説明

電解水生成装置

【課題】高い除去率で浄水して純度の高いアルカリイオン水を供給できるようにした電解水生成装置を得る。
【解決手段】浄水部2にナノフィルタ21を備え、ナノフィルタ21の透過水を電解槽3の陽極室32と陰極室33とに導入して電気分解し、陰極室33でアルカリイオン水を生成するとともに、陽極室32で酸性水を生成する。これにより、飲用となるアルカリイオン水は不純物の除去率が約90パーセント以上に達して高い除去率を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気分解によりアルカリイオン水を生成するようにした電解水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電解水生成装置としては、逆浸透膜と、この逆浸透膜の濃縮水を電気分解する電解槽と、を備えており、逆浸透膜の濃縮水を電気分解して生成されるアルカリ水を逆浸透膜の透過水に混合させて、飲用に適したアルカリイオン水を供給するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−218409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の電解水生成装置にあっては、逆浸透膜による透過水の回収率は通常20〜50パーセント程度であるが、例えばその回収率が50パーセント、電解槽によるアルカリ水と酸性水との生成量をそれぞれ50パーセントであると仮定した場合、原水の溶解成分量100に対してアルカリ水の溶解成分量50、酸性水の溶解成分量50となる。また、このときの流量比は、原水を1とした場合に、逆浸透膜の透過水の流量比が0.5となるため、残りの濃縮水から得られるアルカリ水および酸性水はそれぞれ0.25となる。
【0005】
したがって、最終的に逆浸透膜の透過水に、電気分解したアルカリ水を混合したアルカリイオン水は、溶解成分量は50(流量比0.75)が残存し、その除去率は50パーセント程度となるため、最終的に得られるアルカリイオン水は純度が低いものとなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、高い除去率で浄水して純度の高いアルカリイオン水を供給できるようにした電解水生成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明の電解水生成装置にあっては、ナノフィルタを用いた浄水部と、電解隔膜で仕切られた陽極室および陰極室を有する電解槽と、を備え、前記ナノフィルタの透過水を分配して前記陽極室と前記陰極室に導入し、電気分解により陰極室でアルカリイオン水を生成させるとともに、陽極室で酸性水を生成させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電解水生成装置によれば、ナノフィルタの透過水を電解槽の陽極室と陰極室とに導入して電気分解するようになっている。この電気分解により陰極室でアルカリイオン水が生成されるとともに、陽極室で酸性水が生成される。このとき、ナノフィルタの透過水は、粒子や有機物および重金属を90パーセント以上の高い除去率で浄水されるが、カルシウムやナトリウムなどの低分子量のイオン成分の一部を残存させることができる。これにより、電解槽では電解助剤を添加することなく電気分解の促進が可能となるため、ナノフィルタによって高い除去率で浄水しつつ、陰極室で純度の高いアルカリイオン水を生成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる電解水生成装置を模式的に示す全体構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態にかかる電解水生成装置を模式的に示す全体構成図である。
【図3】第2実施形態の電解水生成装置の変形例を示す模式的な全体構成図である。
【図4】本発明の第3実施形態にかかる電解水生成装置を模式的に示す全体構成図である。
【図5】本発明の第4実施形態にかかる電解水生成装置を模式的に示す全体構成図である。
【図6】本発明の第5実施形態にかかる電解水生成装置を模式的に示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態にかかる電解水生成装置1を示した図である。
【0012】
本実施形態の電解水生成装置1は、ナノフィルタ21を用いた浄水部2と、電解隔膜31で仕切られた陽極室32および陰極室33を有する電解槽3と、を備えて概ね構成されている。
【0013】
浄水部2は、原水である水道水が導入される主通路P0を有し、この主通路P0の上流側から下流側に向かって順に、第1プレフィルタ22、加圧ポンプ23、第1活性炭フィルタ24、第2プレフィルタ25、上記ナノフィルタ21、第2活性炭フィルタ26およびマイクロフィルタ28が配置されている。
【0014】
第1プレフィルタ22は、導入される水道水に混入した大きな粒子やゴミなどを除去し、加圧ポンプ23は、そのゴミなどが除去された水を加圧(例えば、0.4MPa)して下流側に圧送し、ナノフィルタ21の逆浸透圧を作り出すようになっている。
【0015】
第1活性炭フィルタ24は、加圧ポンプ23で加圧された水から遊離残留塩素を除去し、第2プレフィルタ25は、その塩素を除去した水からさらに微粒子を除去して、ナノフィルタ21に供給する水を前処理するようになっている。
【0016】
ナノフィルタ21は、NF膜によって有機物(例えば、トリハロメタンやカビ臭および農薬など)や重金属イオン(例えば、鉛、クロム、カドミウム、水銀、砒素など)、さらにナトリウムやカルシウムなどの低分子量のイオン成分などを除去して透過させ、その透過水を第2活性炭フィルタ26に供給するようになっている。
【0017】
NF膜はRO膜よりも透過孔が大きくなっているため、そのNF膜を用いたナノフィルタ21は、粒子や有機物および重金属は90パーセント以上の高い除去率を示すのであるが、低分子量のイオン成分は透過水に約10〜30パーセント程度が残存される特性を有する。この場合、低分子イオンが残存された透過水は、約60uS/cm程度の導電率が得られる。
【0018】
また、ナノフィルタ21で生成される濃縮水は、絞り弁27を設けた排水路P1から外方に排出されるようになっている。そして、本実施形態では、ナノフィルタ21の透過水の回収率は約50パーセントで運転されており、透過水はナノフィルタ21に導入される流量の50パーセントが得られ、残りは上記濃縮水となる。
【0019】
ナノフィルタ21の透過水は、第2活性炭フィルタ26を通過して最終的に塩素分や臭い成分を除去した後、中空糸膜フィルタを内蔵するマイクロフィルタ28で濾過して電解槽3に供給される。
【0020】
電解槽3は、電解隔膜31で仕切られた陽極室32と陰極室33とが設けられ、陽極室32には陽極板34が設けられるとともに、陰極室33には陰極板35が設けられ、それら陽極板34と陰極板35とは電解隔膜31を挟んで互いに対向する位置関係で配置されている。
【0021】
そして、マイクロフィルタ28よりも下流側の主通路P0は、陽極室32に繋がる第1分岐路P2と陰極室33に繋がる第2分岐路P3とに分岐され、浄水部2を通過した浄水は、第1分岐路P2を介して陽極室32に導入されるとともに、第2分岐路P3を介して陰極室3に導入される。このとき、陽極室32と陰極室33とに導入される浄水量は所定割合で分配されるようになっており、本実施形態では、陽極室32の導入量Q1と陰極室33の導入量Q2との比を、Q1:Q2=1:4としている。
【0022】
そして、陽極室32と陰極室33にそれぞれ導入された浄水は、陽極板34および陰極板35に電圧を印加することにより電気分解され、陽極室32に導入された浄水は酸性水となって酸性水出口36から第1の吐水カラン37に供給されるとともに、陰極室33に導入された浄水はアルカリイオン水となってアルカリ水出口38から第2の吐水カラン39に供給される。したがって、第1の吐水カラン37から酸性水を取り出すことができるとともに、第2の吐水カラン39からアルカリイオン水を取り出すことができるようになっている。
【0023】
加圧ポンプ23および電解槽3の陽極板34、陰極板35は、配線H1、H2、H3を介して電源4に接続され、その電源4が制御回路41によって制御されることにより、加圧ポンプ23および電解槽3が駆動制御されるようになっている。
【0024】
かかる構成の電解水生成装置1によれば、図1に示すように、浄水部2に導入される水道水の流量比を1、不純物量を100とした場合に、ナノフィルタ21の透過水は流量比が0.5、不純物量が5となり、濃縮水の流量比は0.5、不純物量は95となる。そして、透過水が1:4に分配されて導入される電解槽3の陽極室32から流出する酸性水の流量比は0.1、不純物量は1となり、陰極室33から流出するアルカリイオン水の流量比は0.4、不純物量は4となる。
【0025】
なお、このように電解槽3で電気分解することにより酸性水およびアルカリイオン水が生成されるが、専ら飲用として用いられるのはアルカリイオン水であり、酸性水は他の特別な用途として用いられる以外は破棄されるものである。
【0026】
以上、説明してきたように、本実施形態の電解水生成装置1によれば、ナノフィルタ21の透過水の回収率を通常の50パーセントで運転した場合に、濃縮水で排出される不純物量は95となるため、透過水の不純物量は残りの5となって低減でき、さらに、その透過水を分配して電解槽3の陽極室32と陰極室33とに供給することになる。このとき、その分配率を1:4とした場合に、陰極室33で生成されるアルカリイオン水の不純物量を4とすることができる。これにより、飲用として提供されるアルカリイオン水の不純物の除去率は約90パーセント以上にも達し、高い除去率で浄水して純度の高いアルカリイオン水が得られることになる。
【0027】
また、ナノフィルタ21の透過水には低分子量のイオン成分が残存されるため、その透過水を電解槽3で電気分解する際に電解助剤を添加することなくアルカリイオン水を生成することができる。
【0028】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。図2は、本実施形態にかかる電解水生成装置を模式的に示す全体構成図である。
【0029】
本実施形態の電解水生成装置1Aは、上記第1実施形態と同様にして、ナノフィルタ21を用いた浄水部2と、電解隔膜31で仕切られた陽極室32および陰極室33を有する電解槽3と、を備えて概ね構成されている。
【0030】
ここで、本実施形態の電解水生成装置1Aが上記第1実施形態と主に異なる点は、ナノフィルタ21の透過水を分配することなくその全てを陰極室33に導入するとともに、ナノフィルタ21の排水路P1に、絞り弁27よりも上流側で分岐されて陽極室32に繋がる連通路P4を設け、この連通路P4を介してナノフィルタ21で生成される濃縮水の少なくとも一部を陽極室32に導入するようにしたことにある。
【0031】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、ナノフィルタ21の透過水の回収率は約50パーセントとなっており、そのナノフィルタ21から排出される濃縮水の流量比は0.5となっている。そして、その流量比0.5の濃縮水の一部が分岐管P4を介して陽極室32に供給されるとともに、残りの濃縮水が絞り弁27から排出されることになる。
【0032】
このとき、電解槽3内では、陽極室32に導入された濃縮水の不純物が陰極室33内に流入するのを防止するために、陽極室32の内圧p1よりも陰極室33の内圧p2が高く(p1<p2)なるように絞り弁27で連通路P4に配分される流量が制御される。本実施形態では、ナノフィルタ21から排出される濃縮水の流量比0.5のうち、分岐管P4を通過する濃縮水の流量比を0.3とし、絞り弁27を通過して排出される濃縮水の流量比を0.2としてある。
【0033】
そして、電解槽3では、陽極室32に導入された濃縮水と陰極室33に導入された透過水とを電気分解して、第1実施形態と同様に陽極室32で酸性水を生成するとともに、陰極室33でアルカリイオン水を生成し、酸性水を第1の吐水カラン37から、アルカリイオン水を第2の吐水カラン39から取り出すことができるようになっている。
【0034】
したがって、本実施形態の電解水生成装置1Aでは、図2に示すように、浄水部2に導入される水道水の流量比を1、不純物量を100とした場合に、陰極室33から流出するアルカリイオン水の流量比は0.5となり、不純物量は5となる。よって、除去率は約90パーセントを達成することができる。なお、本実施形態では、連通路P4に供給される濃縮水の流量比は0.3、不純物量は57となり、絞り弁27から排出される濃縮水の流量比は0.2、不純物量は38となる。
【0035】
以上の構成により、本実施形態の電解水生成装置1Aによれば、電解槽3の陰極室33で生成されるアルカリイオン水の不純物量は5となり、不純物の除去率は約90パーセントを達成できるため、上記第1実施形態と同様に、高い除去率で浄水できる。また、濃縮水の一部が連通路P4を介して陽極室32に導入されるため、電解水の利用効率をさらに高めることができる。
【0036】
特に、本実施形態では、ナノフィルタ21の透過水の全てを陰極室33に導入して電気分解するようにしたので、アルカリイオン水の生成流量を多くすることができる。また、濃縮水の一部を陽極室32に導入するようにしたので、排水路P1から排水される濃縮水量を低減することができる。もちろん、電解助剤の添加は不要となる。
【0037】
ところで、本実施形態では、ナノフィルタ21での透過水の回収率を50パーセントとしたが、処理する水質の硬度が高くてイオン量が多い場合は、NF膜でのスケール付着による流量低下を抑制するため、回収率を低く(例えば40パーセント)して濃縮水の生成側の流速を高めることが好ましい。また、処理水が重金属や有機物を多く含む場合には、濃縮水量を多くして不純物の除去率を高めることが好ましい。
【0038】
他方、処理する水質が軟水で比較的汚れの少ない場合は、ナノフィルタ21の透過水の回収率を高く調整するとともに、図3に示すように、濃縮水の全量を陽極室32に導入することが好ましい。
【0039】
すなわち、図3に示す電解水生成装置1Bは、第2実施形態にかかる電解水生成装置1Aの変形例であり、ナノフィルタ21の排水路P1に繋がる連通路P4を、絞り弁27の上流側ではなく下流側に繋げて、排水路P1から排水される濃縮水の全量が陽極室32に導入されるようになっている。この場合、ナノフィルタ21の透過水の回収率を60パーセントとすることで、排水路P1および連通路P4を介して陽極室32に供給される濃縮水の流量比は0.4、不純物量は94となる。
【0040】
したがって、本変形例では、第2実施形態と同様に透過水の全量が陰極室33に導入されるので、回収率が60パーセントとなっていることにより生成されるアルカリイオン水は流量比が0.6、不純物量が6となり、不純物の除去率は同様に90パーセント以上を確保でき、高い除去率で浄水できる。特に、本変形例では、濃縮水の全量が陽極室32に導入されるので、濃縮水を酸性水として他の目的に有効利用でき、または酸性水と一緒に廃棄できる。また、排出路P1から濃縮水が排出されないため衛生的となる。
【0041】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。図4は、本実施形態にかかる電解水生成装置を模式的に示す全体構成図である。
【0042】
本実施形態の電解水生成装置1Cは、上記第1および第2実施形態と同様にして、ナノフィルタ21を用いた浄水部2と、電解隔膜31で仕切られた陽極室32および陰極室33を有する電解槽3と、を備えて概ね構成されている。
【0043】
ここで、本実施形態の電解水生成装置1Cが上記第1および第2実施形態と主に異なる点は、陽極室32の酸性水出口36とナノフィルタ21の上流側との間に、前記陽極室32から取り出される酸性水を、循環ポンプ5で加圧してナノフィルタ21に還流する酸性水還流路P5を設けたことにある。
【0044】
すなわち、本実施形態では、陽極室32の酸性水出口36と主通路P0のナノフィルタ21の上流側とを酸性水還流路P5で連通し、その酸性水還流路P5の途中に循環ポンプ5を設けることにより構成してある。
【0045】
したがって、ナノフィルタ21には、主通路P0の水と酸性水還流路P5の酸性水とを合算した量が導入されるようになっており、本実施形態では陽極室32から流出する酸性水の流量比を0.4とすることにより、ナノフィルタ21に導入される合算した水の流量比は1.4となる。そして、ナノフィルタ21の透過水の回収率を上記第2実施形態と同様に約50パーセントとすることにより、排水路P1から排出される濃縮水全体の流量比は0.7となり、連通路P4の流量比は0.4、絞り弁27を通して排水される流量比は0.3となる。
【0046】
以上の構成により、本実施形態の電解水生成装置1Cによれば、ナノフィルタ21の透過水の回収率が約50パーセントであり、かつ、そのナノフィルタ21に導入される水の流量比が1.4であるため、陰極室33で生成されるアルカリイオン水の流量比は0.7となる。また、浄水部3に導入される水道水の不純物量を前記各実施形態と同様に100とした場合に、アルカリイオン水の不純物量は7となり、不純物の除去率は90パーセント以上を達成できるため、高い除去率で浄水できる。
【0047】
また、本実施形態では、それ以外にも第2実施形態と同様に電解水の利用効率を高めることができるとともに、アルカリイオン水の生成流量を多くし、かつ、濃縮水の排水量を低減できるのはもちろんのこと、陽極室32から流出される酸性水の全てがナノフィルタ21に導入されるので、第1の吐水カラン37(図2参照)を廃止して電解槽3の取水構造部を簡素化できるとともに、アルカリイオン水と間違って酸性水を誤って飲用するのを防止できる。
【0048】
なお、本実施形態では、酸性水還流路P5を設ける構造を上記第2実施形態に適用した場合を例示したが、これに限ることなく、上記第1実施形態に適用することもできる。この場合は、上記第1実施形態の効果に加えて酸性水の誤飲を防止できることになる。
【0049】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について図面を参照して説明する。図5は、本実施形態にかかる電解水生成装置を模式的に示す全体構成図である。
【0050】
本実施形態の電解水生成装置1Dは、上記第1および第2実施形態と同様にして、ナノフィルタ21を用いた浄水部2と、電解隔膜31で仕切られた陽極室32および陰極室33を有する電解槽3と、を備えて概ね構成されている。
【0051】
ここで、本実施形態の電解水生成装置1Dが上記第1および第2実施形態と主に異なる点は、ナノフィルタ21から排出される濃縮水を、電解槽3の陽極室32から取り出される酸性水に合流させたことにある。
【0052】
すなわち、本実施形態では、ナノフィルタ21の濃縮水の排水路P1と陽極室32の酸性水出口36側とを繋げる第1バイパス路P6を設け、ナノフィルタ21から絞り弁27を介して排出される濃縮水を、第1バイパス路P6を介して陽極室32から取り出される酸性水に合流させるようになっている。そして、その濃縮水を合流させた酸性水は第1の吐水カラン37から取り出されるようになっている。
【0053】
したがって、本実施形態では、上記第2実施形態(図2参照)に示したように、連通路P4を介して流量比が0.3(不純物量57)の濃縮水が陽極室32に導入されており、一方、排水路P1の絞り弁27を介して排出される流量比0.2(不純物量38)の濃縮水が、陽極室32から流出する酸性水と合流される。このため、陽極室32から取り出される酸性水の流量比は0.5、不純物量は95となる。
【0054】
以上の構成により、本実施形態の電解水生成装置1Dによれば、上記第2実施形態と同様に回収率が約50パーセントのナノフィルタ21の透過水が陰極室33に導入されることにより、その陰極室33で生成されるアルカリイオン水の流量比は0.5、不純物量は5となり、不純物の除去率は90パーセント以上を達成できるため、高い除去率で浄水できる。
【0055】
また、本実施形態では、それ以外にも上記第2実施形態と同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、絞り弁27を介して排出される濃縮水の全量が酸性水に混入されるので、その濃縮水を酸性水として他の目的に有効利用でき、または酸性水と一緒に廃棄できる。また、排出路P1から濃縮水が排出されないため衛生的となる。
【0056】
なお、本実施形態では、濃縮水を酸性水に合流させる構造を上記第2実施形態に適用した場合を例示したが、これに限ることなく、上記第1実施形態に適用することもでき、同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について図面を参照して説明する。図6は、本実施形態にかかる電解水生成装置を模式的に示す全体構成図である。
【0058】
本実施形態の電解水生成装置1Eは、上記第1および第2実施形態と同様にして、ナノフィルタ21を用いた浄水部2と、電解隔膜31で仕切られた陽極室32および陰極室33を有する電解槽3と、を備えて概ね構成されている。
【0059】
ここで、本実施形態の電解水生成装置1Eが上記第1および第2実施形態と主に異なる点は、電解槽3の陽極室32から取り出される酸性水を、ナノフィルタ21から排出される濃縮水に合流させたことにある。
【0060】
すなわち、本実施形態では、陽極室32の酸性水出口36と、ナノフィルタ21の濃縮水の排水側、つまり絞り弁27の下流側と、を繋げる第2バイパス路P7を設け、陽極室32から取り出される酸性水の全量を絞り弁27下流側の排水路P1に導入するようになっている。なお、本実施形態では、第2バイパス路P7が繋がる排水路P1の下流側に、排水側からの逆汚染を防止するために逆止弁6が設けられるようになっている。
【0061】
したがって、本実施形態では、上記第2実施形態(図2参照)に示したように、連通路P4を介して流量比が0.3(不純物量57)の濃縮水が陽極室32に導入され、その濃縮水が電気分解されて陽極室32から取り出される酸性水となっている。そして、その酸性水が、排水路P1の絞り弁27を介して排出される流量比0.2(不純物量38)の濃縮水に混合されるため、逆止弁6を介して排出される排水は、流量比が0.5、不純物量が95となる。
【0062】
以上の構成により、本実施形態の電解水生成装置1Eによれば、上記第2実施形態と同様に回収率が約50パーセントのナノフィルタ21の透過水が陰極室33に導入されることにより、その陰極室33で生成されるアルカリイオン水の流量比は0.5、不純物量は5となり、不純物の除去率は90パーセント以上を達成できるため、高い除去率で浄水できる。
【0063】
また、本実施形態では、それ以外にも上記第2実施形態と同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、陽極室32から流出される酸性水の全てが排水路P1に供給されるので、第1の吐水カラン37(図2参照)を廃止して電解槽3の取水構造部を簡素化できるとともに、アルカリイオン水と間違って酸性水を誤って飲用するのを防止できる。
【0064】
さらに、排水路P1から排水される濃縮水を、第2バイパス路P7から供給される酸性水の遊離残留塩素によって殺菌できるため、排水からの逆汚染を防止して衛生的となる。
【0065】
なお、本実施形態では、濃縮水を酸性水に合流させる構造を上記第2実施形態に適用した場合を例示したが、これに限ることなく、上記第1実施形態に適用することもでき、同様の作用効果を奏することができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。
【0067】
例えば、浄水部のプレフィルタや活性炭フィルタなどの配置数や配置部位およびその種類は任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0068】
1、1A、1B、1C、1D、1E 電解水生成装置
2 浄水部
21 ナノフィルタ
3 電解槽
31 電解隔膜
32 陽極室
33 陰極室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノフィルタを用いた浄水部と、電解隔膜で仕切られた陽極室および陰極室を有する電解槽と、を備え、
前記ナノフィルタの透過水を分配して前記陽極室と前記陰極室に導入し、電気分解により陰極室でアルカリイオン水を生成させるとともに、陽極室で酸性水を生成させることを特徴とする電解水生成装置。
【請求項2】
ナノフィルタを用いた浄水部と、電解隔膜で仕切られた陽極室および陰極室を有する電解槽と、を備え、
前記ナノフィルタの透過水を前記陰極室に導入するとともに、前記ナノフィルタの濃縮水の少なくとも一部を前記陽極室に導入し、電気分解により陰極室でアルカリイオン水を生成させるとともに、陽極室で酸性水を生成させることを特徴とする電解水生成装置。
【請求項3】
前記陽極室の酸性水出口と前記ナノフィルタの上流側との間に、前記陽極室から取り出される酸性水を加圧してナノフィルタに還流する酸性水還流路を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の電解水生成装置。
【請求項4】
前記ナノフィルタから排出される濃縮水を、前記電解槽の陽極室から取り出される酸性水に合流させたことを特徴とする請求項1または2に記載の電解水生成装置。
【請求項5】
前記電解槽の陽極室から取り出される酸性水を、前記ナノフィルタから排出される濃縮水に合流させたことを特徴とする請求項1または2に記載の電解水生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−255354(P2011−255354A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134203(P2010−134203)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】