説明

電源装置

【課題】電子機器への接続状態を常に検知しつつ、省電力化を図ることができる電源装置を提供する。
【解決手段】ケーブル2により電子機器と接続され、商用電源を電子機器に適する電源に変換して供給する電源装置は、以下のユニットを備える。即ち、ケーブル2が電子機器に接続されたことを判別する判別手段(プラグ判別端子302、動作モード制御部108)を備える。また、判別手段により、ケーブル2が電子機器に接続されたと判別された場合に、電子機器へ電源供給し、ケーブル2が電子機器に接続されていないと判別された場合に、電子機器への電源供給を停止する電源供給手段(動作切換部107)を備える。また、電源供給手段が停止している状態で判別手段に電源を供給する二次電池113を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器を動作させるために商用電源より電源の変換を行い、供給を行う電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来例に係る電源装置がカメラに接続された例を示す構成図である。
【0003】
電源装置1はカメラ4に接続されている。
【0004】
電源装置1は、入力した商用電源(AC)を整流する整流平滑回路101、電圧変換のためのパルス電流を作り出すスイッチング部102、トランス103、目的とする電圧に整流化する高周波整流平滑回路104を備える。
【0005】
電源装置1は、パルス電流化する信号を作り出すパルス振幅調整IC105、電圧制御信号を発生する定電圧制御部106、フォトダイオード109、119を備える。
【0006】
電源装置1は、フォトダイオード109、119の信号を受けるフォトトランジスタ111、120、パルス電流の周波数を変換させるための周波数切換部117、周波数切換信号を発生させる動作モード制御部118を備える。
【0007】
電源を伝達するためのケーブル2の端部には、カメラ4に電源を供給するためのプラグ3がある。プラグ3は、+極となるプラグ+端子301、プラグ3の接続状態を判別するプラグ判別端子302、プラグ3のグランドとなるプラググランド端子303を備える。
【0008】
電源装置1が接続されるカメラ4には、プラグ3が接続されるジャック5が設けられている。ジャック5は、ジャック+接点501、ジャック判別接点502、ジャックグランド接点503を備える。
【0009】
電源装置1に入力された商用電源(AC)は、整流平滑回路101で整流された後、スイッチング部102でパルス電流に変換され、トランス103を介して高周波整流平滑回路104に供給される。
【0010】
高周波整流平滑回路104は、パルス電流をカメラ4に適するDC電源に平滑化し、プラグ+端子301に出力する。
【0011】
定電圧制御部106は、高周波整流平滑回路104から出力される電圧を監視し電圧に応じた信号をフォトダイオード109からフォトトランジスタ111に送ることで、パルス振幅調整IC105に電圧情報を伝える。
【0012】
パルス振幅調整IC105は、定電圧制御部106から伝えられた電圧情報を基に、パルス幅を変化させるようにスイッチング部102に信号を送り、所定の電圧に安定化させる。この動作は一般的なスイッチング電源の動作である。
【0013】
プラグ3がカメラ4のジャック5に接続されると、プラグ+端子301とジャック+接点501、プラググランド端子303とジャックグランド接点503が結合し、電源装置1からカメラ4に電源が供給される。
【0014】
同時に、プラグ判別端子302とジャック判別接点502が結合し、ジャック判別接点502がカメラ4内部でプラググランド端子303と結合されていることにより、プラグ判別端子302がグランドに落とされる。
【0015】
動作モード制御部118は、プラグ判別端子302と接続されており、プラグ判別端子302がグランドに落ちたことを検知することで、プラグ3がカメラ4のジャック5に接続されたことを認知する。動作モード制御部118は、プラグ3の接続状態を信号としてフォトダイオード119からフォトトランジスタ120に送ることで、周波数切換部117に状態を伝達する。
【0016】
周波数切換部117は、プラグ3が接続された場合には、規程の周波数でパルス電流を発生するようにパルス振幅調整IC105に伝達し、プラグ3が接続されない場合には、低い周波数でパルス電流を発生するようにパルス振幅調整IC105に伝える。
【0017】
スイッチング電源は、パルス電流周波数が高い場合には、大きな電力を供給することができるが、それに応じた大きな動作電力を必要とする。パルス電流周波数が低い場合には、電力の供給量が少なくなるが動作電力を削減できる。
【0018】
プラグ3の接続に応じパルス電流の周波数を変化させることで、プラグ3が接続されていない、所謂待機状態での電源装置1の消費電力を少なくすることが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−247847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上記従来例では、電源装置の電源回路が正常動作している場合には、電源装置と電子機器の接続状態を検知する回路を動作させるための電力変換が十分行われている。このため、電源装置と電源回路の接続が外されたことを検知するのに問題は無い。
【0020】
電源装置と電子機器の接続が外された場合には、これを検知して待機状態へ移行させる。そして、待機状態では、消費電力を少なくする動作状態へ移行させる。しかし、再度接続が行われたことを検知し、正常動作状態に復帰させるためには、検知回路への電源供給を止めることはできない。そのため、待機状態においても、大きな消費電力削減は望めない。
【0021】
昨今、省エネルギーの観点より動作を行わない待機状態での電力消費について注目されてきており、待機状態での省電力化が重要となってきている。
【0022】
本発明の目的は、電子機器への接続状態を常に検知しつつ、省電力化を図ることができる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、本発明の電源装置は、電子機器が接続され、前記電子機器に電力を供給する電源装置において、前記電子機器が接続されたことを判別する判別手段と、前記判別手段により、前記電子機器が接続されたと判別された場合に、前記電子機器へ電力を供給し、前記電子機器が接続されていないと判別された場合に、前記電子機器への電力供給を停止する電力供給手段と、前記電力供給手段が前記電子機器への電力供給を停止している状態で前記判別手段に電力を供給する二次電池と、を備えることを特徴とする。
【0024】
本発明の電源装置は、電子機器が接続され、前記電子機器に電力を供給する電源装置において、前記電子機器から電力供給の指示が入力される入力手段と、前記入力手段に電力供給の指示が入力される場合に、前記電子機器へ電力を供給し、前記入力手段に電力供給の指示が入力されない場合に、前記電子機器への電力供給を停止する電力供給手段と、前記電力供給手段が前記電子機器への電力供給を停止している状態で前記判別手段に電力を供給する二次電池と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の電源装置によれば、電子機器への接続状態を常に検知しつつ、省電力化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電源装置がカメラに接続された例を示す構成図である。
【0028】
電源装置1はカメラ4に接続されている。
【0029】
電源装置1は、入力した商用電源(AC)を整流する整流平滑回路101、電圧変換のためのパルス電流を作り出すスイッチング部102、トランス103、目標とする電圧に整流化する高周波整流平滑回路104を備える。
【0030】
また、電源装置1は、パルス電流化する信号を作り出すパルス振幅調整IC105、電圧制御信号を発生する定電圧制御部106、動作の開始と停止を切り換えるための動作切換部107、切換信号を発生させる動作モード制御部108を備える。
【0031】
また、フォトダイオード109、110、フォトダイオード109、110の信号を受けるフォトトランジスタ111、112、動作モードを制御するための電源である二次電池113を備える。
【0032】
また、電源装置1は、二次電池113を充電するための充電回路114、充電回路114の充電状態と出力状態を切り換えるモードスイッチ115、二次電池113から流れる電流を調整する抵抗116を備える。
【0033】
電源を伝達するためのケーブル2の端部には、カメラ4に電源を供給するためのプラグ3がある。プラグ3は、+極となるプラグ+端子301、プラグ3の接続状態を判別するプラグ判別端子302、プラグ3のグランドとなるプラググランド端子303を備える。
【0034】
電源装置1を接続する電子機器であるカメラ4には、プラグ3が接続されるジャック5が設けられている。ジャック5は、ジャック+接点501、プラグ判別端子302と接続されるジャック判別接点502、ジャックグランド接点503を備える。
【0035】
電源装置1に入力された商用電源(AC)は、整流平滑回路101で整流された後、スイッチング部102でパルス電流に変換され、トランス103を介して高周波整流平滑回路104に供給される。
【0036】
高周波整流平滑回路104は、パルス電流をカメラ4に適するDC電源に平滑化し、プラグ+端子301に出力する。
【0037】
定電圧制御部106は、高周波整流平滑回路104から出力される電圧を監視し電圧に応じた信号をフォトダイオード109からフォトトランジスタ111に送ることで、パルス振幅調整IC105に電圧情報を伝える。
【0038】
パルス振幅調整IC105は、定電圧制御部106から伝えられた電圧情報を基に、パルス幅を変化させるようにスイッチング部102に信号を送り、所定の電圧に安定化させる。この動作は一般的なスイッチング電源の動作である。
【0039】
プラグ3がカメラ4のジャック5に接続されると、プラグ+端子301とジャック+接点501、プラググランド端子303とジャックグランド接点503が結合し、電源装置1からカメラ4に電源が供給される。
【0040】
また、プラグ判別端子302には、二次電池113の電圧が抵抗116を介して供給される。プラグ3が接続されていない場合には、プラグ判別端子302に電圧が出ている。プラグ3がジャック5に接続された場合には、プラグ判別端子302とジャック判別接点502が結合する。
【0041】
ジャック判別接点502がカメラ4内部でプラググランド端子303と結合されていることより、プラグ判別端子302はグランドと接続されることとなり電圧が無くなる。動作モード制御部108は、プラグ判別端子302と接続されているため、プラグ判別端子302の電圧を検知することができ、電圧の状態によりプラグ3が接続されているかどうかを認知する。
【0042】
また、動作モード制御部108は、二次電池113より動作電力の供給を受けて動作する。プラグ3が外されたときには(即ち、プラグ判別端子302の電圧が出ているとき)、フォトダイオード110からフォトトランジスタ112に信号を送る。
【0043】
動作切換部107は、フォトトランジスタ112から信号を受信すると、パルス振幅調整IC105に対し、動作を中止させる信号を送る。パルス振幅調整IC105は、信号が送られている間、スイッチング部102にパルス電流発生信号の送信を行わず、スイッチング部102は動作が中止される(即ち、電力の供給が行われない)。
【0044】
プラグ3が接続されたときには(即ち、プラグ判別端子302の電圧が無くなるとき)、フォトダイオード110からの信号の送信が止められる。動作切換部107は、フォトトランジスタ112からの受信信号が無くなったことを検知すると、パルス振幅調整IC105に対して動作信号を送る。
【0045】
パルス振幅調整IC105は、信号が送られている間、スイッチング部102にパルス電流発生信号の送信を行い、スイッチング部102を動作させる(電力の供給が行われる)。
【0046】
上記の動作を行うことで、プラグ3がジャック5に接続された場合には、回路が動作し、電源装置1からカメラ4に電源の供給を行い、接続されていない場合には、回路が動作を中止し、電力の無駄な消費を防止する。
【0047】
二次電池113の充電は、充電回路114にて行われる。充電回路114は、高周波整流回路104からの出力を電源としており、二次電池113の電圧が低くなってきたことを検知し、充電を開始する。充電中は、モードスイッチ115がB側に移動し、二次電池113からの出力を停止する。モードスイッチ115は、充電完了後にA側に戻り、二次電池113からの出力を行う。
【0048】
プラグ3が未接続の状態が長期に及ぶと、二次電池113の電力が消耗し、出力を行うことができなくなることがある。この場合には、プラグ判別端子302の電圧も無くなるため、動作モード制御部108は、電圧が無いことを検知し、フォトダイオード110からの信号送信を中止する。
【0049】
プラグ3が接続されていない場合には、上記と同じ状態になるため、動作切換部107は、パルス振幅調整IC105に対して動作信号を送り、スイッチング部102は、パルス電流発生を開始する(電力の供給が行われる)。
【0050】
電源装置1が動作を開始し、高周波整流回路104から出力が行われる。充電回路114は、二次電池113の充電を開始し、充電中はモードスイッチ115がB側に移り、二次電池113からの出力が行われないため、回路の動作状態が継続される。
【0051】
充電終了後、モードスイッチ115がA側に移動し、出力を開始することで本来の動作を再開する(充電開始前はプラグ3が接続されていない状態であったため、回路の動作が停止する)。
【0052】
ここで、プラグ判別端子302及び動作モード制御部108は、ケーブル2が電子機器(カメラ)4に接続されたことを判別する判別手段として機能する。
【0053】
また、電源装置1の上記各ユニット、特に、パルス振幅調整IC105及び動作切換部107は、電力供給手段として機能する。電力供給手段は、判別手段により、ケーブル2が電子機器に接続されたと判別された場合に、電子機器へ電源供給し、ケーブル2が電子機器に接続されていないと判別された場合に、電子機器への電源供給を停止する。
【0054】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る電源装置がカメラに接続された例を示す構成図である。
【0055】
図1に示す第1の実施の形態との違いは、カメラ4内部に、ジャック判別接点502とジャックグランド接点503の接続を切り換えるパワースイッチ401を追加した点である。
【0056】
動作は、基本的に第1の実施の形態と同じであるが、プラグ3がジャック5に差し込まれただけでは、電源装置1は動作を開始しない。即ち、プラグ判別端子302がグランドに落ちていないので、動作モード制御部108は、フォトダイオード110へ信号を送り動作を中止させる。
【0057】
パワースイッチ401がオンになることで、ジャック判別接点502とジャックグランド接点503が結合され、プラグ判別端子302がグランドに落ちる。動作モード制御部108はそれを検知し、フォトダイオード110へ信号を出力し動作を開始させる。
【0058】
ここで、プラグ判別端子302は、カメラ4のパワースイッチ401による電源供給の指示を入力する入力手段として機能する。
【0059】
本発明によれば、電子機器への接続検知用電源として、電源装置1内部の二次電池113を使うことで、電源装置1の出力が完全に停止しても接続状態の検知を行うことが可能となる。これにより、待機時(電子機器未接続時)に出力を完全に止める機構とすることが可能となり、大きな電力削減を図ることができる。
【0060】
また、電子機器への接続検知ではなく、電子機器内の電源スイッチの状態を検知するようにすることで、電子機器への接続を行った状態でも電子機器の作動状態を検知することができるようになり、よりきめこまやかに待機状態へ移行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電源装置がカメラに接続された例を示す構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る電源装置がカメラに接続された例を示す構成図である。
【図3】従来例に係る電源装置がカメラに接続された例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0062】
1 電源装置
2 ケーブル
3 プラグ
4 カメラ
5 ジャック
101 整流平滑回路
102 スイッチング部
103 トランス
104 高周波整流平滑回路
105 パルス振幅調整IC
106 定電圧制御部
107 動作切換部
108 動作モード制御部
109 フォトダイオード
110 フォトダイオード
111 フォトトランジスタ
112 フォトトランジスタ
113 二次電池
114 充電回路
115 モードスイッチ
116 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器が接続され、前記電子機器に電力を供給する電源装置において、
前記電子機器が接続されたことを判別する判別手段と、
前記判別手段により、前記電子機器が接続されたと判別された場合に、前記電子機器へ電力を供給し、前記電子機器が接続されていないと判別された場合に、前記電子機器への電力供給を停止する電力供給手段と、
前記電力供給手段が前記電子機器への電力供給を停止している状態で前記判別手段に電力を供給する二次電池と、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
電子機器が接続され、前記電子機器に電力を供給する電源装置において、
前記電子機器から電力供給の指示が入力される入力手段と、
前記入力手段に電力供給の指示が入力される場合に、前記電子機器へ電力を供給し、前記入力手段に電力供給の指示が入力されない場合に、前記電子機器への電力供給を停止する電力供給手段と、
前記電力供給手段が前記電子機器への電力供給を停止している状態で前記判別手段に電力を供給する二次電池と、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
前記二次電池を充電する充電回路を備えることを特徴とする請求項1または2記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−278695(P2009−278695A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124611(P2008−124611)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】