説明

電磁波の走査方法、映像投影装置および画像取得装置

【課題】映像投影に適した周波数を決めることができる電磁波の走査方法、映像投影装置および画像取得装置を提供すること。
【解決手段】電磁波の向きを変える偏向反射器2は、振動する独立した第一偏向方向xと第二の偏向方向yに電磁波を走査させる際、第二の偏向方向の分解能をY、走査領域全体の走査が完了するフレームレートをFとした時、第一の偏向周波数fxを、
【数01】


としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁波(光ビーム)を2方向へ走査して電磁波による平面を形成する電磁波の走査方法、映像投影装置および画像取得装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ビームを2方向へ走査して光ビームによる情報平面を形成するビーム走査方法としては、例えば映像を表示するテレビジョン・プロジェクタがある。このテレビジョン・プロジェクタでは、光ビームのスポット状の輝点を偏向反射器で走査してスクリーン上に光ビームによる情報平面としての画像を形成するようになっている。
【0003】
この偏向反射器は、概略直交する2つの第1,第2回転軸があり、第1,第2回転軸により偏向反射器の角度を変える事ができる。この偏向反射器の角度が第1,第2回転軸を中心に変わることで、反射光の方向が変わりスクリーン上での輝点の位置が変わる。
【0004】
そして、この輝点を映像表示に利用するため、偏向反射器により光ビームをラスタースキャン走査して、走査による画像をスクリーン上に描くように光ビームのスポットを往復移動させる毎に垂直方向に所定量ずつ移動させている。
【0005】
一般に、テレビジョンでは、このようなラスタースキャンによる画面描画が1秒間に60回必要である。そして、映像の垂直方向の解像度が例えば480本である場合、水平方向の走査周波数は480×60=28,800となり約30kHz程度必要である。また、映像を走査し走査している事が視覚的に気にならないようにするには、偏向反射器を高速に動かさなくてはならない。
【0006】
このような高い周波数の振動を実現するために、半導体プロセスで小型の反射器を形成する事が行われている。反射器を小さく薄く軽くする事で反射器を構成部の固有振動周波数を高く設計できる。反射器の位置と同期して入射光を映像信号で変調する。入射光は赤・青・緑の3色が映像信号の3色成分に相当し独立に変調される。
【0007】
この動作はブラウン管テレビジョンと基本的に同じである。ブラウン管テレビジョンは入射光の代わりに電子ビームを、偏向反射器の代わりに偏向コイルによって電子ビームの向きを変えている。
【0008】
この偏向反射器により反射光の輝点を走査させる場合、走査範囲は反射器の振れる角度に大きく依存する。偏向反射器の位置からスクリーンの位置までの距離が同じなら、反射器を大きな角度で振れるほど投射される映像は大きくなる。
【0009】
ミラーにより偏向反射器を構成する場合、ミラーによる光ビームの偏向走査をさせるために、ミラーを振動させるなどして往復回転させる必要がある。このミラーによる光ビームの偏向走査において、ミラーの回転を数十キロHzで偏向を行うには、ミラーの回転では高速回転が要求され小型なモータで実現するのは難しくなる。
【0010】
そこで、振動を用いると小型のものが実現できるが直線的な動きや不連続な動きのある走査は難しくなる。この振動をさせる場合は共振を用いると少ないエネルギーで大きな振幅を得ることができる。
【0011】
例えば、偏向反射器のリフレクタを直交する2つの第1,第2回転軸を中心としてそれぞれ基本波で動かす走査では、走査の軌跡がリサージュ図形に基づいて行われている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この様な走査をする場合には、縦方向と横方向の周波数を決める必要がある。しかし、リサージュ図形に基づく走査は、ラスタースキャンによる走査に比べ周波数選択の自由度が高いので、映像投影に適した周波数を決めるのが難しい。
【0013】
また、特許文献1におけるようなリサージュ図形を用いた走査では、走査の輝点が1往復したときに起点に戻って来ずにx方向へ120度ずれた位置へ戻ってくる。また、走査による輝点がy(垂直方向)に一往復すると、走査による輝点の位置が120度位置がずれので、走査による輝点が3往復すると、走査による輝点が丁度360度の回転となり起点に戻ることになる。
【0014】
しかし、このリサージュ図形で例えば20×20の分解能で画素を構成する事を考えると、偏向反射器が何往復走査しようが走査線が通ることのない画素ノブ分を有する。この例のようにリサージュ図形による走査では走査ムラを生じやすい。このため、矩形領域を均等に走査させるには、走査分解能と走査周波数を適切に選択しなくてはならない。
【0015】
そこで、この発明は、映像投影に適した周波数を決めることができる電磁波の走査方法、映像投影装置および画像取得装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するため、この発明にかかる電磁波の走査方法、映像投影装置および画像取得装置は、電磁波の向きを変える偏向器を有し、前記偏向器は振動する独立した第一偏向方向xと第二の偏向方向yを有し、前記偏向器が偏向させた電磁波を走査させる事により空間を2次元走査する。しかも、第二の偏向方向の分解能をY、走査領域全体の走査が完了するフレームレートをFとした時、第一の偏向周波数fxを、
【数01】

とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このような電磁波の走査方法、映像投影装置および画像取得装置によれば、分解能とフレームレートから第一の偏向周波数を決定できるので、指定したフレームレートで全面走査が完了することが可能となり、ビデオ映像の投影を目的とした応用の設計値が明確となる。これにより、映像投影に適した周波数を決めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明に係る電磁波の走査方法を用いた映像投影装置である映像プロジェクタの説明図である。
【図2】図1に示した偏向反射器とスクリーンとの関係を示す概略斜視図である。
【図2A】図2に示した偏向反射器の拡大説明図である。
【図3】図2に示した偏向反射器の作用説明図である。
【図4】図1に示した映像プロジェクタの制御回路図である。
【図5】図4に示した出力制御部の詳細な回路図である。
【図6】図1に示した映像プロジェクタによる走査の説明図である。
【図7】図1に示した映像プロジェクタの走査に用いるリサージュ図形と振動の説明図である。
【図8】図7に示したリサージュ図形による振動説明図である。
【図9】図7に示したリサージュ図形を用いての走査と画素との関係を示す説明図である。
【図10】図7に示したリサージュ図形を用いての走査説明図である。
【図11】図7に示したリサージュ図形を用いての走査時のxの位相の説明図である。
【図12】y振動の半周期(時間Ty/2)での位相回転のための説明図である。
【図13】図1に示した偏向反射器の他の構成を示す概略斜視図である。
【図14】この発明に係る電磁波の走査方法を用いた画像取得装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0020】
[構成]
図1はこの発明に係る電磁波の走査方法のための走査装置を映像プロジェクタ(映像投影装置)に適用した実施例を示したものであり、図2は図1の電磁波の走査装置の偏向走査器の一例を示した斜視図である。
【0021】
この図1において、1は半導体レーザービーム発生部、2は半導体レーザービーム発生部1で発生させられたレーザービーム(電磁波)を偏向走査させる偏向反射器である。
<半導体レーザービーム発生部1>
この半導体レーザービーム発生部1は、電磁波である赤色レーザービームLbR(映像信号の赤成分)を発生させる赤色レーザーダイオードLD−Rと、電磁波である緑色レーザービームLbG(映像信号の緑成分)を発生させる緑色レーザーダイオードLD−Gと、電磁波である青色レーザービームLbB(映像信号の青成分)を発生させる青色レーザーダイオードLD−Bを有する。
【0022】
また、半導体レーザービーム発生部1は、赤色レーザーダイオードLD−Rから発生する赤色レーザービームLbRを平行光束にして拡散を防止させるレンズ3と、緑色レーザーダイオードLD−Gから発生する緑色レーザービームLbGを平行光束にして拡散を防止させるレンズ4と、青色レーザーダイオードLD−Bから発生する青色レーザービームLbBを平行光束にして拡散を防止させるレンズ5を有する。
【0023】
更に、半導体レーザービーム発生部1は、緑色レーザーダイオードLD−Gから発生する緑色レーザービームLbGを赤色レーザービームLbRと一本の光になるように合成させるダイクロックミラー6と、青色レーザーダイオードLD−Bから発生する青色レーザービームLbBを赤色レーザービームLbR,緑色レーザービームLbGと一本の光になるように合成させるダイクロックミラー7を有する。
【0024】
このようにダイクロックミラー6,7で合成された合成レーザビームLbは、偏向反射器2により走査されてスクリーン8に投影されるようになっている。
<偏向反射器2>
テレビジョンでは1秒間に60回の画面描画が必要である。そして、映像の垂直方向の解像度が例えば480本である場合、水平方向の走査周波数は480×60=28,800となり、約30kHz程度必要である。このような高い周波数の振動を実現するために、テレビジョン・プロジェクタ等に用いる偏向反射器を半導体プロセスで小型の反射器を形成して、反射器を小さく薄く軽くすることで反射器の構成部の固有振動周波数を高く設計できる。
【0025】
図2の偏向反射器2は、この半導体プロセスで形成したMEMS(メムス、Micro Electro Mechanical Systems)ミラーである小型の偏向反射器モデルを示したものである。
【0026】
この図2の偏向反射器2は、方形枠状の第1,第2支持フレーム部10,11と、リフレクタ本体である方形状の可動ミラー部(走査ミラー部)12を有する。この可動ミラー部12は第1支持フレーム部10内に配設され、第1支持フレーム部10は第2支持フレーム部11内に配設されている。
【0027】
また、図2Aに示したように、第1支持フレーム部10は4つの支持枠部10a〜10dを有し、第2支持フレーム部11は4つの支持枠部を11a〜11dを有し、可動ミラー部12は4つのミラー辺部12a〜12dを有する。支持枠部10a,10cは互いに反対側に位置し、支持枠部10b,10dは互いに反対側に位置し、支持枠部11a,11cは互いに反対側に位置し、支持枠部11b,11dは互いに反対側に位置している。可動ミラー部12のミラー辺部12b,12dは支持枠部10b,10dに対応し、支持枠部10a,10cは支持枠部11a,11cに対応している。
【0028】
そして、可動ミラー部12のミラー辺部12b,12dの長手方向中央部は、支持枠部10b,10dの長手方向中央部に弾性支持部(第1回転軸)13,13を介して連設されている。また、支持枠部10a,10cの長手方向中央部は支持枠部11a,11cの長手方向中央部に弾性支持部(第2回転軸)14,14を介して連設されている。
【0029】
尚、偏向反射器2は、弾性支持部13,13を中心とする可動ミラー部12の左右回転を図3のように生じさせる静電電圧を可動ミラー部12の間に発生させる図示しない第1固定電極と、弾性支持部14,14を中心とする可動ミラー部12の上下回転を生じさせる静電電圧を可動ミラー部12の間に発生させる図示しない第2固定電極を有する。
この第1固定電極と可動ミラー12との間の静電電圧を可変制御することで、可動ミラー部12を弾性支持部13,13を中心として左右回動(水平回動)させることができ、第2固定電極と可動ミラー12との間の静電電圧を可変制御することで、可動ミラー部12を弾性支持部14,14を中心として上下回動(垂直回動)させることができる。この構成は、MEMSの技術では周知であるので、その詳細な説明は省略する。そして、制御により可動ミラー部12を回転駆動させて合成レーザビームLbをラスタースキャンと呼ばれる走査ができるようになっている。
【0030】
このラスタースキャンと呼ばれる走査の制御は、図4に示した制御回路20により行われる。
<制御回路>
制御回路20は、映像信号が映像情報として入力されるビデオデコーダ21と、ビデオデコーダ21からの画像データを記憶させるフレームメモリ22を有する。このビデオデコーダ21は、入力される映像情報の垂直・水平タイミング情報および映像信号の色情報に基づいて、映像情報における画素の座標位置と色(R,G,B)を画素情報(画像データ)として再構成し、この再構成した画素情報をフレームメモリ(フレームバッファ)22へ書き込むようになっている。
(信号発生器S1,S2)
また、制御回路20は、偏向反射器2の可動ミラー部12を弾性支持部(第1回転軸)13,13を中心に回転制御させる第1制御信号を発生させる信号発生器(水平制御信号発生器)S1と、偏向反射器2の可動ミラー部12を弾性支持部(第2回転軸)14,14を中心に回転制御させる第2制御信号を発生させる信号発生器(垂直制御信号発生器)S2を有する。
(電圧印加ドライバMd1,Md2)
更に、制御回路20は、信号発生器S1の第1制御信号に基づき偏向反射器2の可動ミラー部12を左右方向(水平方向)に回転させる静電電圧を発生させる電圧印加ドライバMd1と、信号発生器S2の第2制御信号に基づき偏向反射器2の可動ミラー部12を上下方向(垂直方向)に回転させる静電電圧を発生させる電圧印加ドライバMd2を有する。
(出力制御部23)
制御回路20は、フレームメモリ22に記憶されたR,G,Bの画素情報(画像データ)が入力される出力制御部(出力制御回路)23を有する。この出力制御部23は、信号発生器S1と信号発生器S2の発生する信号のタイミングにあわせ偏向反射器2の可動ミラー部12の動きを推測し、偏向反射器2の可動ミラー部12の反射光の座標位置を算出する。しかも、出力制御部23は、算出した反射光の座標位置に対応して画素情報をフレームメモリ22から読み出すようになっている。
(検知器24)
更に、制御回路20は、可動ミラー部12水平方向への回転位置(水平回転角)と、可動ミラー部12上下方向への回転位置(垂直回転角)を検出する検知器(角度センサ)24を有する。
【0031】
この検知器24は、偏向反射器2の可動ミラー部12の実際の回転位置を、可動ミラー部12の角度と関連する信号として検出するようになっている。この検知器24としては、例えば弾性支持部13,14のねじれよる歪みを検出する歪みセンサー、或いは可動ミラー部12で反射された光を検出するたとえばフォトダイオード等の光検知器を用いることができる。
【0032】
この検知器24に可動ミラー部12の支える弾性支持部13(第1回転軸)と弾性支持部14(第2回転軸)のねじれを検出する歪みセンサーを用いた場合、検知器24で検出された歪みの大きさにより可動ミラー部12の回転角を求めて、求めた回転角から可動ミラー部12によるレーザービームの輝点をスクリーン8に照射するタイミングが判る。
【0033】
また、検知器24に可動ミラー部12で反射された光を検出する光検知器(たとえばフォトダイオード)を用いた場合、光検知器が可動ミラー部12で反射された光を検知すると、可動ミラー部12がレーザービームの輝点を光検知器(たとえばフォトダイオード)が設置された方向に照射するタイミングが判る。この可動ミラー部12がレーザービームの輝点を光検知器に照射するタイミングは、可動ミラー部12がレーザービームの輝点をスクリーン8に照射するタイミングである。
(LD用すなわちレーザーダイオード用のライバ)
更に、制御回路20は、検知器24からの可動ミラー部12の角度検知信号およびR,G,Bの映像情報(画像データ)に基づき出力制御部23により駆動制御されて、赤色レーザーダイオードLD−R,緑色レーザーダイオードLD−G,青色レーザーダイオードLD−Bの発光制御をする赤LD用のドライバRd,緑LD用のライバGd,青LD用のドライバBdを有する。
【0034】
上述したように出力制御部23は、算出した位置に対応した画素情報をフレームメモリ22から読み出し、その色信号に応じて赤LD用のドライバRd,緑LD用のライバGd,青LD用のドライバBdにへ駆動信号を送る。この赤LD用のドライバRdは入力された駆動信号から赤色レーザーダイオードLD−Rの発光制御をし、緑LD用のライバGdは入力された駆動信号から緑色レーザーダイオードLD−Gの発光制御をし、青LD用のドライバBdは入力された駆動信号から青色レーザーダイオードLD−Bの発光制御をする。
【0035】
この赤色レーザーダイオードLD−Rから発光された赤色レーザービームLbR、緑色レーザーダイオードLD−Gから発光された緑色レーザービームLbG、及び青色レーザーダイオードLD−Bから発光された青色レーザービームLbBはそれぞれ指向性を有する。そして、赤色レーザービームLbR,緑色レーザービームLbG及び青色レーザービームLbBは、偏向反射器2の可動ミラー部12に入射して反射されて向きを偏向され、スクリーン8に照射されてスクリーン8上の輝点となる。
<出力制御部(出力制御回路)23の詳細>
次に、上述した出力制御部23の詳細な構成を説明する。この出力制御部23は、図5に示したように、フレームメモリ(フレームバッファ)22に記憶された映像信号のR,G,Bの画像データを読み出すバッファ読出部(バッファ読出回路)25と、信号発生器S1からの第1制御信号および検知器24からの角度検出信号に基づいて弾性支持部13(第1回転軸)回りの可動ミラー部12の振動制御をさせる第1の振動モデル信号生成部26と、信号発生器S2からの第2制御信号および検知器24からの角度検出信号に基づいて弾性支持部14(第2回転軸)回りの可動ミラー部12の振動制御をさせる第2の振動モデル信号生成部27を有する。
【0036】
第1の振動モデル信号生成部26は、可動ミラー部12の第一の方向(水平方向)への振動モデル1の偏向方向信号(第1の振動モデル信号)を生成し、第2の振動モデル信号生成部27は可動ミラー部12の第二の方向(垂直方向)への振動モデル2の偏向方向信号(第2の振動モデル信号)を生成する。
【0037】
また、出力制御部23は、第一の方向(水平方向)への偏向方向信号(偏向角度信号)および第二の方向(垂直方向)への偏向方向信号(偏向角度信号)に基づいて、可動ミラー部12によるレーザビームの偏向方向の座標位置を変換(算出)する座標算出部(座標算出回路)28を有すると共に、算出したレーザビームの偏向方向の座標位置を補正する座標補正部29を有する。
【0038】
この座標補正部29は、可動ミラー部12によるスクリーン8への投影映像の歪み補正のためパラメータを有する。そして、座標補正部29は、第一の方向(水平方向)への偏向方向信号(偏向角度信号)および第二の方向(垂直方向)への偏向方向信号(偏向角度信号)を座標変換すると共に、座標変換により求めた可動ミラー部12によるレーザビームの偏向方向の座標位置を座標補正部29に記憶されたパラメータに従って補正して、バッファ読出部(バッファ読出回路)25に入力する。
【0039】
そして、バッファ読出部(バッファ読出回路)25は、座標算出部28からのレーザビームの偏向方向の座標位置に基づいて、フレームメモリ(フレームバッファ)22に記憶されたR,G,Bの画像データから座標算出部28より算出された座標位置に対応するR,G,Bの画素データを読み出すようになっている。
【0040】
また、出力制御部23は、バッファ読出部25により読み出されたR,G,Bの画素データをR,G,B毎に補正する画素補正部(画素補正回路)30を有する。
【0041】
この画素補正部30は、読み出したR,G,Bの画素データのガンマ補正、色補正、明るさ・コントラスト等を補正して、Rの画素データを赤LD用のドライバRdに入力し、Gの画素データを緑LD用のドライバGdに入力し、Bの画素データを青LD用のドライバBdに入力するようになっている。
【0042】
上述したように座標算出部28は、振動モデル1,2に基づいて算出された第1,第2回転軸(弾性支持部13,14)回りの可動ミラー部12の角度位置より、出力制御部23から出力すべき画素データの座標を決定する。また、上述したように、振動モデル1、振動モデル2、座標算出、バッファ読み出しは、少なくとも3系統、例えば赤、青、緑の成分の3系統を有し、それぞれ、映像の色成分毎に処理が行われる。
【0043】
尚、第1の振動モデル信号生成部(振動モデル1)26および第2の振動モデル信号生成部(振動モデル2)27は例えばサイン波を発生する。また、偏向反射器2が共振により振動している場合、サイン波は良い近似を得られる。このサイン波の位相は検知器24により補正することで、実際の反射器の向きに合わせることができる。第1,第2の振動モデル信号生成部26,27から生成される信号は、偏向反射器2の振動を表しているならサイン波でなくてももちろん良い。
[作用]
次に、上述したビーム走査装置である映像プロジェクタの作用を説明する。
[I].映像プロジェクタの基本的な走査動作
ビデオデコーダ21は、映像信号が入力されると、入力される映像信号から映像情報の垂直・水平タイミング情報および映像信号の色情報に基づいて映像情報における画素の座標位置と色(R,G,B)を画素情報(画像データ)として再構成し、この再構成した画素情報をフレームメモリ(フレームバッファ)22へ書き込む。
【0044】
また、信号発生器S1は偏向反射器2の可動ミラー部12を弾性支持部(第1回転軸)13,13を中心に回転制御させる第1制御信号を発生させ、信号発生器S2は偏向反射器2の可動ミラー部12を弾性支持部(第2回転軸)14,14を中心に回転制御させる第1制御信号を発生させる。この第1制御信号に電圧印加ドライバMd1に入力され、第2制御信号に電圧印加ドライバMd2に入力される。
【0045】
この電圧印加ドライバMd1は、第1制御信号に基づき偏向反射器2の可動ミラー部12を左右方向(水平方向)に回転駆動させる水平回転用の静電電圧を発生させて、水平回転用の静電電圧を偏向反射器2の可動ミラー部12に印加する。また、電圧印加ドライバMd2は、第2制御信号に基づき偏向反射器2の可動ミラー部12を上下方向(垂直方向)に回転させる垂直回転用の静電電圧を発生させて、この垂直回転用の静電電圧を偏向反射器2の可動ミラー部12に印加する。
【0046】
これに伴い、検知器(角度センサ)24は、可動ミラー部12水平方向(x方向)への回転位置(水平回転角)と、可動ミラー部12上下(垂直)方向(y方向)への回転位置(垂直回転角)を検出して、検出信号を出力する。この際、出力制御部23は、検知器24の検出信号および信号発生器S1と信号発生器S2の発生する第1,第2制御信号に基づいて、偏向反射器2の可動ミラー部12の動きであるラスタースキャン(走査タイミング)を推測して、偏向反射器2の可動ミラー部12のレーザビームによる反射光の座標位置を算出する。
【0047】
そして、電圧印加ドライバMd1は、第1制御信号および検知器24からの検出信号に基づき可動ミラー部12を水平方向に所定角度回転させる単振動の制御を繰り返す。また、電圧印加ドライバMd2は、第2制御信号および検知器24からの検出信号に基づき可動ミラー部12の水平方向の一往復回転毎に垂直方向に所定角度ずつ回転させる制御を可動ミラー部12の水平方向の往復回転数が所定数になるまで繰り返す制御を行う。
【0048】
これよって電圧印加ドライバMd1,Md2は、偏向反射器2の可動ミラー部12によりレーザビームを図6に示したようなラスタースキャンの操作を実行して、スクリーン8上にHL1,HL2,・・・HLi・・・HLnで示した走査線による画像を形成する。
【0049】
次に、出力制御部23のより詳細な作用を説明する。
【0050】
出力制御部23の第1の振動モデル信号生成部26は、可動ミラー部12の第一の方向(水平方向)への振動モデル1の偏向方向信号(第1の振動モデル信号)を生成し、出力制御部23の第2の振動モデル信号生成部27は可動ミラー部12の第二の方向(垂直方向)への振動モデル2の偏向方向信号(第2の振動モデル信号)を生成する。しかも、第1の振動モデル信号生成部26は、信号発生器S1からの第1制御信号および検知器24からの角度検出信号に基づいて弾性支持部13(第1回転軸)回りの可動ミラー部12の振動制御をさせる。また、第2の振動モデル信号生成部27は、信号発生器S2からの第2制御信号および検知器24からの角度検出信号に基づいて弾性支持部14(第2回転軸)回りの可動ミラー部12の振動制御をさせる。
【0051】
また、出力制御部23の座標算出部(座標算出回路)28は、第一の方向(水平方向)への偏向方向信号(偏向角度信号)および第二の方向(垂直方向)への偏向方向信号(偏向角度信号)に基づいて、可動ミラー部12によるレーザビームの偏向方向の座標位置を変換(算出)する。この際、座標算出部28には、座標補正部29は、可動ミラー部12によるスクリーン8への投影映像の歪み補正のためパラメータが入力される。そして、座標算出部28は、座標補正部29からのパラメータに基づいて、座標変換により求めた可動ミラー部12によるレーザビームの偏向方向の座標位置を補正して、バッファ読出部(バッファ読出回路)25に入力する。
【0052】
このバッファ読出部(バッファ読出回路)25は、座標算出部28からのレーザビームの偏向方向の座標位置に基づいて、フレームメモリ(フレームバッファ)22に記憶されたR,G,Bの画像データから座標算出部28より算出された座標位置に対応するR,G,Bの画素データを読み出す。また、出力制御部23の画素補正部(画素補正回路)30は、バッファ読出部25により読み出されたR,G,Bの画素データをR,G,B毎に補正する。即ち、画素補正部30は、読み出したR,G,Bの画素データのガンマ補正、色補正、明るさ・コントラスト等を補正する。
【0053】
このようにして補正された画素データは、Rの画素データを赤LD用のドライバRdに入力し、Gの画素データを緑LD用のドライバGdに入力し、Bの画素データを青LD用のドライバBdに入力される。この赤LD用のドライバRdは入力された駆動信号から赤色レーザーダイオードLD−Rの発光制御をし、緑LD用のライバGdは入力された駆動信号から緑色レーザーダイオードLD−Gの発光制御をし、青LD用のドライバBdは入力された駆動信号から青色レーザーダイオードLD−Bの発光制御をする。
【0054】
この赤色レーザーダイオードLD−Rから発生する赤色レーザービームLbRはレンズ3により平行光束にされ、緑色レーザーダイオードLD−Gから発生する緑色レーザービームLbGはレンズ4により平行光束にされ、青色レーザーダイオードLD−Bから発生する青色レーザービームLbBはレンズ5により平行光束にされる。そして、緑色レーザーダイオードLD−Gから発生する緑色レーザービームLbGは、ダイクロックミラー6により反射させられて、ダイクロックミラー6を透過する赤色レーザービームLbRと一本の光になるように合成される。また、青色レーザーダイオードLD−Bから発生する青色レーザービームLbBは、ダイクロックミラー7で反射させられて、ダイクロックミラー7を透過する赤色レーザービームLbRと緑色レーザービームLbGに合成されて、一本の合成レーザビームLbとなる。このは合成レーザビームLbは、偏向反射器2の可動ミラー部12により走査されてスクリーン8に投影され、スクリーン8にラスタースキャンによる画像を形成する。
[II].走査制御の振動周波数の決定
このようなラスタースキャンによる画像形成に伴う制御において、可動ミラー部12はレーザビームを互いに垂直な2つの方向に偏向させる場合、以下に説明するようにして画像形成制御のための可動ミラー部12の振動周波数を決定させる。ここで、偏向方向のうち、一方を第一の偏向方向と呼称し、他方を第二の偏向方向と呼称して、振動周波数の設定を説明する。
【0055】
この第一の偏向方向と第2の偏向方向は、それぞれ独立して概略単振動する向きである。また、上述した例において、第一の偏向方向は水平方向であり、第二の偏向方向は垂直方向である。
ここで、第一の偏向方向の振動の周波数f1を周期をT1とすると、周期T1は、
【数1】

・・・(1)
で表される。
【0056】
また、第二の偏向方向の周波数f2を周期をT2とすると、周期T2は、
【数2】

・・・(2)
で表される。
(i).偏向反射器2のリサージュ図形に基づく走査制御
また、第一の偏向方向(水平方向)と第二の偏向方向(垂直方向)は概略直交する方向とすると共に、第一の偏向方向の振動と第二の偏向方向の振動との位相差をαとする。ここでは第一の偏向方向(水平方向)をx方向、第二の偏向方向(垂直方向)をy方向として、偏向反射器2の動作を説明する。
【0057】
このx方向とy方向の振動が合成されることで偏向反射器2の偏向方向は例えば図7の様なリサージュ図形を描くようになっている。
【0058】
x方向とy方向の周波数の比は10:3であり、α=0度の場合の例である。この様な方向に光線を投射しスクリーン8に投影させる事でスクリーン8の矩形領域を走査する事になる。振動の振幅の大きさにより矩形領域の大きさや縦横比を変える事ができるが、ここでの説明ではxとyの振幅比は1:1として説明をする。
【0059】
図7の様なリサージュ図形がy方向に1往復した場合の様子を見ると図8の様になる。y方向が1往復する時間T2が経った時には、x方向の振動はβ度位相が進む。
【0060】
【数3】

・・・(3)
となっている。周波数の比が10:3なのでβは120度となる。
【0061】
よってリサージュ図形は、1往復では起点に戻って来ずにx方向へ120度ずれた位置へ戻ってくる。
【0062】
yが位置往復すると120度位置がずれるので3往復すると丁度360度の回転となり起点に戻ることになる。
【0063】
このリサージュ図形で例えば20×20の分解能で画素を構成する事を考えると図9のようになる。この図9における白い画素は偏向器が何往復走査しようが走査線が通ることはない。
【0064】
この例のようにリサージュ図形による走査は走査ムラを生じやすい。また、スクリーン8の矩形領域を均等に走査させるには、走査分解能と走査周波数を適切に選択しなくてはならない。
【0065】
走査されない場所をより少なくするにはβという角度を見直すと良い。y方向の1往復でβ度x方向の回転が起こることを表すので、例えばβが10度となるような周波数の組み合わせを選択すればy方向1往復毎にx方向に10度のずれが生じる。先程の周波数の例に倣えば、f1:f2=10:3.30275というような周波数比である。この時の走査線の例を図10に示す。
【0066】
このようにβを小さな角度にするとより密度の高い走査が可能となる。しかし、矩形領域全体を走査する時間は増加することになる。β=10度ならば36回y方向の往復をする時間が必要である。
(ii).走査ムラを低減させる条件等
そこで、周波数の遅いy方向の走査位置が振動して戻って来たときにx方向の走査位置が前回の走査位置に隣接する場所になる条件を付ける。この様子を図11に示す。これは振動の変位速度が最も早くなる振動中心での走査の模式図である。tydはy軸の振動がこの水平画素を横切る時間を表す。走査#1が走査された後、yの走査は半周期後にこの垂直位置へ戻り走査#2を走査する。この時、走査#1と走査#2が隣接していれば、走査に隙間や重なりが少なく均一になる。
【0067】
このような走査を行う条件は、
・x軸の振動周波数:f1=fx(Hz)
・y軸の振動周波数:f2=fy(Hz)、
・周期:Ty(Hz)、
・周期:Tx(Hz)、
・フレームレート:F(frames/秒)、
・投影映像のx方向の解像度:X(画素)、
・投影映像のy方向の解像度:Y(画素)、
として、以下のようにして求める。
【0068】
周期(時間)Ty毎のx軸の位相は、
【0069】
【数4】

・・・(4)
進むことになる。また、y振動(y方向の振動)の半周期、時間Ty/2に必ず位相がγだけ回転するには、
【0070】
【数5】

・・・(5)
の関係が成り立てば良い。ここで、nは時間Ty/2内でのx軸の振動回数を表し正の整数である。γの項の+は位相を進ませる場合を、−は位相を遅らせる場合を示す。この様子を図12に示す。
【0071】
次にy軸が振動中心の水平走査位置に戻る時に、前回の走査位置と隣接する位置へ戻る条件を考える。
【0072】
y軸が1画素を横切る時間をtydとすると、y軸1周期でY本の走査線を2回走査するので、時間tyd
【数6】

・・・(6)
となる。この時間でx軸は
【数7】

・・・(7)
だけ回転して水平方向の走査をすることになる。
【0073】
そしてy軸がまたこの水平走査位置へ戻ったときに前回の水平走査した部分の隣から走査を始めるようにするには、
x軸の位相が
【数8】

・・・(8)
だけ回転していれば良い。
【0074】
次に、y軸の1往復で何回x方向の走査を行えば良いかを考える。フレームレートがFであるから、1フレームの時間1/F秒でy軸はfy/F回振動する。この時間に少なくともY本の水平走査を行い1/F秒でY本の走査を完了すれば良い。xの1往復で2回の走査を行うとすると、nは
【0075】
【数9】

・・・(9)
とすれば良い。
これらを上述した式(5)に代入すると、
【数10】

・・・(10)
となる。
【0076】
ここで、例えばF=60 frame per second、Y=600本とすると、
n=75、fx≒18030Hzとなる。nが整数となるYとFを選択する。
【0077】
fyは少なくともF以上の周波数であることが望ましく、Fの倍数の周波数であるとフレームレートの考えと馴染みやすい。
【0078】
以上の事から、設計値として、フレームレートF,水平方向の画素数X,垂直方向の画素数Y,周波数fx,周波数fy等は、例えば
・F=60f/s,
・X=700本,
・Y=600本,
・fx=18030Hz,
・fy=120Hz
という値を選択できる。
【0079】
ここで、垂直方向の画素数Yを構成する複数の画素は等間隔であることを前提としている。しかし、回転ミラーの角度が正弦波振動している周波数fyを表す場合、ミラーの回転角度と投影される輝点の位置は1次式の関係で表せず、投影する画素の間隔は等しくならない。このため、投影したい映像の垂直方向の解像度よりも大きな値をYに用いる。
【0080】
また、正弦波振動の最大振幅の近辺は走査速度が遅いため映像の投影領域として使用しない方が好ましい。そのため、投影領域の外周付近は映像を投影しない様にし、Yの値もこの範囲を加味し大きな値を設定する。例えば、投影解像度をVGAサイズ640×480画素にする場合は、X=800、Y=600とする等、XとYの値に盛り込むとよい。
【0081】
この様な構成によれば、偏向反射器2の振動周波数の組み合わせは複数が選択が可能となる。これにより偏向反射器2を製造する上で設計の自由度が高まり、より低コストな方式を検討する事が可能となる。
【0082】
例えば2軸の偏向方向を持つ偏向反射器を作る場合、単方向の偏向反射器の中に異なる方向の偏向反射器を入れ子状に実装する事が考えられる。この場合、母偏向反射器は子偏向反射器を入れるために子偏向反射器に比べ大きく重くなる。つまり、母偏向反射器と子偏向反射器の共振周波数は大きく異なってくる。この様な場合にはNが大きな周波数の組み合わせを検討する事で適した周波数の組み合わせが見つかる可能性が高まる。
【0083】
尚、本実施例の場合、例えば、可動ミラー部12を子偏向反射器とみなすと共に第1支持フレーム部10及び可動ミラー部12を備える部分をメインの母偏向反射器と見なすこともできるし、可動ミラー部12を母偏向反射器とみなすと共に、第1支持フレーム部10及び可動ミラー部12を備える部分をメインの母偏向反射器と見なすこともできる。
(変形例1)
以上説明した実施例では、可動ミラー部12を互いに垂直な方向に回転させる第1,第2回転軸(弾性支持部13,14)が設けられた一つの偏向反射器2から構成した例を示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0084】
例えば、図13に示したように、第一方向(水平方向)にレーザビームLbを偏向させる第1偏向反射器(水平方向偏向反射器)2xと、第二方向(垂直方向)にレーザビームLbを偏向させる第2偏向反射器(垂直方向偏向反射器)2yとから偏向反射器2を構成しても良い。この第1偏向反射器2xと第2偏向反射器2yも半導体プロセス(半導体製造プロセス)によりMEMSとして容易に製造できる。
【0085】
そして、第1偏向反射器2xは、第1支持フレーム部10と、第1支持フレーム部10内に配設された方形状の第1偏向反射器(第1リフレクタ)12xと、第1偏向反射器12xを第1支持フレーム部10の支持枠部10b,10dに支持している弾性支持部(第1回転軸)13,13を有する。第2偏向反射器2yは、第2支持フレーム部11と、第2支持フレーム部11内に配設された方形状の第2偏向反射器(第2リフレクタ)12yと、第2偏向反射器12yを第2支持フレーム部11の支持枠部11a,11cに支持している弾性支持部(第2回転軸)14,14を有する。
【0086】
この図13の偏向反射器2も図2の偏向反射器2と同様なスキャンを行うことができる。
【0087】
この様な構成によれば、図2の偏向反射器2を図13に示したように第1偏向反射器(水平方向偏向反射器)2xと第2偏向反射器(垂直方向偏向反射器)2yとに分けているので、第1偏向方向(水平方向)と第2偏向方向(垂直方向)の振動周波数の組み合わせは複数が選択が可能となる。これにより偏向反射器2を製造する上で設計の自由度が高まり、より低コストな方式を検討する事が可能となる。
【実施例2】
【0088】
また、他の例として映像プロジェクタとは逆に遠方の画像を取得する画像取得装置にも適応できる。図14は、この画像取得装置の一例を示したものである。この図14において、31はフォトディテクタ、32はレンズである。
【0089】
この画像取得装置では、図示しないレンズ等の光学部材を介して被写体の微小部分の光線を偏向反射器2に入射可能に設けておいて、偏向反射器2を駆動させることにより、被写体の微小部分の光線を取得する位置をラスタースキャンによる走査をして、この微小部分の光線をスポットビーム状の光線として偏向反射器2に入射させるようにする。そして、この入射する光線を、偏向反射器2により偏向させてレンズ32を介してフォトディテクタ31に入射させることで、フォトディテクタ31により検出させる。この際、フォトディテクタ31は、被写体の微小部分の光線のR,G,B等の光量を検出する。また、被写体の光線を取得する微小部分の座標位置は偏向反射器2の可動ミラー部12のx、y方向への回転角度から求めることができ、この被写体の光線を取得する微小部分の座標位置とフォトディテクタ31の検出値を関連付けすることで、画像を形成することができる。
【0090】
以上説明したように、この発明の実施の形態の電磁波の走査方法は、電磁波の向きを変える偏向器(偏向反射器2)を有し、前記偏向器(偏向反射器2)は振動する独立した第一偏向方向xと第二の偏向方向yを有し、前記偏向器(偏向反射器2)が偏向させた電磁波を走査させる事により空間を2次元走査する。しかも、第二の偏向方向の分解能をY、走査領域全体の走査が完了するフレームレートをFとした時、第一の偏向周波数fxを、
【0091】
【数01】


としている。
【0092】
このような電磁波の走査方法によれば、分解能とフレームレートから第一の偏向周波数を決定できるので、指定したフレームレートで全面走査が完了することが可能となり、ビデオ映像の投影を目的とした応用の設計値が明確となる。これにより、映像投影に適した周波数を決めることができる。
【0093】
また、この電磁波の走査方法を用いた映像投影装置および画像取得装置でも、分解能とフレームレートから第一の偏向周波数を決定できるので、指定したフレームレートで全面走査が完了することが可能となり、ビデオ映像の投影を目的とした応用の設計値が明確となる。これにより、映像投影に適した周波数を決めることができる。
【0094】
また、この発明の実施の形態の電磁波の走査方法において、第二の偏向周波数をfyとした時、
【0095】
【数02】


が整数となるF,Y及びfyの組み合わせとするようになっている。
この方法によれば、リサージュ図形に基づく輝点の走査時に画素の走査ムラを低減できる。
【0096】
また、この発明の実施の形態の映像投影装置は、上述した電磁波の走査方法を用いている。この映像投影装置では、走査ムラが目立たない映像投影が可能となる。また、投影走査に必要な偏向器の周波数に設計自由度が生じ、より低コストな偏向器を用いる事が可能となる。
【0097】
更に、この発明の実施の形態の画像取得装置は、上述した電磁波の走査方法を用いている。この画像取得装置では、走査ムラが目立たない画像取得が可能となる。また、画像取得に必要な偏向器の周波数に設計自由度が生じ、より低コストな偏向器を用いる事が可能となる.
【産業上の利用可能性】
【0098】
この発明に係る電磁波の走査方法は、例えば赤外線や紫外線、X線或いは他の放射線等の電磁波を用いることで、赤外線の画像取得装置やX線画像取得装置等その他の医療装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0099】
2・・・偏向反射器
8・・・スクリーン
12・・・可動ミラー部
31・・・フォトディテクタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】
【特許文献1】特表2005-526289号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波の向きを変える偏向器を有し、
前記偏向器は振動する独立した第一偏向方向xと第二の偏向方向yを有し、
前記偏向器が偏向させた電磁波を走査させる事により空間を2次元走査する走査方法において、
第二の偏向方向の分解能をY、走査領域全体の走査が完了するフレームレートをFとした時、第一の偏向周波数fxを、
【数11】

とすることを特徴とする電磁波の走査方法。
【請求項2】
請求項1の走査方法において、
第二の偏向周波数をfyとした時、
【数12】

が整数となるF,Y及びfyの組み合わせとすることを特徴とする電磁波の走査方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の電磁波の走査方法を用いることを特徴とする映像投影装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2の電磁波の走査方法を用いることを特徴とする画像取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−247534(P2012−247534A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117804(P2011−117804)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】