電源装置
【課題】電源装置の使用時における、温度上昇による性能低下および熱暴走を抑制し、かつ寒冷時の電源装置の始動時におけるヒータの熱効率低下を回避すること。
【解決手段】2以上の独立した収容穴を有する成形体と、シート状の正極と、シート状の負極と、前記正極と前記負極とにはさまれたシート状のセパレータとを巻くことで構成され、かつそれぞれの前記収容穴内に収容された、電極群と、それぞれの前記収容穴内に収容された、電解液と、を有する電源装置であって、前記電極群および前記電解液は、前記成形体に接触する、電源装置。また、前記成形体の内部空間にヒータを有する前記電源装置。
【解決手段】2以上の独立した収容穴を有する成形体と、シート状の正極と、シート状の負極と、前記正極と前記負極とにはさまれたシート状のセパレータとを巻くことで構成され、かつそれぞれの前記収容穴内に収容された、電極群と、それぞれの前記収容穴内に収容された、電解液と、を有する電源装置であって、前記電極群および前記電解液は、前記成形体に接触する、電源装置。また、前記成形体の内部空間にヒータを有する前記電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車などの走行用モーターを駆動するためには、大電流が要求される。例えば、ハイブリッド自動車では、スタート時や加速時などに走行用のモーターを駆動するときに求められる電流は、100A以上と極めて大きい。このような、大電流を供給するための電源装置として、エネルギ密度が高い二次電池を含む電源装置が知られている。
【0003】
このような電源装置として、ニッケル−水素電池や、ニッケル−カドミウム電池、リチウムイオン電池などの単電池を複数接続した電源装置が知られている(例えば特許文献1および2参照)。
【0004】
特許文献1および2の電源装置は、接続された複数の単電池と、単電池を固定するためのホルダとを有する。ホルダの材料は例えばプラスチックである。このように、接続された複数の単電池を有する電源装置は、仮に1つの単電池に問題が生じたとしても、他の単電池が機能する限り、電流を供給することができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1および2で開示された電源装置では、ホルダの材料がプラスチックなどの熱伝導性が低い材料であるので、電源装置の使用中に発生する単電池の熱が、ホルダに伝達されにくかった。このため、電源装置の使用中、熱が単電池に留まり、単電池の温度が高くなるという問題があった。
【0006】
単電池の温度が高くなると単電池の性能が低下し、電源装置全体の性能が低下する。また、単電池がリチウムイオン電池である場合、温度が高くなると熱暴走の危険もある。
【0007】
この問題を解決するために、接続された複数の単電池を熱伝導性の高いアルミなどの金属からなる成形体で囲む技術が知られている(例えば特許文献3参照)。
【0008】
図1は、特許文献3に開示された電源装置1の斜視図である。図1に示されるように電源装置1は、複数の単電池収容穴2を有する成形体3と、単電池収容穴2に収容された単電池4と、を有する。また、成形体3は、成形体3を冷やすための冷媒が流れる冷媒流路5を有する。成形体3は、アルミなどの熱伝導性が高い材料からなる。
【0009】
このように、単電池4を熱伝導性が高い成形体3で囲うことで、電源装置1の使用中に生じる単電池4の熱は、成形体3に伝達され、各単電池4から熱が奪われる。このため、単電池4が冷却され、単電池4の温度が上昇することが防止される。また、成形体3に伝達した熱は、冷媒流路5を流れる冷媒に伝達され外部に放出される。
【0010】
一方、上記電源装置を搭載した電気自動車を寒冷地で始動させようとする場合、低温特性の悪い2次電池では充分な電力を得られないという問題がある。このような場合、電源装置にヒータを設置し、電池が充分な放電ができる温度まで昇温する方法が知られている(例えば特許文献4参照)。
【0011】
図2は特許文献4に示された電源車両のバッテリ取付装置10の縦断面図である。図2に示されるように、断熱材で形成した収容ケース11の底部の内側に面状ヒータ12を設け、この面状ヒータ12に接触するようにして2つの電池13を容器内に収容したヒータ付き電源装置の構造が開示されている。
【0012】
しかしながら、特許文献4に開示されたヒータ付電源装置では、面状ヒータ12と直接接している電池部位と面状ヒータ12から遠く離れた部位や電池内部の中心付近の部位とでは、加熱ムラを生じて電池温度のばらつきが大きくなるという問題があった。
【0013】
この問題を解決するために、電池とヒータの間に空隙を設け、空隙内の空気を加熱し、加熱された空気により間接的に電池を温める方法が知られている(例えば特許文献5参照)。
【0014】
図3は特許文献5に示されたヒータ付組電池構造体20であって、収容ケース21の外部に面状の第1ヒータ22、面状の第2ヒータ23を設置し、面状の第1ヒータ22、面状の第2ヒータ23と2次電池24の間に空隙Sが存在する。交流電源用プラグ25を家庭用交流電源のコンセントに差し込むことにより、電力が供給されヒータが温められると、空隙S内の空気が温められ、その空気が2次電池24に接触することにより2次電池24が昇温する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006−107774号公報
【特許文献2】特開2005−285455号公報
【特許文献3】特開平10−106521号公報
【特許文献4】実開昭60−192367号公報
【特許文献5】特開2008−53149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、図1に示された電源装置1であっても、使用中に単電池4が充分に冷却されず、単電池4の温度が上昇するという問題があった。以下図4を参照しながら、電源装置1の使用中に単電池4の温度が上昇する理由について説明する。図4は、図1に示された電源装置1の領域Xの拡大図を示す。
【0017】
電源装置1では、単電池4が単電池収容穴2に収容されるので、単電池収容穴2の直径は、単電池4の直径よりも大きく設定される。このため、単電池4を単電池収容穴2に収容すると、図4に示されるように、単電池4と単電池収容穴2の内壁との間に、隙間Gが生じてしまう。単電池4と単電池収容穴2の内壁との間に、隙間Gが形成されると、単電池4と単電池収容穴2の壁との間の空気が断熱材として機能し、単電池4の熱がボディに伝達されない。このため、熱が単電池4内に留まり、単電池4の温度が上昇してしまう。
【0018】
したがって、単電池を囲む成形体の材料の熱伝導性を高めたとしても、単電池を充分に冷却することができず、単電池の性能低下および熱暴走といった問題が生じる。
【0019】
一方、図3に示されたヒータ付組電池構造体20は、2次電池24の昇温に時間を要するため、すぐに電気自動車を始動できないという問題があった。以下、図3を参照しながら、その理由を説明する。
【0020】
図3に示されるように、面状の第1ヒータ22,面状の第2ヒータ23と2次電池24の間には、収容ケース21と空隙Sが存在する。面状の第1ヒータ22,面状の第2ヒータ23の熱はまず収容ケース21に伝わるが、収納ケース21は上側の収納ケース26につながっているため、熱はさらに上側の収納ケース26に伝わる。ちなみに、収納ケース21、26に伝わった熱の大半は外部に向かって放出される。収納ケース21が温まると、次に空隙S内の空気が温まり、ついで温まった空気が上昇することによりようやく2次電池24が温まる。
【0021】
特許文献4によると、−40℃環境下で面状の第1ヒータ22,面状の第2ヒータ23に通電開始約6時間後のヒータ到達温度は約40℃〜約118℃で電池温度は約−24℃〜約−20℃となっている。家庭用電源など外部電源が使える場合はヒータ容量をあげることである程度の時間短縮は可能だが、構造的にそれも限界がある。また外部電源が使えない場所で、電気自動車が自力、すなわち内蔵電源を使用して電池を昇温しなければならない場合、このように熱伝達効率が悪くては、目標昇温温度に達することができず、たとえ達することができたとしても昇温に大半のエネルギを使うことになり、走行距離が短くなるという問題を生じる。
【0022】
本発明は、上記かかる点に鑑みてなされたものであり、電池の充放電時の温度上昇による性能低下および熱暴走を抑制でき、かつ寒冷時の電池昇温を効率良く短時間で行うことができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者は、成形体の収容穴に電極群および電解液(以下単に「ユニット」とも称する)を直接収容することで、ユニットと成形体との接触を確実にし、各ユニットを効率よく冷却することができること、加えて成形体内部にヒータを内蔵することでユニットを効率よく短時間で昇温できることを見出し、さらに検討を加え発明を完成させた。
【0024】
すなわち、本発明は以下に示される電源装置に関する。
【0025】
[1]2以上の独立した収容穴を有する成形体と、シート状の正極と、シート状の負極と、前記正極と前記負極とにはさまれたシート状のセパレータとを巻くことで構成され、かつそれぞれの前記収容穴内に収容された、電極群と、それぞれの前記収容穴内に収容された、電解液と、を有する電源装置であって、さらに前記成形体の内部空間にヒータを備えたことを特徴とする電源装置。
【0026】
[2]前記成形体の熱伝導率は、50W/mK以上である、[1]に記載の電源装置。
【0027】
[3]前記成形体の材料は、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ニッケル、カーボンまたはこれらの合金を含む、[1]または[2]に記載の電源装置。
【0028】
[4]前記成形体は、放熱フィンをさらに有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の電源装置。
【0029】
[5]前記成形体は、押出形材である、[1]〜[4]のいずれかに記載の電源装置。
【0030】
[6]前記放熱フィンは、押出型材で前記成形体と同時に形成される、[4]および[5]に記載の電源装置。
【0031】
[7]前記ヒータが挿入される内部空間は、押出型材で前記成形体と同時に成形される穴である、[1]に記載の電源装置。
【0032】
[8]前記ヒータが挿入される前記内部空間が複数個あり前記成形体内に万遍無く配置されたことを特徴とする[1]に記載の電源装置。
【0033】
[9]前記ヒータは、前記成形体の複数の内部空間をつなぐ連続した1本のヒータ線で構成される、[8]に記載の電源装置。
【0034】
[10]前記成形体に装着される温度センサを有する、[1]に記載の電源装置。
【0035】
[11]前記ヒータへの電源入力を電圧の異なる複数の系統から選択可能な切り替え部を有する、[1]に記載の電源装置。
【発明の効果】
【0036】
本発明の電源装置では、ユニットと成形体との接触が確実なので、ユニットの熱が成形体に伝達されやすい。そのため各ユニットは、効率的に冷却され、温度上昇による性能の低下および熱暴走を抑制することができる。またヒータが成形体内部に配置されているため、無駄なく成形体に熱量が伝達され、かつユニットと成形体との接触が確実なので、ヒータの熱量が効率よく、むらなくユニットに伝達される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】従来の電源装置の斜視図
【図2】従来のバッテリ取付装置の縦断面図
【図3】従来のヒータ付組電池構造体の断面図
【図4】従来の電源装置の拡大図
【図5】実施の形態1の電源装置の斜視図
【図6】実施の形態1の電源装置の断面図
【図7】放熱フィンの形状を示す図
【図8】実施の形態1のヒータの斜視図
【図9】実施の形態1の電源装置のヒータ制御システム構成図
【図10】成形体の作製方法を示す図
【図11】実施の形態1の電源装置の製造方法を示す図
【図12】実施の形態1のヒータの作製方法示す図
【図13】実施の形態2の電源装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0038】
1.本発明の電源装置について
本発明は、複数の2次電池(ユニット)を接続することで大電流を供給することを可能とした電源装置に関する。本発明の電源装置は、1)成形体と、2)電極群と、3)電解液と、4)ヒータとを有する。従来の電源装置では、電極群および電解液と、電極群および電解液を収容するケースとを有する単電池を成形体に挿入していたのに対し、本発明の電源装置は、ケースに収容されていない電極群および電解液を、成形体に直接収容することを特徴とする。また従来の電源装置では、電池昇温用のヒータを成形体の外側に設置していたのに対し、ヒータを成形体の内部に設置することを特徴とする。以下それぞれの構成部材について説明する。
【0039】
1)成形体
成形体は、後述する電極群と電解液とヒータとを収容するための部材である。第1に成形体は、複数の独立した収容穴を有する。ここで「独立した」とは、各収容穴が互いに連通(液絡)していないことを意味する。成形体に設けられた収容穴は、成形体を貫通していてもよいし(図6参照)、貫通していなくともよい(図13参照)。収容穴の形状は特に限定されない。収容穴は、角柱状であってもよいし、円柱状であってもよい。
【0040】
また、収容穴の数は、電源装置の出力によって適宜選択されるが、通常は10〜40個である。それぞれの収容穴には後述する電極群および電解液が収容される。成形体の収容穴に収容された電極群および電解液は、ニッケル−水素電池や、ニッケル−カドミウム電池、リチウムイオン電池、リチウム空気電池、空気亜鉛電池などの二次電池として機能する。成形体の一つの穴に収容され、二次電池として機能する電極群および電解液を、以下「ユニット」とも称する。したがって、本発明では、成形体が複数のユニットを有する。
【0041】
第2に成形体は、ヒータ挿入用の穴を有する。このヒータ挿入用の穴は成形体を貫通していてもよいし、貫通していなくともよい。また形状と個数と位置は特に限定されない。これらの諸元は電源装置の求める性能とヒータ仕様により適宜決められる。成形体のヒータ挿入用の穴にヒータが内蔵されることで、寒冷時であっても電源装置を使用することができる。ヒータとユニットが熱伝導率の高い成形体のみを介して繋がる為、昇温のエネルギ効率は極めて高く、成形体の熱伝導率が高いため成形体の温度分布巾は小さく、したがってユニットの温度ばらつきも小さい。
【0042】
また、成形体は、収容穴とヒータ挿入穴以外に、成形体の熱容量を調節するための穴や、冷媒通路用の孔を有していても良い。
【0043】
成形体の材料は、熱伝導性が高いことが好ましい。より具体的には、成形体の材料の熱伝導率は1W/mK以上であることが好ましく、50W/mK以上であることが特に好ましい。このような、成形体の材料の例には、アルミニウムや、マグネシウム、鉄、ニッケル、カーボン、およびこれらの合金などが含まれる。特に、A6063などのアルミニウム合金は、熱伝導性が高く成形が容易であることから、成形体の材料として好ましい。また、成形体の材料は、カーボンナノチューブやカーボングラファイトなどが分散された樹脂であってもよい。
【0044】
成形体は、上述のように高い熱伝導率を有するので、高い放熱率を有する。また、本発明では、成形体に放熱フィンを形成したり、冷媒流路を形成したりすることで、成形体の放熱率をさらに高めてもよい。
【0045】
成形体の作製方法は特に限定されないが、例えば押し出し成形が好ましい。押し出し成形とは、加熱したビレットをダイス金型を通して押し出すことで、材料の形状を成形する方法である(図7参照)。押し出し成形によれば低コストで成形体を作製することができる。押出し成形によって作製された部材は、押出形材とも称される。
【0046】
このとき放熱フィンやヒータ挿入穴も同時に成形すると、部品点数や加工工数が削減され接触熱抵抗も生じないなどの利点があり、好ましい。
【0047】
2)電極群
電極群は、シート状の正極と、シート状の負極と、正極と負極との間に配置されたシート状のセパレータと、を巻くことで構成される。上述のように本発明では、電極群は、成形体の収容穴に直接収容されることを特徴とする。したがって、本発明では、電極群が成形体に接触する。
【0048】
正極は、正極集電体および正極集電体上に配置された正極合剤層を有する。負極は、負極集電体および負極集電体上に配置された負極合剤層を有する。
【0049】
正極集電体および負極集電体は、正極合剤層または負極合剤層を保持するとともに集電機能を有する電極基体である。正極集電体および負極集電体は、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔などの金属箔や、表面に金属が蒸着されたPETなどの高分子フィルム、導電性高分子フィルムなどからユニットの種類に応じて適宜選択される。例えば、ユニットがリチウムイオン電池として機能する場合、正極集電体はアルミニウム箔であり、負極集電体は銅箔である。
【0050】
セパレータは、正極と負極を絶縁し、かつ正極と負極との間のイオン伝導性を確保する部材である。セパレータの材料は、電源装置の使用時に安定な素材であれば特に限定されず、例えば、絶縁性の高分子多孔フィルムである。セパレータは、例えば、アルミナシリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの無機物粒子や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドなどの有機物粒子、前記無機物粒子と有機物粒子との混合物、結着材、溶媒、各種添加剤などを混合したものを、塗布し、乾燥させ、圧延することにより作製することができる。また、セパレータの厚みは、特に限定されないが、例えば10〜25μmである。
【0051】
成形体に接触する電極群の部位は、正極集電体または負極集電体が好ましい。一般にこれらは金属であり、一般に樹脂系であるセパレータより熱伝導性が高い。正極合剤や負極合剤の場合は、収容孔に電極群を挿入する際に、合剤が剥離する恐れがある。
【0052】
3)電解液
電解液は、溶媒と、電解質とを含む。上述のように本発明では、電解液は、成形体の収容穴に直接収容されることを特徴とする。したがって、本発明では、電解液が成形体に接触する。
【0053】
溶媒は、ユニットの種類によって適宜選択される。例えばユニットがリチウムイオン電池として機能する場合、溶媒は非水系溶媒である。非水系溶媒の例には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γーブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γーブチロラクトンなどが含まれる。これらの非水溶媒は、単独で使用されてもよいし、2種以上を混合して使用されてもよい。
【0054】
一方、ユニットがニッケル−水素電池や、ニッケル−カドミウム電池、空気亜鉛電池、リチウム空気電池などとして機能する場合、溶媒は水である。
【0055】
電解質も、ユニットの種類によって適宜選択される。例えばユニットがリチウムイオン電池として機能する場合、電解質の例は、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]などのリチウム塩を含む。
【0056】
一方、ユニットがニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池、空気亜鉛電池として機能する場合、電解質の例は、水酸化カリウムなどを含む。
【0057】
4)ヒータ
成形体に内蔵されるヒータの形式は限定されない。例えばカートリッジヒータやシーズヒータ、フィルムヒータなどでもよいが、目的は氷点下の環境温度下から電池性能が発揮される10℃前後までユニットを昇温させることなので、高性能だが高価なヒータは必要なく、より簡便に1本のヒータ線(例えばニクロム線)で構成されるのが好ましい。
【0058】
ヒータの個数は限定されないが、成形体が大きく、電極群が多数ある場合は1個の大容量ヒータではなく、複数個の小容量ヒータを成形体内に満遍なく配置するのが好ましい。加熱ムラがさらに押さえられるからである。1個のヒータを電極群が囲むように配置し、ヒータと電極群の距離がすべて等しい配置とすると加熱ムラが最少となり、なお、好ましい。(図5参照)。
【0059】
複数個のヒータを内蔵する場合、個々の独立したヒータ線を導線で直列に接続しても、並列に接続してもよいが、より簡便に接続用の導線を使用せず、1本のヒータ線(例えばニクロム線)から複数個のヒータを構成するのが好ましい。(図8参照)。
【0060】
これは例えば1本のニクロム線で連続して複数のコイル状の部分をつないだ形の成形をし、成形体と絶縁するためコイル部分を樹脂で固めた後、成形体に挿入される。
【0061】
また、本発明の電源装置は、温度センサとヒータまたはクーラとを含む温度調節機構を有していてもよい。温度調節機構により、電源装置が高温になり過ぎたり、低温になりすぎたりすることを防止することができる(図5及び図9参照)。また、ヒータが異常昇温した場合も、大事に至る前に回路をシャットダウンできる。
【0062】
この温度調節機能は電源装置の製作過程において利用することができ、成形体の高い熱伝導性もあり、電池の仕上げ工程のエージングなどにおいてユニットの温度ばらつきを極めて小さくすることが可能で、電気容量のばらつきをおさえ電池品質を均質にすることが可能である。
【0063】
また、本発明の電源装置はヒータへの電力供給を電圧の異なる複数の系統から選択可能な電源切り替え部を有していてもよい。(図5、9参照)電気自動車がガレージ内にあるときは、例えば外部のAC100V電源から電力供給し、路上にある場合は、車内の例えばDC24V電源から電力供給する。これにより外部電源使用時はさらに急速に昇温が可能となる。
【0064】
5)その他
本発明の電源装置は、さらに、成形体の収容穴を塞ぐ封口板を有する(図6参照)。封口板は、電極群からのリードと接続されており、電極端子を有する。封口板には、ユニットが発火した場合に圧力を逃がすための防爆弁が形成されていてもよい(図6参照)。
【0065】
このように形成された電源装置の電圧は通常、1.2〜3.7Vであり、容量は25〜120Ahである。さらに大きな電圧や出力が必要な場合は、複数の本発明の電源装置を接続すればよい。例えば、大電流が求められる自動車用電源装置では、7つの本発明の電源装置が直列に接続されたモジュールが、14個、直列に接続される。
【0066】
本発明によれば、ユニットの温度上昇による性能の低下や熱暴走を防止することができるとともに寒冷時の始動を効率よく短時間で行うことができる。ユニットの温度上昇による性能の低下や熱暴走を防止することができるメカニズムについては、以下の「本発明の電源装置における熱の挙動について」で詳細に説明する。
【0067】
2.本発明の電源装置における熱の挙動について
次に上述のような構造を有する本発明の電源装置を使用したときの、ユニットが発する熱の挙動について説明する。
【0068】
本発明の電源装置を使用中には、各ユニットが放電し、電流が供給される。このとき各ユニットが提供するエネルギの一部は熱に変換される。このため電源装置の使用中は、各ユニットは熱を発する。ユニットが発する熱がユニット内に留まると、ユニットの温度が上昇し、ユニットの性能が低下する。
【0069】
また、電極群に混入した金属片などの異物などによって、ユニットの正極と負極とがショートした場合、ユニットが有するエネルギの多くが熱に変換されてしまう。
【0070】
例えば、電源装置に含まれる1つのユニットの電圧が3.6Vで、容量が4Ahである場合、1つのユニットが有するエネルギは、
3.6V×4Ah=14.4Wh=51836J
である。
【0071】
このような大きなエネルギが熱に変換されてしまうと、ユニットが急激に発熱し、熱暴走が発生することがある。ここで「熱暴走」とは、発熱が発熱を招くという正のフィードバックにより、温度の制御ができなくなる現象を意味する。
【0072】
具体的には、熱暴走では、正極が分解することで酸素が放出され、電解液が酸化分解することで、さらなる熱が発生する。このため熱暴走が生じるとユニットが発火し、類焼や爆発の原因となる。リチウムイオン電池の場合、通常、電池の温度が約170℃を超えると、熱暴走が起こる。
【0073】
このように、ユニットの性能低下およびユニットの熱暴走を抑制するために、ユニットから熱を奪い、ユニットを効率よく冷却する必要がある。
【0074】
本発明では、ユニットが直接成形体の収容穴に収容されるので、ユニットと成形体と間に隙間が形成されることがなく(図2参照)、ユニットと成形体とは確実に接触する。また、上述のように成形体は、熱伝導率の高い材料からなる。このため、ユニットの熱は、速やかに成形体に奪われ、ユニットが効率的に冷却される。
【0075】
また、上述のように収容穴が角柱(例えば四角柱)である場合、収容穴の形状が円柱である場合と比較して、ユニットと成形体との接触面積が増大する。このため、収容穴が角柱(例えば四角柱)であると、成形体はユニットからより効率的に熱を奪うことができる。
【0076】
ユニットから成形体に伝達された熱は、成形体の外部に放出される。上述のように、本発明では成形体の放熱率が高いので、成形体に伝達された熱は速やかに外部に放出され、成形体自体が高温になることはない。
【0077】
また、本発明の電源装置では、複数のユニットを有する。このため、1つのユニットが作動しなかった場合でも、他のユニットが作動すれば、電流を供給することができる。このため、本発明の電源装置は信頼性が高い。
【0078】
以下、本発明を図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明するが、本発明は図示された実施の形態に限定されない。
【0079】
[実施の形態1]
図5は、実施の形態1の電源装置100の斜視図である。図6は、図5に示された実施の形態1の電源装置100の一点鎖線Aによる断面図である。
【0080】
図5および図6に示されるように、電源装置100は、成形体110と、ユニット120と、ヒータ302と、電源切り替え部303と、温度センサ305とを有する。また、電源装置100は、正極封口板130と負極封口板140とを有する。
【0081】
成形体110は、例えばアルミニウムからなる。成形体110は、複数の収容穴111を有する。収容穴111は、成形体110を貫通する。収容穴111にはユニット120が収容されている。また成形体110はユニット120が挿入された収容穴111の間の内部空間の穴115にヒータ302を有する。
【0082】
成形体110の寸法は特に限定されないが、例えば、長さLが140〜180mmであり;奥行きWは50〜90mmであり;高さHが40〜80mmである(図5参照)。また、収容穴の直径Φは、10〜30mmである(図6参照)。
【0083】
また、成形体110は、複数の放熱フィン113を有する(図5参照)。図5では成形体110が板状の放熱フィンを有する例を示したが、成形体110は、図7Aに示されるような、棒状の放熱フィン113を有してしてもよい。棒状の放熱フィンは、板状の放熱フィンと比較して表面積が大きいので、成形体110の放熱率をより向上させることができる。また、図7Bに示されるように、放熱フィン113に複数の突起117を設けることで、放熱フィン113の表面積を増大させてもよい。
【0084】
図5に示すように、放熱フィン113を成形体110の収容穴111、115と同じ方向にフィンを延ばす構造とすれば、すべて押出一体成形できるので、効率的である。
【0085】
次に図8を用いて、ヒータ302の構造を説明する。図8はヒータ302の斜視図である。ヒータ線308はつなぎ目のない1本のニクロム線であり、成形体110に内蔵される部分はらせん状に成形されたコイル部309とそのリターン部310からなる。さらにコイル部309とリターン部310は成形体110と電気的に絶縁するため、絶縁体311でくるまれる。この絶縁体311は、例えば樹脂で、ヒータ線308が成形されたあと、インサート成形される。このように構成されたヒータ302が成形体110の内部に挿入され、接着剤等で固定される。このヒータ302の構造はカートリッジヒータやシーズヒータに比較し、きわめて構造が単純で、したがって低価格で製作が可能で、かつ溶接や半田付けされる接点が無いため振動に強いという利点を有する。
【0086】
ユニット120は、収容穴111に収容され、電極群121と、電解液123とを有する(図6参照)。電極群121と電解液123とは、成形体110に接触する。また、ユニット120は、正極と負極とのショートを防止する絶縁板129を有する。
【0087】
図6に示されるように、ユニット120が収容された収容穴111は、正極封口板130と負極封口板140とで塞がれる。
【0088】
正極封口板130は、正極端子131と、防爆弁133と、電解液供給孔135とを有する。また、正極封口板130は、電極群121の正極から伸びた正極リード125と接続している。
【0089】
負極封口板140は、負極端子141とガスケット143とを有する。ガスケット143は、負極端子141を絶縁している。負極端子141は、電極群121の負極から伸びた負極リード127と接続している。負極リード127は例えばニッケルからなる。
【0090】
ヒータ302の一端は電源切り替え部303に接続され、他の端は温度調整部304に接続される。成形体110には温度センサ305が装着されており、その出力は温度調整部304に入力されている。電源切り替え部303は、また、電源装置100の外にある第1の電源306と第2の電源307と接続される(図9参照)。
【0091】
このように構成された電源装置300の温度調節機能と電源切り替え機能を、図9を用いて説明する。図9は電源装置100のヒータ制御システム構成図である。図9に示す第1の電源306は、例えば自動車内にあるDC電源であり、第2の電源307は自動車外にある外部AC電源である。電源切り替え部303は、充電時、状況により第1の電源306からか、第2の電源307から供給するかを選択できる。例えば、出先で外部電源が接続できない場合は、電源装置100を含む車載電池から電源が供給されるが、低温のため大電流を流せないので、例えばDC24V程度に減圧し時間をかけて昇温する。一方、ガレージ内など外部電源が接続できる場合は、例えばAC100Vで大電流を流し、短時間で昇温させる。
【0092】
例えば、成形体の材質がアルミニウムで約450gの質量を有し、内部に20本のユニットを有する場合、1本4.6Ωのヒータを5本内蔵させると、DC24V時は昇温に約30分要するが、AC200V時は約1分40秒で昇温することができる。このように電源切り替え部303を有することで、状況に応じて最適に昇温することが可能となる。
【0093】
温度調整部304は温度センサ305からの温度情報を元に電源装置100を所定の温度に保つことを可能とする。この機能により寒冷時のヒータによる電池の昇温の行き過ぎを防止することができる。さらに、成形体110に直接、温度センサ305を装着することにより、電源装置100製造時にも極めて大きな利点をもたらす。通常リチウムイオン電池は、仕上げ工程で放置エージングと充放電エージングを必要とし、そのときの温度条件は電池容量などの品質安定化に大きな影響を及ぼす。そのため通常は電池を長時間一定温度で収納するための巨大で高価な高温装置が必要とされる。しかし、本電源装置は内部にヒータと温度センサを有することにより、そのような高価な高温装置を必要とせず、放置エージング時または充放電エージング時の電池の温度を一定に保つことができ、性能が安定した電池を製作できるという利点を有する。
【0094】
このように、本実施の形態では、ユニット120が成形体110に直接収容される。このため、電源装置100の使用時に、ユニット120の熱が成形体110に奪われ、ユニット120が効率的に冷却される。このため、本実施の形態によれば、温度の上昇によるユニットの性能の低下および熱暴走を抑制することができる。
【0095】
また、本実施の形態では、ユニットが成形体110に直接収容されているので、電極端子と、実際に電力を生み出す電極群とを介在する部材が少ない。このため、ユニットから電流をロスなく取り出すことができる。一方、電極群および電解液と、電極群および電解液を収容するケースとを有する単電池を成形体に挿入する従来の電源装置では(特許文献3参照)、電極群と電極端子との間にケースなどの部材が介在するので、電流がロスするおそれがある。
【0096】
また、1本のヒータ線からなる安価なヒータを提供することができ、それを成形体の内部に内蔵することで寒冷時の昇温を効率的かつ均一に行うことができる。さらに温度センサを有することで、製作時の電池性能の均一化が図れる。また電源切り替え部を有することで、外部電源が使える場合、使えない場合の状況に応じた適切な昇温が可能となる。
【0097】
次に、本実施の形態の電源装置100の製造方法について、図10、図11および図12を参照しながら説明する。
【0098】
電源装置100の製造方法は、例えば、1)成形体110を準備する第1ステップ(図10A〜C参照)と、2)成形体110の収容穴111に、電極群121を挿入する第2ステップ(図11A)と、3)封口板で収容穴111を塞ぐ第3ステップ(図11B)と、4)電解液供給孔135から収容穴111内に電解液123を注入する第4ステップ(図11C)と、5)成形体110の穴115にヒータ302を挿入する第5ステップと、を有する。以下それぞれのステップについて説明する。
【0099】
第1ステップでは、成形体110を準備する。成形体110を準備するには、成形体110を押出し成形で作製すればよい。押出し成形による成形体の作製方法は、例えば、適温に加熱されたアルミビレット150を耐圧容器のコンテナ151に挿入するステップ(図10A参照)と、挿入されたアルミビレット150を押盤153でダイス155方向に押し込むステップ(図10Bおよび図10C参照)とを有する。コンテナ151に挿入されるアルミビレット150の温度は、約400℃であることが好ましい。
【0100】
アルミビレット150を押盤153でダイス155方向に押し込むことで、アルミビレット150はダイス孔157から押出され(図10B参照)、所望の形状を有する成形体110が作製される(図10C参照)。
【0101】
図11Aは、第2ステップを示す。図11Aに示されるように第2ステップでは、成形体110の収容穴111に、電極群121を挿入する。電極群121は正極リード125と負極リード127とを有する。図8Aに示されるように、正極リード125には予め正極封口板130が接続され、負極リード127には予め負極封口板140が接続されていてもよい。
【0102】
図11Bは、第3ステップを示す。図11Bに示されるように第3ステップでは、正極封口板130および負極封口板140を成形体110に接続し、収容穴111を塞ぐ。封口板を成形体に接続する手段の例には、レーザ溶接、かしめ、コイニング、超音波溶接、熱溶着、ロウ付け、プレス、摩擦接合およびネジ留めなどが含まれる。電解液の漏れを防止するという観点からは、封口板は、レーザ溶接で成形体110に接合されることが好ましい。
【0103】
図11Cは、第4ステップを示す。図11Cに示されるように第4ステップでは、正極封口板130の電解液供給孔135から、電解液123を注入する。その後、電解液供給孔135を防爆弁133で塞ぐ。
【0104】
次に、ヒータ302の製造方法を、図12を用いて説明する。
【0105】
ヒータ線は例えば線径が0.2mm〜1mmのニクロム線であり、リール312に巻かれている。最初にリール312からヒータ線の一端を引き出し、固定ピン313に固定する。固定ピン313の隣に第1巻取りピン314があり、巻取りピン314の軸心を中心に固定ピンと巻取りピンを保持している巻取りピンベース315が回転し、回転と同時に徐々に下降してゆく。この動作でコイル部309が形成される。なお、このとき他の巻取りピンはヒータ線が絡まないように下方に退避している。所定の巻き数が巻かれると停止し、第2巻取りピン316が上昇する。次に第2巻取りピン316の軸心を中心に再び巻取りピンベース315が回転と下降をする。以下、第3巻取りピン317、第4巻取りピン318、第5巻取りピン319と、同じ動作を繰り返す。
【0106】
最後にカッター320がヒータ線308を切断する。次にこのヒータ線308に曲げ加工を施し、リターン部310を形成し、図11に示す形状とする。最後にコイル部309に電気絶縁のための絶縁体311をモールド成形しヒータ302が完成する。
【0107】
第5ステップでは、このヒータ302を成形体110の穴115に挿入し、接着固定する。
【0108】
以上のようにして、実施の形態1の電源装置100が製造される。
【0109】
[実施の形態2]
実施の形態1では、収容穴が成形体を貫通する形態について説明した。実施の形態2では、収容穴が成形体を貫通しない形態について説明する。
【0110】
図13は実施の形態2の電源装置200の断面図である。電源装置200は、収容穴211の形状が異なる以外は、図6に示された実施の形態1の電源装置100と同じである。実施の形態1の電源装置100と同一の構成部材については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0111】
図13に示されるように電源装置200は、成形体210および封口板230を有する。成形体210は、収容穴211を有する。収容穴211は、成形体210を貫通していない。このような成形体210は、例えばインパクト成形によって成形されることができる。
【0112】
封口板230は、負極端子231を有する。負極端子231は負極リード127と接続している。負極端子231は、ガスケット233によって絶縁されている。
【0113】
このように、本実施の形態では、インパクト成形で成形体を作製するので、より簡便に電源装置を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の電源装置は、フォークリフトやハイブリッドカー、電気自動車などの車両用電源装置、電子機器のバックアップ電源および家庭用の蓄電池装置として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0115】
1,100,200,300 電源装置
3,110,210 成形体
111,211 収容穴
113 放熱フィン
115 穴
120 ユニット
22,23,302 ヒータ
303 電源切り替え部
304 温度調整部
305 温度センサ
306,307 電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車などの走行用モーターを駆動するためには、大電流が要求される。例えば、ハイブリッド自動車では、スタート時や加速時などに走行用のモーターを駆動するときに求められる電流は、100A以上と極めて大きい。このような、大電流を供給するための電源装置として、エネルギ密度が高い二次電池を含む電源装置が知られている。
【0003】
このような電源装置として、ニッケル−水素電池や、ニッケル−カドミウム電池、リチウムイオン電池などの単電池を複数接続した電源装置が知られている(例えば特許文献1および2参照)。
【0004】
特許文献1および2の電源装置は、接続された複数の単電池と、単電池を固定するためのホルダとを有する。ホルダの材料は例えばプラスチックである。このように、接続された複数の単電池を有する電源装置は、仮に1つの単電池に問題が生じたとしても、他の単電池が機能する限り、電流を供給することができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1および2で開示された電源装置では、ホルダの材料がプラスチックなどの熱伝導性が低い材料であるので、電源装置の使用中に発生する単電池の熱が、ホルダに伝達されにくかった。このため、電源装置の使用中、熱が単電池に留まり、単電池の温度が高くなるという問題があった。
【0006】
単電池の温度が高くなると単電池の性能が低下し、電源装置全体の性能が低下する。また、単電池がリチウムイオン電池である場合、温度が高くなると熱暴走の危険もある。
【0007】
この問題を解決するために、接続された複数の単電池を熱伝導性の高いアルミなどの金属からなる成形体で囲む技術が知られている(例えば特許文献3参照)。
【0008】
図1は、特許文献3に開示された電源装置1の斜視図である。図1に示されるように電源装置1は、複数の単電池収容穴2を有する成形体3と、単電池収容穴2に収容された単電池4と、を有する。また、成形体3は、成形体3を冷やすための冷媒が流れる冷媒流路5を有する。成形体3は、アルミなどの熱伝導性が高い材料からなる。
【0009】
このように、単電池4を熱伝導性が高い成形体3で囲うことで、電源装置1の使用中に生じる単電池4の熱は、成形体3に伝達され、各単電池4から熱が奪われる。このため、単電池4が冷却され、単電池4の温度が上昇することが防止される。また、成形体3に伝達した熱は、冷媒流路5を流れる冷媒に伝達され外部に放出される。
【0010】
一方、上記電源装置を搭載した電気自動車を寒冷地で始動させようとする場合、低温特性の悪い2次電池では充分な電力を得られないという問題がある。このような場合、電源装置にヒータを設置し、電池が充分な放電ができる温度まで昇温する方法が知られている(例えば特許文献4参照)。
【0011】
図2は特許文献4に示された電源車両のバッテリ取付装置10の縦断面図である。図2に示されるように、断熱材で形成した収容ケース11の底部の内側に面状ヒータ12を設け、この面状ヒータ12に接触するようにして2つの電池13を容器内に収容したヒータ付き電源装置の構造が開示されている。
【0012】
しかしながら、特許文献4に開示されたヒータ付電源装置では、面状ヒータ12と直接接している電池部位と面状ヒータ12から遠く離れた部位や電池内部の中心付近の部位とでは、加熱ムラを生じて電池温度のばらつきが大きくなるという問題があった。
【0013】
この問題を解決するために、電池とヒータの間に空隙を設け、空隙内の空気を加熱し、加熱された空気により間接的に電池を温める方法が知られている(例えば特許文献5参照)。
【0014】
図3は特許文献5に示されたヒータ付組電池構造体20であって、収容ケース21の外部に面状の第1ヒータ22、面状の第2ヒータ23を設置し、面状の第1ヒータ22、面状の第2ヒータ23と2次電池24の間に空隙Sが存在する。交流電源用プラグ25を家庭用交流電源のコンセントに差し込むことにより、電力が供給されヒータが温められると、空隙S内の空気が温められ、その空気が2次電池24に接触することにより2次電池24が昇温する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006−107774号公報
【特許文献2】特開2005−285455号公報
【特許文献3】特開平10−106521号公報
【特許文献4】実開昭60−192367号公報
【特許文献5】特開2008−53149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、図1に示された電源装置1であっても、使用中に単電池4が充分に冷却されず、単電池4の温度が上昇するという問題があった。以下図4を参照しながら、電源装置1の使用中に単電池4の温度が上昇する理由について説明する。図4は、図1に示された電源装置1の領域Xの拡大図を示す。
【0017】
電源装置1では、単電池4が単電池収容穴2に収容されるので、単電池収容穴2の直径は、単電池4の直径よりも大きく設定される。このため、単電池4を単電池収容穴2に収容すると、図4に示されるように、単電池4と単電池収容穴2の内壁との間に、隙間Gが生じてしまう。単電池4と単電池収容穴2の内壁との間に、隙間Gが形成されると、単電池4と単電池収容穴2の壁との間の空気が断熱材として機能し、単電池4の熱がボディに伝達されない。このため、熱が単電池4内に留まり、単電池4の温度が上昇してしまう。
【0018】
したがって、単電池を囲む成形体の材料の熱伝導性を高めたとしても、単電池を充分に冷却することができず、単電池の性能低下および熱暴走といった問題が生じる。
【0019】
一方、図3に示されたヒータ付組電池構造体20は、2次電池24の昇温に時間を要するため、すぐに電気自動車を始動できないという問題があった。以下、図3を参照しながら、その理由を説明する。
【0020】
図3に示されるように、面状の第1ヒータ22,面状の第2ヒータ23と2次電池24の間には、収容ケース21と空隙Sが存在する。面状の第1ヒータ22,面状の第2ヒータ23の熱はまず収容ケース21に伝わるが、収納ケース21は上側の収納ケース26につながっているため、熱はさらに上側の収納ケース26に伝わる。ちなみに、収納ケース21、26に伝わった熱の大半は外部に向かって放出される。収納ケース21が温まると、次に空隙S内の空気が温まり、ついで温まった空気が上昇することによりようやく2次電池24が温まる。
【0021】
特許文献4によると、−40℃環境下で面状の第1ヒータ22,面状の第2ヒータ23に通電開始約6時間後のヒータ到達温度は約40℃〜約118℃で電池温度は約−24℃〜約−20℃となっている。家庭用電源など外部電源が使える場合はヒータ容量をあげることである程度の時間短縮は可能だが、構造的にそれも限界がある。また外部電源が使えない場所で、電気自動車が自力、すなわち内蔵電源を使用して電池を昇温しなければならない場合、このように熱伝達効率が悪くては、目標昇温温度に達することができず、たとえ達することができたとしても昇温に大半のエネルギを使うことになり、走行距離が短くなるという問題を生じる。
【0022】
本発明は、上記かかる点に鑑みてなされたものであり、電池の充放電時の温度上昇による性能低下および熱暴走を抑制でき、かつ寒冷時の電池昇温を効率良く短時間で行うことができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者は、成形体の収容穴に電極群および電解液(以下単に「ユニット」とも称する)を直接収容することで、ユニットと成形体との接触を確実にし、各ユニットを効率よく冷却することができること、加えて成形体内部にヒータを内蔵することでユニットを効率よく短時間で昇温できることを見出し、さらに検討を加え発明を完成させた。
【0024】
すなわち、本発明は以下に示される電源装置に関する。
【0025】
[1]2以上の独立した収容穴を有する成形体と、シート状の正極と、シート状の負極と、前記正極と前記負極とにはさまれたシート状のセパレータとを巻くことで構成され、かつそれぞれの前記収容穴内に収容された、電極群と、それぞれの前記収容穴内に収容された、電解液と、を有する電源装置であって、さらに前記成形体の内部空間にヒータを備えたことを特徴とする電源装置。
【0026】
[2]前記成形体の熱伝導率は、50W/mK以上である、[1]に記載の電源装置。
【0027】
[3]前記成形体の材料は、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ニッケル、カーボンまたはこれらの合金を含む、[1]または[2]に記載の電源装置。
【0028】
[4]前記成形体は、放熱フィンをさらに有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の電源装置。
【0029】
[5]前記成形体は、押出形材である、[1]〜[4]のいずれかに記載の電源装置。
【0030】
[6]前記放熱フィンは、押出型材で前記成形体と同時に形成される、[4]および[5]に記載の電源装置。
【0031】
[7]前記ヒータが挿入される内部空間は、押出型材で前記成形体と同時に成形される穴である、[1]に記載の電源装置。
【0032】
[8]前記ヒータが挿入される前記内部空間が複数個あり前記成形体内に万遍無く配置されたことを特徴とする[1]に記載の電源装置。
【0033】
[9]前記ヒータは、前記成形体の複数の内部空間をつなぐ連続した1本のヒータ線で構成される、[8]に記載の電源装置。
【0034】
[10]前記成形体に装着される温度センサを有する、[1]に記載の電源装置。
【0035】
[11]前記ヒータへの電源入力を電圧の異なる複数の系統から選択可能な切り替え部を有する、[1]に記載の電源装置。
【発明の効果】
【0036】
本発明の電源装置では、ユニットと成形体との接触が確実なので、ユニットの熱が成形体に伝達されやすい。そのため各ユニットは、効率的に冷却され、温度上昇による性能の低下および熱暴走を抑制することができる。またヒータが成形体内部に配置されているため、無駄なく成形体に熱量が伝達され、かつユニットと成形体との接触が確実なので、ヒータの熱量が効率よく、むらなくユニットに伝達される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】従来の電源装置の斜視図
【図2】従来のバッテリ取付装置の縦断面図
【図3】従来のヒータ付組電池構造体の断面図
【図4】従来の電源装置の拡大図
【図5】実施の形態1の電源装置の斜視図
【図6】実施の形態1の電源装置の断面図
【図7】放熱フィンの形状を示す図
【図8】実施の形態1のヒータの斜視図
【図9】実施の形態1の電源装置のヒータ制御システム構成図
【図10】成形体の作製方法を示す図
【図11】実施の形態1の電源装置の製造方法を示す図
【図12】実施の形態1のヒータの作製方法示す図
【図13】実施の形態2の電源装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0038】
1.本発明の電源装置について
本発明は、複数の2次電池(ユニット)を接続することで大電流を供給することを可能とした電源装置に関する。本発明の電源装置は、1)成形体と、2)電極群と、3)電解液と、4)ヒータとを有する。従来の電源装置では、電極群および電解液と、電極群および電解液を収容するケースとを有する単電池を成形体に挿入していたのに対し、本発明の電源装置は、ケースに収容されていない電極群および電解液を、成形体に直接収容することを特徴とする。また従来の電源装置では、電池昇温用のヒータを成形体の外側に設置していたのに対し、ヒータを成形体の内部に設置することを特徴とする。以下それぞれの構成部材について説明する。
【0039】
1)成形体
成形体は、後述する電極群と電解液とヒータとを収容するための部材である。第1に成形体は、複数の独立した収容穴を有する。ここで「独立した」とは、各収容穴が互いに連通(液絡)していないことを意味する。成形体に設けられた収容穴は、成形体を貫通していてもよいし(図6参照)、貫通していなくともよい(図13参照)。収容穴の形状は特に限定されない。収容穴は、角柱状であってもよいし、円柱状であってもよい。
【0040】
また、収容穴の数は、電源装置の出力によって適宜選択されるが、通常は10〜40個である。それぞれの収容穴には後述する電極群および電解液が収容される。成形体の収容穴に収容された電極群および電解液は、ニッケル−水素電池や、ニッケル−カドミウム電池、リチウムイオン電池、リチウム空気電池、空気亜鉛電池などの二次電池として機能する。成形体の一つの穴に収容され、二次電池として機能する電極群および電解液を、以下「ユニット」とも称する。したがって、本発明では、成形体が複数のユニットを有する。
【0041】
第2に成形体は、ヒータ挿入用の穴を有する。このヒータ挿入用の穴は成形体を貫通していてもよいし、貫通していなくともよい。また形状と個数と位置は特に限定されない。これらの諸元は電源装置の求める性能とヒータ仕様により適宜決められる。成形体のヒータ挿入用の穴にヒータが内蔵されることで、寒冷時であっても電源装置を使用することができる。ヒータとユニットが熱伝導率の高い成形体のみを介して繋がる為、昇温のエネルギ効率は極めて高く、成形体の熱伝導率が高いため成形体の温度分布巾は小さく、したがってユニットの温度ばらつきも小さい。
【0042】
また、成形体は、収容穴とヒータ挿入穴以外に、成形体の熱容量を調節するための穴や、冷媒通路用の孔を有していても良い。
【0043】
成形体の材料は、熱伝導性が高いことが好ましい。より具体的には、成形体の材料の熱伝導率は1W/mK以上であることが好ましく、50W/mK以上であることが特に好ましい。このような、成形体の材料の例には、アルミニウムや、マグネシウム、鉄、ニッケル、カーボン、およびこれらの合金などが含まれる。特に、A6063などのアルミニウム合金は、熱伝導性が高く成形が容易であることから、成形体の材料として好ましい。また、成形体の材料は、カーボンナノチューブやカーボングラファイトなどが分散された樹脂であってもよい。
【0044】
成形体は、上述のように高い熱伝導率を有するので、高い放熱率を有する。また、本発明では、成形体に放熱フィンを形成したり、冷媒流路を形成したりすることで、成形体の放熱率をさらに高めてもよい。
【0045】
成形体の作製方法は特に限定されないが、例えば押し出し成形が好ましい。押し出し成形とは、加熱したビレットをダイス金型を通して押し出すことで、材料の形状を成形する方法である(図7参照)。押し出し成形によれば低コストで成形体を作製することができる。押出し成形によって作製された部材は、押出形材とも称される。
【0046】
このとき放熱フィンやヒータ挿入穴も同時に成形すると、部品点数や加工工数が削減され接触熱抵抗も生じないなどの利点があり、好ましい。
【0047】
2)電極群
電極群は、シート状の正極と、シート状の負極と、正極と負極との間に配置されたシート状のセパレータと、を巻くことで構成される。上述のように本発明では、電極群は、成形体の収容穴に直接収容されることを特徴とする。したがって、本発明では、電極群が成形体に接触する。
【0048】
正極は、正極集電体および正極集電体上に配置された正極合剤層を有する。負極は、負極集電体および負極集電体上に配置された負極合剤層を有する。
【0049】
正極集電体および負極集電体は、正極合剤層または負極合剤層を保持するとともに集電機能を有する電極基体である。正極集電体および負極集電体は、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔などの金属箔や、表面に金属が蒸着されたPETなどの高分子フィルム、導電性高分子フィルムなどからユニットの種類に応じて適宜選択される。例えば、ユニットがリチウムイオン電池として機能する場合、正極集電体はアルミニウム箔であり、負極集電体は銅箔である。
【0050】
セパレータは、正極と負極を絶縁し、かつ正極と負極との間のイオン伝導性を確保する部材である。セパレータの材料は、電源装置の使用時に安定な素材であれば特に限定されず、例えば、絶縁性の高分子多孔フィルムである。セパレータは、例えば、アルミナシリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの無機物粒子や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドなどの有機物粒子、前記無機物粒子と有機物粒子との混合物、結着材、溶媒、各種添加剤などを混合したものを、塗布し、乾燥させ、圧延することにより作製することができる。また、セパレータの厚みは、特に限定されないが、例えば10〜25μmである。
【0051】
成形体に接触する電極群の部位は、正極集電体または負極集電体が好ましい。一般にこれらは金属であり、一般に樹脂系であるセパレータより熱伝導性が高い。正極合剤や負極合剤の場合は、収容孔に電極群を挿入する際に、合剤が剥離する恐れがある。
【0052】
3)電解液
電解液は、溶媒と、電解質とを含む。上述のように本発明では、電解液は、成形体の収容穴に直接収容されることを特徴とする。したがって、本発明では、電解液が成形体に接触する。
【0053】
溶媒は、ユニットの種類によって適宜選択される。例えばユニットがリチウムイオン電池として機能する場合、溶媒は非水系溶媒である。非水系溶媒の例には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γーブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γーブチロラクトンなどが含まれる。これらの非水溶媒は、単独で使用されてもよいし、2種以上を混合して使用されてもよい。
【0054】
一方、ユニットがニッケル−水素電池や、ニッケル−カドミウム電池、空気亜鉛電池、リチウム空気電池などとして機能する場合、溶媒は水である。
【0055】
電解質も、ユニットの種類によって適宜選択される。例えばユニットがリチウムイオン電池として機能する場合、電解質の例は、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]などのリチウム塩を含む。
【0056】
一方、ユニットがニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池、空気亜鉛電池として機能する場合、電解質の例は、水酸化カリウムなどを含む。
【0057】
4)ヒータ
成形体に内蔵されるヒータの形式は限定されない。例えばカートリッジヒータやシーズヒータ、フィルムヒータなどでもよいが、目的は氷点下の環境温度下から電池性能が発揮される10℃前後までユニットを昇温させることなので、高性能だが高価なヒータは必要なく、より簡便に1本のヒータ線(例えばニクロム線)で構成されるのが好ましい。
【0058】
ヒータの個数は限定されないが、成形体が大きく、電極群が多数ある場合は1個の大容量ヒータではなく、複数個の小容量ヒータを成形体内に満遍なく配置するのが好ましい。加熱ムラがさらに押さえられるからである。1個のヒータを電極群が囲むように配置し、ヒータと電極群の距離がすべて等しい配置とすると加熱ムラが最少となり、なお、好ましい。(図5参照)。
【0059】
複数個のヒータを内蔵する場合、個々の独立したヒータ線を導線で直列に接続しても、並列に接続してもよいが、より簡便に接続用の導線を使用せず、1本のヒータ線(例えばニクロム線)から複数個のヒータを構成するのが好ましい。(図8参照)。
【0060】
これは例えば1本のニクロム線で連続して複数のコイル状の部分をつないだ形の成形をし、成形体と絶縁するためコイル部分を樹脂で固めた後、成形体に挿入される。
【0061】
また、本発明の電源装置は、温度センサとヒータまたはクーラとを含む温度調節機構を有していてもよい。温度調節機構により、電源装置が高温になり過ぎたり、低温になりすぎたりすることを防止することができる(図5及び図9参照)。また、ヒータが異常昇温した場合も、大事に至る前に回路をシャットダウンできる。
【0062】
この温度調節機能は電源装置の製作過程において利用することができ、成形体の高い熱伝導性もあり、電池の仕上げ工程のエージングなどにおいてユニットの温度ばらつきを極めて小さくすることが可能で、電気容量のばらつきをおさえ電池品質を均質にすることが可能である。
【0063】
また、本発明の電源装置はヒータへの電力供給を電圧の異なる複数の系統から選択可能な電源切り替え部を有していてもよい。(図5、9参照)電気自動車がガレージ内にあるときは、例えば外部のAC100V電源から電力供給し、路上にある場合は、車内の例えばDC24V電源から電力供給する。これにより外部電源使用時はさらに急速に昇温が可能となる。
【0064】
5)その他
本発明の電源装置は、さらに、成形体の収容穴を塞ぐ封口板を有する(図6参照)。封口板は、電極群からのリードと接続されており、電極端子を有する。封口板には、ユニットが発火した場合に圧力を逃がすための防爆弁が形成されていてもよい(図6参照)。
【0065】
このように形成された電源装置の電圧は通常、1.2〜3.7Vであり、容量は25〜120Ahである。さらに大きな電圧や出力が必要な場合は、複数の本発明の電源装置を接続すればよい。例えば、大電流が求められる自動車用電源装置では、7つの本発明の電源装置が直列に接続されたモジュールが、14個、直列に接続される。
【0066】
本発明によれば、ユニットの温度上昇による性能の低下や熱暴走を防止することができるとともに寒冷時の始動を効率よく短時間で行うことができる。ユニットの温度上昇による性能の低下や熱暴走を防止することができるメカニズムについては、以下の「本発明の電源装置における熱の挙動について」で詳細に説明する。
【0067】
2.本発明の電源装置における熱の挙動について
次に上述のような構造を有する本発明の電源装置を使用したときの、ユニットが発する熱の挙動について説明する。
【0068】
本発明の電源装置を使用中には、各ユニットが放電し、電流が供給される。このとき各ユニットが提供するエネルギの一部は熱に変換される。このため電源装置の使用中は、各ユニットは熱を発する。ユニットが発する熱がユニット内に留まると、ユニットの温度が上昇し、ユニットの性能が低下する。
【0069】
また、電極群に混入した金属片などの異物などによって、ユニットの正極と負極とがショートした場合、ユニットが有するエネルギの多くが熱に変換されてしまう。
【0070】
例えば、電源装置に含まれる1つのユニットの電圧が3.6Vで、容量が4Ahである場合、1つのユニットが有するエネルギは、
3.6V×4Ah=14.4Wh=51836J
である。
【0071】
このような大きなエネルギが熱に変換されてしまうと、ユニットが急激に発熱し、熱暴走が発生することがある。ここで「熱暴走」とは、発熱が発熱を招くという正のフィードバックにより、温度の制御ができなくなる現象を意味する。
【0072】
具体的には、熱暴走では、正極が分解することで酸素が放出され、電解液が酸化分解することで、さらなる熱が発生する。このため熱暴走が生じるとユニットが発火し、類焼や爆発の原因となる。リチウムイオン電池の場合、通常、電池の温度が約170℃を超えると、熱暴走が起こる。
【0073】
このように、ユニットの性能低下およびユニットの熱暴走を抑制するために、ユニットから熱を奪い、ユニットを効率よく冷却する必要がある。
【0074】
本発明では、ユニットが直接成形体の収容穴に収容されるので、ユニットと成形体と間に隙間が形成されることがなく(図2参照)、ユニットと成形体とは確実に接触する。また、上述のように成形体は、熱伝導率の高い材料からなる。このため、ユニットの熱は、速やかに成形体に奪われ、ユニットが効率的に冷却される。
【0075】
また、上述のように収容穴が角柱(例えば四角柱)である場合、収容穴の形状が円柱である場合と比較して、ユニットと成形体との接触面積が増大する。このため、収容穴が角柱(例えば四角柱)であると、成形体はユニットからより効率的に熱を奪うことができる。
【0076】
ユニットから成形体に伝達された熱は、成形体の外部に放出される。上述のように、本発明では成形体の放熱率が高いので、成形体に伝達された熱は速やかに外部に放出され、成形体自体が高温になることはない。
【0077】
また、本発明の電源装置では、複数のユニットを有する。このため、1つのユニットが作動しなかった場合でも、他のユニットが作動すれば、電流を供給することができる。このため、本発明の電源装置は信頼性が高い。
【0078】
以下、本発明を図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明するが、本発明は図示された実施の形態に限定されない。
【0079】
[実施の形態1]
図5は、実施の形態1の電源装置100の斜視図である。図6は、図5に示された実施の形態1の電源装置100の一点鎖線Aによる断面図である。
【0080】
図5および図6に示されるように、電源装置100は、成形体110と、ユニット120と、ヒータ302と、電源切り替え部303と、温度センサ305とを有する。また、電源装置100は、正極封口板130と負極封口板140とを有する。
【0081】
成形体110は、例えばアルミニウムからなる。成形体110は、複数の収容穴111を有する。収容穴111は、成形体110を貫通する。収容穴111にはユニット120が収容されている。また成形体110はユニット120が挿入された収容穴111の間の内部空間の穴115にヒータ302を有する。
【0082】
成形体110の寸法は特に限定されないが、例えば、長さLが140〜180mmであり;奥行きWは50〜90mmであり;高さHが40〜80mmである(図5参照)。また、収容穴の直径Φは、10〜30mmである(図6参照)。
【0083】
また、成形体110は、複数の放熱フィン113を有する(図5参照)。図5では成形体110が板状の放熱フィンを有する例を示したが、成形体110は、図7Aに示されるような、棒状の放熱フィン113を有してしてもよい。棒状の放熱フィンは、板状の放熱フィンと比較して表面積が大きいので、成形体110の放熱率をより向上させることができる。また、図7Bに示されるように、放熱フィン113に複数の突起117を設けることで、放熱フィン113の表面積を増大させてもよい。
【0084】
図5に示すように、放熱フィン113を成形体110の収容穴111、115と同じ方向にフィンを延ばす構造とすれば、すべて押出一体成形できるので、効率的である。
【0085】
次に図8を用いて、ヒータ302の構造を説明する。図8はヒータ302の斜視図である。ヒータ線308はつなぎ目のない1本のニクロム線であり、成形体110に内蔵される部分はらせん状に成形されたコイル部309とそのリターン部310からなる。さらにコイル部309とリターン部310は成形体110と電気的に絶縁するため、絶縁体311でくるまれる。この絶縁体311は、例えば樹脂で、ヒータ線308が成形されたあと、インサート成形される。このように構成されたヒータ302が成形体110の内部に挿入され、接着剤等で固定される。このヒータ302の構造はカートリッジヒータやシーズヒータに比較し、きわめて構造が単純で、したがって低価格で製作が可能で、かつ溶接や半田付けされる接点が無いため振動に強いという利点を有する。
【0086】
ユニット120は、収容穴111に収容され、電極群121と、電解液123とを有する(図6参照)。電極群121と電解液123とは、成形体110に接触する。また、ユニット120は、正極と負極とのショートを防止する絶縁板129を有する。
【0087】
図6に示されるように、ユニット120が収容された収容穴111は、正極封口板130と負極封口板140とで塞がれる。
【0088】
正極封口板130は、正極端子131と、防爆弁133と、電解液供給孔135とを有する。また、正極封口板130は、電極群121の正極から伸びた正極リード125と接続している。
【0089】
負極封口板140は、負極端子141とガスケット143とを有する。ガスケット143は、負極端子141を絶縁している。負極端子141は、電極群121の負極から伸びた負極リード127と接続している。負極リード127は例えばニッケルからなる。
【0090】
ヒータ302の一端は電源切り替え部303に接続され、他の端は温度調整部304に接続される。成形体110には温度センサ305が装着されており、その出力は温度調整部304に入力されている。電源切り替え部303は、また、電源装置100の外にある第1の電源306と第2の電源307と接続される(図9参照)。
【0091】
このように構成された電源装置300の温度調節機能と電源切り替え機能を、図9を用いて説明する。図9は電源装置100のヒータ制御システム構成図である。図9に示す第1の電源306は、例えば自動車内にあるDC電源であり、第2の電源307は自動車外にある外部AC電源である。電源切り替え部303は、充電時、状況により第1の電源306からか、第2の電源307から供給するかを選択できる。例えば、出先で外部電源が接続できない場合は、電源装置100を含む車載電池から電源が供給されるが、低温のため大電流を流せないので、例えばDC24V程度に減圧し時間をかけて昇温する。一方、ガレージ内など外部電源が接続できる場合は、例えばAC100Vで大電流を流し、短時間で昇温させる。
【0092】
例えば、成形体の材質がアルミニウムで約450gの質量を有し、内部に20本のユニットを有する場合、1本4.6Ωのヒータを5本内蔵させると、DC24V時は昇温に約30分要するが、AC200V時は約1分40秒で昇温することができる。このように電源切り替え部303を有することで、状況に応じて最適に昇温することが可能となる。
【0093】
温度調整部304は温度センサ305からの温度情報を元に電源装置100を所定の温度に保つことを可能とする。この機能により寒冷時のヒータによる電池の昇温の行き過ぎを防止することができる。さらに、成形体110に直接、温度センサ305を装着することにより、電源装置100製造時にも極めて大きな利点をもたらす。通常リチウムイオン電池は、仕上げ工程で放置エージングと充放電エージングを必要とし、そのときの温度条件は電池容量などの品質安定化に大きな影響を及ぼす。そのため通常は電池を長時間一定温度で収納するための巨大で高価な高温装置が必要とされる。しかし、本電源装置は内部にヒータと温度センサを有することにより、そのような高価な高温装置を必要とせず、放置エージング時または充放電エージング時の電池の温度を一定に保つことができ、性能が安定した電池を製作できるという利点を有する。
【0094】
このように、本実施の形態では、ユニット120が成形体110に直接収容される。このため、電源装置100の使用時に、ユニット120の熱が成形体110に奪われ、ユニット120が効率的に冷却される。このため、本実施の形態によれば、温度の上昇によるユニットの性能の低下および熱暴走を抑制することができる。
【0095】
また、本実施の形態では、ユニットが成形体110に直接収容されているので、電極端子と、実際に電力を生み出す電極群とを介在する部材が少ない。このため、ユニットから電流をロスなく取り出すことができる。一方、電極群および電解液と、電極群および電解液を収容するケースとを有する単電池を成形体に挿入する従来の電源装置では(特許文献3参照)、電極群と電極端子との間にケースなどの部材が介在するので、電流がロスするおそれがある。
【0096】
また、1本のヒータ線からなる安価なヒータを提供することができ、それを成形体の内部に内蔵することで寒冷時の昇温を効率的かつ均一に行うことができる。さらに温度センサを有することで、製作時の電池性能の均一化が図れる。また電源切り替え部を有することで、外部電源が使える場合、使えない場合の状況に応じた適切な昇温が可能となる。
【0097】
次に、本実施の形態の電源装置100の製造方法について、図10、図11および図12を参照しながら説明する。
【0098】
電源装置100の製造方法は、例えば、1)成形体110を準備する第1ステップ(図10A〜C参照)と、2)成形体110の収容穴111に、電極群121を挿入する第2ステップ(図11A)と、3)封口板で収容穴111を塞ぐ第3ステップ(図11B)と、4)電解液供給孔135から収容穴111内に電解液123を注入する第4ステップ(図11C)と、5)成形体110の穴115にヒータ302を挿入する第5ステップと、を有する。以下それぞれのステップについて説明する。
【0099】
第1ステップでは、成形体110を準備する。成形体110を準備するには、成形体110を押出し成形で作製すればよい。押出し成形による成形体の作製方法は、例えば、適温に加熱されたアルミビレット150を耐圧容器のコンテナ151に挿入するステップ(図10A参照)と、挿入されたアルミビレット150を押盤153でダイス155方向に押し込むステップ(図10Bおよび図10C参照)とを有する。コンテナ151に挿入されるアルミビレット150の温度は、約400℃であることが好ましい。
【0100】
アルミビレット150を押盤153でダイス155方向に押し込むことで、アルミビレット150はダイス孔157から押出され(図10B参照)、所望の形状を有する成形体110が作製される(図10C参照)。
【0101】
図11Aは、第2ステップを示す。図11Aに示されるように第2ステップでは、成形体110の収容穴111に、電極群121を挿入する。電極群121は正極リード125と負極リード127とを有する。図8Aに示されるように、正極リード125には予め正極封口板130が接続され、負極リード127には予め負極封口板140が接続されていてもよい。
【0102】
図11Bは、第3ステップを示す。図11Bに示されるように第3ステップでは、正極封口板130および負極封口板140を成形体110に接続し、収容穴111を塞ぐ。封口板を成形体に接続する手段の例には、レーザ溶接、かしめ、コイニング、超音波溶接、熱溶着、ロウ付け、プレス、摩擦接合およびネジ留めなどが含まれる。電解液の漏れを防止するという観点からは、封口板は、レーザ溶接で成形体110に接合されることが好ましい。
【0103】
図11Cは、第4ステップを示す。図11Cに示されるように第4ステップでは、正極封口板130の電解液供給孔135から、電解液123を注入する。その後、電解液供給孔135を防爆弁133で塞ぐ。
【0104】
次に、ヒータ302の製造方法を、図12を用いて説明する。
【0105】
ヒータ線は例えば線径が0.2mm〜1mmのニクロム線であり、リール312に巻かれている。最初にリール312からヒータ線の一端を引き出し、固定ピン313に固定する。固定ピン313の隣に第1巻取りピン314があり、巻取りピン314の軸心を中心に固定ピンと巻取りピンを保持している巻取りピンベース315が回転し、回転と同時に徐々に下降してゆく。この動作でコイル部309が形成される。なお、このとき他の巻取りピンはヒータ線が絡まないように下方に退避している。所定の巻き数が巻かれると停止し、第2巻取りピン316が上昇する。次に第2巻取りピン316の軸心を中心に再び巻取りピンベース315が回転と下降をする。以下、第3巻取りピン317、第4巻取りピン318、第5巻取りピン319と、同じ動作を繰り返す。
【0106】
最後にカッター320がヒータ線308を切断する。次にこのヒータ線308に曲げ加工を施し、リターン部310を形成し、図11に示す形状とする。最後にコイル部309に電気絶縁のための絶縁体311をモールド成形しヒータ302が完成する。
【0107】
第5ステップでは、このヒータ302を成形体110の穴115に挿入し、接着固定する。
【0108】
以上のようにして、実施の形態1の電源装置100が製造される。
【0109】
[実施の形態2]
実施の形態1では、収容穴が成形体を貫通する形態について説明した。実施の形態2では、収容穴が成形体を貫通しない形態について説明する。
【0110】
図13は実施の形態2の電源装置200の断面図である。電源装置200は、収容穴211の形状が異なる以外は、図6に示された実施の形態1の電源装置100と同じである。実施の形態1の電源装置100と同一の構成部材については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0111】
図13に示されるように電源装置200は、成形体210および封口板230を有する。成形体210は、収容穴211を有する。収容穴211は、成形体210を貫通していない。このような成形体210は、例えばインパクト成形によって成形されることができる。
【0112】
封口板230は、負極端子231を有する。負極端子231は負極リード127と接続している。負極端子231は、ガスケット233によって絶縁されている。
【0113】
このように、本実施の形態では、インパクト成形で成形体を作製するので、より簡便に電源装置を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の電源装置は、フォークリフトやハイブリッドカー、電気自動車などの車両用電源装置、電子機器のバックアップ電源および家庭用の蓄電池装置として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0115】
1,100,200,300 電源装置
3,110,210 成形体
111,211 収容穴
113 放熱フィン
115 穴
120 ユニット
22,23,302 ヒータ
303 電源切り替え部
304 温度調整部
305 温度センサ
306,307 電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の独立した収容穴を有する成形体と、
シート状の正極と、シート状の負極と、前記正極と前記負極とにはさまれたシート状のセパレータとを巻くことで構成され、かつそれぞれの前記収容穴内に収容された、電極群と、
それぞれの前記収容穴内に収容された、電解液と、を有する電源装置であって、
前記電源装置は更に前記成形体の内部空間にヒータを備えること、
を特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記成形体の熱伝導率は、50W/mK以上である、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記成形体の材料は、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ニッケル、カーボンまたはこれらの合金を含む、請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記成形体は、放熱フィンをさらに有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記成形体は、押出形材である、請求項1〜4の何れか一項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記放熱フィンは、押出型材で前記成形体と同時に成形される、請求項4又は5に記載の電源装置。
【請求項7】
前記ヒータが挿入される前記内部空間は、押出型材で前記成形体と同時に成形される穴である、請求項1に記載の電源装置。
【請求項8】
前記ヒータが挿入される前記内部空間が複数個あり前記成形体内に万遍無く配置されたことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項9】
前記ヒータは、前記成形体の複数の内部空間をつなぐ連続した1本のヒータ線で構成される、請求項8に記載の電源装置。
【請求項10】
前記成形体に装着される温度センサを有する、請求項1に記載の電源装置。
【請求項11】
前記ヒータへの電源入力を電圧の異なる複数の系統から選択可能な電源切り替え部を有する、請求項1に記載の電源装置。
【請求項1】
2以上の独立した収容穴を有する成形体と、
シート状の正極と、シート状の負極と、前記正極と前記負極とにはさまれたシート状のセパレータとを巻くことで構成され、かつそれぞれの前記収容穴内に収容された、電極群と、
それぞれの前記収容穴内に収容された、電解液と、を有する電源装置であって、
前記電源装置は更に前記成形体の内部空間にヒータを備えること、
を特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記成形体の熱伝導率は、50W/mK以上である、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記成形体の材料は、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ニッケル、カーボンまたはこれらの合金を含む、請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記成形体は、放熱フィンをさらに有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記成形体は、押出形材である、請求項1〜4の何れか一項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記放熱フィンは、押出型材で前記成形体と同時に成形される、請求項4又は5に記載の電源装置。
【請求項7】
前記ヒータが挿入される前記内部空間は、押出型材で前記成形体と同時に成形される穴である、請求項1に記載の電源装置。
【請求項8】
前記ヒータが挿入される前記内部空間が複数個あり前記成形体内に万遍無く配置されたことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項9】
前記ヒータは、前記成形体の複数の内部空間をつなぐ連続した1本のヒータ線で構成される、請求項8に記載の電源装置。
【請求項10】
前記成形体に装着される温度センサを有する、請求項1に記載の電源装置。
【請求項11】
前記ヒータへの電源入力を電圧の異なる複数の系統から選択可能な電源切り替え部を有する、請求項1に記載の電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−195187(P2012−195187A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58829(P2011−58829)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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