説明

電話機能を兼用したマウス装置

【課題】 誤操作の防止を図る。
【解決手段】 第1の筐体9と第2の筐体10がヒンジ部11を介して回動可能に連結されると共にマイクロフォン21とスピーカー12、17を有し通話手段としての使用が可能な電話機能を兼用したマウス装置5において、第1の筐体は第2の筐体に対して一方の回動端である開放位置と他方の回動端である折畳位置との間で回動され、第2の筐体に移動方向及び移動速度を検出するためのボール又は受発光器が配置され、第1の筐体の第2の筐体に対する回動角度が折畳位置における回動角度と所定の回動角度との間の範囲にあるときにマウスとしての使用が可能なマウスモードが設定され、第1の筐体の第2の筐体に対する回動角度が開放位置における回動角度と上記所定の回動角度との間の範囲にあるときに電話としての使用が可能な電話モードが設定され、第2の筐体の側面部に、少なくともマウスモードにおいて把持したときに指が宛われる把持凹部10b、10bを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電話機能を兼用したマウス装置についての技術分野に関する。詳しくは、ヒンジ部を介して第1の筐体に回動可能に連結された第2の筐体に把持凹部を形成し、誤操作の防止を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理機器には、例えば、複数の操作キーが設けられたキーボードと表示画面を有するディスプレイと駆動回路や制御回路等の各種の回路を内部に有する機器本体と入力装置として機能するマウス装置とを備えたパーソナルコンピューターがある。
【0003】
一方、近年、インターネット等のデーター通信ネットワークやコンピューターの発達に伴い、従来からの交換機を介して音声通信(通話)を行う電話システムに代えて、通信ネットワークを介して特定の相手とリアルタイムに通話を行う通話サービスが急速に普及しつつある。
【0004】
このような通信ネットワークを介して通話を行う手段として、IP(Internet Protocol)電話と称されるものがある。
【0005】
IP電話にあっては、音声が、例えば、マイクロフォン等の所定の音声デバイスによってアナログ信号に変換され、続いてデジタル信号に変換されて通信ネットワークを介して送信される。送信されたデジタル信号は相手先において受信されてアナログ信号に変換され、アンプによって増幅されてスピーカー等の所定の音声デバイスによって音声として出力される。
【0006】
このようなIP電話は、送信手段と受信手段を備えることにより、上記したパーソナルコンピューターによって利用することが可能である。
【0007】
パーソナルコンピューターにおいてIP電話を用いるために、電話とマウスを結合した機器がある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2004−147272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1に記載された従来の機器にあっては、電話として使用する際にはスピーカーを有する第1の筐体とマイクロフォンを有する第2の筐体とを結合し、マウスとして使用する際には第1の筐体と第2の筐体を分離しなければならず、使用時に着脱の必要があるため手間がかかり使い勝手が悪いという問題がある。
【0010】
そこで、折り畳み式の携帯電話と同様に、第1の筐体と第2の筐体を回動可能に連結し、例えば、回動角度に応じて電話とマウスを使い分けることが考慮される。
【0011】
このような使い分けとして、例えば、折畳時にはマウスとして使用し、回動して開いた状態で電話として使用することが考慮されるが、マウスとしての使用時に、意図せず第1の筐体が第2の筐体に対して開く方向へ回動されてしまった場合に、電話としての使用が可能な電話モードが設定され誤操作となってしまうおそれがある。
【0012】
そこで、本発明電話機能を兼用したマウス装置は、上記した問題点を克服し、誤操作の防止を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明電話機能を兼用したマウス装置は、上記した課題を解決するために、第1の筐体は第2の筐体に対して一方の回動端である開放位置と他方の回動端である折畳位置との間で回動され、第2の筐体に移動方向及び移動速度を検出するためのボール又は受発光器が配置され、第1の筐体の第2の筐体に対する回動角度が折畳位置における回動角度と所定の回動角度との間の範囲にあるときにマウスとしての使用が可能なマウスモードが設定され、第1の筐体の第2の筐体に対する回動角度が開放位置における回動角度と上記所定の回動角度との間の範囲にあるときに電話としての使用が可能な電話モードが設定され、第2の筐体の側面部に、少なくともマウスモードにおいて把持したときに指が宛われる把持凹部を形成したものである。
【0014】
従って、本発明電話機能を兼用したマウス装置は、マウスとしての使用時に把持凹部に指が宛われ易い。
【発明の効果】
【0015】
本発明電話機能を兼用したマウス装置は、第1の筐体と第2の筐体がヒンジ部を介して回動可能に連結されると共にマイクロフォンとスピーカーを有し通話手段としての使用が可能な電話機能を兼用したマウス装置であって、第1の筐体は第2の筐体に対して一方の回動端である開放位置と他方の回動端である折畳位置との間で回動され、第2の筐体に移動方向及び移動速度を検出するためのボール又は受発光器が配置され、第1の筐体の第2の筐体に対する回動角度が折畳位置における回動角度と所定の回動角度との間の範囲にあるときにマウスとしての使用が可能なマウスモードが設定され、第1の筐体の第2の筐体に対する回動角度が開放位置における回動角度と上記所定の回動角度との間の範囲にあるときに電話としての使用が可能な電話モードが設定され、第2の筐体の側面部に、少なくともマウスモードにおいて把持したときに指が宛われる把持凹部を形成したことを特徴とする。
【0016】
従って、マウスとしての使用時に、第1の筐体の第2の筐体に対する誤った回動を防止して誤操作による電話モードの設定を防止することができる。
【0017】
請求項2に記載した発明にあっては、上記第1の筐体の折畳位置において第2の筐体と対向する面に第2の筐体側に開口する逃げ凹部を形成し、上記第2の筐体に、折畳位置において第1の筐体の上記逃げ凹部に挿入される配置用突部を設け、該配置用突部の内部に回路基板を配置したので、回路基板の十分な配置スペースを確保した上でマウス装置の全体の厚みを最小限に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明電話機能を兼用したマウス装置を添付図面に従って説明する。
【0019】
先ず、マウス装置が備えられる情報処理機器(パーソナルコンピューター)について説明する。
【0020】
情報処理機器(パーソナルコンピューター)1は、図1に示すように、ディスプレイ2と内部に駆動回路や制御回路等の各種の回路を有する機器本体3と複数の操作キーを有するキーボード4と電話機能を有するマウス装置5とを備えている。
【0021】
機器本体3にはディスプレイ装置2とキーボード4がそれぞれ接続ケーブル6、7によって接続されている。
【0022】
マウス装置5はマウスとしての使用が可能なマウスモードと電話としての使用が可能な電話モードとを切り替えることができる。
【0023】
マウス装置5は機器本体3にカールコード8によって接続されている。カールコード8は両端部を除いた部分が渦巻き状に形成され、伸縮可能とされている。従って、マウス装置5の機器本体3に対する大きな移動量を確保することができる。また、カールコード8は、一部を除き渦巻き状に形成されているため、小さなスペースに配置することができる。
【0024】
尚、マウス装置5は機器本体3とワイヤレス接続されていてもよい。ワイヤレス接続の場合には、例えば、マウス装置5がマウスとして使用されたときのマウス装置5に対する操作に応じた信号やマウス装置5が電話として使用されたときの送受信信号が機器本体3の図示しない受信部で受信可能とされる。この場合にはカールコード8を必要としない。
【0025】
マウス装置5は第1の筐体9と第2の筐体10がヒンジ部11を介して回動可能に連結され、折り畳み可能とされている(図2乃至図4参照)。
【0026】
マウス装置5は、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度が所定の角度未満の場合には、マウスとして使用することができ、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度が所定の角度以上の場合には、電話として使用することができる。第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度が所定の角度以上とされた場合には、電話としての使用が可能な電話モードが設定されて電話として使用するためのアプリケーションが自動的に起動され、その表示画面がディスプレイ2に表示される。
【0027】
第1の筐体9は第2の筐体10に対して折畳位置(図2参照)と開放位置(図4参照)との間で回動される。折畳位置は第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度が0°の状態であり、開放位置は第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度が、例えば、150°の状態である。
【0028】
第1の筐体9は扁平な略矩形状に形成され、第2の筐体10との連結方向に長くされている。第1の筐体9の折畳位置において第2の筐体10に対向する面、即ち、内面9aには、第1のスピーカー12が配置されている(図4参照)。第1のスピーカー12は内面9aにおけるヒンジ部11の反対側の端部に配置されている。
【0029】
第1の筐体9には第1のスピーカー12が配置されていない部分に、逃げ凹部13が形成されている。逃げ凹部13は、折畳位置において第2の筐体10側に開口されている。第1の筐体9のうち、逃げ凹部13が形成されていない部分は基板配置部14として設けられ、該基板配置部14の厚みは逃げ凹部13の厚みより厚くされている。
【0030】
第1の筐体9の先端部には発光部15が配置され(図2及び図3参照)、該発光部15は光源として、例えば、発光ダイオードを有している。発光部15は、例えば、マウス装置5がマウスとして使用されているときに点灯し、マウス装置5が電話として使用されているときに消灯し、着信時に点滅する。
【0031】
第1の筐体9の外面9bには、発光部15の近傍の位置に回転操作が可能なホイール16が配置されている。ホイール16は、マウス装置5がマウスとして使用されているときに回転操作によってディスプレイ2に表示される表示画面のスクロール機能を発揮し、マウス装置5が電話として使用されているときに回転操作によって音量の調節機能を発揮する。
【0032】
従って、マウス装置5にスクロール機能と音量の調節機能を行うための操作手段を各別に設ける必要がないため、マウス装置5の部品点数の削減及び使い勝手の向上を図ることができる。
【0033】
第1の筐体9の外面9bには、ヒンジ部11側の端部に第2のスピーカー17が配置されている(図2参照)。第2のスピーカー17はヒンジ部11に寄った位置に配置されている。第2のスピーカー17が配置された位置は、使用者がマウス装置5をマウスとして使用するときに把持した手で覆われ難い位置である。従って、後述するように折畳位置において第2のスピーカー17から着信音が出力されるときに、掌で第2のスピーカー17が覆われているという不都合の発生を防止することができ、着信が行われたことを耳によって確実に判断することができる。
【0034】
第1の筐体9の外面9bには短手方向(左右方向)における中央部を挟んで互いに反対側にそれぞれ左釦18Lと右釦18Rが設けられている。
【0035】
第1の筐体9の基板配置部14の内部には制御回路基板19が配置されている(図4参照)。制御回路基板19は、第1のスピーカー12及び第2のスピーカー17に関する制御や左釦18L及び右釦18Rに関する制御等を行う回路を備えている。
【0036】
第2の筐体10は第1の筐体9と略同じ大きさの扁平な略矩形状に形成され、第1の筐体9との連結方向に長くされている(図2乃至図4参照)。第2の筐体10はマウス装置5がマウスとして使用されるとき及び電話として後述するハンズフリー状態で使用されるときに机上等に載置される部分である。
【0037】
折畳位置において第2の筐体10の第1の筐体9に対向する面、即ち、内面10aには、マイクロフォン20が配置されている(図3及び図4参照)。マイクロフォン20は内面10aにおけるヒンジ部11の反対側の端部に配置されている。
【0038】
第2の筐体10のうちマイクロフォン20が配置されていない部分は、配置用突部21として設けられている。第2の筐体10のうち配置用突部21以外の部分は薄肉部22として設けられ、配置用突部21の厚みは薄肉部22の厚みより厚くされている。
【0039】
折畳位置においては、第2の筐体10の配置用突部21が第1の筐体9の逃げ凹部13に挿入された状態で位置され、第2の筐体10の薄肉部22と第1の筐体9の基板配置部14が重なった状態で位置される。
【0040】
第2の筐体10の配置用突部21の内部には回路基板23が配置されている(図4及び図5参照)。回路基板23は、マイクロフォン20に関する制御や後述する検出スイッチに関する制御等を行う回路を備えている。
【0041】
上記のように、第1の筐体9及び第2の筐体10の必要な部分のみを突出させて基板配置部14及び配置用突部21として設けることにより、制御回路基板19及び回路基板23の十分な配置スペースを確保した上でマウス装置5の全体の厚みを最小限に形成することができる。
【0042】
また、折畳位置において第1の筐体9の逃げ凹部13に第2の筐体10の配置用突部21を挿入することにより、折畳位置における第1の筐体9の第2の筐体10に対する位置ずれ、特に、左右方向における位置ずれを防止することができる。
【0043】
第2の筐体10の内部には、マウスとして使用されたときのマウス装置5の移動方向及び移動速度を検出するための図示しないボール又は受発光器が配置されている。
【0044】
第2の筐体10の左右両側面部には、それぞれマウス装置5を把持したときに指が宛われる把持凹部10b、10bが形成されている(図5及び図6参照)。把持凹部10b、10bは第2の筐体10の左右両側面部の上端部において第2の筐体10の長手方向に延びるように形成され、上方へ行くに従って外方へ変位する緩やかな曲面状に形成されている。
【0045】
把持凹部10b、10bは、主に、マウス装置5がマウスとして使用されるときに指100、100に把持される部分である(図6参照)。使用者がマウス装置5をマウスとして使用しているときにマウス装置5を持ち上げたとしても、把持凹部10b、10bが把手として機能するため、第1の筐体9が第2の筐体10に対して開く方向へ回動され電話モードが設定されることがない。
【0046】
従って、マウス装置5のマウスとしての使用時に、第1の筐体9の第2の筐体10に対する誤った回動を防止して誤操作による電話モードの設定を防止することができ、誤操作によるディスプレイ2への電話の使用に関するアプリケーションの表示という不具合の発生を回避することができる。
【0047】
第1の筐体9は第2の筐体10に対する回動角度が小さい角度、例えば、5°未満の位置にある場合には、図示しない付勢バネによって第2の筐体10に近付く側へ付勢される。逆に、第1の筐体9が第2の筐体10に対して回動角度が、例えば、5°以上の位置にある場合には、図示しない付勢バネによって第2の筐体10から遠去かる側へ付勢される。
【0048】
ヒンジ部11の軸方向における一端部には開放釦24が設けられている(図2乃至図4参照)。折畳位置において開放釦24を押圧操作すると、第1の筐体9が第2の筐体10に対して、例えば、回動角度50°の位置まで回動される(図3参照)。
【0049】
第2の筐体10の内部には、開閉検出機構25と角度検出機構26が設けられている(図7参照)。
【0050】
開閉検出機構25は回転カム27と操作軸28と支持板29とバネ部材30と開閉検出スイッチ31とを備えている。
【0051】
回転カム27は円板部27aと該円板部27aの外周面の一部から放射方向へ突出されたカム突部27bとから成り、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動動作に伴って同じ方向へ回転される。
【0052】
操作軸28はカム摺接部28aと支持軸部28bとから成り、カム摺接部28aの外径が支持軸部28bの外径より大きくされている。カム摺接部28aの軸方向における一端面は回転カム27の外周面と摺接される。
【0053】
支持板29には挿通孔29aが形成され、該挿通孔29aに操作軸28の支持軸部28bが挿通されている。
【0054】
バネ部材30は、例えば、圧縮コイルバネであり、操作軸28の支持軸部28bに支持され、カム摺接部28aの軸方向における他端面と支持板29との間で縮設されている。
【0055】
開閉検出スイッチ31は本体31aと該本体31aに対して移動される検出軸31bとを有している。開閉検出スイッチ31は操作軸28を挟んで回転カム27の反対側の位置に配置されている。
【0056】
開閉検出機構25において回転カム27が回転されると、該回転カム27に対するカム摺接部28aの接触位置に応じて操作軸28が軸方向へ移動される。
【0057】
操作軸28のカム摺接部28aが回転カム27のカム突部27bに接触されると、操作軸28がバネ部材30の付勢力に抗して開閉検出スイッチ31に近付く方向へ移動され、支持軸部28bによって開閉検出スイッチ31の検出軸31bが押圧操作され、開閉検出スイッチ31がON状態とされる。一方、操作軸28のカム摺接部28aが回転カム27の円板部27aに接触されると、操作軸28がバネ部材30の付勢力によって開閉検出スイッチ31から遠去かる方向へ移動され、支持軸部28bによる開閉検出スイッチ31の検出軸31bに対する押圧操作が解除され、開閉検出スイッチ31がOFF状態とされる。
【0058】
開閉検出機構25においては、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度が、例えば、0°乃至5°までの範囲で開閉検出スイッチ31がOFF状態とされ、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度が、例えば、5°乃至55°までの範囲で開閉検出スイッチ31がON状態とされ、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度が、例えば、55°乃至150°までの範囲で開閉検出スイッチ31がOFF状態とされる。
【0059】
角度検出機構26はカム板32とカムフォロア軸33と支持板34とバネ35と角度検出スイッチ36とを備えている。
【0060】
カム板32は円板部32aと該円板部32aの外周部の一部に形成されたカム凹部32bとから成り、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動動作に伴って同じ方向へ回転される。
【0061】
カムフォロア軸33はカム摺接部33aと支持軸部33bとから成り、カム摺接部33aの外径が支持軸部33bの外径より大きくされている。カム摺接部33aの軸方向における一端面はカム板32の外周面と摺接される。
【0062】
支持板34には挿通孔34aが形成され、該挿通孔34aにカムフォロア軸33の支持軸部33bが挿通されている。
【0063】
バネ35は、例えば、圧縮コイルバネであり、カムフォロア軸33の支持軸部33bに支持され、カム摺接部33aの軸方向における他端面と支持板34との間で縮設されている。
【0064】
角度検出スイッチ36は本体36aと該本体36aに対して移動される検出軸36bとを有している。角度検出スイッチ36はカムフォロア軸33を挟んでカム板32の反対側の位置に配置されている。
【0065】
角度検出機構26においてカム板32が回転されると、該カム板32に対するカム摺接部33aの接触位置に応じてカムフォロア軸33が軸方向へ移動される。
【0066】
カムフォロア軸33のカム摺接部33aがカム板32の円板部32aの外周面に接触されると、カムフォロア軸33がバネ35の付勢力に抗して角度検出スイッチ36に近付く方向へ移動され、支持軸部33bによって角度検出スイッチ36の検出軸36bが押圧操作され、角度検出スイッチ36がON状態とされる。一方、カムフォロア軸33のカム摺接部33aがカム板32のカム凹部32bに接触されると、カムフォロア軸33がバネ35の付勢力によって角度検出スイッチ36から遠去かる方向へ移動され、支持軸部33bによる角度検出スイッチ36の検出軸36bに対する押圧操作が解除され、角度検出スイッチ36がOFF状態とされる。
【0067】
角度検出機構26においては、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度が、例えば、0°乃至45°までの範囲で角度検出スイッチ36がOFF状態とされ、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度が、例えば、45°乃至150°までの範囲で角度検出スイッチ36がON状態とされる。
【0068】
以下に、マウス装置5の開閉時、即ち、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動時における動作について説明する(図7乃至図12参照)。図12は各部の動作状態を示すチャート図である。
【0069】
折畳位置(回動角度0°)においては、開閉検出スイッチ31及び角度検出スイッチ36ともOFF状態であり(図7及び図12参照)、マウス装置5のモードはマウスモードとされている(図12参照)。従って、マイクロフォン20、第1のスピーカー12、第2のスピーカー17がOFF状態(使用不能状態)とされている。
【0070】
折畳位置において着信されると、第2のスピーカー17がON状態に切り替わり、着信音が出力される(図12参照)。このとき、上記したように、第1の筐体9に設けられた発光部15が点滅する。着信音は第1の筐体9が回動され所定の回動角度、例えば、回動角度45°となるまで、例えば、第2のスピーカー17から出力される。
【0071】
折畳位置から第1の筐体9が開放位置へ向けて回動されると、回動角度5°において、開閉検出スイッチ31がON状態とされる(図8及び図12参照)。
【0072】
第1の筐体9がさらに開放位置へ向けて回動されると、回動角度45°において、角度検出スイッチ36がON状態とされる(図9及び図12参照)。従って、開閉検出スイッチ31及び角度検出スイッチ36ともON状態となり、マウス装置5のモードがマウスモードから電話モードに切り替わる(図12参照)。同時に、マイクロフォン20がON状態とされ音声の入力が可能とされる。このとき、着信があったときには、上記したように、既に第2のスピーカー17がON状態とされ音声の出力が可能とされているが、着信がなかったときには第2のスピーカー17がOFF状態からON状態に切り替わり、音声の出力が可能とされる。従って、使用者は、例えば、マウス装置5を把持することなく所謂ハンズフリーの状態で机上等に載置したままマウス装置5を電話として使用することができる。
【0073】
尚、マウス装置5にあっては、上記したように、ヒンジ部11の一端部に設けられた開放釦24を押圧操作することにより、第1の筐体9が第2の筐体10に対して回動角度50°の位置まで回動される(図3参照)。従って、使用者は、回動角度50°の状態において、所謂ハンズフリーの状態でマウス装置5を電話として使用することができる。
【0074】
さらに第1の筐体9が開放位置へ向けて回動されると、回動角度55°において、開閉検出スイッチ31がOFF状態とされる(図10及び図12参照)。尚、回動角度50°の状態から開放位置へ向けての第1の筐体9の回動は、手動により行う。
【0075】
開閉検出スイッチ31がOFF状態とされると、第1のスピーカー12がON状態とされると共に第2のスピーカー17がOFF状態とされ、音声の出力先が第2のスピーカー17から第1のスピーカー12に切り替わる。
【0076】
さらに第1の筐体9が開放位置へ向けて回動されると、回動角度150°において開放位置に至る(図11参照)。このとき音声の入力先がマイクロフォン20とされ、音声の出力先が第1のスピーカー12とされており(図12参照)、使用者は、例えば、マウス装置5を把持して所謂折り畳み式の携帯電話と同様の状態でマウス装置5を電話として使用することができる。
【0077】
一方、第1の筐体9が開放位置(回動角度150°)から折畳位置へ向けて回動されると、回動角度55°において、開閉検出スイッチ31がON状態とされる(図12参照)。尚、開放位置から折畳位置へ向けての第1の筐体9の回動は、全て手動により行う。
【0078】
開閉検出スイッチ31がON状態とされると、第1のスピーカー12がOFF状態とされると共に第2のスピーカー17がON状態とされ、音声の出力先が第1のスピーカー12から第2のスピーカー17に切り替わる。マウス装置5は図示しない機構により、一旦、回動角度50°の状態(図3参照)に保持される。
【0079】
第1の筐体9がさらに折畳位置へ向けて回動されると、回動角度45°において、角度検出スイッチ36がOFF状態とされる(図12参照)。このとき、マイクロフォン20がOFF状態とされ音声の入力が不能とされ、第2のスピーカー17がOFF状態とされ音声の出力も不能とされる。
【0080】
さらに第1の筐体9が折畳位置へ向けて回動されると、回動角度5°において、開閉検出スイッチ31がOFF状態とされる(図12参照)。従って、開閉検出スイッチ31及び角度検出スイッチ36ともOFF状態となり、マウス装置5のモードが電話モードからマウスモードに切り替わる。従って、使用者はマウス装置5をマウスとして使用することができる。
【0081】
尚、上記には、第1の筐体9が開放位置から折畳位置へ向けて回動されたときに、回動角度45°においてマイクロフォン20及び第2のスピーカー17がOFF状態とされる例を示したが、例えば、回動角度5°まで回動されマウス装置5のモードが電話モードからマウスモードに切り替わるときに、同時に、マイクロフォン20及び第2のスピーカー17がOFF状態とされるようにすることも可能である。
【0082】
さらに第1の筐体9が折畳位置へ向けて回動されると、回動角度0°において折畳位置に至る。
【0083】
尚、マウス装置5にあっては、マウスモードにおいてのみマウス装置5の移動方向及び移動速度を検出するためのボール又は受発光器の駆動状態がON状態とされ、マウス装置5のマウスとしての使用が可能とされる。
【0084】
上記したように、マウス装置5にあっては、第1の筐体9が第2の筐体10に対して回動されたときに、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度に応じてマウスモードと電話モードとの切替が行われる。
【0085】
従って、従来の機器のように、マウスと電話の使用の切替を行う際に第1の筐体と第2の筐体を着脱する必要がなく、簡単な操作によりモードの切替を行うことができ、使い勝手の向上を図ることができる。
【0086】
また、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度に応じて音声の出力先が第1のスピーカー12と第2のスピーカー17との間で切り替わるため、マウス装置5の使用態様(ハンズフリーの状態での使用と携帯電話と同様の把持した状態での使用)に即してマウス装置5を電話として使用することができる。
【0087】
さらに、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度に応じてマイクロフォン20の使用状態が切り替わるため、マウス装置5に関してマウス及び電話としての良好な機能性を確保することができる。
【0088】
尚、マウス装置5にあっては、第2のスピーカー17からの音声の最大出力が第1のスピーカー12からの音声の最大出力より大きく設定されている。マウス装置5の電話としての使用時には、一般に、音声の出力先が第2のスピーカー17に設定されているときには所謂ハンズフリーの状態でマウス装置5から耳を遠ざけて音声を聞き、音声の出力先が第1のスピーカー12に設定されているときにはマウス装置5を把持して所謂携帯電話と同様の状態でマウス装置5に耳を宛って音声を聞く。従って、第2のスピーカー17からの音声の最大出力を第1のスピーカー12からの音声の最大出力より大きく設定することにより、回動角度の相違による使用態様に拘わらずマウス装置5の電話としての良好な使用状態を確保することができる。
【0089】
また、マウス装置5にあっては、マウスモードと電話モードの切替を、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動方向、即ち、折畳位置から開放位置へ向けての回動方向と開放位置から折畳位置へ向けての回動方向とに応じて異なる回動角度(回動角度5°と回動角度45°)において行うようにしている。
【0090】
従って、マウス装置5のマウスとしての使用時に誤って第1の筐体9が第2の筐体10に対して開く方向へ回動してしまった場合においても、一定の回動角度(45°)までの回動であれば、電話モードに切り替わらないためマウスとしての良好な使用状態を確保することができ、また、マウス装置5の電話としての使用時に誤って第1の筐体9が第2の筐体10に対して閉じる方向へ回動してしまった場合においても、一定の回動角度(5°)までの回動であれば、マウスモードに切り替わらないため通信が途絶えるようなことがなく電話としての良好な使用状態を確保することができる。
【0091】
尚、上記には、マウスモードと電話モードの切替を、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動方向に応じて異なる回動角度において行うようにした例を示したが、マウスモードと電話モードの切替を、第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動方向に因らず同じ回動角度において行うようにすることも可能である。
【0092】
また、上記した各部についてのON・OFFの制御に関する第1の筐体9の第2の筐体10に対する回動角度は何れも一例を示したものであり、各部についてのON・OFFの制御に関する回動角度は、折畳位置と開放位置との間の回動角度において任意に設定することが可能である。
【0093】
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図2乃至図12と共に本発明の最良の形態を示すものであり、本図は、マウス装置が備えられた情報処理機器の一例を示す概略斜視図である。
【図2】第1の筐体が折畳位置にある状態を示すマウス装置の斜視図である。
【図3】第1の筐体が折畳位置と開放位置との間の位置にある状態を示すマウス装置の斜視図である。
【図4】第1の筐体が開放位置にある状態を示すマウス装置の斜視図である。
【図5】一部を断面にして示す概略斜視図である。
【図6】マウス装置をマウスとして使用する際の一例を示す概略図である。
【図7】図8乃至図11と共に第1の筐体が第2の筐体に対して回動されたときの開閉検出機構と角度検出機構の動作状態を示すものであり、本図は、回動角度0°(折畳位置)の状態を示す拡大側面図である。
【図8】回動角度5°の状態を示す拡大側面図である。
【図9】回動角度45°の状態を示す拡大側面図である。
【図10】回動角度55°の状態を示す拡大側面図である。
【図11】回動角度150°(開放位置)の状態を示す拡大側面図である。
【図12】第1の筐体の第2の筐体に対する回動時における各部の動作状態を示すチャート図である。
【符号の説明】
【0095】
5…マウス装置、9…第1の筐体、10…第2の筐体、10b…把持凹部、11…ヒンジ部、12…第1のスピーカー、13…逃げ凹部、17…第2のスピーカー、20…マイクロフォン、21…配置用突部、23…回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体がヒンジ部を介して回動可能に連結されると共にマイクロフォンとスピーカーを有し通話手段としての使用が可能な電話機能を兼用したマウス装置であって、
第1の筐体は第2の筐体に対して一方の回動端である開放位置と他方の回動端である折畳位置との間で回動され、
第2の筐体に移動方向及び移動速度を検出するためのボール又は受発光器が配置され、
第1の筐体の第2の筐体に対する回動角度が折畳位置における回動角度と所定の回動角度との間の範囲にあるときにマウスとしての使用が可能なマウスモードが設定され、
第1の筐体の第2の筐体に対する回動角度が開放位置における回動角度と上記所定の回動角度との間の範囲にあるときに電話としての使用が可能な電話モードが設定され、
第2の筐体の側面部に、少なくともマウスモードにおいて把持したときに指が宛われる把持凹部を形成した
ことを特徴とする電話機能を兼用したマウス装置。
【請求項2】
上記第1の筐体の折畳位置において第2の筐体と対向する面に第2の筐体側に開口する逃げ凹部を形成し、
上記第2の筐体に、折畳位置において第1の筐体の上記逃げ凹部に挿入される配置用突部を設け、
該配置用突部の内部に回路基板を配置した
ことを特徴とする請求項1に記載の電話機能を兼用したマウス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−148759(P2007−148759A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342005(P2005−342005)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】