説明

電線・ケーブル

【課題】材料のリサイクル性に優れ、しかも、従来の架橋ポリエチレンを絶縁体に用いた電線・ケーブルと同等もしくはそれ以上の電気的、熱的および機械的特性を有する電線・ケーブルを提供する。
【解決手段】導体11外周に、密度0.910g/cm以上、融点120℃以上のポリエチレンを含み、190℃における溶融張力が50mN以上である絶縁性樹脂組成物からなる絶縁体層12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性が良好で、かつ、リサイクル性にも優れた電線・ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
架橋ポリエチレンは、電気絶縁性に優れるうえ、耐熱性も良好なことから、低圧用から高圧用に至るまで各種電線・ケーブルの絶縁体材料として広く用いられている。しかしながら、架橋ポリエチレンは、非架橋のポリエチレンのように加熱しても溶融することがないため、使用済みとなった電線・ケーブルから絶縁体を分離回収しても、材料として再利用することが難しいという問題があった。このため、この種の電線・ケーブルにおいては、導体材料の銅やアルミなどの金属は材料としてリサイクルされているものの、その他は一部燃料などに用いられる以外、産業廃棄物として処分されているのが実状である。このため、導体のみならず絶縁体も材料としてリサイクル可能なものにすることが要望されている。
【0003】
このような要望に対し、例えば、特定のポリオレフィン系熱可塑性ポリマーを非架橋で絶縁体材料として用いた電線・ケーブルが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。しかしながら、これらの電線・ケーブルは、絶縁体材料として非架橋の樹脂を用いたことによりリサイクルは容易になったものの、絶縁体の電気的特性、耐熱性、機械的特性などが、従来の架橋ポリエチレンを用いたものに比べ劣っており、架橋ポリエチレンを用いた電線・ケーブルの代替としては十分なものではなかった。
【0004】
また、一般に、6600V級以上の中乃至高圧用電力ケーブルにおいては、架橋ポリエチレンからなる絶縁体の内層および外層に半導電性樹脂材料からなる半導電体層が設けられているが、これらの内部半導電体層や外部半導電体層についても、絶縁体などから剥離して容易にリサイクルできることが望まれている。
【特許文献1】特開2003−100157号公報
【特許文献2】特開2005−268047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたもので、絶縁体などの材料としてのリサイクル性に優れ、しかも、従来の架橋ポリエチレンを絶縁体に用いた電線・ケーブルと同等もしくはそれ以上の電気的、熱的および機械的特性を有する電線・ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の電線・ケーブルは、導体外周に絶縁体層を有し、前記絶縁体層は、密度0.910g/cm以上、融点120℃以上のポリエチレンを含み、190℃における溶融張力が50mN以上である絶縁性樹脂組成物からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リサイクル性に優れ、かつ、従来の架橋ポリエチレンを絶縁体に用いた電線・ケーブルと同等もしくはそれ以上の電気的、熱的および機械的特性を有する電線・ケーブルを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
まず、本発明に使用される絶縁性樹脂組成物について説明する。
本発明に使用される絶縁性樹脂組成物は、密度が0.910g/cm以上、好ましくは0.910〜0.970g/cm、融点が120℃以上、好ましくは120〜135℃のポリエチレンを含む絶縁性樹脂組成物である。ポリエチレンは前記条件を満足するものであれば、その種類は特に限定されるものではなく、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)であってもよく、あるいは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などであってもよい。可撓性の点からは直鎖状低密度ポリエチレンの使用が好ましい。
【0010】
本発明に使用される絶縁性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、前記ポリエチレン以外のポリエチレン、例えば、密度は0.910g/cm以上であるが融点が120℃未満の直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)など、密度および融点がいずれも前記範囲に満たない超低密度ポリエチレン(VLDPE)、メタロセン触媒によりエチレンにプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィンや環状オレフィンなどを共重合させたメタロセンポリエチレンなどを配合することができる。その他、エチレン・プロピレンコポリマー(EPM)、エチレン・プロピレン・ジエンコポリマー(EPDM)などのエチレンプロピレンゴム、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などのエチレン系コポリマー、ポリプロピレン、ポリイソブチレンなども、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。特に、前記必須のポリエチレン成分として高密度ポリエチレンを使用した場合には、可撓性や耐環境応力亀裂の観点から、低密度ポリエチレンを併用することが好ましい。なお、本発明の効果を阻害しないためには、これらの併用成分と前記ポリエチレンとの混合物の120℃における加熱変形率が40%以下となるようにすることが好ましい。この加熱変形率は、JIS C 3005に準拠して、温度120℃、予熱30分、試験時間30分で試料の加熱変形試験を行って測定される。
【0011】
本発明に使用される絶縁用樹脂組成物には、さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、酸化防止剤、防錆剤、難燃剤、紫外線吸収剤、着色剤、滑剤、その他の添加剤をさらに配合することができる。酸化防止剤としては、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 商品名)などのフェノール系の他、リン系、アミン系などが使用されるが、なかでも着色性の観点からフェノール系酸化防止剤もしくはフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤の併用が好ましい。このような酸化防止剤を配合することにより耐熱寿命を向上させることができる。酸化防止剤を配合する場合、その配合量は、組成物全体の0.01〜2重量%の範囲が好ましく、配合量が0.01重量%未満では、耐熱寿命を十分に向上させることができず、逆に2重量%を超えると、過剰配合となり配合バランス上好ましくない。また、防錆剤としては、トリアゾール、ヒドラジンなどが挙げられ、その配合量としては、組成物全体の0.01〜2重量%の範囲が好ましい。配合量が0.01重量%未満では、添加による効果が十分に得られず、逆に2重量%を超えても、効果は変わらず非経済的となる。酸化防止剤も防錆剤も1種を単独で使用してもよく2種以上を混合して使用してもよい。なお、防錆剤は、絶縁組成物に配合せず、導体に直接塗布することも可能である。
【0012】
本発明に使用される絶縁用樹脂組成物は、190℃における溶融張力が50mN以上である。190℃における溶融張力が50mN未満であると、短絡時、導体温度が一時的に高温になった際、導体自重や外部応力などにより形状が変化し、ケーブル特性が損なわれる。この190℃における溶融張力は、例えば東洋精機製作所製の溶融張力測定機キャピログラフを用い、組成物温度190℃、ダイス径2mm、引取速度20mm/minの条件で測定される。
【0013】
本発明に使用される絶縁性樹脂組成物は、前述した各成分をバンバリーミキサー、タンブラー、加圧ニーダ、混練押出機、ミキシングローラなどの通常の混練機を用いて均一に混練することにより容易に製造することができる。
【0014】
次に、本発明に使用される半導電性樹脂組成物について説明する。
本発明に使用される半導電性樹脂組成物は、密度が0.910g/cm以上、好ましくは0.910〜0.945g/cm、融点が120℃以上、好ましくは120〜135℃のポリエチレンと、エチレン系コポリマーと、導電性付与剤とを含む半導電性樹脂組成物である。ポリエチレンは前記条件を満足するものであれば、その種類は特に限定されるものではなく、例えば、高密度ポリエチレンであってもよく、あるいは、直鎖状低密度ポリエチレンなどであってもよい。可撓性の点からは直鎖状低密度ポリエチレンの使用が好ましい。
【0015】
また、エチレン系コポリマーとしては、エチレン・プロピレンコポリマー、エチレン・プロピレン・ジエンコポリマーなどのエチレンプロピレンゴム、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。耐熱性および機械的特性の観点からは、これらのなかでも、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体が好ましく、特に、アクリル酸エチル含有量が10〜35重量%のエチレン・アクリル酸エチルコポリマー、酢酸ビニル含有量が10〜35重量%のエチレン・酢酸ビニルコポリマーが好ましい。なお、エチレン・アクリル酸エチル共重合体のアクリル酸エチル含有量あるいはエチレン・酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が10重量%未満では、導電性付与剤、特に導電性カーボンブラックを均一に分散させることが困難になる。また、これらのエチレン系ポリマーは、引張破断応力が6MPa以上であることが好ましい。したがって、耐熱性を向上させ、かつ、引張破断応力などの機械的特性を向上させる観点からは、エチレン系コポリマーとして、アクリル酸エチル含有量が10〜35重量%で、かつ、引張破断応力が6MPa以上のエチレン・アクリル酸エチルコポリマー、酢酸ビニル含有量が10〜35重量%で、かつ、引張破断応力が6MPa以上のエチレン・酢酸ビニルコポリマーの使用が好ましい。なお、上記引張破断応力は、JIS K 7162プラスチックの引張試験方法により測定される。また、このエチレン系コポリマーは、前記ポリエチレン、すなわち密度が0.910g/cm以上、融点が120℃以上のポリエチレンとエチレン系コポリマーとの重量比が3:97〜40:60の範囲となるように配合することが好ましい。
【0016】
さらに、導電性付与剤としては、一般に、導電性カーボンブラックが使用される。
【0017】
本発明に使用される半導電性樹脂組成物には、絶縁体層からの剥離を容易にし、電線・ケーブルの材料リサイクル性を高めるため、ポリオレフィンとビニルモノマーからなるポリマーアロイを配合することが好ましい。ポリマーアロイとしては、特にポリオレフィンとポリスチレンからなるポリマーアロイが好ましい。このようなポリマーアロイを配合する場合、その配合量は、樹脂成分全体の5〜25重量%の範囲が好ましい。配合量が樹脂成分全体の5重量%未満では、絶縁体層からの剥離性が不十分となり、逆に、25重量%を超えると絶縁体との密着不良が発生しやすくなる。また、ポリマーアロイを配合する場合、前記のポリエチレンおよびエチレン系ポリマーはそれぞれ樹脂成分全体の3〜20重量%および60〜85重量%の範囲となるように配合することが好ましい。
【0018】
本発明に使用される半導電性樹脂組成物には、樹脂成分として、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、前記ポリエチレン以外のポリエチレン、例えば、密度は0.910g/cm以上であるが融点が120℃未満の直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなど、密度および融点がいずれも前記範囲に満たない超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によりエチレンにプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィンや環状オレフィンなどを共重合させたメタロセンポリエチレンなどを配合することができる。また、ポリプロピレン、ポリイソブチレンなども、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、前述した絶縁性樹脂組成物の場合と同様の酸化防止剤、防錆剤、滑剤、その他の添加剤を配合することができる。すなわち、例えば、酸化防止剤として、アンテージクリスタル(川口化学工業社製 商品名)などのフェノール系酸化防止剤の他、リン系、アミン系などの酸化防止剤を配合することができ、これにより耐熱寿命を向上させることができる。酸化防止剤の好ましい配合量は、組成物全体の0.5〜5重量%の範囲である。また、防錆剤として、トリアゾール、ヒドラジンなどを配合することができ、その好ましい配合量は0.01〜2重量%である。
【0019】
本発明に使用される半導電性樹脂組成物は、前述した各成分をバンバリーミキサー、タンブラー、加圧ニーダ、混練押出機、ミキシングローラなどの通常の混練機を用いて均一に混合(ドライブレンド)または混練することにより容易に製造することができる。
【0020】
以下、上記絶縁性樹脂組成物、あるいは、上記絶縁性樹脂組成物および半導電性樹脂組成物を用いた本発明に係る電線・ケーブルの実施形態を図面を用いて説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る低圧用電力ケーブルを示す横断面図であり、また、図2は、本発明の他の実施形態に係る高圧用電力ケーブルを示す横断面図である。図1に示す低圧用電力ケーブル10は、銅やアルミなどからなる導体11上に、前述した絶縁性樹脂組成物からなる絶縁体層12を被覆し、さらに、その上に、塩化ビニル樹脂、難燃ポリエチレンなどの通常のシース材料からなるプラスチックシース13を被覆した構成となっている。また、図2に示す高圧用電力ケーブル20は、銅やアルミなどからなる導体11上に、前述した半導電性樹脂組成物からなる内部半導電体層14、前述した絶縁性樹脂組成物からなる絶縁体層12、および、前述した半導電性樹脂組成物からなる外部半導電体層15を順に被覆し、さらに、図示を省略した遮蔽層を介して、その上に、塩化ビニル樹脂、難燃ポリエチレンなどの通常のシース材料からなるシース13を被覆した構成となっている。
【0022】
これらの電力ケーブル10、20においては、材料のリサイクル性に優れるとともに、従来の架橋ポリエチレンを絶縁体に用いた同種の電力ケーブルと同等もしくはそれ以上の電気的、熱的および機械的特性を有している。
【実施例】
【0023】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例で用いた材料は表1に示す通りである。
【0024】
【表1】

【0025】
実施例1〜3、比較例1、2
表2に示す組成の絶縁性樹脂組成物を、汎用の押出成形機を用いて、断面積14mmの軟銅撚線導体上に押出被覆して約1.0mm厚の絶縁体層を形成し、さらに、その上に、約1.5mm厚の難燃ポリエチレンからなるシースを形成し、外径約9.4mmの低圧用電力ケーブルを製造した。
【0026】
上記各実施例および各比較例で得られた低圧用電力ケーブルについて、JIS C 3605に規定する絶縁抵抗、耐電圧および加熱変形の各試験を行い、その特性を評価した。評価はJIS C 3605に規定する基準に合格したものを「○」、不合格であったものを「×」とした。また、短絡試験としてケーブルに荷重をかけ、導体温度が230℃になるように短絡電流を流し、通電後の絶縁体の変形の有無を確認した。評価は絶縁体の変形がなかったものを「○」、変形があったものを「×」とした。これらの結果を表2下欄に示す。
【0027】
【表2】

【0028】
表2から明らかなように、実施例の電力ケーブルは、絶縁抵抗、耐電圧および加熱変形の各試験においてJIS C 3605に規定する基準に合格する特性を有しているとともに、短絡試験の結果も良好であり、十分に実用可能であることが確認された。
【0029】
実施例4〜13
実施例2で用いた絶縁性樹種組成物と、表3に示す組成の内部半導電性樹脂組成物および外部半導電性組成物を用い、断面積100mmの軟銅撚線導体上に、内部半導電性樹脂組成物、絶縁性樹脂組成物および外部半導電性組成物の順に押出被覆して、約0.7mm厚の内部半導電体層、約3.3mm厚の絶縁体層および約0.7mm厚の外部半導電体層を形成した後、その上に遮蔽用銅テープを巻き、さらにその上に約2.2mm厚の難燃ポリエチレンからなるシースを形成し、外径約26.5mmの高圧用電力ケーブルを製造した。
【0030】
上記各実施例で得られた高圧用電力ケーブルについて、JIS C 3606に規定する絶縁抵抗、耐電圧および加熱変形の各試験を行い、その特性を評価した。評価はJIS C 3606に規定する基準に余裕を持って合格したものを「◎」、同基準に合格したものを「○」とした。
【0031】
また、下記に示す方法で、外部半導電体層の常温および加熱後における剥離性を調べるとともに、内部半導電体層および外部半導電体層の形成に用いた内部半導電性樹脂組成物および外部半導電性組成物について加熱変形性および表面平滑性を評価した。
【0032】
[外部半導電体層の常温における剥離性]
引張試験機を用いて、外部半導電体層をケーブル長さ方向に幅12.7mmで剥離し、支障なく完全に剥離できた場合を「◎」、実用上問題ないものの外部半導電体層の一部が絶縁体層表面に残存した場合を「○」として評価した。
[外部半導電体層の加熱後における剥離性]
ケーブルを120℃で90分間加熱し、次いで50℃で1時間放置した後、速やかにらせん状に外部半導電体層に切込みを入れ、外部半導電体層を剥ぎ取った。この際、絶縁体層表面に外部半導電体層が残存しない場合を「◎」、実用上問題ないものの一部残存した場合を「○」として評価した。
[加熱変形性]
JIS C 3005に準拠して、温度120℃、加熱時間96時間の条件で加熱変形率を求め、加熱変形率が40%以下であったものを「○」、40%を超えたものを「×」として評価した。
[表面平滑性]
20mmφ(L/D=20)の押出機を用いて作製した幅20mm、厚さ1mmの試料テープの表面を光学顕微鏡(×10)にて観察し、表面に高さ250μmを超える突起がなかった場合を「◎」、実用上問題ないものの一部突起があった場合を「○」として評価した。
【0033】
以上の評価結果を表3下欄に示す。
【表3】

【0034】
表3から明らかなように、実施例のケーブルでは、絶縁抵抗、耐電圧および加熱変形特性をいずれも満足するとともに、外部および内部半導電体層においては、剥離性(常温、加熱後)、加熱変形および表面平滑性について、実用上問題なく、優れた特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の電線・ケーブルの一実施形態を示す横断面図である。
【図2】本発明の電線・ケーブルの他の実施形態を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10…低圧用電力ケーブル、11…導体、12…絶縁体層、13…シース、14…内部半導電体層、15…外部半導電体層、20…高圧用電力ケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体外周に絶縁体層を有し、前記絶縁体層は、密度0.910g/cm以上、融点120℃以上のポリエチレンを含み、190℃における溶融張力が50mN以上である絶縁性樹脂組成物からなることを特徴とする電線・ケーブル。
【請求項2】
前記ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレンを含むことを特徴とする請求項1記載の電線・ケーブル。
【請求項3】
前記絶縁体層の直下または直上に半導電体層を有し、前記半導電体層は、密度0.910g/cm以上、融点120℃以上のポリエチレンと、エチレン系コポリマーと、導電性付与剤とを含有する半導電性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1または2記載の電線・ケーブル。
【請求項4】
前記ポリエチレンと前記エチレン系コポリマーとの重量比が、3:97〜40:60であることを特徴とする請求項3記載の電線・ケーブル。
【請求項5】
前記エチレン系コポリマーは、エチレン・酢酸ビニルコポリマー、エチレン・アクリル酸エチルコポリマー、エチレン・アクリル酸メチルコポリマーおよびエチレン・メタクリル酸エチルコポリマーの群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3または4記載の電線・ケーブル。
【請求項6】
前記エチレン系コポリマーは、エチレン・酢酸ビニルコポリマーおよび/またはエチレン・アクリル酸エチルコポリマーであることを特徴とする請求項3または4記載の電線・ケーブル。
【請求項7】
前記エチレン系コポリマーは、酢酸ビニル含有量が10〜35重量%のエチレン・酢酸ビニルコポリマーおよび/またはアクリル酸エチル含有量が10〜35重量%のエチレン・アクリル酸エチルコポリマーであることを特徴とする請求項3または4記載の電線・ケーブル。
【請求項8】
前記半導電性樹脂組成物は、ポリオレフィンとビニルモノマーからなるポリマーアロイをさらに含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の電線・ケーブル。
【請求項9】
前記半導電性樹脂組成物の樹脂成分中における割合が、前記ポリエチレン3〜20重量%、前記エチレン系コポリマー60〜85重量%、前記ポリマーアロイ5〜25重量%であることを特徴とする請求項8記載の電線・ケーブル。
【請求項10】
前記ポリマーアロイは、ポリオレフィンとポリスチレンからなるものであることを特徴とする請求項8または9記載の電線・ケーブル。
【請求項11】
前記ポリマーアロイを構成するポリオレフィンは、エチレン系コポリマーであることを特徴とする請求項10記載の電線・ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−305640(P2008−305640A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150746(P2007−150746)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(306013120)昭和電線ケーブルシステム株式会社 (218)
【Fターム(参考)】