電線の接続方法
【課題】丸棒線及び撚り線の導体同士を、コストアップを招くことなく容易にかつ安定的に接続することが可能な電線の接続方法を提供すること。
【解決手段】一本の導体12を有する丸棒線と、複数本の素線22aを撚り合わせた導体22を有する撚り線とを接続する電線の接続方法であって、丸棒線の導体12をプレスして板体に成形するフォーミング工程と、丸棒線の板体とされた導体12に撚り線の導体22を重ね合わせて接合させる接合工程と、を含むこと。
【解決手段】一本の導体12を有する丸棒線と、複数本の素線22aを撚り合わせた導体22を有する撚り線とを接続する電線の接続方法であって、丸棒線の導体12をプレスして板体に成形するフォーミング工程と、丸棒線の板体とされた導体12に撚り線の導体22を重ね合わせて接合させる接合工程と、を含むこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の導体同士を接合させて導通させる電線の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等に配線されるワイヤハーネスでは、回路の分配等のために、ワイヤハーネスの電線同士を接続することが行われる。このようなワイヤハーネスにおける電線同士の接続方法として、スリーブを用いて圧着接続する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−94860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワイヤハーネスには、導体の材料が異なる複数の電線を接続することが必要となる。例えば、銅素線の撚り線とアルミニウムの丸棒線とを接続する場合などである。このような電線をスリーブによって接続する場合、既存のスリーブを流用できないことがある。このため、接続する電線の径に応じて様々なスリーブを用意する必要があり、接続作業の煩雑化やコストアップを招いていた。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、丸棒線及び撚り線の導体同士を、コストアップを招くことなく容易にかつ安定的に接続することが可能な電線の接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電線の接続方法は、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) 一本の導体を有する丸棒線と、複数本の素線を撚り合わせた導体を有する撚り線とを接続する電線の接続方法であって、
前記丸棒線の導体をプレスして板体に成形するフォーミング工程と、
前記丸棒線の板体とされた導体に前記撚り線の導体を重ね合わせて接合させる接合工程と、
を含むこと。
(2) 上記(1)の電線の接続方法において、
前記接合工程では、前記丸棒線の板体とされた導体と前記撚り線の導体とを超音波接合させること。
(3) 上記(1)または(2)の電線の接続方法において、
前記フォーミング工程では、前記丸棒線の導体を断面視円弧状の板体に成形すること。
(4) 上記(1)から(3)の電線の接続方法において、
前記撚り線の導体とともに前記丸棒線の導体を金型でプレスし、前記金型を超音波振動させて前記丸棒線と前記撚り線の導体同士を超音波接合させること。
【0007】
上記(1)の構成の電線の接続方法では、丸棒線の導体をプレスして板体に成形するので、丸棒線の導体に対して撚り線の導体を容易に重ね合わせて接合させることができる。これにより、接続させるためのスリーブやジョイントコネクタ等の追加部品を不要とすることができる。よって、丸棒線及び撚り線の導体同士を、コストアップを招くことなく容易にかつ安定的に接続することができ、接続の信頼性を高めることができる。
上記(2)の構成の電線の接続方法では、例えば、丸棒線の導体がアルミニウムであり、撚り線の導体が銅または銅合金であっても、これらの導体同士を、追加設備を用いることなく、超音波接合によって確実に接合させることができる。
上記(3)の構成の電線の接続方法では、断面視円弧状の板体とした丸棒線の導体に対して撚り線の導体を円弧の内側に重ね合わせて接合させることで、丸棒線及び撚り線の導体同士を容易にかつさらに安定的に接合させることができる。
上記(4)の構成の電線の接続方法では、フォーミング工程及び接合工程の簡略化を図ることができ、接合作業効率を大幅に向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、丸棒線及び撚り線の導体同士を、コストアップを招くことなく容易にかつ安定的に接続することが可能な電線の接続方法を提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る電線の接続方法によって接続された電線の接続箇所の斜視図である。
【図2】丸棒線を示す図であって、図2(a)は丸棒線の斜視図、図2(b)は丸棒線の端部における正面図である。
【図3】撚り線を示す図であって、図3(a)は撚り線の斜視図、図3(b)は撚り線の端部における正面図である。
【図4】フォーミング工程を説明する側面図である。
【図5】フォーミング工程によって板体に成形された丸棒線の導体の正面図である。
【図6】接合工程を説明する側面図である。
【図7】互いに接合された導体の断面図である。
【図8】断面視円弧状に成形された丸棒線の導体の正面図である。
【図9】互いに接合された導体の断面図である。
【図10】参考例に係る電線の接続方法を説明する電線の接続箇所の側面図である。
【図11】参考例に係る電線の接続方法を説明する電線の接続箇所の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0012】
本実施形態に係る電線の接続方法では、図1に示すように、丸棒線11と撚り線21とを接続する。
【0013】
一本の丸棒線11は、図2に示すように、アルミニウムからなる1本の導体12と、この導体12の周囲を覆う合成樹脂からなる外皮13とを有している。図1、図2では、二本の丸棒線11が横並びになっている状態を示している。丸棒線11は、キャブタイヤケーブル1の導線を構成するものであり、その外周が編組シールド2によって覆われている。
【0014】
一本の撚り線21は、図3に示すように、銅または銅合金からなる複数本の素線22aを撚り合わせた導体22と、この導体22の周囲を覆う合成樹脂からなる外被23とを有している。図3では、二本の撚り線21が横並びになっている状態を示している。
【0015】
これらの丸棒線11及び撚り線21は、その端部で導体12,22が露出され、これらの導体12,22同士が互いに接続されている。これらの丸棒線11及び撚り線21は、その接続箇所15が編組または箔等によって構成されるシールドチューブ32によって覆われている。尚、図1では、シールドチューブ32の内部の構造を示すために、シールドチューブ32を透過させている。一組の丸棒線11及び撚り線21の端部が接合された接続箇所15を覆うシールドチューブ32は、キャブタイヤケーブル1側に向けて延びており、そのキャブタイヤケーブル1側に位置する端部は、丸棒線11の外周を覆う編組シールド2とともに積層されている。シールドチューブ32と編組シールドが積層している箇所は、円筒形状の円筒部材33によって加締められることによって、導通が図られている。
【0016】
次に、上記のように、丸棒線11の導体12と撚り線21の導体22とを接続する場合について説明する。
【0017】
(フォーミング工程)
まず、丸棒線11の導体12を成形する。具体的には、図4に示すように、外皮13から露出させたアルミニウムからなる導体12に対してプレス機の下型41及び上型42とでプレス加工を施すことにより、図5に示すように、平板状の板体に成形する。
【0018】
(接合工程)
次に、丸棒線11の導体12と撚り線21の導体22とを超音波接合させる。具体的には、図6に示すように、平板状の板体に成形した丸棒線11の導体12に撚り線21の導体22を重ね合わせ、この重ね合わせた部分を、超音波溶接機50にセットする。この超音波溶接機50は、超音波発振器(図示略)によって超音波振動するホーン51と、このホーン51の上方に昇降可能に配置されたアンビル52とを有しており、丸棒線11及び撚り線21の互いに重ね合わせた導体12,22は、ホーン51とアンビル52との間に配置される。
【0019】
この状態で、アンビル52を下降させることで、重ね合わせた導体12,22をホーン51とアンビル52とで挟持する。このとき、丸棒線11の導体12は、予めプレス加工によって平板状の板体にフォーミングされているので、撚り線21の導体22が丸棒線11の導体12から外れるようなことなく、ホーン51とアンビル52とで挟持される。
【0020】
そして、このように、ホーン51とアンビル52とで導体12,22を挟持したら、超音波発振器でホーン51を超音波振動させる。これにより、図7に示すように、丸棒線11の導体12と撚り線21の導体22とが超音波接合される。
【0021】
その後、この接続箇所15にシールドチューブ32を被せ、接合箇所を保護する。シールドチューブ32を被せるに当たっては、接続箇所15に対して周回するように巻き付ける手法や、丸棒線11の接続箇所15とは反対に位置するキャブタイヤケーブル1の端部または撚り線21の接続箇所15とは反対の端部を筒状にしたシールドチューブ32の内側に進入させる手法が考えられる。
【0022】
このように、上記実施形態に係る電線の接続方法によれば、丸棒線11の導体12をプレスして板体に成形するので、丸棒線11の導体12に対して撚り線21の導体22を容易に重ね合わせて接合させることができる。これにより、接続させるためのスリーブやジョイントコネクタ等の追加部品を不要とすることができる。よって、丸棒線11及び撚り線21の導体12,22同士を、コストアップを招くことなく容易にかつ安定的に接続することができ、接続の信頼性を高めることができる。
【0023】
また、互いの導体12,22を超音波によって接合させるので、丸棒線11の導体12がアルミニウムであり、撚り線21の導体22が銅または銅合金であっても、これらの導体12,22同士を、追加設備を用いることなく、超音波接合によって確実に接合させることができる。
【0024】
なお、上記実施形態では、フォーミング工程において、丸棒線11の導体12を、平板状の板体に成形したが、導体12のフォーミング形状としては、撚り線21の導体22を安定的に重ね合わせられる形状であれば平板状に限らない。
【0025】
例えば、図8に示すように、丸棒線11の導体12を、プレス加工によって断面視円弧状の板体に成形しても良い。
【0026】
このように、導体12を断面視円弧状の板体に成形した場合では、この導体12の円弧の凹みが上面に位置するように配置させ、この導体12の上に撚り線21の導体22を配置させると、図9に示すように、導体21の一部が、導体12の円弧の凹み部分に入り込み、したがって、導体12,22同士の重ね合わせ状態をさらに安定的なものとすることができ、超音波溶接機50による超音波接合のさらなる容易化を図ることができる。
【0027】
また、上記実施形態では、フォーミング工程と接合工程とを別々に行ったが、これらの工程を同時に行っても良い。
【0028】
具体的には、プレス機の下型41をホーンとし、さらに、プレス機の上型42をアンビルとし、下型41と上型42との間に丸棒線11及び撚り線21の導体12,22を配置させ、これらの下型41と上型42とで導体12,22をプレス加工し、その状態で、超音波発振器で下型41を超音波振動させる。これにより、丸棒線11の導体12と撚り線21の導体22とをプレスするとともに超音波接合させる。そして、このように、フォーミング工程と接合工程とを同時に行えば、フォーミング工程及び接合工程の簡略化を図ることができ、接合作業効率を大幅に向上させることができる。
【0029】
なお、この場合も、丸棒線11の導体12を断面視円弧状の板体に成形しても良く、このように導体12を断面視円弧状の板体に成形すれば、導体12,22同士の接合を安定的なものとすることができる。
【0030】
ここで、本発明の更なる優位性を説明するため、参考例を示す。
【0031】
図10の参考例では、撚り線61の導体62に対して、丸棒線63の導体64を、金属製のスリーブ65によって圧着固定する。
【0032】
この接続方法では、接続する電線の径に対応したサイズのスリーブ65を用いなければならず、また、そのスリーブ65を圧着するための圧着器も、スリーブ65のサイズ毎に用意しなければならない。
【0033】
また、図11の参考例では、ワイヤハーネス71の電線72同士をジョイントコネクタ73で接続する。
【0034】
この接続方法では、ジョイントコネクタ73内に設けられた導体の接続用端子を、丸棒線と撚り線とで共用することができないため、丸棒線と撚り線とに接続可能な専用の接続用端子を作製しなければならない。
【0035】
このため、上記図10及び図11に示す接続方法では、接続の煩雑化やコストアップを招いてしまう。
【0036】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0037】
11 丸棒線
12,22 導体
21 撚り線
22a 素線
41 下型(金型)
42 上型(金型)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の導体同士を接合させて導通させる電線の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等に配線されるワイヤハーネスでは、回路の分配等のために、ワイヤハーネスの電線同士を接続することが行われる。このようなワイヤハーネスにおける電線同士の接続方法として、スリーブを用いて圧着接続する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−94860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワイヤハーネスには、導体の材料が異なる複数の電線を接続することが必要となる。例えば、銅素線の撚り線とアルミニウムの丸棒線とを接続する場合などである。このような電線をスリーブによって接続する場合、既存のスリーブを流用できないことがある。このため、接続する電線の径に応じて様々なスリーブを用意する必要があり、接続作業の煩雑化やコストアップを招いていた。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、丸棒線及び撚り線の導体同士を、コストアップを招くことなく容易にかつ安定的に接続することが可能な電線の接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電線の接続方法は、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) 一本の導体を有する丸棒線と、複数本の素線を撚り合わせた導体を有する撚り線とを接続する電線の接続方法であって、
前記丸棒線の導体をプレスして板体に成形するフォーミング工程と、
前記丸棒線の板体とされた導体に前記撚り線の導体を重ね合わせて接合させる接合工程と、
を含むこと。
(2) 上記(1)の電線の接続方法において、
前記接合工程では、前記丸棒線の板体とされた導体と前記撚り線の導体とを超音波接合させること。
(3) 上記(1)または(2)の電線の接続方法において、
前記フォーミング工程では、前記丸棒線の導体を断面視円弧状の板体に成形すること。
(4) 上記(1)から(3)の電線の接続方法において、
前記撚り線の導体とともに前記丸棒線の導体を金型でプレスし、前記金型を超音波振動させて前記丸棒線と前記撚り線の導体同士を超音波接合させること。
【0007】
上記(1)の構成の電線の接続方法では、丸棒線の導体をプレスして板体に成形するので、丸棒線の導体に対して撚り線の導体を容易に重ね合わせて接合させることができる。これにより、接続させるためのスリーブやジョイントコネクタ等の追加部品を不要とすることができる。よって、丸棒線及び撚り線の導体同士を、コストアップを招くことなく容易にかつ安定的に接続することができ、接続の信頼性を高めることができる。
上記(2)の構成の電線の接続方法では、例えば、丸棒線の導体がアルミニウムであり、撚り線の導体が銅または銅合金であっても、これらの導体同士を、追加設備を用いることなく、超音波接合によって確実に接合させることができる。
上記(3)の構成の電線の接続方法では、断面視円弧状の板体とした丸棒線の導体に対して撚り線の導体を円弧の内側に重ね合わせて接合させることで、丸棒線及び撚り線の導体同士を容易にかつさらに安定的に接合させることができる。
上記(4)の構成の電線の接続方法では、フォーミング工程及び接合工程の簡略化を図ることができ、接合作業効率を大幅に向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、丸棒線及び撚り線の導体同士を、コストアップを招くことなく容易にかつ安定的に接続することが可能な電線の接続方法を提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る電線の接続方法によって接続された電線の接続箇所の斜視図である。
【図2】丸棒線を示す図であって、図2(a)は丸棒線の斜視図、図2(b)は丸棒線の端部における正面図である。
【図3】撚り線を示す図であって、図3(a)は撚り線の斜視図、図3(b)は撚り線の端部における正面図である。
【図4】フォーミング工程を説明する側面図である。
【図5】フォーミング工程によって板体に成形された丸棒線の導体の正面図である。
【図6】接合工程を説明する側面図である。
【図7】互いに接合された導体の断面図である。
【図8】断面視円弧状に成形された丸棒線の導体の正面図である。
【図9】互いに接合された導体の断面図である。
【図10】参考例に係る電線の接続方法を説明する電線の接続箇所の側面図である。
【図11】参考例に係る電線の接続方法を説明する電線の接続箇所の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0012】
本実施形態に係る電線の接続方法では、図1に示すように、丸棒線11と撚り線21とを接続する。
【0013】
一本の丸棒線11は、図2に示すように、アルミニウムからなる1本の導体12と、この導体12の周囲を覆う合成樹脂からなる外皮13とを有している。図1、図2では、二本の丸棒線11が横並びになっている状態を示している。丸棒線11は、キャブタイヤケーブル1の導線を構成するものであり、その外周が編組シールド2によって覆われている。
【0014】
一本の撚り線21は、図3に示すように、銅または銅合金からなる複数本の素線22aを撚り合わせた導体22と、この導体22の周囲を覆う合成樹脂からなる外被23とを有している。図3では、二本の撚り線21が横並びになっている状態を示している。
【0015】
これらの丸棒線11及び撚り線21は、その端部で導体12,22が露出され、これらの導体12,22同士が互いに接続されている。これらの丸棒線11及び撚り線21は、その接続箇所15が編組または箔等によって構成されるシールドチューブ32によって覆われている。尚、図1では、シールドチューブ32の内部の構造を示すために、シールドチューブ32を透過させている。一組の丸棒線11及び撚り線21の端部が接合された接続箇所15を覆うシールドチューブ32は、キャブタイヤケーブル1側に向けて延びており、そのキャブタイヤケーブル1側に位置する端部は、丸棒線11の外周を覆う編組シールド2とともに積層されている。シールドチューブ32と編組シールドが積層している箇所は、円筒形状の円筒部材33によって加締められることによって、導通が図られている。
【0016】
次に、上記のように、丸棒線11の導体12と撚り線21の導体22とを接続する場合について説明する。
【0017】
(フォーミング工程)
まず、丸棒線11の導体12を成形する。具体的には、図4に示すように、外皮13から露出させたアルミニウムからなる導体12に対してプレス機の下型41及び上型42とでプレス加工を施すことにより、図5に示すように、平板状の板体に成形する。
【0018】
(接合工程)
次に、丸棒線11の導体12と撚り線21の導体22とを超音波接合させる。具体的には、図6に示すように、平板状の板体に成形した丸棒線11の導体12に撚り線21の導体22を重ね合わせ、この重ね合わせた部分を、超音波溶接機50にセットする。この超音波溶接機50は、超音波発振器(図示略)によって超音波振動するホーン51と、このホーン51の上方に昇降可能に配置されたアンビル52とを有しており、丸棒線11及び撚り線21の互いに重ね合わせた導体12,22は、ホーン51とアンビル52との間に配置される。
【0019】
この状態で、アンビル52を下降させることで、重ね合わせた導体12,22をホーン51とアンビル52とで挟持する。このとき、丸棒線11の導体12は、予めプレス加工によって平板状の板体にフォーミングされているので、撚り線21の導体22が丸棒線11の導体12から外れるようなことなく、ホーン51とアンビル52とで挟持される。
【0020】
そして、このように、ホーン51とアンビル52とで導体12,22を挟持したら、超音波発振器でホーン51を超音波振動させる。これにより、図7に示すように、丸棒線11の導体12と撚り線21の導体22とが超音波接合される。
【0021】
その後、この接続箇所15にシールドチューブ32を被せ、接合箇所を保護する。シールドチューブ32を被せるに当たっては、接続箇所15に対して周回するように巻き付ける手法や、丸棒線11の接続箇所15とは反対に位置するキャブタイヤケーブル1の端部または撚り線21の接続箇所15とは反対の端部を筒状にしたシールドチューブ32の内側に進入させる手法が考えられる。
【0022】
このように、上記実施形態に係る電線の接続方法によれば、丸棒線11の導体12をプレスして板体に成形するので、丸棒線11の導体12に対して撚り線21の導体22を容易に重ね合わせて接合させることができる。これにより、接続させるためのスリーブやジョイントコネクタ等の追加部品を不要とすることができる。よって、丸棒線11及び撚り線21の導体12,22同士を、コストアップを招くことなく容易にかつ安定的に接続することができ、接続の信頼性を高めることができる。
【0023】
また、互いの導体12,22を超音波によって接合させるので、丸棒線11の導体12がアルミニウムであり、撚り線21の導体22が銅または銅合金であっても、これらの導体12,22同士を、追加設備を用いることなく、超音波接合によって確実に接合させることができる。
【0024】
なお、上記実施形態では、フォーミング工程において、丸棒線11の導体12を、平板状の板体に成形したが、導体12のフォーミング形状としては、撚り線21の導体22を安定的に重ね合わせられる形状であれば平板状に限らない。
【0025】
例えば、図8に示すように、丸棒線11の導体12を、プレス加工によって断面視円弧状の板体に成形しても良い。
【0026】
このように、導体12を断面視円弧状の板体に成形した場合では、この導体12の円弧の凹みが上面に位置するように配置させ、この導体12の上に撚り線21の導体22を配置させると、図9に示すように、導体21の一部が、導体12の円弧の凹み部分に入り込み、したがって、導体12,22同士の重ね合わせ状態をさらに安定的なものとすることができ、超音波溶接機50による超音波接合のさらなる容易化を図ることができる。
【0027】
また、上記実施形態では、フォーミング工程と接合工程とを別々に行ったが、これらの工程を同時に行っても良い。
【0028】
具体的には、プレス機の下型41をホーンとし、さらに、プレス機の上型42をアンビルとし、下型41と上型42との間に丸棒線11及び撚り線21の導体12,22を配置させ、これらの下型41と上型42とで導体12,22をプレス加工し、その状態で、超音波発振器で下型41を超音波振動させる。これにより、丸棒線11の導体12と撚り線21の導体22とをプレスするとともに超音波接合させる。そして、このように、フォーミング工程と接合工程とを同時に行えば、フォーミング工程及び接合工程の簡略化を図ることができ、接合作業効率を大幅に向上させることができる。
【0029】
なお、この場合も、丸棒線11の導体12を断面視円弧状の板体に成形しても良く、このように導体12を断面視円弧状の板体に成形すれば、導体12,22同士の接合を安定的なものとすることができる。
【0030】
ここで、本発明の更なる優位性を説明するため、参考例を示す。
【0031】
図10の参考例では、撚り線61の導体62に対して、丸棒線63の導体64を、金属製のスリーブ65によって圧着固定する。
【0032】
この接続方法では、接続する電線の径に対応したサイズのスリーブ65を用いなければならず、また、そのスリーブ65を圧着するための圧着器も、スリーブ65のサイズ毎に用意しなければならない。
【0033】
また、図11の参考例では、ワイヤハーネス71の電線72同士をジョイントコネクタ73で接続する。
【0034】
この接続方法では、ジョイントコネクタ73内に設けられた導体の接続用端子を、丸棒線と撚り線とで共用することができないため、丸棒線と撚り線とに接続可能な専用の接続用端子を作製しなければならない。
【0035】
このため、上記図10及び図11に示す接続方法では、接続の煩雑化やコストアップを招いてしまう。
【0036】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0037】
11 丸棒線
12,22 導体
21 撚り線
22a 素線
41 下型(金型)
42 上型(金型)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本の導体を有する丸棒線と、複数本の素線を撚り合わせた導体を有する撚り線とを接続する電線の接続方法であって、
前記丸棒線の導体をプレスして板体に成形するフォーミング工程と、
前記丸棒線の板体とされた導体に前記撚り線の導体を重ね合わせて接合させる接合工程と、
を含むことを特徴とする電線の接続方法。
【請求項2】
前記接合工程では、前記丸棒線の板体とされた導体と前記撚り線の導体とを超音波接合させることを特徴とする請求項1に記載の電線の接続方法。
【請求項3】
前記フォーミング工程では、前記丸棒線の導体を断面視円弧状の板体に成形することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電線の接続方法。
【請求項4】
前記撚り線の導体とともに前記丸棒線の導体を金型でプレスし、前記金型を超音波振動させて前記丸棒線と前記撚り線の導体同士を超音波接合させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電線の接続方法。
【請求項1】
一本の導体を有する丸棒線と、複数本の素線を撚り合わせた導体を有する撚り線とを接続する電線の接続方法であって、
前記丸棒線の導体をプレスして板体に成形するフォーミング工程と、
前記丸棒線の板体とされた導体に前記撚り線の導体を重ね合わせて接合させる接合工程と、
を含むことを特徴とする電線の接続方法。
【請求項2】
前記接合工程では、前記丸棒線の板体とされた導体と前記撚り線の導体とを超音波接合させることを特徴とする請求項1に記載の電線の接続方法。
【請求項3】
前記フォーミング工程では、前記丸棒線の導体を断面視円弧状の板体に成形することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電線の接続方法。
【請求項4】
前記撚り線の導体とともに前記丸棒線の導体を金型でプレスし、前記金型を超音波振動させて前記丸棒線と前記撚り線の導体同士を超音波接合させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電線の接続方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−25997(P2013−25997A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159123(P2011−159123)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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