説明

静電センサシート及びその製造方法

【課題】保護層に被覆された出荷段階の電極パターンの電気的特性を適切に検査できる静電センサシート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁性の基材フィルム層1と、基材フィルム層1の表面に複数の電極パターン11と導電引回しライン12とが形成される導電層10と、導電層10を被覆する絶縁性の保護カバー層20とを備え、製品形態に抜き加工された後に保護カバー層20に被覆された導電層10の電極パターン11の電気的特性が検査される静電センサシートであり、導電層10の各電極パターン11の周縁部外周に検査端子30を一体形成し、保護カバー層20に、各検査端子30に連通する複数の検査孔40を穿孔する。電極パターン11と一体の検査端子30にプローブの探針を保護カバー層20の検査孔40を介して接触させ、電極パターン11の電気的特性を検査・評価するので、出荷段階の電極パターン11の電気的特性が最終的に良好か否かを適切、かつ正確に検査できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンピュータ機器や自動車搭載機器等の操作に使用される静電センサシート及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における静電センサシートは、図8や図9に示すように、絶縁性を有する幅広の基材フィルム層1の表面に、複数の電極パターン11と導電引回しライン12とを備えた導電層10が形成されるとともに、この導電層10を被覆する絶縁性の保護カバー層20が積層接着され、その後、幅広の基材フィルム層1が最終的な製品形態に抜き加工されることにより、所定形状のセンサシートに製造されて出荷される(特許文献1、2参照)。
【0003】
導電層10は、複数の電極パターン11が一列に配列され、各電極パターン11が平面矩形に形成されてその周縁部には細い導電引回しライン12が一体形成されており、この複数の導電引回しライン12の端部が保護カバー層20からそれぞれ露出する。また、保護カバー層20は、透明あるいは半透明に形成され、導電層10の損傷を防止するよう機能する。
【0004】
このような静電センサシートは、基材フィルム層1に、導電層10を覆う保護カバー層20が積層接着される関係上、保護カバー層20が積層接着された後には、電極パターン11にプローブを接触させてその抵抗値、換言すれば、電気的特性を適切に検査して評価することができない。
そこで従来、電極パターン11の電気的特性を検査して評価する場合には、保護カバー層20を接着する前の製造段階で電極パターン11にプローブを接触させて検査するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009‐187854号公報
【特許文献2】特開2008‐209384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来における静電センサシートは、以上のように製造され、電極パターン11の電気的特性が検査された後に保護カバー層20が積層接着されて基材フィルム層1が製品形態に抜き加工されるので、製造段階の電極パターン11の電気的特性を検査することができるものの、検査した後の出荷段階の電極パターン11の電気的特性が最終的に良好か否かを検査することができないという問題がある。
【0007】
係る問題を解消するには、保護カバー層20を部分的に剥離して出荷状態の電極パターン11を露出させ、この露出した電極パターン11の電気的特性をプローブにより検査する手法が考えられる。しかしながら、この場合には、保護カバー層20を再度接着しなければならないし、静電センサシートの体裁が悪化して出荷に支障を来たすおそれも考えられる。
【0008】
本発明は上記に鑑みなされたもので、保護層に被覆された出荷段階の電極パターンの電気的特性を適切に検査することのできる静電センサシート及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては上記課題を解決するため、絶縁性の基材層と、この基材層に電極パターンと導電引回しラインとが形成される導電層と、この導電層を被覆する絶縁性の保護層とを備え、製品形態に加工された後に保護層に被覆された導電層の電極パターンの電気的特性が検査されるものであって、
導電層の電極パターンの周縁部付近に検査端子を一体形成し、保護層に、検査端子に連通(連なり通る)する検査孔を設けたことを特徴としている。
【0010】
なお、検査端子を、電極パターンの周縁部、周縁部の内側近傍、及び周縁部の外側の少なくともいずれかに一体形成することができる。
また、基材層に、第一電極パターンと第一導電引回しラインとを備えた第一の導電層、この第一の導電層を被覆する絶縁層、第二電極パターンと第二導電引回しラインとを備えた第二の導電層、及び第二の導電層を被覆する保護層を順次積層し、第一電極パターンの周縁部付近に第一検査端子を、第二電極パターンの周縁部付近には第二検査端子をそれぞれ一体形成し、保護層と絶縁層とに、第一検査端子に連通する第一検査孔を設けるとともに、保護層に、第二検査端子に連通する第二検査孔を設けることができる。
【0011】
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1、2、又は3記載の静電センサシートの製造方法であって、
絶縁性の基材層に電極パターンと導電引回しラインとを備えた導電層を形成するとともに、電極パターンの周縁部付近に検査端子を一体形成し、導電層に絶縁性の保護層を積層してその検査孔を検査端子に連通するよう位置合わせし、その後、基材層を製品形態に抜き加工して所定形状の静電センサシートを得ることを特徴としている。
【0012】
なお、基材層を製品形態に抜き加工して所定形状の静電センサシートを得た後、電極パターンと一体化した検査端子にプローブを検査孔を介して接触させることにより、電極パターンの電気的特性を検査することが好ましい。
【0013】
ここで、特許請求の範囲における基材層の表面、裏面、あるいは表裏面には、ノイズ対策用等のグラウンド層を形成することができる。また、導電層と保護層とは、基材層の表面、裏面、あるいは表裏面に形成することができる。これら導電層と保護層とは、透明、不透明、又は半透明のいずれでも良い。導電層の電極パターンと導電引回しラインとは、単数複数を特に問うものではない。保護層は、導電層を直接被覆しても良いし、又接着層、粘着層、絶縁層等を介して間接的に導電層を被覆しても良い。また、検査端子は、平面円形、楕円形、矩形、多角形、I字形等を問うものではない。
【0014】
本発明によれば、基材層に保護層を直接的あるいは間接的に積層して導電層を直接間接に被覆し、保護層の検査孔を電極パターンの周縁部付近に位置する検査端子に連通させ、基材層や保護層を最終的な製品形態に加工して所定形状の静電センサシートを得た後、電極パターンと一体の検査端子にプローブを検査孔を介して接触させれば、電極パターンの最終的な電気的特性をそのままの状態で検査・評価し、静電センサシートを出荷することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、保護層に被覆された出荷段階における導電層の電極パターンの電気的特性を適切に検査することができるという効果がある。
【0016】
また、請求項2記載の発明によれば、電極パターンの周縁部やその内側近傍に検査端子を一体形成すれば、電極パターンの周縁部外方に検査端子を接続ラインを介して別に形成する必要がない。また、電極パターンの周縁部の外側に検査端子を一体形成すれば、電極パターンの検査の際、プローブとの直接的な接触に伴う電極パターンの損傷のおそれを防ぐことができる。
【0017】
また、請求項3記載の発明によれば、例え導電層が多層の場合にも、出荷段階の各電極パターンの電気的特性を適切に検査することが可能になる。
また、請求項5記載の発明によれば、製品として出荷される最終段階の電極パターンの電気的特性を検査できるので、検査時に保護層を部分的に剥離して電極パターンを露出させたり、剥離した保護層を再度接着する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る静電センサシートの実施形態を模式的に示す平面説明図である。
【図2】本発明に係る静電センサシートの実施形態を模式的に示す一部断面説明図である。
【図3】本発明に係る静電センサシートの第2の実施形態を模式的に示す平面説明図である。
【図4】本発明に係る静電センサシートの第2の実施形態を模式的に示す一部断面説明図である。
【図5】本発明に係る静電センサシートの第3の実施形態を模式的に示す平面説明図である。
【図6】本発明に係る静電センサシートの第4の実施形態を模式的に示す平面説明図である。
【図7】図6のVI‐VI線断面説明図である。
【図8】従来の静電センサシートを模式的に示す平面説明図である。
【図9】従来の静電センサシートを模式的に示す一部断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態における静電センサシートは、図1や図2に示すように、絶縁性の基材フィルム層1と、この基材フィルム層1に複数の電極パターン11と導電引回しライン12とが形成される導電層10と、この導電層10を直接被覆する絶縁性の保護カバー層20とを備え、製品形態に加工された後に保護カバー層20に被覆された導電層10の電極パターン11の電気的特性が検査されるセンサシートであり、導電層10の各電極パターン11の周縁部付近に導電性の検査端子30を一体形成し、保護カバー層20に、各検査端子30に連通する複数の検査孔40を穿孔するようにしている。
【0020】
基材フィルム層1は、図1や図2に示すように、例えば耐熱性や強度等に優れる屈曲可能なポリエチレンテレフタレート製の薄いフィルム等が使用され、最終的な製品形態に抜き加工されて余剰部が除去されることにより、左右方向(図1の上下方向)に細長い平面略T字形に形成される。
【0021】
導電層10は、図1や図2に示すように、基材フィルム層1の表面中央の左右方向に所定の間隔で一列に配列形成される複数の電極パターン11を備え、この複数の電極パターン11の周縁部に導電引回しライン12がそれぞれ一体形成される。この導電層10は、例えば膜厚の自由度や汎用性等を考慮して導電性ポリマーや銀ペーストを使用したスクリーン印刷法等により形成され、透明性が選択的に付与される。
【0022】
各電極パターン11は、接近してくるユーザの指(図示せず)の大きさを考慮した平面矩形に形成され、周縁部の後方に導電引回しライン12の先端部が接続される。複数の導電引き回しライン12は、それぞれ細長い線条に形成され、所定の間隔で一箇所に集約される。各導電引き回しライン12は、接続される電極パターン11の位置に応じ、平面略L字形に屈曲形成されたり、略I字形に伸長形成され、末端部が保護カバー層20の端部から露出して他の電子回路との接続用に利用される。
【0023】
保護カバー層20は、同図に示すように、例えば優れた耐候性や加工性を有するアクリル樹脂製等の透明なフィルムが使用され、基材フィルム層1の表面に接着剤や粘着シートを介し積層接着されて導電層10の複数の電極パターン11と導電引回しライン12の大部分とを外部から有効に被覆保護する。この保護カバー層20は、基材フィルム層1が最終的な製品形態に抜き加工される際、共に抜き加工されて余剰部が除去されることにより、左右方向に細長い平面略T字形に形成される。
【0024】
各検査端子30は、同図に示すように、例えば高い強度や硬度、環境性等を考慮し、カーボンを用いたスクリーン印刷法等により基材フィルム層1の表面に小さな平面円形に形成され、各電極パターン11の周縁部の外側近傍、換言すれば、外周前方に細く短い線条の接続ライン31を介し寄り添うよう接続形成される。
【0025】
複数の検査孔40は、同図に示すように、導電層10を被覆する前の保護カバー層20に予め一列に並べて穿孔され、複数の電極パターン11と一体化した検査端子30に上方からそれぞれ対向連通し、電極パターン11の抵抗値、すなわち電気的特性が検査される際、検査端子30の表面に図示しないプローブの探針を接触させるよう機能する。各検査孔40の形状や大きさは、プローブの探針の大きさに応じて適宜選択される。
【0026】
上記構成において、静電センサシートを製造する場合には、先ず、大き目の基材フィルム層1を用意し、この基材フィルム層1の表面に複数の電極パターン11と導電引回しライン12とを備えた導電層10を薄くスクリーン印刷するとともに、各電極パターン11の周縁部外周付近に検査端子30を導電性の接続ライン31と共に一体的に薄くスクリーン印刷し、これら導電層10と複数の検査端子30とをそれぞれ乾燥硬化させる。
【0027】
こうして導電層10と複数の検査端子30とを乾燥硬化させたら、基材フィルム層1の表面に大き目の保護カバー層20を接着剤等を介し積層接着して導電層10を被覆し、保護カバー層20に予め穿孔しておいた複数の検査孔40を検査端子30にそれぞれ連通するよう位置合わせする。この際、基材フィルム層1の表面と保護カバー層20とに位置決め用のマークを予め形成しておき、このマークを位置決めすれば、複数の検査孔40と検査端子30とを正確、かつ容易に位置合わせすることができる。
【0028】
次いで、基材フィルム層1や保護カバー層20を平面略T字形の最終的な製品形態に抜き加工して所定形状の静電センサシートを形成し、その後、各電極パターン11と一体化した検査端子30表面にプローブの探針を保護カバー層20の検査孔40を介して直接接触させることにより、各電極パターン11の最終的な抵抗値を検査・評価して選別すれば、高品質の静電センサシートを製造して出荷することができる。
【0029】
このようにして製造された静電センサシートは、所定の機器、例えば自動車搭載機器に複数の導電引き回しライン12が電気的に接続された後、複数の電極パターン11のうち、選択された任意の電極パターン11にユーザの指が保護カバー層20を介して近接することにより、静電容量の変化を検出して自動車搭載機器の入力操作に資することとなる。
【0030】
上記構成によれば、各電極パターン11と一体の検査端子30にプローブの探針を保護カバー層20の検査孔40を介して接触させ、電極パターン11の電気的特性をそのまま検査・評価するので、出荷直前の電極パターン11の電気的特性が最終的に良好か否かをきわめて適切、かつ正確に検査することができる。
【0031】
また、検査時に保護カバー層20を部分的に剥離して電極パターン11を露出させる必要がないので、保護カバー層20を再度接着する必要が全くなく、静電センサシートの体裁が悪化して出荷に支障を来たすおそれもない。また、電極パターン11の表面と検査端子30とがやや離れて位置するので、電極パターン11表面のデザイン性が悪化するのを防止することができる。さらに、各検査端子30がカーボン製なので、プローブの探針が圧接されるのに伴い、検査端子30が損傷するのを有効に防止したり、検査端子30が酸化して検査に支障を来たすのを防ぐことが可能になる。
【0032】
次に、図3及び図4は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、複数の電極パターン11の周縁部付近、具体的には表面周縁部の内側近傍に平面円形の検査端子30をそれぞれ小さくスクリーン印刷して形成するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0033】
本実施形態においても、各電極パターン11表面と一体の検査端子30にプローブの探針を保護カバー層20の検査孔40を介し直接接触させ、電極パターン11の電気的特性をそのまま検査・評価するので、上記実施形態と同様の作用効果が期待できるのは明らかである。また、各電極パターン11の外周前方に検査端子30を接続ライン31を介して別に突出形成する必要が全くないので、接続ライン31を省略することができ、接続ライン31の断線に伴う検査の不具合を有効に抑制防止することができる。
【0034】
次に、図5は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、複数の電極パターン11の周縁部付近、具体的には表面周縁部上、換言すれば、輪郭線上に平面円形の検査端子30をそれぞれ小さくスクリーン印刷して形成するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0035】
本実施形態においても、各電極パターン11表面と一体の検査端子30にプローブの探針を保護カバー層20の検査孔40を介し直接接触させ、電極パターン11の電気的特性をそのまま検査・評価するので、上記実施形態と同様の作用効果が期待できるのは明らかである。また、検査端子30のパターンの多様化を図ることもできる。
【0036】
次に、図6及び図7は本発明の第4の実施形態を示すもので、この場合には、導電層10を第一、第二の導電層10A・10Bに分割し、複数の検査端子30を複数の第一検査端子30Aと第二検査端子30Bとに分割するとともに、複数の検査孔40を複数の第一検査孔40Aと第二検査孔40Bとし、基材フィルム層1の表面に、第一の導電層10A、複数の絶縁層50・50A、第二の導電層10B、及び保護カバー層20を順次積層するようにしている。
【0037】
基材フィルム層1は、最終的な製品形態に抜き加工されると、上記実施形態の場合よりも前後方向(図6の左右方向)に長い幅広の平面略T字形に形成される。また、第一の導電層10Aは、基材フィルム層1表面の中央部を除く前後部の左右方向に所定の間隔でそれぞれ一列に配列形成される複数の第一電極パターン11A・11Bを備え、この複数の第一電極パターン11A・11Bの周縁部に第一導電引回しライン12Aがそれぞれ一体形成される。
【0038】
複数の絶縁層50・50Aは、例えばポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート製の薄いフィルム等が使用され、基材フィルム層1の表面に重ねて積層されて第一の導電層10Aを被覆するよう機能する。これら絶縁層50・50Aには、必要に応じて光透過性等が付与される。
【0039】
第二の導電層10Bは、上層の絶縁層50A表面の中央部左右方向に所定の間隔で一列に配列形成される複数の第二電極パターン11Cを備え、この複数の第二電極パターン11Cの周縁部に第二導電引回しライン12Bがそれぞれ一体形成されており、保護カバー層20に直接的に被覆保護される。各第二電極パターン11Cは、基材フィルム層1や絶縁層50・50Aの左右方向に指向する平面略矢印形に形成され、周縁部の後方に第二導電引回しライン12Bの先端部が接続されており、各導電引き回しライン12Bが複数の絶縁層50・50Aをジャンパー構造により経由して基材フィルム層1の表面後部に集約される。
【0040】
複数の第一検査端子30Aは、基材フィルム層1表面の前部に並ぶ各第一電極パターン11A表面の周縁部内側近傍に直接形成されるとともに、基材フィルム層1表面の後部に並ぶ各第一電極パターン11Bの周縁部外側に接続ライン31を介して接続形成される。また、複数の第二検査端子30Bは、各第二電極パターン11C表面の周縁部内側近傍に直接形成される。
【0041】
複数の第一検査孔40Aは、保護カバー層20と絶縁層50・50Aとに連過して穿孔され、第一検査端子30Aに対向して連通するよう機能する。また、複数の第二検査孔40Bは、保護カバー層20に並べて穿孔され、第二検査端子30Bに対向して連通する。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0042】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、例え導電層10が複数積層される場合にも、第一検査端子30Aと第二検査端子30Bとにプローブの探針をそれぞれ接触させ、第一電極パターン11A・11Bと第二電極パターン11Cの電気的特性をそのままの状態で検査・評価することができるのは明白である。
【0043】
なお、上記実施形態では導電層10と検査端子30の材料を相違させたが、何らこれに限定されるものではなく、同一の材料でも良い。また、デザイン性の要請に応じ、電極パターン11の周縁部上やその内側近傍と外側とに検査端子30をそれぞれ一体形成しても良い。さらに、特に問題がなければ、基材フィルム層1の表面に保護カバー層20を接着した後、保護カバー層20に必要数の検査孔40を穿孔しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る静電センサシート及びその製造方法は、音響機器、家電機器、携帯機器、ゲーム機器、コンピュータ機器、情報通信機器、自動車搭載機器等の分野で使用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 基材フィルム層(基材層)
10 導電層
10A 第一の導電層
10B 第一の導電層
11 電極パターン
11A 第一電極パターン
11B 第一電極パターン
11C 第二電極パターン
12 導電引回しライン
12A 第一導電引回しライン
12B 第二導電引回しライン
20 保護カバー層(保護層)
30 検査端子
30A 第一検査端子
30B 第一検査端子
31 接続ライン
40 検査孔
40A 第一検査孔
40B 第二検査孔
50 絶縁層
50A 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の基材層と、この基材層に電極パターンと導電引回しラインとが形成される導電層と、この導電層を被覆する絶縁性の保護層とを備え、製品形態に加工された後に保護層に被覆された導電層の電極パターンの電気的特性が検査される静電センサシートであって、
導電層の電極パターンの周縁部付近に検査端子を一体形成し、保護層に、検査端子に連通する検査孔を設けたことを特徴とする静電センサシート。
【請求項2】
検査端子を、電極パターンの周縁部、周縁部の内側近傍、及び周縁部の外側の少なくともいずれかに一体形成した請求項1記載の静電センサシート。
【請求項3】
基材層に、第一電極パターンと第一導電引回しラインとを備えた第一の導電層、この第一の導電層を被覆する絶縁層、第二電極パターンと第二導電引回しラインとを備えた第二の導電層、及び第二の導電層を被覆する保護層を順次積層し、第一電極パターンの周縁部付近に第一検査端子を、第二電極パターンの周縁部付近には第二検査端子をそれぞれ一体形成し、保護層と絶縁層とに、第一検査端子に連通する第一検査孔を設けるとともに、保護層に、第二検査端子に連通する第二検査孔を設けた請求項1又は2記載の静電センサシート。
【請求項4】
請求項1、2、又は3記載の静電センサシートの製造方法であって、絶縁性の基材層に電極パターンと導電引回しラインとを備えた導電層を形成するとともに、電極パターンの周縁部付近に検査端子を一体形成し、導電層に絶縁性の保護層を積層してその検査孔を検査端子に連通するよう位置合わせし、その後、基材層を製品形態に抜き加工して所定形状の静電センサシートを得ることを特徴とする静電センサシートの製造方法。
【請求項5】
基材層を製品形態に抜き加工して所定形状の静電センサシートを得た後、電極パターンと一体化した検査端子にプローブを検査孔を介して接触させることにより、電極パターンの電気的特性を検査する請求項4記載の静電センサシートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−174494(P2012−174494A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35577(P2011−35577)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】