説明

電磁波照射装置

【課題】処理対象物であるセパレートシートや物を載せるパレット等の平面体に電磁波(紫外線)を照射して殺菌等を行うようにした電磁波照射装置において、処理対象物に照射される電磁波の照射強度や照射量を正確に測定できるようにする。
【解決手段】処理対象物2に電磁波を照射する電磁波発生源31と、この電磁波発生源31から発せられる電磁波の強度を検出する電磁波検出センサ32と、を備え、ここで電磁波検出センサ32は、処理対象物2が通過しない位置(電磁波発生源31を挟んで処理対象物2と反対側となる位置)で、かつ電磁波発生源31からの距離が処理対象物2と電磁波発生源31との間の距離と略等しい位置に設置される構成とする。この構成では、処理対象物2が受けている電磁波と略等しい強さの電磁波を電磁波検出センサ32で検出することになるので、限りなく実態に近い電磁波の照射強度や照射量の測定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理対象物であるセパレートシートや物を載せるパレット等の平面体に電磁波を照射して殺菌等を行う電磁波照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば飲料メーカーにおいて、飲料を充填する前のボトル(容器)は、図11に示すように積み重ねられた状態で保管あるいは輸送される。即ちこの場合、多数のボトル1がセパレートシート2を介して複数段に積み重ねられ、これが一つのパック3に包装された状態で保管あるいは輸送されるものである。
【0003】
このような形態の中でセパレートシート2は、図で明らかな如くボトル1の飲み口1aと密着しており、ここでセパレートシート2が微生物に汚染されていた場合、ボトル1の飲み口1aは確実に汚染されてしまうことになる。
【0004】
飲料工場内で使用し終わったセパレートシートや、このセパレートシート等を載せるパレット等の載置台は、そのまま積み重ねられて工場内に置かれている場合が多くあり、このような状況下に置かれたセパレートシートを再使用する場合、セパレートシートに付着した微生物でボトルが汚染されてしまう可能性が非常に大きい。
【0005】
そこで従来、このセパレートシートの殺菌を行う装置が提案されている。この種の殺菌装置としては、例えば下記の特許文献1に開示されるようなものがあり、即ちこの特許文献1の装置では、セパレートシートに電磁波の一種である紫外線を照射して殺菌を行うようにしている。
【特許文献1】特開2003−160111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の殺菌装置では、処理対象物であるセパレートシートに確実に殺菌ができる量の紫外線が照射されているかどうかの確認をすることができない。そのため従来は、装置メーカーが示した数字を信じ、それだけの紫外線が照射されているはずだという程度の管理しか行うことができなかった。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、処理対象物であるセパレートシートや物を載せるパレット等の平面体に電磁波(紫外線)を照射して殺菌等を行うようにした装置において、処理対象物に照射される電磁波の照射強度や照射量を正確に測定できる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するものとして本発明の請求項1に係る電磁波照射装置は、
処理対象物がセパレートシートや物を載せるパレット等の平面体であって、
この処理対象物を搬送する搬送手段と、
この搬送手段によって搬送される上記処理対象物に電磁波を照射して殺菌する電磁波発生源と、
この電磁波発生源から発せられる電磁波の強度を検出する電磁波検出センサと、
を備え、
ここで電磁波検出センサは、処理対象物に照射される電磁波と略等しい強さの電磁波を電磁波発生源から受ける位置に設置されていることを大きな特徴とするものである。
【0009】
さらに本発明の請求項2に係る電磁波照射装置は、
電磁波検出センサは、処理対象物が通過しない位置で、かつ電磁波発生源からの距離が処理対象物と電磁波発生源との間の距離と略等しい位置に設置されていることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の請求項3に係る電磁波照射装置は、
電磁波発生源の一部または全部もしくは一部の近傍に、電磁波発生源から発せられる電磁波の強度を検出する電磁波検出センサより耐久性に優れた電磁波検出サブセンサを設置したことを特徴とする。
【0011】
さらに本発明の請求項4に係る電磁波照射装置は、
電磁波検出センサ及び電磁波検出サブセンサからの出力に基いて計算された電磁波の照射強度や照射量を表示する表示部を有し、通常時は電磁波検出サブセンサからの出力に基く電磁波の照射強度や照射量が表示され、必要時に電磁波検出センサからの出力に基く電磁波の照射強度や照射量が表示されるようにしたことを特徴とする。
【0012】
さらに本発明の請求項5に係る電磁波照射装置は、
電磁波検出センサに、電磁波発生源からの電磁波を遮蔽する遮蔽部材を備えたことを特徴とする。
【0013】
さらに本発明の請求項6に係る電磁波照射装置は、
電磁波検出サブセンサに、電磁波発生源からの電磁波を遮蔽する遮蔽部材を備えたことを特徴とする。
【0014】
さらに本発明の請求項7に係る電磁波照射装置は、
電磁波発生源は、管状に形成された紫外線ランプによりなり、これが処理対象物の搬送方向と平行または直交もしくは傾斜状に交差して単数または複数本並設されているとともに、処理対象物の搬送経路の両側に対称的に配置されていることを特徴とする。
【0015】
さらに本発明の請求項8に係る電磁波照射装置は、
処理対象物の搬送経路に、処理対象物の姿勢を保持するための一対のガイド棒を有し、このガイド棒は、処理対象物の搬送方向に対し傾斜するように設置されていることを特徴とする。
【0016】
さらに本発明の請求項9に係る電磁波照射装置は、
一対のガイド棒は、その入口側または入口側と出口側の端部の間隔が広がった形状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1に係る電磁波照射装置では、電磁波発生源から発せられる電磁波の強度を検出する電磁波検出センサを設けるとともに、この電磁波検出センサを、処理対象物に照射される電磁波と略等しい強さの電磁波を電磁波発生源から受ける位置に設置したことにより、電磁波発生源から処理対象物に照射される電磁波の照射強度や照射量を正確に測定することができる。
【0018】
さらに本発明の請求項2に係る電磁波照射装置では、電磁波検出センサを、処理対象物が通過しない位置で、かつ電磁波発生源からの距離が処理対象物と電磁波発生源との間の距離と略等しい位置に設置することにより、電磁波発生源から処理対象物に照射される電磁波の照射強度や照射量を簡単な構成で正確に測定することができる。
【0019】
さらに本発明の請求項3に係る電磁波照射装置では、電磁波発生源の一部または全部もしくは一部の近傍に、電磁波発生源から発せられる電磁波の強度を検出する電磁波検出センサより耐久性に優れた電磁波検出サブセンサを設置したことにより、通常時には電磁波検出センサを休ませた状態で電磁波検出サブセンサを使用して電磁波の照射強度や照射量の測定を行うことができる。
【0020】
さらに本発明の請求項4に係る電磁波照射装置では、
電磁波検出センサ及び電磁波検出サブセンサからの出力に基いて計算された電磁波の照射強度や照射量を表示する表示部を有し、通常時は電磁波検出サブセンサからの出力に基く電磁波の照射強度や照射量が表示され、必要時に電磁波検出センサからの出力に基く電磁波の照射強度や照射量が表示されるようにしたことにより、電磁波発生源から処理対象物に照射される電磁波の照射強度や照射量を目視によって容易に確認することができる。
【0021】
さらに本発明の請求項5に係る電磁波照射装置では、電磁波検出センサに、電磁波発生源からの電磁波を遮蔽する遮蔽部材を備えたことにより、電磁波検出センサを休ませている状態で、電磁波を受ける部分をこの遮蔽部材で覆って保護することができ、これによって電磁波検出センサの寿命を延ばすことが可能となる。
【0022】
さらに本発明の請求項6に係る電磁波照射装置では、電磁波検出サブセンサに、電磁波発生源からの電磁波を遮蔽する遮蔽部材を備えたことにより、電磁波検出サブセンサを休ませている状態で、電磁波を受ける部分をこの遮蔽部材で覆って保護することができ、これによって電磁波検出サブセンサの寿命を延ばすことが可能となる。
【0023】
さらに本発明の請求項7に係る電磁波照射装置では、電磁波発生源は、管状に形成された紫外線ランプによりなり、これが処理対象物の搬送方向と平行または直交もしくは傾斜状に交差して単数または複数本並設されているとともに、処理対象物の搬送経路の両側に対称的に配置されていることにより、処理対象物の表裏両面に紫外線を万遍なく確実に照射して効率的な殺菌を行うことができる。
【0024】
さらに本発明の請求項8に係る電磁波照射装置では、処理対象物の搬送経路に、処理対象物の姿勢を保持するための一対のガイド棒を有し、このガイド棒は、処理対象物の搬送方向に対し傾斜するように設置されていることにより、電磁波の照射時にはこのガイド棒が処理対象物の同じ位置を遮ることがないので、処理対象物の全面に確実に紫外線を照射して効率的な殺菌を行うことができる。
【0025】
さらに本発明の請求項9に係る電磁波照射装置では、一対のガイド棒は、その入口側または入口側と出口側の端部の間隔が広がった形状に形成されていることにより、搬送されて来た処理対象物が一対のガイド棒の間にスムーズに導入され、また排出されるので、処理対象物は安定した状態で一対のガイド棒の間を通って搬送され、確実な殺菌処理が行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
ここでは、電磁波照射装置の実施例として、先に図11で説明したセパレートシート2の殺菌を行うためのセパレートシート殺菌装置について説明する。一般にセパレートシートは、紙基材やプラスチックで出来ている平面体であり、その表裏両面に電磁波を照射することにより迅速かつ確実な殺菌を行うものである。
なお、ここで電磁波とは、少なくとも100nm〜3.5μmの波長領域を含み、その中で特に殺菌作用に優れた紫外線(100〜400nm)を利用してセパレートシートの殺菌を行うようにしている。
【0027】
図1は本発明によるセパレートシート殺菌装置の概略構成を示しており、即ちこのセパレートシート殺菌装置は、シート入口部11と、紫外線照射ユニット30を備えた中央処理部12と、シート出口部13と、を有して構成され、各部にはセパレートシートの搬送手段であるコンベア14,15,16が水平に設置されている。
【0028】
そしてこのセパレートシート殺菌装置において、未処理シート用パレット17に積み上げられた未処理のセパレートシート2が上に持ち上げられ、これを一枚ずつ垂直に起立させた状態でシート入口部11のコンベア14に載せることにより、セパレートシート2はコンベア14,15,16によってシート入口部11から中央処理部12を通ってシート出口部13まで搬送され、その途中、中央処理部12を通るときに紫外線照射ユニット30からセパレートシート2に紫外線が照射されて殺菌が行われる。この殺菌処理が行なわれた後、セパレートシート2はシート出口部13のコンベア16から自動的に降下されて、処理済シート用パレット18に整頓された状態で積み上げられる。
【0029】
またこのセパレートシート殺菌装置においては、その動作を制御するコントロールボックス19の前面に表示部として表示パネル20が設けられており、そこに装置の動作状況及び紫外線の照射強度や照射量などが表示されるようになっている。なお、この表示パネル20は、他にも管理しやすい任意の場所(例えば中央処理部12の外装の前面)に配置することができる。
【0030】
図2は、本例のセパレートシート殺菌装置における中央処理部12の構成を示す平面図である。この中央処理部12においては、その入口付近に、コンベアと同期した速度で回転駆動される粗ゴミ取り及び搬送補助用の一対のローラ22及び23が設けられており、この一対のローラ22及び23の間を通ってセパレートシート2が中央処理部12内に送り込まれる構成となっている。さらにこの一対のローラ22と23の間には一対のブラシローラ24が設けられており、この一対のブラシローラ24の間にセパレートシート2を通すことによって、セパレートシート2に付着している塵埃を完全に除去するようにしている。
【0031】
そして、この中央処理部12の内部には、セパレートシート2が通る搬送経路の途中において、セパレートシート2に紫外線を照射するための紫外線照射ユニット30が設置されている。この紫外線照射ユニット30は、紫外線発生源として紫外線ランプ31を有し、この紫外線ランプ31からセパレートシート2に紫外線が照射されて殺菌が行われる。ここで紫外線照射ユニット30は、セパレートシート2の表裏両面に紫外線を照射できるように、セパレートシート2の搬送経路の両側に対称的に配置されている。
【0032】
この紫外線照射ユニット30を備えた中央処理部12におけるセパレートシート2の搬送経路には、セパレートシート2の姿勢を保持するための一対のガイド棒25が設置されている。この一対のガイド棒25は、中央処理部12の入口付近にある搬送補助ローラ23の直後から中央処理部12の出口まで延設されており、セパレートシート2はこの一対のガイド棒25の間を通ることで、紫外線照射ユニット30の紫外線ランプ31に対し一定の距離を保ちながら垂直の起立姿勢で安定して搬送されるようになっている。
【0033】
この構成においてガイド棒25は、図1に示すように、セパレートシート2の搬送方向や紫外線ランプの位置に対し傾斜するように設置されており、これによって紫外線の照射時にガイド棒25がセパレートシート2の同じ位置を遮ることのない構成とし、セパレートシート2の全面に確実に紫外線が照射されるようにしてある。
【0034】
また図2に示す如く、一対のガイド棒25は、その入口側の端部25aの間隔が広がった形状に形成されており、これによって中央処理部12の入口側から搬送されて来たセパレートシート2が一対のガイド棒25の間にスムーズに導入されて、安定した状態で搬送される構造としてある。さらにこの一対のガイド棒25は、その出口側の端部の間隔も広げた形状としてもよく、その場合にはセパレートシート2が一対のガイド棒25の間からよりスムーズに排出されることになる。
【0035】
さらに中央処理部12においては、紫外線照射ユニット30の入口側と出口側とに、セパレートシート2の通過検知を行う通過センサ26と27が設置されており、ここでは入口側の通過センサ26によってセパレートシート2が紫外線照射ユニット30のエリアに入って来ることが検知され、出口側の通過センサ27によってセパレートシート2が紫外線照射ユニット30のエリアから出て行ったことが検知されるようになっている。
【0036】
さらに中央処理部12では、エアーブロワーやコンプレッサー等の送風手段から供給されるエアーがエアー供給口28から紫外線ランプ31及び紫外線照射ユニット30に向けて送風され、このエアーによって紫外線ランプ31の冷却が行われるようになっている。紫外線ランプ31を冷却した後のエアーは、排気ダクト29から外部に排出されるようにしてある。
【0037】
図3及び図4は、紫外線照射ユニット30の構成を示す側面図及び正面図である。この紫外線照射ユニット30では、図3に示すように、紫外線発光源として細長い管状に形成された紫外線ランプ31が用いられ、これをセパレートシート2の搬送方向と平行に配置してある。この場合、あらゆる方向からセパレートシート2に紫外線を照射できるように、本例では7本の紫外線ランプ31を上下方向に等間隔で並べて設置した構成としている。なお、この紫外線照射ユニット30において紫外線ランプ31は、セパレートシート2の搬送方向に対し直交もしくは傾斜状に交差して配置する構成としてもよく、またその本数も単数で構成してもよい。そしてこの紫外線照射ユニット30は、図4に示す如く、セパレートシート2の搬送経路の両側に対称的に設置されており、これによってセパレートシート2の表裏両面に紫外線を万遍なく確実に照射して効率的な殺菌が行われるようにしてある。
【0038】
この紫外線照射ユニット30において用いられる紫外線ランプ31は、紫外線の中でも最も殺菌効果の大きい250〜260nmの波長領域を含む紫外線を発光する紫外線ランプが使用される。この場合、セパレートシートに過剰に紫外線を照射するとセパレートシートが劣化するおそれがあるので、適切な紫外線照射量(35〜50mW/s/cm)となるように、紫外線ランプ31の出力やセパレートシート2と紫外線ランプ31との間の距離を考慮した設計としている。なお、ここで紫外線ランプ31は、寿命によって出力が低下したらこれを簡単に交換できるようになっており、これによってセパレートシート2に対し常に確実な紫外線照射が行われるようにしてある。
【0039】
そして特に本例のセパレートシート殺菌装置では、上記の紫外線照射ユニット30において、セパレートシート2に照射される紫外線の照射量を測定するための紫外線検出センサ32が設置されている。この紫外線検出センサ32は、受光部32aで紫外線を受けて紫外線の強さを検出し、その数値を出力する紫外線強度計であり、後述するようにこの紫外線検出センサ32からの出力に基いて計算された紫外線の照射量の数値が図1に示す表示パネル20に表示されるようになっている。
【0040】
本例では、両側の紫外線照射ユニット30において夫々中央部に1個の紫外線検出センサ32が設置されており、これによってセパレートシート2の表側と裏側の夫々に照射される紫外線の照射量を測定するようにしている。ここで紫外線検出センサ32は、セパレートシート2が通過しない位置で、セパレートシート2に照射される紫外線と略等しい強さの紫外線を紫外線ランプ31から受ける位置に設置されている。具体的には、図5に示すように、紫外線検出センサ32は、紫外線ランプ31を挟んでセパレートシート2と反対側となる位置で、かつ紫外線ランプ31からの距離aがセパレートシート2と紫外線ランプ31との間の距離bと略等しい位置に設置される。
【0041】
上記のような構成としたことにより本例のセパレートシート殺菌装置では、紫外線の照射時に、紫外線ランプ31から発せられる紫外線のうち、セパレートシート2と反対側に向かって発せられる紫外線、即ちセパレートシート2の殺菌に使用されていない紫外線を紫外線検出センサ32で受光して紫外線の照射量を測定することになるが、ここで紫外線検出センサ32は、紫外線ランプ31からの距離aがセパレートシート2と紫外線ランプ31との間の距離bと略等しい位置に設置されていることにより、セパレートシート2が受けている紫外線と略等しい強さの紫外線を受光することになるので、限りなく実態に近い紫外線の照射量の測定が可能となるものである。
【0042】
こうして本例のセパレートシート殺菌装置では、紫外線ランプ31からセパレートシート2に照射される紫外線の照射量を簡単な構成で正確に測定することができる。なお、本例の構成では、両側の紫外線照射ユニット30において夫々1個の紫外線検出センサ32を設置してあるが、この紫外線検出センサ32は可能であれば片側で上中下3箇所、両側で計6個以上設置することが好ましく、その場合は一段と精度の高い紫外線照射量の測定が可能となる。
【0043】
ところで、上記構成において紫外線検出センサ32に用いられている紫外線強度計は、長時間の紫外線照射に弱く、即ち紫外線を長時間照射すると受光部が故障して誤作動を起こすおそれがある。そのためこの紫外線検出センサ32では、これを使用していないときには受光部32aを遮蔽部材で覆って紫外線を遮蔽する必要がある。
【0044】
図6はその構成例を示すものであり、即ちここでは、紫外線検出センサ32に遮蔽部材としてスライド式のシャッタ33を取り付けてある。このシャッタ33はステンレスや紫外線に強い樹脂等の紫外線を通さない材料によりなり、紫外線検出センサ32の使用時には図6(A)に示す如くこのシャッタ33を開いて受光部32aを露出させ、紫外線検出センサ32を使用しないときには同図(B)に示すようにこのシャッタ33をスライドさせて閉じることによって受光部32aを覆うようにする。この場合、シャッタ33の開閉動作を自動的に行う構成としてもよい。なお、このシャッタ33はスライド式に限ることなく回転式で開閉する構造としてもよい。またこれ以外にも、紫外線を遮蔽するものであればブラインドやドアシャッタのようなものでもよい。
【0045】
このように紫外線検出センサ32の受光部32aを覆うシャッタ33を備えたことにより、紫外線検出センサ32を休ませている状態で、受光部32aをこのシャッタ33で覆って保護することができるので、紫外線検出センサ32の寿命を延ばすことが可能となる。
【0046】
上記の如く紫外線検出センサ32は、常時使用することが難しいので、定期的な確認用として使用される。即ち、月に1〜2回程度、シャッタ33を開き紫外線検出センサ32を使用して正確な紫外線照射量を測定し、確実な殺菌が行われているかどうかを確認するものである。
【0047】
このような紫外線検出センサ32に対して本例のセパレートシート殺菌装置では、紫外線の照射量を常時測定できるように、紫外線検出センサ32よりも紫外線に対する耐久性に優れた紫外線検出サブセンサ34を設置してある。
【0048】
この紫外線検出サブセンサ34は、図3に示すように、紫外線照射ユニット30における任意の紫外線ランプ(本例では最上段と最下段及び中段の3本の紫外線ランプ)31の端部の近傍に設置される。なお、この紫外線検出サブセンサ34は、紫外線ランプ31の一部または全部に固定して設置してもよい。ここで使用される紫外線検出サブセンサ34は、紫外線を検出してその強さに応じた電圧を出力する安価なセンサであり、この紫外線検出サブセンサ34からの出力に基く紫外線の照射量が図1に示す表示パネル20に表示されるようになっている。この場合の照射量の表示は、後述するように、予め設定された基準値に対する百分率(%)表示とされている。
【0049】
こうして本例のセパレートシート殺菌装置では、通常時は紫外線照射に弱い紫外線検出センサ32を休ませた状態で、紫外線照射に強い紫外線検出サブセンサ34を使用して紫外線照射量の測定を行うことができる。なお、本例の構成においては、紫外線検出サブセンサ34を一部の紫外線ランプ31にのみ設置してあるが、これを全部の紫外線ランプ31に設置した構成としてもよく、その場合は一段と精度の高い紫外線照射量の測定が可能となる。また、この紫外線検出サブセンサ34には、前述した紫外線検出センサ32と同様に、紫外線の受光部を覆う遮蔽部材としてシャッタを取り付け、紫外線検出サブセンサ34を休ませているときにはこのシャッタで紫外線を遮蔽して受光部を保護する構成とすることが好ましい。こうすることにより、紫外線検出センサ32とともに紫外線検出サブセンサ34の寿命も延ばすことが可能となる。
【0050】
図7は、本例のセパレートシート殺菌装置における紫外線照射量の測定システムの構成を示しており、即ちここでは、紫外線検出センサ32及び紫外線検出サブセンサ34の出力に基いて、マイクロプロッセッサ(演算部)35において紫外線照射量の計算処理が行われ、その結果が表示部である表示パネル20に表示される。
【0051】
この場合、マイクロプロセッサ35は、紫外線検出センサ32によって測定を行うときには、セパレートシートが入口側の通過センサ26と出口側の通過センサ27の間を通過する時間を検出して紫外線ランプの発光長を通過する時間を算出し、このランプ発光長間の通過時間とセパレートシートの中心がランプ発光長の中心に来たときの紫外線検出センサ32からの出力値(紫外線強度)とに基いて紫外線の照射量を計算してその数値(mW/s/cm)を表示パネル20に表示する。
【0052】
一方、紫外線検出サブセンサ34によって測定を行うときには、紫外線検出サブセンサ34からの出力電圧に基いて、その出力値を予め設定された基準値に対する百分率(%)に換算し、その値を紫外線の照射量として表示パネル20に表示する。この場合、上記のセパレートシートが通過する際にセパレートシートの中心がランプ発光長の中心に来たときの紫外線検出センサ32による測定で、充分な量の紫外線が照射されていると確認されたときの紫外線検出サブセンサ34の出力電圧を基準電圧値として予め設定しておき、この基準電圧値に対する紫外線検出サブセンサ34の現在の出力電圧値の割合を計算して、その値を百分率(%)で表示パネル20に表示するようにしている。また、逆算でその百分率(%)に基く出力値を数値(mW/s/cm)として表示させる。
【0053】
従って、本例のセパレートシート殺菌装置では、通常時は紫外線検出サブセンサ34の出力に基く紫外線照射量が百分率(%)で表示パネル20に表示され、必要時に紫外線検出センサ32の出力に基く紫外線照射量の数値(mW/s/cm)が表示パネル20に表示される。ここで表示パネル20はタッチパネルによりなり、その画面をタッチすることによって表示の切り替えが行われる。このようにして本例のセパレートシート殺菌装置では、表示パネル20に表示される紫外線の照射量を目視によって容易に確認することができる。また、紫外線検出センサ32を休ませている間、紫外線検出サブセンサ34で測定数値を出す場合、百分率(%)を逆算して数値(mW/s/cm)として表示させ、定期的にこれが正しいかどうかの確認として、紫外線検出センサ32の出力で補正確認を行うことができる。
【0054】
図8〜図10は、表示パネル20に表示される画面の例を示す。先ず図8は、通常時に表示されるトップ画面であって、ここでシート表示部41及びランプ表示部42は、図4に示す如く配置されるセパレートシート2及びその両側の7本の紫外線ランプ31を表わしており、この場合、紫外線ランプ31が点灯している状態では、ランプ表示部42が例えば青色に点灯表示され、またセパレートシート2が紫外線照射エリア(図2の入口側の通過センサ26と出口側の通過センサ27との間)を通過して紫外線が照射されているときには、シート表示部41が例えば赤色に点灯表示されるようになっている。さらにランプ表示部42の外側の表示部分43には、各紫外線ランプ31の累計点灯時間が表示される。
【0055】
そしてこのトップ画面においては、シート表示部41とランプ表示部42との間の表示部分44に、上・中・下の3箇所の紫外線ランプ31に設置された紫外線検出サブセンサ34からの出力値が百分率(%)で表示され、さらにその上方の表示部分45には、上・中・下の3箇所の紫外線検出サブセンサ34からの平均出力値が表示されるようになっており、作業者はこの表示を見ることで、通常時に確実な紫外線照射が行われていることを確認することができる。特にここでは、出力値が百分率(%)で表示されるため、作業者にとって非常に判りやすいという特徴がある。
【0056】
そして、必要時に紫外線検出センサ32によって正確な紫外線照射量を測定する場合は、トップ画面にある「紫外線検出センサ」のボタン46を押すことにより、図9に示すような測定画面が表示される。この測定画面において、スイッチボタン47を押すことにより紫外線検出センサ32が作動し(このとき紫外線検出センサ32のシャッタ33が自動的に開かれるようにしてもよい)、これによってセパレートシートに照射される紫外線の照射量の測定が行われる。
【0057】
このとき測定画面には、シート表示部41の中央の表示部分48に、紫外線検出センサ32から出力される紫外線強度の数値(mW)が表示される。この場合、紫外線照射エリアにセパレートシートが通っていない状態では、紫外線検出センサ32は両側の紫外線ランプからの紫外線を受光するので、セパレートシート通過時よりも高めの出力値が表示される。そしてセパレートシートが紫外線照射エリアを通過し、セパレートシートの中心部がランプ発光長の中心部に合致したときの出力強度が、測定画面の右上の表示部分49の49cに表示される。そして、入口側の通過センサ26と出口側の通過センサ27で検出されたセンサ間の通過時間49aと、その時間から算出された紫外線ランプの発光長の通過時間49bと、紫外線検出センサ32から出力された紫外線照射強度49c、及びこの紫外線照射強度と上記発光長通過時間とに基いて計算された紫外線照射量49dが表示され、作業者はこの表示を見ることで、セパレートシートに適切な照射量(35〜50mW/s/cm)の紫外線が照射されているか否かを確認することができる。この表示部分49は、次のセパレートシートを流すまでは前の数値を記憶させている。そして、新たにセパレートシートを流してそれをセンサが検出する度に、この表示部分49の表示は次から次へと確実に測定出力を表示する。
【0058】
さらにこの測定画面から「表示計算」ボタン50を押すと、図10に示すような計算画面が表示される。この計算画面では、セパレートシートが紫外線照射エリアを通過し、セパレートシートの中心部がランプ発光長の中心部に合致したときに紫外線検出センサ32からの出力された紫外線照射強度(または紫外線検出センサ32を使用していないときには前回の強度)51aが表示されるとともに、複数の紫外線検出サブセンサ34からの出力を平均した照射出力値51bが表示され、セパレートシートが紫外線ランプの発光長を通過する時間の設定値52が入力された状態で「計算開始」ボタン53を押すことにより、上記照射出力値51bに基く100%時の出力強度に上記時間設定値52に基く時間係数を乗じた計算結果54が表示される。そして、この計算結果に基いて、100%の照射量を50mW/s/cmとする推定照射量55が表示されるとともに、紫外線ランプの状態の判定結果56が表示される。この場合、判定結果56は、上記の計算結果54による照射量が68%以上でOK、67%以下ではNGとなり、作業者はこの判定結果を見ることによって紫外線ランプの劣化状況を確認し、ランプ交換の是非を判断することができる。
【0059】
以上の如き本例のセパレートシート殺菌装置によって紫外線が照射されたセパレートシート2は、確実な殺菌処理が行われるので、図11に示すような使用状態においてボトル1の飲み口1aを汚染することなく安心して使用することができるものである。
【0060】
以上、本発明の実施例として、セパレートシートの殺菌装置について説明したが、この装置はセパレートシートに限ることなく、例えば工場内でセパレートシートやボトル(容器)等の物を載せておくパレット等の殺菌にも好適に使用することができるものである。
【0061】
さらに本発明は、セパレートシートや物を載せるパレット等の殺菌の他に、例えば収納カゴの殺菌、コンベアの殺菌、コンベアに載せて搬送する餅や菓子、練り製品(蒲鉾やハム、ソーセージ)の表面の殺菌、玉子等をパックに入れた状態での表面の殺菌にも応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による電磁波照射装置の実施例を示すセパレートシート殺菌装置の概略構成図である。
【図2】実施例のセパレートシート殺菌装置における中央処理部の構成を示す平面図である。
【図3】実施例のセパレートシート殺菌装置における紫外線照射ユニットの構成を示す側面図である
【図4】実施例のセパレートシート殺菌装置における紫外線照射ユニットの構成を示す正面図である。
【図5】実施例のセパレートシート殺菌装置における紫外線検出センサの設置位置の説明図である。
【図6】実施例のセパレートシート殺菌装置において紫外線検出センサにシャッタを設けた構成例で、(A)はシャッタが開いた状態、(B)はシャッタが閉じた状態である。
【図7】実施例のセパレートシート殺菌装置における紫外線照射量の測定システムの構成図である。
【図8】実施例のセパレートシート殺菌装置において表示部に表示されるトップ画面の例である。
【図9】実施例のセパレートシート殺菌装置において表示部に表示される測定画面の例である。
【図10】実施例のセパレートシート殺菌装置において表示部に表示される計算画面の例である。
【図11】セパレートシートの説明図である。
【符号の説明】
【0063】
2…セパレートシート(処理対象物)、14,15,16…コンベア(搬送手段)、20…表示パネル(表示部)、25…ガイド棒、31…紫外線ランプ(電磁波発生源)、32…紫外線検出センサ(電磁波検出センサ)、33…シャッタ(遮蔽部材)、34…紫外線検出サブセンサ(電磁波検出サブセンサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物がセパレートシートや物を載せるパレット等の平面体であって、
上記処理対象物を搬送する搬送手段と、
上記搬送手段によって搬送される上記処理対象物に電磁波を照射して殺菌する電磁波発生源と、
上記電磁波発生源から発せられる電磁波の強度を検出する電磁波検出センサと、
を備え、
上記電磁波検出センサは、上記処理対象物に照射される電磁波と略等しい強さの電磁波を上記電磁波発生源から受ける位置に設置されていることを特徴とする電磁波照射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁波照射装置において、
上記電磁波検出センサは、上記処理対象物が通過しない位置で、かつ上記電磁波発生源からの距離が上記処理対象物と上記電磁波発生源との間の距離と略等しい位置に設置されていることを特徴とする電磁波照射装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電磁波照射装置において、
上記電磁波発生源の一部または全部もしくは一部の近傍に、上記電磁波発生源から発せられる電磁波の強度を検出する上記電磁波検出センサより耐久性に優れた電磁波検出サブセンサを設置したことを特徴とする電磁波照射装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電磁波照射装置において、
上記電磁波検出センサ及び上記電磁波検出サブセンサからの出力に基いて計算された電磁波の照射強度や照射量を表示する表示部を有し、通常時は上記電磁波検出サブセンサからの出力に基く電磁波の照射強度や照射量が表示され、必要時に上記電磁波検出センサからの出力に基く電磁波の照射強度や照射量が表示されるようにしたことを特徴とする電磁波照射装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の電磁波照射装置において、
上記電磁波検出センサは、上記電磁波発生源からの電磁波を遮蔽する遮蔽部材を備えたことを特徴とする電磁波照射装置。
【請求項6】
請求項3〜5の何れか1項に記載の電磁波照射装置において、
上記電磁波検出サブセンサは、上記電磁波発生源からの電磁波を遮蔽する遮蔽部材を備えたことを特徴とする電磁波照射装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の電磁波照射装置において、
上記電磁波発生源は、管状に形成された紫外線ランプによりなり、これが処理対象物の搬送方向と平行または直交もしくは傾斜状に交差して単数または複数本並設されているとともに、上記処理対象物の搬送経路の両側に対称的に配置されていることを特徴とする電磁波照射装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の電磁波照射装置において、
上記処理対象物の搬送経路に、上記処理対象物の姿勢を保持するための一対のガイド棒を有し、このガイド棒は、上記処理対象物の搬送方向に対し傾斜するように設置されていることを特徴とする電磁波照射装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電磁波照射装置において、
上記一対のガイド棒は、その入口側または入口側と出口側の端部の間隔が広がった形状に形成されていることを特徴とする電磁波照射装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の電磁波照射装置によって電磁波照射処理を施されたセパレートシートや物を載せるパレット等の平面体によりなる処理対象物。
【請求項11】
請求項1〜9の何れか1項に記載の電磁波照射装置において電磁波発生源に使用される交換可能なランプ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−151757(P2007−151757A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349773(P2005−349773)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000154808)株式会社豊振科学産業所 (4)
【Fターム(参考)】