説明

電磁駆動ポンプ

【課題】シリンダ本体内の推力発生部の断面積を減らすことなく流体圧の高圧化を図り動作継続性を高めた電磁駆動ポンプを提供する。
【解決手段】電磁コイル15に通電して第2のシリンダ室5の推力発生部10で発生した推力を利用して当該第2のシリンダ室5より断面積の小さい第1のシリンダ室4b内に満たされた流体を可動子8で押圧することで高圧化して送り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばディスペンサー、分析器、燃料電池、インクジェットプリンタなど高圧力を必要とする用途に適した電磁駆動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
流体搬送用の直動式ポンプとしては、例えば電磁駆動ポンプが用いられる。電磁駆動ポンプは、シリンダ本体内に推力発生するマグネットを有する可動子(ピストンやプランジャ)が摺動可能に設けられている。また、シリンダ本体の外周にコイルが設けられており該コイル通電することにより発生する電磁力の反力で可動子を往復動させて可動子の両側に設けられたバルブ(弁)を開閉させて一方のシリンダ室へ流体を吸い込み、他方のシリンダ室内の流体を送り出す。電磁駆動ポンプは、ポンプサイズを小型化でき、比較的簡易な構成にできるメリットがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−124724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電磁駆動ポンプの更なる流体圧の高圧化を図るためには、シリンダ本体の管路断面積を小さくしかつ入力を増やして可動子に高推力を発生させることが考えられる。しかしながら、可動子には推力発生部であるマグネットが設けられるため、シリンダ室の管路断面積が小さくなるとマグネット径が小さくなり高推力が得られない。また、コイルへの入力を増やすことは省エネルギー化を図るうえで好ましくない。
また、流体押し出し部と推力発生部がシリンダ本体内で断面積が異なるように形成されていると、可動子の往復動に伴い推力発生部の移動空間に可動子の外周面とシリンダ本体内壁面との隙間から流体が漏出するため、流体が非圧縮性の液体の場合、可動子が移動することができなくなるおそれがある。
【0004】
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、シリンダ本体内の推力発生部の断面積を減らすことなく流体圧の高圧化を図り動作継続性を高めた電磁駆動ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
両端に開口部が形成され内部側が拡径した多段径を有するシリンダ室が設けられたシリンダ本体と、開口部と各々連通する第1のシリンダ室に連通して中空の可動子軸の両端側が摺動可能に挿入され、可動子軸の中途部外周側にマグネットを有する推力発生部が第2のシリンダ室内に収容される可動子と、第1のシリンダ室に開閉可能に設けられ、一方側は外部流路から第1のシリンダ室内へ流体を吸い込み他方側は第1のシリンダ室から外部流路へ流体を送り出す第1、第2のバルブと、シリンダ本体の外周に空芯の電磁コイルを配置し、該電磁コイルに通電して可動子をシリンダ本体の軸線方向に往復駆動することにより第1、第2のバルブを開閉して流体を輸送する電磁駆動ポンプであって、電磁コイルに通電して第2のシリンダ室の推力発生部で発生した推力を利用して当該第2のシリンダ室より断面積の小さい第1のシリンダ室内に満たされた流体を可動子で押圧することで高圧化して送り出すことを特徴とする。
【0006】
また、可動子が往復動する際に第1のシリンダ室から第2のシリンダ室へ漏出した流体を推力発生部と第2のシリンダ室の内壁面との間に形成された隙間を通じて推力発生部の移動方向と反対側の第2のシリンダ室内へ逃がすことを特徴とする。
また、推力発生部に軸線方向に沿った貫通孔が形成されており、可動子が往復動する際に第1のシリンダ室から第2のシリンダ室へ漏出した流体が推力発生部の移動方向と反対側の第2のシリンダ室内へ貫通孔を通じて逃がすことを特徴とする。
また、可動子軸には推力発生部の両側に軸線方向と直交する連通孔が各々形成されており、可動子が往復動する際に第1のシリンダ室から第2のシリンダ室へ漏出した流体を推力発生部が移動する一方の連通孔から中空軸孔を通じて他方の連通孔から反対側の第2のシリンダ室内へ逃がすことを特徴とする。
この場合、可動子軸の吸込側開口部に、当該可動子軸が吐出側に向かって動いた際に軸孔に満たされた流体が移動して吸込みバルブが閉止されるのを防ぐ第3のバルブを設けたことを特徴とする。
【0007】
また、可動子が往復動する際に第1のシリンダ室から第2のシリンダ室へ漏出した流体を、推力発生部と第2のシリンダ室の内壁面との間に形成された隙間、推力発生部に軸線方向に沿った貫通孔、可動子軸に推力発生部の両側に各々形成された軸線方向と直交する連通孔のうち少なくともいずれか2以上の組み合わせで反対側の第2のシリンダ室内へ逃がすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上述した電磁駆動ポンプを用いれば、両端に開口部が形成され内部側が拡径した多段径を有するシリンダ室が設けられたシリンダ本体に、開口部と各々連通する第1のシリンダ室に連通して中空の可動子軸の両端側が摺動可能に挿入され、中空可動子軸の中途部外周側に設けられるマグネットを有する推力発生部が第2のシリンダ室内に収容されて可動子が組み付けられ、電磁コイルに通電して第2のシリンダ室の推力発生部で発生した推力を利用して当該第2のシリンダ室より断面積の小さい第1のシリンダ室内に満たされた流体を可動子で押圧することで高圧力にして送り出す。これにより、シリンダ本体内の流路断面積を減らすことなく可動子による流体圧の高圧化が図れる。
【0009】
また、可動子が往復動する際に第1のシリンダ室から第2のシリンダ室へ漏出した流体を推力発生部と第2のシリンダ室の内壁面との間に形成された隙間を通じて推力発生部の移動方向と反対側の第2のシリンダ室内へ逃がすことにより、又は推力発生部に軸線方向に沿った貫通孔が形成されており、可動子が往復動する際に第1のシリンダ室から第2のシリンダ室へ漏出した流体が推力発生部の移動方向と反対側の第2のシリンダ室内へ貫通孔を通じて逃がすことにより、又は可動子が往復動する際に第1のシリンダ室から第2のシリンダ室へ漏出した流体を推力発生部が移動する一方の連通孔から中空軸孔を通じて他方の連通孔から反対側の第2のシリンダ室内へ逃がすことにより、第2のシリンダ室に浸入した流体、特に非圧縮性の液体が推力発生部の往復動を妨げることなく動作継続性を保つことができる。
【0010】
また、可動子が往復動する際に第1のシリンダ室から第2のシリンダ室へ漏出した流体を、推力発生部と第2のシリンダ室の内壁面との間に形成された隙間、推力発生部に軸線方向に沿った貫通孔、可動子軸に推力発生部の両側に各々形成された軸線方向と直交する連通孔のうち少なくともいずれか2以上の組み合わせで反対側の第2のシリンダ室内へ逃がすようにすると推力発生部の外径を必要以上に減らすことがなく、よって可動子の推力を低下せずに動作継続性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る電磁駆動ポンプの最良の実施形態について添付図面とともに詳細に説明する。本実施形態は、電磁駆動ポンプとして非圧縮性流体(特に水や冷媒などの液体)を送り出す電磁駆動ポンプを例示して説明するものとする。
【0012】
先ず、電磁駆動ポンプの概略構成について図1を参照して説明する。
シリンダ本体1は、第1のブロック体Eと第2のブロック体Gを、リング材Fを介して重ね合わせて組み立てられる。シリンダ両端に開口部(吸込み口)2、開口部(送出口)3が形成されている。また、シリンダ本体1には内部側が拡径した(断面積が大きい)多段径を有する複数のシリンダ室が設けられている。
【0013】
即ち、吸込み口2に隣接してこれより拡径した第1のシリンダ室4a(吸込み側)、送出口3に隣接してこれより拡径した第1のシリンダ室4b(送出側)が設けられている。また第1のシリンダ室4aと第1のシリンダ室4bの間にこれらより拡径した(断面積が大きい)第2のシリンダ室5が設けられている。シリンダ本体1は例えば非磁性体よりなる金属材が用いられる。第1のシリンダ室4aには筒体状の弁座部材6が嵌め込まれており、該弁座部材6の弁孔6aには第1のバルブ7が開閉可能に設けられる。第1のバルブ7は、例えばゴムなどの樹脂材が好適に用いられる。
【0014】
シリンダ本体1には可動子8が往復動可能に組み付けられる。可動子8は中空の可動子軸9とその外周側に推力発生部10が設けられている。可動子軸9は、両端側に吸入側開口部9a、送出側開口部9bが各々形成されている。可動子軸9の両端側は、第1のシリンダ室4a、4bに摺動可能に挿入されている。可動子軸9の軸孔9cは、第1のシリンダ室4a、4bと各々連通しており、シリンダ本体1内の流体の流路を形成する。また、送出側開口部9bには、第2のバルブ11が開閉可能に設けられる。第2のバルブ11は、例えばゴムなどの樹脂材が好適に用いられる。
尚、可動子軸9とシリンダ本体1との間にOリングなどのシール材を設けて第1のシリンダ室4a、4bから第2のシリンダ室5への流体の漏出を防ぐことも考えられる。しかしながら、シール材の摩耗による寿命が短く部品加工も必要になることから、あえて第1のシリンダ室4a、4bから第2のシリンダ室5への流体の漏出が許容される構造になっている。
【0015】
可動子軸9の中途部外周側に設けられた推力発生部10はマグネット12が設けられている。マグネット12は、円環状をしており軸線方向に着磁されている。マグネット12の両側は、磁性体を用いたヨーク部13が設けられている。各ヨーク部13の外周面部13aは軸線方向に延設されている。即ち、ヨーク部13の磁束作用面は外周面部13aに径方向で形成される。推力発生部10は第2のシリンダ室5内に収容されており、推力発生部10の外周面部13aと第2のシリンダ室5の内壁面5aとの間には隙間14が形成されている。
【0016】
シリンダ本体1の外周には空芯の電磁コイル15が可動子8と同心状に設けられている。電磁コイル15は外装ケース16により軸方向にシリンダ本体1(第1のブロック対E)に押さえ込まれて固定されている。外装体16は、絶縁性のある部材、例えば樹脂材が用いられる。また、第1のブロック対Eと第2のブロック体Gとの間に挟み込まれるリング材Fには、シール用のOリング17が嵌め込まれている。
【0017】
上記電磁コイル15に通電する方向を切り替えることにより当該電磁コイル15に作用する電磁力の反力によって可動子8がシリンダ本体1の軸線方向に往復駆動する。例えば、可動子8が上方へ移動すると、第2のバルブ11を閉じて第1のシリンダ室4bから送出口3を通じて外部流路へ流体を送り出し、第1のバルブ7が開放している間だけ吸込み口2から第1のシリンダ室4aへ流体が吸い込まれる。また、可動子8が下方へ移動すると、第2のバルブ11が開放している間だけ可動子軸9の軸孔9cから第1のシリンダ室4bへ流体が移動し、第1のバルブ7は閉じたまま第1のシリンダ室4aから軸孔9c内へ流体が移動する。このような動作を繰り返して流体をシリンダ本体1から送り出すようになっている。
このように、電磁コイル15に通電して第2のシリンダ室5の推力発生部10で発生した推力を利用して当該第2のシリンダ室5より断面積の小さい第1のシリンダ室4b内に第2のバルブ11を閉じて満たされた流体を可動子8で押圧することで高圧力にして送り出す。よって、シリンダ本体1内の流路断面積を減らすことなく可動子8による流体圧の高圧化が図れる。
【0018】
また、可動子8が往復動する際に第1のシリンダ室4a、4bから第2のシリンダ室5へ漏出した流体が充満してくると、可動子8の推力が低下して動きが悪くなることが想定される。このため、推力発生部10の外周面部13aと第2のシリンダ室5の内壁面5aとの間に形成された隙間14を通じて第2のシリンダ室5内に溜まった流体を推力発生部10の移動方向と反対側の第2のシリンダ室5内へ逃がすようになっている(矢印P参照)。
【0019】
また、図1の左半図において、推力発生部10に軸線方向に沿った貫通孔18が形成されていても良い。即ち、マグネット12及びこれを挟み込むヨーク部13に貫通孔18が形成されている。可動子8が往復動する際に第1のシリンダ室4a、4bから第2のシリンダ室5へ漏出した流体が推力発生部10の移動方向と反対側の第2のシリンダ室5内へ貫通孔18を通じて逃がす(矢印Q参照)。この場合には、推力発生部10の外周面部13aと第2のシリンダ室5の内壁面5aとの間に形成された隙間14は必要以上に設けなくても良い。或いは流体を逃がすための隙間14を設けかつ推力発生部10の貫通孔18を設けて、これらを通過する流体量が所定量確保することにより可動子8の動作継続性を維持することも可能である。
【0020】
また、図1の左半図において、中空可動子軸9に推力発生部10の両側には軸孔9cと第2のシリンダ室5とを連通する連通孔19が軸線方向と直交する向きに各々形成されている。可動子8が往復動する際に第1のシリンダ室4a、4bから第2のシリンダ室5へ漏出した流体を推力発生部10が移動する一方の連通孔19から軸孔9cを通じて他方の連通孔19から反対側の第2のシリンダ室5内へ逃がす(矢印R参照)。この場合には、推力発生部10の外周面部13aと第2のシリンダ室5の内壁面5aとの間に形成された隙間14は必要以上に設けなくても良く、推力発生部10に貫通孔18を必ずしも設ける必要もない。
【0021】
或いは、推力発生部10と第2のシリンダ室5の間に形成された隙間14、推力発生部10に軸線方向に沿った貫通孔18、可動子軸9に推力発生部10の両側に各々形成された連通孔19のうちいずれか2以上の組み合わせ、これらを通過する流体量が所定量確保することにより可動子8の動作継続性を維持することも可能である。
このように、第2のシリンダ室5に浸入した流体、特に非圧縮性の液体が推力発生部10の往復動を妨げることなく動作継続性を保つことができる。
【0022】
図2は推力発生部10と第2のシリンダ室5の間に形成された隙間14及び推力発生部10に軸線方向に沿った貫通孔18を設けたポンプ構造を示す。隙間14及び貫通孔18は推力発生部10の推力を低減させる要因となるため、第2のシリンダ室5の断面積に対して必要最小限であることが望ましい。
【0023】
図3A、Bは、推力発生部10に貫通孔18を形成した場合の可動子8の動作と第2のシリンダ室5の流体の流れを示すものである。図3Aは、可動子8が上方へ移動した場合を示す。
可動子8が上方へ移動すると、閉弁していた第1のバルブ7が開弁し、吸込み口2から第1のシリンダ室4a、軸孔9cへ所定量の流体が吸い込まれる。また、開弁していた第2のバルブ11が閉弁し、可動子8の移動に伴って第1のシリンダ室4bから送出口3へ所定量の流体が送り出される。このとき、第2のシリンダ室5の推力発生部10の上方に満たされた流体は、隙間14及び貫通孔18を通じて推力発生部10の移動方向と反対側(下方)の第2のシリンダ室5内へ移動する(矢印P1、Q1参照)。
【0024】
また、図3Bは可動子8が下方へ移動した場合を示す。可動子8が下方へ移動すると、閉弁していた第2のバルブ11が開弁し軸孔9c内の流体が所定量第1のシリンダ室4bへ移動する。また、開弁していた第1のバルブ11が閉弁し、吸込み口2から第1のシリンダ室4aへの流体の吸い込み遮断される。このとき、第2のシリンダ室5の推力発生部10の下方に満たされた流体は、隙間14及び貫通孔18を通じて推力発生部10の移動方向と反対側(上方)の第2のシリンダ室5内へ移動する(矢印P2、Q2参照)。
【0025】
図4は可動子軸9に推力発生部10の軸方向両側で連通孔19が各々形成されたポンプ構造を示す。また、可動子軸9の吸入側開口部9aに第3のバルブ20が設けられている。この第3のバルブ20は、可動子軸9が吐出側に向かって動いた際に軸孔9cに満たされた流体が移動して吸込みバルブ(第1のバルブ7)が閉止されるのを防ぐために設けられる。第3のバルブ20は、第1、第2のバルブと同様に例えばゴムなどの樹脂材が好適に用いられる。
【0026】
図5A、Bは、可動子軸9に連通孔19を形成した場合の可動子8の動作と第2のシリンダ室5の流体の流れを示すものである。図5Aは、可動子8が上方へ移動した場合を示す。
可動子8が上方へ移動すると、閉弁していた第1のバルブ7が開弁し、開口部2から第1のシリンダ室4aへ所定量の流体が吸い込まれる。また、開弁していた第2のバルブ11、第3のバルブ20が閉弁し、可動子8の移動に伴って第1のシリンダ室4bから送出口3へ所定量の流体が送り出される。このとき、第2のシリンダ室5の推力発生部10の上方に満たされた流体は、連通孔19、軸孔9c、連通孔19を通じて推力発生部10の移動方向と反対側(下方)の第2のシリンダ室5内へ矢印方向に移動する(矢印R1参照)。また、第3のバルブ20が閉弁し軸孔9cに満たされた流体が第1のシリンダ室4aに移動することを防ぎ、第1のバルブ7が開弁することを妨げない。よって、第1のバルブ7が開いている間だけ、吸込み口2から第1のシリンダ室4aへ所定量の流体が吸い込まれる。
【0027】
また、図5Bは可動子8が下方へ移動した場合を示す。可動子8が下方へ移動すると、軸孔9c内から第1のシリンダ室4bへ流体が移動し、第1のシリンダ室4aから軸孔9cへ流体が移動するため、閉弁していた第2のバルブ11、第3のバルブ20が開弁する。また、開弁していた第1のバルブ7が閉弁し、吸込み口2から第1のシリンダ室4aへの流体の吸い込み遮断される。このとき、第2のシリンダ室5の推力発生部10の下方に満たされた流体は、連通孔19、軸孔9c、連通孔19を通じて推力発生部10の移動方向と反対側(上方)の第2のシリンダ室5内へ矢印方向に移動する(矢印R2参照)。
【0028】
尚、可動子軸9形成された連通孔19と、推力発生部10と第2のシリンダ室5の隙間14又は推力発生部10に設けた貫通孔18のいずれかと組み合わせて流体を逃がすようにしても良いし、これらを併用してもよい。
また、マグネット12は焼結金属材が用いられるが、流体の種類により最適なものが選択される。例えば、水などであれば防錆を考慮してフェライト系マグネット、サマリュウムコバルト系マグネットなどが用いられ、油などではネオジ・鉄・ボロン系マグネットなどが用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】電磁駆動ポンプの断面説明図及び第2シリンダ室内の流体の流れを示す説明図である。
【図2】電磁駆動ポンプの一例を示す断面図である。
【図3】図2のポンプの動作状態を示す説明図である。
【図4】電磁駆動ポンプの一例を示す断面図である。
【図5】図4のポンプの動作状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 シリンダ本体
2 吸込み口
3 送出口
4a、4b 第1のシリンダ室
5 第2のシリンダ室
5a 内壁面
6 弁座部材
6a 弁孔
7 第1のバルブ
8 可動子
9a 吸入側開口部
9b 送出側開口部
9c 軸孔
10 推力発生部
11 第2のバルブ
12 マグネット
13 ヨーク部
13a 外周面部
14 隙間
15 電磁コイル
16 外装ケース
17 Oリング
18 貫通孔
19 連通孔
20 第3のバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に開口部が形成され内部側が拡径した多段径を有するシリンダ室が設けられたシリンダ本体と、
開口部と各々連通する第1のシリンダ室に連通して中空の可動子軸の両端側が摺動可能に挿入され、可動子軸の中途部外周側にマグネットを有する推力発生部が第2のシリンダ室内に収容される可動子と、
第1のシリンダ室に開閉可能に設けられ、一方側は外部流路から第1のシリンダ室内へ流体を吸い込み他方側は第1のシリンダ室から外部流路へ流体を送り出す第1、第2のバルブと、
シリンダ本体の外周に空芯の電磁コイルを配置し、該電磁コイルに通電して可動子をシリンダ本体の軸線方向に往復駆動することにより第1、第2のバルブを開閉して流体を輸送する電磁駆動ポンプであって、
電磁コイルに通電して第2のシリンダ室の推力発生部で発生した推力を利用して当該第2のシリンダ室より断面積の小さい第1のシリンダ室内に満たされた流体を可動子で押圧することで高圧化して送り出す電磁駆動ポンプ。
【請求項2】
可動子が往復動する際に第1のシリンダ室から第2のシリンダ室へ漏出した流体を推力発生部と第2のシリンダ室の内壁面との間に形成された隙間を通じて推力発生部の移動方向と反対側の第2のシリンダ室内へ逃がす請求項1記載の電磁駆動ポンプ。
【請求項3】
推力発生部に軸線方向に沿った貫通孔が形成されており、可動子が往復動する際に第1のシリンダ室から第2のシリンダ室へ漏出した流体が推力発生部の移動方向と反対側の第2のシリンダ室内へ貫通孔を通じて逃がす請求項1記載の電磁駆動ポンプ。
【請求項4】
可動子軸には推力発生部の両側に軸線方向と直交する連通孔が各々形成されており、可動子が往復動する際に第1のシリンダ室から第2のシリンダ室へ漏出した流体を推力発生部が移動する一方の連通孔から中空軸孔を通じて他方の連通孔から反対側の第2のシリンダ室内へ逃がす請求項1記載の電磁駆動ポンプ。
【請求項5】
可動子軸の吸込側開口部に、当該可動子軸が吐出側に向かって動いた際に軸孔に満たされた流体が移動して吸込みバルブが閉止されるのを防ぐ第3のバルブを設けた請求項4記載の電磁駆動ポンプ。
【請求項6】
可動子が往復動する際に第1のシリンダ室から第2のシリンダ室へ漏出した流体を、推力発生部と第2のシリンダ室の内壁面との間に形成された隙間、推力発生部に軸線方向に沿った貫通孔、可動子軸に推力発生部の両側に各々形成された軸線方向と直交する連通孔のうち少なくともいずれか2以上の組み合わせで反対側の第2のシリンダ室内へ逃がす請求項1記載の電磁駆動ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−163853(P2008−163853A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354758(P2006−354758)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】