説明

青笹乾燥粉末の製造方法

【課題】本発明は、青笹の細胞を破壊することなく、かつ成分変化させることなく、乾燥粉末にすることができる青笹乾燥粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の青笹乾燥粉末の製造方法は、青笹に付着した異物等を真水で洗い除去する前洗浄工程と、貝殻焼成粉末を溶かしたPH12以上の水溶液に30分以上浸漬することにより、殺菌する殺菌工程と、殺菌した青笹を真水で洗浄する後洗浄工程と、青笹に遠赤外線の照射を行うと共にたんぱく質の変化を抑える55〜60℃の温度帯をキープして温風乾燥を行う乾燥工程と、青笹の繊維が硬いため、カッターによる刻み処理を行う刻み工程と、刻み青笹の微粉末化のために、粗挽きによる前処理を行う粗挽き工程と、冷却装置付き臼式製粉機により、冷却することで摩擦熱を抑えながら上臼と下臼で青笹を微粉末にする製粉工程とを順次行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青笹の細胞を破壊することなく、かつ成分変化させることなく、乾燥粉末にすることができる青笹乾燥粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、笹の葉、竹の葉を真空冷凍乾燥(フリーズドライ)によって、それらに含まれる栄養素を保ったままで乾燥、粉末化することが知られている(特許文献1を参照)。
この公知技術では、竹の葉、笹の葉類を洗浄後、直ぐにトレーに入れ−10℃で補助冷凍し、真空冷凍乾燥機に移し−35℃で6時間乾燥し、乾燥後に微粉末製粉機で粉末加工するものである。
一般に、フリーズドライは、冷凍乾燥前の工程で必ず冷凍庫で凍結する作業があり、現在使われている冷凍庫ではほとんどが緩慢凍結庫であるために、原材料の細胞を破壊する欠点や乾燥温度も高温になるためにたんぱく質などの成分が変化してしまう欠点があった。フリーズドライの乾燥りんごは、麩菓子のようなパサパサになり、触感が無く、焼酎や水に漬けるとバラバラに崩れてしまい、原形を留めなくなります。また、カップラーメンの長葱に代表されるように、長ネギ本来の香りや辛味は消えてしまいます。
【0003】
また、本願出願人は、山菜“こごみ”を乾燥粉末にするために、こごみパウダーの製造方法を開発した(特許文献2を参照)。
この公知技術は、食用に適さない部分や不良品を取り除く原料入荷工程と、山菜こごみの表面に付着した異物等を分離洗浄するパブリング洗浄工程と、熱水による軽い加熱処理を行うブランチング工程と、庫内温度、風量、乾燥時間を設定し、目的の水分量に達するまで乾燥を行う温風空気乾燥工程と、上臼と下臼を回転させることで物理的に細かく砕いて粉体にする石臼原理方式応用型製粉工程とを順次行うものである。
この製造方法は、山菜こごみには最適であるが、青笹の乾燥には適用できないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−191911号公報
【特許文献2】特開2009−183173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、青笹の細胞を破壊することなく、かつ成分変化させることなく、乾燥粉末にすることができる青笹乾燥粉末の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の青笹乾燥粉末の製造方法は、青笹に付着した異物等を真水で洗い除去する前洗浄工程と、貝殻焼成粉末を溶かしたPH12以上の水溶液に30分以上浸漬することにより、殺菌消毒する殺菌工程と、殺菌した青笹を真水で洗浄する後洗浄工程と、青笹に遠赤外線の照射を行うと共にたんぱく質の変化を抑える55〜60℃の温度帯をキープして温風乾燥を行う乾燥工程と、青笹の繊維が硬いため、カッターによる刻み処理を行う刻み工程と、刻み青笹の微粉末化のために、粗挽きによる前処理を行う粗挽き工程と、冷却装置付き臼式製粉機により、冷却することで摩擦熱を抑えながら上臼と下臼で青笹を微粉末にする製粉工程とを順次行うものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の青笹乾燥粉末の製造方法は、青笹に付着した異物等を真水で洗い除去する前洗浄工程と、貝殻焼成粉末を溶かしたPH12以上の水溶液に30分以上浸漬することにより、殺菌消毒する殺菌工程と、殺菌した青笹を真水で洗浄する後洗浄工程と、青笹に遠赤外線の照射を行うと共にたんぱく質の変化を抑える55〜60℃の温度帯をキープして温風乾燥を行う乾燥工程と、青笹の繊維が硬いため、カッターによる刻み処理を行う刻み工程と、刻み青笹の微粉末化のために、粗挽きによる前処理を行う粗挽き工程と、冷却装置付き臼式製粉機により、冷却することで摩擦熱を抑えながら上臼と下臼で青笹を微粉末にする製粉工程とを順次行うため、青笹に含まれる栄養素を保ったままで乾燥、粉末化して、長期に保存でき、しかも粉末形状が丸いので調理せずに簡単に摂取することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の青笹乾燥粉末の製造方法の工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、山野で自生する青笹を機能性食品原料として利用できるように乾燥粉末に製造するための方法である。
そのため、山野で生産された青笹を植物性の食材として人工的な調理方法を加えずに乾燥させた後、石臼で物理的に粉砕して100ミクロンの乾燥粉末とするものである。
一般に食用植物を乾燥させる方法には、天日干し、熱風乾燥、遠赤外線乾燥、凍結乾燥などがあるが、ここでは遠赤外線温風乾燥方式を採用している。
また、粉末化させる方法は、旧来の石臼を使用した石臼原理方式応用型製粉を採用して、100ミクロンの乾燥粉末とするものである。
【0010】
以下に、本発明の青笹乾燥粉末の製造方法の一実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の青笹乾燥粉末の製造方法は、順序に、前洗浄→殺菌→後洗浄→乾燥→刻み→粗挽き→製粉の各製造工程からなる。
次に、各工程について詳細に説明する。
前洗浄工程:
入荷した青笹は、自然界に自生している野生植物であり、その品質状態を入念にチェックして、青笹に付着した異物等を真水で洗い除去する。
【0011】
殺菌工程:
農薬の除去のために貝殻焼成粉末を溶かしたPH12以上の水溶液に30分以上浸漬することにより、殺菌消毒する。
【0012】
後洗浄工程:
殺菌消毒した青笹を真水で洗浄する。
【0013】
乾燥工程:
セラミカ乾燥機(株式会社新生バイオの商品名)を使用して各棚に青笹を乗せ、側壁面の特殊セラミック板により、各棚の青笹に遠赤外線の照射を行うと共にたんぱく質の変化を抑える55〜60℃の温度帯をキープして温風乾燥を行う。この乾燥により熱による品質変化や酵素死活、色の変化を抑えることができる。
【0014】
刻み工程:
青笹の繊維が硬いため、以降の作業をスムーズに進めるため、5cm以下にカッターにより刻む。
【0015】
粗挽き工程:
青笹は硬く、シリカ成分が多いために刻んだ状態から微粉末化が難しいために、製粉機により5mm以下に、刻み青笹の微粉末化のために粗挽きによる前処理を行う。
【0016】
製粉工程:
冷却することで摩擦熱を抑えながら冷却装置付き臼式製粉機により、上臼と下臼で青笹を微粉末にする。すなわち、石臼で物理的に粉砕して品質変化を抑えながら100ミクロンの丸い形状の乾燥微粉末とする。
【0017】
本発明の青笹乾燥粉末の製造方法は、前洗浄→殺菌→後洗浄→乾燥→刻み→粗挽き→製粉の各製造順序工程からなるため、青笹に含まれる栄養素を保ったままで乾燥、粉末化して、長期に保存でき、しかも粉末形状が丸いので調理せずに簡単に摂取することができる効果がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青笹に付着した異物等を真水で洗い除去する前洗浄工程と、貝殻焼成粉末を溶かしたPH12以上の水溶液に30分以上浸漬することにより、殺菌消毒する殺菌工程と、殺菌した青笹を真水で洗浄する後洗浄工程と、青笹に遠赤外線の照射を行うと共にたんぱく質の変化を抑える55〜60℃の温度帯をキープして温風乾燥を行う乾燥工程と、青笹の繊維が硬いため、カッターによる刻み処理を行う刻み工程と、刻み青笹の微粉末化のために、粗挽きによる前処理を行う粗挽き工程と、冷却装置付き臼式製粉機により、冷却することで摩擦熱を抑えながら上臼と下臼で青笹を微粉末にする製粉工程とを順次行うことを特徴とする青笹乾燥粉末の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−172491(P2011−172491A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37017(P2010−37017)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(508036721)有限会社 栄物産 (2)
【Fターム(参考)】