説明

霧状毛髪化粧料

【課題】 再整髪性に優れ、べたつき感がなく、艶のない自然な仕上がり感を有した霧状毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】 (a)毛髪固定用高分子化合物0.05〜10%と、
(b)多価アルコール
(c)一価のアルコール20〜75%
(d)噴射剤25〜80%
を含有し、かつ、(b)/(a)=0.1〜5 の範囲にあることを特長とする特徴とする霧状毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪固定用高分子化合物、多価アルコール、及び一価のアルコールを噴射剤に溶解させた整髪用霧状毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりヘアスタイルを作りやすくしたりヘアスタイルを長持ちさせる目的で、毛髪固定用高分子を配合したヘアスプレーは多く知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開昭44−4450号公報
【特許文献2】特開平3−170412号公報
【特許文献3】特開2002−53446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のヘアスプレーは毛髪固定用高分子化合物自身の皮膜形成性により整髪力に優れるものの、その皮膜感ゆえにごわつく、再整髪時に櫛が通らない、時間がたつとヘアスタイルが崩れて元に戻らないなどの欠点があった。
【0005】
そこで本発明者は、上記課題に鑑みて、毛髪固定用高分子化合物を配合した霧状毛髪化粧料について鋭意研究した結果、特定成分を特定量配合することにより、整髪力に優れ、容易に櫛が通り、かつ、再整髪性に優れることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明の目的は、整髪力に優れ、容易に櫛が通り、かつ、再整髪性に優れた霧状毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による毛髪化粧料は、下記成分(a)〜(d)を含有し、かつ、(b)/(a)=0.1〜5 の範囲にあることを特徴としている。
(a)毛髪固定用高分子化合物0.05〜10質量%と、
(b)多価アルコール
(c)一価のアルコール20〜75質量%
(d)噴射剤25〜80質量%
【0008】
そして、上記(a)成分は、アクリル系の高分子化合物が好ましく、また、上記(b)成分は、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及び平均分子量1000以下のポリエチレングリコールの群から選ばれる1種または2種以上が好ましい。さらに(d)成分は、液化石油ガスであることが望ましい。
【0009】
本発明の霧状毛髪化粧料には、さらに、液状のアシルアミノ酸系エステル化合物及び/またはカチオン性ポリウレタン樹脂を含有することを含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、整髪力に優れ、容易に櫛が通り、かつ、再整髪性に優れた霧状毛髪化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0012】
本発明で用いられる(a)毛髪固定用高分子化合物は、例えば、アクリル樹脂アルカノールアミン(プラスサイズ;互応化学社製),t−ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー;BASF社製),アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド;BASF社製),アクリル酸アルキル共重合体(アニセット;大阪有機化学工業製),酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28−1310;NSC社製),酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28−2930;NSC社製),メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES;ISP社製),ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP;BASF社製),ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA;BASF社製),ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP;BASF社製),ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス;BASF社製),ビニルアセテート/ブチルマレアート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ;ISP社製),カルボキシビニルポリマー(カーボポール;B.F.GOODRICH社製),架橋型ポリアクリル酸(ペミュレン;BFGOODRICH社製)等のアニオン性高分子化合物や、ジアルキルアミノエチルメタクリエート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー;三菱化学社製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER;NSC社製)等の両性高分子化合物や、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級物(GAFQUAT;ISP社製),メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート;BASF社製),ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ビニルイミダゾリンの4級化物(ルビコートホールド;BASF社製)等のカチオン性高分子化合物や、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK;BASF社製),ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA;BASF社製),ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937;ISP社製),ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクレレート共重合体(コポリマーVC713;ISP社製)等のノニオン性高分子化合物等がある。好ましくはアクリル系のアニオン性高分子化合物であり、例えば、アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体,t−ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体,アクリレート/アクリルアミド共重合体,アクリル酸アルキル共重合体が用いられる。これらのアニオン性は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
上記毛髪固定用高分子化合物の配合量は霧状毛髪化粧料の総量を基準として、0.05〜10質量%(以下、%と略す)であり、好ましくは0.1〜7%である。すなわち、十分な整髪力を得るために、配合量0.05%以上であり、ごわつきやべたつきの無いものを得るために、10%以下の配合量である。
【0014】
本発明で用いられる(b)多価アルコールは1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、平均分子量1000以下のポリエチレングリコールであり、これらの中から1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
これらの成分(b)の本発明の霧状毛髪化粧料中への配合割合としては、(a)毛髪固定用高分子化合物に対し、(b)/(a)=0.1〜5 の範囲であり、好ましくは0.3〜3の範囲である。(b)/(a)が0.1〜5の範囲であると、整髪力に優れ、容易に櫛が通り、かつ、再整髪性に優れる効果を十分に発揮することが出来る。
【0016】
本発明で用いられる(c)一価のアルコールの配合量は20〜75%である。この(c)一価のアルコールとしては、エタノールが好ましい。エタノールの配合量が20〜75
%であると毛髪固定用高分子化合物の溶解性、及び、毛髪上での速乾性に優れる。
【0017】
本発明で用いられる(d)噴射剤は、化粧料に配合されるものであれば特に限定されないが、具体的には、プロパン、ブタン等炭素数4以下の低沸点の炭化水素からなる液化石油ガス、イソブタンやジメチルエーテルなどである。これらに加えて炭酸ガス、窒素ガスを用いても良い。特に好ましくは液化石油ガスである。
【0018】
これら成分(d)の本発明の霧状毛髪化粧料中への配合量としては、25%〜80%であり、好ましくは30%〜70%である。成分(d)の霧状毛髪化粧料中での含有量が25%〜80%であると、組成物中での均一溶解性が確保でき、また、使用時の毛髪への均一な付着性が得られ、十分な効果を発揮することが出来る。
【0019】
本発明の霧状毛髪化粧料には、液状のアシルアミノ酸系エステル化合物を配合することが出来、その保湿性と平滑性の付与効果により、ごわつきやべたつきの少ない風合いを得ることが出来る。これらの配合量は0.0001%以上が好ましく、より好ましくは0.001%〜5%であり、特に好ましくは0.001〜3%である。
【0020】
上記液状のアシルアミノ酸系エステル化合物は、好ましくはアシルグルタミン酸エステルであり、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)が特に好ましい。
【0021】
本発明の霧状毛髪化粧料には、カチオン性ポリウレタン樹脂を配合することが出来、その整髪力と弾力性付与力により再整髪性を向上させる。これらの配合量は0.0001%以上が好ましく、より好ましくは0.001%〜5%であり、特に好ましくは0.001〜3%である。
【0022】
上記カチオン性ポリウレタン樹脂は、好ましくはポリクオタニウム−56(ヘヤロールUC−04;三洋化成製)である。
【0023】
本発明で用いられるその他の成分としては、上記成分の他に従来公知の任意の成分を効果を損なわない範囲で配合することができる。例えば、油剤、シリコーン類、清涼剤、殺菌剤、酸化防止剤、その他の界面活性剤、香料、アルコール類、防腐剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、キレート剤、保湿剤、増粘剤、水、抗炎症剤、アミノ酸、植物エキス、ビタミン類、粉体、包接化合物等が挙げられる。
【0024】
本発明の霧状毛髪化粧料の調製は、噴射剤以外の成分を予め混合して原液とし、耐圧容器に充填後、噴射剤を充填して製造される。またいくつのかの成分毎に分割し原液を複数に分けて充填し、耐圧容器内で混合した後、噴射剤を充填しても良い。
【実施例】
【0025】
次に、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、配合量は全て質量%(以下、%と記す)で示す。
【0026】
表1に示す処方に基づいて実施例1〜6及び比較例1〜7の霧状毛髪化粧料を調製し、再整髪度、官能試験、溶解性試験を下記に示す通りに行い、その評価結果を表1に併せて示す。
【0027】
(1)再整髪度評価
長さ25cm、重さ2gの毛束に霧状毛髪化粧料の試料2gを均等に塗布し、直径2cmのロッドに巻き、45℃の恒温室内に6時間放置して、完全に乾燥させた。乾燥後、ロ
ッドを外して、毛束の見かけの長さ(L0)を測定した。次に温度25℃湿度60%の恒温恒湿室に毛束を吊し、30分後に取り出し、再度ロッドに毛束を巻いて25℃湿度60%の恒温恒湿室にて乾燥した。ロッドを外して、25℃湿度60%の恒温恒湿室に毛束を吊し、毛束の見かけの長さ(Ln)を測定した。ここまでの測定を1サイクルとする。続けて30分放置、ロッドに巻いて再乾燥、測定を3回繰り返し、再整髪度の変化を比較した。
【0028】
再整髪度を次式にて求めた。
再整髪度=(25−Ln)/(25−L0)×100
したがって、この値が100に近いほど再整髪度が高いことを示す。
【0029】
評価基準は、以下の通りである。第4回目の再整髪度を比較した。
◎:非常に良好 再整髪度85%以上
○:良好 再整髪度80%以上、85%未満
△:やや悪い 再整髪度70%以上、80%未満
×:悪い 再整髪度70%未満
【0030】
(2)官能試験
20名の被験者によって毛髪化粧料の試料を使用し、整髪を実施した。その後被験者本人が、べたつきのなさ、艶について官能評価した。
【0031】
評価基準は、以下の通りである。
<べたつきのなさ>
◎:非常に良好 べたつきがないと答えた被験者の数が18人以上
○:良好 べたつきがないと答えた被験者の数が12人以上、18人未満
△:やや悪い べたつきがないと答えた被験者の数が8人以上、12人未満
×:悪い べたつきがないと答えた被験者の数が8人未満
【0032】
<艶>
◎:非常に良好 艶がよいと答えた被験者の数が18人以上
○:良好 艶がよいと答えた被験者の数が12人以上、18人未満
△:やや悪い 艶がよいと答えた被験者の数が8人以上、12人未満
×:悪い 艶がよいと答えた被験者の数が8人未満
【0033】
(3)溶解性試験
常法により調製したエアゾールスプレー組成物(耐圧ガラス製容器)を0℃、20℃、35℃の恒温槽内に静置して、24時間後に溶解性を目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。
【0034】
・透明均一に溶解している :○
・濁り、沈殿、分離等がある :×
【0035】
【表1】

【0036】
表1より明らかなように、本発明の霧状毛髪化粧料は、再整髪性、べたつきのなさ、不自然な艶のなさ、溶解性の全てにおいて優れていた。
【0037】
一方、比較例1〜7では、いずれかの特性が劣っており、本発明の目的を達成できなかった。
【0038】
実施例7
1.アクリル樹脂アルカノールアミン液 6.0%
(プラスサイズL−9700:互応化学工業製)
2.1.3−ブチレングリコール 2.0%
3.メチルフェニルポリシロキサン 0.1%
4.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 0.3%
(エルデュウPS−203:味の素製)
5.メトキシケイヒ酸オクチル 0.1%
6.ポリクオタニウム−56(ヘヤロールUC−4:三洋化成製) 0.3%
7.エタノール 51.2%
8.液化石油ガス(0.25Mpa:25℃) 40.0%
【0039】
上記霧状毛髪化粧料を常法により調製し、評価したところ、再整髪度、べたつきのなさ、艶、溶解性の全てにおいて優れていた。
【0040】
尚、上記実施例1〜6の霧状毛髪化粧料は無香料であるが、以下の香料を用いることが出来る。
【0041】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)毛髪固定用高分子化合物0.05〜10%と、
(b)多価アルコール
(c)一価のアルコール20〜75%
(d)噴射剤25〜80%
を含有し、かつ、(b)/(a)=0.1〜5 の範囲にあることを特徴とする霧状毛髪化粧料。
【請求項2】
(a)毛髪固定用高分子化合物が、アクリル系の高分子化合物である請求項1に記載の霧状毛髪化粧料。
【請求項3】
(b)多価アルコールが、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及び平均分子量1000以下のポリエチレングリコールの群から選ばれる1種または2種以上である請求項1または2のいずれかに記載の霧状毛髪化粧料。
【請求項4】
(d)噴射剤が、液化石油ガスである請求項1〜3のいずれかに記載の霧状毛髪化粧料。
【請求項5】
さらに液状のアシルアミノ酸系エステル化合物を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の霧状毛髪化粧料。
【請求項6】
さらにカチオン性ポリウレタン樹脂を含有する請求項1〜5のいすれかに記載の霧状毛髪化粧料。

【公開番号】特開2007−217314(P2007−217314A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37536(P2006−37536)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】