説明

電磁誘導処理装置および方法

軽量の誘導装置が治療に用いられる1以上の処置装置に組み込まれているが、この誘導装置はまた1以上の治療装置に取り付けられていてもよい(ステップ101)。1以上の波形が例えば分子、細胞、組織、器官などのターゲット経路構造と結合するよう構成された1以上の波形パラメータを有する数学モデルの理論を含む小型化された回路が、1以上のワイヤでコイルに接続されている(ステップ102)。しかしながら、この接続はワイヤレスであってもよい。形成された波形はSNRまたはパワーSNRモデルを満足するものであり、与えられた既知のターゲット経路構造用に1以上の波形パラメータを選択可能であり、これによりターゲット経路構造における波形を、例えば細胞や組織の状態に依存するターゲット経路構造の電圧および電気インピーダンスのベースラインの熱変動などの、すなわち傷病に対して休息、発育、交換、反応のいずれか1以上の状態かといった背景状況の上で検出可能である。生成された電磁信号の好適な実施例は、約0.01Hz〜100MHzにわたる複数の周波数成分を含む1以上の波形パラメータを有する不定波形のバーストからなり、前記複数の周波数成分はパワーSNRモデルを満たし、反復的な電子信号が、前記形成された1以上の波形から例えば誘導的に生成される(ステップ104)。この反復的な電磁信号はまた、導電的に生成されてもよい。この電磁信号は、1以上の治療装置に組み込まれた誘導装置の出力により、例えば分子、細胞、組織、器官といったターゲット経路構造に結合される(ステップ105)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、復号化された情報を用いて、細胞や組織の発育、修復、管理、および一般作用を実現する電磁誘導処理装置および方法に関する。より具体的には、本発明は、非常に特殊な電磁信号パターンを様々な数の身体パーツに外科的に害なく結合させるアプリケーションに関する。特に、本発明の一実施例では、コイル等の誘導手段を用いてパルス電磁界(pulsing electromagnetic fields, 「PEMF」)を発生させ、サポーター、ラップ、ベッド、車いすといった道具に関連して、また超音波、加圧または減圧、熱、冷却、マッサージといった他の治療的、身体を健康にする方法とともに、生体細胞の発育、修復を向上させる。
【背景技術】
【0002】
弱い非熱の電磁界(electromagnetic fields, 「EMF」)の応用は、生体内、生体外で生理学的に意義のあることが立証されている。
【0003】
EMFは骨の修復や骨治療アプリケーションで用いられている。低周波成分を含み低出力の波形は現在、整形外科クリニックで用いられている。骨修復信号の使用は元来、どの骨がEMF信号に適応し反応するかを通じて電気的な経路を構成しうると考えられたことに起因する。細胞膜の電気化学的モデルを用いた線形物理学的アプローチ(linear physicochemical approach)により、生体に影響するEMF波形パターンの範囲が予測されている。細胞膜はEMFの対象として適していたため、例えば電圧依存運動論(voltage-dependent kinetics)など、誘導電界が電気化学的に細胞の表面に結合し得る波形パラメータの範囲を見つけることが必要となった。この線型モデルの発展形はまた、ローレンツ力の分析を含む。
【0004】
従来技術のジアテルミー療法として、深層細胞(deep tissue)の治療に用いる27.12MHzの連続的なサイン波から導かれる無線周波数パルス(Pulsed radio frequency, 「PRF」)信号が知られている。ジアテルミー信号の連続パルスは本来、感染治療における非熱の生物学的効果を導出し得る電磁界として報告されている。PRF治療の応用例が、外傷後および手術後の痛みや柔組織の浮腫の低減、骨折治療、火傷治療、神経再生などについて報告されている。外傷性の浮腫の消散目的にEMFを適用する利用例が近年増加している。PRFを動物や臨床研究に用いた結果として、このような電磁的刺激により浮腫がはっきりと減少することが示されている。
【0005】
絶縁細胞の特性とは異なり、細胞組織の誘導特性に関するEMFの線量測定に関する考察は従来行われていない。
【0006】
近年、27.12MHz正弦波のバーストパルスの使用を含む無線周波数での非熱PRFであって、各バーストパルスの幅が65マイクロ秒であり、バースト毎に1,700の正弦波サイクルを有し、バースト反復レートが変化するものが臨床使用されている。この限定的な周波数成分が、細胞や組織の適切な誘電経路と結合し得る。
【0007】
電磁界パルスのような方形の波形を含む時間で変動する電磁界や、数ヘルツから約15〜40MHzの範囲で変動する無線周波数フィールドのような正弦波形は、様々な筋骨格の傷病の治療とともに用いると臨床的に有益となる。
【0008】
1960年代初頭には、骨折の癒着不能や癒着遅延による臨床的な問題から、近代治療や予防の器具の開発が盛んになった。初期の製品では、電気経路は機械的な入力に対する骨の適応を介した手段であると示されている。初期の研究で、電気経路は機械的入力に対する適切な骨応答を示す手段となりうることが示しされた。初期の治療器具は、骨折箇所に直流電流(「DC」)を供給する埋め込み型の半侵入的(semi-invasive)な電極を用いていた。その後、電界や電磁界を用いた非侵入的(non-invasive)な技術が開発された。これらの療法は、電気的/機械的に波形を細胞/組織レベルに誘導する非侵入的な「非接触」手段を製造することから始まった。整形外科分野におけるこれらの技術の臨床応用がなされ、癒着不能や新たな骨折とともに針骨の融合(spine fusion)といった全世界での骨折治療などの身体治療により、応用例が実証されてきた。現在、いくつものEMF装置が、骨折の癒合の困難な治療の整形外科的臨床を実践する標準の医療設備を構成している。これらの装置の成功率は非常に高くなった。この指標のデータベースは、初期の骨の副え木に代わる、安全で、手術が不要で、非侵入的なものとして、勧めるのに十分なほど大きくなっている。これらの技術のさらなる臨床指数が、他の筋骨格の創傷とともに、無血管での壊死、腱炎、骨関節症、曲がり矯正、血液循環、関節炎の痛みへの二重盲検査で報告されている。
【0009】
細胞の研究は、信号変換経路(signal transduction pathways)と総合発育因子の双方における弱く周波数の低い電磁界の影響に向けられてきた。EMFでは、短いトリガ期間の後に発育因子の分泌を刺激するのをみることができる。細胞膜におけるイオン/リガンド結合プロセスは一般に、最初のEMFターゲット経路構造と考えられている。例えば骨修復治療の臨床に関し、骨修復の通常の分子制御(molecular regulation)の一部として発育因子の生成の調節がある。細胞レベルの研究はカルシウムイオン輸送、細胞増殖、インシュリン発育因子(Insulin Growth Factor、「IGF−II」)の解放、骨芽細胞内のIGF−IIレセプタの生成に効果を見せている。インシュリン発育因子−I(「IGF−I」)とIGF−IIの効果はまた、ラットの破断カルスでも示されている。ラットの骨誘導モデルにおいて、PEMFによる発育因子ベータ(「TFG−β」)メッセンジャRNA(「mRNA」)の変換刺激が示されている。研究はまた、MG−63で示される人体内の骨芽細胞状の細胞列のPEMFによるTGF−β mRNAの増加を実証しており、これはTGF−β1、コラーゲン、総合骨石灰(osteocalcin synthesis)の増加がある。PEMFは、人体の癒着不能な組織からの肥大細胞と萎縮細胞の双方について、TGF−β1の増大を刺激する。さらなる研究により、カルシウム/カルモジュリン従属経路へのEMFの直接効果によって骨芽細胞の培地でTGF−β1 mRNAと蛋白質の双方が増加することが実証された。軟骨細胞の研究でも同様に、EMFからTGF−β1 mRNAと総合蛋白質の増加がみられ、関節の修復への治療的応用が実証された。さまざまな研究が、発育因子の生成の増大は電磁的刺激に基礎をなす組織レベルのメカニズムの共通項であると結論づけている。特定の抑制体を用いると、EMFはカルモジュリン依存経路を通り移動し得る。特定のPEMFとPRF信号が、弱い静磁界と同様に、CaMと結合したCa2+をセル−フリー酵素調剤に変化させることが過去に報告されている。さらに、骨芽細胞の培地におけるPEMFによるBMP2やBMP4用のmRNAの増加と、PEMFによる骨や軟骨内のTGF−β1の増加が実証された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、この分野の従来技術は、軽量で、可搬型で、使い捨てで、一体的に構成され、1以上の衣類、ファッションアクセサリー、履き物、包帯、解剖用サポーター、解剖用ラップ、アパレル、クッション、マットレス、パッド、車いす、治療用ベッド、治療用椅子、真空補助屈曲閉鎖装置、機械的および機能的電気的刺激装置などの治療用および健康維持装置および運動装置、超音波、熱、冷却、マッサージ、運動、を取り付けられる誘導装置を用いるものではない。
【0011】
このため、電磁治療誘導装置およびこれを用いる方法は、軽量で、可搬型で、注入型で、使い捨て可能である必要性があった。植物、動物、人間の組織、器官、細胞、分子と結合して治療処置を行う、より効果的で小型化した回路を伴う電磁治療誘導装置および方法のさらなる必要性があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
電磁処理誘導装置および、適切に構成された波形を誘導的に結合させて、生体組織や細胞の電磁環境における相互作用を変化させることにより、これを生体組織や細胞の治療処置に用いる方法である。
【0013】
本発明の一実施例では、選択可能な身体の部位を、バースト毎に約1〜100,000のバーストパルスエンベロープ(pulse burst envelope)内の最小幅特性が少なくとも0.01マイクロ秒の連続的なEMFパルスを含み、前記バーストパルスの電圧振幅エンベロープが、その瞬間最低値がその最大値から1万の因数(factor)より小さくないランダムに変化するパラメータにより決定される磁束路で治療する。このバーストパルスの反復レートは約0.01〜10,000Hzで変化してもよい。また数学的に規定しうるパラメータを用いて、前記バーストパルスエンベロープの大きさを規定してもよい。
【0014】
適切な細胞経路に伝達される周波数成分の帯域を増大すると、酵素の働きや発育因子、シトキンの解離(cytokine release)の改善を含む、既知の回復メカニズムに応用可能な広い範囲の生物物理学的現象へのアクセスが好適に達成される。
【0015】
本発明の一実施例では、ピーク電界がcmあたり10−6〜10V(V/cm)の単極あるいは二極の方形あるいはシヌソイドパルスのバーストパルスエンベロープに、ランダムあるいは他の高スペクトル密度のエンベロープを適用することにより、人間、動物、および植物の柔組織と硬い組織の双方に適用可能な、生物学上の回復プロセスにより効果的で大きな効果が得られる。高スペクトル密度のバーストパルスのエンベロープは、細胞膜レセプタ、細胞酵素とのイオン結合、一般的な膜内外の電位交換など、生理学的に適切な経路に有利で効果的に結合(couple)し、これにより血管形成や新血管新生を調整(modulating)する。
【0016】
調整およびパルスバーストを規定するパラメータとして高スペクトル密度電圧エンベロープを好適に適用することにより、このような調整したバーストパルスの必要電力は、調整しないパルスより有意に低くなる。これは、適切な細胞/分子への周波数成分のマッチングプロセスがより効果的となることによる。したがって、適切な誘電経路に増大させた線量を送り、必要電力を減少するという2つの利点が得られる。
【0017】
本発明の好適な実施例では、生体に有効な波形を形成すべく、電力信号(Power signal)に対するノイズ比(Power Signal to Noise Ratio, 「パワーSNR」)アプローチを採用し、小型化回路と、軽量かつ柔軟なコイルを用いる。これにより、パワーSNRアプローチ、小型回路、軽量柔軟コイルを採用した装置は、完全に可搬型となり、必要に応じて使い捨て可能であり、さらに必要に応じて埋め込み型に構成することができる。
【0018】
特に、生物学的な対象帯域内で最大の信号強度を得るよう構成された、電磁波形の広範なスペクトル密度のバーストは、生体器官、組織、細胞、分子などの対象とする経路構造に選択的に用いられる。波形は、ターゲット経路構造の熱ノイズに対して独自の振幅/出力を用いて選択される。正弦波、方形、無秩序、ランダムな波形のいずれか1以上のバーストを含む信号は、周波数成分が約0.01Hz〜約100MHzでバーストが毎秒約1〜100,000回、バースト反復レートが0.01〜1000バースト/秒である。細胞などのターゲット経路構造におけるピーク信号強度は、約1μV/cm〜100mV/cmの範囲内である。各信号バーストエンベロープは、回復する組織の異なる電磁特性を実現する手段を提供するランダム機能であってもよい。本発明の好適な実施例は、約1〜200マイクロ秒の対称あるいは非対称のパルスを有し、バースト内で約0.1〜100キロヘルツで反復する、約0.1〜100ミリ秒のバーストパルスを含む。このバーストエンベロープは修正1/f関数(modified 1/f function)であり、約0.1〜1000Hzの間のランダムの反復レートで用いられる。約0.1Hz〜1000Hzの間で固定の反復レートを用いてもよい。0.001mV/cm〜100mV/cmの誘導電界が生成される。本発明の別の実施例は、例えば27.12MHzで、毎秒約1〜100バーストで反復する、約0.01ミリ秒〜10ミリ秒の高い周波数の正弦波を含む。約0.001mV/cm〜100mV/cmの誘導電界が生成される。結果としての波形は、誘導性または容量性の結合により生成される。
【0019】
本発明の他の目的は、広帯域で、高スペクトル密度の電磁界を伴う、生体細胞や組織の電磁的治療方法を提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、細胞や組織の適切なEMF反応型の経路との結合を誘導する電磁信号のバーストパルスエンベロープの振幅変調を含む、生体細胞や組織の電磁的治療方法を提供することである。
【0021】
本発明の目的の一つは、信号対ノイズ比(「SNR」)の分析を用いて数学的シミュレーションにより波形の強度スペクトルを形成し、血管形成と新血管新生の調整を最適化した波形を形成し、小型化した電気回路のような波形形成装置で動力を得る超軽量ワイヤコイルといった生成装置を用いてこの形成した波形をカップリングすることである。
【0022】
本発明の目的の一つは、衣服、ファッションアクセサリー、履き物、包帯、解剖用サポーター、解剖用ラップ、アパレル、クッション、マットレス、パッド、車いす、治療用ベッド、治療用椅子、真空補助屈曲閉鎖装置(vacuum assisted wound closure devices)などの治療用および健康維持装置、機械的および機能的電気的刺激装置、運動用装置、のいずれか1以上に配置可能な軽量で柔軟なコイルを提供し、上述したような動物や人間や植物の生体組織の回復と成長を促進する、非侵入性の電磁治療パルスの最適な線量を供給することである。
【0023】
本発明の別の目的は、対象とする経路のSNR/強度分析により形成された波形を生成する複数のコイルを提供し、治療可能な範囲を増大することである。
【0024】
本発明の別の目的は、上記のように最適に形成された同一のあるいは異なる波形で、同時に駆動され、または多重送信(multiplexed)のように順番に駆動される複数のコイルを提供することである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、コイルを設けることにより、EMF信号を作用させる組織に集中させ、対象とする経路のSNR/強度分析により形成された波形を人間工学に則したサポートガーメントに設ける、柔軟で、軽量なコイルを提供することである。
【0026】
本発明のさらに別の目的は、伝導性の糸を用いて、集積コイル(integrated coils)を有する日常着、運動着、スポーツ衣類を作成し、解剖学的に対象箇所に近い対象経路のSNR/強度分析により形成された波形を供給することである。
【0027】
本発明のさらに別の目的は、軽量で柔軟なコイルまたは伝導性の糸を用いて、これらのコイルまたは伝導性の糸を、例えば圧迫、ゴム製、冷湿布、温湿布など様々な種類の包帯の不可欠な部分として組み込むことにより、EMF信号を作用する組織へ供給し、対象とする経路のSNR/強度分析により形成された波形を供給することである。
【0028】
本発明の別の目的は、いくつかのコイルを用いて、対象経路のSNR/強度分析により形成された波形を供給し、EMFの適用範囲を増やすことである。
【0029】
本発明の別の目的は、伝導性の糸を用いて、対象経路のSNR/強度分析により形成された波形を供給するコイルを構成することである。
【0030】
本発明の別の目的は、柔軟な伝導性のワイヤを用いて、対象経路のSNR/強度分析により形成された波形を供給するコイルを構成することである。
【0031】
本発明の別の目的は、単一あるいは複数のコイルに、同時にあるいは順番に、対象経路のSNR/強度分析により形成された同じか異なる波形を供給することである。
【0032】
本発明のさらなる目的は、外科的に巻かれる包帯に1以上のコイルを組み込んで増幅した非侵入性で非手術的なEMF信号を供給し、この外科的に巻かれた包帯を普通に巻かれる治療とともに用いられるようにすることである。
【0033】
本発明の別の目的は、対象経路のSNR/強度分析により形成された波形を供給するコイルを提供し、ベルクロや接着剤その他の一時的合着手段を用いて、包帯、衣服、サポーターに簡単に着脱することができるようにすることである。
【0034】
本発明の別の目的は、治療用ベッド、治療用椅子、車いすに組み込まれ、対象経路のSNR/強度分析により形成された波形を供給するコイルを提供することである。
【0035】
本発明の別の目的は、例えば圧力軽減、膨張式、流体、粘弾体、気体流動ベッドや他の支持面に組み込まれる、対象経路のSNR/強度分析により形成された波形を供給するコイルを提供することである。
【0036】
本発明の別の目的は、例えば膨張式、流体式、泡式クッションなどの治療用シートクッションに組み込まれ、対象経路のSNR/強度分析により形成された波形を供給するコイルを提供することである。
【0037】
本発明の別の目的は、様々な治療面、構造、装置に磁束路を封入し、対象経路のSNR/強度分析により形成された波形を供給することにより、これらの治療面、構造、装置の有効性を向上することである。
【0038】
本発明の別の目的は、対象経路のSNR/強度分析により形成された波形を供給するコイルを、靴などの履き物に組み込むことである。
【0039】
本発明の別の目的は、対象経路のSNR/強度分析により形成された波形を供給するコイルを、治療面、構造、装置に組み込み、これらの治療面、構造、装置の有効性を向上することである。
【0040】
本発明の上述およびさらなる他の目的が、以下の図面の簡単な説明、発明の詳細な説明、添付のクレームにより明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明の好適な実施例を、添付の図面を参照しながら以下により詳細に説明する。
【0042】
PEMFまたはPRF装置からの時間で変化する誘導電流は、例えば分子、細胞、組織、器官などのターゲット経路構造(target pathway structure)を流れ、この電流が、細胞や組織が生理学的に意味のある反応を生じうる刺激となる。ターゲット経路構造の電気的特性は、誘導電流のレベルと分布に影響する。分子、細胞、組織、器官はすべて、ギャップ接合接触(gap junction contact)における細胞のように、誘導電流経路内にある。膜組織の表面に存する高分子の結合サイトにおけるイオンまたはリガンドの相互作用は電圧依存プロセスであり、電気化学的で、誘導電磁界(「E」)に反応しうる。誘導電流は、周辺のイオン媒体を介してこれらの場所に到達する。電流経路に細胞が存在する場合、誘導電流(「J」)が生じ、より早い時間(「J(t)」)で減衰する。これは、膜組織の静電容量と結合(binding)の時定数から細胞に電気インピーダンスが加わるとともに、例えば膜輸送(membrane transport)などの他の電圧に対する膜組織の作用によるものである。
【0043】
様々な膜組織とチャージされた界面構成を表す等価の電気回路モデルが導かれている。例えば、カルシウム(「Ca2+」)結合では、誘導されたEによって結合場所で結合したCa2+の濃度変化は、以下のようなインピーダンスの式により周波数ドメインで表される:


これは直列の抵抗−キャパシタンスの電気等価回路の形となる。ここで、ωは2πfで規定される角周波数であり、このfは周波数であり、i=−11/2、Z(ω)は結合インピーダンス、RionとCionはイオン結合経路における結合の抵抗と静電容量と等価である。等価の結合時定数の値、Iion=Rionionは、Iion=Rionion=1/kを介してイオン結合レート定数kに関連づけられる。したがって、この経路特有の時定数は、イオン結合運動により決定される。
【0044】
PEMFまたはPRF信号により誘導されたEは、イオン結合経路に流れる電流を生じさせ、単位時間に結合するCa2+の数に作用する。これに電気的に等価なのが等価の結合キャパシタンスCionを通る電圧変化であり、これはCionに蓄えられる電荷の変化を直接示すものである。電荷は結合場所におけるCa2+イオンの濃度に直接比例し、電荷の蓄積はイオンや他の細胞表面や接合点の蓄積物の蓄積と等しい。電気インピーダンスの測定値は、結合レート定数の直接運動分析と同様に、PMF波形の形が対象とする経路構造の帯域に合致する時定数の値を提供する。これにより、様々な与えられた誘導E波形に必要な周波数帯において、例えばバンドパスなどの対象インピーダンスと適切に結合させることができる。
【0045】
分子を変調するイオン結合はよくあるEMFターゲットであり、例えばカルモジュリン(「CaM」)に結合するCa2+である。この経路の使用は、例えば骨の修復など、様々な回復過程で放出される発育因子の調整を含む、骨折の回復を早めることに基づいている。例えば血小板由来増殖因子(platelet derived growth factor, 「PDGF」)、繊維芽細胞発育因子(fibroblast growth factor, 「FGF」)、上皮細胞増殖因子(epidermal growth factor, 「EFG」)といった発育因子はすべて、回復における適切な段階に含まれる。血管形成や新血管新生もまた骨折の回復には不可欠であり、PMFにより調整し得る。これらすべての要素はCa/CaMに依存する。
【0046】
Ca/CaM経路を用いると、誘導電力が背景の熱ノイズ強度より十分に大きくする波形を作ることができる。正しい生理学的状況において、この波形は生理学的に意義のある効果(bioeffect)となりうる。
【0047】
Ca/CaMへのパワーSNRモデルの応用は、CaMにおけるCa2+の結合動態の電気的等価物の知識が必要である。結合動態の第1オーダーにおいて、CaMの結合Ca2+の径時による濃度変化は、等価の結合時定数Iion=Rionion(ここでRionとCionはイオン結合経路の結合抵抗および静電容量と等価である)により周波数ドメインで特徴づけられる。IionはIion=Rionion=1/kを介してイオン結合レート定数kに関連づけられる。kについて公表された値は、これを細胞アレイモデルに用いて、CaM結合部位におけるPRF信号による誘導電圧と熱による電圧変動とを比較することにより、SNRモデルを評価することができる。例えばVmax=6.5×10−7sec−1、[Ca2+]=2.5μM、K=30μM、[Ca2+CaM]=K([Ca2+]+[CaM])のPMF反応の数値を用いると、K=665sec−1(τion=1.5msec)が与えられる。τionのこの値は、イオン結合の電気的等価回路に用いることができる一方、様々な波形構造にパワーSNR分析を行うことができる。
【0048】
本発明の一実施例によると、数学的モデルを構成して、熱ノイズがすべての電圧依存プロセスに存在し、適切なSNRを確立するのに要する最小の閾値を表すと仮定することができる。熱ノイズの電力スペクトル密度、S(ω)は以下のように表される:


ここで、Z(x,ω)はターゲット経路構造の電気インピーダンスであり、xはターゲット経路構造の断面積、Reはターゲット経路構造のインピーダンスの実部である。Z(x,ω)は以下のように表すことができる:

【0049】
この式は、ターゲット経路構造の電気インピーダンスと、細胞外での流動抵抗(「R」)、細胞内での流動抵抗(「R」)、膜間抵抗(「R」)がターゲット経路構造に電気的に連結されたものが、すべてノイズフィルタリングに寄与することを明確に示している。
【0050】
SNR評価の典型的なアプローチでは、ノイズ電圧の二乗平均(RMS)を用いる。これは、完全な膜応答あるいはターゲット経路構造の帯域に関する全周波数についてS(ω)=4kTRe[Z(x,ω)]の積分の平方根をとることにより算出される。SNRは以下の率で表すことができる:


ここで、|V(ω)|は、ターゲット経路構造用に選択された波形から出る各周波数での電圧の最大振幅である。
【0051】
本発明にかかる実施例は、高スペクトル密度のバーストパルスエンベロープを具え、これにより、誘電性の経路における例えば細胞膜レセプタ、細胞酵素へのイオン結合、通常の経膜的な電位交換などの治療の効果が向上する。したがって、関連する細胞経路に送られる周波数成分の数を増やすと、既知の回復メカニズムに応用可能な、例えば発育因子の調整、細胞分裂の解放、調節細胞でのイオン結合といった多くの生理学的現象が得られる。ランダムあるいは他の高スペクトル密度のエンベロープを、ピーク電界が約10−6〜100V/cmの単極または二極の方形またはシヌソイドパルスに適用する本発明の実施例によれば、軟組織と硬い組織の双方に適用可能な生物学的治療プロセスの大きな効果が得られる。
【0052】
調整またはバーストパルスを規定するパラメータとして高スペクトル密度の電圧エンベロープを適用する本発明のさらなる別の実施例によれば、このような振幅調整バーストパルスに必要な電力は、同じ周波数帯のパルスを含む非調整バーストパルスのものより有意に低くなる。これは、不規則で、好ましくはランダムな振幅をかけるか、そうでなければほぼ均一のバーストパルスエンベロープであることにより、反復するバースト群の衝撃係数がかなり減少するからである。したがって、適切な誘電経路への増大された送信線量と、必要な電力の低減という2つの利点が達成される。
【0053】
図1を参照すると、図1は本発明の一実施例にかかる、例えば植物、動物、あるいは人間の分子、細胞、組織、および器官といったターゲット経路構造に、治療あるいは予防目的で電磁信号を供給する誘導装置の使用方法のフロー図である。軽量の誘導装置が治療に用いられる1以上の処置装置に組み込まれているが、この誘導装置はまた1以上の治療装置に取り付けられていてもよい(ステップ101)。1以上の波形が例えば分子、細胞、組織、器官などのターゲット経路構造と結合するよう構成された1以上の波形パラメータを有する数学モデルの理論を含む小型化された回路が、1以上のワイヤでコイルに接続されている(ステップ102)。しかしながら、この接続はワイヤレスであってもよい。形成された波形はSNRまたはパワーSNRモデルを満足するものであり、与えられた既知のターゲット経路構造用に1以上の波形パラメータを選択可能であり、これによりターゲット経路構造における波形を、例えば細胞や組織の状態に依存するターゲット経路構造の電圧および電気インピーダンスのベースラインの熱変動などの、すなわち傷病に対して休息、発育、交換、反応のいずれか1以上の状態かといった背景状況を越えて検出可能である。生成された電磁信号の好適な実施例は、約0.01Hz〜100MHzにわたる複数の周波数成分を含む1以上の波形パラメータを有する不定波形のバーストからなり、前記複数の周波数成分はパワーSNRモデルを満たす(ステップ104)。反復的な電子信号が、前記形成された1以上の波形から例えば誘導的に生成される(ステップ105)。この反復的な電磁信号はまた、導電的(conductively)に生成されてもよい。この電磁信号は、サポーターに組み込まれた誘導装置の出力により、例えば分子、細胞、組織、器官といったターゲット経路構造に結合される。
【0054】
図2は、本発明にかかる装置の好適な実施例を示す図である。小型の制御回路201が、例えばワイヤなどの1以上のコネクタ202の端部に接続されている。この1以上のコネクタの反対側の端部は、例えば1対の電気コイル203といった生成装置に連結されている。この生成装置は、SNRモデル、パワーSNRモデル、および他の波形形成に利用される数学モデルのいずれか1以上を満足するよう形成された波形から、電磁信号の波形の生成を最適化する電気特性をもつよう構成されている。この小型化された制御回路201は、波形を構成するのに用いられる数学モデルを適用するよう構成されている。形成された波形は、SNRまたはパワーSNRモデルを満足する必要があり、これにより与えられた既知のターゲット経路構造にとって、SNRまたはパワーSNRを満足する波形パラメータを選択可能となり、したがって波形がターゲット経路構造においてその背景活動より上に検出可能となる。本発明の好適な実施例は数学的モデルを適用して、時間で変化する磁界と時間で変化する電界を、例えば分子、細胞、組織、器官などのターゲット経路構造に誘導し、毎秒約0.1〜10パルスで反復する約1〜100マイクロ秒の方形パルスの約10〜100msecのバーストを含んでいる。この誘導電界の最大振幅は約1μV/cm〜100mV/cmであり、f=周波数である修正1/f関数(modified 1/f function)により変化する。本発明の好適な実施例を用いて形成された波形は、毎日1分以下〜240分の適切な合計照射期間、例えば分子、細胞、組織、器官などのターゲット経路構造に適用される。ただし、他の照射期間としてもよい。小型制御回路201により形成された波形は、コネクタ202を介して例えば電気コイルなどの生成装置203に送られる。この生成装置203は数学的モデルに従って構成されるパルス磁界を発生し、これを例えば胸部の心臓204といったターゲット経路構造の治療に利用することができる。この小型制御回路は、パルス磁界を指定された時間だけ供給し、例えば1日10回など、多くのアプリケーションにおいて与えられた時間に必要なだけパルス磁界を自動的に反復して供給しうる。本発明にかかる好適な実施例は、胸部204の心臓を治療すべく位置決め装置により配置される。パルス磁界を例えばイオンやリガンドなどの血管形成や新血管新生のターゲット経路構造に結合すると、治療学的、予防学的に炎症が治まり、痛みが軽減し治癒が促進される。生成装置203に電気コイルを用いた場合、この電気コイルは、ファラデーの法則によりターゲット経路構造に時間で変化する電界を誘導する時間で変化する磁界により励起される。生成装置203で生成される電磁信号はまた、電極が皮膚や他のターゲット経路構造における導電界面に直接接触する電気化学的結合を利用して供給することができる。本発明のさらなる別の実施例では、生成装置203で生成される電磁信号を、例えば電極などの生成装置203と例えば分子、細胞、組織、器官などのターゲット経路構造との間に隙間がある静電気結合を利用して供給してもよい。本発明の好適な実施例の利点は、その超軽量なコイルと小型化された回路を、共通の身体治療処置方法とともに、痛みの軽減や治癒が必要な身体のさまざまな部位に用いることができることである。本発明にかかる好適な実施例の適用による結果としての利点は、有機生命体の血管形成や新血管新生が維持向上されることである。
【0055】
図3は、本発明の好適な実施例の小型制御回路300のブロック図である。この小型制御回路300は、例えば図2において説明したワイヤコイルといった生成装置を駆動する波形を生成する。この小型制御回路は、例えばon/offスイッチなどの様々な活性化手段により活性化されてもよい。この小型制御回路300は、例えばリチウム電池301などの電源を有する。この電源の好適な実施例の出力電圧は3.3Vであるが、他の電圧であってもよい。本発明の別の実施例では、この電源は例えば、本発明にプラグとワイヤで接続されたAC/DCコンセントなどの電流コンセントといった外部電源であってもよい。スイッチング電源302が、マイクロコントローラ303への電圧を制御する。マイクロコントローラ303の好適な実施例は8ビット4MHzマイクロコントローラ303であるが、他のビット・MHzの組合せのマイクロコントローラを用いてもよい。スイッチング電源302はまた、電流を蓄電コンデンサに供給する。本発明の好適な実施例は、220μFの蓄電コンデンサを用いるが、他の出力のものであってもよい。この蓄電コンデンサ304は、高周波パルスを例えばインダクタといった結合装置(coupling device)(図示せず)に供給しうる。マイクロコントローラ303はまた、パルス波形器305とパルス位相タイミング制御部306を制御する。このパルス波形器305とパルス位相タイミング制御部306はパルス波形、バースト幅、バーストエンベロープ形状、バースト反復レートを決定する。例えばサイン波などの一体型の波形生成器や不定数の生成器を用いて特定の波形を生成してもよい。電圧レベル変換サブ回路308が、ターゲット経路構造に発生する誘導場を制御する。スイッチングHexfet308により、ランダム振幅のパルスが、例えばインダクタなどの1以上の結合装置に波形を導く出力子309に供給される。マイクロコントローラ303はまた、例えば分子、細胞、組織、器官などのターゲット経路構造の1回の治療の合計照射時間を制御する。小型制御回路300は、パルス磁界を指示された時間だけ供給し、例えば1日10回など、与えられた期間内でパルス磁界を必要なだけ繰り返し供給するよう構成される。本発明の好適な実施例では、治療時間は約10分〜30分である。
【0056】
図4を参照すると、本発明の一実施例である、臀部、腿部、背中下部のサポートガーメント400に組み込まれた電磁治療誘導装置が示されている。いくつかの軽量で柔軟なコイル401がこのサポートガーメントに組み込まれている。この軽量で柔軟なコイルは細く柔軟な導電線や導電性の糸、その他様々な導電材料で構成することができる。この柔軟なコイルは1以上のワイヤ402の1以上の端部に接続されている。しかしながら、この柔軟なコイルはまた、回路403に直接接続されていたり、ワイヤレスであってもよい。本発明の一実施例にかかる波形を形成する軽量小型回路403が、前記1以上のワイヤの1以上の端部に接続されている。この軽量小型回路403を作動させると、波形が生成され柔軟なコイル(401)へと供給されて、ターゲット経路構造に結合するPEMF信号が生成される。
【0057】
図5を参照すると、本発明の一実施例である、頭と顔のサポートガーメント500に組み込まれた電磁治療誘導装置が示されている。いくつかの軽量で柔軟なコイル501がこのサポートガーメントに組み込まれている。軽量で柔軟なコイルは、細く柔軟な導電線や導電性の糸、その他様々な導電材料で構成することができる。この柔軟なコイルは1以上のワイヤ502の1以上の端部に接続されている。しかしながら、この柔軟なコイルはまた、回路503に直接接続されていたり、ワイヤレスであってもよい。本発明の一実施例より波形を形成する軽量小型回路503が、前記1以上のワイヤの1以上の端部に接続されている。この軽量小型回路503を作動させると、波形が生成され柔軟なコイル(501)へと供給されて、ターゲット経路構造に結合するPEMF信号が生成される。
【0058】
図6を参照すると、本発明の一実施例である、人間の前腕600用の外科的包帯に組み込まれた電磁治療誘導装置が示されている。いくつかの軽量で柔軟なコイル601がこの包帯に組み込まれている。軽量で柔軟なコイルは、細く柔軟な導電線や導電性の糸、その他様々な導電材料で構成することができる。この柔軟なコイルは1以上のワイヤ602の1以上の端部に接続されている。しかしながら、この柔軟なコイルはまた、回路603に直接接続されていたり、ワイヤレスであってもよい。本発明の一実施例より波形を形成する軽量小型回路603が、前記1以上のワイヤの1以上の端部に接続されている。この軽量小型回路603を作動させると、波形が生成され柔軟なコイル(601)へと供給されて、ターゲット経路構造に結合するPEMF信号が生成される。
【0059】
図7を参照すると、本発明の一実施例である、マットレスパッド700に組み込まれた電磁治療誘導装置が示されている。いくつかの軽量で柔軟なコイル701がこのマットレスパッドに組み込まれている。軽量で柔軟なコイルは、細く柔軟な導電線や導電性の糸、その他様々な導電材料で構成することができる。この柔軟なコイルは1以上のワイヤ702の1以上の端部に接続されている。しかしながら、この柔軟なコイルはまた、回路703に直接接続されていたり、ワイヤレスであってもよい。本発明の一実施例より波形を形成する軽量小型回路703が、前記1以上のワイヤの1以上の端部に接続されている。この軽量小型回路703を作動させると、波形が生成され柔軟なコイル(701)へと供給されて、ターゲット経路構造に結合するPEMF信号が生成される。
【0060】
図8A、8Bを参照すると、本発明の一実施例である、靴下801と靴802に組み込まれた電磁治療誘導装置が示されている。いくつかの軽量で柔軟なコイル803がこの包帯に組み込まれている。軽量で柔軟なコイルは、細く柔軟な導電線や導電性の糸、その他様々な導電材料で構成することができる。この柔軟なコイルは1以上のワイヤ804の1以上の端部に接続されている。しかしながら、この柔軟なコイルはまた、回路805に直接接続されていたり、ワイヤレスであってもよい。本発明の一実施例より波形を形成する軽量小型回路805が、前記1以上のワイヤの1以上の端部に接続されている。この軽量小型回路805を作動させると、波形が生成され柔軟なコイル(806)へと供給されて、ターゲット経路構造に結合するPEMF信号が生成される。
【0061】
図9を参照すると、本発明の一実施例である、治療用ベッド900に組み込まれた電磁治療誘導装置が示されている。いくつかの軽量で柔軟なコイル901がこのベッドに組み込まれている。軽量で柔軟なコイルは、細く柔軟な導電線や導電性の糸、その他様々な導電材料で構成することができる。この柔軟なコイルは1以上のワイヤ902の1以上の端部に接続されている。しかしながら、この柔軟なコイルはまた、回路903に直接接続されていたり、ワイヤレスであってもよい。本発明の一実施例より波形を形成する軽量小型回路903が、前記1以上のワイヤの1以上の端部に接続されている。この軽量小型回路903を作動させると、波形が生成され柔軟なコイル(901)へと供給されて、ターゲット経路構造に結合するPEMF信号が生成される。
【0062】
図10を参照すると、本発明の一実施例である、ブラジャーなどの胸部ガーメント1000に組み込まれた電磁治療誘導装置が示されている。いくつかの軽量で柔軟なコイル1001がこのブラジャーに組み込まれている。軽量で柔軟なコイルは、細く柔軟な導電線や導電性の糸、その他様々な導電材料で構成することができる。この柔軟なコイルは1以上のワイヤ1002の1以上の端部に接続されている。しかしながら、この柔軟なコイルはまた、回路1003に直接接続されていたり、ワイヤレスであってもよい。本発明の一実施例より波形を形成する軽量小型回路1003が、前記1以上のワイヤの1以上の端部に接続されている。この軽量小型回路1003を作動させると、波形が生成され柔軟なコイル(1001)へと供給されて、ターゲット経路構造に結合するPEMF信号が生成される。
【0063】
以上に電磁治療誘導装置およびその使用方法の複数の実施例について説明したが、当業者であれば上記の記載から変形例や変更例をなすことができる。そのため、本発明に開示された特定の実施例は、添付のクレームに規定された発明の意図および範囲内で変更可能であると理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、本発明の実施例にかかる電磁治療誘導装置の使用方法を示す図である。
【図2】図2は、本発明の好適な実施例にかかる制御回路を示す図である。
【図3】図3は、本発明の好適な実施例にかかる小型化回路のブロック図である。
【図4】図4は、本発明の好適な実施例にかかる、臀部、腿部、背骨下部のサポートガーメントに組み込まれる電磁治療誘導装置を示す図である。
【図5】図5は、本発明の好適な実施例にかかる、頭と顔のサポートガーメントに組み込まれる電磁治療誘導装置を示す図である。
【図6】図6は、本発明の好適な実施例にかかる、人間の前腕用の外科用包帯に組み込まれた電磁治療誘導装置を示す図である。
【図7】図7は、本発明の好適な実施例にかかる、マットレスに組み込まれた電磁治療誘導装置を示す図である。
【図8】図8Aは、本発明の好適な実施例にかかる、靴下に組み込まれた電磁治療誘導装置を示す図である。図8Bは、本発明の好適な実施例にかかる、靴に組み込まれた電磁治療誘導装置を示す図である。
【図9】図9は、本発明の好適な実施例にかかる、治療用ベッドに組み込まれた電磁治療誘導装置を示す図である。
【図10】図10は、本発明の好適な実施例にかかる、胸用に組み込まれた電磁治療誘導装置を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁治療誘導装置を用いる方法であって:
1以上の誘導装置を、対象とする経路構造の近くに配置される治療装置と組み合わせるステップと;
1以上の波形パラメータを具える数学的モデルに従って、前記ターゲット経路構造に結合させるための1以上の波形を構成するステップと;
前記1以上の波形パラメータを選択して、前記1以上の波形が前記ターゲット経路構造において当該ターゲット経路構造の背景活動の上に検出可能とするステップと、
前記構成された1以上の波形から電磁信号を生成するステップと、
前記1以上の誘導装置を用いて前記電磁信号を前記ターゲット経路構造に結合(coupling)させて治療するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、前記1以上の波形パラメータが、前記1以上の波形を約0.01Hz〜約100MHzで反復させる周波数成分パラメータと、数学的に規定された振幅関数に追随するバースト振幅エンベロープパラメータと、各繰り返しにおいて数学的に規定される幅関数に従って変化するバースト幅パラメータと、前記ターゲット経路構造内で数学的に規定される関数に従って約1μV/cm〜約100mV/cmの間で変化するピーク誘導電界パラメータと、前記対象経路内で数学的に規定される関数に従って約1μT〜約0.1Tの間で変化するピーク誘導磁界パラメータと、の1以上を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2の方法において、前記規定された振幅関数が、1/周波数関数、対数関数、カオス理論関数、指数関数の1以上を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、前記1以上の波形パラメータの値を選択するステップがさらに、信号対ノイズ比モデルを満足する前記1以上の波形パラメータを選択するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、前記1以上の波形パラメータの値を選択するステップがさらに、電力信号対ノイズモデル(Power Signal to Noise Ratio Model)を満足する前記1以上の波形パラメータを選択するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1の方法において、前記ターゲット経路構造が、分子、細胞、組織、器官の1以上を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1の方法において、前記治療装置が、解剖学上のサポーター、解剖学上のラップ、包帯、アパレル品、マットレス、マットレスパッド、車いす、治療用いす、治療用ベッド、椅子、ベッド、クッション、スポーツ用品の1以上を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7の方法において、前記アパレル品が、衣類、ファッションアクセサリー、靴、靴下、履き物の1以上を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7の方法において、前記治療装置が持ち運び可能であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項7の方法において、前記治療装置が使い捨てであることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項7の方法において、前記治療装置が埋め込み型であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1の方法において、さらに前記1以上の誘導装置の複数に対し前記電磁信号を同時に生成するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12の方法において、前記電磁信号は、前記1以上の波形を同一形状とするか、前記1以上の波形を異なる形状とするか、のいずれかで生成されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1の方法において、さらに前記1以上の誘導装置の複数に対し前記電磁信号を順番に生成するステップを含むことを特徴とする方法。ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14の方法において、前記電磁信号は、前記1以上の波形を同一形状とするか、前記1以上の波形を異なる形状とするか、のいずれかで生成されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1の方法において、さらに前記1以上の誘導装置の複数に対し電磁信号を多重送信するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16の方法において、前記電磁信号が、前記1以上の波形を同一形状とするか、前記1以上の波形を異なる形状とするか、のいずれかで生成されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1の方法において、さらに前記電磁治療誘導装置に付属して、標準的な医学的治療と非標準的な医学的治療の1以上を用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1の方法において、さらに前記電磁治療誘導装置に付属して、標準的な肉体的治療と非標準的な肉体的治療の1以上を用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19の方法において、前記標準的な肉体的治療は、超音波、負圧、正圧、熱、冷却、マッサージ、運動、鍼のいずれか1以上を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1の方法において、さらに電磁治療誘導装置を、発育因子や細胞分裂その他の生体細胞の調整物質の生成を調節するのに用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項1の方法において、さらに前記電磁治療誘導装置を、組織の成長や修復の調節に用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項1の方法において、さらに前記電磁治療誘導装置を、筋骨格や神経の起死の慢性的な鋭い痛みの軽減に用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項1の方法において、さらに前記電磁治療誘導装置を、浮腫の消散に用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項1の方法において、さらに前記電磁治療誘導装置を、糖尿病や慢性のストレス性胃潰瘍の治療に用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1の方法において、さらに前記電磁治療誘導装置を、血流あるいは微細血管の血液潅流の増進のいずれかに用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項1の方法において、さらに前記電磁治療誘導装置を、血管形成あるいは新血管新生のいずれかに用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項1の方法において、さらに前記電磁治療誘導装置を、悪性および良性の状態の免疫応答の促進に用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項1の方法において、さらに前記電磁治療誘導装置を、浸出(transudation)の促進に用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
植物、動物および人間用の電磁治療誘導装置であって:
1以上の形成された波形から1以上の電磁信号を生成するよう構成された1以上の電磁導体と;
ターゲット経路構造の近くに1以上の電磁導体を配置する1以上の治療装置と;
1以上の形成された波形を受けて前記1以上の電磁信号を生成する結合(coupling)手段とを具えることを特徴とする装置。
【請求項31】
請求項30の電磁治療誘導装置において、前記1以上の電磁導は、信号対ノイズ比モデルを満足するように形成された前記1以上の波形から1以上の電磁信号を生成するよう構成されていることを特徴とする装置。
【請求項32】
請求項30の電磁治療誘導装置において、前記1以上の電磁導は、電力信号対ノイズ比モデルを満足するように形成された前記1以上の波形から1以上の電磁信号を生成するよう構成されていることを特徴とする装置。
【請求項33】
請求項30の電磁治療誘導装置において、前記1以上の電磁導は、1以上のパラメータを含む数学的モデルを用いて形成された前記1以上の波形から1以上の電磁信号を生成するよう構成されており、前記1以上の波形パラメータが、前記1以上の波形を数学的関数にしたがって約0.01Hz〜約100MHzで反復させる周波数成分パラメータと、数学的に規定された振幅関数に追随するバースト振幅エンベロープパラメータと、各繰り返しにおいて数学的に規定される幅関数に従って変化するバースト幅パラメータと、前記ターゲット経路構造内で数学的に規定される関数に従って約1μV/cm〜約100mV/cmの間で変化するピーク誘導電界パラメータと、前記対象経路内で数学的に規定される関数に従って約1μT〜約0.1Tの間で変化するピーク誘導磁界パラメータと、の1以上を含むことを特徴とする装置。
【請求項34】
請求項33の電磁治療誘導装置において、前記規定された振幅関数が、1/周波数関数、対数関数、カオス理論関数、指数関数の1以上を含むことを特徴とする装置。
【請求項35】
請求項30の電磁治療誘導装置において、前記電磁導体がコイルを含むことを特徴とする装置。
【請求項36】
請求項30の電磁治療誘導装置において、さらに1以上の形成された波形から1以上の電磁信号を同時に生成するよう構成された複数の電磁導体を具えることを特徴とする装置。
【請求項37】
請求項36の電磁治療誘導装置において、前記1以上の形成された波形は、前記1以上の波形と同一であるか、前記1以上の形成された波形と異なるものを含むことを特徴とする装置。
【請求項38】
請求項30の電磁治療誘導装置において、さらに前記1以上の形成された波形から1以上の電磁信号を順番に生成するよう構成された複数の電磁導体を具えることを特徴とする装置。
【請求項39】
請求項38の電磁治療誘導装置において、前記1以上の形成された波形は、前記1以上の波形と同一であるか、前記1以上の形成された波形と異なるものを含むことを特徴とする装置。
【請求項40】
請求項30の電磁治療誘導装置において、さらに前記1以上の形成された波形から1以上の電磁信号を多重送信するよう構成された複数の電磁導体を具えることを特徴とする装置。
【請求項41】
請求項40の電磁治療誘導装置において、前記1以上の形成された波形は、前記1以上の波形と同一であるか、前記1以上の形成された波形と異なるものを含むことを特徴とする装置。
【請求項42】
請求項30の電磁治療誘導装置において、前記1以上の治療装置が、解剖学上のサポーター、解剖学上のラップ、アパレル品、マットレス、マットレスパッド、車いす、治療用いす、治療用ベッド、スポーツ用品の1以上を含むことを特徴とする装置。
【請求項43】
請求項42の電磁治療誘導装置において、前記アパレル品が、衣類、ファッションアクセサリー、履き物の1以上を含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項30の電磁治療誘導装置において、前記治療装置が持ち運び可能であることを特
【請求項45】
請求項30の電磁治療誘導装置において、前記治療装置が使い捨てであることを特徴とする装置。
【請求項46】
請求項30の電磁治療誘導装置において、前記治療装置が埋め込み型であることを特徴とする装置。
【請求項47】
請求項30の電磁治療誘導装置において、当該電磁治療誘導装置に付属させて、標準的な医学的治療と非標準的な医学的治療の1以上を適用可能に構成されたことを特徴とする装置。
【請求項48】
請求項30の電磁治療誘導装置において、当該電磁治療誘導装置に付属させて、標準的な肉体的治療と非標準的な肉体的治療の1以上を適用可能に構成されたことを特徴とする装置。
【請求項49】
請求項30の電磁治療誘導装置において、発育因子や細胞分裂その他の生体細胞の調整物質の生成を調節するのに適用可能に構成されたことを特徴とする装置。
【請求項50】
請求項30の電磁治療誘導装置において、組織の成長や修復を調節するのに適用可能に構成されたことを特徴とする装置。
【請求項51】
請求項30の電磁治療誘導装置において、筋骨格や神経の起死の慢性的な鋭い痛みの軽減に適用可能に構成されたことを特徴とする装置。
【請求項52】
請求項30の電磁治療誘導装置において、浮腫の消散に適用可能に構成されたことを特徴とする装置。
【請求項53】
請求項30の電磁治療誘導装置において、糖尿病や慢性のストレス性胃潰瘍の治療に適用可能に構成されたことを特徴とする装置。
【請求項54】
請求項30の電磁治療誘導装置において、血流あるいは微細血管の血液潅流の増進のいずれかに適用可能に構成されたことを特徴とする装置。
【請求項55】
請求項30の電磁治療誘導装置において、血管形成あるいは新血管新生のいずれかに適用可能に構成されたことを特徴とする装置。
【請求項56】
請求項30の電磁治療誘導装置において、悪性および良性の状態の免疫応答の促進に適用可能に構成されたことを特徴とする装置。
【請求項57】
請求項30の電磁治療誘導装置において、浸出(transudation)の促進に適用可能に構成されたことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−535978(P2007−535978A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510877(P2007−510877)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/014234
【国際公開番号】WO2005/105013
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(506190599)アイヴィヴィ テクノロジーズ,インク. (7)
【出願人】(506358708)
【出願人】(506358694)
【出願人】(506358638)
【Fターム(参考)】