説明

電話機ホルダ

【課題】両手を使わずに通話ができ、しかもヘルメットへの装着時に圧迫感や誤操作を防止でき、電話機の出し入れが容易に行える電話機ホルダを提供することである。
【解決手段】
収納袋13は、電話機を保持するためのホルダ本体11の正面側に上部が開口して袋状に形成され、その開口部から電話機を挿入して電話機を収納する。カバー14は、収納袋13の上部に位置するホルダ本体11を折り曲げて収納袋13の開口部を覆い、収納袋13に収納した電話機12が収納袋13から落下するのを防止する。カバー14と収納袋13とは係止部16a、16bにて係止され、ホルダ本体11の背面に設けられた装着部17は、収納袋13に収納された電話機12の受話部が耳付近に位置するように、ヘルメットのY字ベルトに係止してホルダ本体11をヘルメットに装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機をヘルメットに保持する電話機ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電力設備の変電所などの現場では、現場機器の現地操作や確認試験が行われるが、その際には携帯電話機を使用しながら対応している。その際、電話機の使用のために片手が必要となるので、現場機器の現地操作や確認試験はもう一方の片手で行うか、電話機による通話を完了した後に両手で作業することになる。電話機による通話をしながら両手で作業を行う必要があるときは、電話機にハンズフリーイヤホン・マイクを接続し、両手をフリーな状態として作業することになる。
【0003】
この場合、現場では体を動かしながら作業することが多いので、頭を左右に振ったときや、ハンズフリーイヤホン・マイクのコードに何かが引っ掛かったりしたときは、装着しているイヤホンが外れやすい。また、長時間のイヤホン装着は耳への負担と違和感とがある。また、イヤホン線の調整が適切でないときは、イヤホン線を設備機器に引っ掛けたりしてトラブルの元になる。そこで、両手を使わずに電話機を使用できることが望まれる。
【0004】
ヘルメットに送受信器保持具を装着し、その送受信器保持具で電話機を保持して、両手を使わずに送受信器の通話ができるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。これは、送受信器の長さ、幅、寸法に関わらずに使用でき、左右どちらの耳を使用しても送話部が人体の口付近に位置し、落下の恐れが無く、現場の変化や身体の動作の変化に対応可能としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3112275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のものでは、送受信器保持具がヘルメットのベルトの内側に位置するので、送受信器保持具で保持した電話機は身体に押し当てられる状態となり圧迫感がある。また、電話機の操作キーが誤って押し当たると、意図しない誤操作が行われたり、途中で電話が切れたりすることがある。さらに、別の作業者に電話機の受け渡しをすることがあるが、その際には、送受信器保持具から電話機を取り出すことが困難である。
【0007】
本発明の目的は、両手を使わずに通話ができ、しかもヘルメットへの装着時に圧迫感や誤操作を防止でき、電話機の出し入れが容易に行える電話機ホルダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係る電話機ホルダは、電話機を保持するためのホルダ本体と、前記ホルダ本体の正面側に上部が開口して袋状に形成され、その開口部から前記電話機を挿入して電話機を収納する収納袋と、前記収納袋の上部に位置する前記ホルダ本体を折り曲げて前記収納袋の開口部を覆い前記収納袋に収納した電話機が前記収納袋から落下するのを防止するカバーと、前記カバーと前記収納袋とを係止する係止部と、前記ホルダ本体の背面に設けられ前記収納袋に収納された前記電話機の受話部が耳付近に位置するようにヘルメットのY字ベルトに係止して前記ホルダ本体をヘルメットに装着する装着部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明に係る電話機ホルダは、請求項1の発明において、前記装着部は、前記ホルダ本体の背面に横方向に設けられ前記ヘルメットのY字ベルトの端部を前記ホルダ本体の背面との間に挿通させるための挿通帯体と、前記挿通帯体と交差する方向に設けられ前記挿通帯体に挿通された前記Y字ベルトの端部と前記挿通帯体とで形成される輪状部に先端部を前記挿通帯体の上部側に折り曲げて挿入し前記Y字ベルトに前記ホルダ本体を装着する装着帯体と、前記装着帯体を前記ホルダ本体の背面に係止する装着係止部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明に係る電話機ホルダは、請求項1または2の発明において、 前記カバーの外面に摘み帯体を設け、前記カバーが前記収納袋に係止されている状態で、前記摘み帯体と前記カバーの外面との間に手を差し込んで前記カバーを開操作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、ホルダ本体の背面をヘルメットに装着するので、電話機はヘルメットのベルトの外側に位置することになる。従って、ヘルメットへの装着時に電話機が身体に押し当てられることがなくなり、圧迫感や誤操作を防止でき、ホルダ本体の収納袋から容易に電話機を取り出すことができる。また、電話機を収納した収納袋の開口部をカバーで覆うので、頭や体を動かすような早い動きをしても、収納袋に収納した電話機が落下するのを防止できる。
【0012】
請求項2の発明によれば、ヘルメットのY字ベルトの端部をホルダ本体の背面と挿通帯体との間に挿通させ、Y字ベルトの端部と挿通帯体とで形成される輪状部に、装着帯体の先端部を折り曲げて挿入し、Y字ベルトにホルダ本体を装着するので、ヘルメットへの電話機ホルダの装着を確実なものとすることができる。従って、頭を左右に振ったり走ったりしても電話機ホルダが外れることはない。
【0013】
請求項3の発明よれば、カバーの外面に摘み帯体を設け、摘み帯体とカバーの外面との間に手を差し込んでカバーを開操作できるようにしているので、厚皮の革手袋や絶縁用ゴム手袋をしている状態であっても容易にカバーを開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る電話機ホルダの正面図。
【図2】本発明の実施形態に係る電話機ホルダの収納袋の開口部をカバーで覆った状態を示す正面図。
【図3】本発明の実施形態に係る電話機ホルダの背面図。
【図4】ヘルメットのY字ベルトの端部を挿通帯体とホルダ本体との間に挿通した状態を示す一部切欠斜視図。
【図5】装着帯体を輪状部から挿通帯体の上部側に折り曲げて引き出し挿通帯体を挟んで装着帯体をホルダ本体に係止した状態を示す一部切欠斜視図。
【図6】本発明の実施形態の電話機ホルダをヘルメットに装着した状態の一部切欠斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態に係る電話機ホルダの正面図であり、図1(a)は電話機を挿入していない場合の正面図、図1(b)は電話機を挿入した場合の正面図である。
【0016】
電話機を保持するためのホルダ本体11の正面側には、下部に電話機12を収納する収納袋13が設けられ、上部に収納袋13の開口部を覆うカバー14が設けられている。収納袋13は上部が開口して袋状に形成され、その開口部から電話機12が挿入される。後述するように、ホルダ本体11の背面側がヘルメットに装着されるので、電話機12は、その受話部や送話部がホルダ本体11の背面側に向くように収納袋13に挿入される。
【0017】
また、ホルダ本体11には貫通孔15が設けられている。この貫通孔15は、電話機12が収納袋13に挿入されたときに、電話機12の受話部からの音がヘルメットを被った作業員の耳元に伝搬し易くするためである。また、ホルダ本体11の背面側の生地をメッシュにしてもよい。これにより、音の伝搬が良くなり聞こえやすくなる。
【0018】
次に、カバー14は、ホルダ本体11を折り曲げて収納袋13の開口部を覆い、収納袋13に収納した電話機12が収納袋13から落下するのを防止する。また、収納袋13及びカバー14は、収納袋13とカバー14とを係止する係止部16a、16bを有し、収納袋13の係止部16aとカバー14の係止部16bとを接合して収納袋13とカバー14とを係止する。係止部16a、16bは、例えば面ファスナーで構成されている。
【0019】
図2は、収納袋13の開口部をカバー14で覆った状態を示す正面図である。カバー14の外面には、縦方向に摘み帯体25が設けられている。カバー14で収納袋13の開口部を覆った状態では、係止部16a、16bにより、カバー14が収納袋13に係止されている。
【0020】
この状態で、カバーを開くには、摘み帯体25とカバー14の外面との間に手を差し込んで、摘み帯体25を引っ張ってカバー14を開操作する。摘み導体25の長さを大きくすると、摘み帯体25とカバー14の外面との間は、比較的ゆとりのある輪状空間が形成されるので、例えば、素手ではなく、厚皮の革手袋や絶縁用ゴム手袋をしている状態であっても、その摘み帯体25とカバー14の外面との間に手を差し込むことができる。従って、厚皮の革手袋や絶縁用ゴム手袋をしている状態であっても容易にカバーを開くことができる。
【0021】
図3は本発明の実施形態に係る電話機ホルダの背面図である。ホルダ本体11の背面には、カバー14の開閉操作を行う摘み帯体25が設けられている。摘み帯体25は、ホルダ本体11を折り曲げてカバー14がホルダ本体11側に位置したときに図2に示す状態となる。
【0022】
また、ホルダ本体11の背面には、収納袋に収納された電話機の受話部が耳付近に位置するように、ホルダ本体11をヘルメットに装着する装着部17が形成されている。装着部17は、ホルダ本体11の背面に横方向に設けられた挿通帯体18と、挿通帯体と交差する方向に設けられた装着帯体19と、装着帯体19をホルダ本体11の背面に係止する装着係止部20a、20bとから構成される。
【0023】
装着係止部20aは挿通帯体18の上部のホルダ本体11の背面に設けられ、装着係止部20bは装着帯体19に設けられている。後述するように、装着帯体19の装着係止部20bはホルダ本体11の背面の装着係止部20aに接合して、装着帯体19によりヘルメットのY字ベルトの端部を把持し挿通帯体18に係止して、ホルダ本体11をヘルメットに装着することになる。
【0024】
挿通帯体18は、ホルダ本体11の背面に横方向に設けられた帯体であり、ヘルメットのY字ベルトの端部は、挿通帯体18とホルダ本体11との間に挿通される。
【0025】
図4は、ヘルメットのY字ベルトの端部を挿通帯体18とホルダ本体11との間に挿通した状態を示す一部切欠斜視図である。図4に示すように、ヘルメット21のY字ベルト22の端部にはバックル23が設けられ、ヘルメット21のY字ベルト22の端部(バックル23)を挿通帯体18とホルダ本体11との間に挿通させる。そうすると、挿通帯体18とY字ベルト22の端部とで輪状部24が形成される。この輪状部24に、Y字ベルト22の端部(バックル23)の背面に位置する装着帯体19の先端部を挿入する。そして、輪状部24から装着帯体19を挿通帯体18の上部側に折り曲げて引き出し、挿通帯体18を挟んで装着係止部20a、20bで装着帯体19をホルダ本体11の背面に係止する。
【0026】
図5は、装着帯体19を輪状部24から挿通帯体18の上部側に折り曲げて引き出し、挿通帯体18を挟んで装着帯体19をホルダ本体11に係止した状態を示す一部切欠斜視図である。
【0027】
図5に示すように、輪状部24から装着帯体19を挿通帯体18の上部側に折り曲げて引き出し、挿通帯体18を挟んで装着帯体19をホルダ本体11の背面に係止するので、ヘルメットのY字ベルト22の端部は装着帯体19により挿通帯体18に係止される。つまり、ホルダ本体11は確実にヘルメットに装着できることになる。
【0028】
このように、ホルダ本体11の背面をヘルメット21のY字ベルト22に装着するので、電話機12を収納する収納袋13はヘルメット21のベルトの外側に位置することになる。
【0029】
図6は本発明の実施形態の電話機ホルダをヘルメット21に装着した状態の一部切欠斜視図である。図6に示すように、電話機12を収納する収納袋13はヘルメット21のベルトの外側に位置している。従って、ヘルメット21への装着時に電話機12が身体に押し当てられることがなくなり、圧迫感や誤操作を防止できる。
【0030】
また、電話機12を収納した収納袋13の開口部をカバー14で覆っているので、頭や体を動かすような早い動きをしても、収納袋13に収納した電話機12が落下することはない。また、カバー14を開くと収納袋13から容易に電話機12を取り出すことができるので、別の作業者に容易に電話機12の受け渡しをすることができる。さらには、耳の防寒も兼ねることができる。
【符号の説明】
【0031】
11…ホルダ本体、12…電話機、13…収納袋、14…カバー、15…貫通孔、16…係止部、17…装着部、18…挿通帯体、19…装着導体、20…装着係止部、21…ヘルメット、22…Y字ベルト、23…バックル、24…輪状部、25…摘み帯体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機を保持するためのホルダ本体と、
前記ホルダ本体の正面側に上部が開口して袋状に形成され、その開口部から前記電話機を挿入して電話機を収納する収納袋と、
前記収納袋の上部に位置する前記ホルダ本体を折り曲げて前記収納袋の開口部を覆い前記収納袋に収納した電話機が前記収納袋から落下するのを防止するカバーと、
前記カバーと前記収納袋とを係止する係止部と、
前記ホルダ本体の背面に設けられ前記収納袋に収納された前記電話機の受話部が耳付近に位置するようにヘルメットのY字ベルトに係止して前記ホルダ本体をヘルメットに装着する装着部と、
を備えたことを特徴とする電話機ホルダ。
【請求項2】
前記装着部は、前記ホルダ本体の背面に横方向に設けられ前記ヘルメットのY字ベルトの端部を前記ホルダ本体の背面との間に挿通させるための挿通帯体と、
前記挿通帯体と交差する方向に設けられ前記挿通帯体に挿通された前記Y字ベルトの端部と前記挿通帯体とで形成される輪状部に先端部を前記挿通帯体の上部側に折り曲げて挿入し前記Y字ベルトに前記ホルダ本体を装着する装着帯体と、
前記装着帯体を前記ホルダ本体の背面に係止する装着係止部と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の電話機ホルダ。
【請求項3】
前記カバーの外面に摘み帯体を設け、前記カバーが前記収納袋に係止されている状態で、前記摘み帯体と前記カバーの外面との間に手を差し込んで前記カバーを開操作することを特徴とする請求項1または2記載の電話機ホルダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate