説明

電源装置

【課題】異なる交流電圧のうち選択されたものが供給される電源装置を、安価に製造する。
【解決手段】複数の電圧のうち1つが供給される電源端子2a、2b、2cからの電圧を、整流回路6が整流して、整流電圧を2つの出力端子6a、6b間に生じる。インバータ16a、16bを整流回路6の出力端子6a、6b間に、接続回路10が複数の接続状態のうち接続指示信号によって選択されたものに接続する。複数の接続状態は、前記複数の電圧に対応して設けられ、対応電圧が電源端子2a、2b、2cに供給されているとき、インバータ16a、16bに予め定めた電圧が供給される。接続指示信号のうち1つを、手動操作に応じて接続指示信号発生回路34が出力する。電源端子2a、2b、2cに複数の電圧のうち1つが供給されたとき、電圧検出回路38からの接続指示信号と接続指示信号発生回路34からの接続指示信号とが一致するか判定部24dが判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関し、特に複数の異なる交流電圧のうち選択されたものが供給される電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる交流電圧が供給される電源装置の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の電源装置には、400Vの電圧と200Vの電圧のうち、いずれか選択されたものが供給される。この電源装置は、供給された交流電圧を整流する整流回路と、2つのインバータを備え、400Vの電圧がこの電源装置に供給された場合には、2つのインバータは直列に整流回路の出力側に接続され、200Vの電圧がこの電源装置に供給された場合には、2つのインバータは並列に整流回路の出力側に接続される。この接続の切換は、複数のスイッチを用いて行われ、これらスイッチの制御は、切換制御回路によって行われる。切換制御回路は、交流電圧が電源装置に供給される前に、2つのインバータを直列に接続するようにスイッチを切換えておき、交流電圧が電源装置に供給されたとき、その交流電圧を検出し、基準値と比較し、400Vであるか200Vであるかを判定する。400Vの場合には、スイッチは現状を維持し、200Vの場合には、2つのインバータが並列に接続されるようにスイッチを切換え、かつ上記の判定結果をラッチ回路にラッチして、2つのインバータが並列に接続された状態を維持するようにラッチ回路の出力を利用する。
【0003】
【特許文献1】特許第2558575号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この電源装置では、切替制御回路の構成が複雑であり、電源装置のコストが高くなっていた。
【0005】
本発明は、複数の異なる交流電圧のうち選択されたものが供給される電源装置を、安価に製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の電源装置は、複数の電源端子を有し、これには互いに異なる複数の電圧のうち1つが供給される。これら電源端子から供給された電圧を整流回路が整流して、前記供給電圧に応じた整流電圧を整流回路の2つの出力端子間に生じる。複数のインバータと、接続回路とが、電源装置には設けられている。接続回路は、複数のインバータを整流回路の出力端子間に、複数の接続状態のうち接続指示信号によって選択されたものに接続するもので、例えば複数のスイッチング素子によって構成することができる。複数の接続状態は、前記複数の電圧に対応し、対応する電圧が前記電源端子に供給されているとき、前記各インバータに予め定めた電圧が供給される。前記接続指示信号のうち1つを手動操作に応じて接続指示信号発生回路が出力する。前記整流回路の2つの出力端子と前記複数のインバータとの間の経路中に常開スイッチが介在する。常開スイッチは、整流回路の2つの出力端子と接続回路との間に介在させることが望ましい。常開スイッチに閉信号が供給されたとき、常開スイッチは閉成される。前記電源端子に前記複数の電圧のうち1つが供給されたとき、その電圧に対応する前記接続指示信号を電圧検出回路が発生する。前記電源端子に前記複数の電圧のうち1つが供給されたとき、前記電圧検出回路からの接続指示信号と前記接続指示信号発生回路からの接続指示信号とが一致するか判定回路が判定する。この判定回路によって前記電圧検出回路からの接続指示信号と前記接続指示信号発生回路からの接続指示信号とが一致すると判定されたとき、前記常開スイッチに前記閉信号を常開スイッチ駆動回路が供給する。前記判定回路によって前記電圧検出回路からの接続指示信号と前記接続指示信号発生回路からの接続指示信号とが不一致と判定されたとき、警報回路が作動する。
【0007】
このように構成された電源装置では、常開スイッチが開放されている状態において、接続指示信号発生回路からの接続指示信号によって指示された接続状態に接続回路が複数のインバータを接続する。電圧検出回路が発生した供給交流電圧に対応する接続指示信号と、接続指示信号発生回路からの接続指示信号とが一致するか判定回路が判定し、両者が一致すると、常開スイッチ駆動回路が常閉スイッチを閉成する。不一致の場合、警報回路が動作する。これによって、接続指示信号発生回路が、この電源装置の使用者によって操作されて、供給交流電圧に対応する接続指示信号に接続指示信号発生回路からの接続指示信号が一致させられ、接続回路が、供給交流電圧に対応した接続状態にインバータを接続する。
【0008】
前記複数の電源端子と前記整流回路との間に手動で開閉可能な入力開閉器を設けることもできる。このように構成すると、入力開閉器を閉じることによって、電圧の判定が行われ、電圧検出回路が発生した供給交流電圧に対応する接続指示信号と、接続指示信号発生回路からの接続指示信号とが不一致と判定され、警報回路が動作する。これに応じて入力開閉器を開き、その状態で接続指示信号発生回路からの接続指示信号を変更することができる。
【0009】
更に、前記接続指示信号発生回路は、手動で操作されるスイッチを有するものにできる。この場合、このスイッチは前記入力開閉器の近傍に配置される。このように構成すると、入力開閉器を閉じたときに、接続指示信号発生回路からの接続指示信号とが不一致であると、直ちに警報回路が作動するので、入力開閉器を開いて、その近傍にあるスイッチを操作することによって、電圧検出回路が発生した供給交流電圧に対応する接続指示信号と、接続指示信号発生回路からの接続指示信号とを、一致させることができる。従って、速やかに上記一致させる処理を行うことができる。
【0010】
複数の電圧は、第1の電圧と、これよりも低い第2の電圧とすることができる。例えば第1の電圧は、第2の電圧の約2倍とすることができる。この場合、複数のインバータは2台のインバータからなる。また、前記接続回路は、前記2台のインバータを前記整流回路の出力端子間に直列に接続する第1の接続状態と、前記2台のインバータを前記整流回路の出力端子間に並列に接続する第2の接続状態とを、有している。接続指示信号発生回路は、第1の接続状態に対応する第1の接続指示信号と、第2の接続状態に対応する第2の接続指示信号とのうち、1つを発生する。前記電圧検出回路は、前記第1の電圧が前記電源端子に供給されているとき、第1の接続指示信号を発生し、前記第2の電圧が前記電源端子に供給されているとき、第2の接続指示信号を発生する。
【0011】
このように構成すると、2種類の値の異なる電圧が供給される場合に、接続指示信号発生回路によって指示された供給電圧と、実際の供給電圧とが不一致の場合でも、実際の供給電圧に応じた状態に2台のインバータを接続することが可能となる。
【0012】
また、前記各インバータは、それらの入力側にそれぞれコンデンサを有するものにできる。この場合、これらコンデンサは、前記常開スイッチが閉成されたときに充電される。また、各インバータは、インバータ駆動回路によって駆動され、このインバータ駆動回路は、前記判定回路によって前記電圧検出回路からの接続指示信号と前記接続指示信号発生回路からの接続指示信号とが一致すると判定されたとき、前記コンデンサの充電が完了後に、前記各インバータを駆動する。
【0013】
このように構成すると、コンデンサの充電が完了後に、各インバータが動作するので、インバータの出力を安定させることができる。なお、各インバータの出力電圧は、それぞれ変圧器によって変圧された後に、直流化回路によって直流化することもできる。また、この直流化された電圧を、更に交流化回路によって交流化することもできる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、接続指示信号発生回路からの接続指示信号と、電圧検出回路からの接続指示信号とが一致するか否か判定回路によって判定するという簡単な構成を採用しているので、低コストで異なる値の複数の電圧のうち選択されたものが供給される電源装置を、実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の1実施形態の電源装置は、例えばアーク溶接機用の電源装置である。この電源装置は、図1に示すように複数、例えば3つの電源端子2a、2b、2cを有している。これら電源端子間には、商用三相交流電圧が供給される。各電源端子2a、2b間、2b、2c間、2a、2c間にそれぞれ供給された交流電圧は、複数の値の異なる電圧、例えば実効値が400Vの第1の電圧と実効値が200Vの第2の電圧とのうち選択されたものである。この実施の形態では、第1の電圧と第2の電圧とは、その値が倍数関係にある。
【0016】
電源端子2a、2b、2cは、入力開閉器4a、4b、4cを介して入力側整流回路6の入力側に接続されている。入力開閉器4a、4b、4cは、手動によって開閉が行われる。入力側整流回路6は、複数、例えば6つのダイオードをフルブリッジ接続したもので、入力開閉器4a、4b、4cを介して電源端子2a、2b、2cから供給された商用三相交流電圧を整流し、その交流電圧に対応した整流電圧を出力端子6P、6N間に生じる。
【0017】
出力端子6P、6Nは、常開スイッチ、例えばサイリスタ8を介して接続回路10の両端10a、10bに接続されている。例えば出力端子6Pは、サイリスタ8を介して接続回路10の一端10aに接続されている。なお、出力端子6Nをサイリスタ8を介して接続回路10の他端10bに接続することも可能である。
【0018】
接続回路10は、複数、例えば4つのスイッチング素子、例えばリレー接点12a、12b、12c、12dを有している。これらリレー接点12a、12b、12c、12dは、その名の順に一端10a側から他端10b側に直列に接続されている。両端10a、10b側にあるリレー接点12a、12dは、リレー駆動回路14aによって開閉駆動され、中間にあるリレー接点12b、12cは、リレー駆動回路14bによって開閉駆動される。
【0019】
この接続回路10には、複数、例えば2台のインバータ16a、16bの入力側が接続されている。例えばインバータ16aの一方の入力側は接続回路10の一端10aに接続され、他方の入力側はリレー接点12c、12dの相互接続点に接続されている。また、インバータ16bの一方の入力側は、リレー接点12a、12bの相互接続点に接続され、他方の入力側は接続回路10の他端10bに接続されている。
【0020】
従って、例えばリレー接点12a、12dを閉じて、リレー接点12b、12cを開くと、インバータ16a、16bの入力側が互いに並列に接続され、サイリスタ8を介して整流回路6の出力端子6P、6N間に接続される。同様に、リレー接点12a、12bを開いて、リレー接点12b、12cを閉じると、インバータ16a、16bが直列に接続されて、サイリスタ8を介して整流回路6の出力端子6P、6N間に接続される。従って、200V及び400Vの電圧のいずれが電源端子2a、2b、2cに供給されていても、インバータ16a、16bに供給される電圧は、予め定めた電圧である。なお、インバータ16aの入力端間にはコンデンサ18aが、インバータ16bの入力端間にはコンデンサ18bが接続されている。
【0021】
インバータ16a、16bは、複数の半導体スイッチング素子、例えばバイポーラトランジスタ、FETまたはIGBTを有するフルブリッジ型またはハーフブリッジ型の公知のもので、それらの出力側に高周波電圧を発生する。これら高周波電圧は、インバータ16a、16bの出力側に設けられた変圧器20a、20bによって所定の電圧に変圧される。変圧された高周波電圧は、出力側整流器22に供給され、直流化された後、出力端子24P、24Nを介して図示していない直流負荷に供給される。なお、交流負荷を使用する場合には、出力側整流器22の出力を図示していない直流−交流変換器によって交流変換して、出力端子24P、24Nから交流負荷に供給する。
【0022】
サイリスタ8、リレー駆動回路14a、14b及びインバータ16a、16bの制御は、制御回路26によって行われる。制御回路26は、例えばマイクロコンピュータによって構成することが可能である。図1では、マイクロコンピュータが実行する機能をブロックで示してある。
【0023】
制御回路26は、サイリスタ8を閉成させる閉信号、例えばトリガ信号を発生するサイリスタ制御部26aを有している。
【0024】
制御回路26は、リレー駆動回路14a、14bを制御する駆動回路制御部26bも有している。駆動回路制御部26bは、上述したようにリレー接点12a、12dが閉じているとき、リレー接点12b、12cが開いているようにリレー駆動回路14a、14bを制御し、リレー接点12a、12dが開いているとき、リレー接点12b、12cが閉じているようにリレー駆動回路14a、14bを制御する。
【0025】
制御回路26は、インバータ16a、16bを制御するインバータ制御部26cも有している。インバータ制御部26cは、インバータ16a、16bの半導体スイッチング素子にスイッチング信号を供給する。このスイッチング信号に応動して、インバータ16a、16bの半導体スイッチング素子がオン、オフを繰り返し、高周波電圧をインバータ16a、16bが発生する。
【0026】
これらサイリスタ制御部26a、駆動回路制御部26b、インバータ制御部26cの動作を制御するために判定回路、例えば判定部26dも、制御回路26は有している。この判定部26dは、警報回路40も制御する。警報回路40は、聴覚的に警報を発生するものでも、視覚的に警報を発生するものでも、或いは聴覚的及び視覚的両方で警報を発するものでもよい。
【0027】
電源端子2a、2b間の電圧が整流回路28によって整流され、DC/DC変換器30によって所定電圧に変換されている。この所定の電圧が制御回路26に供給されることによって、制御回路26が動作を開始する。なお、電源端子2b、2c間の電圧または電源端子2a、2c間の単相交流電圧を整流回路28が整流することも可能であるし、整流回路6のように電源端子2a、2b、2cに供給された三相交流電圧を整流するように整流回路28を構成することもできる。
【0028】
整流回路28からの所定電圧は、接続指示信号発生回路32の切換スイッチ34の一方の接点34aにそのまま供給されている。この所定電圧を接続信号接続指示信号発生回路32の降圧用抵抗器36a、36bによって降圧させた電圧が、切換スイッチ34の他方の接点34bに供給されている。切換スイッチ34の接触子34cは手動操作によって接点34a及び34bの一方に接続可能である。接触子34cは、判定部26dに接続されている。
【0029】
接触子34cが接点34aに接続されているとき、判定部26dと駆動回路制御部26bとには第1の状態の接続指示信号、例えば高状態の電圧が供給される。接触子34cが接点34bに接続されているとき、第2の状態の接続指示信号、例えば低状態の電圧が判定部26dと駆動回路制御部26bとに供給される。
【0030】
駆動回路制御部26bは、切換スイッチ34からの接続指示信号、例えば高状態の電圧が供給されたとき、リレースイッチ12a、12dが開いて、リレー接点12b、12cが閉じるように、即ちインバータ16a、16bが直列に接続されるように、リレー駆動回路14a、14bを制御する。また、駆動回路制御部26bは、低状態の電圧が供給されたとき、リレースイッチ12a、12dが閉じて、リレー接点12b、12cが開くように、即ち、インバータ16a、16bが並列に接続されるように、リレー駆動回路14a、14bを制御する。
【0031】
切換スイッチ34は、図3に示すように、この電源装置の筐体40に、例えば筐体40の背面で入力開閉器4a、4b、4cの近傍に配置されている。
【0032】
入力端子2a、2b間の電圧は電圧検出回路38にも供給されており、電圧検出回路38は、入力端子2a、2b間の電圧が400Vであるとき、接続指示信号として高状態の電圧を判定部26dに供給し、入力端子2a、2b間の電圧が200Vであるとき、接続指示信号として低状態の電圧を判定部26dに供給するように構成されている。なお、電圧検出回路38は、DC/DC変換器30から電圧が供給されているとき、動作する。
【0033】
判定部26dは、電圧検出回路38からの接続指示信号と、接続指示信号発生回路32の接続指示信号とが、一致するか否か判定する。両者が一致している場合、即ち両方ともが高状態の電圧または低状態の電圧の場合、駆動回路制御部26bに現在のリレー駆動回路14a、14bの制御を継続するように継続信号を供給し、その後にサイリスタ制御部26aにサイリスタ8にトリガ信号を供給するようにトリガ信号発生指示信号を供給し、所定の時間の経過後にインバータ制御部26cにインバータ16a、16bの作動開始指示信号を供給する。
【0034】
判定部26dは、電圧検出回路38からの接続指示信号と、接続指示信号発生回路32の接続指示信号とが不一致の場合、即ち、電圧検出回路38及び接続指示信号発生回路32の一方の接続指示信号が高状態の電圧であって、他方の接続指示信号が低状態の電圧のとき、警報回路42を動作させる。しかし、サイリスタ制御部26a、駆動回路制御部26b、インバータ制御部26cは、動作させない。
【0035】
図2は、この電源装置における制御回路26の動作を示すフローチャートで、入力端子2a、2b、2cに交流電圧が供給されており、入力開閉器4a、4b、4cが閉じられたとき、整流回路28、DC/DC変換器30から直流電圧が制御回路26に供給され、制御回路26が図2に示すように動作する。なお、このとき、サイリスタ8は開放状態であり、各リレー接点12a乃至12dは開放状態であり、インバータ16a、16bは動作していない。
【0036】
まず切換スイッチ34の設定を判定する(ステップS2)。即ち、接続指示信号発生回路32の切換スイッチ34によって高状態または低状態の接続指示信号のいずれが供給されているか判定する。高状態の接続指示信号であると、この電源装置の使用者は、電源端子2a、2b、2cに400Vの電圧が供給されると想定しているので、それに対応してリレー駆動回路14aをオンさせて(ステップS4)、リレー接点12a、12dを閉じる。これによって直列に接続されたインバータ16a、16bが、サイリスタ8を介して整流回路6の出力端子6P、6N間に接続される。
【0037】
次に、電圧検出回路38からの接続指示信号と、切換スイッチ34からの接続指示信号とが一致しているか判定する(ステップS6)。即ち、実際に電源端子2a、2b、2cに供給されている電圧が、ステップS2で判定された通りに400Vであるか判定する。この判定の答えがノーであると、即ち電源端子2a、2b、2cの電圧が実際には400Vでないと、警報回路42を動作させ(ステップS8)、ステップS2を再び実行する。
【0038】
一方、ステップS6の判断の答えがイエスの場合、即ち、実際に電源端子2a、2b、2cに供給されている電圧が、ステップS2で判定された通りに400Vであると、リレー駆動回路14aのオンを継続する(ステップS10)。次に、サイリスタ8にトリガ信号を供給して、オンさせる(ステップS12)。これによってコンデンサ18a、18bの予備充電が開始される。その後に、インバータ16a、16bにスイッチング信号を供給して、インバータ16a、16bから高周波電圧を発生させる(ステップS14)。
【0039】
ステップS2において、低状態の接続信号が切換スイッチ34から供給されていると判定されると、この電源装置の使用者は、電源端子2a、2b、2cに200Vの電圧が供給されると想定しているので、リレー駆動回路14bをオンさせて(ステップS16)、リレー接点12b、12cを閉じる。これによって並列に接続されたインバータ16a、16bが、サイリスタ8を介して整流回路6の出力端子6P、6N間に接続される。次に、電圧検出回路38からの接続指示信号と、切換スイッチ34からの接続指示信号とが一致しているか判定する(ステップS18)。即ち、実際に電源端子2a、2b、2cに供給されている電圧が、ステップS2で判定された通りに200Vであるか判定する。この判定の答えがノーであると、即ち電源端子2a、2b、2cの電圧が実際には200Vでないと、ステップS8を実行して、警報回路42を動作させ、ステップS2を再び実行する。
【0040】
ステップS18の判断の答えがイエスの場合には、リレー駆動回路14bのオンを継続する(ステップS20)。次に、ステップS12、S14を実行して、サイリスタ8をオンさせ、その後に、インバータ16a、16bを動作させる(ステップS14)。
【0041】
従って、切換スイッチ34によって設定された接続指示信号と、電圧検出回路38からの接続指示信号とが一致していないと、警報回路40が動作する。例えば切換スイッチ34では高状態の接続指示信号が出力されているのに、即ち400Vの電圧が供給されると設定されているのに、電圧検出回路38から低状態の接続指示信号が出力されている場合、即ち、実際には200Vの電圧が供給されているとすると、警報回路42の作動によって、使用者は切換スイッチ34を切換える。警報回路42の作動は、入力開閉器4a、4b、4cを閉じた直後に開始される。従って、入力開閉器4a、4b、4cの近傍に切換スイッチ34を設けているので、警報回路42の作動の直後に速やかに正しい状態に切換スイッチ34を切換えることができる。
【0042】
この切換によって、接続回路10では、リレー接点12a、12dが開かれ、リレー接点12b、12cが閉じられる。この接続回路10の切換の際、サイリスタ8が開放状態を維持しているので、接続回路10には電圧が印加されてなく、切換によって各リレー接点12a乃至12d、インバータ16a、16bに損傷は生じない。この切換後に、自動的にサイリスタ8がオンとなり、インバータ16a、16bが動作する。なお、警報回路42が動作したときに、入力開閉器4a、4b、4cを開き、その後に切換スイッチ34の設定をやり直し、再び入力開閉器4a、4b、4cを閉じることもできる。
【0043】
切換スイッチ34が低状態の接続指示信号を出力しているのに、即ち、200Vの電圧が供給されると設定されているのに、電源端子2a、2b、2cに供給される電圧が400Vの場合にも、上述したのと同様に動作する。
【0044】
上記の実施の形態では、制御回路26にはマイクロコンピュータを使用して、サイリスタ制御部26a、駆動回路制御部26b、インバータ制御部26c、判定部26dの機能を実現したが、これに限ったものではなく、サイリスタ制御部26a、駆動回路制御部26b、インバータ制御部26c、判定部26dを論理回路を用いて構成することもできる。また、上記の実施の形態では、この電源装置はアーク溶接機用のものとしたが、これに限ったものではなく、例えばアーク切断機やプラズマ切断機または光源用の電源装置として使用することができる。また、上記の実施の形態では、400Vと200Vの電圧を使用したが、これに限ったものではなく、例えば200Vと100Vの電圧を使用することもできる。また、2種類の電圧に限ったものではなく、3種類以上の電圧のうちいずれかの電圧が使用される電源装置に使用することもできる。例えば100V、200V、400Vの電圧のうちいずれかが供給される場合、4台のインバータを設け、100Vの電圧が供給される場合には、4台のインバータを全て並列に接続し、200Vの電圧が供給される場合には、2台のインバータを直列に接続した2つの直列回路を並列に接続し、400Vの電圧が供給される場合、4台のインバータを直列に接続するように、接続回路10を構成すればよい。上記の実施の形態では、接続回路10は、リレー接点を用いて構成したが、これに限ったものではなく、例えば半導体スイッチング素子、例えばバイポーラトランジスタ、FETまたはIGBTを使用することもできる。また、上記の実施の態様では、3つの電源端子2a、2b、2cを設けて、三相商用交流電圧が電源端子2a、2b、2cに供給されるように構成したが、2つの電源端子を設け、これらに単相商用交流電圧が供給されるように構成することもできる。上記の実施の形態では、サイリスタ8を用いたが、これに代えてリレーを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の1実施形態の電源装置のブロック図である。
【図2】図1の電源装置の動作フローチャートである。
【図3】図1の電源装置の概略背面図である。
【符号の説明】
【0046】
2a、2b、2c 電源端子
4a、4b、4c 入力開閉器
6 入力側整流回路
8 サイリスタ(常開スイッチ)
10 接続回路
16a 16b インバータ
26 制御回路
26d 判定部(判定回路)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる複数の電圧のうち1つが供給される複数の電源端子と、
これら電源端子から供給された電圧を整流して、前記供給電圧に応じた整流電圧を2つの出力端子間に生じる整流回路と、
複数のインバータと、
これら複数のインバータを前記整流回路の出力端子間に、複数の接続状態のうち接続指示信号によって選択されたものに接続し、前記複数の接続状態は、前記複数の電圧に対応して設けられ、対応する電圧が前記電源端子に供給されているとき、前記各インバータに予め定めた電圧が供給されるものである接続回路と、
前記接続指示信号のうち1つを手動操作に応じて出力する接続指示信号発生回路と、
前記整流回路の2つの出力端子と前記複数のインバータとの間の経路中に介在し、閉信号が供給されたとき、閉成される常開スイッチと、
前記電源端子に前記複数の電圧のうち1つが供給されたとき、その電圧に対応する前記接続指示信号を発生する電圧検出回路と、
前記電源端子に前記複数の電圧のうち1つが供給されたとき、前記電圧検出回路からの接続指示信号と前記接続指示信号発生回路からの接続指示信号とが一致するか判定する判定回路と、
この判定回路によって前記電圧検出回路からの接続指示信号と前記接続指示信号発生回路からの接続指示信号とが一致すると判定されたとき、前記常開スイッチに前記閉信号を供給する常開スイッチ駆動回路と、
前記判定回路によって前記電圧検出回路からの接続指示信号と前記接続指示信号発生回路からの接続指示信号とが不一致と判定されたとき、作動する警報回路とを、
具備する電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源装置において、前記複数の電源端子と前記整流回路との間に設けられ、手動で開閉可能な入力開閉器を有する電源装置。
【請求項3】
請求項2記載の電源装置において、前記接続指示信号発生回路は、手動で操作されるスイッチを有し、このスイッチが前記入力開閉器の近傍に配置されている電源装置。
【請求項4】
請求項1記載の電源装置において、
前記複数の電圧は、第1の電圧と、これよりも低い第2の電圧であり、
前記複数のインバータは2台のインバータからなり、
前記接続回路は、前記2台のインバータを前記整流回路の出力端子間に直列に接続する第1の接続状態と、前記2台のインバータを前記整流回路の出力端子間に並列に接続する第2の接続状態とを、有し、
前記接続指示信号発生回路は、第1の接続状態に対応する第1の接続指示信号と、第2の接続状態に対応する第2の接続指示信号とのうち、1つを発生し、
前記電圧検出回路は、前記第1の電圧が前記電源端子に供給されているとき、第1の接続指示信号を発生し、前記第2の電圧が前記電源端子に供給されているとき、第2の接続指示信号を発生する
電源装置。
【請求項5】
請求項1記載の電源装置において、前記各インバータは、それらの入力側にそれぞれコンデンサを有し、これらコンデンサは、前記常開スイッチが閉成されたとき、充電され、
前記各インバータは、インバータ駆動回路によって駆動され、このインバータ駆動回路は、前記判定回路によって前記電圧検出回路からの接続指示信号と前記接続指示信号発生回路からの接続指示信号とが一致すると判定されたとき、前記コンデンサの充電が完了後に、前記各インバータを駆動する
電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−195273(P2007−195273A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8669(P2006−8669)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000144393)株式会社三社電機製作所 (95)
【Fターム(参考)】