のスイッチ1589をオフにして、充電機能を停止させる。即ち、充電に不適当な温度のときには、充電を行わないようにしている。これにより、バッテリ8の性能劣化を抑制している。
【0165】
S17において、現在の時間t0からの充電間隔T1の計時を始める。S19において、充電電流検出回路1730が示す充電電流が0.5A以上であるかどうかを判断する。マイコン1710は、充電電流検出回路1730が示す充電電流が0.5A以上のとき(S19:YES)、S21において、マイコン1710は、サーミスタ1707の示す値が−10℃以上、50℃未満であるかを判断する。サーミスタ1707の示す値が−10℃以上、50℃未満であるときには(S21:YES)、S23において、マイコン1710は、電池温度は40℃以上、50℃未満であるかを判断する。電池温度は40℃以上、50℃未満であるときには(S23:YES)、S29において、マイコン1710は、充電電圧V1を13.9Vと設定し(図32(a)参照)、電源電圧検出回路1750の示す電圧が、電圧V1(13.9V)以上であるかどうかを判断する。
【0166】
電池温度が40℃以上から50℃未満の範囲にないとき、すなわち、電池温度が−10℃以上、40℃未満のとき(S23:NO)、S25において、マイコン1710は、充電電圧V1を14.4Vと設定し(図32(a)参照)、電源電圧検出回路1750の示す電圧が、電圧V1(14.4V)以上であるかどうかを判定する。
【0167】
電源電圧検出回路1750の示す電圧(バッテリ8の電圧)が、電圧V1の値である14.4V以上であるとき(S25:YES)、または、電源電圧検出回路1750の示す電圧が、電圧V1(13.9V)以上であるとき(S29:YES)、S27において、マイコン1710は、時間t0から現在の時間t1までの時間間隔T1を記憶する。ここで、現在の時間t1は、電池電圧が電圧V1になったときの時間である。
【0168】
電源電圧検出回路1750の示す電圧が、電圧V1の値である14.4V未満であるとき(S25:NO)、または、電源電圧検出回路1750の示す電圧が、電圧V1(13.9V)未満であるとき(S29:NO)、S19に戻る。
【0169】
充電電流検出回路1730が示す充電電流が0.5A未満のとき(S19:NO)、又は、サーミスタ1707の示す値が−10℃以上、50℃未満の範囲にないときには(S21:NO)、十分な充電電流が入力されていないか、または、充電に適した温度ではないため、S31において、マイコン1710は、充電回路1770におけるトランジスタ1784のベースにベース電流を入力するのを停止させ、バッテリ8の充電を停止する。S33において、マイコン1710は、充電停止信号を端子1072Fに出力させて、インバータ装置5の充電機能を停止させる。
【0170】
図34のS35において、マイコン1710は、電池電圧が充電電圧V1に達した時間間隔T1が22時間以上かを判断する。時間間隔T1が22時間以上のとき(S35:YES)、S37において、マイコン1710は、サーミスタ1707が示す温度が10℃以上かを判断する。サーミスタ1707が示す温度が10℃未満のとき(S37:NO)、S39において、マイコン1710は充電完了までの時間間隔T2を5時間と設定する。サーミスタ1707が示す温度が10℃以上のとき(S37:YES)、S41において、マイコン1710は時間間隔T2を2.5時間と設定する。
【0171】
時間間隔T1が22時間未満のとき(S35:NO)、S43において、マイコン1710は、時間間隔T1が11時間以上かを判断する。時間間隔T1が11時間以上のとき(S43:YES)、S45において、マイコン1710は、サーミスタ1707が示す温度が10℃以上かを判断する。サーミスタ1707が示す温度が10℃未満のとき(S45:YES)、S47において、マイコン1710は時間間隔T2を4時間と設定する。サーミスタ1707が示す温度が10℃以上のとき(S45:NO)、S49において、マイコン1710は時間間隔T2を1.5時間と設定する。
【0172】
時間間隔T1が11時間未満のとき(S43:NO)、S51において、マイコン1710は、時間間隔T1が30秒以上かを判断する。時間間隔T1が30秒以上のとき(S51:YES)、S53において、マイコン1710は、サーミスタ1707が示す温度が10℃以上かを判断する。サーミスタ1707が示す温度が10℃未満のとき(S53:NO)、S55において、マイコン1710は時間間隔T2を2.5時間と設定する。サーミスタ1707が示す温度が10℃以上のとき(S53:YES)、S57において、マイコン1710は時間間隔T2を0.5時間と設定する。
【0173】
時間間隔T1が30秒未満のとき、S59において、時間間隔T2を0秒と設定する。すなわち充電を完了する。
【0174】
S61において、マイコン1710は、時間t1からの経過時間を計時する。
【0175】
S63において、マイコン1710は、充電電流検出回路1730が示す充電電流が0.5A以上であるかどうかを判断する。充電電流検出回路1730が示す充電電流が0.5A以上のとき(S63:YES)、S65において、マイコン1710は、サーミスタ1707の示す値が−10℃以上、50℃未満であるかを判断する。サーミスタ1707の示す値が−10℃以上、50℃未満であるときには(S65:YES)、時間t2からの経過時間が時間間隔T2を経過したかを判断する。時間t2からの経過時間が時間間隔T2を経過しないときには(S67:NO)、S61に戻る。言い換えれば、S63〜S65の処理は、t1から時間間隔T2まで(充電が終了するまで)、充電が可能な環境が維持されているかを判断するものである。
【0176】
一方、充電電流検出回路1730が示す充電電流が0.5A未満のとき(S63:NO)、サーミスタ1707の示す値が−10℃未満、50℃以上であるときには(S65:NO)、または、時間t2からの経過時間が時間間隔T2を経過したときには(S67:YES)、S69において、マイコン1710は、充電回路1770のFET1771をオフにして、バッテリ8の充電を停止する。S71において、マイコン1710は、充電停止信号を端子1072Fに出力させて、インバータ装置5の充電機能を停止させる。
【0177】
以上の処理により、アダプタ7は、バッテリ8の電気特性に合わせた放電を行うことができる。即ち、S5において、バッテリ8の電圧が10.5V未満に低下したときや、バッテリ8の温度が−15℃以上、60℃未満の範囲にないときには、バッテリ8の放電を停止させている。これにより、バッテリ8の使用環境、電気特性を考慮した、バッテリ8の過放電の防止を行うことができる。
【0178】
また、バッテリ8の温度に基づいて所定の充電電圧V1を設定し、設定した所定電圧V1に充電されるまでにかかった時間間隔T1に基づいて、時間間隔T2を決定して、充電終了時間t2を決めている。これにより、バッテリ8の使用環境、電気特性に最適になるように、充電時間を設定することができる。即ち、バッテリ8が十分充電されていない状況や、過充電される状況を避けることができる。また、充電電流が0.5A未満であれば、充電を停止している。これにより、十分な充電電流が供給されているときだけバッテリ8の充電を行うことができる。なお、バッテリ8の充電電流は、電池パック5Cの充電電流と同じ5A前後である。また、充電電流を充電途中で、例えば時間間隔T1では5A、T2では1Aのように切り替えることにより、同じ充電電流5Aで充電を継続する場合に比べ充電容量を多くすることができる。
【0179】
バッテリ8は電池電圧や充放電電流等を制御するための制御回路を備えていないため、直接バッテリ8をインバータ装置5に接続してしまうと、過充電、過放電、過電流となってしまい電池の性能を劣化させてしまう可能性がある。そこで、本発明では、バッテリ8専用のアダプタ3を介してインバータ装置5に接続するようにしている。アダプタ3にはバッテリ8を制御するための制御回路部(マイコン、電圧監視、電流監視、識別手段等)が内蔵されている。インバータ装置5はアダプタ3からの制御信号を受信することにより、バッテリ8が異常状態になって電池の性能劣化を防止するよう制御することができる。インバータ装置5は、接続された電池(バッテリ8、電池パック5C)にかかわらず同じ制御を行うことができ、アダプタ3が接続されている場合にはアダプタ3からの信号により充放電を制御している。また、接続された電池に応じて充電制御を変更してもよい。この点について図35を用いて説明する。
【0180】
図35を用いて、インバータ装置5の出力制御について説明する。S201において、作業者により電源スイッチ1525がオンされる。これにより、バッテリ8から定電圧回路1521に電圧が供給され、制御部1501に電力が供給される。
【0181】
S202において、制御部1501は、端子1052Eより識別信号を受信する。上述のように識別信号はアダプタ7の識別抵抗1785、または、電池パック5Cの識別抵抗によって決まる信号である。
【0182】
S203において、制御部1501は、識別信号に基づいて、インバータ装置5にアダプタ7が装着されているかどうか判断する。
【0183】
アダプタ7が装着されていないときは(S203:NO)、インバータ装置5に電池パック5Cが装着されているものと判断し、S204において制御部1501は、過電流閾値を電池パック5Cに対応した値に設定する。ここで、過電流閾値は、インバータ装置5の電源(電池パック5Cまたはアダプタ7)から過電流が放電されるのを保護するために設けられている。
【0184】
S205において、制御部1501は、過放電電圧閾値を電池パック5Cに対応した値に設定する。
【0185】
S206において、制御部1501は、電池パック5Cに対応した過熱温度保護設定値を設定する。なお、電池パック5C内には保護ICが内蔵されており、電池パック5C単独でも過充電、過放電、過電流を判別し保護している。これらの異常信号は、インバータ装置5の端子1052F、1052Gに入力され、制御部1501で充放電を停止するように各FET等を制御している。
【0186】
アダプタ7が装着されているときは(S203:YES)、S207において、制御部1501は、過電流閾値をバッテリ8に対応した値に設定する。バッテリ8は電池パック5Cより大きい電流を流すことができるため、バッテリ8に対応した過電流閾値は、電池パック5Cの過電流閾値より大きい値が設定される。
【0187】
S208において、制御部1501は、過放電電圧閾値をバッテリ8に対応した値に設定する。
【0188】
S207において、制御部1501は、バッテリ8に対応した過熱温度保護設定値を設定する。
【0189】
S210において、制御部1501は、抵抗1561、1562の分圧によって昇圧電圧の測定を行い、昇圧電圧が目標電圧より大きいかを判断する。昇圧電圧が目標電圧以下の場合(S210:NO)、S211において制御部1501は、デューティ比が増加するように第1のPMW信号を変更する。昇圧電圧が目標電圧より大きい場合(S210:YES)、S211において、制御部1501は、デューティ比が減少するように第1のPMW信号を変更する。すなわち、第2平滑コンデンサ1553の昇圧電圧が141VになるようにFET1531を制御する。
【0190】
S213において、制御部1501は、PMW信号出力部1511を介して、第2のPMW信号を出力し、矩形波形状の交流電圧を出力する。
【0191】
S214において、制御部1501は、電流検出抵抗1517の電流を測定し、測定した電流値が荷電流閾値より大きいかを判断する。
【0192】
測定した電流値が過電流閾値以下の場合(S214:NO)、S215において、抵抗1511、1512の分圧によって、電源(アダプタ7、または、電池パック5C)の電圧を検出し、検出した電圧が過放電電圧閾値より小さいかを判断する。
【0193】
電源(アダプタ7、または、電池パック5C)の電圧が過放電電圧閾値以上のとき(S215:NO)、S216において、制御部1501は、電源(アダプタ7、または、電池パック5C)の温度が過熱保護設定値より大きいかを判断する。尚、アダプタ7の温度は、サーミスタ1707によって測定された温度であり、制御部1710によって、端子1072F、端子1052Fを介して制御部1501に送信される。また、電池パック5Cの温度は、サーミスタ1059Bによって測定された温度である。電源(アダプタ7、または、電池パック5C)の温度が過熱保護設定値より小さいときはS210に戻る。
【0194】
測定した電流値が過電流閾値より大きい場合(S214:YES)、電源(アダプタ7、または、電池パック5C)の電圧が過放電電圧閾値より小さい場合(S215:YES)、電源(アダプタ7、または、電池パック5C)の温度が過熱保護設定値以上の場合(S216:YES)、昇圧回路1510と、インバータ回路1570との少なくとも一つを停止させて、電圧の出力を停止させる。これにより、電源(アダプタ7、または、電池パック5C)の特性に応じて、過電流が出力されること、過放電がおこること、及び、電源の温度が上昇することを防止することができる。尚、電圧の出力を停止させる代わりに、制御装置1501は、電圧の出力を低下させるよう、昇圧回路1510とインバータ回路1570との少なくとも一つを制御するようにしてもよい。
【0195】
図36を用いて、正弦波アダプタ9の出力制御について説明する。S101において、マイコン1903は、入力電圧が直流か交流かを判断する。入力電圧が直流の場合には(S101:YES)、S103に移行する。入力電圧が交流の場合には(S101:NO)、S115において、マイコン1903は、入力電圧が矩形波電圧であるかを判断する。矩形波形状の交流電圧は図29(c)に示されるように、電圧が0Vの時間が、時間間隔T0の長さ続く。一方、図29(g)正弦波形状の交流電圧は電圧が0の時間は瞬間的であり、従って、時間間隔T0よりはるかに短い。そこで、時間間隔T0より短く、0より長い基準時間Tsを設定する。基準時間間隔Tsは、正弦波形状の交流電圧が0になる瞬間的な時間より十分長い時間である。マイコン1903は、入力電圧の電圧が0の時間が基準時間間隔Tsより長ければ、入力電圧は矩形波形状の交流電圧であると判断し(S115:YES)、S103へ移行する。一方、入力電圧の電圧が0の時間が基準時間間隔Tsより短ければ、入力電圧は、正弦波形状の交流電圧であると判断し(S115:NO)、S117において、マイコン1903は、入力電圧の周波数が50Hzか、または、60Hzであるかを判断する。入力電圧の周波数が50Hzでも60Hzでもないとき(S117:NO)、S103へ移行する。入力電圧の周波数が50Hzか、または、60Hzのとき、S119においてインバータ回路1908を停止し、S121において、マイコン1903は、インバータ回路1908停止から5秒経過するのを待つ。インバータ回路1908停止から5秒経過すれば、AC出力が完全に遮断される。S123において、リレー回路1990(スイッチ1991、1992)をオンにし、入力電圧を変換せずにそのまま出力する。正弦波交流電圧の周波数が50Hzまたは60Hzでならば、一般の電子機器にそのまま入力することが可能だからである。
【0196】
一方、S103では、マイコン1903は、周波数切替回路1920が50Hzに設定されているかを判断する。周波数切替回路1920の設定が50Hzに設定されていれば(S103:YES)、S105において、マイコン1903はインバータ回路1908の出力を50Hzに設定する。周波数切替回路1920の設定が60Hzに設定されていれば(S103:NO)、S105において、マイコン1903はインバータ回路1908の出力を60Hzに設定する。
【0197】
S109において、マイコン1903はリレー回路1990(スイッチ1991、1992)をオフにし、入力電圧がそのまま出力されるのを防止する。S111では、マイコン1903は5秒待機して、AC出力が完全に遮断されるのを待つ。S113において、マイコン1903は、インバータ回路1908を作動させ、入力電圧を正弦波形状の交流電圧に変換して出力する。
【0198】
以上の構成により、正弦波アダプタ9に正弦波形状の交流電圧が入力された場合には、入力された電圧を変換せずにそのまま出力する。そのため、入力された正弦波形状の交流電圧を変換することによる電力の変換によるロスを防止することができる。
【0199】
本実施形態の第2の変形例を、図37及び図38に示す。本実施形態の第2の変形例では、ハンドル3に押圧部139が設けられている。上述の実施の形態では、緩衝材34Aの前方(メインボディ2側)の部材がアウターボディ24と当接することによって、ハンドル3のがたつきを防止していたが、第2の変形例では、押圧部139がアウターボディ24と当接することによりハンドル3のがたつきを防止している。
【0200】
押圧部139は、上下方向に所定距離離間して2つ各伸長部35に設けられていて、ハンドル3全体では4つの押圧部139が備えられている。図38に示すように、押圧部139は前方(メインボディ2側)に突出している。ハンドル3が収納位置にあるときは、4つの押圧部139がすべてメインボディ2と当接する。これにより、4箇所でハンドル3とアウターボディ24とが当接するため、ハンドル3のがたつきを確実に防止できる。ハンドル3が伸長位置にあるときは、下の2つの押圧部139のみがアウターボディ24に当接する。これにより、ハンドル3が引出された状態でもハンドル3のがたつきを防止できる。
【0201】
ハンドル把持部33には、ゴム製のグリップ部133が設けられていて、作業者がハンドル把持部33を把持し易い構成となっている。
【0202】
本実施形態の第3の変形例を、図39から図41に示す。上述の実施形態では、ハンドル3のストッパとして当接部31Bを採用したが、第3の変形例では、凸部224Aがストッパとなる。
【0203】
第3の変形例では、凸部224Aがアウターボディ24の後面に外方に突出するように設けられている。緩衝材34Aのアウターボディ24側の端部は、当該端部の上側に位置するアウターボディ24の凸部24Aから伸長部35と平行に引いた仮想ラインよりもアウターボディ24側に位置する。すなわち、アウターボディ24の凸部24Aは緩衝材34Aの端部より後方側に位置している。これにより、ハンドル3が伸長位置にあるとき凸部224Aと緩衝材34Aとが当接するため。メインボディ2に対するハンドル3の不意な伸長位置への移動を抑制することができる。
【0204】
なお、強度上、問題がなければ、第3の変形例のように当接部31Bの代替としてメインボディ2に凸部224Aを設けて、この凸部と被当接部34を突き当てる構成とすれば、比較的安価な構成で被当接部34と伸長部35との接続箇所Rの損傷を防止することも可能である。また、被当接部34の形状のみ四角形状として、前記した凸部224Aと接触させる構成とすれば、メインボディ2に設けた凸部の高さを低くした状態でも突き当てを円滑に行うことができる。
【0205】
本発明は、上述した電源装置1により以下のような効果を得ることができる。
【0206】
電源装置1として、インバータ装置5及び容量の大きなバッテリ8をメインボディ2に収容して持ち運び可能としたことにより、商用交流電圧の電力の供給がない地域、例えば大地震による震災被災地においても、長時間にわたって交流電圧の電力の供給を行うことができる。また、充電可能なバッテリ8を備えているため、商用交流電圧の電力の供給がある地域においてインバータ装置に商用交流電源を接続することで、バッテリ8の充電を行うことができる。
【0207】
インバータ装置5は上蓋4の上に固定可能であるため、メインボディ2内に正弦波アダプタが収容されているときには、インバータ装置を係合部43Aに固定して上蓋4の外面上に配置することができる。このため、メインボディ2の外径寸法を小さくすることができる。また、電源装置1は、インバータ装置5から出力された矩形波の交流電圧を正弦波の交流電圧に変換し出力する正弦波アダプタ9を備えているため、正弦波の交流電圧の電力を供給することができる。
【0208】
バッテリ8は車載用の鉛蓄電池からなるため、バッテリ8の容量を大きなものとすることができる。また、インバータ装置5は電動工具用電池パック5Cも接続可能であるため、使用用途に応じてバッテリ8と電池パック5Cを使い分けることができる。バッテリ8を使用すれば電源装置1に接続された機器の動作時間を電動工具用電池パック5C使用時に比べて長くすることができる。逆に電動工具用電池パック5Cを使用すればインバータ装置5を肩等に掛けて携帯することができる。
【0209】
メインボディ2にはメインボディ2を運搬するために把持可能なハンドル3が設けられ、ハンドル3はメインボディ2に設けられたハンドル保持部31Aにより保持されているため、電源装置の移動を容易とすることができる。
【0210】
ハンドル3は、第1ハンドル部37と第2ハンドル部38とにより構成されているため、ハンドル3をブロー成形により製造しコスト削減を図るとともに、バッテリ8をメインボディ8内に収容した状態でハンドル3を把持して運搬することが可能な程度に、ハンドル3に強度を持たせることができる。また、第1ハンドル部37と第2ハンドル部38とは同一の形状であることから、同一の金型で製作可能であり製造コストを削減することができる。
【0211】
メインボディ2には、ハンドル3の移動を規制する当接部31Bが設けられているため、ハンドル3をブロー成形により製造した場合であっても、ハンドル3の移動時にハンドル3が伸長位置において当接部31B以外の部分にハンドル3が接触してハンドル3が損傷してしまうことを防止することができる。また、当接部31Bとしてプレス部品を用いることで、安価な当接部31Bと安価なブロー成形品たるハンドル3とを組み合わせて用いることができ電源装置1にかかる製造コストの低減を図ることができる。
【0212】
当接部31Bには第2ダンパ31Dが設けられており、被当接部34には緩衝材34Aが設けられているため、ハンドル3を収納位置から伸長位置へハンドル3を強引に移動させようとした場合に当接部31Bとハンドル3との間に発生する衝突荷重を低減できる。このため、ハンドル3及び当接部31Bの耐久性を向上させることができる。
【0213】
緩衝材34Aは、被当接部34の全周に亘って設けられているため、メインボディ2が転倒され、ハンドル3が地面や床等に接近した場合であっても、緩衝材34Aが地面や床等に衝突することによりハンドル3が地面や床等に当接した際の衝撃を和らげることができ、ハンドル3を損傷することを防止することができる。
【0214】
緩衝材34Aはゴムダンパからなるため、安価で簡単な材料で構成することができる。
【0215】
メインボディ2には車輪21が設けられているため、電源装置1の移動を容易とすることができる。
【0216】
上蓋4にはラッチプレート43が設けられており、上蓋4にインバータ装置5を固定することで、インバータ装置5の表示パネル51を見やすい状態として使用することができる。また、インバータ装置5へのアクセスが容易になる。
【0217】
ラッチプレート43の係合部43Aは上蓋4から突出し、上蓋4には係合部43Aよりも突出する壁部44が設けられているため、係合部43Aに他の物が衝突することを防止することができ、係合部43Aの保護を図ることができる。
【0218】
上蓋4の上面4Aは、平坦部4Bに向けて下方に傾斜しているため、傾斜面上に雨水等が滴下した場合に、当該雨水を上蓋4の平坦部4Bへ向かって流すことができる。このため、上蓋4の外面上に雨水等が溜まることを防止することができる。
【0219】
上蓋4の上面4Aは、平坦部4Bに向けて下方に1°以上傾斜しているため、雨水等を効果的に流すことができる。
【0220】
上蓋4には上蓋溝部47が形成されているため、インバータ装置5等に接続されたケーブルを上蓋溝部47を通してメインボディ2の外から内へ、又は内から外へと通すことができる。
【0221】
上蓋溝部47の周囲には周縁部47Aが設けられている、雨水等が上蓋溝部47を通してメインボディ2内へと流れることを防止することができる。
【0222】
第1窪部48は収容部54に沿った形状となっているため、収容部54にアダプタ7が接続されている状態では第1窪部48の周囲の下面4Cがアダプタ7に当接して上蓋4で開口2aを閉めることができないようにすることができる。
【0223】
インバータ装置5が上室26に収容され、中蓋6が中室27に収容され、バッテリ8が下室28に収容されているため、バッテリ8とインバータ装置5と中蓋6とをメインボディ2にコンパクトに収容することができる。
【0224】
インバータ装置5が中蓋6に載置されているとき、インバータ装置5に対向するようにケーブル収納空間6bが形成されているため、インバータ装置5とバッテリ8とを接続するためのアダプタケーブル71を収容することができ、アダプタケーブル71を無理に折り曲げたりすることを避けることができる。
【0225】
上室26に収容可能な正弦波アダプタ9をさらに備えているため、電源装置1から正弦波の交流電圧の電力を供給することができる。
【0226】
正弦波アダプタ9が中蓋6に載置されているとき、正弦波アダプタ9に対向するようにケーブル収納空間6bが形成されているため、正弦波アダプタ9とバッテリ8とを接続するためのケーブルを収容することができ、ケーブルを無理に折り曲げたりすることを避けることができる。
【0227】
中蓋6には中蓋溝部63が形成されているため、バッテリ8に接続されたケーブル等を、中蓋溝部63を通して中蓋の下面側から上面側へ、又は上面側から下面側へと通すことができる。
【0228】
中蓋6には、貫通穴6aが形成されているため、上室26に流入した雨水等を下室28へ流すことができる。また、万が一下室28のバッテリ8から水素ガスが発生したとしても、当該水素ガスを上室26へと排気することができる。
【0229】
アウターボディ24とインナーボディ25との間に緩衝材2Aが充填されているため、メインボディ2内の温度変化を抑制することができ、バッテリ8の性能を安定化させることができる。また、アウターボディに他の物が衝突した際に受ける衝撃を緩衝材2Aが吸収することができ、メインボディ2に収容されているバッテリ8やインバータ装置5を保護することができる。
【0230】
インナーボディ25には水抜き穴25bが形成され、水抜き穴2bに向かって下方へ傾斜する傾斜部25Bを有しているため、メインボディ2内に侵入した雨水を水抜き穴2bへ流して、外部へと排出することができる。
【0231】
傾斜部25Bは水平に対して1°以上の角度をなして傾斜しているため、メインボディ2に侵入した雨水を効果的に水抜き穴2bへ流すことができる。
【0232】
バッテリ8は、左右方向においてバッテリシャフト83に支持され、前後方向において規制部82Aと当接しているため、左右方向においてバッテリ8を安定して保持することができるのみならず、バッテリ8の端部を規制部82Aに当接させることにより、左右方向に交差する前後方向においてバッテリ8を安定して位置決めすることができる。
【0233】
バッテリプレート82とリブ25C(インナーボディ25)との間には、バッテリプレート82がインナーボディ25に対して滑ることを防止する滑り止め部材25Dが設けられているため、バッテリプレート82をインナーボディ25に対して安定して保持することができる。
【0234】
バッテリプレート82とバッテリ8との間には、バッテリ8がバッテリプレート82に対して滑ることを防止する滑り止め部材82Bが設けられているため、バッテリ8をバッテリプレート82に対して安定して保持することができる。
【0235】
滑り止め部材25D、82Bはゴムダンパからなるため、インナーボディ25に対するバッテリプレート82の保持やバッテリプレート82に対するバッテリ8の保持を容易且つ効果的に行うことができる。
【0236】
支持プレート85の表面には、端子81間距離よりも長い範囲で弾性材87が設けられているため、バッテリ8を交換しようとして支持プレート85をバッテリシャフト83から取り外したときに、誤って端子81に支持プレート85を落下させた場合であっても、ショートしてしまうことを防止することができる。
【0237】
本発明による電源装置は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の改良や変形が可能である。
【0238】
上述の実施の形態では、メインボディ2内にインバータ装置5又は正弦波アダプタ9のいずれかを収容できたが、メインボディ2の高さを高くしてメインボディ2内にインバータ装置5と正弦波アダプタ9の両方を収容可能にしても良い。この場合においても、上蓋4は収容部54にアダプタ7が装着された状態だと閉じることができないように構成することが好ましい。
【0239】
上述の実施の形態では、当接部25Aに1つの水抜き穴25aが形成されていたが、複数の水抜き穴を形成してもよい。これにより、大量の水がメインボディ2内に浸入したとしても、迅速に外部に排出することができる。
【0240】
上述の実施の形態では、緩衝材2Aとしてウレタンを採用したが、ポリスチレンなどの他の材料でも良い。また、緩衝材2Aを充填しなくても良い。
【0241】
上述の実施の形態では、インナーボディ25にポリエチレンを採用したが、インナーボディ25はポリプロピレンでも良い。
【0242】
上述の実施の形態では、第1ハンドル部37と第2ハンドル部38とを組み合わせてハンドル3としたが、ハンドル3を金属製としても良い。
【0243】
上述の実施の形態では、ハンドル3に緩衝材34Aを設け当接部31Bに第2ダンパ31Dを設けたが、いずれか一方だけ設けてもよい。
【0244】
また、補強部材36の下面に緩衝材を設けても良い。これにより、作業者がハンドル3を下に押下げたときに保持部31の上面と緩衝材とが当接して衝撃を緩和することができる。
上述の実施の形態では、上蓋溝部47は後面に設けられたが、ヒンジ取付部46が設けられている側面以外の面であれば良い。また、上蓋溝部47は複数設けられていていても良い。
【0245】
上述の実施の形態では、インバータ装置5は中蓋6に載置可能であったが、中蓋6に係合部43Aに相当する部材を設けてインバータ装置5を中蓋6に固定可能にとしても良い。また、中蓋6に正弦波アダプタ9の底面と係合し正弦波アダプタ9を固定する係合部を設けてもいい。
【0246】
上述の実施の形態では、アダプタ収納部62にアダプタ7及びアダプタケーブル71の一部を収容していたが、電池パック5Cを収容しても良い。また、アダプタ7及び電池パック5Cを同時に収容できるように構成しても良い。
【0247】
上述の実施の形態では、中蓋6の底面6Aにアダプタ7を載置するようにアダプタ収納部62にアダプタ7を収容していたが、アダプタ収納部62にアダプタ7が移動しないようにする固定する部材を設けても良い。
【0248】
上述の実施の形態では、中蓋6の底面6Aは水平面だったが、水抜き穴6aに向けて下方に傾斜させても良い。これにより、さらにアダプタ収納部62に水が溜まりにくい構造となる。
【0249】
上述の実施の形態では、中蓋溝部63は後方の周囲壁61に設けられていたが、他の位置の周囲壁61に設けても良い。また、周囲壁61に複数の中蓋溝部63を設けても良い。
【0250】
また、メインボディ2に冷却機能を持たせても良い。具体的には、メインボディ2の一の面に外気の吸入口を儲け、一の面に対向する面に排気ファンを設ける。これにより、たとえバッテリ8や正弦波アダプタ9が発熱したとしても、メインボディ2内の温度上昇を抑えることができる。
【0251】
また、本願では、サーミスタからなる温度検出手段を有する温度検出装置を電源装置1に応用したが、電源装置1に限定されない。
【符号の説明】
【0252】
1・・電源装置
2・・メインボディ
3・・ハンドル
4・・上蓋
5・・インバータ装置
6・・中蓋
7・・アダプタ
8・・バッテリ
9・・正弦波アダプタ
21・・車輪
23・・突起
24・・アウターボディ
25・・インナーボディ
25a・・凹部
25b・・水抜き穴
25D・・滑り止め部材
25B・・傾斜部
26・・上室
27・・中室
28・・下室
31・・保持部
37・・第1ハンドル部
38・・第2ハンドル部
31B・・当接部
31C・・第1ダンパ
31D・・第2ダンパ
34A・・緩衝材
43・・ラッチプレート
43A・・係合部
44・・壁部
47・・上蓋溝部
47A・・周縁部
47B・・曲面部
48・・第1窪部
49・・第2窪部
52・・出力ケーブル
61・・周囲壁
62・・アダプタ収納部
63・・中蓋溝部
64・・受入部
81・・端子
82・・バッテリプレート
82B・・滑り止め部材
82a・・シャフト貫通孔
83・・バッテリシャフト
85・・支持プレート
87・・弾性材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口が形成された函状の本体部と、
該開口を開閉可能に該本体部に設けられた蓋体と、
該本体部に収容され充放電可能な電池と、
該本体部に収容可能であり該電池からの直流電圧を交流電圧に変換し出力するインバータ装置と、を備え、
該電池は車載用の鉛蓄電池からなり、該鉛蓄電池の電極端子には、該電極端子の温度を検出するための温度検出手段が設けられていることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
該温度検出手段はサーミスタからなり、該サーミスタは該電極端子に固定された金属製の圧着端子に固定されていることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
該温度検出手段は該鉛蓄電池の陽極の該電極端子に固定されていることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項4】
該鉛蓄電池の陰極の該電極端子には、サーマルプロテクタが固定されていることを特徴とする請求項3記載の電源装置。
【請求項5】
該鉛蓄電池の該電極端子にはアダプタが接続され、
該サーマルプロテクタは、該鉛蓄電池と該アダプタの出力端子との間に配置されていることを特徴とする請求項4記載の電源装置。
【請求項6】
該サーマルプロテクタは、該電極端子に固定された銅製ホルダに固定されていることを特徴とする請求項4又は5記載の電源装置。
【請求項7】
該鉛蓄電池の電極端子に設けられ該電極端子の温度を検出するための温度検出手段を備えることを特徴とする鉛蓄電池の温度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2013−45593(P2013−45593A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182057(P2011−182057)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】