説明

電源装置

【課題】複数個の電池モジュールを備えた電源装置において、劣化した電池モジュールを精度よく検知でき、電池モジュールの交換が容易な電源装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の電源装置は、複数個の電池モジュールを備え、各電池モジュールは複数の二次電池セルを含む。二次電池セルは、電池ケースと電池ケース内に密閉された発電要素とを備える。電池ケースは、発電要素からのガス発生により内部圧力が上昇したときに開放してガスを外部に放出させるための防爆弁を有する。また、電源装置は、各電池モジュールに含まれる各防爆弁からのガス放出を検知するための圧力センサが電池モジュールごとに配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の電池モジュールを備えた電源装置に関し、詳しくは、劣化した電池モジュールを検知するためのセンサを備えた電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動源である電気モータに電力を供給するための電源装置には、複数の二次電池セルを一体化した電池モジュールをさらに複数個組み合わせた電源装置が用いられている。二次電池セルの例としては、例えば、リチウムイオン二次電池が挙げられる。
【0003】
二次電池セルは、高温環境下での使用時、または過充電などの異常時に、電解液が分解することなどにより電池ケース内にガスが発生して内部圧力が上昇することがある。二次電池セルの電池ケースには、通常、電池ケース内部のガス圧力が上昇しすぎた場合に、ガスを外部へ排出させることにより安全性を確保するための防爆弁が設けられている。防爆弁は、電池の内圧が上昇しすぎた場合に開放されることにより、電池ケースの破裂や電池内容物の飛散を未然に防止する。
【0004】
防爆弁が開放された二次電池セルは、破損した二次電池セルである。従ってこのような二次電池セルに対しては、速やかに充放電を中止させ、必要に応じて交換される必要がある。このために、防爆弁が開放された二次電池セルを速やかに検知する方法が求められている。
【0005】
特許文献1は、防爆弁が開いて電池内部から高温のガスが排出されたときに、排出されたガスの温度を温度センサで検出することにより、防爆弁の開放を検知するパック電池を開示する。また、特許文献2は、電池ケースの内部に内部圧力の上昇を検出するための圧力センサを配設したリチウム二次電池を開示する。また、特許文献3は、防爆弁の上方に導線を張設し、防爆弁の開放に伴うガスの噴出力による導線の破断により、防爆弁の開放を検知させるリチウムイオン電池を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−25938号公報
【特許文献2】特開2002−289265号公報
【特許文献3】特開2005−322471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、電気自動車などに用いられる電源装置として、電池モジュールを複数個組み合わせた電源装置が用いられている。1個の電池モジュールは、複数の二次電池セルから構成されている。電源装置を構成する電池モジュール内の特定の二次電池セルが破損した場合には、破損した二次電池セルのみを交換するのではなく、破損した二次電池セルを含む電池モジュールを丸ごとユニットとして取り替える方法が、コストおよび取替えの手間の面から好ましい。
【0008】
上述した従来知られた方法によれば、内部圧力の上昇により破損した二次電池を含む電池モジュールの検知が速やかに行われなかったり、電池モジュールの交換作業を煩雑にさせたりするという不具合がある。具体的には、例えば、特許文献1に開示された、排出ガスの温度を温度センサで検出することにより防爆弁の開放を検知するパック電池によれば、防爆弁開放直後は排出されるガスの温度が低いため、防爆弁の開放を温度センサが検知するまでに時間がかかる。また、特許文献2に開示されたリチウム二次電池においては、圧力センサが電池ケースの内部に設けられるために、圧力センサが電解液などと接触することにより圧力センサの損傷や誤作動を生じさせるおそれがある。さらに、圧力センサが電池ケースの内部に設けられるために、電池モジュールの交換作業が煩雑になる。また、特許文献3に開示されたリチウム二次電池においては、防爆弁の上方に張設された導線を物理的に破断することにより防爆弁の開放を検知するために、車載時の振動などにより意図せずに導線が破断し、防爆弁の開放が誤検知されるおそれがある。さらに、二次電池セル毎に導線を張設する必要があるために、電池モジュールの製造コストが高くなる。
【0009】
本発明は、複数個の電池モジュールを備えた電源装置において、劣化した電池モジュールを精度よく検知でき、電池モジュールの交換が容易な電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面は、複数個の電池モジュールを備えた電源装置であって、各電池モジュールは、複数の二次電池セルを備え、二次電池セルは、電池ケースと電池ケース内に密閉された発電要素とを備え、電池ケースは、発電要素からのガス発生により内部圧力が上昇したときに開放してガスを外部に放出させるための防爆弁を有しており、各電池モジュールに含まれる各防爆弁からのガス放出を検知するための圧力センサが電池モジュールごとに配設されていることを特徴とする電源装置である。
【0011】
リチウムイオン二次電池などの二次電池セルにおいて、防爆弁が開放する時の電池ケースの内圧は、例えば、10〜30気圧に達する。このため、上記電源装置において、電池モジュールに含まれる少なくとも1つの二次電池セルの防爆弁が開放されたときには、圧力センサによって、防爆弁が開放されたことを瞬時にかつ正確に検知することができる。
【0012】
上記電源装置の圧力センサは、
(i)各電池モジュールに含まれるいずれかの防爆弁からのガス放出を検知するための1つの共通の圧力センサであること、または、
(ii)各防爆弁に対して個別に設けられていること、が好ましい。これらの場合において、圧力センサは、防爆弁の開放により電池ケースから排出されたガスの風圧を検知するセンサであることが好ましい。
【0013】
圧力センサは、各電池モジュールに対して着脱自在に配置されており、各電池モジュールは、電源装置から個別に着脱自在に配置されていることが、破損した二次電池セルを含む電池モジュールを丸ごとユニットとして取り替える上で好適である。
【0014】
上記電源装置は、各電池モジュールに含まれる各防爆弁と気密に接続され、防爆弁の開放時に開放された防爆弁を介して電池ケースの内部と連通する複数の密閉室をさらに備え、各密閉室は、密閉室内の圧力変化を検知するための圧力センサを備えることが好ましい。また、密閉室は、各電池モジュールに含まれる複数の防爆弁とそれぞれ気密に接続される複数の連結管を備え、防爆弁の開放時に、防爆弁が開放された電池ケースの内部と密閉室とが連結管を通じて連通することが好ましい。
【0015】
密閉室は、各電池モジュールに対して着脱自在に配置されており、各電池モジュールは、電源装置から個別に着脱自在に配置されていることが、破損した二次電池セルを含む電池モジュールを丸ごとユニットとして取り替える上で好適である。
【0016】
上記電源装置は、さらに充放電制御部を備え、充放電制御部は、圧力センサが防爆弁からのガス放出を検知した時に、防爆弁が開放された二次電池セルを含む電池モジュールに対する充電または放電を停止させることが好ましい。
【0017】
この場合、電池モジュールに含まれる少なくとも1つの二次電池セルの防爆弁が開放されたときには、このことを圧力センサが検知して、充放電制御部に伝えられる。防爆弁の開放が伝えられた充放電制御部は、防爆弁が開放された二次電池セルを含む電池モジュールに対して、充電または放電を停止させる。それゆえ、上記電源装置によれば、防爆弁の開放を瞬時にかつ正確に検知した上で、防爆弁が開放された二次電池を含む電池モジュールが充放電されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電池モジュールに含まれる少なくとも1つの二次電池セルの防爆弁が開放されたことを、圧力センサによって瞬時にかつ正確に検知することができる。それゆえ、複数個の電池モジュールを備えた電源装置において、破損した二次電池セルを含む電池モジュールを精度よく検知でき、電池モジュールの交換が容易な電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る電源装置の概略構成を示す上面図である。
【図2】電源装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【図3】電池モジュールを構成する二次電池セルを模式的に示す斜視図である。
【図4】電池モジュールを模式的に示す斜視図である。
【図5】拘束部材の外観を模式的に示す斜視図である。
【図6】他の実施形態に係る電池モジュールの外観を模式的に示す斜視図である。
【図7】さらに他の実施形態に係る電池モジュールの外観を模式的に示す斜視図である。
【図8】図7に示す防爆弁作動検知装置のVIII−VIII断面の模式図である。
【図9】図7に示す防爆弁作動検知装置のIX−IX断面の模式図である。
【図10】実施形態に係る電源装置における充放電制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の好ましい実施形態および添付する図面を参照することによって、より明白となる。
【0021】
図1および図2を参照して本発明の一実施形態に係る電源装置10を説明する。
図1は電源装置10の上面模式図、図2は電源装置10の斜視模式図である。図1および図2中、11は二次電池セルであり、12は複数の二次電池セル11を積層するように配置して、互いに電気的に接続した構成体からなる電池モジュールである。また、13は圧力センサ、14は充放電制御部、15は圧力センサ13と充放電制御部14とを接続する配線、16は各圧力センサ13からの信号を受ける入力端子である。なお、図2においては、説明の便宜上、充放電制御部14、配線15、入力端子16、および後述する接続板30の図示を省略した。
【0022】
はじめに、電池モジュール12を構成する二次電池セル11について説明する。図3は、2個の二次電池セル11を示す斜視図である。二次電池セル11は、後述するような正極および負極を含む発電要素を、筐体である電池ケース17に収容して、密閉している。正極は電池ケース17の蓋部18に接続されており、蓋部18は二次電池セル11の正極端子として機能する。負極は負極端子19に接続されている。負極端子19は蓋部18に設けられた貫通孔20から、絶縁部材を配置することによって蓋部18との絶縁状態を維持した状態で、二次電池セル11の外部へと突出するように配置されている。蓋部18には、電池ケース17内の圧力が上昇したときに開放することによりガスを外部に放出させるため防爆弁21が設けられている。また、蓋部18には、電池ケース17を封口した後に、電池内に電解液を注入するための注液口22を備える。電池ケース17は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼などの導電部材から形成されている。
【0023】
防爆弁21は、電池ケース17内の圧力が上昇したときに開放されて、電池ケース17内のガスを外部に放出させる。防爆弁21は、例えば蓋部18の防爆弁21を形成する位置の肉厚を薄く形成したり、防爆弁21を形成する位置の輪郭に沿って蓋部18の表面に切り込み入れたりすることにより、電池ケース17内の圧力が上昇したときに破断するように形成される。
【0024】
発電要素は、正極、負極、これらの間に介在されたセパレータ、および電解液で構成された二次電池である。二次電池の具体例としては、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池などが挙げられる。リチウムイオン二次電池の場合は、正極にコバルト酸リチウムなどの各種リチウム含有複合金属酸化物などが用いられ、負極に黒鉛などの炭素材料やケイ素、スズ、またはそれらの合金、酸化物、窒化物などが用いられ、電解質として非水電解質が用いられる。また、ニッケル水素二次電池の場合には、例えば、正極にオキシ水酸化ニッケルなどが用いられ、負極に水素吸蔵合金、電解液に水酸化カリウム水溶液が用いられる。
【0025】
次に、複数の二次電池セル11が積層され、互いに電気的に接続して構成された電池モジュール12について、図4を参照して説明する。図4は、電池モジュール12の斜視図である。
【0026】
電池モジュール12においては、図4に示すように複数の二次電池セル11の蓋部18側が同じ向きになるように積層されている。このように蓋部18を揃えて配置することにより、各二次電池セル11に備えられた防爆弁21が一方向に並ぶ。このように配置した場合には、圧力センサ13を、一方の側のみに配置することができるために、圧力センサ13の配設が容易になる。
【0027】
電池モジュール12を構成する複数の二次電池セル11は、図4に示すように、拘束治具である、一対のエンドプレート23、24と、4本の拘束部材25a、25b、25c、25dと、一対の連結部材26a、26bにより締結されている。
【0028】
電池モジュール12は、複数の二次電池セル11の積層方向の外側に、一対のエンドプレート23、24を備えている。一方のエンドプレート23の4つの隅部は、4本の棒状の拘束部材25a〜25dのそれぞれの一端部と連結されている。他方のエンドプレート24の4つの隅部は、4本の拘束部材25a〜25dのそれぞれの他端部と連結されている。また、一対のエンドプレート23、24は、それぞれの長辺側の中央部分において、一対の棒状の連結部材26a、26bにより互いに連結されている。
【0029】
図5に、電池モジュール12を構成する複数の二次電池セル11を束ねるための拘束部材25aの外観を斜視図により示す。拘束部材25aは、その長手方向に並ぶように10個の係合部27を備えている。他の3本の拘束部材25b〜25dも、図5に示す拘束部材25aと同様に、10個の係合部27を備えている。この係合部27には、それぞれ二次電池セル11の隅部が係合される。電池モジュール12を構成する10個の二次電池セル11の4つの隅部が、それぞれ4本の拘束部材25a〜25dの係合部27と係合することにより、10個の二次電池セル11は、一対のエンドプレート23、24間で、4本の拘束部材25a〜25dにより支持される。
【0030】
一対のエンドプレート23、24、および4本の拘束部材25a〜25dには、例えば、ガラス繊維で強化されたポリエチレンテレフタレートや、ポリカーボネートのような、軽量かつ高強度のエンジニアリングプラスチックを用いることができる。一対の連結部材26a、26bには、例えば、アルマイト加工が施されたアルミニウムを用いることができる。
【0031】
電池モジュール12を構成する複数の二次電池セル11のうち、隣り合う2つの二次電池セル11の間には、冷却用の流体を導入するための隙間が設けられていてもよい。図3を参照して、この隙間には、二次電池セル11の膨張を抑制し、かつ冷却用流体の流路を確保するために、波状部28を有するスペーサ29が配置されていてもよい。波状部28の両面には、互い違いに、流体流路である複数の溝が二次電池セル11の短手方向と平行に所定ピッチで設けられている。スペーサ29の素材には、例えば、ガラス繊維で強化されたポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの軽量かつ高強度のエンジニアリングプラスチックを用いることができる。
【0032】
電池モジュール12においては、隣接する二次電池セル11は直列に接続されている。具体的には、図3に示すように、隣接する二次電池セル11のうち、一方の二次電池セル11の正極端子である蓋部18の表面と、他方の二次電池セル11の負極端子19とを接続板30により接続している。さらに詳しくは、接続板30の正極端子接続部30aは、一方の二次電池セル11の正極端子である蓋部18の表面に接続しており、接続板30の負極端子挿入孔30bには、他方の二次電池セル11の負極端子19を挿入している。そして、同じ電池モジュール12の全ての二次電池セル11を同様にして複数の接続板30を介して直列接続している。なお、電池モジュール12においては、二次電池セル11は、9つの接続板30により直列に接続されているが、本発明においては、直列接続に限定されるものではなく、並列接続であってもよい。同じ電池モジュール12内の二次電池セル11を、直列接続された2以上のグループに分けて、直列接続されたグループを並列接続してもよい。
【0033】
図4に示すように、直列に接続された複数の二次電池セル11うち、一端側の二次電池セル11aの正極端子である蓋部18の表面は、正極側外部端子31と接続されており、他端側の二次電池セル11bの負極端子19は、負極側外部端子32と接続されている。正極側外部端子31および負極側外部端子32は、それぞれ、複数個の電池モジュール12を接続して電源装置10を構成する際の接続端子になる。
【0034】
図1および図2に示すように電池モジュール12を複数個(図1では6個)接続し、さらに、各電池モジュール12を構成する複数の二次電池セル11の防爆弁21に対して、圧力センサ13を対向配置することにより、電源装置10が得られる。
【0035】
電源装置10内において、複数個の電池モジュール12は並列に接続されている。各電池モジュール12に設置された圧力センサ13は、配線15を通じて充放電制御部14と接続されている。このため、電池モジュール12に破損した二次電池セル11が生じた場合には、充放電制御部14から指令を送ることにより、その電池モジュール12に対する充放電を停止することができる。また、その後において、充放電を停止された電池モジュール12を電源装置10から取り除くことができる。なお、複数個の電池モジュール12の接続は並列に限定されるものではなく、各電池モジュール12が直列接続されていてもよい。各電池モジュール12は、その電池モジュール12内の各二次電池セル11の電圧、温度、電池ケース内の圧力などを監視するモジュールECUを備えていてもよい。この場合には、各電池モジュール12のモジュールECUで収集され、充放電制御部14へと送られた情報に従って、電池モジュール12に対する充放電を制御することができる。
【0036】
図1および図2に示す本実施形態の電源装置10においては、複数の二次電池セル11の各防爆弁21(21a、21b〜21j)に対して、板状の共通の圧力センサ13を1つ配設している。そして、防爆弁21(21a、21b〜21j)の少なくともいずれか1つからガス放出された場合に、圧力センサ13が圧力変化を検知することにより、電池モジュール12内のいずれかの二次電池セル11が破損したことが検知される。この場合の圧力センサ13としては、例えば、導電性ゴムを用いた感圧スイッチ、膜抵抗式のタッチセンサなどを用いることができる。また、圧力センサ13は、例えば、風圧を検知して、圧力変化を検知したことを知らせる信号を充放電制御部14へと出力可能であることが好ましい。
【0037】
上記電源装置10において、各電池モジュール12に備えられている圧力センサ13は、電池モジュール12に対して着脱自在に配置することが好ましい。また、各電池モジュール12は、電源装置10から個別に着脱自在となるように配置することが好ましい。このように配置することで、電池モジュール12内の二次電池セル11が破損したときには、圧力センサ13と各二次電池セル11との接続を解くことにより、電池モジュール12を電源装置10から丸ごとユニットとして取り替えることができる。
【0038】
次に、図1および図2に示した電池モジュール12、ならびに、この電池モジュール12とは異なる形態の電池モジュール40および電池モジュール50の例について、詳しく説明する。
【0039】
他の電池モジュールの形態としては、図6に示すような電池モジュール40が挙げられる。図6は、電池モジュール40の斜視模式図である。
【0040】
電池モジュール40においては、図6に示すように、電池モジュール40を構成する複数の二次電池セル11にそれぞれに設けられた複数の防爆弁21(21a、21b〜21j)に対して、それぞれ1つずつ個別に圧力センサ41(41a、41b〜41j)を対向するように配設している。そして、防爆弁21(21a、21b〜21j)の少なくとも1つからガス放出された場合に、ガス放出した防爆弁21に対向配置された圧力センサ41が圧力変化を検知することにより、電池モジュール40内のいずれかの二次電池セル11が破損したことが検知される。なお、各圧力センサ41は、それぞれ配線により、充放電制御部に接続されている。圧力センサ41としては、例えば、導電性ゴムを用いた感圧スイッチ、膜抵抗式のタッチセンサなどを用いることができる。また、圧力センサ41は、風圧を検知して、圧力変化を検知したことを知らせる信号を充放電制御部へと出力可能であることが好ましい。
【0041】
図6に示す電池モジュール40に備えられている圧力センサ41についても、図1および図2の電池モジュール12の場合と同様に、電池モジュール40に対して着脱自在に配置することができる。このため、電池モジュール40内の二次電池セル11が破損した場合には、各圧力センサ41と各二次電池セル11との接続を解くことにより、電池モジュール40を電源装置から丸ごとユニットとして取り替えることができる。
【0042】
さらに、別の電池モジュールの形態としては、図7〜図9に示すような電池モジュール50が挙げられる。図7は電池モジュール50の斜視模式図であり、図8は図7のVIII−VIII断面の模式図、図9は図7のIX−IX断面の模式図である。
【0043】
電池モジュール50においては、図7に示すように、複数の二次電池セル11における各防爆弁21(21a、21b〜21j)が、防爆弁作動検知装置51における圧力センサ52を備えた密閉室53と、連結管54(54a、54b〜54j)を通じて気密に接続されている。連結管54の先端には、気密性を高めるためにガスケット55を設けることができる。そして、防爆弁21(21a、21b〜21j)のいずれか1つからガス放出された場合には、密閉室53内の圧力が変化し、この圧力の変化を圧力センサ52が検知することにより、電池モジュール50内のいずれかの二次電池セル11が破損したことが検知される。圧力センサ52としては、例えば、歪ゲージ抵抗式、半導体ピエゾ抵抗式、静電容量式などの圧力センサを用いることができる。また、圧力センサ52は、圧力変化を検知したことを知らせる信号を充放電制御部へと出力可能であることが好ましい。
【0044】
防爆弁検知装置51は、図7に示すように、電池モジュール50の一端側で、一対のエンドプレート23、24、および2本の拘束部材25a、25bに固定することができる。防爆弁検知装置51の密閉室53は、電池モジュール50の一端側に固定された状態で、電池モジュール50を構成する各二次電池セル11の電池ケース17と、それぞれの防爆弁21を挟んで気密に接続されている。
【0045】
密閉室53と防爆弁21とは、図8および図9に示すように、防爆弁21の外周縁の外側と気密に接する略筒状の連結管54で接続されている。密閉室53と防爆弁21とが、上述したように連結管54により気密に接続されていることにより、防爆弁21が開放された場合に電池ケース17内で発生したガスを密閉室53内に放出し、密閉室53内の圧力を変化させることができる。
【0046】
図7〜図9に示す電池モジュール50に備えられている、圧力センサ52を有する防爆弁検知装置51は、電池モジュール50に対して着脱自在に配置することができる。このため、電池モジュール50内の二次電池セル11が破損した場合には、防爆弁検知装置51と各二次電池セル11との接続を解くことにより、電池モジュール50を電源装置から丸ごとユニットとして取り替えることができる。
【0047】
なお、図7〜図9では、密閉室53が、電池ケース17の蓋部18との接続部分に連結管54を備える構成を示しているが、密閉室53の形状はこれに限定されるものではない。例えば、密閉室53は、電池モジュール50を構成する複数の二次電池セル11との接続面において、各二次電池セル11の電池ケース17を嵌め込むための貫通孔を備えていてもよい。このような貫通孔の内周縁に、必要に応じてガスケットを配置して、電池ケース17の一端をはめ込むことにより、各電池ケース17と密閉室53とを、各二次電池セル11の防爆弁21を挟んで気密に接続することができる。
【0048】
次に、図1および図10を参照して、電源装置10における、圧力センサ13が圧力変化を検知した場合に、圧力変化が検知された二次電池セル11を含む電池モジュール12に対する充電または放電を停止させる充放電制御について説明する。
【0049】
図10は、電源装置10における充放電制御を説明するためのフローチャートである。
はじめに、二次電池セル11の内圧の上昇により、防爆弁21が開放されて電池ケースからガスが放出されたときには、ガスの放出に伴う圧力変化を圧力センサ13が検知する(ステップS1)。
【0050】
圧力センサ13は、圧力変化を検知したときに、その検知結果を、配線15を通じて充放電制御部14に伝達する(ステップS2)。充放電制御部14は、電池モジュール12内のいずれかの二次電池セル11が破損したことを示す各圧力センサ13からの信号を受ける入力端子16と、入力端子16からの信号出力を受けて、破損した二次電池セル11を含む電池モジュール12に対して、充放電を停止させる図略の充放電制御回路とを備える。充放電制御回路は、例えば、マイクロプロセッサなどの演算手段とランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)などの記憶手段とを備えた集積回路であってもよい。充放電制御回路は、例えば、圧力センサ13の出力信号が所定値よりも大きい場合に、充電回路および放電回路を遮断するようなスイッチを有する。
【0051】
充放電制御部14は、圧力センサ13が検知した防爆弁21が開放された二次電池セル11を含む電池モジュール12に対して、充電回路および放電回路を遮断するようにスイッチをOFFにする命令を送る(ステップS3)。これにより、防爆弁21が開放された二次電池セル11を含む電池モジュール12の充放電が停止される(ステップS4)。
【0052】
そして、好ましくは、さらに、電源装置10は、充放電が停止された電池モジュールを使用者が特定するための報知手段を備えることが好ましい。そして、このような報知手段を備えることにより、使用者は充放電が停止された電池モジュールを認識することができる(ステップS5)。なお、報知手段としては、ランプの点灯または消灯や、警報音などが挙げられる。また、例えば電源装置10が車載用の電源装置である場合には、防爆弁21が開放された時に、駆動用電源に異常が発生したことや、防爆弁21が開放された二次電池セル11を含む電池モジュールの場所を運転者に警告する手段(警告灯の点灯処理など)であってもよい。
【0053】
そして、電源装置10から、防爆弁21が開放された二次電池セル11を含む電池モジュール12のみを交換する(ステップS6)。防爆弁21が開放された二次電池セル11を含む電池モジュール12を早期に発見することにより、他の電池モジュール12に大きな負荷を掛けて損傷を与える前に、電池モジュール12を交換することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、電気自動車やハイブリッド自動車の電気モータに電力を供給する電源装置などの用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 電源装置、 11(11a、11b) 二次電池セル、 12 電池モジュール、 13 圧力センサ、 14 充放電制御部、 15 配線、 16 入力端子、 17 電池ケース、 18 蓋部(正極端子)、 19 負極端子、 20 貫通孔、 21(21a、21b〜21j) 防爆弁、 22 注液口、 23 エンドプレート、 24 エンドプレート、 25a 拘束部材、 25b 拘束部材、 25c 拘束部材、 25d 拘束部材、 26a 連結部材、 26b 連結部材、 27 係合部、 28 波状部、 29 スペーサ、 30 接続板、 30a 正極端子接続部、 30b 負極端子挿入孔、 31 正極側外部端子、 32 負極側外部端子、 40 電池モジュール、 41(41a、41b〜41j) 圧力センサ、 50 電池モジュール、 51 防爆弁検知装置、 52 圧力センサ、 53 密閉室、 54(54a、54b〜54j) 連結管、 55 ガスケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の電池モジュールを備えた電源装置であって、
前記各電池モジュールは、複数の二次電池セルを備え、
前記二次電池セルは、電池ケースと前記電池ケース内に密閉された発電要素とを備え、
前記電池ケースは、前記発電要素からのガス発生により内部圧力が上昇したときに開放して前記ガスを外部に放出させるための防爆弁を有しており、
前記各電池モジュールに含まれる前記各防爆弁からのガス放出を検知するための圧力センサが前記電池モジュールごとに配設されていることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記圧力センサが、前記各電池モジュールに含まれるいずれかの前記防爆弁からのガス放出を検知するための1つの共通の圧力センサである請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記圧力センサが前記各防爆弁に対して個別に設けられている請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記圧力センサは、前記各電池モジュールに対して着脱自在に配置されており、前記各電池モジュールは、前記電源装置から個別に着脱自在に配置されている請求項2または3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記圧力センサが、防爆弁から放出されたガスの風圧を検知するセンサである請求項2〜4のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記各電池モジュールに含まれる前記各防爆弁と気密に接続され、前記防爆弁の開放時に開放された防爆弁を介して前記電池ケースの内部と連通する複数の密閉室をさらに備え、前記各密閉室は、密閉室内の圧力変化を検知するための圧力センサを備える請求項1に記載の電源装置。
【請求項7】
前記密閉室は、前記各電池モジュールに含まれる複数の前記防爆弁とそれぞれ気密に接続される複数の連結管を備え、前記防爆弁の開放時に、防爆弁が開放された電池ケースの内部と前記密閉室とが前記連結管を通じて連通する請求項6に記載の電源装置。
【請求項8】
前記密閉室は、前記各電池モジュールに対して着脱自在に配置されており、前記各電池モジュールは、前記電源装置から個別に着脱自在に配置されている請求項6または7に記載の電源装置。
【請求項9】
さらに充放電制御部を備え、前記充放電制御部は、前記圧力センサが前記防爆弁からのガス放出を検知した時に、前記防爆弁が開放された前記二次電池セルを含む前記電池モジュールに対する充電または放電を停止させる請求項1〜8のいずれか1項に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−74198(P2012−74198A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217260(P2010−217260)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発 要素技術開発 高耐久形高容量・高出力リチウム二次電池の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】