説明

霧状化水製造装置、霧状化水製造方法

【課題】 より電解水のpHを制御することが簡易であるなどの利点がある新たな霧状化水製造装置、霧状化水製造方法を提供することができる。
【解決手段】 原料水を電解して電解水を生成し、電解水を霧状化した電解水を製造する霧状化水製造装置たる霧状化水製造装置100は、原料水から電解により電解水を生成する電解槽104と、電解槽104を第一電極槽110と第二電極槽120とで隔てる隔膜130と、隔膜130を介して通電させ、前記電解槽中の前記原料水を電解する電解電源134と、電解により生じた電解水であって、陰極側110の電解水を霧状化する霧状化装置たる超音波霧化装置132と水破砕装置200とを含んで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧状化した水を製造する霧状化水製造装置、霧状化水製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から霧状化した水(ミスト)を製造する方法が報告されている。例えば下記特許文献1には、樹木からの抽出成分であるフィトンチッドの混合液をノズルより霧にして噴射し、レナード効果によりマイナスイオンを帯びさせ、室内に放出して室内の空気を浄化する方法が開示されている。マイナスイオンは自然界においても発生するもので、例えば、滝や噴水等において、水と水とがぶつかり合った際に水が微細化されて、大きな水滴がプラスに帯電し、小さな水滴がマイナスに帯電するというレナード効果によって発生することが知られている。
【0003】
下記特許文献2〜4には、超音波を用いて霧状化させる装置が開示されている。下記特許文献2に記載される超音波を用いて霧状化させる装置は、水槽の内底に超音波振動子を配置し、超音波振動子を駆動して水を霧状化することにより、霧状化した水とともにマイナスイオンが同時に発生させることが記載されている。また、下記特許文献3に記載される超音波を用いて霧状化させる装置は、高い駆動周波数で超音波振動子を駆動して、マイナスイオンを生成することで、ミストの発生量を著しく抑止しながら、より大量のマイナスイオンを生成できるようにした装置である。また、下記特許文献4には、霧状化とともにマイナスイオンを発生させるマイナスイオン発生装置であって、針状体を接続した電極に高電圧を印可することによって針状体の先端でマイナスイオンを大量発生させるイオン化装置が付設されている装置が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献5、6には、水破砕式で霧状化させる装置が開示されている。下記特許文献6には、回転羽根が回転すると、その遠心力で回転羽根中央部の静圧が低下し、気化フィルター水受け皿内の水が吸水管を介して吸い上げられ、回転羽根の遠心力で水破砕板に衝突することで、レナード効果によってマイナスイオンが生成することが開示されている。
【0005】
ところで、近年、種々の溶液を電気分解して得られる電解水に、殺菌効果があることが知られており、このような電解殺菌水は種々の殺菌、消毒に応用されている。例えば、下記特許文献7には、電解水を霧状化させる装置が開示されている。該文献では、NaCl溶液や水道水中の塩素イオンが電気分解され、次亜塩素を含有する電解水を霧状化させる方法が開示されている。このような電解水を用いるとマイナスイオンの生成量が電気分解されていない通常の水を用いた場合に比べて向上し、この原因として通常の水より電解水の方がクラスタが小さくなっており、微細水滴の生成量が向上するためであると考えられることが報告されている。
【特許文献1】特開平9−24294号公報
【特許文献2】特開2001−213155号公報
【特許文献3】特開2003−322369号公報
【特許文献4】特開2003−31339号公報
【特許文献5】特開2005−129348号公報
【特許文献6】特開2004−101123号公報
【特許文献7】特開2004−313262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献7に記載される霧状化水製造装置では、電解水のpHを制御することが難しい場合がある。
【0007】
本発明者が検討した結果、霧状化水製造装置で霧状化された電解水はpHによって性質が異なり、異なった効果を奏する場合がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、より霧状化される水のpHを制御することが簡易であるなどの利点がある新たな霧状化水製造装置、霧状化水製造方法を提供することをその主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、原料水を電解して電解水を生成し、前記電解水を霧状化した電解水を製造する霧状化水製造装置であって、原料水から電解により電解水が生成される電解槽と、前記電解槽を陽極側と陰極側とで隔てる隔膜と、前記隔膜を介して通電させ、前記電解槽中の前記原料水を電解する電解装置と、前記電解により生じた電解水であって、前記陽極側と前記陰極側とのうち少なくとも一方の電解水を霧状化する霧状化装置と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明は、原料水を霧状化した電解水を製造する霧状化水製造装置であって、原料水を霧状化する霧状化装置、を含むことを特徴とする。
【0011】
さらに、前記電解装置は、陰極と陽極との極性を反転化させることが可能な極性反転化機能を備えると好適である。
【0012】
前記霧状化装置は、前記電解液を超音波により霧状化する第一霧状化装置と、前記電解液を水破砕により霧状化する第二霧状化装置と、所望に応じて前記第一霧状化装置による霧状化たる第一霧状化工程と、前記第二霧状化装置による霧状化たる第二霧状化工程とを切り替え可能な切り替え装置と、を含むと好適である。
【0013】
前記切り替え装置は、前記第一霧状化工程、前記第二霧状化工程に加え、さらに、前記第一霧状化装置と前記第二霧状化装置の併用による霧状化たる第三の霧状化工程も切り替え可能であると好適である。
【0014】
前記第一霧状化工程によって生成する霧状化水の水滴における平均直径が3μm以上であり、前記第二霧状化工程によって生成する霧状化水の水滴における平均直径が1μm以下であると好適である。
【0015】
前記霧状化装置は、前記霧状化させる電解水または原料水を水破砕して霧状化する第一水破砕装置と、さらに、前記霧状化された電解水または原料水を水破砕する第二水破砕装置と、を含むと好適である。
【0016】
前記第二水破砕装置は、前記霧状化された電解水または原料水を水破砕するとともに、気流を発生させ、前記霧状化された電解水または原料水を前記気流によって搬送する機能を含むと好適である。
【0017】
前記第一水破砕装置と前記第二水破砕装置のうち少なくとも一方が羽根を有し、前記羽根によって水破砕すると好適である。
【0018】
前記羽根は、羽根板を組んでルーバー状にしたものであると好適である。
【0019】
前記電解水を噴出させる噴出装置と、前記噴出された電解水を受ける受け板と、を含み、前記受け板で受けられた電解水は前記第一水破砕装置により水破砕される位置まで拡散すると好適である。
【0020】
本発明は、原料水を電解して電解水を生成し、前記電解水を霧状化した電解水を製造する霧状化水製造方法であって、原料水から電解により電解水が生成される電解槽を陽極側と陰極側とで隔てる隔膜を介して通電させ、前記電解槽中の前記原料水を電解する電解工程と、前記電解により生じた電解水であって、前記陽極側と前記陰極側とのうち少なくとも一方の電解水を霧状化する霧状化工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明は、原料水を霧状化した電解水を製造する霧状化水製造方法であって、原料水を霧状化する霧状化工程を含むことを特徴とする。
【0022】
さらに、前記電解装置は、陰極と陽極との極性を反転化させると好適である。
【0023】
前記霧状化工程は、前記電解液を超音波により霧状化する第一霧状化工程と、前記電解液を水破砕により霧状化する第二霧状化工程と、所望に応じて前記第一霧状化工程による霧状化たる第一霧状化工程と、前記第二霧状化工程による霧状化たる第二霧状化工程とを切り替える切り替え工程と、を含むと好適である。
【0024】
前記切り替え工程は、前記第一霧状化工程、前記第二霧状化工程に加え、さらに、前記第一霧状化工程と前記第二霧状化工程の併用による霧状化たる第三の霧状化工程も切り替えると好適である。
【0025】
前記第一霧状化工程によって生成する霧状化水の水滴における平均直径が3μm以上であり、前記第二霧状化工程によって生成する霧状化水の水滴における平均直径が1μm以下であると好適である。
【0026】
前記霧状化工程は、前記霧状化させる電解水または原料水を水破砕して霧状化する第一水破砕工程と、さらに、前記霧状化された電解水または原料水を水破砕する第二水破砕工程と、を含むと好適である。
【0027】
前記第二水破砕工程は、前記霧状化された原料水を水破砕するとともに、気流を発生させ、前記霧状化された原料水を前記気流によって搬送すると好適である。
【0028】
前記第一水破砕工程と前記第二水破砕工程のうち少なくとも一方が羽根によって水破砕する工程であると好適である。
【0029】
前記羽根は、羽根板を組んでルーバー状にしたものであると好適である。
【0030】
前記電解水を噴出させる噴出工程と、前記噴出された電解水を受ける受け工程と、を含み、前記受け工程で受けられた電解水は前記第一水破砕工程により水破砕される位置まで拡散すると好適である。
【0031】
なお、上述の霧状化水製造装置、霧状化水製造方法は、各項目について電解水に代えて原料水を用いることも可能である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、より電解水のpHを制御することが簡易であるなどの利点がある新たな霧状化水製造装置、霧状化水製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態については、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではない。
【0034】
霧状化電解水とは、霧状化した電解水全般を含むものである。「霧状化した」とは、微少水滴(粒径が数十μm以下、好ましくは10μm以下)の状態で浮遊している状態となったことをいう。
【0035】
原料水とは、特に電解できる水または水溶液であればよく適宜選択して用いることができる。原料水には、水道水、純水、濾過水、蒸留水、地下水、伏流水、脱塩水、精製水(RO水、膜処理水)、雨水、井戸水、酸とアルカリによる中和により中性となった中和水、炭酸水素ナトリウムや金属塩などの無機塩、有機物が含まれた中性の水溶液、塩化ナトリウム(NaCl)塩化カリウム(KCl)などの電解により次亜塩素酸を生成する次亜塩素酸電解生成物が溶解された水溶液、NaOH、炭酸アルカリ塩等のアルカリ性物質(中和剤としてなど)が溶解された水溶液などやこれらの混合水などであってもよく、これらを適宜選択して用いることができる。
【0036】
電解用直流電源としてはそれぞれの目的において使用できるものを適宜選択して用いればよく特に限定されることはない。直流電源であると好適であるが、交流電源であってもよい。本実施形態では好適であることから使用される電解用直流電源は、定電流式電源である。この定電流式電源によると、電源入力時は設定された電流値を常時維持し、安定した電解状態を保持することが出来る。また、電極表面へのスケールの付着などによる抵抗の増加に対しても、自動電圧上昇により設定された電流値を維持する機能を有し、また電極の劣化による電流の減少にも同様に対応することが出来る。例えば、定電流設定値を12Aとし(定電流設定値は設定可変可能)、電圧制御範囲を0〜40Vとすることが出来る。
【0037】
電極としては特に限定されることなく適宜選択して適用することができる。好ましくは電解により電極間で電子移動が活発に行われ、酸化され易いため、チタン等の酸化されにくい素材を選び、その表面に白金やイリジウム等の貴金属を被覆することが望ましい。電極の形状も特に限定されることなく適宜選択して適用することができる。好適には水溶液の成分が流入し易い(イオン交換され易い)ように、エキスパンドまたは丸穴、十字穴、角穴のほか、スリット状の長穴が形成されたものが好ましい。
【0038】
なお、電解槽において、電極を、複数の電極板で構成して通電する場合には、通電の方法として、単極式及び複極式の二種類の形式があるが適宜選択していずれを用いてよい。ここで、単極式とは、電極板の全てが陰極又は陽極のいずれかである形式であり、複極式とは、例えば、複数の電極を一定間隔で相互に絶縁して重ね合わせた構造を有し、電源の陽極に接続された電極板と、電源の陰極に接続された電極板との間に、いずれの極とも接続されない電極が、少なくとも1枚存在する形式である。
【0039】
霧状化装置は適宜選択して用いることができる。本実施形態においては、水破砕式、超音波振動式が好適であるので例示しているがこれに限られることなく放電式など他の霧状化装置を用いてもよい。また、これらを組み合わせると好適であるが単独で使用したほうが好適である場合もある。
【0040】
「霧状化水製造装置」
図1には、本実施形態に係る霧状化水製造装置100が示される。霧状化水製造装置100は所望のpHの電解水を霧状化して室内などの外部環境へ供給する。
【0041】
霧状化水製造装置100には、電解槽104が備えられている。電解槽104は、電解によって電解水となる原料水が蓄えられる貯水タンクの構造である。
【0042】
電解槽104は、第一電極槽112と第二電極槽122とから構成されている。第一電極槽112と第二電極槽122とはその間の隔膜130によって隔てられている。
【0043】
第一電極槽112には、電解電源134に接続された第一電極110を備えている。第二電極槽122には、電解電源134に接続された第二電極120を備えている。電解電源134は、隔膜130を介して第一電極110と第二電極120間で通電させ、電解槽104中の原料水を電解し、電解水を生成させる。
【0044】
第一電極槽112の上部には、補給タンク114、送気ファン102、水破砕装置200、外部供給口150が備えられている。
【0045】
補給タンク114は、第一電極槽112の水位や溶解物の濃度調整など所望に応じて第一電極槽112に原料水を補給する。
【0046】
送気ファン102は、霧状化水製造装置100の外部から内部へ向かって気流146を起こさせる。この気流に搬送されることによって、後述のように霧状化水製造装置100で生成した霧状化電解水Aおよび/またはBをCで示される矢印のように外部供給口150から外部へと搬送して最終的に霧状化電解水を外部環境に供給することができる。ファン102は気流を発生させる装置であればよく特に限られることがないが、シロッコファンなどを用いてもよい。
【0047】
第一電極槽112の底部には、噴水ポンプPの噴出口140および取水口138、超音波霧化装置132の超音波振動部144が備えられている。
【0048】
噴水ポンプPは、噴出口140、取水口138とを備え、第一電極槽112の底部の取水口138から電解水を取水する。次に、取水された電解水は噴出口140から、第一電極槽112中を通じて水破砕装置200へ向けて噴出水142として噴出される。で後述のように霧状化された霧状化電解水は気流146によってAで示される矢印のように搬送されCで示される矢印のように外部供給口150から外部環境へと供給される。
【0049】
超音波霧化装置132は、その一部である超音波振動部144を第一電極槽112の底部に備えている。超音波振動部144は、超音波振動子を配置し、超音波振動子を駆動して第一電極槽112中の電解水を霧状化する装置である。超音波振動部144によって霧状化された霧状化電解水はBで示されるように上昇し、気流146に搬送されCで示される矢印のように外部供給口150から外部環境へと供給される。
【0050】
第二電極槽122の上部には、補給タンク124が備えられている。補給タンク124は、第二電極槽122の水位や溶解物の濃度調整など所望に応じて第二電極槽122に原料水を補給する。
【0051】
次に図2を参照して水破砕装置200について説明する。
【0052】
水破砕装置200は、ハウジング202、第一水破砕装置210、第二水破砕装置220、回転駆動軸204、回転駆動軸204を回転駆動させるモータMから構成されている。
【0053】
ハウジング202の内部に第一水破砕装置210、第二水破砕装置220、第一水破砕装置210および第二水破砕装置220を回転駆動させる回転駆動軸204が備えられている。
【0054】
第一水破砕装置210は、第二水破砕装置220は同一軸の回転駆動軸204によって回転するように配置され、噴水ポンプPによって噴出された噴出水142が水破砕される位置である第二水破砕装置220よりも下側に第一水破砕装置210が、第一水破砕装置210で水破砕された電解水がさらに水破砕される位置である第二水破砕装置210よりも上側に第二水破砕装置220が備えられる構成となっている。
【0055】
第一水破砕装置210は、受け皿212、水破砕メッシュルーバー214、とから構成されている。
【0056】
受け皿210は、回転駆動軸204の下端に付属して設けられている。受け皿210の端部に水破砕メッシュルーバー214が連設されている。受け皿210は、噴出水142をその表面で直接受け、受けた噴出水142を拡散水aとして水破砕メッシュルーバー214により水破砕される位置まで拡散させる。
【0057】
本実施形態では、好適であることから受け皿210は噴出水142を受ける面が陥没した凹状たるドーム状の構造であるがこれに限られることなく、受けた噴出水142を拡散水aとして水破砕メッシュルーバー214により水破砕される位置まで拡散させる構造であればよい。さらには、噴出水を直接水破砕メッシュルーバー214に供給してもよい場合には、受け皿210は省略してもよい。
【0058】
水破砕メッシュルーバー214は、本実施形態においては、メッシュ状の羽根板を複数個組んでルーバー状にしたものである。その形状や大きさは適宜選択して採用することができるが、本実施形態では好適であることから個々の羽根板は、その一端が受け皿210の端部と接続されている。個々の羽根板の形状は、受け皿210の端部と接続された頂点から伸びる二辺が残りの一辺よりも長い形状の略二等辺三角形であって、略同一の大きさを有したものである。例えばH50mm×W30mm×t1.0mmなどの大きさを採用してもよい。本実施形態の水破砕メッシュルーバー214は、この羽根板をSUS製メッシュとして6杯を組んでルーバー状としている。後述のように本実施形態においては、この水破砕メッシュルーバーでは、水滴の平均粒径1μ以下の霧状化電解水の発生に用いるものである。この場合、回転数は2000rpm以上であると水滴の平均粒径1μ以下の霧状化電解水の発生がしやすく好適であり、さらに騒音防止などの観点から上限を設けるとより好適であり回転数は、2000rpm〜3000rpmであると好ましい。
【0059】
なお、水破砕装置200は、本実施形態において、電解水を霧状化する態様で説明したがこれに限られることがない。原料水をそのまま霧状化する装置に用いても好適である。すなわち、図1において隔膜130や電極120、130などの電解装置を用いない装置に適用しても好適である。
【0060】
また、水破砕装置200は、本実施形態にかかる構成に限られることがなく、適宜選択して用いることもできる。例えば、第一水破砕装置210、第二水破砕装置220の位置を逆にしてもよく、いずれか一方を省略してもよい。また、他の水破砕によってレナード効果を生じさせることが可能な装置を適宜選択して用いてもよい。
【0061】
水破砕メッシュルーバー214による水破砕工程について説明する。受け皿210が回転駆動軸204によって回転駆動されることで水破砕メッシュルーバー214が回転する。水破砕メッシュルーバー214は、水破砕メッシュルーバー214により水破砕される位置まで拡散した拡散水aをそのメッシュ状の表面で水破砕する。水破砕された拡散水aは、第一水破砕水bとなり、後述の第二水破砕装置220による気流によって上昇し、第二水破砕装置220へと至る。
【0062】
第二水破砕装置220は、回転駆動軸204にその一端が接続された複数の回転羽根222から主に構成されている。回転羽根の個々は略同一の大きさ、形状で構成されている。
【0063】
回転羽根222は、第一水破砕装置210とともに回転駆動軸204によって同一回転速度で回転駆動する。回転羽根222は、回転されることでその表面で第一水破砕水bを更に水破砕し、第二水破砕水cを生じさせる。また、回転羽根222は回転されることで、水破砕とともにハウジング202内に上昇気流を生じさせ、水破砕された電解水を上昇させる。
【0064】
ハウジング202の下部、上部は、開口されている。下部が開口され、噴出水142を第一水破砕装置210へ供給し、拡散水aのうち霧状化されないものを主に落とす。上部が開口され、前述の気流によって第二水破砕水cがAで示されるように最終的に外部供給口150へ気流146によって搬送することができる。
【0065】
「霧状化水製造方法」
次に上記図1の霧状化水製造装置100を用いて、原料水から霧状化電解水を製造する霧状化水製造方法を説明する。
【0066】
一例として、霧状化水製造装置100から最初にアルカリ性の霧状化電解水を外部環境へ供給し、次に、酸性の霧状化電解水を外部環境へ供給する方法について説明する。最初に酸性の霧状化電解水を外部環境へ供給し、次に、アルカリ性の霧状化電解水を外部環境へ供給するという方法も可能であるし、または酸性の霧状化電解水とアルカリ性の霧状化電解水のいずれか一方のみの霧状化電解水を外部環境へ供給する方法も霧状化水製造装置100では実施することができる。
【0067】
原料水が補給タンク114、124から、および/または、直接的に第一電極槽112、第二電極槽に補給され、適切な水位とされる。次に第一電極110と第二電極120との間を隔膜130を介して通電させ、電解電源134の電力によって原料水を電解し、電解水を生成する。
【0068】
最初に電解電源134によって供給する電流を直流とし、第一電極110を陰極とし、第二電極120を陽極として電解する。この時点では、第一電極槽112は陰極側電解槽となり、第二電極槽122は陽極側電解槽となる。
【0069】
陽極側電解槽たる第二電極槽122は、その陽極たる第二電極120による電解によって、第二電極槽122の電解水を酸性化する。酸性化された電解水を中和させると好適であるため、本実施形態では補給タンク124から供給される補給水中に炭酸カリウムなどのアルカリ性の中和電解質を混入させ、中和させている。他にも第二電極槽122について、酸性化した電解水を排水し、新たな原料水を補給タンク124から入れる等、入れ替えるなどしてもよい。
【0070】
陰極側電解槽たる第一電極槽112は、その陰極たる第一電極110による電解によって、第一電極槽112の電解水をアルカリ性化する。アルカリ性の度合いは所望の用途等に応じて電解時間、電力等を制御して調整し、そのpHは適宜採用することができるが、マイナスイオンの発生量などの観点から好ましくはpH10以上、さらに好ましくはpH11.5以上である。
【0071】
次に第一電極槽112の所望のpHにアルカリ性化されたアルカリ電解水を霧状化する。この霧状化には、第一霧状化装置たる超音波霧化装置132、第二霧状化装置たる水破砕装置200を制御して行う。
【0072】
超音波霧化装置132、水破砕装置200の制御は、外部環境へ供給する霧状化電解水を構成する水滴の平均粒径の所望等に応じて超音波霧化装置132、水破砕装置200自体の制御状態を適宜選択して行う。さらに超音波霧化装置132、水破砕装置200の使用、不使用の切り替えを適宜選択する。すなわち、本実施形態においては、超音波霧化装置132による第一霧状化工程、水破砕装置200による第二霧状化工程、超音波霧化装置132と水破砕装置200の併用による第三霧状化工程とを切り替えて行う。
【0073】
本実施形態においては、好適であることから超音波霧化装置132による第一霧状化工程は、霧状化電解水を構成する水滴の平均粒径が3μm以上のものを所望とされるときに使用する。超音波振動部144の超音波振動は例えば1.6〜4MHz(例えば2.4MHz)などを採用することができる。
【0074】
第一霧状化工程によって霧状化されたアルカリ電解水は矢印Bで示されるように上昇し、気流146によって外部供給口150から矢印Cで示される霧状化電解水として外部環境へ供給される。
【0075】
このように霧状化電解水を構成する水滴の平均粒径が3μm以上のものであると、空気より比重が重い傾向にあり、大気室内に放出した場合に室内下方へ落下し、下方の消臭や除菌などをメインとして行うことができる。
【0076】
本実施形態においては、好適であることから水破砕装置200による第二霧状化工程は、霧状化電解水を構成する水滴の平均粒径が1μm以下のものを所望とされるときに使用する。
【0077】
第二霧状化工程によって霧状化されたアルカリ電解水は矢印Aで示されるように気流146によって気流146によって搬送され、外部供給口150から矢印Cで示される霧状化電解水として外部環境へ供給される。
【0078】
このように霧状化電解水を構成する水滴の平均粒径が1μm以下のものであると、空気より比重が軽い傾向にあり、大気室内に放出した場合に室内上部へ移動し、室内上部の消臭や除菌などをメインとして行うことができる。
【0079】
本実施形態においては、好適であることから超音波霧化装置132と水破砕装置200の併用による第三霧状化工程は、霧状化電解水を構成する水滴の平均粒径が1μm以下のものと平均粒径が3μm以上のものの混合霧状化電解水を所望とされるときに使用する。平均粒径が3μm以上のものは室内下方へ、平均粒径が1μm以下のものは室内上部へと至り、室内上部および下部の消臭や除菌などを一度に行うことができる。
【0080】
この場合、矢印Aで示される平均粒径が1μm以下の霧状化電解水と矢印Bで示される平均粒径が3μm以上の霧状化電解水との混合霧状化電解水が外部供給口150から矢印Cで示される霧状化電解水として外部環境へ供給される。
【0081】
本実施形態では、アルカリ電解水を霧状化電解水としている。これは本発明者が見いだしたところアルカリ電解水であれば霧状化した後、中性電解水に比べマイナスイオンの発生量が多いという知見に基づく。これは一例として考察すると、水酸基によるマイナスイオンの供与分に関係があるとも考えられる。したがって、中性電解水に比べ多くのマイナスイオンを外部環境へと供給することができる。
【0082】
次に酸性水を霧状化電解水として外部環境へ供給する方法について説明する。第一電極槽112はアルカリ電解水となっているので、第一電極槽112中のアルカリ電解水を排水し、新たに原料水を補給する。または、第二電極槽122中の電解水を補給すると酸性であるので好適である。
【0083】
なお、第一電極110と第二電極120の極性を反転させることによって、第一電極槽112のアルカリ電解水を入れ替えなくても第一電極槽112を酸化させ、中性化、さらには酸性化させてもよい。中性化した場合には中性電解水を上述のアルカリ性電解水のように第一霧状化工程(矢印Bの霧状化電解水)、第二霧状化工程(矢印Aの霧状化電解水)、第三霧状化工程(矢印A+Bの霧状化電解水)を適宜選択して霧状化し、霧状化電解水として外部環境に供給し、中性電解水による殺菌効果、マイナスイオン発生効果などを外部環境に与えてもよい。
【0084】
次に、極性を反転させることにより第一電極110を陽極とし、第二電極120を陰極とする。第一電極槽112は陽極側電解槽となる。第一電極槽112は陽極たる第一電極110による電解によって、第一電極槽112の電解水を酸性化する。酸性の度合いは所望の用途等に応じて電解時間、電力等を制御して調整し、そのpHは適宜採用することができるが、殺菌性などの観点から好ましくはpH4以下、さらに好ましくはpH3以下、特にpH2.7以下であると好適である。
【0085】
所望のpHに酸性化した場合には酸性電解水を上述のアルカリ性電解水のように第一霧状化工程(矢印Aの霧状化電解水)、第二霧状化工程(矢印Bの霧状化電解水)、第三霧状化工程(矢印A+Bの霧状化電解水)を適宜選択して霧状化し、霧状化電解水(矢印C)として外部環境に供給し、酸性電解水によるより優れた除菌、殺菌効果等を外部環境に与える。
【0086】
次に再びアルカリ性電解水を霧状化電解水として外部環境に供給したい場合には、排水して第一電極110を陰極とし、第二電極120を陽極として第一電極槽112の原料水を電解してアルカリ性化する。ここで、第二電極槽122中の電解水を補給するとアルカリ性となっている傾向にあるので好適である。なお、第一電極110と第二電極120の極性を反転させることによって、第一電極槽112のアルカリ電解水を入れ替えなくても第一電極槽112をアルカリ化させ、中性化、さらにはアルカリ性化させてもよい。中性化した場合には中性電解水を上述のアルカリ性電解水のように第一霧状化工程(矢印Bの霧状化電解水)、第二霧状化工程(矢印Aの霧状化電解水)、第三霧状化工程(矢印A+Bの霧状化電解水)を適宜選択して霧状化し、霧状化電解水として外部環境に供給し、中性電解水による殺菌効果、マイナスイオン発生効果などを外部環境に与えてもよい。
【0087】
本実施形態に係る霧状化水製造装置100は、より電解水のpHを制御することが簡易であるなどの利点がある。本実施形態に係る霧状化水製造装置100は、例えば室内において人が不在などで酸による害を比較的加味しなくてもよい場合であって、殺菌性を高めたいときには酸性の電解水による強力な殺菌、除菌効果を得るようにし、人が在室などで酸による害を加味し、マイナスイオンの供給を与えたいときには中性電解水、アルカリ性電解水をそれぞれ供給することができ、所望に応じた切り替え可能に制御することができる。
【0088】
陽極、陰極変換、pHコントロールなど、本実施形態の霧状化水製造装置100に係る制御装置については一般的な制御装置、例えばコンピュータによる制御装置など適宜選択して用いればよい。
【0089】
本実施形態に係る霧状化水製造装置100は、その使用態様は特に限られることがないが、例えば、エアコンディショナー、空気清浄機、消臭や除菌などを必要とする機器などに備えられると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本実施形態における霧状化水製造装置を示す断面説明図である。
【図2】本実施形態における霧状化装置たる水破砕装置を示す断面説明図である。
【符号の説明】
【0091】
100 霧状化水製造装置
112 第一電極槽
122 第二電極槽
130 隔膜
132,140 霧状化装置
200 水破砕装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料水を電解して電解水を生成し、前記電解水を霧状化した電解水を製造する霧状化水製造装置であって、
原料水から電解により電解水が生成される電解槽と、
前記電解槽を陽極側と陰極側とで隔てる隔膜と、
前記隔膜を介して通電させ、前記電解槽中の前記原料水を電解する電解装置と、
前記電解により生じた電解水であって、前記陽極側と前記陰極側とのうち少なくとも一方の電解水を霧状化する霧状化装置と、を含む霧状化水製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の霧状化水製造装置であって、
さらに、
前記電解装置は、陰極と陽極との極性を反転化させることが可能な極性反転化機能を備える霧状化水製造装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の霧状化水製造装置であって、
前記霧状化装置は、
前記電解液を超音波により霧状化する第一霧状化装置と、
前記電解液を水破砕により霧状化する第二霧状化装置と、
所望に応じて前記第一霧状化装置による霧状化たる第一霧状化工程と、前記第二霧状化装置による霧状化たる第二霧状化工程とを切り替え可能な切り替え装置と、を含む霧状化水製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載の霧状化水製造装置であって、
前記切り替え装置は、前記第一霧状化工程、前記第二霧状化工程に加え、
さらに、
前記第一霧状化装置と前記第二霧状化装置の併用による霧状化たる第三の霧状化工程も切り替え可能である霧状化水製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載の霧状化水製造装置であって、
前記第一霧状化工程によって生成する霧状化水の水滴における平均直径が3μm以上であり、
前記第二霧状化工程によって生成する霧状化水の水滴における平均直径が1μm以下である霧状化水製造装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の霧状化水製造装置であって、
前記霧状化装置は、
前記霧状化させる電解水を水破砕して霧状化する第一水破砕装置と、
さらに、前記霧状化された電解水を水破砕する第二水破砕装置と、
を含む霧状化水製造装置。
【請求項7】
請求項6に記載の霧状化水製造装置であって、
前記第二水破砕装置は、前記霧状化された電解水を水破砕するとともに、気流を発生させ、前記霧状化された電解水を前記気流によって搬送する機能を含む霧状化水製造装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の霧状化水製造装置であって、
前記第一水破砕装置と前記第二水破砕装置のうち少なくとも一方が羽根を有し、前記羽根によって水破砕する霧状化水製造装置。
【請求項9】
請求項8に記載の霧状化水製造装置であって、
前記羽根は、羽根板を組んでルーバー状にしたものである霧状化水製造装置。
【請求項10】
請求項6から9に記載の霧状化水製造装置であって、
前記電解水を噴出させる噴出装置と、
前記噴出された電解水を受ける受け板と、を含み、
前記受け板で受けられた電解水は前記第一水破砕装置により水破砕される位置まで拡散する霧状化水製造装置。
【請求項11】
原料水を電解して電解水を生成し、前記電解水を霧状化した電解水を製造する霧状化水製造方法であって、
原料水から電解により電解水を生成する電解槽を陽極側と陰極側とで隔てる隔膜を介して通電させ、前記電解槽中の前記原料水を電解する電解工程と、
前記電解により生じた電解水であって、前記陽極側と前記陰極側とのうち少なくとも一方の電解水を霧状化する霧状化工程と、を含む霧状化水製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の霧状化水製造方法であって、
さらに、
前記電解装置は、陰極と陽極との極性を反転化させる霧状化水製造方法。
【請求項13】
請求項11または2に記載の霧状化水製造方法であって、
前記霧状化工程は、
前記電解液を超音波により霧状化する第一霧状化工程と、
前記電解液を水破砕により霧状化する第二霧状化工程と、
所望に応じて前記第一霧状化工程による霧状化たる第一霧状化工程と、前記第二霧状化工程による霧状化たる第二霧状化工程とを切り替える切り替え工程と、を含む霧状化水製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の霧状化水製造方法であって、
前記切り替え工程は、前記第一霧状化工程、前記第二霧状化工程に加え、
さらに、
前記第一霧状化工程と前記第二霧状化工程の併用による霧状化たる第三の霧状化工程も切り替える霧状化水製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の霧状化水製造方法であって、
前記第一霧状化工程によって生成する霧状化水の水滴における平均直径が3μm以上であり、
前記第二霧状化工程によって生成する霧状化水の水滴における平均直径が1μm以下である霧状化水製造方法。
【請求項16】
請求項11から15のいずれか1つに記載の霧状化水製造方法であって、
前記霧状化工程は、
前記霧状化させる電解水を水破砕して霧状化する第一水破砕工程と、
さらに、前記霧状化された電解水を水破砕する第二水破砕工程と、
を含む霧状化水製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の霧状化水製造方法であって、
前記第二水破砕工程は、前記霧状化された電解水を水破砕するとともに、気流を発生させ、前記霧状化された電解水を前記気流によって搬送する霧状化水製造方法。
【請求項18】
請求項16または17に記載の霧状化水製造方法であって、
前記第一水破砕工程と前記第二水破砕工程のうち少なくとも一方が羽根によって水破砕する工程である霧状化水製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の霧状化水製造方法であって、
前記羽根は、羽根板を組んでルーバー状にしたものである霧状化水製造方法。
【請求項20】
請求項16から19に記載の霧状化水製造方法であって、
前記電解水を噴出させる噴出工程と、
前記噴出された電解水を受ける受け工程と、を含み、
前記受け工程で受けられた電解水は前記第一水破砕工程により水破砕される位置まで拡散する霧状化水製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−402(P2007−402A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184598(P2005−184598)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(502446612)
【Fターム(参考)】