説明

電球形蛍光ランプおよび照明器具

【課題】発明は、蛍光ランプおよび点灯装置をグローブおよびカバー体からなる白熱電球と略同寸法の外囲器内に収容し、比較的発光管電力が高い電球形蛍光ランプにおいて、カバー体内の熱をカバー体外部へ効率よく放熱させて電子部品が受ける熱影響を抑制し、点灯装置の信頼性を高めた電球形蛍光ランプを提供することを目的とする。
【解決手段】点灯装置の回路基板に実装された少なくとも一部の電子部品とカバー体内面を熱伝導性物質を介して接続させることにより、小形化され、比較的高い発光管電力を投入するような、点灯中の発熱量が比較的高いランプであっても、その熱を熱伝導性物質を介して外部へ効率よく放熱することができるので、特に点灯装置が熱損傷することを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電球形蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
電球形蛍光ランプは、数本のU字形などに屈曲形成されたバルブを数本つなぎ合わせて1本の放電路が形成された蛍光ランプを、カバー体に支持させて構成されている。このカバー体は口金を有し、蛍光ランプを点灯させるための点灯装置を収容している。
【0003】
このような電球形蛍光ランプでは、点灯中のカバー体内の温度上昇が点灯回路を構成する電子部品に悪影響を及ぼすことが懸念されている。この対策として、例えば点灯装置の発熱によりカバー体内の温度上昇を防ぐために、ホルダ周囲に開口を設け、点灯装置、カバー体およびグローブをシリコーン樹脂でそれぞれ接合させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の電球形蛍光ランプは、ホルダ開口からシリコーン樹脂をホルダの内部へ流入させて点灯装置の周辺部とシリコーン樹脂とを接触させることにより、点灯装置の熱をシリコーン樹脂を介してカバー体およびグローブから放熱させるものである。
【0005】
また、カバー体内に収容した点灯装置を構成する複数の電子部品のうち、トランスとカバー体との間に熱伝導性部材を介在させ、放熱させた電球形蛍光ランプも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
さらに、カバー体内に収容された点灯装置とカバー体内壁とを熱伝導性物質で接触させた電球形蛍光ランプも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平5−250905号公報
【特許文献2】特開昭60−227306号公報
【特許文献3】特開2004−6204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1は、点灯装置の熱をシリコーン樹脂を介してカバー体および、グローブから放熱させることが可能であるが、ホルダ縁部に形成された開口からシリコーン樹脂が流れ込んで点灯装置に接触する構成であるので、点灯装置の熱はホルダの狭い開口を通過する熱伝導経路を有することとなり、熱伝導効率が低くなってしまう。また、上記従来技術のシリコーン樹脂は点灯装置の周辺部と接触するものであるため、点灯装置の熱を効率よく吸収して熱伝導することが困難であり、効果的な放熱を行うことができなかった。
【0008】
特許文献2に記載の電球形蛍光ランプは、トランスと金属性外ケースを熱伝導性物質により接触させた内管方式の電球形蛍光ランプである。内管方式蛍光ランプであるため、発光部であるガラスバルブが外気に直接接触しているので、点灯装置が受ける発光部からの熱影響は少ない。
【0009】
しかし、近年電球形蛍光ランプの高効率化、小形化が進むにつれて、点灯装置を収納するスペースはさらに狭小な密閉空間となり、カバー体内の温度が一層上昇することが考えられる。電球形蛍光ランプに内蔵される点灯回路が電子部品から構成されたインバータ回路の場合には、比較的熱に弱い電子部品も実装されているので、これら部品の保護を行うためにもカバー体内の熱を効率よく外部に放熱する必要がある。このように小形化された電球形蛍光ランプの点灯中発生する熱をカバー体内に充填した熱伝導性物質により放熱させた特許文献3によれば、カバー体内に収容され、熱伝導性物質と接触させる電子部品を特定しておらず、効率よく放熱可能な詳細な検討はされていなかった。
【0010】
本発明は、蛍光ランプおよび点灯装置をグローブおよびカバー体からなる白熱電球と略同寸法の外囲器内に収容し、比較的発光管電力が高い電球形蛍光ランプにおいて、カバー体内の熱をカバー体外部へ効率よく放熱させて電子部品が受ける熱影響を抑制し、点灯装置の信頼性を高めた電球形蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の電球形蛍光ランプは、管外径5〜8.9mmのガラスバルブを屈曲形成し、発光管の容積が150〜190cm3、発光管電力が0.8〜1.37W/cm3の範囲であり、発光管電力が11〜24Wで点灯したときの全光束が700〜1600lmとなるよう設計された蛍光ランプと;一方側に口金を他方側に前記蛍光ランプをそれぞれ取付けたカバー体および蛍光ランプを収容するグローブからなり、高さ115〜135mm、最大外径55〜65mmに形成された外囲器と;蛍光ランプを点灯させる点灯回路を構成する複数の電子部品およびこの電子部品が少なくとも口金側面に実装された回路基板を有し、カバー体内に収容された点灯装置と;この点灯装置の複数の電子部品のうち、点灯中のカバー体表面温度の温度勾配が15℃以上となる電子部品とカバー体内面とを接触している熱伝導性物質と;を具備していることを特徴とするものである。
【0012】
小形で高出力の電球形蛍光ランプは熱的な観点から見た場合、小形高出力化に伴い、放熱面積は減少し、供給電力が増加傾向にあるため、従来の電球形蛍光ランプに比べて、単位放熱面積あたりの発熱量はますます高くなっている。また、カバー体内に収容されている蛍光ランプを点灯させるための点灯装置は、近年において電子化されて熱に弱い半導体部品などから構成された点灯回路が基板に実装されて構成されていることから、本発明者らは熱設計が重要な要素となることに着目した。
【0013】
発光管電力が16W以上であると、比較的高出力形の蛍光ランプを構成でき、例えば全光束1050lm程度の出力が可能となる。そして、電力が16Wを超えると、蛍光ランプからの熱量が大きくなり、熱伝導性物質を介して強制的に放熱を行なっても、カバー体の内部の温度上昇を抑制できなくなるおそれがあり、その結果、点灯回路を構成する回路部品の寿命が短くなるおそれがある。したがって、小形化高出力化に伴う熱設計上蛍光ランプの電力は、11〜16Wとすることが望ましい。しかし、カバー体内温度が上昇して回路部品が熱損傷しやすい16W以上のランプであったとしても、熱伝導性物質を介在させることで熱損傷を抑制することができる。この場合、ランプ電力は最大で24Wまで可能となる。
【0014】
また、供給電力が増加するとともに管外径が5mm以下の細径バルブを屈曲させ限られた空間内に比較的長い放電路を確保すると始動電圧が高くなり、実用的ではないとともに、バルブ端部に封着する細管が細径され排気作業等が困難となるおそれがある。一方、9mm以上であると白熱電球相当に小形化することが困難となるため、管外径は5〜9mmである必要がある。
【0015】
ここでいう熱伝導性物質とは、熱伝導率が空気よりも高い物質であって、硬化前は一定の流動性を有する粘性体により形成されたものをいう。特に、電子部品が発する熱をカバー体に効率よく熱伝導させるには、熱伝導性物質の熱伝導率を上げる必要がある。例えば高い熱伝導率を有する物質として、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0016】
熱伝導性物質により被覆される電子部品は、発熱温度の高い電子部品が含まれることは当然であるが、耐熱温度の低い電子部品を被覆するものであっても構わない。熱伝導性物質が熱保護的な役割を果たすことが期待できるからである。
【0017】
「カバー体の表面温度」とは、カバー体本体部を示し、ランプ単体および器具に装着された時に外気にさらされる点灯装置を収容するカバー体表面の温度を示している。
【0018】
カバー体およびグローブからなる外囲器によりほぼ密閉状態となるよう囲まれた空間内の空気は温度勾配により対流が発生する。カバー体内で発生する対流は、点灯中の蛍光ランプからの熱影響を受け、相対的に蛍光ランプに近い回路基板側の高温層と、蛍光ランプから相対的に離間している口金側の低温層の温度差により発生する。その他に、自己発熱により高温となる電子部品近傍の高温層と、自己発熱量の少ない電子部品近傍の低温層の温度差により対流が発生する場合などがある。どちらの場合においても、カバー体内の温度勾配により発生した対流により、カバー体内空間温度は上昇しやすい状態となる。そこで、自己発熱により他の部品よりも相対的に高温となる電子部品を低温のカバー体とを熱伝導性物質を介して接続することで、カバー体内空間の温度勾配による対流を抑制し、自己発熱する比較的高温の電子部品が発する熱の殆んどを、カバー体外に放熱することができる。一方、自己発熱量の少ない電子部品と比較的温度の低いカバー体とを熱伝導性物質により接続すると、相対的に高温となる電子部品は、低温側に急速に引き寄せられ、対流の発生によりカバー体内空間の温度は上昇する傾向になる。
【0019】
なお、カバー体内面のうち点灯装置の回路基板よりも口金側の面は、点灯装置の電子部品と対向する比較的大きい面積を有している。したがって、点灯装置をカバー体に収容した状態で熱伝導性物質をカバー体内に充填することにより、熱伝導性物質をカバー体内面に効果的に接触させることができるとともに、充填作業も極めて容易である。一方、点灯装置の回路基板よりも蛍光ランプ側の面に実装された比較的耐熱性の高く、発熱するチップ部品に熱伝導性物質を介在させ熱接続することで、チップ部品からの発熱および発光管側からの受ける熱影響を回路基板を介して回路基板よりも口金側へ伝導することを抑制し、効率よくカバー体を介して放熱することが可能となる。
【0020】
熱伝導性物質は、電子部品が発する熱を吸収し、熱伝導する役割をする。熱伝導性物質は、回路基板よりも口金側のカバー体内面に接触しているので、両者が接触している表面積を大きくすることができ、熱伝導経路が狭くなることもなく、電子部品から伝導された熱を効果的にカバー体に伝導し、放熱させることが可能となる。
【0021】
屈曲形成されたガラスバルブは、直管状ガラスバルブのほぼ中央部を加熱溶融し、屈曲するか、またはガラスバルブをモールド成形することによってU字状に屈曲した形状に形成される。ここで、「U字状に屈曲形成された」とは、放電路が屈曲部で折り返されて放電が屈曲するようにガラスバルブが形成されていることを意味し、屈曲部が湾曲状または円弧状に形成されたものに限定されず、屈曲部が角形状や尖鋭状に形成されたものも含むという意味である。要するに、放電路が屈曲するように直線部の一端同士が連続するように形成されたバルブを意味する。また、屈曲バルブは、ほぼ平行な2本の直線部の一端同士を吹き破りなどによって形成された連通管によって接続されたものや、スパイラル状に形成されたものであってもよい。なお、屈曲バルブはガラス製でなくてもよく、透光性気密容器を形成可能なセラミックスなどの材質で形成することが許容される。
【0022】
発光管は、屈曲バルブ単体で構成される他、複数の屈曲バルブの端部同士を連通管を介してつなぎ合わせることで内部に少なくとも一本の放電路が形成されるようにガラスバルブ間が連通するように並設されたものであってもよい。
【0023】
発光管内面には直接または間接的に蛍光体層が被着されている。蛍光体層は、希土類金属酸化物蛍光体、ハロリン酸塩蛍光体などが挙げられるが、これに限らない。しかし、発光効率を向上させるためには赤、青、緑の各色に発光する蛍光体を混合した三波長発光形の蛍光体を使用するのが好ましい。
【0024】
発光管には、発光管内に形成された放電路の両端に電極が封装されている。電極はフィラメントからなる熱陰極、電子放射物質が坦持されたセラミック電極、ニッケルなどから形成された冷陰極などが挙げられる。
【0025】
発光管には、内部に放電媒体が封入されている。放電媒体としては、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスおよび水銀からなる。
【0026】
発光管突出部は、発光管の内径と同一径であっても、発光管よりも縮径されていても、さらには小径のガラスバルブすなわち細管を発光管端部に封着してあってもよい。さらにこのバルブの一部の端部が延在した部分は、主アマルガム封入用として使用されるものであっても、排気管として使用されるものであってもよい。
【0027】
口金は、白熱電球用のE形と称されるねじ込みタイプが通常使用されるが、これに限定されない。また、口金は、カバー体に直接装着される必要はなく、間接的にケースに装着されるものやカバー体の一部が口金を構成するものであってもよい。
【0028】
点灯装置は、カバー体内に収容されるものである。点灯装置の基板は、カバーに対して直接的または間接的にかつ、回路基板の主要面と発光管長手方向とが略直交していても、平行していてもカバー内に収納されていれば構わない。
【0029】
請求項1記載の電球形蛍光ランプは、点灯装置の回路基板に実装された少なくとも一部の電子部品のうち、熱伝導性物質によりカバー体と接続する部品の温度とカバー体外表面温度との温度勾配は15℃以上である電子部品とカバー体内面を熱伝導性物質を介して接続させることにより、小形化され、比較的高い発光管電力を投入するような、点灯中の発熱量が比較的高いランプであっても、その熱を熱伝導性物質を介して外部へ効率よく放熱することができるので、特に点灯装置が熱損傷することを抑制することができる。
【0030】
請求項2記載の電球形蛍光ランプは、請求項1記載の電球形蛍光ランプの複数の電子部品のうち、回路基板の外周上に位置している電子部品とカバー体内面とが接触するように熱伝導性物質がカバー体内側に充填されていることを特徴とするものである。
【0031】
回路基板の外周上に位置する電子部品とは、カバー体内空間内に効率よく収容するために略円錐状に回路基板上の中心軸に近い領域に実装された電子部品よりもカバー体内壁に近い領域に実装された電子部品、すなわち、カバー体内壁に近接している部品を示す。
【0032】
請求項2記載の電球形蛍光ランプによれば、回路基板の外周上に位置している電子部品すなわち、カバー体内壁に相対的に近接した電子部品とカバー体内面とを熱伝導性物質を介して接触させることで熱伝導性物質の使用量を低減することができる。さらに、熱伝導距離を短くすることができるので、効率よくカバー体外へ放熱することができる。
【0033】
請求項3記載の電球形蛍光ランプは、請求項1または2記載の複数の電子部品はバラストチョーク、共振コンデンサ、直流カットコンデンサ、主スイッチング素子のうち1つまたはいずれかの組合せ箇所に熱伝導性物質が介在していることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の電球形蛍光ランプ。
【0034】
請求項3記載の電球形蛍光ランプによれば、バラストチョーク、共振コンデンサ、直流カットコンデンサ、主スイッチング素子は、放熱先であるカバー体との温度差が大きい部品であり、比較的発熱量が大きい比較的放熱効果の大きい電子部品であるため熱伝導性物質の使用量を抑えつつ接触した部品温度低減することができる。さらに、回路全体の温度を下げる効果も得られることができる。
【0035】
請求項4載の電球形蛍光ランプは、請求項1ないし3いずれか一記載の蛍光ランプの、点灯装置を実装している回路基板と蛍光ランプのバルブ端部間に点灯中の発光管側からの熱を遮蔽可能な遮蔽板を介在させていることを特徴とするものである。
【0036】
点灯中の主な熱源である蛍光ランプからの熱影響は、蛍光ランプを保持するホルダなどを介して伝わる伝導熱、蛍光ランプを構成するバルブ端部から直接受ける輻射熱などが挙げられる。回路基板よりも口金側に実装された電子部品は、発光管からの伝導熱により温度上昇する。しかし、直接的な輻射熱は回路基板により多少遮蔽されるため、熱伝導により伝わった熱は、カバー体内と電子部品を熱伝導性物質により接続することで問題を解消することができる。一方、回路基板よりも蛍光ランプ側に実装された電子部品は、伝導熱および輻射熱を受け、非常に高温となる。回路設計上、相対的に耐熱性の高い電子部品を回路基板よりも発光管側に実装しているものの、高出力ランプとすることで電子部品がもつ耐熱温度を超えるおそれがある。
【0037】
したがって、輻射熱および伝導熱を受けやすい回路基板よりも蛍光ランプ側に実装された電子部品の温度上昇を抑制する方法として、蛍光ランプと回路基板間の空間を比較的広く確保する。しかし、それぞれを離間させて空気層を比較的広く確保することで熱影響は受けにくくなるが、小形化に最適な構造には適さない。一方、蛍光ランプを支持する支持板と基板間に形成された空気層が近接すると、電球形蛍光ランプの小形化は図れるものの、蛍光ランプを基板に近接配置することになるので熱影響を受けやすくなる。ここで、空気層の厚さは、基板の下面と、蛍光ランプの(細管を除くバルブ先端)との間とする。
【0038】
そこで、小形高出力ランプとするために、蛍光ランプ端部と回路基板間を近接は位置させるとともに、その間に直接的な熱影響を遮断するような、熱遮蔽板を介在させることで、輻射熱の影響を受けることを抑制することができる。ただし、蛍光ランプから発する熱を熱伝導によって温度上昇するものの、それに加えて輻射熱を受けることによる温度上昇により電子部品の持つ耐熱温度よりも高温となることは抑制される。
【0039】
なお、熱遮蔽板とは、空気層内に設けられたものであり、回路基板および蛍光ランプ支持板に略平行に、単数または複数個設けられていてもよく、さらにはカバー体と別体またはカバー体内に一体的に成形されていても構わず、具体的な形状は限定されるものではない。材質は、回路基板に近接配置されるとともに電極から延びるリード線との接触の可能性があるため、絶縁性を有し、耐熱性に優れているものが望ましく例えばグラスウールからなる綿状や略円筒形状の真空部材を用いても、板状、ゲル状のものであっても良く、さらには熱伝導率が低いものが望ましいが、蛍光ランプからの輻射熱はもちろん熱伝導による熱影響をも抑制させるために熱伝導率が高いものであっても構わない。
【0040】
請求項4記載の電球形蛍光ランプによれば、蛍光ランプと回路基板間に蛍光ランプからの輻射熱を遮蔽可能な熱遮蔽板を介在しているので、蛍光ランプからの熱影響を受け、電子部品がもつ耐熱温度よりも上昇することを抑制することができる。
【0041】
請求項5記載の電球形蛍光ランプは、請求項1ないし4いずれか一記載の電球形蛍光ランプと;この電球形蛍光ランプが装着された器具本体と;を具備していることを特徴とするものである。
【0042】
請求項6記載の照明器具によれば、請求項1ないし4いずれか一記載の発明の作用を有する電球形蛍光ランプを備えた照明器具を提供することができる。
【発明の効果】
【0043】
請求項1記載の電球形蛍光ランプは、点灯装置の回路基板に実装された少なくとも一部の電子部品のうち、熱伝導性物質によりカバー体と接続する部品の温度とカバー体外表面温度との温度勾配は15℃以上である電子部品とカバー体内面を熱伝導性物質を介して接続させることにより、小形化され、比較的高い発光管電力を投入するような、点灯中の発熱量が比較的高いランプであっても、その熱を熱伝導性物質を介して外部へ効率よく放熱することができるので、特に点灯装置が熱損傷することを抑制することができる。
【0044】
請求項2記載の電球形蛍光ランプによれば、回路基板の外周上に位置している電子部品すなわち、カバー体内壁に相対的に近接した電子部品とカバー体内面とを熱伝導性物質を介して接触させることで熱伝導性物質の使用量を低減することができる。さらに、熱伝導距離を短くすることができるので、効率よくカバー体外へ放熱することができる。
【0045】
請求項3記載の電球形蛍光ランプによれば、バラストチョーク、共振コンデンサ、直流カットコンデンサ、主スイッチング素子は、放熱先であるカバー体との温度差が大きい部品であり、比較的発熱量が大きい比較的放熱効果の大きい電子部品であるため熱伝導性物質の使用量を抑えつつ接触した部品温度低減することができる。さらに、回路全体の温度を下げる効果も得られることができる。
【0046】
請求項4記載の電球形蛍光ランプによれば、請求項1ないし3いずれか一記載の蛍光ランプと回路基板間に蛍光ランプからの輻射熱を遮蔽可能な熱遮蔽板を介在しているので、蛍光ランプからの熱影響を受け、電子部品がもつ耐熱温度よりも上昇することを抑制することができる。
【0047】
請求項5記載の照明器具によれば、請求項1ないし4いずれか一記載の発明の作用を有する電球形蛍光ランプを備えた照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0049】
図1は、本発明の電球形蛍光ランプの第一の実施形態を示す側面一部断面図である。
【0050】
電球形蛍光ランプのカバー体10は、耐熱性合成樹脂、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)にて形成され、上側の円筒部10aには口金11が被着し、下端方向には拡開状に延長し、下端側に開口を有する略椀状の回転体形状を有している。カバー体10の開口よりも内側の内面には、その周囲にわたり複数の係合凹部が形成されている。以下口金11側を上側、グローブ20側を下側として説明する。
【0051】
カバー体10の下端には、例えばPBT樹脂などの耐熱性合成樹脂によりほぼ円皿状に形成されたホルダ12が取付けられている。ホルダ12の円皿面には、複数の蛍光ランプ30を取付けるための取付孔(図示しない)が数箇所形成されている。また、ホルダ12の周縁には円皿面から側壁12aが形成されている。さらにホルダ12上端側壁には、カバー体内面の係合凹部と係合固定する複数の係合爪が形成されている。
【0052】
蛍光ランプ30は、3本の屈曲バルブ31を接合して構成されている。各屈曲バルブ31の頂部31aは、中間部でなめらかにU字状に屈曲されており、電球形蛍光ランプの上下方向を長手方向とする中心軸を中心とする円周上に等間隔で配置するとともに、各バルブ31の直管部31bも電球形蛍光ランプの中心軸を中心とする円周上に等間隔で配置するように構成されている。すなわち、各屈曲バルブの屈曲部31aが略三角形の各辺に対応して配置されている。それぞれの屈曲バルブ31の内面に蛍光体層が形成され、屈曲バルブ31内に封入ガスとして例えばアルゴンなどの希ガスおよび水銀が封入されている。3本の屈曲バルブ31は、それぞれの屈曲バルブ31を連結する連結管32により1本の連続した放電路が形成されている。この放電路の両端に位置する蛍光ランプ30の端部には、一対の電極40が封装されている。
【0053】
屈曲バルブ端部はホルダ12に形成されたランプ取付孔にそれぞれ差込まれ、屈曲バルブ端部とランプ取付孔とはシリコーン樹脂などにより接着固定される。これにより、蛍光ランプ30がホルダ12に支持される。
【0054】
ホルダ12の蛍光ランプ30非装着側には、点灯装置50が配置されている。この点灯装置50は、蛍光ランプ30の長手方向と直交する平行な面に配置される円板状の回路基板51を備え、この回路基板51の両面すなわち口金11側である上面には複数の電子部品52が実装され、高周波点灯を行うインバータ回路が構成されている。この回路基板51に実装された複数の電子部品52の多くは一対のリード線を回路基板51の一面から他面側へ連通し、他面側から導出したリード線をはんだにより固定しているため、複数の電子部品52に外部から圧力を受けたとしてもある程度は耐えられる。経時的に熱伝導性物質の熱膨張による一定以上の応力を受けることで接触不良などの不具合を生じてしまうので、硬化後に膨張する熱伝導性物質60は、形状が崩れることがなく、ある程度弾性を有しているものが望ましい。複数の電子部品52には、比較的耐熱性の弱い電解コンデンサ、フィルムコンデンサなどの部品も含まれている。回路基板51の中央部には共振用インダクタが配置されており、この共振用インダクタの上方には電解コンデンサが配置されている。電解コンデンサの一部は、回路基板51に立設された状態でカバー体10上側の円筒部10aに収納される。また、回路基板51下面には、比較的耐熱性が強く、厚さ寸法の小さいチップ状のREC(rectifier、整流素子、ダイオードブリッジ)、トランジスタ、抵抗などのパッケージの厚さ寸法2〜3mm程度に形成されている部品が実装されている。
【0055】
ホルダ12の蛍光ランプ非装着側には係合爪の内側に回路基板の周縁が係合するように回路基板51を押し込むことで点灯装置50が取付けられる。
【0056】
熱伝導性物質60としてのシリコーン樹脂60は、点灯装置50に実装されている複数の電子部品52のうち、相対的に自己発熱量の多い電子部品52を覆うように充填されている。
【0057】
回路基板51から導出されたリード線(図示しない)は、電解コンデンサと円筒部10aとの隙間に配線され、口金11と接続されている。
【0058】
本実施の形態に使用のシリコーン樹脂60としては、例えばGE東芝シリコーン株式会社製「TSE3320」などが挙げられる。
【0059】
次に本実施形態の電球形蛍光ランプの組立工程について説明する。
【0060】
まず、蛍光ランプ30および点灯装置50が上述のように取付けられたホルダ12を用意し、ホルダ12をカバー体10の開口から内側へ挿入することで、カバー体10の下側内面の複数の係合凹部とホルダに形成された係合爪とが嵌合固定する。そして、カバー体10の円筒部10aの開口を上側にした状態で、この開口より回路基板51に実装されている複数の電子部品52およびカバー体10内面に、熱伝導性が良く流動性を有するシリコーン樹脂60を複数の電子部品52の上側から充分に被覆するとともに、カバー体10内面に接触させる。シリコーン樹脂60を注入する際、カバー体10の円筒部10a内から注入作業を行うが、円筒部10a内には比較的大きい電子部品52である電解コンデンサが配設されているので、円筒部10a内の隙間からシリコーン樹脂充填用ノズルを挿入してカバー体10内にシリコーン樹脂60を注入したり、カバー体10内に点灯装置50を収納する前にシリコーン樹脂60を複数の電子部品52に充分シリコーン樹脂を被覆後カバー体を装着しても構わない。
【0061】
次に、点灯装置50と口金11をリード線(図示しない)により電気接続し、カバー体の円筒部10aを口金11で覆い、口金11をかしめることにより口金11がカバー体10に取付けられる。
【0062】
最後にカバー体10の下端内面の円周縁部とグローブ20開口円周縁部をシリコーン樹脂などの接着剤により接着固定する。
【0063】
以上のような構成により、電球形蛍光ランプの点灯装置50に電源が投入されると点灯装置によって蛍光ランプ30の一対の電極間に始動電圧が印加されて蛍光ランプが放電を開始し電球形蛍光ランプが点灯する。
【0064】
上述のように組み立てられたバルブが細径化し放電路長が長く、消費電力に対する蛍光ランプ内面積が極端に小さくなるような管壁負荷が高く、単位面積あたりの紫外線強度、イオン衝撃および温度負荷が大きくなる電球形蛍光ランプを消費電力13Wで点灯させた。しかし、コンパクトに収容したカバー体10の温度はある程度上昇するが、カバー体10内にシリコーン樹脂60を充填しているので、効率的に放熱が可能となる。
【0065】
これにより、複数の電子部品52を熱影響から確実に保護し、信頼性の高い点灯装置を提供することが可能となる。これにより寿命特性の改善を図ることが可能となり、商品性に優れた電球形蛍光ランプを提供することができる。
【0066】
なお、上記実施の形態の電球形蛍光ランプは、蛍光ランプを覆うグローブを有しているが、グローブを有していなくても構わない。
【0067】
また、PBT樹脂などの耐熱性合成樹脂にて形成されたホルダは、金属材料などにより形成されていても構わない。
【0068】
なお、上記実施の形態の電球形蛍光ランプは、蛍光ランプを覆うグローブを有しているが、グローブを有していなくても構わない。
【0069】
次に第2の実施の形態を図面を参照して説明する。図2は図1の電球形蛍光ランプのカバー体10側の熱伝導性物質としてのシリコーン樹脂60の代わりに、回路基板51と蛍光ランプ30間に遮熱板61を介在させた電球形蛍光ランプの実施形態を示す一部拡大断面図である。
【0070】
なお、本実施形態の電球形蛍光ランプは、点灯装置50を構成する回路基板51とホルダ12の円皿面間の空気層を略上下二分割に二層の空気層となるようセラミックからなる略円皿状の遮熱板61を介在させている。
【0071】
蛍光ランプ30をホルダ12に取り付けた後に、回路基板51と略同径同寸法の略円形の遮熱板61の一方側の面と全てのバルブ端部とが対向するように配置する。そして遮熱板61の他方側面と点灯装置50を構成する回路基板51面とが略平行となるように、点灯装置50を取り付ける。その後、ホルダ12をカバー体10の開口から内側へ挿入することで、カバー体10の下側内面の複数の係合凹部とホルダに形成された係合爪とが嵌合固定する。
【0072】
回路基板51下面には、FETなどのスイッチング素子が実装されているとともに、蛍光ランプ30と近接しているが、蛍光ランプ30と回路基板51間に遮熱板61を介在しているのでスイッチング素子は蛍光ランプ30からの輻射熱を受けることを抑制される。したがって、点灯中の主な熱源である蛍光ランプを覆うグローブ20の開口を遮熱板61で閉塞することとなるため、蛍光ランプの熱の殆んどは、グローブ20を介して放熱する。したがって、グローブ20内温度が点灯中高温となってもカバー体10側に伝わることが抑制され、点灯装置50が蛍光ランプの熱影響を受けて高温となることを抑制することができる。
【0073】
次に第3の実施の形態を図面を参照して説明する。図3は図1および図2の電球形蛍光ランプのカバー体10側のシリコーン樹脂60および、回路基板51と蛍光ランプ30間に介在している遮熱板61それぞれを設けた電球形蛍光ランプの実施形態を示す一部拡大断面図である。
【0074】
なお、本発明者らは、従来の電球形蛍光ランプ、第1、第2および第3の実施の形態の電球形蛍光ランプを一定の測定条件のもと点灯させた際のそれぞれの電子部品の温度を測定した。その結果を図4に示す。
【0075】
実験により、口金が上向きの状態で点灯した電球形蛍光ランプの複数の電子部品のうちそれぞれの温度を測定したところ、発熱量が比較的少ない電解コンデンサは全てのランプにおいて相対的に温度は低かった。一方、点灯動作中の発熱量が比較的多いバラストおよび、回路基板51の蛍光ランプ30側に実装されたFETは非常に高温であり、電解コンデンサとFETの温度差は、平均して36.4℃であった。また、比較的高温となるバラストは従来の電球形蛍光ランプに比べて第3の実施形態のランプでは、12.6℃も低下したのに対し、電解コンデンサは、5.5℃しか低下していない。各実施例におけるそれぞれの部品温度を測定してみると、どの実施形態においても遮熱板およびシリコーン樹脂を設けた第3の実施形態の電球形蛍光ランプの電子部品が温度低下の割合が高い結果となった。特に、回路基板51面の口金11側に実装したバラストにおいては、第2の実施形態に示すような遮熱板を介在させて蛍光ランプ30側からの輻射熱を遮熱するものの、自己発熱するためカバー体全体が高温となるおそれがあり、積極的にシリコーン樹脂などの放熱手段を設ける必要がある。一方、回路基板面の蛍光ランプ側に実装されたFETは、バラストおよび電解コンデンサに比べて遮熱板を介在させた第2の実施形態において、温度低下が大きかった。これは、FETは点灯中の蛍光ランプからの熱影響を非常に受けやすく、特に、輻射熱を多く受けるため、この輻射熱を効率よく防ぐにための遮熱板が効果的であることが実験により分かった。
【0076】
次に、回路基板51の口金側であるとともに回路基板51の略中心領域よりも外周領域に実装されたバラストとカバー体10内壁とを接触するよう介在させたシリコーン樹脂60の充填量を変えてそれぞれの温度比較を行なった。なお、本比較において、第1の実施形態と同様の電球形蛍光ランプを用い、シリコーン樹脂60量を変化させた電球形蛍光ランプBとの比較を行なった。その結果、電球形蛍光ランプAの温度低下は、シリコーン樹脂の充填量がAよりも少ないBの電球形蛍光ランプと比べて温度の低下は小さかった。すなわち、シリコーン樹脂60の充填量を多くすることに比例して温度は低下しないという結果となった。
【0077】
このように、点灯装置50の近傍は、主発熱要素である蛍光ランプ30の上部に位置するために温度が全体的に高くなる。これは熱が上部方向および外径方向へと拡散すること、および点灯装置50のうち主たる発熱部品であるバラスト巻線の近傍には高温の空間ができることを意味している。このような高温領域に実装された部品と比較的温度の低いカバー体10とを熱伝導性物質により接続することで効果的に放熱することができ、同一空間内の温度差が大きくなるにつれ、空間内で発生する対流を低減させ、空間内の温度の上昇を抑制することができる。
【0078】
図5は、本発明の照明器具の一実施形態を示す一部切欠断面図である。
【0079】
図においてLは電球形蛍光ランプである。70は埋め込み形照明器具本体であり、器具本体70は基体71、ソケット72および反射板73から構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明電球形蛍光ランプの第一の実施形態を示す側面図。
【図2】本発明電球形蛍光ランプの第二の実施形態を示す断面図。
【図3】本発明電球形蛍光ランプの第三の実施形態を示す断面図。
【図4】電子部品の温度比較を示すグラフ。
【図5】本発明照明器具の一実施形態を側面一部断面図。
【符号の説明】
【0081】
1…カバー体、2…口金、3…グローブ、4…ホルダ、
5…蛍光ランプ、6…点灯装置、7…シリコーン樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管外径5〜8.9mmのガラスバルブを屈曲形成し、発光管の容積が150〜190cm3、発光管電力が0.8〜1.37W/cm3の範囲であり、発光管電力が11〜24Wで点灯したときの全光束が700〜1600lmとなるよう設計された蛍光ランプと;
一方側に口金を他方側に前記蛍光ランプをそれぞれ取付けたカバー体および蛍光ランプを収容するグローブからなり、高さ115〜135mm、最大外径55〜65mmに形成された外囲器と;
蛍光ランプを点灯させる点灯回路を構成する複数の電子部品およびこの電子部品が少なくとも口金側面に実装された回路基板を有し、カバー体内に収容された点灯装置と;
この点灯装置の複数の電子部品のうち、点灯中のカバー体表面温度の温度勾配が15℃以上となる電子部品とカバー体内面とを接触している熱伝導性物質と;
を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
【請求項2】
複数の電子部品のうち、回路基板の外周上に位置している電子部品とカバー体内面とが接触するように熱伝導性物質がカバー体内側に充填されていることを特徴とする請求項1記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項3】
複数の電子部品はバラストチョーク、共振コンデンサ、直流カットコンデンサ、主スイッチング素子のうち1つまたはいずれかの組合せ箇所に熱伝導性物質が介在していることを特徴とする請求項1または2記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項4】
点灯装置を実装している回路基板と蛍光ランプのバルブ端部間に点灯中の発光管側からの熱を遮蔽可能な遮蔽板を介在させていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか一記載の電球形蛍光ランプと;
この電球形蛍光ランプが装着された器具本体と;
を具備していることを特徴とする照明器具。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−24544(P2006−24544A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−278204(P2004−278204)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】