説明

電磁結合器及びそれを搭載した情報通信機器

【課題】薄型とした場合であっても、結合強度を高く、結合範囲を広くし、かつ、使用する周波数帯域を広帯域とすることが可能な電磁結合器を提供する。
【解決手段】第1の平面に形成された導電パタン11と、第1の平面と平行な第2の平面に形成され、給電系12に接続される給電パタン13と、第2の平面に給電パタン13と離間して形成され、接地されるグランドパタン14と、第1の平面と第2の平面に対して垂直に形成され、導電パタン11と給電パタン13とを接続する第1の線状導体15と、第1の平面と前記第2の平面に対して垂直に形成され、導電パタン11とグランドパタン14とを接続する複数の第2の線状導体16と、を備え、導電パタン11は、第1の線状導体15との接続点に対して点対称となる形状に形成され、複数の第2の線状導体16は、平面視で第1の線状導体15に対して点対称となる位置に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離に配置された情報通信機器間で静電界や誘導電界を用いて情報を伝達する無線通信システムに好適な電磁結合器及びそれを搭載した情報通信機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電磁結合器としては、特許文献1に記載されている電磁結合器がある。この電磁結合器(高周波結合器)は、平板上の電極と直列インダクタ、並列インダクタを高周波信号伝送路により接続して構成される。また、電磁結合器は、送信機や受信機などの情報通信機器に配置される。この送信器と受信器をそれぞれの電磁結合器の電極同士が向かい合うように配置すると、2つの電極間の距離が使用する周波数の波長の2λ/15以下の場合は、2つの電極は縦波の静電界成分によって結合し、1つの容量として動作し、全体としてバンドパスフィルタのように動作するため、2つの電磁結合器間で効率良く情報を伝達することができる。また、2つの電極間の距離が使用する周波数の波長の2λ/15〜8λ/15の場合は、縦波の誘導電界を利用し情報の伝達が可能である。
【0003】
一方、電磁結合器間が一定値以上の遠距離である場合、情報の伝達が不可能である。このため、電磁結合器から生じる電磁波により他の無線通信システムを妨害することがなく、かつ電磁結合器を具備する情報通信機器を用いる無線通信システムが他の無線通信システムから干渉を受けることがないという特徴を持つ。これらの特徴に基づき、従来の電磁結合器を用いた無線通信システムによれば、近距離において縦波の静電界若しくは誘導電界を使い、広帯域信号を用いるUWB(Ultra Wide Band)通信方式により情報通信機器間で大容量のデータ通信を行うことが可能である。
【0004】
特許文献1の電磁結合器では、より具体的には、円柱状の誘電体に形成したスルーホールに導体を充填させると共に円柱状の誘電体の上端面に電極となる導体パタンを形成し、この円柱状の誘電体を、高周波伝送路となる導体パタンを形成したプリント基板に実装して、高周波伝送路と電極とをスルーホール内の導体を介して接続するようになっている。スルーホール内の導体は上述の直列インダクタの代用となり、高周波伝送路とグランドパタンとが並列インダクタを介して接続される。この電磁結合器に給電を行うと、スルーホール内の導体にて、スルーホール内の導体(スルーホール内の導体を流れる電流)と平行な方向に電界の縦波が発生し、その縦波を利用して情報を伝達するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4345851号公報
【特許文献2】特開2006−121315号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】羽石操、外2名、「小形・平面アンテナ」、社団法人電子情報通信学会、p.23
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電磁結合器は、例えば、パソコン(パーソナルコンピュータ)や携帯電話、デジタルカメラなどに内蔵され、動画像などのデータを相互に送受信するために用いられる。電磁結合器は、携帯電話やデジタルカメラなどの小型の機器に内蔵されるため、薄型化が要求される。
【0008】
しかしながら、特許文献1の電磁結合器では、薄型化のためには、円柱状の誘電体を短くする必要があり、スルーホール内の導体が短くなってしまう。スルーホール内の導体が短くなると、スルーホール内の導体で発生する電界が小さくなり、情報の伝達に用いる電界の縦波も小さくなるので、送信側の電磁結合器と受信側の電磁結合器との間での結合強度が小さくなってしまうという問題が生じる。
【0009】
また、送信側の電磁結合器と受信側の電磁結合器との間での結合強度が小さくなるため、送信側の電磁結合器と受信側の電磁結合器との間の距離が長くなると、情報の伝達ができなくなり、送信側の電磁結合器に対して受信側の電磁結合器の位置が少しずれるだけで、情報の伝達ができなくなり、結合範囲が狭くなってしまうという問題も生じる。
【0010】
さらに、特許文献1の電磁結合器では、薄型化すると電極がグランドに近づき、インピーダンス特性(周波数に対するインピーダンスの特性)が急峻となってしまい、これに対して給電系の入力インピーダンスは一定であるため、使用できる周波数帯域(つまり電磁結合器と給電系との間の整合条件が良い周波数帯域)が狭くなってしまうという問題も生じる。
【0011】
また、特許文献1の電磁結合器では、2つの電磁結合器の電極間の距離が使用する周波数の波長の2λ/15以下の場合は、バンドパスフィルタを実現することにより情報を効率よく伝達するが、相手の電磁結合器との相性が良くない場合に信号伝達の効率が劣化するという問題がある。
【0012】
さらに、例えば、特許文献1の電磁結合器を装置内部に搭載し無線通信を行う場合、電磁結合器間には誘電体を含む装置のカバー等があり、これにより電磁結合器間の誘電率が変化する。そうすると、2つの電磁結合器の電極間の容量値が変化し、バンドパスフィルタの周波数特性が変化し、場合によっては所望の周波数帯域での情報伝達特性が劣化するという問題がある。この場合に、これら誘電率の変化を踏まえ電磁結合器の設計を行ったとしても、無線通信を行う装置がさらに別のものである場合、電磁結合器間の誘電率がさらに別の値になり、同様に無線通信の情報伝達特性が劣化してしまう。
【0013】
また、特許文献1の電磁結合器では、2つの電磁結合器の電極間の距離が使用する周波数の波長の2λ/15〜8λ/15の場合は、縦波の誘導電界成分を利用し情報の伝達を行うが、この際、2つの電磁結合器の配置と周囲環境を一定とした場合、情報伝達特性は電磁結合器と給電系との間の整合条件に依存する。つまり、整合条件が良い場合は電磁結合器から給電系を含む通信モジュールへの信号強度が大きくなり、反対に整合条件が悪い場合は電磁結合器から給電系を含む通信モジュールへの信号強度が小さくなる。
【0014】
よって、特許文献1の電磁結合器では、電磁結合器間の距離(2つの電極間の距離)が使用する周波数の波長の2λ/15以下の場合にはバンドパスフィルタを実現し、かつ、電磁結合器間の距離が使用する周波数の波長の2λ/15〜8λ/15の場合における整合条件が良好となるように、電磁結合器の設計を行わなければならない。このため、例えば電磁結合器間の距離が使用する周波数の波長の2λ/15〜8λ/15の場合において信号強度が不十分な場合、電磁結合器間の距離が使用する周波数の波長の2λ/15以下の場合におけるバンドパスフィルタの実現も含め再設計が必要であり、電磁結合器の設計に手間がかかる。さらに、使用する周波数帯域が広帯域な場合、整合条件が適当となる周波数を多く実現する必要があり、さらに設計の手間がかかる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、薄型とした場合であっても、結合強度を高く、結合範囲を広くし、かつ、使用する周波数帯域を広帯域とすることが可能な電磁結合器及びそれを搭載した情報通信機器を提供することにある。
【0016】
また、本発明の目的は、従来と同等の情報伝達特性を維持しつつ、情報伝達特性が電磁結合器間の誘電率に殆ど依存しない電磁結合器及びそれを搭載した情報通信機器を提供することにある。
【0017】
さらに、本発明の目的は、従来と同等の情報伝達特性を維持しつつ、給電系との整合調整及び周波数帯域の調整を容易に行うことが可能な電磁結合器及びそれを搭載した情報通信機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、第1の平面に形成された導電パタンと、前記第1の平面と平行な第2の平面に形成され、給電系に接続される給電パタンと、前記第2の平面に前記給電パタンと離間して形成され、接地されるグランドパタンと、前記第1の平面と前記第2の平面に対して垂直に形成され、前記導電パタンと前記給電パタンとを接続する第1の線状導体と、前記第1の平面と前記第2の平面に対して垂直に形成され、前記導電パタンと前記グランドパタンとを接続する複数の第2の線状導体と、を備え、前記導電パタンは、前記第1の線状導体との接続点に対して点対称となる形状に形成され、前記複数の第2の線状導体は、平面視で前記第1の線状導体に対して点対称となる位置に形成される電磁結合器である。
【0019】
前記第1の平面は、プリント基板の一方の面であり、前記第2の平面は、前記プリント基板の他方の面であり、前記第1の線状導体と前記第2の線状導体は、前記プリント基板に形成されたスルーホールの内部に形成された導体であってもよい。
【0020】
前記プリント基板は、比誘電率が4.0〜5.0であり、その厚さが、使用する周波数の波長をλとすると、6λ/1000〜45λ/1000とされ、前記導電パタンと前記第1の線状導体との接続点から、前記導電パタンと前記第2の線状導体との接続点までの距離は、75λ/1000〜225λ/1000とされ、前記導電パタンは、1辺の長さが225λ/1000〜450λ/1000の正方形状に形成されてもよい。
【0021】
前記グランドパタンは、前記給電パタンの周囲を囲むように形成され、前記導電パタンは、前記給電パタンと前記グランドパタンと対向する位置に形成されていてもよい。
【0022】
また、本発明は、電磁結合器を搭載し、静電界と誘導電界の少なくとも一方を用いて情報を伝達する情報通信機器であって、前記電磁結合器は、第1の平面に形成された導電パタンと、前記第1の平面と平行な第2の平面に形成され、給電系に接続される給電パタンと、前記第2の平面に前記給電パタンと離間して形成され、接地されるグランドパタンと、前記第1の平面と前記第2の平面に対して垂直に形成され、前記導電パタンと前記給電パタンとを接続する第1の線状導体と、前記第1の平面と前記第2の平面に対して垂直に形成され、前記導電パタンと前記グランドパタンとを接続する複数の第2の線状導体と、を備え、前記導電パタンは、前記第1の線状導体との接続点に対して点対称となる形状に形成され、前記複数の第2の線状導体は、平面視で前記第1の線状導体に対して点対称となる位置に形成される情報通信機器である。
【0023】
前記第1の平面は、プリント基板の一方の面であり、前記第2の平面は、前記プリント基板の他方の面であり、前記第1の線状導体と前記第2の線状導体は、前記プリント基板に形成されたスルーホールの内部に形成された導体であってもよい。
【0024】
前記プリント基板は、比誘電率が4.0〜5.0であり、その厚さが、使用する周波数の波長をλとすると、6λ/1000〜45λ/1000とされ、前記導電パタンと前記第1の線状導体との接続点から、前記導電パタンと前記第2の線状導体との接続点までの距離は、75λ/1000〜225λ/1000とされ、前記導電パタンは、1辺の長さが225λ/1000〜450λ/1000の正方形状に形成されてもよい。
【0025】
前記グランドパタンは、前記給電パタンの周囲を囲むように形成され、前記導電パタンは、前記給電パタンと前記グランドパタンと対向する位置に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、薄型とした場合であっても、結合強度を高く、結合範囲を広くし、かつ、使用する周波数帯域を広帯域とすることが可能な電磁結合器及びそれを搭載した情報通信機器を提供できる。
【0027】
また、本発明によれば、従来と同等の情報伝達特性を維持しつつ、情報伝達特性が電磁結合器間の誘電率に殆ど依存しない電磁結合器及びそれを搭載した情報通信機器を提供できる。
【0028】
さらに、本発明によれば、従来と同等の情報伝達特性を維持しつつ、給電系との整合調整及び周波数帯域の調整を容易に行うことが可能な電磁結合器及びそれを搭載した情報通信機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電磁結合器を示す図であり、(a)は電磁結合器を表面側から見た平面図であり、(b)は、電磁結合器の裏面を表面側から透視して見た平面図である。
【図2】(a),(b)は、図1の電磁結合器の寸法の一例を示す図である。
【図3】図2の電磁結合器の周波数と反射係数の絶対値との関係についての実験結果を示すグラフ図である。
【図4】図2の電磁結合器及びモノポールアンテナ間の距離に対する電磁結合器またはモノポールアンテナへの入力電力と出力電力の比の実験結果を示すグラフ図である。
【図5】図4の実験に用いるモノポールアンテナの平面図である。
【図6】図4の実験の実験方法を示す図である。
【図7】図1の電磁結合器の変形例を示す図であり、(a)は電磁結合器を表面側から見た平面図であり、(b)は、電磁結合器の裏面を表面側から透視して見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0031】
図1は、本実施の形態に係る電磁結合器を示す図であり、(a)は電磁結合器を表面側から見た平面図であり、(b)は、電磁結合器の裏面を表面側から透視して見た平面図である。
【0032】
図1(a),(b)に示すように、電磁結合器10は、第1の平面に形成された導電パタン11と、第1の平面と平行な第2の平面に形成され、給電系12に接続される給電パタン13と、第2の平面に給電パタン13と離間して形成され、接地されるグランドパタン14と、導電パタン11と給電パタン13とを接続する第1の線状導体15と、導電パタン11とグランドパタン14とを接続する複数の第2の線状導体16と、を備えている。
【0033】
本実施の形態では、両面に配線パタンを形成可能な2層のプリント基板17を用い、プリント基板17の一方の面(第1層、以下表面という)Sに導電パタン11を形成し、プリント基板17の他方の面(第2層、以下裏面という)Rに給電パタン13とグランドパタン14とを形成するようにした。つまり、上述の第1の平面は、プリント基板17の表面Sであり、上述の第2の平面は、プリント基板17の裏面Rである。ここでは、プリント基板17として、正方形状のFR4(Flame Retardant Type 4)ガラスエポキシプリント基板を用いる場合を説明する。
【0034】
給電パタン13は、プリント基板17の裏面Rの中央部に形成され、平面視で円形状に形成される。グランドパタン14は、給電パタン13の周囲に形成された空隙18を挟んで、給電パタン13の周囲を囲むように設けられると共に、給電パタン13の周囲のプリント基板17の裏面R全体を覆うように形成され、平面視で正方形状に形成される。
【0035】
導電パタン11は、プリント基板17の表面Sに、給電パタン13とグランドパタン14と対向するように形成される。導電パタン11は、プリント基板17の表面Sよりもやや小さい正方形状に形成される。つまり、導電パタン11は、グランドパタン14よりもやや小さい、正方形状に形成される。ただし、導電パタン11は、グランドパタン14と同じ大きさの正方形状に形成されてもよい。
【0036】
第1の線状導体15と複数の第2の線状導体16は、プリント基板17の表面(第1の平面)Sと裏面(第2の平面)Rに対して垂直に形成される。これら線状導体15,16は、プリント基板17に形成されたスルーホール(図示せず)の内部に形成された導体である。この導体は、スルーホールの内部に充填されていてもよく、また、スルーホールの内面に薄く設けられていてもよい。
【0037】
第1の線状導体15は、一端が給電パタン13の中心(平面視における中心)に接続され、他端が正方形状の導電パタン11の中心(平面視における中心)に接続される。これにより、給電パタン13と導電パタン11とが、第1の線状導体15を介して電気的に接続される。導電パタン11は、第1の線状導体15との接続点Aに対して点対称となる形状となっている。
【0038】
複数の第2の線状導体16は、一端がグランドパタン14に接続され、他端が導電パタン11に接続される。これにより、グランドパタン14と導電パタン11とが、複数の第2の線状導体16を介して電気的に接続される。
【0039】
複数の第2の線状導体16は、平面視で第1の線状導体15に対して点対称となる位置に形成される。本実施の形態では、正方形状の導電パタン11の4辺の近傍に2本ずつ、合計8本の第2の線状導体16を形成した。これら8本の第2の線状導体16は、平面視で、第1の線状導体15に対して点対称となり、かつ、上下対称、左右対称となる位置に形成される。また、8本の第2の線状導体16は、導電パタン11と第1の線状導体15との接続点Aから、導電パタン11と第2の線状導体16との接続点までの距離L1が全て等しくなるように形成される。
【0040】
プリント基板17として、比誘電率が4.0〜5.0のものを用いる場合、プリント基板17の厚さTは、使用する周波数の波長をλとすると、6λ/1000〜45λ/1000とされる。また、導電パタン11と第1の線状導体15との接続点Aから、導電パタン11と第2の線状導体16との接続点までの距離L1は、75λ/1000〜225λ/1000とされ、導電パタン11は、1辺の長さL3が225λ/1000〜450λ/1000の正方形状に形成される。さらに、導電パタン11の1つの辺の近傍に設けられた2本の第2の線状導体16と、その隣の辺の近傍に設けられた2本の第2の線状導体16との最短距離L2は、75λ/1000〜225λ/1000とされ、グランドパタン14の1辺の長さL4は、導電パタン11の1辺の長さL3以上とされる。これら各寸法は、電磁結合器10の適度な整合条件をとる入力インピーダンスを実現するために必要となる。
【0041】
より具体的には、例えば使用する周波数が4.5GHzである場合、プリント基板17の比誘電率を4.4、厚さTを1.6mmとし、電磁結合器10の各寸法を図2のように設定すればよい。なお、ここでは、プリント基板17の厚さTを1.6mmとしたが、各寸法を調整することで、プリント基板17の厚さTを1mm以下とすることも可能である。
【0042】
給電系12から電磁結合器10への給電は、例えば同軸ケーブルにより行うことができる。同軸ケーブルの中心導体は、給電パタン13に接続され、同軸ケーブルの外部導体は、グランドパタン14に接続される。
【0043】
給電系12から電磁結合器10に給電することにより、第1の線状導体15、導電パタン11、複数の第2の線状導体16に電流が流れ、複数の第2の線状導体16を流れる電流から、第2の線状導体16と平行な方向(導電パタン11と垂直な方向)に電界の縦波成分が放射される。この縦波成分の大きさは、電磁結合器10と給電系12との整合条件と正の相関関係にある。
【0044】
電磁結合器10の作用を説明する。
【0045】
微小ダイポール(Il)から生じる電界には、縦波Erと横波Eθがある。縦波Erは[数1]に示す式(1)、横波Eθは[数2]に示す式(2)により表される(非特許文献1)。
【0046】
【数1】

【0047】
【数2】

【0048】
ここで、Ilは原点0を通りZ軸上にある微小ダイポールを、Erは観測点Pにおける縦波を、Eθは観測点Pにおける横波を、rは微小ダイポールから観測点Pまでの距離を、k0は波数を、jは虚数単位を、wは角周波数を、ε0は真空の誘電率を、θはZ軸(微小ダイポール)と観測点Pのなす角を示す。
【0049】
式(1),(2)において、距離rに反比例する成分が放射電界、距離rの2乗に反比例する成分が誘導電界、距離rの3乗に反比例する成分が静電界である。横波Eθは放射電界と誘導電界と静電界とで構成されるのに対し、縦波Erは誘導電界と静電界のみで構成される。
【0050】
放射電界は、距離rに反比例するため、距離rの2乗あるいは3乗に反比例する誘導電界や静電界と比較して、より遠くまで減衰せずに届くこととなり、他のシステムへの妨害波となるおそれがある。よって、電磁結合器では、横波Eθを抑制しつつ、放射電界の成分を含まない縦波Erを利用して情報の伝達を行う。
【0051】
本発明の電磁結合器10では、第2の線状導体16を、平面視で第1の線状導体16に対して点対称となる位置に形成しているため、導電パタン11には、同じ大きさの電流が逆方向に流れることとなり、導電パタン11で発生する横波は互いに打ち消し合う。また、電磁結合器10では、第2の線状導体16の長さ(つまりプリント基板17の厚さT)を短くでき、例えば1mm以下とすることもできるため、第2の線状導体16と垂直方向に発生する電界である横波を小さくできる。よって、他のシステムへの妨害波となる放射電界を含む横波を抑制することができる。
【0052】
なお、第2の線状導体16の長さを短くすると、第2の線状導体16で発生する縦波も小さくなるが、電磁結合器10では、第2の線状導体16を複数(ここでは8本)形成しており、縦波の発生源である第2の線状導体16の本数を増やすことで、電磁結合器10全体で発生する縦波の大きさを維持し、結合強度を高く保つことが可能となる。
【0053】
また、導電パタン11とグランドパタン14との距離が近くなると、インピーダンス特性が急峻となり、使用できる周波数帯域が狭くなるという問題が発生するが、本発明の電磁結合器10では、導電パタン11とグランドパタン14とを第2の線状導体16で電気的に接続しているため、この第2の線状導体16が所謂ショートスタブの役割を果たし、インピーダンス特性を緩やかとし、導電パタン11とグランドパタン14との距離を近くしても、使用できる周波数帯域を広く維持することができる。
【0054】
例えば、特許文献1の電磁結合器は、電極を接地しておらず、オープンスタブの電磁結合器ということができる。オープンスタブにおける入力アドミタンスYは、特許文献2より、[数3]に示す式(3)で表すことができる。また、式(3)は、0<αθ<<1であり、かつθ=(2m−1)π+δθ、|δθ|<<1、である場合、[数4]に示す式(4)のように近似が可能である。
【0055】
【数3】

【0056】
【数4】

【0057】
ここで、Y0は特性アドミタンスを、αは損失定数を、βは波数を、lは電気長を、mは正の整数を示す。なお、電磁結合器は小型であることが望まれるので、m=1を用いる。
【0058】
式(4)より、オープンスタブにおける入力アドミタンスYは、θ=(2m−1)π近傍にて、実数成分が極値をとり、虚数成分が0となる。
【0059】
他方、本発明の電磁結合器10は、導電パタン11を接地しており、ショートスタブの電磁結合器ということができる。ショートスタブにおける入力アドミタンスYは、特許文献2より、[数5]に示す式(5)で表すことができる。また、式(5)は、0<αθ<<1であり、かつθ=2mπ+δθ、|δθ|<<1、である場合、[数6]に示す式(6)のように近似が可能である。
【0060】
【数5】

【0061】
【数6】

【0062】
式(6)より、ショートスタブにおける入力アドミタンスYは、θ=2mπ近傍にて、実数成分が極値をとり、虚数成分が0となる。
【0063】
式(4)と式(6)とを比較すると、入力アドミタンスYの実数成分および虚数成分のθに対する傾きは、ショートスタブにおける入力アドミタンスYを表す式(6)の方が小さい。よって、従来のオープンスタブの電磁結合器と比較して、ショートスタブの電磁結合器である本発明の電磁結合器10は、インピーダンス特性を緩やかとし、導電パタン11とグランドパタン14との距離を近くしても、使用できる周波数帯域を広く維持することができる。
【0064】
図3は、本発明の電磁結合器10の周波数と反射係数の絶対値との関係を調査した実験結果である。この実験では、図2に示す形状の電磁結合器10を使用した。電磁結合器10は、厚さ1.6mmのFR4両面(2層)基板を用いて形成され、電磁結合器10の各寸法は、図2に示す通りである。また、反射係数の絶対値は、ネットワークアナライザを用いて測定した。
【0065】
図3の実験結果によると、周波数が4.08GHz〜4.75GHzにおいて、反射係数の絶対値が0.7以下である。したがって、電磁結合器10は、広帯域な周波数特性を実現していることが分かる。
【0066】
また、図4は、本発明の電磁結合器10とモノポールアンテナに関して、2つの電磁結合器10の間、及び2つのモノポールアンテナの間の距離に対する電磁結合器10又はモノポールアンテナへの入力電力と出力電力の比との関係を調査した実験結果である。この実験では、図5に示すモノポールアンテナ51を使用した。モノポールアンテナ51は、プリント基板52と、プリント基板52の表面に形成された2つの矩形導体53a,53bとからなる。2つの矩形導体53a,53bは、離間して形成されており、矩形導体53aは放射導体として動作し、矩形導体53bはグランドとして動作する。矩形導体53a,53bの間において給電がされる。モノポールアンテナ51は、厚さ2.4mmのFR4片面基板を用いて形成され、L’1=22.0mm、L’2=10.0mm、L’3=1.0mm、L’4=20.0mm、L’5=9.5mm、L’6=1.0mmである。モノポールアンテナ51は、一般的に利用されているアンテナであり、横波を用いた無線通信に適用されている。
【0067】
また、図6を用いて実験系を述べる。実験では、2つの被測定物61a,61b、すなわち、2つの電磁結合器10又は2つのモノポールアンテナ51は、平行に対向して配置され、一方の被測定物61aの中心を通る垂線が、他方の被測定物61bの中心を通るように配置される。被測定物61a,61bは、同軸ケーブル62a,62bを介し1つのネットワークアナライザ63の2つの端子に接続されている。ネットワークアナライザ63の一方の端子から出力される電力に対する他方の端子から入力される電力の比(S21の絶対値)、すなわち、電磁結合器10又はモノポールアンテナ51への入力電力と出力電力の比を評価する。
【0068】
図4は、2つの図2の電磁結合器10の間、及び2つの図5のモノポールアンテナ51の間のS21の絶対値と距離との関係についての実験結果を示す。実験では、周波数が4.5GHzの信号を使用しており、図4の横軸は、この使用周波数の波長に対する被測定物61a,61b間の距離の比とした。
【0069】
図4から分かるように、本発明の電磁結合器10では、距離に対する減衰が横波より大きい縦波を用い無線通信を行っているため、横波を用いて無線通信を行うモノポールアンテナ51より距離に対するS21の絶対値の傾きが大きい。例えば、波長に対する被測定物61a,61b間の距離の比が0.7付近では、電磁結合器10のS21の絶対値は、モノポールアンテナ51が約−18dBであるのに対し、約−37dBである。一方、波長に対する被測定物61a,61b間の距離が小さくなるに従い、電磁結合器10とモノポールアンテナ51のS21の絶対値の差が小さくなる。したがって、電磁結合器10は、比較的に遠方での無線通信強度が弱く、近距離無線通信に適していることが分かる。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態に係る電磁結合器10では、第1の平面に形成された導電パタン11と、第1の平面と平行な第2の平面に形成され、給電系12に接続される給電パタン13と、第2の平面に給電パタン13と離間して形成され、接地されるグランドパタン14と、第1の平面と第2の平面に対して垂直に形成され、導電パタン11と給電パタン13とを接続する第1の線状導体15と、第1の平面と第2の平面に対して垂直に形成され、導電パタン11とグランドパタン14とを接続する複数の第2の線状導体16と、を備え、導電パタン11を、第1の線状導体15との接続点Aに対して点対称となる形状に形成し、複数の第2の線状導体16を、平面視で第1の線状導体15に対して点対称となる位置に形成している。
【0071】
電磁結合器10によれば、縦波の発生源である第2の線状導体16を複数形成しているため、薄型として各第2の線状導体16で発生する縦波の大きさが小さくなった場合でも、電磁結合器10全体で発生する縦波の大きさを維持することが可能となり、結合強度を高く維持することが可能となる。
【0072】
電磁結合器10によれば、複数の第2の線状導体16がショートスタブの役割を果たすので、薄型とした場合であっても、インピーダンス特性を緩やかとし、使用する周波数帯域を広帯域とすることが可能となる。
【0073】
また、複数の第2の線状導体16がショートスタブの役割を果たすので、オープンスタブの場合と比較して、同様の整合条件を実現するためには、導電パタン11の大きさを大きく(ここでは、1辺の長さが225λ/1000〜450λ/1000)し、第1の線状導体15と第2の線状導体16との距離を大きく(ここでは、75λ/1000〜225λ/1000)する必要が生じる。つまり、電磁結合器10では、第1の線状導体15と第2の線状導体16との距離を大きくすることができ、また、複数の第2の線状導体16を第1の線状導体15に対して点対称となる位置に形成するので、縦波の発生源である第2の線状導体16が広く分布することとなり、結合範囲を広くすることが可能となる。よって、送信側の電磁結合器10と受信側の電磁結合器10の位置が多少ずれた場合であっても、情報の伝達は可能となり、利便性の向上に寄与する。
【0074】
また、電磁結合器10では、複数の第2の線状導体16を第1の線状導体15に対して点対称となる位置に形成するので、導電パタン11を流れる電流により発生する横波が互いに打ち消し合い、放射電界を含む横波の発生を抑制できる。さらに、電磁結合器10では、薄型化が可能となるので、第2の線状導体16で発生する横波も抑制することができる。なお、上述の式(1),(2)を比較すれば分かるように、横波は縦波の1/2の大きさであるから、電磁結合器10を薄く(第2の線状導体16を短く)すれば、横波は非常に小さくなる。よって、他の無線通信システムを妨害することのない、近距離無線通信に適した電磁結合器10を実現できる。
【0075】
さらに、電磁結合器10は、従来技術のようにバンドパスフィルタ構造を用いていないため、前述の電磁結合器間の誘電率の変化に基づく情報伝達特性の劣化の低減が可能である。つまり、本発明によれば、情報伝達特性が情報伝達を行うもう一方の電磁結合器との間の誘電率の変化に殆ど依存しない電磁結合器10を実現できる。この結果、誘電体を含むカバーで覆われた機器に電磁結合器を内蔵する場合であっても、情報伝達特性の劣化を低減することが可能であり、より多くの種類の情報通信機器への適応が容易となる。
【0076】
なお、従来の電磁結合器では、バンドパスフィルタを実現するために、電極、直列インダクタ、並列インダクタ、及び容量が必要であり、また、電極は直列インダクタ及びグラウンドパタンとは独立する層に配置される構造である。これを具現化する手法の一つとして、2層のプリント基板の表面に直列および並列のインダクタを、裏面にグランドパタンを形成し、さらにこれらに別の電極を接続する方法がある。また、3層のプリント基板を用いて、それぞれの層に電極、直列および並列インダクタ、グランドパタンを形成し、電極とインダクタを線状導体で接続する方法がある。しかし、このような方法によると、電磁結合器の構造が複雑となり、コストも高くなる。これに対して、本発明では、2層のプリント基板17を用いて電磁結合器10の実現が可能であり、例えばFR4を介在とするプリント基板等を用いることが可能である。したがって、本発明によれば、構造が単純でコストが低い電磁結合器10の実現が可能である。
【0077】
また、本発明によれば、バンドパスフィルタの実現を考慮せずに電磁結合器10の設計を行うことができるので、従来と同等の情報伝達特性を維持しつつ、給電系12との整合調整を容易に行うことが可能である。したがって、電磁結合器10を機器に搭載する場合に、電磁結合器10を配置する空間や周囲環境により、電磁結合器10の周波数特性の調整が必要であるが、給電系12との整合調整を容易に行うことが可能であるため、この調整に要する時間の低減が可能であり、迅速に最適な電磁結合器10の提供が可能となる。
【0078】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0079】
例えば、上記実施の形態では、正方形状の導電パタン11の4辺の近傍に2本ずつ、合計8本の第2の線状導体16を形成する場合を説明したが、第2の線状導体16の本数や配置はこれに限定されるものではなく、例えば、図7(a),(b)に示す電磁結合器71のように、入力インピーダンスが給電系12に対し良好な整合条件を実現できる場合は、正方形状の導電パタン11の4辺の近傍に1本ずつ、合計4本の第2の線状導体16を形成するようにしてもよい。電磁結合器71によれば、図1の電磁結合器10と比較してスルーホールを4つ低減することができるので、さらに低コストな電磁結合器の実現が可能である。
【0080】
また、上記実施の形態では、導電パタン11を正方形状に形成する場合を説明したが、導電パタン11は、第1の線状導体15との接続点Aに対して点対称となる形状であればよく、例えば、円形状や多角形状としてもよい。
【0081】
さらに、上記実施の形態では、2層のプリント基板17の表面Sに導体パタン11を形成し、裏面Rに給電パタン13とグランドパタン14を形成する場合を説明したが、これに限らず、例えば、3層以上のプリント基板を用い、そのプリント基板の何れか2層を用いることも可能である。また、上記実施の形態では、2層のプリント基板17を用いた電磁結合器10を示したが、プリント基板17を用いずに銅や鉄などの導体からなる導体板を用いて電磁結合器を形成することも可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 電磁結合器
11 導電パタン
12 給電系
13 給電パタン
14 グランドパタン
15 第1の線状導体
16 第2の線状導体
17 プリント基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平面に形成された導電パタンと、
前記第1の平面と平行な第2の平面に形成され、給電系に接続される給電パタンと、
前記第2の平面に前記給電パタンと離間して形成され、接地されるグランドパタンと、 前記第1の平面と前記第2の平面に対して垂直に形成され、前記導電パタンと前記給電パタンとを接続する第1の線状導体と、
前記第1の平面と前記第2の平面に対して垂直に形成され、前記導電パタンと前記グランドパタンとを接続する複数の第2の線状導体と、
を備え、
前記導電パタンは、前記第1の線状導体との接続点に対して点対称となる形状に形成され、
前記複数の第2の線状導体は、平面視で前記第1の線状導体に対して点対称となる位置に形成される
ことを特徴とする電磁結合器。
【請求項2】
前記第1の平面は、プリント基板の一方の面であり、
前記第2の平面は、前記プリント基板の他方の面であり、
前記第1の線状導体と前記第2の線状導体は、前記プリント基板に形成されたスルーホールの内部に形成された導体である
請求項1記載の電磁結合器。
【請求項3】
前記プリント基板は、比誘電率が4.0〜5.0であり、その厚さが、使用する周波数の波長をλとすると、6λ/1000〜45λ/1000とされ、
前記導電パタンと前記第1の線状導体との接続点から、前記導電パタンと前記第2の線状導体との接続点までの距離は、75λ/1000〜225λ/1000とされ、
前記導電パタンは、1辺の長さが225λ/1000〜450λ/1000の正方形状に形成される
請求項2記載の電磁結合器。
【請求項4】
前記グランドパタンは、前記給電パタンの周囲を囲むように形成され、
前記導電パタンは、前記給電パタンと前記グランドパタンと対向する位置に形成されている
請求項1〜3いずれかに記載の電磁結合器。
【請求項5】
電磁結合器を搭載し、静電界と誘導電界の少なくとも一方を用いて情報を伝達する情報通信機器であって、
前記電磁結合器は、
第1の平面に形成された導電パタンと、
前記第1の平面と平行な第2の平面に形成され、給電系に接続される給電パタンと、
前記第2の平面に前記給電パタンと離間して形成され、接地されるグランドパタンと、 前記第1の平面と前記第2の平面に対して垂直に形成され、前記導電パタンと前記給電パタンとを接続する第1の線状導体と、
前記第1の平面と前記第2の平面に対して垂直に形成され、前記導電パタンと前記グランドパタンとを接続する複数の第2の線状導体と、
を備え、
前記導電パタンは、前記第1の線状導体との接続点に対して点対称となる形状に形成され、
前記複数の第2の線状導体は、平面視で前記第1の線状導体に対して点対称となる位置に形成される
ことを特徴とする情報通信機器。
【請求項6】
前記第1の平面は、プリント基板の一方の面であり、
前記第2の平面は、前記プリント基板の他方の面であり、
前記第1の線状導体と前記第2の線状導体は、前記プリント基板に形成されたスルーホールの内部に形成された導体である
請求項5記載の情報通信機器。
【請求項7】
前記プリント基板は、比誘電率が4.0〜5.0であり、その厚さが、使用する周波数の波長をλとすると、6λ/1000〜45λ/1000とされ、
前記導電パタンと前記第1の線状導体との接続点から、前記導電パタンと前記第2の線状導体との接続点までの距離は、75λ/1000〜225λ/1000とされ、
前記導電パタンは、1辺の長さが225λ/1000〜450λ/1000の正方形状に形成される
請求項6記載の情報通信機器。
【請求項8】
前記グランドパタンは、前記給電パタンの周囲を囲むように形成され、
前記導電パタンは、前記給電パタンと前記グランドパタンと対向する位置に形成されている
請求項5〜7いずれかに記載の情報通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−39351(P2012−39351A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177181(P2010−177181)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(300055719)日立電線ファインテック株式会社 (96)
【Fターム(参考)】