説明

静的条件下における溶液中の結晶成長

本発明は、溶液中で結晶を成長させる方法に関し、その方法は、化合物で過飽和された溶液から大寸法の結晶を高速、高制御、かつ、効率的に生産することに適する。結晶成長は静的条件下で実行される。これを実行するために、その成長は、一定の温度Tcに維持された結晶化チャンバーで実行され、そのチャンバーは、温度Tsの飽和チャンバーと流体連結する。そして、温度Tsは、Tcと同様に一定に保たれるが、Tcとは異なる温度である。温度Tsにおける化合物の溶解度は、温度Tcにおける化合物の溶解度より大きい。結晶化チャンバーと飽和チャンバーとの間における溶液の連続的な循環が確立される。このようにして、結晶化チャンバー内で一定の過飽和速度を維持する。さらに、循環溶液は、凝集体の形成を排除して抑制するための処理が施され、寄生性微結晶の核形成を抑制することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液中の結晶成長によって結晶生成をする新規な方法に関し、特には、高制御、かつ、効率的な方法で、数センチメートル以上のオーダーの大寸法の単結晶を生産する目的のために工業規模で実施することに対して適切である方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単結晶を生産する様々な方法が公知であり、それらの方法は工業規模で利用することができる。
【0003】
特に関心をひくような方法は、とりわけ、Czochralski方法として知られている従来の方法を実施することによって、結晶化される化合物の溶解浴から単結晶を成長させる方法である。そのような方法は、とりわけ、非常に高速な結晶成長、典型的には、1日につき数センチメートルのオーダーの高速の結晶成長に導く利点を提供する。
【0004】
ところが、溶融浴から結晶を成長させることは、幾つかの化合物、特に、調和融点を示さない化合物(すなわち、化学的な分解現象又は包晶のようなことが原因のため、固体状態と液体状態では異なる組成を有する化合物)及び融点温度と室温温度との間の温度域内において、融解状態と液体状態との間で転移相を有する化合物に対しては可能性がない。このように、溶解浴方法は、多数の例示が存在する中で、例えば、α型の石英(α−SiO2)、幾種のリン酸塩(例えば、KH2PO4、KTiOPO4幾種のホウ酸塩(例えば、YAl3(BO34)及びある種の金属ハロゲン化物のような多数の化合物の結晶化に不適切であるという事実を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述された化合物のように、溶解浴方法に不適切である化合物の結晶化に対しては、溶液中で結晶を成長させる方法を利用することが提案されている。そして、結晶化される化合物は、溶媒中に最初に溶解され、溶液を過飽和の状態にすることによって、成長は起こる。すなわち、その状態は、溶質の濃度が溶解度より大きくなることである。
【0006】
このタイプの方法において、結晶化が起こる、ある瞬間の溶液の過飽和状態は、その相対過飽和度によって定量化され、「s」によって表わされ、そして次の関係式にしたがって計算されることが可能である。
【0007】
【数1】

【0008】
式中、Cは、溶液中の溶解した化合物の濃度を表し、及び
0は、結晶化が起こる温度において、溶解した化合物の溶解度を表す。
【0009】
この過飽和の状態、さらに溶液中の結晶化のための必要条件は、従来的には、二種類の方法を用いて得られる。
【0010】
溶媒蒸発法
この第一の変更例にしたがえば、溶液中の溶媒の量は結晶化過程中に減っていき、一般的には、その溶媒を徐々に蒸発させることによって減っていき、それにより、媒体中の化合物/溶媒比が大きくなることに結びつく。そのことによって、初期段階で濃度は大きくなって、結晶化を開始するのに必要な過飽和に達し、その後、溶液中の化合物が結晶を形成するために消費されることに比例して、その過飽和状態を維持させておくことができる。
【0011】
温度変化法
この代替的な変更例にしたがえば、溶液の温度は化合物の溶解度を小さくすることを促進するような方法で変化して、結晶化溶液で結晶化する。その結果、好ましい過飽和度が得られる。大半の化合物に関して、溶解度は温度が上昇すると大きくなり、それゆえ、溶解度を好ましく小さくすることは、通常、結晶化溶液の温度を低くすることによって得られる。それにもかかわらず、多くの個性的な化合物が存在し、例えば石灰石がそうであって、その石灰石の溶解度は逆の傾向である。すなわち、温度が上がるにつれて溶解度は小さくなる。このタイプの化合物に関しては、逆の現象が起こり、溶解度を好ましく小さくすることは、温度を上げることによって達せられる。
【0012】
温度の変化を利用する方法において、結晶化プロセスを維持する目的で、反応条件の補充的な制御が必要となる。これは、温度変化によって作られる結晶形成が、溶液中の化合物を消費し、結晶化溶液中のその化合物の濃度を小さくし、必須の過飽和条件から逸脱する傾向をまさに含むことになるからである。溶液の不飽和化の現象の釣り合いを取って過飽和の状態を維持するために、特別な可能性は、温度を連続的に変化させることを実行することにある(通常は、温度を連続的に低くすることであるが、逆の傾向を示す溶解度を有する化合物の特別の場合においては、温度を連続的に高くすることである。)。
【0013】
前述の結晶化の方法、すなわち、溶媒蒸発法又は温度変化法は、通常、大寸法の結晶を生産するために工業規模で実行するためには不適切であることが確認されている。
【0014】
この点において、溶液中の結晶生成についての現在における公知の方法は、結晶形成の熱力学的及び動的条件を制御することが不可能であることを、まず、最初に留意されたい。
【0015】
溶媒蒸発による結晶成長の場合に、結晶化の条件(反応媒体の容積、濃度)は、反応が進行している時に絶えず変化する。特に、溶液中の不純物の濃度は、結晶成長の過程において高くなる傾向があり、形成中の結晶中にこれらの不純物を取り込んで徐々に高くなる方向に行く。さらに、蒸発のプロセスは、それ自身、制御することが度々難しい。それゆえ、溶媒蒸発による結晶成長の方法は、実際のところ、実験室のみで利用され、そして、実際には、工業規模での利用は確認されていない。
【0016】
同様に、温度変化を利用する方法においては、温度におけるこの変化が、結晶生成中に、再度、熱力学的及び動的条件の変化を引き起こし、成長相の至る所で過飽和を維持することは、困難であり、実際上実験室レベルで実現可能なままである。
【0017】
溶液中の結晶成長の現行方法の枠組み内で作られる結晶生成の変化する状態は、作られる結晶の品質に対して直接的な影響を与える。
【0018】
明確な化合物に基づかないが、例えば、固溶体又はドープした化合物のような中間組成物(特に、置換固溶体の中間組成物であって、化学的性質を異にする複数の原子タイプが結晶性構造の同一部位を占める中間組成物及び/又は格子間部材でドープされた化合物、例えば、格子間イオンでドープされた結晶)に基づく結晶を成長させることが意図される場合に、結晶成長のこれらの変化する状態は、特に問題となる。
【0019】
確かに、この状況下において、熱力学的及び動的条件の変更は、通常、結晶形成のメカニズムにおいて、実質的な改質につながる。これらの改質によって、置換基及び/又は格子間種の取り込み速度が変化することになり、それゆれ、形成された結晶において組成物の不均一性をもたらす。同様に、これらの不安定性は、結晶性構造の欠陥(格子配列の欠陥、転位等)の形成にもつながる。そして、極端な場合としては、溶媒が結晶中に導入されることになる場合もある。さらに一般的には、これらの異なる現象は、結晶性能の劣化に結びつく可能性がある。典型的には、置換基及び/若しくはドーピング部材並びに/又は不純物の取り込み速度の段階的な変化は、特に、結晶性の網目パラメーターのざん新的な変化を促し、通常、結晶内のテンション、例えば転位のような多数の結晶性欠陥の原因又は更に多くの巨視的な破砕に結びつく。形成された結晶のサイズが大きければ大きいほど、これらの現象は、更に実体的になる。
【0020】
溶液中の結晶成長についての現在の公知方法を利用して直面する更に一般的な別の問題は、結晶速度に関して、これらの方法が、溶解浴を利用した方法で得られる速度よりもはっきりと遅い制限的な速度を一般的には生み出すことである。
【0021】
確かに、溶液の結晶生成方法において、結晶成長の速度は、結晶化が実行される溶液の相対過飽和度に対して直接的に比例する。
【0022】
大半の場合において、自然発生的な微結晶の核形成をとりわけ回避するために、溶液中の従来の結晶成長は、小さい過飽和速度「s」、典型的には、約1−5%の速度で基本的には実行され、その速度は、1日あたり、2〜3ミリメートルのオーダーの溶液中の結晶成長速度に対応する。結晶成長の速度が小さい、このタイプを用いると、寸法上数センチメートルの単結晶を形成することは、何週間又は何ヶ月さえもかかる可能性がある。いくつかの化合物に関しては、形成時間は1年、又はそれ以上長い期間のオーダーでさえある。
【0023】
この困難なことに対応するために、温度降下による結晶成長の方法は開発された。そして、自然発生的な核生成を回避するために、溶液を濾過して熱処理することが提案されている。この方法によって、温度降下の速度を大きくして、過飽和度を上げ、結晶成長の速度を大きくする目的を達成することが可能である。この枠組み内で、ジリン酸カリウム、KH2PO4(又はKDP)の巨大結晶の生成方法が述べられ、一つの方法は、3−4cm/dayまで成長速度を上げることを目的として、30%オーダーの値まで過飽和状態を高めた。そのような方法は、比較的小さなサイズ(2〜3センチメートルのオーダー)の結晶に対しては効果的であるが、大きな寸法(例えば、約10センチメートル以上のオーダー)の結晶を形成する場合には、成長速度は、実際のところ制限された状態である。その上、結晶成長の有意な速度を得るために必要な温度降下の速度は、形成中のマクロ結晶の中心部と冷却溶液に接触する該結晶の周囲部との間に温度勾配を作り出す。過剰に速い成長速度が利用されると、この勾配は結晶内に応力を作り出し、その応力は、通常、破砕現象を促すことになる。このように、30%の過飽和度と3cm/dayの成長速度が得られるが、温度降下に基づいたこのシステムを利用した、大サイズの単結晶の成長は、最大でも1cm/dayの速度で可能性があるにすぎない。
【0024】
本発明の目的は、溶液中での結晶成長手段によって、結晶生成方法を提供することである。その方法は、現行の公知の方法である溶液中での結晶化方法の欠点を回避しながら、工業規模で実施することに適している。
【課題を解決するための手段】
【0025】
この目的を達成するために、第一の態様にしたがえば、本発明の一つの対象は、溶液中での結晶成長による化合物(C)に基づく結晶を生成する方法であり、そして、その化合物(C)で過飽和された溶液(S)から開始し、
その結晶成長は、結晶化の一定温度Tcで維持された結晶化チャンバー内で実行され、
その結晶化チャンバーは、飽和チャンバーと流体連結し、その飽和チャンバーは、固体フィーダー基材の形態で過剰な量の化合物(C)を含み、Tcとは異なる一定の飽和温度Tsに至る。そして、温度Tsにおける溶液(S)中の化合物(C)の溶解度は、温度Tcにおける溶液(S)中の化合物(C)の溶解度より大きくなるような方法で、温度Tsは選択され、
溶液(S)の連続的な循環が、結晶化チャンバーと飽和チャンバーとの間で開始され、実質的に一定の流量で開始することが好ましく、それによって、過飽和の一定速度が結晶化チャンバー内で維持され、並びに、
そして、結晶化チャンバーと飽和チャンバーとの間で循環する溶液(S)は、それらの二つのチャンバー間で形成するような凝集体を排除して、これらの凝集体の形成を抑制するための処理が施される。その結果、寄生性の微結晶の核形成の現象を回避するか、又は抑制する、
方法である。
【0026】
その方法の第一の変更例によれば、用いられる化合物(C)は、温度上昇と共に大きくなる溶液(S)の溶解度を有する化合物である。この状況において、飽和チャンバー内で一定に維持される温度Tsは、結晶化チャンバー内で一定に維持される温度Tcよりも高くなる。
【0027】
更に特別な変更例によれば、化合物(C)は、反対に、逆傾向を示す溶解度を有する化合物である。すなわち、その化合物は、温度上昇と共に小さくなる溶液(S)の溶解度を有する。この第二の変更例によると、飽和チャンバー内で一定に維持される温度Tsは、結晶化チャンバー内で一定に維持される温度Tcよりも低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明による方法を実施することが可能なデバイスの略図である。
【0029】
【図2】図2は、本発明による結晶化を実行するのに有用な実在のデバイス例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明による方法において、結晶化チャンバーの結晶化温度Tc及び飽和チャンバーの飽和温度Tsの両方は、結晶生成プロセス中に一定の温度を保つ。本願明細書等の記載の意味において、「一定の温度」の表現の意味は、参照値T0の両方向において可能な限り小さい程度にしか変化しない温度を表すことが意図される。この一定温度は、一般的には、長期間にわたって、最大でも+/−0.1℃の変化であり、好ましくは、最大でも+/−0.05℃の変化である。言い換えると、この温度が、(T0−0.1℃)から(T0+0.1℃)までの範囲内であり、好ましくは、(T0−0.05℃)から(T0+0.05℃)までの範囲内である。より有利なことは、(T0−0.01℃)から(T0+0.01℃)までの範囲内である。用いられる化合物、溶媒、同様に温度T0の本質的な機能による温度変化は許容可能である。結晶化温度Tcを一定に維持することは、大変特に重要であり、有利なこととしては、その温度値は、+/−0.05℃内で設定され、好ましくは、+/−0.01℃で設定され、より好ましくは、+/−0.005℃で設定される。過飽和温度Tsの調整は、やや正確ではない可能があるが、通常、+/−0.1℃内で調整され、好ましくは、+/−0.05℃内で調整され、より有利なことはは、+/−0.01℃内で調整される。
【0031】
本発明による方法において、結晶化チャンバーと飽和チャンバーとの間で溶液(S)が連続的に循環することと結びついて、結晶化温度Tcと飽和温度 Tsとが一定の温度で特別に維持されることは、結晶生成についての大変特徴的な状態を促進する。特に、現在、提案されている溶液中での結晶生成と比べてみると、本発明による方法は、静的熱力学条件下で、結晶成長を特徴的に実行する。
【0032】
さらに正確に述べると、一定の値で飽和温度が維持されること及び結晶化チャンバーと飽和チャンバーとの間で溶液が連続的に循環することのため、飽和チャンバー(C)内の化合物の濃度は一定に保たれる。すなわち、その濃度は、温度Tsにおける化合物(C)の溶解度と等しくなる。この濃度維持効果を最適にするために、結晶化チャンバー間の溶液(S)の最小の循環速度が一般的に適用されてよい。ケースバイケースではあるが、この効果が奏するまで溶液(S)の循環速度を調節することは当該技術分野の当業者の創作能力の範囲内である。
【0033】
本発明の方法にしたがって得られる濃度安定化の効果を考慮すると、飽和チャンバーから出発し、その後、結晶化チャンバー内に注入される溶液(S)は、恒久的に、一定の濃度を有し、温度Tsにおける化合物(C)の溶解度と等しくなる。
【0034】
結果的に、結晶化チャンバー内において、化合物(C)が飽和温度Tsの溶解度より小さい溶解度を有することになる温度で結晶化温度Tcが維持されるならば、化合物(C)の濃度が温度Tsにおける化合物(C)の溶解度よりも大きくなって、溶液(S)が結晶化チャンバー内に注入される。言い換えれば、この溶液は、結晶化チャンバー内で恒久的に過飽和状態になる。同様に、本発明による方法において、過飽和状態は、結晶化チャンバー内で恒久的に維持される。結晶化温度Tcが結晶化チャンバー 内で実質的に一定に維持されるかぎりは、溶液(S)の相対過飽和度は、完全に画定されて、結晶化中一定の状態を保つ。
【0035】
このように、本発明者らによって創作された方法により、一定の相対過飽和が、非常に簡単な技術を利用した溶液中の結晶化方法において成し遂げられる。
【0036】
さらに一般的に言って、本発明の方法によると、結晶生成の全条件が、結晶成長期にわたって、実質的一定に維持される。本発明による方法は、温度、濃度及び過飽和度の一定条件が同時に維持されることを可能とする。
【0037】
結晶成長の条件をまたさらに安定化させる目的のために、結晶化チャンバーと飽和チャンバーとの間の連続的な溶液(S)の循環が、実質的に一定の流量で実施されることが好ましい。この連続的な循環は、一般的には、循環方法で実行され、溶液(S)は、飽和チャンバーから流出し、化合物(C)で飽和された状態になっており、第一ダクトを通って結晶化チャンバーに向かう。その後、第二ダクトを通って化合物(C)で「再充電」するように、再び飽和チャンバーの方向に向けて結晶化チャンバーを出発する。
【0038】
本発明による方法の枠組み内で得られる結晶成長の静的熱力学条件により、溶液の結晶成長の現行の公知の方法を用いて観察される成長発生を実施者は回避することが特に可能である。そして、その公知の方法は、非静的熱力学条件を採用する。
【0039】
本発明による方法を実施することについての条件は、現行の公知の方法の非静的条件に対して、多数の他の有利な点を有する。本発明にしたがった静的条件下で実施することにより、結晶成長の条件を安定化させることが特に可能となり、結晶の性能を有意に改良し、制御された組成物の結晶が得られることが可能である。中間組成物の結晶体、とりわけ、固溶体又は一つ以上のドープ元素を含有する結晶体の場合において、特に有利であることが実証され、その後、その方法は、均質な組成物の結晶を得ることが可能である。
【0040】
本発明にしたがった方法は、結晶化チャンバー内の溶液(S)の相対過飽和値、及び溶液が流出する時であれば、結晶化速度を非常に簡単に調整して確定することが可能である。本発明によると、この調整は、TcとTsの温度の値を調節するだけで得られ、過飽和度は、温度TsとTcにおける化合物(C)の溶解度の違いによって増加する。本発明者らによって創作されたその方法が、飽和度が温度を低くすることによって促進されるような方法よりも更に容易に実施されることを実証する。その温度を低くすることによる方法の場合、温度を低下させる速度を絶えず調節する必要がある。それに反して、本発明による方法において、必要とされる過飽和を促進するためには、飽和チャンバー及び結晶化チャンバー内の温度TsとTcとを一定、かつ、明確に区別すること(温度を上げると大きくなる溶解度を有する化合物の場合には、Ts>Tcであり、逆傾向の溶解度を有する化合物の場合には、Ts<Tcである。)を維持することで充分であり、そのことは、特に恒温槽を利用して、非常に容易に、かつ、低コストで達成し得る。
【0041】
その上、安定した成長条件を特徴的に用いるので、本発明による方法は、利用される過飽和速度に関して限定的ではない。特に、過飽和速度が上昇してもその方法は利用可能である。温度の急速な低下による溶液中での成長プロセスの実行と共に生じる、結晶中心と周囲部との間の熱勾配を伴わないので、結晶成長の速度は非常に大きくなる。対照的に本発明による方法において、結晶成長の速度がどのようであろうとも、その速度は、成長の開始から終了まで、結晶化チャンバー内の温度Tcで完全にサーモスタット制御された状態となる。
【0042】
その上、本発明による方法において、実施される過飽和溶液(S)は、その中で形成するような凝集体を排除して、そのような凝集体の形成を抑制するための処理が特徴的に実施され、その結果、寄生性の微結晶の核形成の現象を回避するか、又は抑制する。
【0043】
潜在的な寄生性微結晶の核形成は、溶液中の任意の結晶化方法において、ルーチン的に直面する問題である。この不利な点は、過飽和、準安定である溶液を利用することについて関連し、そして、凝集体は、溶液中に存在するある種のものが原因でルーチン的に生成する。これらの凝集体が充分に小さい(「臨界前状態」)サイズである限り、これらの凝集体は熱力学的に安定でなく、それゆえ、微結晶は形成しない。一方、凝集体が臨界半径r*に到達するか、又は超える場合に、寄生性微結晶は形成する。すなわち、媒体中の過飽和度が大きければ大きいほど、システムの平衡状態からの逸脱が大きくなり、この臨界半径r*がさらに小さくなる。
【0044】
この現象は、従来公知の溶液中における結晶化方法で特に述べられ、更に特には温度降下を利用した方法で述べられ、そしてその方法が熱力学的平衡状態でないところでの利用を示唆するという観点から述べられる。結果的に、この寄生性の核形成の現象を回避するために、凝集体が形成する場合にその凝集体を成長溶液から分離して微結晶の形態で凝集体が成長することを抑制するために、成長溶液を連続的に処理して濾過をすることが知られている。例えば、成長溶液が処理用セル内で連続的に循環することを引き起こすことによって、凝集体を分離することが提案されている。そして、その溶液は非常に強い方法で濾過され(典型的には、20nm多孔のビア膜)、過熱処理される。
【0045】
本発明にしたがった方法において、特に、確立した静的条件のため、臨界内の凝集体の生成を抑制し、及び/又は生成された凝集体を分離する目的のために、このタイプの溶液(S)の非核形成処理を適用することは、特に容易であることが実証されている。
【0046】
その結果として、循環する過飽和溶液(S)の臨界前の凝集体が取り除かれるか、又は分離することが可能である任意のタイプの処理が、本発明の範囲内で検討され得る。この処理は、他の可能性がある手段の中で、溶液(S)が、結晶化チャンバーと飽和チャンバーとの間で超音波を受けることを含むことが有利である。この超音波処理とともに、溶液の熱処理が結晶化チャンバーと飽和チャンバーとの間で利用されて、得られることが有利である。
【0047】
すなわち、温度を上げると大きくなる溶解度を有する化合物(C)を利用する場合:結晶化チャンバーと飽和チャンバーとの間の溶液(S)を熱処理する。結晶化チャンバーが到達する飽和チャンバーの温度Tsよりも少なくとも10℃高い温度で熱処理をすることが有利である。
【0048】
温度を下げると逆傾向の溶解度を有する化合物(C)を利用する場合:結晶化チャンバーと飽和チャンバーとの間の溶液(S)を冷却する。有利なこととしては、飽和チャンバーの温度Tsよりも少なくとも10℃低い温度で冷却をすることが有利である。
【0049】
生成している任意の凝集体を保持するために、溶液(S)は、適宜、結晶化チャンバーと飽和チャンバー間でさらに濾過されてもよい。しかし、このことは必ずしもルーチン的には必要ではない。
【0050】
これらの様々な要因を考慮すると、本発明による方法は、現行の公知の方法に対して非常に有利な代替手段を構成する。その代替手段は成長発生の危険度を抑制して最適化された結晶特性を得ることが可能となることによって、非常に速いスピードで非常に大きな寸法の単結晶の生産方法を可能とするからである。
【0051】
その結果として、本発明者らによって提案されている方法が、実際には、非常に容易に実施されるが、その方法は、まったく驚くべきことには、得られる結晶特性と結晶成長速度との最適化を同時に可能とする。本発明による方法の実質的な有利な点の一つは、成長欠陥の危険度を低くしながら同時に、生産スピードを大きくすることを可能とすることである。さらに、本発明の方法によって得ることが可能な結晶成長の速度は、一般的には、溶解浴法を利用して記録された速度に匹敵する。すなわち、その速度は、1日につき少なくとも数センチメートルのオーダーである。
【0052】
溶液中の結晶生成についての現行の公知方法と比較して、本発明による方法の別の有利な点は、非常に小さい溶解度又は温度に対する変化が非常に小さい溶解度を有する化合物の結晶成長を可能とすることである。
【0053】
更に一般的に言って、本発明による方法は、多数の化学化合物の結晶成長に対して適切であることが実証されている。確かに、任意の化合物が溶媒に溶解可能であるならば、その化合物は、実際上、本発明による方法において化合物(C)として用いられてよい。
【0054】
全ての場合において、本発明による方法は、単結晶を生成することに対して特に適し、 その単結晶は実質的に欠陥がなく、大きな寸法を有する。例えば、その寸法は、約10センチメートル以上のオーダーである。本発明は、このように、溶解浴法によって得られる単結晶の性能と少なくとも同様な性能の新しい単結晶を得ることが可能であり、たとえ、溶解浴法を用いて結晶化が不可能である化合物(C)を利用しても新しい単結晶を得ることができる。特に、本発明は、高速性の成長を可能として、大サイズの単結晶を生成し、実質的に欠陥がなく、調和融点を欠いている化合物(C)又は融解状態と固体状態との間で相転移を示す化合物(C)に基づくものである。
【0055】
用いられる化合物(C)の本質がどのようなものであっても、本発明による方法は、下記に示される一つ以上の追加的な性能を示すことが好ましい。
【0056】
本発明による方法において、結晶化チャンバー内で維持される過飽和速度は出来るだけ大きい方が好ましく、結果として、結晶成長の速度を大きくすること可能である。この過飽和速度は、飽和温度と結晶化温度であるTsとTcとを調節することによって、大変簡単に調整することが可能であり、特に、これらの二つの温度差であるΔTを調節することによって調整可能である。
【0057】
結晶化チャンバー内の過飽和速度の正確な値は、化合物(C)の本質的な機能として、非常に広範囲にわたって変化することが可能である。しかし、本発明により得ることが可能である過飽和速度は、溶液成長の現行方法で得られる速度より大きくなることに注意されたい。典型的には、本発明の方法によると、過飽和速度は、一般的には1%〜30%の範囲、例えば1〜25%の範囲の値で容易に調整されて一定の速度で固定され得る。この過飽和速度は、10%を超えた値、例えば少なくとも15%を超えた値、又さらには少なくとも20%を超えた値に到達することがとりわけ可能である。その値は、溶液成長の現行方法で予想される過飽和速度よりもずっと高い。
【0058】
本発明の特定の実施形態によると、本発明者らによって創作された方法は、光学適用で利用されるタイプ、特に、LASERタイプのデバイスを構成するタイプである多量の二リン酸カリウムで単結晶を生成するために特に利用され得る。この特定の態様において、化合物(C)は二リン酸カリウムKH2PO4(KDP)であって、好ましくは、少なくとも一部分で重水素化した形態(DKDP)である。本発明による方法によって、光学性結晶は、これらの化合物に基づいて、容易に、かつ、迅速に、得られることが可能である。
【0059】
次に続く記載の一部分は、特にKDP又はDKDPの結晶生成に関連して述べられるが、この実施態様は、多くの態様の中のほんの一つの態様に過ぎず、本発明を限定的にさせると考えるべきではないことを強調しておきたい。
【0060】
化合物(C)としてKDP又はDKDPを用いる特定の態様において、結晶化チャンバーが有する温度Tcは、5〜80℃の範囲内であることが好ましい。更なる特定の実施態様によると、本発明にしたがったKDP又はDKDPの結晶化方法は低温、すなわち、結晶化温度が40℃未満で維持される温度Tcで実施されることが有利であり、30℃未満、例えば、15〜25℃であることが好ましい。その上、結晶化温度は、+/−0.1℃以下で変化することが好ましく、+/−0.05℃以下で変化することがより好ましい。このように、結晶化チャンバー内の温度Tcは、典型的には、20℃+/−0.005℃で設定されることが可能である。
【0061】
その上、化合物(C)がKDP又はDKDPである場合、飽和チャンバーと結晶化チャンバーとの間の温度差(Ts−Tc)が数℃オーダーであることが好ましく、この温度差が、Tc及び好ましい成長速度の機能で変化することが可能である。この温度差は、典型的には、2〜30℃であり、この差が少なくとも10℃であることが有利なことである。例えば、その差は、15℃〜20℃である。
【0062】
本発明のこの特定の実施態様により得られることが可能であり、有利なこととして、10cm以上の少なくとも一つの寸法を有して、実質的に欠陥のない多量のDKDPによる単結晶は、本発明の別の主題の特定の態様にしたがって構成される。
【0063】
これらのDKDPの単結晶は、非常に良好な性能を示し、特に、実質的に欠陥がなく、材料内に均一の重水素/水素比を示し、光学用途に対して、非常に良好な材料となる。
【0064】
更に特別の態様によると、本発明の一つの目的は、また、本発明にしたがった方法を実施するためのデバイスである。
【0065】
このデバイスは、
溶液中で結晶を成長させるのに適する結晶化チャンバーであって、入口と出口と、さらに、その結晶化チャンバーが、実質的に一定の結晶化温度Tc、典型的には−30℃から+150℃までの範囲に及ぶ温度で維持されることが可能である温度調整手段をも備える、結晶化チャンバー、
過剰な量の固体溶質に接触する溶液を配置するのに適する飽和チャンバーであって、その結晶化チャンバーのその出口に流体連結した入口とその結晶化チャンバーのその入口に流体連結した出口と、さらに、その飽和チャンバーがTcとは異なる実質的に一定の結晶化温度Tsで維持されることが可能である温度調整手段をも備える、飽和チャンバー、
並びに、
その飽和チャンバー出口からその結晶化チャンバーの入口に向い、及びその結晶化チャンバーの出口からその飽和チャンバーの入口に向う、二つのチャンバー間で溶液の連続的な循環を可能とする手段であって、これらの循環手段が、その循環溶液で形成することが可能である凝集体を排除する手段とそのような凝集体の形成を抑制する手段とを更に備える、手段
を含む。
【0066】
有利な実施態様によると、二つのチャンバー間で溶液を連続的に循環することが可能な手段は、溶液を加熱するか、又は冷却するための熱処理手段と、一般的には結び付く超音波分解手段、及び原則として結晶化チャンバーの出口と飽和チャンバーの入口との間に、適宜、濾過をする手段を備える。
【0067】
本発明は、添付された図面に基づいて更に詳細に述べられるであろう。
【0068】
これらの図は、入口11と出口12とを備えた結晶化チャンバー内に化合物(C)(その化合物は、例えば、DKDPである。ただし、必ずしもDKDPである必要はない)による結晶1の成長を示す。このチャンバー10内の温度Tcは、例えば、図2に表される恒温槽15のような適切な調節手段によって、一定の温度に保たれる。
【0069】
入口21と出口22とを備えた飽和チャンバー20から出発した溶液(S)を結晶化チャンバーに連続的に供給する。このチャンバーも、同様に、例えば、図2に表される恒温槽25のような適切な調節手段によって、一定の温度(Ts)に保たれる。DKDPの成長の場合に、温度Tsが、Tcよりも、例えば少なくとも10℃低くなる。最も一般的な場合として、Tsは、Tcに対して数℃又は更に数十℃異なる。飽和チャンバーは、固体フィーダー基材28の状態で過剰な量の化合物(C)を含み、その溶液がその飽和チャンバー内で飽和状態になることを可能とする(チャンバー20内で、溶液(S)中の化合物(C)の濃度が温度Tsにおける化合物(C)の飽和濃度と等しくなる。)。
【0070】
チャンバー10と20は、図2において具体的に表されているタイプの撹拌及び均質化手段を一般的には備える。
【0071】
溶液(S)の循環の方向は、図に表された矢印によって示される。すなわち、溶液は、飽和チャンバー20の出口22から結晶化チャンバー10の入口11に向けて出発し、その後、このチャンバー10の出口12を出発して、再び、その飽和チャンバーの入口2の方向に向かって出発する。この循環は、図の31と32とによって示された適切な手段によって保証され、その手段は、図2で表されるような特定蠕動ポンプでよい。これらの手段は、一般的には、結晶生成中に溶液(S)の一定の流速を保証するために用いられる。
【0072】
温度Tsで飽和チャンバー20を出発する飽和溶液は、Tcとは区別される一定の温度で維持された成長チャンバー10に送られ、その溶液が過飽和の状態になるように選択され、このようにして、溶液(S)から結晶1の成長を可能とする。結晶成長中、消費によって化合物(C)を使い切った溶液(S)が結晶化チャンバーを出発して、飽和チャンバー20中において再度豊富な量の化合物(C)で満たされるようになる。
【0073】
有利なこととして、溶液(S)の循環回路が、結晶化チャンバーの出口12と飽和チャンバーの入口21との間に、超音波分解手段を備えたチャンバー40を含み、そして、また、そのチャンバーは、溶液が亜飽和状態に導かれる方向で、その溶液を加熱又は冷却によって熱処理することが好ましく、これらの手段によって、凝集体の形成を制限するか、及び/又は存在する凝集体を分解することによって、溶液中の寄生性の核形成現象を抑制することが可能である。安全対策として、溶液(S)の循環回路は、溶液を濾過する手段を更に含んでよい。
【0074】
図が示すように、本発明による方法は、非常に容易に実施することが可能であり、正確な温度と流量を調整するほんの些細な手段だけを必要とし、その調整手段は、温度降下制御を用いた現行の公知の結晶成長方法で必要とされる調整手段よりも非常に容易に実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液中での結晶成長による、化合物(C)に基づく結晶を生産する方法であって、該化合物(C)で過飽和された溶液(S)から開始し、
該結晶成長が、一定の結晶化温度Tcで維持された結晶化チャンバー内で実行され、
該結晶化チャンバーが飽和チャンバーと流体連結し、該飽和チャンバーが固体フィーダー基材の形態で過剰な量の該化合物(C)を含んで、該Tcとは異なる一定の飽和温度Tsに至り、該温度Tsにおける該溶液(S)中の該化合物(C)の溶解度が、該温度Tcにおける該溶液(S)中の該化合物(C)の溶解度より大きくなるような方法で、該温度Tsが選択され、
該溶液(S)の連続的な循環が、該結晶化チャンバーと該飽和チャンバーとの間で開始され、それによって、一定の過飽和速度が該結晶化チャンバー内で維持され、並びに、
該結晶化チャンバーと該飽和チャンバーとの間で循環する該溶液(S)は、二つの該チャンバー間で形成するような凝集体を排除して該凝集体の形成を抑制するための処理が施されて、寄生性の微結晶の核形成の現象を回避するか、又は抑制する、
方法。
【請求項2】
前記循環溶液(S)内で、前記凝集体を排除して前記凝集体の形成を抑制するための処理が、前記結晶化チャンバーと前記飽和チャンバーの間で前記溶液(S)が超音波処理を受けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物(C)が温度上昇と共に大きくなる前記溶液(S)の溶解度を有し、及び前記飽和チャンバー内で一定に維持される前記温度Tsが前記結晶化チャンバー内で一定に維持される前記温度Tcよりも高くなる、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記結晶化チャンバーと前記飽和チャンバーとの間で循環する前記溶液(S)中に、前記凝集体を排除して前記凝集体の形成を抑制するための処理が、前記超音波処理を前記溶液(S)が受けることを含み、前記結晶化チャンバーと前記飽和チャンバーの間で前記溶液(S)を加熱することを伴う、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物(C)が温度上昇と共に小さくなる前記溶液(S)の溶解度を有し、及び前記飽和チャンバー内で一定に維持される前記温度Tsが前記結晶化チャンバー内で一定に維持される前記温度Tcよりも低くなる、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記循環溶液(S)中で、前記凝集体を排除して前記凝集体の形成を抑制するための処理が、前記超音波処理を前記溶液(S)が受けることを含み、前記結晶化チャンバーと前記飽和チャンバーの間で前記溶液(S)を冷却することを伴う、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記結晶化チャンバーと前記飽和チャンバーとの間における前記溶液(S)の連続的な循環が、実質的に一定の流量で実行される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記結晶化チャンバー内で一定に維持された過飽和速度が10%超である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物(C)が、二リン酸カリウムKH2PO4又は少なくとも一部分が重水素化した形態の二リン酸カリウムである、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
低温で実行され、前記結晶化チャンバーが維持されるTcが40℃未満、好ましくは30℃未満、例えば、15から20℃である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記飽和チャンバーと前記結晶化チャンバーとの温度差(Ts−Tc)が、2から30℃である、請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法によって得られることが可能である、実質的に欠陥がない単結晶であって、前記化合物(C)が調和融点を示さないか、又は融解状態と固体状態との間で相転移を有する、単結晶。
【請求項13】
請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の方法によって得られることが可能である、実質的に欠陥がない多量のDKDPによる単結晶であって、材料内に均一の重水素/水素比を示す、単結晶。
【請求項14】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法を実施するためのデバイスであって、
溶液中で結晶を成長させるのに適する結晶化チャンバーであって、入口と出口と、さらに、該結晶化チャンバーが実質的に一定の結晶化温度Tcで維持されることが可能である温度調整手段をも備える、結晶化チャンバー、
過剰な量の固体溶質に接触する溶液を配置するのに適する飽和チャンバーであって、該結晶化チャンバーの該出口に流体連結した入口と該結晶化チャンバーの該入口に流体連結した出口と、さらに、該飽和チャンバーがTcとは異なる実質的に一定の結晶化温度Tsで維持されることが可能である温度調整手段をも備える、飽和チャンバー、並びに、
該飽和チャンバーの該出口から該結晶化チャンバーの該入口に向かい、及び該結晶化チャンバーの該出口から該飽和チャンバーの該入口に向かう、二つの該チャンバー間で溶液の連続的な循環を可能とする手段であって、これらの該循環手段が、該循環溶液で形成することが可能である凝集体を排除する手段と該凝集体の形成を抑制する手段とをさらに備える、手段
を含む、デバイス。
【請求項15】
前記二つのチャンバー間で前記溶液の連続的な循環を可能とする前記手段が超音波分解手段を含む、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記超音波分解手段が、前記溶液の亜飽和状態を促進する方向で前記溶液を加熱又は冷却をするための熱処理手段を伴う、請求項15に記載のデバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−511589(P2010−511589A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539776(P2009−539776)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001980
【国際公開番号】WO2008/081103
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【Fターム(参考)】