説明

電磁弁

【課題】 部品点数の抑制をすることができる電磁弁を提供すること。
【解決手段】 弁体の一端側に配置され、弁体の軸方向の移動に伴って軸方向に移動し、弁体の一端側と当接する所定口径の第1オリフィスと、第1オリフィスに向かって凹む方向に傾斜し弁体の第1被係合面と係合する第1係合面と、第1係合面の裏面側に形成され半径方向外側から内側へ向かって凹む方向に傾斜した第2係合面を備えた第1部材と、第1オリフィスより大口径の第2オリフィスが形成され第2係合面に係合する第2被係合面を有する第2部材と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体通路の開閉を行う電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報では、第1部材が弁体に固定されたスリーブに縦方向に対して移動可能に収容され、非通電時には、弁体と第1部材の第1当接部とが閉鎖するとともに、第1部材と第2部材の第2当接部とが閉鎖しているものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平9―60756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、軸長が長くなるという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、軸長の長さを抑制することができる電磁弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明においては、弁体の一端側に配置され、弁体の軸方向の移動に伴って軸方向に移動し、弁体の一端側と当接する所定口径の第1オリフィスと、第1オリフィスに向かって凹む方向に傾斜し弁体の第1被係合面と係合する第1係合面と、第1係合面の裏面側に形成され半径方向外側から内側へ向かって凹む方向に傾斜した第2係合面を備えた第1部材と、第1オリフィスより大口径の第2オリフィスが形成され第2係合面に係合する第2被係合面を有する第2部材と、を備えた。
【発明の効果】
【0006】
そのため、電磁弁の軸方向長さを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1のブレーキ装置の液圧回路図である。
【図2】実施例1の閉弁時のゲートインバルブの断面図である。
【図3】実施例1の開弁時のゲートインバルブの断面図である。
【図4】実施例1の第2部材およびバルブボディの斜視図である。
【図5】実施例1の第2部材およびバルブボディの斜視図である。
【図6】実施例1の第2部材およびバルブボディの斜視図である。
【図7】実施例2の閉弁時のゲートインバルブの断面図である。
【図8】実施例2の開弁時のゲートインバルブの断面図である。
【図9】実施例3の閉弁時のゲートインバルブの断面図である。
【図10】実施例3の開弁時のゲートインバルブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施例1]
実施例1の電磁弁は、ブレーキ装置20内のゲートインバルブ1(電磁弁)として用いられるものである。まずブレーキ装置20の液圧回路構成について説明する。
〔ブレーキ液圧回路の構成〕
図1は、ブレーキ装置20の液圧回路図である。このブレーキ装置20においては、P系統とS系統との2系統からなるX配管と呼ばれる配管構造となっている。P系統には、左前輪のホイルシリンダW/C(FL)、右後輪のホイルシリンダW/C(RR)が接続されており、S系統には、右前輪のホイルシリンダW/C(FR)、左後輪のホイルシリンダW/C(RL)が接続されている。また、P系統、S系統それぞれに、ポンプPPとポンプPSとが設けられており、このポンプPPとポンプPSは、1つのモータMによって駆動される。
マスタシリンダM/CとポンプPP,PSの吸入側とは、液路10P,10Sによって接続されている。この各液路10上には、ノーマルクローズのオン/オフ弁であるゲートインバルブ1P,1Sが設けられている。また液路10上であって、ゲートインバルブ1とポンプPとの間にはチェックバルブ5P,5Sが設けられており、この各チェックバルブ5は、ゲートインバルブ1からポンプPへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
各ポンプPの吐出側と各ホイルシリンダW/Cとは、液路11P,11Sによって接続されている。この各液路11上には、各ホイルシリンダW/Cに対応するノーマルオープン型の比例弁である増圧バルブ3FL,3RR,3FR,3RLが設けられている。また各液路11上であって、各増圧バルブ3とポンプPとの間にはチェックバルブ6P,6Sが設けられており、この各チェックバルブ6は、ポンプPから増圧バルブ3へ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
更に各液路11には、各増圧バルブ3を迂回する液路16FL,16RR,16FR,16RLが設けられており、この液路16には、チェックバルブ9FL,9RR,9FR,9RLが設けられている。この各チェックバルブ9は、ホイルシリンダW/CからポンプPへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
マスタシリンダM/Cと液路11とは液路12P,12Sによって接続されており、液路11と液路12とはポンプPと増圧バルブ3との間において合流している。この各液路12上には、ノーマルオープン型のオン/オフ弁であるゲートアウトバルブ2P,2Sが設けられている。また各液路12には、各ゲートアウトバルブ2を迂回する液路17P,17Sが設けられており、この液路17には、チェックバルブ8P,8Sが設けられる。この各チェックバルブ8は、マスタシリンダM/C側からホイルシリンダW/Cへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
ポンプPの吸入側にはリザーバ15P,15Sが設けられており、このリザーバ15とポンプPとは液路14P,14Sによって接続されている。リザーバ15とポンプPとの間にはチェックバルブ7P,7Sが設けられており、この各チェックバルブ7は、リザーバ15からポンプPへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
ホイルシリンダW/Cと液路14とは液路13P,13Sによって接続されており、液路13と液路14とはチェックバルブ7とリザーバ15との間において合流している。この各液路13にそれぞれ、ノーマルクローズ型のオン/オフ弁である減圧バルブ4FL,4RR,4FR,4RLが設けられている。
【0009】
〔ゲートインバルブの構成〕
図2、図3はゲートインバルブ1の断面図であり、図2は閉弁時を、図3は開弁時を示している。図4ないし図6は、ゲートインバルブ1の構成要素である第2部材30およびバルブボディ23の斜視図である。
ゲートインバルブ1は、ハウジング26内の液路10の途中に形成されたバルブ装着孔32に装着されている。ゲートインバルブ1は通電により電磁力を発生するソレノイド21(ソレノイド部)と、磁性体の固定鉄心27と、電磁力により駆動するアーマチュア24(弁体)と、アーマチュア24のシリンダとなる中空のバルブボディ23(筒状部材)と、アーマチュア24の先端に形成したプランジャ24aによって第1オリフィス25bが開閉される第1部材25と、第1部材25により第2オリフィス30aが開閉される第2部材30とを有している。
ソレノイド21はコイル22が巻かれており、コントロールユニットケース31に装着されている。固定鉄心27は略円筒状に形成された鉄製の磁性体である。バルブボディ23は中空の略円筒状に形成され、一端側の開口部は折りたたまれて径方向に突出した突出部23bを形成した非磁性体である。またバルブボディ23の開口端部は径方向外側に折り曲げられてフランジ部23aが形成されている。アーマチュア24の一端側にはスプリング挿入孔24cが形成されており、他端側には球状のプランジャ24aが設けられている。
第1部材25の外観はプレス加工によって有底カップ状に形成されており、カップの底部分は第1当接部25cを構成し、側面部分は第1外周壁25aを構成している。言い換えると、筒状に形成された第1外周壁25aの一方の開口端を第1当接部25cによって閉塞している。第1外周壁25aの内周側面は内周面25gを構成し、カップの開口部は開口端部25fを構成している。第1外周壁25aにはカップの内外を連通する連通孔25hが形成されている。第1当接部25cにはカップの内外を連通する第1オリフィス25bが形成されている。第1当接部25cの外側であって、第1オリフィス25bの周辺には第1オリフィス25bに向かって凹む方向に傾斜した第1係合面25dが形成されている。また第1当接部25cの内側(第1係合面25dの裏面側)には径方向外側から内側に向かって凹む方向に傾斜した第2係合面25eが形成されている。
第2部材30の外観は有底カップ状に形成されており外周側の側面は第2外周壁30cを構成している。また、第2部材30のカップ底の内周部分が開口部方向に向かって突出し、第2内周壁30jを構成している。第2外周壁30cには第2外周壁30cの内外を連通する吸入窓30g(連通路)が形成されている。この吸入窓30gにはフィルタ30hが設けられている。第2部材30は型に樹脂を流し込んで形成されているが、第2部材30を形成する際にフィルタ30hも一緒に型に入れた状態で一体に形成されている。突出した第2内周壁30jの端部は第2当接部30bを構成している。第2当接部30bには第2部材30の内外を連通する第2オリフィス30aが形成されている。第2オリフィス30aは、前述の第1オリフィス25bよりも大径に形成されている。第2オリフィス30aは、第2部材30の底部まで貫通しており、底部の開口部は排出口30iを構成している。また第2当接部30bは、径方向外側から第2オリフィス30aに向かって膨らむ方向に傾斜した第2被係合面30kが形成されている。第2当接部30bが形成される第2内周壁30jと第2外周壁30cとは連結部30dによって連結されている。この第2外周壁30c、連結部30d、第2内周壁30jによって形成されるU状の底部分により底部30fが構成されている。第2内周壁30jの外周側面の第2当接部30bと連結部30dとの間はガイド部30eを構成している。バルブボディ23のフランジ部23aは、第2部材30を樹脂成形する際に型に一緒に入れられて、第2部材30を一体に形成している。
ここで、第2外周壁25aの連通孔25hが形成される位置に対応する内部を、当接部30bの外周との間にはブレーキ液の流れを良好にするための環状空間Sが形成されている。
【0010】
〔ゲートインバルブの組付け〕
第2部材30の第2内周壁30jの外周に第2コイルスプリング29を挿入し、第1部材25を挿入する。すなわち第2コイルスプリング29は、第1部材25の開口端部25fと、第2部材30の底部30fとの間に配置される。またこの状態で第1部材25の第1外周壁25aの外周面と、第2部材30の第2外周壁30cの内周面との間には環状の空隙である液路33が形成される。また第2部材30の第2当接部30bは、第1部材25の第1外周壁25aに囲繞されており、第1部材25の内周面25gは、第2部材30のガイド部30eにガイドされる。
次にバルブボディ23に、アーマチュア24を挿入し、アーマチュア24のスプリング挿入孔24cに第1コイルスプリング28を挿入する。その後、バルブボディ23の開口部に固定鉄心27を挿入し、固定鉄心27を溶接してバルブボディ23に固定する。このため第1コイルスプリング28は、固定鉄心27とアーマチュア24との間に配置されることとなる。固定鉄心27は、第1コイルスプリング28と第2コイルスプリング29の付勢力に対抗して挿入される。すなわち第1コイルスプリング28と第2コイルスプリング29は、固定鉄心27が固定された状態で縮設される。このとき、第2コイルスプリング29が第1部材25をアーマチュア24側に付勢する付勢力は、第1コイルスプリング28がアーマチュア24を第1部材25側に付勢する付勢力よりも小さくなるようにしている。
ハウジング26に形成されたバルブ装着孔32は、段付き孔であり開口部から順に大径部32a、中径部32b、小径部32cが構成される。中径部32bの側面にはマスタシリンダM/C側と接続する液路10が開口する。また小径部32cの底面にはポンプP側と接続する液路10が開口する。
前述までで組み付けた部材がバルブ装着孔32に挿入される。このとき第2部材30の連結部30dの外周の圧入面30mが小径部32cに圧入される。またバルブボディ23の突出部23bは、大径部32aと中径部32bとの間の段部に当接する。この状態で、第2部材30の吸入窓30gは中径部32bに開口し、排出口30iが小径部32cに開口する。その後、コントロールユニットケース31と共にソレノイド21が装着される。
【0011】
〔ゲートインバルブの動作〕
マスタシリンダM/Cから高圧のブレーキ液は、第2部材30の第2外周壁30cに形成された吸入窓30gから、第1外周壁25aの外周面と、第2部材30の第2外周壁30cの内周面との間の空隙である液路33に供給される。ソレノイド21が非通電時には、第1部材25の第1係合面25dと、プランジャ24aの球面状である第1被係合面24bとが当接し、第1オリフィス25bを閉鎖している。また非通電時には、第1部材25の第2係合面25eと、第2部材30の第2被係合面30kとが当接し、第2オリフィス30aを封鎖している。ソレノイド21が通電されると、アーマチュア24が固定鉄心27側に吸引され、プランジャ24aが第1部材25の第1オリフィス25bを開放する。ほぼ同時に第1部材25も固定鉄心27側に移動して第2部材30の第2オリフィス30aを開放する。これにより、液路10が開放されてマスタシリンダM/Cのブレーキ液がポンプPに供給される。
【0012】
〔作用〕
従来、第1部材は第2当接部と軸方向にオーバラップしないように配置する必要があったため、電磁弁の軸方向長さを抑制することができないという問題があった。
そこで実施例1のゲートインバルブ1においては、筒状の第1外周壁25aと、第1外周壁25aの開口端の一端を閉塞しアーマチュア24のプランジャ24aと当接する所定口径の第1オリフィス25bが形成された第1当接部25cとを有する第1部材25と、第1部材25の第1外周壁25aに囲繞され、第1当接部25cと対向する位置に設けられた、第1オリフィス25bより大口径の第2オリフィス30aが形成された第2当接部30bを有する第2部材30とを設けた。すなわち、第2当接部30bと第1部材25とを軸方向にオーバラップして配置することが可能となる。
また実施例1のゲートインバルブ1においては、ガイド部30eを連結部30dと第2当接部30bとの間に形成した。そのため、ガイド部30eの軸方向長さを確保することが可能となる。
また実施例1のゲートインバルブ1においては、第2部材30を樹脂成形した。従来、第2当接部を有する部材は他の部材に圧入されていた。そのため、第2当接部を有する部材にはシール性確保の観点から圧入代を設ける必要があり、第2当接部を有する部材の外周面には空間を形成することができなかった。第2部材30を樹脂成形したため、部材を圧入することなく第2部材30を複雑な形に形成することができ、シール性を考慮する必要が無く、圧入代を省くことが可能となる。また、第2部材30の磁化を防止することが可能となる。
また実施例1のゲートインバルブ1においては、第2コイルスプリング29を、第2部材30の連結部30dと、第1部材25の開口端部25fとの間に縮設した。そのため第1部材25を、第2オリフィス30aを開放する側に付勢することが可能となる。
また実施例1のゲートインバルブ1においては、ガイド部を30eは連結部30dからアーマチュア24の方向に突出して形成し、第1部材25の内周面25gをガイド部30eによってガイドするようにした。すなわち、第2部材30の突出部にガイド部30eを形成し、第1部材25の内周面25gをガイドするようにしたため、第1部材25と第2部材30とを組み合わせたときに軸方向長さを短くすることができる。
また実施例1のゲートインバルブ1においては、第2外周壁30cに第2外周壁30cの内外を連通する吸入窓30gを形成した。すなわち、マスタシリンダM/Cのブレーキ液を第2部材30側に供給することが可能となる。
また実施例1のゲートインバルブ1においては、第2外周壁30cの内周面と第1外周壁25aの外周面との間に環状の空隙である液路33を形成した。そのため、多数の部材を組み合わせることなくマスタシリンダM/Cのブレーキ液をゲートインバルブ1内に供給する液路を確保することが可能となる。
また実施例1のゲートインバルブ1においては、第2部材30を樹脂形成する際に、第2外周壁30cの所定箇所に吸入窓30gが形成され、この吸入窓30gにフィルタ30hを一体的に形成した。よって、吸入窓30gの形成やフィルタ30hの設置の工数を抑制することが可能となる。
また実施例1のゲートインバルブ1においては、第1部材25のカップの内外をブレーキ液が連通するための連通孔25hが形成されている。そのため、液路33から第2オリフィス30a内へのブレーキ液の流量を確保することが可能となる。
また実施例1のゲートインバルブ1においは、バルブボディ23を第2部材30に樹脂一体成形した。そのため、第2部材30を形成する工程と同時にバルブボディ23と第2部材30とを接続することが可能となる。
【0013】
〔効果〕
実施例1のゲートインバルブ1の効果について以下に列記する。
(1)コイル22が巻かれたソレノイド21と、ソレノイド21の内周に配置され、非磁性体からなるバルブボディ23と、コイル22に通電したときに発生する電磁力によって、バルブボディ23を軸方向に移動する磁性体からなるアーマチュア24と、アーマチュア24の一端側に配置され、アーマチュア24の軸方向の移動に伴って軸方向に移動し、筒状の第1外周壁25aと、第1外周壁25aの開口端の一端を閉塞しアーマチュア24の一端側と当接する所定口径の第1オリフィス25bが形成された第1当接部25cと、を有する第1部材25と、バルブボディ23に固定され、アーマチュア24の他端側に配置された固定鉄心27と、固定鉄心27とアーマチュア24の他端側との間に縮設された第1コイルスプリング28と、第1部材25をアーマチュア24側に付勢し、第1コイルスプリング28の付勢力より小さく設定された第2コイルスプリング29と、第1部材25の第1外周壁25aに囲繞され、第1当接部25cと対向する位置に設けられ、第1オリフィス25bより大口径の第2オリフィス30aが形成された第2当接部30bと、第1部材25を軸方向にガイドするガイド部30eと、を有する第2部材30と、を設けた。
よって、第2当接部30bと第1部材25とが軸方向にオーバラップして配置することが可能となり、電磁弁の軸方向長さを抑制することができる。
(2)第2部材30はカップ状であって、第2当接部30bの外周に形成された環状の第2外周壁30cと、第2当接部30bと第2外周壁30cとを連結しカップ底部を構成する連結部30dと、から成り、ガイド部30eを連結部30dと第2当接部30bとの間に形成した。
よって、ガイド部30eの軸方向長さを確保することが可能となり、第1部材25を安定してガイドすることができる。
(3)第2部材30を樹脂成形した。
よって、部材を圧入することなく第2部材30を複雑な形に形成することができ、圧入代を省くことが可能となるため、ゲートインバルブ1の軸方向長さを抑制することができる。また、第2部材30の磁化を防止することが可能となり、コンタミの吸着等を抑制することができる。
(4)第2コイルスプリング29を、連結部30dと第1部材25の他端の開口端部25fとの間に縮設した。
よって、第1部材25を、第2オリフィス30aを開放する側に付勢することが可能となり、アーマチュア24が固定鉄心27側に移動するとすぐに第1部材25を固定鉄心27側が移動させることができ、第2オリフィス30aを開放し、ブレーキ液の流量を確保することができる。
(5)ガイド部30eは、連結部30dからアーマチュア24の方向に突出して形成され、第1部材25の内周面25gはガイド部30eにガイドされるようにした。
第2部材30の突出部にガイド部30eを形成し、第1部材25の内周面25gをガイドするようにしたため、第1部材25と第2部材30とを組み合わせたときに軸方向長さを短くすることができる。そのため、ゲートインバルブ1の軸方向長さを短くすることができる。
(6)第2外周壁30cに、第2外周壁30cの内外を連通する吸入窓30gを形成した。
よって、マスタシリンダM/Cのブレーキ液を第2部材30側に供給することが可能となり、ブレーキ液の流量を確保することができる。
(7)第2外周壁30cの内面と第1外周壁25aの外面との間に環状の空隙である液路33を形成した。
よって、多数の部材を組み合わせることなくマスタシリンダM/Cのブレーキ液をゲートインバルブ1内に供給する液路を確保することが可能となり、部品点数を抑制することができる。
(8)第2部材30は樹脂形成されていると共に、第2外周壁30cに所定箇所に吸入窓30gを形成し、吸入窓30gにフィルタ30hを一体的に設けた。
よって、吸入窓30gの形成やフィルタ30hの設置の工数を抑制することが可能となり、製造コストを抑制することができる。
(9)第1部材25はカップ状であって、カップの内外を流体が連通するための連通孔25hを形成した。
よって、液路33から第2オリフィス30a内へのブレーキ液の流量を確保することができる。
(10)バルブボディ23を第2部材30に樹脂一体成形した。
よって、第2部材30を形成する工程と同時にバルブボディ23と第2部材30とを接続することが可能となり、製造工程を削減することができる。また第2部材30とバルブボディ23とのシール性を確保することができる。
以上の少なくとも一つにより電磁弁をブレーキ装置に適用した場合、小型化や信頼性の向上を図ることができる。
【0014】
[実施例2]
〔ゲートインバルブの構成〕
実施例2のゲートインバルブ1の構成について以下に説明する。実施例1では第2部材30の第2内周壁30jの外周にガイド部30eを構成し、第1部材25の第1外周壁25aの内周面25gが、このガイド部30eにガイドされていた。この構成を実施例2では第2部材30の第2外周壁30cの内周にガイド部30nを構成し、第1部材25の第1外周壁25aの外周面25jが、ガイド部30nにガイドされるようにした点で、実施例1のゲートインバルブ1と異なる。実施例1のゲートインバルブ1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。図7、図8はゲートインバルブ1の断面図であり、図7は閉弁時を、図8は開弁時を示している。
第1部材25の外観は有底カップ状に形成されており、カップの底部分は第1当接部25cを構成し、側面部分は第1外周壁25aを構成している。言い換えると、筒状に形成された第1外周壁25aの一方の開口端を第1当接部25cによって閉塞している。第1外周壁25aの外周側面は外周面25jを構成し、カップの開口部は開口端部25fを構成している。第1外周壁25aにはカップの内外を連通する連通孔25hが形成されている。第1当接部25cの中心部にはカップの内外を連通する第1オリフィス25bが形成され、径方向外側には同じくカップの内外を連通する連通孔25iが形成されている。第1当接部25cの外側であって、第1オリフィス25bの周辺には第1オリフィス25bに向かって凹む方向に傾斜した第1係合面25dが形成されている。また第1当接部25cの内側には径方向外側から内側に向かって凹む方向に傾斜した第2係合面25eが形成されている。
第2部材30の外観は有底カップ状に形成されており外周側の側面は第2外周壁30cを構成している。また、第2部材30のカップ底の内周部分が開口部方向に向かって突出し、第2内周壁30jを構成している。第2外周壁30cには第2外周壁30cの内外を連通する吸入窓30gが形成されている。この吸入窓30gにはフィルタ30hが設けられている。第2部材30は型に樹脂を流し込んでされているが、第2部材30を形成する際にフィルタ30hも一緒に型に入れた状態で一体に形成されている。突出した第2内周壁30jの端部は第2当接部30bを構成している。第2当接部30bには第2部材30の内外を連通する第2オリフィス30aが形成されている。第2オリフィス30aは、前述の第1オリフィス25bよりも大径に形成されている。第2オリフィス30aは、第2部材30の底部まで貫通しており、底部の開口部は排出口30iを構成している。また第2当接部30bは、径方向外側から第2オリフィス30aに向かって膨らむ方向に傾斜した第2被係合面30kが形成されている。第2当接部30bが形成される第2内周壁30jと第2外周壁30cとは連結部30dによって連結されている。この第2外周壁30c、連結部30d、第2内周壁30jによって形成されるU状の底部分は底部30fが構成されている。第2外周壁30cの内周側面の開口端部と連結部30dとの間はガイド部30nを構成している。バルブボディ23のフランジ部23aは、第2部材30を樹脂成形する際に型に一緒に入れられて、第2部材30を一体に形成されている。
【0015】
〔ゲートインバルブの組付け〕
第2部材30の第2内周壁30jの外周に第2コイルスプリング29を挿入し、第1部材25を挿入する。すなわち第2コイルスプリング29は、第1部材25の開口端部25fと、第2部材30の底部30fとの間に配置されている。またこの状態で、第1部材25の第1外周壁25aの内周面と、第2部材30の第2内周壁30jの外周面との間には環状の空隙である液路34が形成されている。第1部材25の第1当接部25cに形成された連通孔25iは、この液路34に対して開口している。また第2部材30の第2当接部30bは、第1部材25の第1外周壁25aに囲繞されている。また第1部材25の外周面25jは、第2部材30のガイド部30nにガイドされている。
〔作用〕
実施例2のゲートインバルブ1においては、第2部材30はカップ状であって、第2当接部30bの外周に形成された環状の第2外周壁30cと、第2当接部30bと第2外周壁30cとを連結しカップ底部を構成する連結部30dと、から成り、ガイド部30nは第2外周壁30cの内壁であって、第1部材25の第1外周壁25aの外周面25jがガイドされるようにした。すなわち、吸入窓30gを有する第2外周壁30cにガイド部30nの機能も持たすことが可能となる。
〔効果〕
(11)第2部材30はカップ状であって、第2当接部30bの外周に形成された環状の第2外周壁30cと、第2当接部30bと第2外周壁30cとを連結しカップ底部を構成する連結部30dと、から成り、ガイド部30nは第2外周壁30cの内壁であって、第1部材25の第1外周壁25aの外周面25jがガイドされるようにした。すなわち、吸入窓30gを有する第2外周壁30cにガイド部30nの機能も持たすことが可能となる。そのため、ゲートインバルブ1の軸方向長さを短くすることができる。
【0016】
[実施例3]
〔ゲートインバルブの構成〕
実施例3のゲートインバルブ1の構成について以下に説明する。実施例1では第2部材30の第2内周壁30jの外周にガイド部30eを構成し、第1部材25の第1外周壁25aの内周面25gが、このガイド部30eにガイドされていた。この構成を実施例3では第2部材30の第2外周壁30cの内周にガイド部30nを構成し、第1部材25の第1当接部25cの外周面25kが、ガイド部30nにガイドされるようにした点で、実施例1のゲートインバルブ1と異なる。実施例1のゲートインバルブ1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。図9、図10はゲートインバルブ1の断面図であり、図9は閉弁時を、図10は開弁時を示している。
第1部材25の外観は円盤状に形成されており、第1当接部25cを構成している。第1当接部25cの中心部にはカップの内外を連通する第1オリフィス25bが形成されている。第1当接部25cの外側であって、第1オリフィス25bの周辺には第1オリフィス25bに向かって凹む方向に傾斜した第1係合面25dが形成されている。また第1当接部25cの内側には径方向外側から内側に向かって凹む方向に傾斜した第2係合面25eが形成されている。
第2部材30の外観は有底カップ状に形成されており外周側の側面は第2外周壁30cを構成している。また、第2部材30のカップ底の内周部分が開口部方向に向かって突出し、第2内周壁30jを構成している。第2外周壁30cには第2外周壁30cの内外を連通する吸入窓30gが形成されている。この吸入窓30gにはフィルタ30hが設けられている。第2部材30は型に樹脂を流し込んでされているが、第2部材30を形成する際にフィルタ30hも一緒に型に入れた状態で一体に形成されている。突出した第2内周壁30jの端部は第2当接部30bを構成している。第2当接部30bには第2部材30の内外を連通する第2オリフィス30aが形成されている。第2オリフィス30aは、前述の第1オリフィス25bよりも大径に形成されている。第2オリフィス30aは、第2部材30の底部まで貫通しており、底部の開口部は排出口30iを構成している。また第2当接部30bは、径方向外側から第2オリフィス30aに向かって膨らむ方向に傾斜した第2被係合面30kが形成されている。第2当接部30bが形成される第2内周壁30jと第2外周壁30cとは連結部30dによって連結されている。この第2外周壁30c、連結部30d、第2内周壁30jによって形成されるU状の底部分は底部30fが構成されている。第2外周壁30cの内周側面の開口端部と連結部30dとの間はガイド部30nを構成している。バルブボディ23のフランジ部23aは、第2部材30を樹脂成形する際に型に一緒に入れられて、第2部材30を一体に形成されている。また、第2部材30の第2外周壁30cの内周面と第2内周壁30jの外周面との間には環状の空隙である液路35が形成されている。
なおゲートインバルブ1が閉弁しているときに、プランジャ24aの第1被係合面24bと第1部材25の第1係合面25dとの当接面により外側シート面37bを構成し、第2部材30の第2被係合面30kと第1部材25の第2係合面25eとの当接面により内側シート面37aを構成している。
〔ゲートインバルブの組付け〕
第2部材30の第2内周壁30jの外周に第2コイルスプリング29を挿入し、第1部材25を挿入する。すなわち第2コイルスプリング29は、第1部材25の径方向端部25kと、第2部材30の底部30fとの間に配置されている。また第1部材25の第1当接部25cの外周面25kは、第2部材30のガイド部30nにガイドされている。
〔作用〕
実施例3のゲートインバルブ1においては、アーマチュア24の一端側に配置され、アーマチュア24の軸方向の移動に応じて軸方向へ移動すると共に、アーマチュア24の一端側と当接し所定口径の第1オリフィス25bが形成された第1当接部25cを有する第1部材25と、第1部材25の第1当接部25cを挟んでアーマチュア24と対向する位置に設けられ、第1オリフィス25bより大口径の第2オリフィス30aを有する第2当接部30bを有する第2部材30と、第1部材25の一側面と第2当接部30bの当接面とで構成される内側シート面37aと、第1部材25の他側面とアーマチュア24の当接面で構成される外側シート面37bとを設けた。そのため、第1部材25のガイド機能を第2部材30に持たすことが可能となる。
〔効果〕
(12)アーマチュア24の一端側に配置され、アーマチュア24の軸方向の移動に応じて軸方向へ移動すると共に、アーマチュア24の一端側と当接し所定口径の第1オリフィス25bが形成された第1当接部25cを有する第1部材25と、第1部材25の第1当接部25cを挟んでアーマチュア24と対向する位置に設けられ、第1オリフィス25bより大口径の第2オリフィス30aを有する第2当接部30bを有する第2部材30と、第1部材25の一側面と第2当接部30bの当接面とで構成される内側シート面37aと、第1部材25の他側面とアーマチュア24の当接面で構成される外側シート面37bとを設けた。
よって、第1部材25のガイド機能を第2部材30に持たすことが可能となり、部品点数を抑制することができる。
【0017】
[他の実施例]
以上、本願発明を実施するための最良の形態を、実施例1ないし実施例3に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例1ないし実施例3では、バルブボディ23のフランジ部23aは、第2部材30を樹脂成形する際に型に一緒に入れられて、第2部材30を一体に形成されている。この構成を、第2部材30の開口部にバルブボディ23を圧入するようにしても良い。
【符号の説明】
【0018】
1 ゲートインバルブ(電磁弁)
21 ソレノイド(ソレノイド)
22 コイル
23 バルブボディ(筒状部材)
23a フランジ部
24 アーマチュア(弁体)
25 第1部材
25a 第1外周壁
25b 第1オリフィス
25c 第1当接部
25f 開口端部
25g 内周面
25h 連通孔
25i 連通孔
25j 外周面
27 固定鉄心
28 第1コイルスプリング(第1弾性部材)
29 第2コイルスプリング(第2弾性部材)
30 第2部材
30a 第2オリフィス
30b 第2当接部
30c 第2外周壁
30d 連結部
30e ガイド部
30f 底部
30g 吸入窓(連通路)
30h フィルタ
30j 第2内周壁
30n ガイド部
31 コントロールユニットケース
33 液路(空隙)
34 液路(空隙)
35 液路(空隙)
37a 内側シート面
37b 外側シート面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルが巻かれたソレノイド部と、
前記ソレノイド部の内周に配置され、非磁性体からなる筒状部材と、
前記コイルに通電したときに発生する電磁力によって、前記筒状部材内を軸方向に移動する磁性体からなる弁体と、
前記筒状部材に固定され、前記弁体の他端側に配置された固定鉄心と、
前記固定鉄心と前記弁体の他端側との間に縮設された第1弾性部材と、
前記弁体の一端側に配置され、前記弁体の軸方向の移動に伴って軸方向に移動し、前記弁体の前記一端側と当接する所定口径の第1オリフィスと、前記第1オリフィスに向かって凹む方向に傾斜し前記弁体の第1被係合面と係合する第1係合面と、前記第1係合面の裏面側に形成され半径方向外側から内側へ向かって凹む方向に傾斜した第2係合面を備えた第1部材と、
前記第1部材を前記弁体側に付勢し、前記第1弾性部材の付勢力より小さく設定された第2弾性部材と、
前記第1オリフィスより大口径の第2オリフィスが形成され前記第2係合面に係合する第2被係合面を有する第2部材と、
を備えたことを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁弁において、
前記第1部材はプレス加工によって形成されていることを特徴とする電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−7490(P2013−7490A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−222667(P2012−222667)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2009−72365(P2009−72365)の分割
【原出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】