説明

電解質,負極および電池

【課題】高容量で、優れた高温保存特性を得ることができる電解質,負極およびそれらを用いた電池を提供する。
【解決手段】負極12と正極14とがセパレータ15を介して積層されている。負極12の表面の少なくとも一部には、パラアルデヒドの還元物あるいはパラアルデヒド誘導体の還元物を含む被膜12Cが形成されている。これにより、高温環境下であっても、負極12における電解液の分解反応を抑制することができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解液を含む電解質,被膜を有する負極およびそれらを用いた電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ一体型VTR(videotape recorder)、携帯電話あるいは携帯用コンピューターなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。それに伴い、電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池の開発が活発に進められている。中でも、リチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を実現できるものとして注目されており、多くの研究がなされている。
【0003】
このリチウムイオン二次電池では、高温下で保存すると、電極において電解質が反応することにより、自己放電が生じてしまい、放電容量が低下してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムあるいはヘキサフルオロリン酸リチウムと、アルデヒドとを用いることにより、高温保存時の放電容量の低下を抑制することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平08−321311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この手段では、容量が低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、高容量で、優れた高温保存特性を得ることができる電解質,負極およびそれらを用いた電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による電解質は、化1に示したパラアルデヒドおよびその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種を含む電解液を含有するものである。
【0008】
【化1】

【0009】
本発明による第1の負極は、表面の少なくとも一部に、化2に示したパラアルデヒドの還元物またはパラアルデヒド誘導体の還元物を含む被膜を有するものである。
【0010】
【化2】

【0011】
本発明による第2の負極は、表面の少なくとも一部に、熱分解生成物として化3に示したパラアルデヒドを生じる被膜を有するものである。
【0012】
【化3】

【0013】
本発明による第1の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、電解質は、化4に示したパラアルデヒドおよびその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種を含む電解液を含有するものである。
【0014】
【化4】

【0015】
本発明による第2の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、表面の少なくとも一部に、化5に示したパラアルデヒドの還元物またはパラアルデヒド誘導体の還元物を含む被膜を有するものである。
【0016】
【化5】

【0017】
本発明による第3の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、表面の少なくとも一部に、熱分解生成物として化6に示したパラアルデヒドを生じる被膜を有するものである。
【0018】
【化6】

【発明の効果】
【0019】
本発明の電解質および第1の電池によれば、パラアルデヒドあるいはパラアルデヒド誘導体を含むようにしたので、負極の表面の少なくとも一部にパラアルデヒドの還元物あるいはパラアルデヒド誘導体の還元物を含む被膜を形成することができ、高温環境下であっても、負極における電解質の分解反応を抑制することができる。よって、高容量で、優れた高温保存特性を得ることができる。
【0020】
また、本発明の第1の負極および第2の電池によれば、負極の表面の少なくとも一部にパラアルデヒドの還元物あるいはパラアルデヒド誘導体の還元物を含む被膜を有するようにしたので、高温環境下であっても、負極における電解質の分解反応を抑制することができ、第1の電池と同様に、高容量で、優れた高温保存特性を得ることができる。
【0021】
更に、本発明の第2の負極および第3の電池によれば、熱分解生成物として、パラアルデヒドを生じる被膜を、表面の少なくとも一部に有するようにしたので、高温環境下であっても、負極における電解質の分解反応を抑制することができ、第1あるいは第2の電池と同様に、高容量で、優れた高温保存特性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、いわゆるコイン型といわれるものであり、外装カップ11に収容された負極12と、外装缶13に収容された正極14とが、電解液を含浸させたセパレータ15を介して積層されている。外装カップ11および外装缶13の周縁部は絶縁性のガスケット16を介してかしめることにより密閉されている。外装カップ11および外装缶13は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウム(Al)などの金属によりそれぞれ構成されている。
【0024】
負極12は、例えば、負極集電体12Aと、負極集電体12Aに設けられた負極活物質層12Bとを有している。負極活物質層12Bは、負極集電体12Aの両面に形成されていてもよく、片面に形成されていてもよい。負極集電体12Aは、例えば、銅(Cu),ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどにより構成されている。
【0025】
負極活物質層12Bは、例えば、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料、または金属リチウムのいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて導電剤および結着剤を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素材料,金属酸化物あるいは高分子化合物が挙げられる。炭素材料としては、難黒鉛化炭素材料あるいは黒鉛系材料などが挙げられ、より具体的には、熱分解炭素類,コークス類,黒鉛類,ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,炭素繊維あるいは活性炭などがある。このうち、コークス類にはピッチコークス,ニードルコークスあるいは石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。また、金属酸化物としては、酸化鉄,酸化ルテニウムあるいは酸化モリブテンなどが挙げられ、高分子化合物としてはポリアセチレンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
【0026】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、また、リチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
【0027】
このような金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、スズ(Sn),鉛(Pb),アルミニウム,インジウム(In),ケイ素(Si),亜鉛(Zn),アンチモン(Sb),ビスマス(Bi),ガリウム(Ga),ゲルマニウム(Ge),ヒ素(As),銀(Ag),ハフニウム(Hf),ジルコニウム(Zr)およびイットリウム(Y)が挙げられる。中でも、長周期型周期表における14族の金属元素あるいは半金属元素が好ましく、特に好ましいのはケイ素あるいはスズである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
【0028】
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素,ニッケル(Ni),銅(Cu),鉄(Fe),コバルト(Co),マンガン(Mn),亜鉛,インジウム,銀,チタン(Ti),ゲルマニウム,ビスマス(Bi),アンチモンおよびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
【0029】
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
【0030】
負極12の表面の少なくとも一部には、化7に示したパラアルデヒドの還元物またはパラアルデヒド誘導体の還元物を含む被膜12Cが形成されている。この被膜12Cは、例えば、後述するように電解液に含まれるパラアルデヒドまたはパラアルデヒド誘導体が初回充電中に還元され、形成されたものである。これにより、高温環境下であっても、負極12における電解液の分解反応を抑制することができるようになっている。パラアルデヒド誘導体としては、パラアルデヒド中の水素原子の少なくとも一部をハロゲンで置換した化合物が挙げられる。被膜12Cには、パラアルデヒドの還元物またはパラアルデヒド誘導体の還元物の1種が単独で含まれていてもよく、パラアルデヒド誘導体の還元物が複数種混合して含まれていてもよく、パラアルデヒドの還元物とパラアルデヒド誘導体の還元物とが混合して含まれていてもよい。
【0031】
【化7】

【0032】
この被膜12Cには、熱分解生成物として化7に示したパラアルデヒドを生じる成分が含まれている。このような被膜12Cを有することにより、高温環境下であっても、負極12における電解液の分解反応を抑制することができるようになっている。パラアルデヒドは、例えば、ガスクロマトグラフィー質量分析により検出することができる。
【0033】
正極14は、例えば、正極集電体14Aと、正極集電体14Aに設けられた正極活物質層14Bとを有しており、正極活物質層14Bの側が負極活物質層12Bと対向するように配置されている。正極集電体14Aは、例えば、アルミニウム,ニッケルあるいはステンレスなどにより構成されている。
【0034】
正極活物質層14Bは、例えば、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて導電剤および結着剤を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、硫化チタン(TiS2 ),硫化モリブデン(MoS2 ),セレン化ニオブ(NbSe2 )あるいは酸化バナジウム(V2 5 )などのリチウムを含有しないカルコゲン化物、またはリチウムを含有するリチウム含有化合物、またはポリアセチレンあるいはポリピロールなどの高分子化合物が挙げられる。
【0035】
中でも、リチウム含有化合物は、高電圧および高エネルギー密度を得ることができるものがあるので好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、またはリチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物が挙げられ、特にコバルト,ニッケル,マンガンおよび鉄のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧を得ることができるからである。その化学式は、例えば、Lix MIO2 あるいはLiy MIIPO4 で表される。式中、MIおよびMIIは1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
【0036】
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Lix Ni1-z Coz 2 (z<1))、あるいはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 4 )などが挙げられる。リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の具体例としては、例えばリチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-v Mnv PO4 (v<1))が挙げられる。
【0037】
セパレータ15は、負極12と正極14とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ15は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンにより構成されている。
【0038】
セパレータ15に含浸されている電解液は、例えば、溶媒と、溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
【0039】
溶媒としては、例えば、γ−ブチロラクトン,γ−バレロラクトン,δ−バレロラクトンあるいはε−カプロラクトンなどのラクトン系溶媒、炭酸エチレン,炭酸プロピレン,炭酸ブチレン,炭酸ビニレン,炭酸ジメチル,炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの炭酸エステル系溶媒、1,2−ジメトキシエタン,1−エトキシ−2−メトキシエタン,1,2−ジエトキシエタン,テトラヒドロフランあるいは2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、スルフォラン系溶媒、リン酸類、リン酸エステル溶媒、またはピロリドン類などの非水溶媒が挙げられる。溶媒には、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0040】
電解質塩は、溶媒に溶解してイオンを生ずるものであればいずれを用いてもよく、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 ),四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 ),六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 ),過塩素酸リチウム(LiClO4 ),トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 ),ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 2 ),ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(C2 5 SO2 2 ),トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルリチウム(LiC(CF3 SO2 3 ),四塩化アルミン酸リチウム(LiAlCl4 )あるいは六フッ化ケイ酸リチウム(LiSiF6 )などが挙げられる。
【0041】
この電解液は、また、化7に示したパラアルデヒドまたはその誘導体を含んでいることが好ましい。これにより、パラアルデヒドまたはその誘導体が、初回充電時に負極上で還元され、被膜12Cを形成することができるからである。パラアルデヒドまたはその誘導体は、1種を単独で用いてもよいし、誘導体を複数種混合して用いてもよいし、パラアルデヒドと誘導体とを混合して用いてもよい。
【0042】
パラアルデヒドおよびその誘導体の添加量は、電解液において、0.01質量%以上1質量%以下の範囲内であれば好ましい。添加量が少ないと、十分な被膜12Cを形成することができず、逆に多すぎると、初回充電時の容量ロスが大きくなり、放電容量が低下してしまうからである。
【0043】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0044】
まず、負極集電体12Aに負極活物質層12Bを形成することにより、負極21を作製する。負極活物質層12Bは、例えば、負極活物質と、導電剤と、結着剤とを分散媒に分散させて負極集電体12Aに塗布し、分散媒を揮発させたのち、圧縮成型することにより形成する。
【0045】
また、正極集電体14Aに正極活物質層14Bを形成することにより正極14を作製する。正極活物質層14Bは、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを分散媒に分散させて正極集電体14Aに塗布し、分散媒を揮発させたのち、圧縮成型することにより形成する。
【0046】
次いで、例えば、負極12、電解液を含浸させたセパレータ15および正極14を積層して、外装カップ11と外装缶13との中に入れ、それらをかしめる。これにより図1に示した二次電池が得られる。
【0047】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極14からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極12に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極12からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極14に吸蔵される。ここでは、電解液に化7に示したパラアルデヒドあるいはその誘導体が含まれているので、初回充電時に、パラアルデヒドあるいはその誘導体が還元されることにより、負極12の表面に被膜12Cが形成され、高温環境下であっても、負極12における電解液の分解反応が抑制される。
【0048】
このように本実施の形態によれば、電解液にパラアルデヒドあるいはその誘導体を含むようにしたので、負極12の表面の少なくとも一部にパラアルデヒドの還元物あるいはパラアルデヒド誘導体の還元物を含む被膜12Cを形成することができ、高温環境下であっても、負極12における電解質の分解反応を抑制することができる。よって、高容量で、優れた高温保存特性を得ることができる。
【0049】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、負極リード21および正極リード22が取り付けられた巻回電極体20をフィルム状の外装部材30の内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
【0050】
負極リード21および正極リード22は、外装部材30の内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。負極リード21および正極リード22は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
【0051】
外装部材30は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に張り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材30は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体20とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材30と負極リード21および正極リード22との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム31が挿入されている。密着フィルム31は、負極リード21および正極リード22に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
【0052】
なお、外装部材30は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
【0053】
図3は、図2に示した巻回電極体20のI−I線に沿った断面構造を表すものである。巻回電極体20は、負極23と正極24とをセパレータ25および電解質層26を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ27により保護されている。
【0054】
負極23は、例えば、負極集電体23Aの両面に負極活物質層23B設けられた構造を有しており、表面の少なくとも一部には、被膜23Cが形成されている。また、正極24は、例えば、正極集電体24Aの両面に正極活物質層24Bが設けられた構造を有しており、正極活物質層24Bと負極活物質層23Bとが対向するように配置されている。負極集電体23A,負極活物質層23B,被膜23C,正極集電体24A,正極活物質層24Bおよびセパレータ25の具体的な構成は、第1の実施の形態における負極集電体12A,負極活物質層12B,被膜12C,正極集電体14A,正極活物質層14Bおよびセパレータ15と同様である。
【0055】
電解質層26は、高分子化合物に電解液を保持させたいわゆるゲル状の電解質により構成されている。ゲル状の電解質は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を抑制することができるので好ましい。電解液の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0056】
高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物あるいはアクリレート系高分子化合物、またはポリフッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ化ビニリデンの重合体が挙げられ、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。特に、酸化還元安定性の観点からは、フッ化ビニリデンの重合体などのフッ素系高分子化合物を用いることが望ましい。
【0057】
高分子化合物は、また、ポリビニルアセタールおよびその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種を重合した構造を有するものも好ましく挙げられる。
【0058】
ポリビニルアセタールは、化8(1)に示したアセタール基を含む構成単位と、化8(2)に示した水酸基を含む構成単位と、化8(3)に示したアセチル基を含む構成単位とを繰り返し単位に含む化合物である。具体的には、例えば、化8(1)に示したRが水素のポリビニルホルマール、またはRがプロピル基のポリビニルブチラールが挙げられる。
【0059】
【化8】

(Rは水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
【0060】
ポリビニルアセタールにおけるアセタール基の割合は60mol%以上80mol%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内において溶媒との溶解性を向上させることができると共に、電解質の安定性をより高めることができるからである。また、ポリビニルアセタールの重量平均分子量は、10000以上500000以下の範囲内であることが好ましい。分子量が低すぎると重合反応が進行しにくく、高すぎると電解液の粘度が上昇してしまうからである。
【0061】
この高分子化合物は、ポリビニルアセタールのみ、またはその誘導体の1種のみを重合したものでも、それらの2種以上を重合したものでもよく、更に、ポリビニルアセタールおよびその誘導体以外のモノマーとの共重合体でもよい。また、架橋剤により重合したものでもよい。
【0062】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0063】
まず、負極23および正極24のそれぞれに、高分子化合物に電解液を保持させた電解質層26を形成する。そののち、負極集電体23Aの端部に負極リード21を取り付けると共に、正極集電体24Aの端部に正極リード22を取り付ける。次いで、電解質層26が形成された負極23と正極24とをセパレータ25を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ27を接着して巻回電極体20を形成する。最後に、例えば、外装部材30の間に巻回電極体20を挟み込み、外装部材30の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、負極リード21および正極リード22と外装部材30との間には密着フィルム31を挿入する。これにより、図2,3に示した二次電池が完成する。
【0064】
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして負極23および正極24を作製し、負極23および正極24に負極リード21および正極リード22をそれぞれ取り付けたのち、負極23と正極24とをセパレータ25を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ27を接着して、巻回電極体20の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材30に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材30の内部に収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、必要に応じて重合開始剤あるいは重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材30の内部に注入したのち、外装部材30の開口部を熱融着して密封する。そののち、必要に応じて熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層26を形成し、図2,3に示した二次電池を組み立てる。
【0065】
なお、巻回体を作製してから電解質用組成物を注入するのではなく、例えば、負極23および正極24の上に電解質用組成物を塗布したのちに巻回し、外装部材30の内部に封入し、更に必要に応じて加熱して電解質層26を形成するようにしてもよい。また、負極23および正極24の上に電解質用組成物を塗布し、必要に応じて加熱して電解質層26を形成したのちに巻回し、外装部材30の内部に封入するようにしてもよい。但し、外装部材30の内部に封入したのちに電解質層26を形成するようにした方が好ましい。電解質層26とセパレータ25との界面接合を十分に向上させることができ、内部抵抗の上昇を抑制することができるからである。
【0066】
また、モノマーとして、ポリビニルアセタールあるいはその誘導体を用いると、電解質層26における電解液の割合を多くすることができ、イオン伝導性を向上させることができるので好ましい。
【0067】
この二次電池は、第1の実施の形態と同様に作用し、第1の実施の形態と同様の効果を有する。
【実施例】
【0068】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0069】
(実施例1−1,1−2)
実施例1−1では、図1に示したようなコイン型の二次電池を次のようにして作製した。まず、炭酸リチウム(Li2 CO3 )0.5molと炭酸コバルト(CaCO3 )1molとを混合し、この混合物を空気中において900℃で5時間焼成して正極活物質としてのリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )粉末を合成した。次いで、このリチウムコバルト複合酸化物粉末85質量部と、導電剤として黒鉛粉末5質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して正極合剤を調製したのち、分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーを作製した。続いて、この正極合剤スラリーを厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体14Aの片面に塗布し乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層14Bを形成した。そののち、正極活物質層14Bが形成された正極集電体14Aを直径15mmの円盤状に打ち抜いて正極14を作製した。
【0070】
また、粉砕した黒鉛粉末を負極活物質として用い、この黒鉛粉末90質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して負極合剤を調製したのち、分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーを作製した。続いて、この負極合剤スラリーを厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体12Aの片面に均一に塗布し乾燥させたのち圧縮成型して負極活物質層12Bを形成した。そののち、負極活物質層12Bが形成された負極集電体12BAを直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極12を作製した。
【0071】
続いて、正極14と負極12とを電解液を含浸させた厚み30μmのポリプロピレンフィルムよりなるセパレータ15を介して積層したのち、これらをステンレスよりなる外装カップ11と外装缶13との中に入れ、それらをかしめることにより、直径20mm、厚み1.6mmのコイン型の二次電池を作製した。電解液には、炭酸エチレンと炭酸エチルメチルとを、炭酸エチレン:炭酸エチルメチル=3:7の質量比で混合した溶媒に、六フッ化リン酸リチウムを1.2mol/lとなるように溶解し、更に添加剤としてパラアルデヒドを添加したものを用いた。電解液におけるパラアルデヒドの添加量は、0.1質量%とした。
【0072】
作製した二次電池について、23℃で1mAの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで10時間行った。充電を行ったのち、電池を解体して負極12および正極14を取り出し、これらを炭酸エチルメチルで洗浄し、十分に乾燥させた。
【0073】
洗浄した負極12を用い、550℃で熱処理した際の熱分解生成物をガスクロマトグラフィー質量分析により分析した。得られたガスクロマトグラムを図4に示す。また、測定条件は以下の通りとした。
(測定条件)
装置:HP6890+5973GC/MS(Hewlett Packard 社製)
熱分解炉:PY2020D(フロンティアラボ社製)
熱分解条件:550℃
カラム:Ultra alloy−5
注入口温度:280℃
オーブン初期温度:35℃(3分保持)
オーブン最終温度:250℃(5分保持)
昇温速度:20℃/min
トランスファー温度:260℃
カラム流量:1.0ml/min
【0074】
このような条件で測定した場合には、パラアルデヒドに起因するピークは5.3秒〜5.4秒付近に現れるので、図4に示したガスクロマトグラムにおける○印を付けた微小ピーク(5.367秒)について、マススペクトルを測定した。測定したマススペクトルを図5(1)に示すと共に、図5(2)にパラアルデヒドのマススペクトルを示す。パラアルデヒドは、マススペクトルでは、分子量が45,89,117,131において、特有のピークを有している。図5(1),(2)を比較すると、各分子量におけるピーク強度が一致しており、熱分解生成物中にパラアルデヒドが存在することが確認された。
【0075】
実施例1−2では、実施例1−1の二次電池を上述したように充電したのち、解体して洗浄した負極12と正極14とを用い、実施例1−1と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。その際、電解液には、パラアルデヒドを添加しなかった。
【0076】
実施例1−1、1−2に対する比較例1−1として、電解液にパラアルデヒドを添加しなかったことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。また、比較例1−2として、パラアルデヒドに代えてアセトアルデヒドを用いたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。なお、比較例1−2の二次電池では、上述した条件で充電を行ったのち、電池を解体して負極12を取り出し、洗浄・乾燥したのち、ガスクロマトグラフィー質量分析により分析を行った結果、熱分解生成物中にパラアルデヒドが存在することが確認されなかった。
【0077】
作製した実施例1−1,1−2および比較例1−1,1−2の二次電池について、容量および高温保存特性を調べた。容量は、23℃で1mAの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで10時間行ったのち、1mAの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行い、このときの放電容量を求めた。また、高温保存特性は、引き続き、23℃で1mAの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで10時間行ったのち、80℃で10日間保存したのち、23℃で1mAの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行い、高温保存後の容量維持率、すなわち、(保存後の放電容量/保存前の放電容量)×100(%)から求めた。これらの結果を表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
表1から分かるように、パラアルデヒドを用いて負極12に被膜12Cを形成した実施例1−1,1−2によれば、パラアルデヒドを用いなかった比較例1−1よりも、高温保存後の容量維持率が向上し、また、アルデヒドを用いた比較例1−2よりも、放電容量が向上した。
【0080】
すなわち、負極12にパラアルデヒドを用いて被膜12Cを形成するようにすれば、高容量で、優れた高温保存特性を得ることができることが分かった。
【0081】
(実施例2−1,2−2)
実施例2−1では、電解液のみに代えて、実施例1−1と同様の電解液98.5質量部とポリビニルホルマール1.5質量部とを混合した電解質用組成物を用い、これをセパレータ15に含浸させたのち、ゲル状の電解質としたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。ポリビニルホルマールは、重量平均分子量を約50000とし、ホルマール基と水酸基とアセチル基とのモル比を、ホルマール基:水酸基:アセチル基=76:12:12とした。また、形成されたゲル状の電解質の一部を抽出し、重量平均分子量を測定したところ、ポリビニルホルマールの重量平均分子量よりも大きくなっており、ポリビニルホルマールが重合されたことが確認された。
【0082】
また、実施例2−2では、ポリフッ化ビニリデンよりなる層を両面に有するセパレータ15を用い、実施例1−1と同様の電解液を含浸させてゲル状の電解質を形成したことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。具体的には、正極14と負極12とをセパレータ15を介して積層したのち、セパレータ15に電解液を含浸させ、鉄板に挟み込み、75℃で1分間加熱することにより、電解液をポリフッ化ビニリデンに保持させてゲル状の電解質を形成すると共に、電極とセパレータ15とを、電解質を介して接着した。セパレータ15の厚みは20μmとし、ポリフッ化ビニリデンよりなる層の厚みは、片面あたり5μmとした。
【0083】
実施例2−1,2−2の二次電池について、実施例1−1と同様にして容量および高温保存特性を調べた。結果を表2に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
表2から分かるように、実施例1−1と同様に、ゲル状の電解質を用いた実施例2−1,2−2においても、放電容量および高温保存後の容量維持率について共に高い値が得られた。
【0086】
すなわち、ゲル状の電解質を用いても、負極12にパラアルデヒドを用いて被膜12Cを形成するようにすれば、高容量で、優れた高温保存特性を得ることができることが分かった。
【0087】
(実施例3−1〜3−4)
電解液におけるパラアルデヒドの添加量を変化させたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。具体的には、電解液におけるパラアルデヒドの添加量は、実施例3−1では1.1質量%とし、実施例3−2では0.1質量%とし、実施例3−3では0.01質量%とし、実施例3−4では0.008質量%とした。
【0088】
実施例3−1〜3−4に対する比較例3−1〜3−4として、パラアルデヒドに代えて、アセトアルデヒドを用いたことを除き、他は実施例3−1〜3−4と同様にして二次電池を作製した。電解液におけるアセトアルデヒドの添加量は、比較例3−1では1.1質量%とし、比較例3−2では0.1質量%とし、比較例3−3では0.01質量%とし、比較例3−4では0.008質量%とした。
【0089】
実施例3−1〜3−4および比較例3−1〜3−4の二次電池について、実施例1−1と同様にして容量および高温保存特性を調べた。結果を表3に示す。
【0090】
【表3】

【0091】
表3から分かるように、電解液におけるパラアルデヒドの添加量が多くなるに伴い、放電容量は低下し、一方、高温保存後の容量維持率は上昇する傾向が観られ、特に、電解液におけるパラアルデヒドの添加量を0.1質量%以上1質量%以下とした実施例1−1,3−2,3−3において、放電容量および高温保存後の容量維持率について共に高い値が得られた。一方、アルデヒドを添加した比較例では、放電容量が大きく低下した。
【0092】
すなわち、電解液におけるパラアルデヒドの含有量を、0.1質量%以上1質量%以下とするようにすれば、好ましいことが分かった。
【0093】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態および実施例においては、電解液にパラアルデヒドを添加することにより負極12,23に被膜12C,23Cを形成する場合について説明したが、電解液にパラアルデヒドを添加して被膜12C,23Cを形成するのではなく、予め負極12,23に電気化学的な方法などによりに被膜12C,23Cを形成したのちに電池を組み立てるようにしてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる電池について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、またはマグネシウム(Mg)あるいはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても、本発明を適用することができる。
【0095】
更に、上記実施の形態および実施例では、一対の正極および負極を積層した場合、あるいは一対の正極および負極を積層して巻回した場合について説明したが、正極および負極を折り畳んだり、あるいは複数の正極と負極とを積層したり、あるいは複数の正極と負極とを積層して巻回した場合などにも適用することができる。更にまた、上記実施の形態および実施例では、コイン型あるいはフィルム状の外装部材30を用いた電池について説明したが、いわゆる円筒型、角型、ボタン型などの他の形状を有する電池についても同様に適用することができる。加えて、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。
【図3】図2に示した巻回電極体のI−I線に沿った断面図である。
【図4】実施例で作製した負極のガスクロマトグラムを表す特性図である。
【図5】図4で示したガスクロマトグラムの○印を付けたピークのマススペクトルを表す特性図である。
【符号の説明】
【0097】
11…外装カップ、12,23…負極、12A,23A…負極集電体、12B,23B…負極活物質層、12C,23C…被膜、13…外装缶、14,24…正極、14A,24A…正極集電体、14B,24B…正極活物質層、15,25…セパレータ、16…ガスケット、20…巻回電極体、21…負極リード,22…正極リード、26…電解質層、27…保護テープ、30…外装部材、31…密着フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化1に示したパラアルデヒドおよびその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種を含む電解液を含有することを特徴とする電解質。
【化1】

【請求項2】
前記電解液におけるパラアルデヒドおよびその誘導体の含有量は、0.01質量%以上1質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の電解質。
【請求項3】
表面の少なくとも一部に、化2に示したパラアルデヒドの還元物またはパラアルデヒド誘導体の還元物を含む被膜を有することを特徴とする負極。
【化2】

【請求項4】
表面の少なくとも一部に、熱分解生成物として化3に示したパラアルデヒドを生じる被膜を有することを特徴とする負極。
【化3】

【請求項5】
パラアルデヒドは、ガスクロマトグラフィー質量分析により検出されることを特徴とする請求項4記載の負極。
【請求項6】
正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記電解質は、化4に示したパラアルデヒドおよびその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種を含む電解液を含有する
ことを特徴とする電池。
【化4】

【請求項7】
前記電解液におけるパラアルデヒドおよびその誘導体の含有量は、0.01質量%以上1質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項6記載の電池。
【請求項8】
正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極は、表面の少なくとも一部に、化5に示したパラアルデヒドの還元物またはパラアルデヒド誘導体の還元物を含む被膜を有する
ことを特徴とする電池。
【化5】

【請求項9】
正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極は、表面の少なくとも一部に、熱分解生成物として化6に示したパラアルデヒドを生じる被膜を有する
ことを特徴とする電池。
【化6】

【請求項10】
パラアルデヒドは、ガスクロマトグラフィー質量分析により検出されることを特徴とする請求項9記載の電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−141494(P2007−141494A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330000(P2005−330000)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】