説明

電磁弁構造

【課題】低コスト化を図りつつ、閉弁時の隙間からの漏れを防止し、固定力の低下に起因した不具合を防止することができる電磁弁構造を提供する。
【解決手段】弁体25を収容する弁室形成部材31の大径部51に第一ねじ部52を形成し、モータベース21の突出部24に第二ねじ部53を形成して、モータベース21に弁室形成部材31を取り付ける。突出部24への弁室形成部材31のねじ込み量に応じて弁体25に対する弁座42位置を可変可能とする。大径部51の基端面61とモータベース21の対向部62間にOリング63を配設し、弁室形成部材31先端に回り止め71を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通流を制御する電磁弁の電磁弁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エア回路において空気流量を制御する際には、電磁弁が用いられていた(例えば、特許文献1)。
【0003】
この電磁弁としては、図2に示すものが知られており、該電磁弁801は、駆動部を構成するステップモータ802と、該ステップモータ802に設けられたケース803とによって構成されている。前記ステップモータ802からは、作動軸804が軸方向へ移動可能に延出しており、該作動軸804の先端には、弁体805が設けられている。
【0004】
前記ケース803には、前記ステップモータ802に固定される固定部811と、該固定部811より延出した円筒部812とが設けられており、該円筒部812は、前記作動軸804に設けられた弁体805を移動可能に包囲するように構成されている。
【0005】
前記円筒部812の周面には、内側に連通した入力ポート821が開設されており、当該円筒部812の先端の開口部は、出力ポート822を構成している。前記円筒部812の内側面には、前記入力ポート821より先端側に雌ねじ部823が形成されており、該雌ねじ部823には、弁座構成部材824の外周面に形成された雄ねじ部825が螺合されている。これにより、前記ケース803の前記円筒部812には、前記弁座構成部材824が内嵌した状態で取り付けられている。
【0006】
前記ステップモータ802側に位置する前記弁座構成部材824の基端側には、内側へ突出した弁座831が形成されており、該弁座831には、前記ステップモータ802の前記作動軸804に設けられた前記弁体805が離着座するように構成されている。これにより、前記ステップモータ802によって前記弁体805を移動して前記弁座831との離間距離を可変することで、前記入力ポート821から弁室841を介して前記出力ポート822へ流出する空気の通流量を制御できるように構成されている。
【0007】
これにより、ブロック851に設けられた取付穴852に前記電磁弁801の前記ケース803を挿入するとともに、該ケース803に設けられた前記円筒部812の先端を、前記取付穴852奥側の流出路853に接続した状態で固定することによって、当該ブロック851の流入路854から前記流出路853に流れる空気の通流量を制御できるように構成されている。
【0008】
この電磁弁801においては、前記作動軸804の作動位置に応じた弁開度と通過する空気流量との関係を、前記円筒部812への前記弁座構成部材824のねじ込み量により調整できるように構成されており、組み立て時には、所定の弁開度において所望の空気流量が得られるように、前記ねじ込み量の調整作業が行われている。
【0009】
すなわち、前記雄ねじ部825に接着剤を塗布した前記弁座構成部材824を前記ケース803の前記円筒部812に螺入した後、当該電磁弁801を前記ブロック851に取り付けて空気流量を測定する。そして、前記円筒部812への前記弁座構成部材824のねじ込み量の調整と、調整後の電磁弁801をブロック851に取り付けた状態での空気流量の測定とを繰り返し行うことによって、所定の弁開度において所望の空気流量が得られるように調整した後、前記接着剤を熱硬化して前記弁座構成部材824を前記ケース803に固定する。
【0010】
このとき、前記弁室841に供給された空気は、該弁室841と前記弁座831より下流側の弁座下流領域との圧力差によって、前記弁座構成部材824の前記雄ねじ部825及び前記円筒部812の前記雌ねじ部823間の隙間を介して前記流出路853へ流れようとするが、図2の(b)に示すように、この流れを前記弁座構成部材824の周面に形成された突起861によって防止できるように構成されている。
【特許文献1】特開平8−049774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような電磁弁構造にあっては、流出路853への負圧印加時に弁座構成部材824の雄ねじ部825及びケース803の雌ねじ部823間の接着剤が、前記弁座構成部材824の突起861と前記ケース803の内側面との隙間から流出する恐れがある。
【0012】
この場合、前記ケース803への前記弁座構成部材824の固定力の低下が懸念される。
【0013】
また、前記雄ねじ部825と前記雌ねじ部823との間に隙間が生じた際には、前記弁室852内の空気が前記隙間を介して弁座下流領域へ流出し、閉弁時の空気漏れ量が大きくなる恐れがある。
【0014】
さらに、負圧を印加しながら前記弁座構成部材824のねじ込み量を調整することができないので、電磁弁801の取付・取外作業を繰り返し行わなければならず、時間を要要する。これにより、組み立て時間が長くなり、製造コストの増加を招いてしまう。
【0015】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、低コスト化を図りつつ、閉弁時の隙間からの漏れを防止し、固定力の低下に起因した不具合を防止することができる電磁弁構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために本発明の電磁弁構造にあっては、駆動部より延出した弁体を包囲して弁室を形成する包囲部に、流体を前記弁室に入力する入力ポートと、前記弁体が離着座する弁座と、該弁座及び前記弁体間に形成される隙間を介して前記弁室の流体を出力する出力ポートとが設けられた電磁弁における電磁弁構造において、前記包囲部を、前記弁体を挿入する開口部が基端に開口した弁室形成部材で構成し、該弁室形成部材に治具と係合して当該弁室形成部材の回動を防止する回り止め部を設け、かつ当該弁室形成部材の基端部に第一ねじ部を形成する一方、前記駆動部に前記弁室形成部材の前記第一ねじ部と螺合する第二ねじ部を形成して前記駆動部より延出した前記弁体に対する前記弁室形成部材の前記弁座の位置を当該弁室形成部材の前記駆動部へのねじ込み量に応じて可変可能に構成するとともに、前記弁室形成部材の基端面と該基端面に対向する前記駆動部の対向部との間に、少なくとも前記ねじ込み量の調整範囲において前記基端面及び前記対向部に密着する弾性を有したリング状のシール部材を前記基端面に沿って配設した。
【0017】
すなわち、調整を行いながら電磁弁を組み付ける際には、例えば熱硬化型の接着剤を弁室形成部材の第一ねじ部又は駆動部の第二ねじ部に塗布し、駆動部の弁体を前記弁室形成部材基端の開口部に挿入するとともに、該弁室形成部材の基端部に形成された第一ねじ部と前記駆動部に設けられた第二ねじ部とを螺合して、前記弁室形成部材を前記駆動部にねじ込む。そして、この電磁弁の前記弁室形成部材をブロックに設けられた取付穴に挿入し、当該電磁弁を前記ブロックにセットするとともに、前記弁室形成部材の回り止めに治具を係合して当該弁室形成部材の回動を阻止する。
【0018】
この状態において、ブロックに設けられた流入路から前記取付穴に流体を供給し、前記弁室形成部材の入力ポートから当該弁室形成部材内の弁室内に流体を入力しつつ、前記駆動部で前記弁体を駆動して前記弁体の移動量に基づく弁開度と、前記ブロックの流出路からの前記流体の流量との関係を測定しながら、前記駆動部への前記弁室形成部材のねじ込み量を可変する。
【0019】
このとき、前記弁室形成部材は、前記治具によって回動が阻止されている。このため、例えば前記ブロックから露出した前記駆動部を回動することで、該駆動部と前記弁室形成部材とを相対的に回動し、前記ねじ込み量を可変する。
【0020】
すると、このねじ込み量に応じて、前記駆動部より延出した前記弁体に対する前記弁室形成部材の弁座の位置が可変し、前記弁開度に対する前記流量が変化する。このため、所定の弁開度において所望の流量が得られるように前記ねじ込み量を調整し、前記駆動部に対する前記弁室形成部材のねじ込み量を決定する。
【0021】
このとき、接着剤が塗布された前記両ねじ部は、前記駆動部と前記弁室形成部材との接続部分に設けられており、前記弁室と前記弁座より下流側の弁座下流領域との間で生ずる圧力差の影響を受けない位置に配置されている。
【0022】
このため、前記入力ポートから流体を供給しながら前記ねじ込み量の調整を行う調整作業時であっても、前記両ねじ部からの接着剤の流出が抑制される。
【0023】
さらに、前記弁室形成部材の基端面と該基端面に対向する前記駆動部の対向部との間には、前記基端面及び前記対向部に密着する弾性を有したリング状のシール部材が配設されており、前記両ねじ部を介した弁室内と弁室外とが前記シール部材によってシールされている。
【0024】
これにより、前記両ねじ部間の前記接着剤の外部への流出が確実に防止される。
【0025】
そして、前記弁室形成部材から治具を取り外すとともに、前記接着剤を熱硬化するなどして、前記弁室形成部材が前記駆動部に固定される。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明の電磁弁構造にあっては、電磁弁に流体を供給し弁開度と流量との関係を測定しながら駆動部への弁室形成部材のねじ込み量を決定することができる。
【0027】
このため、流体を供給しながらの調整作業ができないため、電磁弁の取付・取外作業と調整作業とを繰り返しながら組付けを行っていた従来と比較して、組み立て時間を短くすることができ、製造コストを抑えることができる。これにより、低コスト化を図ることができる。
【0028】
そして、この組み付け時において、前記弁室形成部材の第一ねじ部及び前記駆動部の第二ねじ部間の接着剤の流出を確実に防止することができる。
【0029】
このため、前記接着剤が流出する場合と比較して、前記駆動部への前記弁室形成部材の固定力を設計通りに維持することができる。これにより、信頼性を高めることができる。
【0030】
また、前記両ねじ部は、前記駆動部と前記弁室形成部材との接続部分に設定されている。
【0031】
このため、仮に前記接着剤が流れ出し前記両ねじ部間に隙間ができたとしても、前記両ねじ部が弁室と弁座下流領域との間に設定された従来と比較のように、閉弁時に前記弁室の流体が前記両ねじ部間の隙間を介して前記弁座下流領域へ漏れるといった不具合を確実に防止することができる。これにより、閉弁時の漏れ量の増大を防止することができる。
【0032】
そして、前記弁室形成部材の基端面と該基端面に対向する前記駆動部の対向部との間に配設されたシール部材のシール効果によって、前記両ねじ部間からの前記接着剤の流出を確実に防止することができ、前記弁室内に供給された流体の外部への漏れも確実に防止することができる。
【0033】
したがって、低コスト化を図りつつ、閉弁時での隙間からの漏れを防止し、固定力の低下に起因した不具合を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の一実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる電磁弁構造を備えた電磁弁1を示す図である。この電磁弁1は、エア回路において空気流量を制御するものであり、図1にはエア回路が形成されたブロック2に取り付けられた状態が示されている。
【0035】
この電磁弁1は、駆動部としてのステップモータ11を備えている。該ステップモータ11のケーシング12内には、コイル13が収容されており、該コイル13の内側には、ロータ14が回転自在に保持されている。このロータ14の中心に形成された雌ねじ15には、作動軸16の雄ねじ17が螺合しており、当該作動軸16の先端部は、前記ケーシング12より延出するように構成されている。
【0036】
該ケーシング12は、その開口部が板状のモータベース21で閉鎖されており、前記ロータ14の先端部は、ベアリング22を介して前記モータベース21の基端面側に回動自在に支持されている。該モータベース21の先端面には、円形リング状の凸条23が形成されており、該凸条23の内側には、当該凸条23より高い円柱状の突出部24が形成されている。
【0037】
前記作動軸16の先端部は、前記突出部24を挿通しており、当該突出部24より先端側へ延出するように構成されている。この作動軸16の先端部は、例えば断面D字状に形成されるとともに、この先端部が挿通する前記突出部24の挿通穴も断面D字状に形成されており、当該作動軸16の回り止めが構成されている。この作動軸16の先端には、弁体25が設けられており、該弁体25の基端部は、前記突出部24に形成されたガイド溝26に案内されている。
【0038】
これにより、前記ステップモータ11の前記コイル13を通電して前記ロータ14を回転した際には、その回転方向に応じて回り止めされた前記作動軸16が軸方向へ移動するように構成されており、該作動軸16に設けられた前記弁体25を前記軸方向へ移動できるように構成されている。
【0039】
このステップモータ11の前記モータベース21には、前記ステップモータ11より延出した前記弁体25の包囲部を構成する弁室形成部材31が取り付けられている。該弁室形成部材31は、円筒状に形成されており、基端の開口部からは、前記弁体25が挿入されている。これにより、前記弁室形成部材31は、前記弁体25を包囲するように構成されており、当該弁室形成部材31内には、前記弁体25を移動自在に収容する弁室32が形成されている。
【0040】
前記弁室形成部材31の周面には、流体としての空気を前記弁室32に入力する入力ポート41,・・・が複数箇所に開設されており、各入力ポート41,・・・より先端側には、前記弁体25が離着座する弁座42が内側へ向けて突出形成されている。また、前記弁室形成部材31の先端に開口した開口部は、出力ポート43を構成しており、前記弁室32に流入した空気を、前記弁座42と前記弁体25間に形成される隙間を介して前記出力ポート43から出力できるように構成されている。
【0041】
この弁室形成部材31の基端部は、大径に形成されており、この大径部51の内周面には、第一ねじ部52が形成されている。前記大径部51が接続される前記モータベース21の前記突出部24の外周面には、前記弁室形成部材31の前記第一ねじ部52と螺合する第二ねじ部53が形成されており、前記弁室形成部材31の前記第一ねじ部52を前記突出部24の前記第二ねじ部53に螺合することによって、前記弁室形成部材31を前記ステップモータ11に接続できるように構成されている。
【0042】
これにより、このステップモータ11の前記突出部24への前記弁室形成部材31のねじ込み量に応じて、前記ステップモータ11より延出した前記弁体25に対する前記弁室形成部材31の前記弁座42の位置を可変できるように構成されており、該弁座42の固定位置を調整できるように構成されている。
【0043】
前記大径部51の基端面61と、該基端面61に対向する前記モータベース21の対向部62との間には、リング状のシール部材としてのOリング63が前記基端面61に沿って配設されている。該Oリング63は、合成樹脂等の弾性部材で構成されており、前記弁室形成部材31を前記モータベース21の前記突出部24に取り付けた状態で、少なくとも前記弁体25と前記弁座42との位置調整を行う際の前記ねじ込み量の調整範囲において、前記基端面61と前記対向部62との両者に密着する弾性を有している。
【0044】
ここで、このOリング63の許容漏れ率は5〜30%とし、この範囲内で前記基端面61と前記対向部62に密着する。また、この範囲内に前記ねじ込み量の調整範囲、すなわち前記弁座42の調整位置範囲を設定する。
【0045】
一方、前記弁室形成部材31の先端部には、溝状の回り止め71,・・・が内側面に等間隔をおいて凹設されており、この回り止め71,・・・は、治具72に設けられた係止爪73,・・・と係合できるように構成されている。これにより、前記治具72を用いることによって、前記弁室形成部材31の回動を防止できるように構成されている。
【0046】
また、前記弁室形成部材31の先端部には、側方へ向けて突出した段差部81が外周面に沿って形成されている。この段差部81には、リング溝82が形成されており、該リング溝82には、Oリング83が装着されされている。
【0047】
この電磁弁1は、前記弁室形成部材31を前記ブロック2に形成された取付穴101より挿入するとともに、前記モータベース21の前記凸条23を前記ブロック2に形成されたリング状段部102で位置決めした状態で、前記ブロック2に取り付けられるように構成されており、この取付状態で前記弁室形成部材31の先端を前記取付穴101の先端側に設けられた流出路103に内嵌し前記段差部81の前記Oリング83でシールできるように構成されている。
【0048】
そして、前記ブロック2の前記流出路103に吸入負圧が印加された際には、大気開放された流入路111を介して前記取付穴101内に空気が流入するように構成されており、この取付穴101に供給された空気は、前記電磁弁1の前記弁座構成部材31の入力ポート41,・・・と前記弁室32と前記出力ポート43とを介して前記流出路103から出力されるように構成されている。
【0049】
以上の構成にかかる本実施の形態において、調整を行いながら電磁弁1を組み付ける際には、例えば熱硬化型の接着剤を弁室形成部材31の第一ねじ部52又はステップモータ11のモータベース21の第二ねじ部52に塗布し、前記ステップモータ11の弁体25を前記弁室形成部材31基端の開口部に挿入するとともに、該弁室形成部材31の基端部に形成された前記第一ねじ部53と前記ステップモータ11に設けられた前記第二ねじ部53とを螺合して、前記弁室形成部材31を前記ステップモータ11にねじ込む。
【0050】
そして、この電磁弁1の前記弁室形成部材31をブロック2に設けられた取付穴101に挿入し、当該電磁弁1を前記ブロック2にセットする。次に、前記ブロック2の側部から流出路103に治具72を挿入するとともに、該治具72の係合爪73,・・・を前記弁室形成部材31の回り止め71,・・・に係合して当該弁室形成部材31の回動を阻止する。
【0051】
この状態において、前記流出路103に吸入負圧を印加することで、大気開放された前記ブロック2の流入路111から前記取付穴101内に流体としての空気を吸入し、前記弁室形成部材31の入力ポート41,・・・から当該弁室形成部材31内の弁室32内に空気を入力しつつ、前記ステップモータ11で前記弁体25を駆動して該弁体25の移動量に基づく弁開度と、前記ブロック2の流出路103からの空気の流量との関係を測定しながら、前記ステップモータ11への前記弁室形成部材31のねじ込み量を可変する。
【0052】
このとき、前記弁室形成部材31は、前記治具72によって回動が阻止されている。このため、前記ブロック2から露出した前記ステップモータ11のケーシング12を回動することによって、該ステップモータ11と前記弁室形成部材31とを相対的に回動し、前記ねじ込み量を可変する。
【0053】
すると、このねじ込み量に応じて、前記ステップモータ11より延出した前記弁体25に対する前記弁室形成部材31の弁座42の位置が変位し、前記弁開度に対する空気流量が変化する。このため、所定の弁開度において所望の空気流量が得られるように前記ねじ込み量を調整し、前記ステップモータ11に対する前記弁室形成部材31のねじ込み量を決定する。
【0054】
このように、前記電磁弁1に空気を供給し弁開度と空気流量との関係を測定しながら前記ステップモータ11への前記弁室形成部材31のねじ込み量を決定することができる。
【0055】
このため、空気を供給しながらの調整作業ができないため、電磁弁の取付・取外作業と調整作業とを繰り返しながら組付けを行わなければならなかった従来と比較して、組み立て時間を短くすることができ、製造コストを抑えることができる。これにより、低コスト化を図ることができる。
【0056】
このとき、接着剤が塗布された前記両ねじ部52,53は、前記ステップモータ11と前記弁室形成部材31との接続部分に設けられており、前記弁室32と前記弁座42より下流側の弁座下流領域との間で生ずる圧力差の影響を受けない位置に配置されている。
【0057】
このため、前記入力ポート41,・・・から空気を供給しながら前記ねじ込み量の調整を行う調整作業時であっても、前記圧力差による前記両ねじ部52,53からの接着剤の流出が抑制される。
【0058】
さらに、前記弁室形成部材31の基端面61と該基端面61に対向する前記ステップモータ11の対向部62との間には、前記基端面61及び前記対向部62に密着する弾性を有したリング状のOリング63が配設されており、前記両ねじ部52,53を介した弁室32内と弁室32外とが前記Oリング63によってシールされている。
【0059】
これにより、前記両ねじ部52,53間の前記接着剤の外部への流出が確実に防止される。
【0060】
そして、前記弁室形成部材31から前記治具72を取り外すとともに、前記接着剤を熱硬化するなどして、前記弁室形成部材31を前記ステップモータ11に固定する。
【0061】
このように、この組み付け時において、前記弁室形成部材31の第一ねじ部52及び前記ステップモータ11の第二ねじ部53間の接着剤の流出を確実に防止することができるため、前記接着剤が流出する場合と比較して、前記ステップモータ11への前記弁室形成部材31の固定力を設計通りに維持することができる。これにより、固定力を安定し、信頼性を高めることができる。
【0062】
また、前記両ねじ部52,53は、前記ステップモータ11と前記弁室形成部材31との接続部分に設定されている。このため、仮に前記接着剤が流れ出し前記両ねじ部52,53間に隙間ができたとしても、前記両ねじ部52,53が弁室32と弁座下流領域との間に設定された従来と比較のように、閉弁時に前記弁室32の空気が前記両ねじ部52,53間の隙間を介して前記弁座下流領域へ漏れるといった不具合を確実に防止することができる。これにより、閉弁時の漏れ量の増大を防止することができ、閉弁時の空気流量を安定化することができる。
【0063】
そして、前記弁室形成部材31の基端面61と該基端面61に対向する前記ステップモータ11の対向部62との間に配設されたOリング63のシール効果によって、前記両ねじ部52,53間からの前記接着剤の外部への流出を確実に防止することができ、前記弁室32内に供給された空気の外部への漏れも確実に防止することができる。
【0064】
したがって、低コスト化を図りつつ、閉弁時での隙間からの漏れを防止し、固定力の低下に起因した不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】(a)は、従来の電磁弁を示す断面図であり、(b)は(a)のAぶ拡大図である。
【符号の説明】
【0066】
1 電磁弁
2 ブロック
11 ステップモータ
25 弁体
31 弁室形成部材
32 弁室
41 入力ポート
42 弁座
43 出力ポート
52 第一ねじ部
53 第二ねじ部
61 基端面
62 対向部
63 Oリング
71 回り止め
72 治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部より延出した弁体を包囲して弁室を形成する包囲部に、流体を前記弁室に入力する入力ポートと、前記弁体が離着座する弁座と、該弁座及び前記弁体間に形成される隙間を介して前記弁室の流体を出力する出力ポートとが設けられた電磁弁における電磁弁構造において、
前記包囲部を、前記弁体を挿入する開口部が基端に開口した弁室形成部材で構成し、該弁室形成部材に治具と係合して当該弁室形成部材の回動を防止する回り止め部を設け、かつ当該弁室形成部材の基端部に第一ねじ部を形成する一方、
前記駆動部に前記弁室形成部材の前記第一ねじ部と螺合する第二ねじ部を形成して前記駆動部より延出した前記弁体に対する前記弁室形成部材の前記弁座の位置を当該弁室形成部材の前記駆動部へのねじ込み量に応じて可変可能に構成するとともに、
前記弁室形成部材の基端面と該基端面に対向する前記駆動部の対向部との間に、少なくとも前記ねじ込み量の調整範囲において前記基端面及び前記対向部に密着する弾性を有したリング状のシール部材を前記基端面に沿って配設したことを特徴とする電磁弁構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−97622(P2009−97622A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269589(P2007−269589)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000220505)日本電産トーソク株式会社 (189)
【Fターム(参考)】