説明

静電容量式スイッチ装置

【課題】両手の状態が異なる場合でも、適切に静電容量式スイッチの操作を受け付けることができる静電容量式スイッチ装置を提供する。
【解決手段】車載機器を操作するための操作入力部に含まれる、静電容量の変化に基づいてユーザによる操作入力の有無を検出する静電容量式スイッチが1つまたは複数配置された第1操作領域と、第1操作領域と離間し静電容量式スイッチが1つまたは複数配置された第2操作領域と、が設定され、静電容量の変化に応じて、静電容量式スイッチが操作されたか否かを判定する閾値である静電容量閾値を測定する静電容量閾値測定部と、測定した静電容量閾値が、2つの操作領域のいずれに含まれる静電容量式スイッチの操作によるものかを特定して、特定した操作領域に配置されている他の全ての静電容量式スイッチが操作されたか否かを判定するための操作領域用静電容量閾値として決定する静電容量閾値決定部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両において静電容量の変化を計測し、その計測値から操作者の操作を検出し、機器の制御の入力とする静電容量式スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル等で、各種の静電容量式スイッチを備えた車両が増えてきており、車内の複数の箇所に静電容量式スイッチが備えられている。例えば、前席の中心部にはセンターパネルが備えられ、ナビ、エアコン、オーディオ等の制御スイッチ群と各機器の状態を表示する画面が備わっている。また、前席のドア側にも、エンジンをスタートさせるためのスイッチ等が、メカニカルスイッチから静電容量式のタッチパネルに移行する傾向がある。
【0003】
また、メカニカルスイッチに代わり、iPhone(登録商標)、iPad(登録商標)のように静電容量式のタッチパッドを用いた遠隔操作用のデバイスを備えたり、車載機器の操作、例えばナビの目的地入力として手書き入力、あるいはカーソルを移動させてマウス操作等が可能なように構成された静電容量式のタッチパネルに移行する傾向もある。
【0004】
静電容量式スイッチでは、素手と手袋のような、ユーザの操作状況により静電容量の変化が異なるので、以下のような方法で対応している。
【0005】
例えば、検出感度を高感度から低感度へ変化させながら操作入力を検出する静電容量式タッチスイッチが考案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、手袋装着時や非装着時など、ユーザの操作環境に応じて入力検出部の感度を最適に設定して、情報の正確な入力を可能とする入力装置が考案されている(特許文献2参照)。
【0007】
また、メカニカルスイッチに静電容量型または電界効果型のタッチセンサを設け、メカニカルスイッチ操作時に接触するタッチセンサの抵抗値等を測定し、その測定値と基準値とを比較することにより、素手であるか手袋装着状態であるかを判断するタッチパネル装置が考案されている(特許文献3参照)。
【0008】
また、雨滴付着による接触誤検知をすることなく、ドアハンドルへの素手による接触および手袋を装着した手による接触を検知することができる静電容量式接触検知装置が考案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−027034号公報
【特許文献2】特開2009−212719号公報
【特許文献3】特開2008−033701号公報
【特許文献4】特開2010−034828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように従来技術では、手袋と素手を検出して静電容量の変化の閾値を変更して対応しようとしているが、タッチパネル等の静電容量式スイッチを操作する手と、手袋と素手のいずれであるかを検出した手が同一であるとは限らないので、適切にタッチパネルの操作を受け付けることができないことがあった。例えば、雨天時に片手でドアを開けた場合には、片方の手は雨で濡れているのに対して別の手は乾燥している状態である、また、両手の肌の状態による肌水分の相違、飲料の表面についた水滴による両手の濡れの差異等により、両手の状態が異なる場合には適切にタッチパネルの操作を受け付けることができないことがある。
【0011】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、両手の状態が異なる場合でも、適切に静電容量式スイッチの操作を受け付けることができる静電容量式スイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
上記課題を解決するための静電容量式スイッチ装置は、
車両に搭載され、ユーザの操作により予め定められた動作を行う車載機器を操作するための操作入力部に含まれる、静電容量の変化に基づいてユーザによる操作入力の有無を検出する静電容量式スイッチが1つまたは複数配置された第1操作領域と、第1操作領域と離間し、静電容量式スイッチが1つまたは複数配置された第2操作領域と、が設定され、
静電容量の変化に応じて、静電容量式スイッチが操作されたか否かを判定する閾値である静電容量閾値を測定する静電容量閾値測定部と、測定した静電容量閾値が、2つの操作領域のいずれに含まれる静電容量式スイッチの操作によるものかを特定して、特定した操作領域に配置されている他の全ての静電容量式スイッチが操作されたか否かを判定するための操作領域用静電容量閾値として決定する操作領域用静電容量閾値決定部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明は、静電容量式スイッチの操作する手と、手の状態を検出する手を一致させ、対応する手の静電容量閾値を用いて、操作された静電容量式スイッチの静電容量の変化から正確な操作を検出するものである。上記構成によって、操作領域内に含まれる静電容量式スイッチが操作されたか否かを判定するための静電容量閾値は、操作領域用静電容量閾値に統一されるので、静電容量式スイッチ毎の入力判定のバラツキがなくなり、ユーザの利便性が向上する。
【0014】
また、本発明の静電容量式スイッチ装置は、操作領域用静電容量閾値を、特定した操作領域に含まれる操作入力部に出力する操作領域用静電容量閾値出力部を備える。
【0015】
上記構成によって、静電容量式スイッチあるいは静電容量閾値測定部間で静電容量閾値の調整を行う必要がなくなる。また、静電容量閾値が不適切に設定されることによる誤操作・誤判定を抑制できる。
【0016】
また、本発明の静電容量式スイッチ装置における静電容量閾値測定部は、測定した静電容量閾値と、操作領域用静電容量閾値との差が予め定められた値を超えたときに、測定した静電容量閾値を操作領域用静電容量閾値に代えて、新たな静電容量閾値とする。
【0017】
上記構成によって、各操作入力部に含まれる静電容量式スイッチを操作する手の状態が変化しても、その手の状態に応じた静電容量閾値を設定することができる。
【0018】
また、本発明の静電容量式スイッチ装置における静電容量式スイッチは、操舵ハンドルのリム部の予め定められた箇所に複数取り付けられ、車両の走行状態を検出する走行状態検出部と、検出した走行状態において操作された静電容量式スイッチの、操舵ハンドルの取り付け位置に基づいて、操作された静電容量式スイッチが第1操作領域あるいは第2操作領域のいずれに含まれるかを特定する操作領域特定部と、を備える。
【0019】
上記構成によって、運転時は操舵ハンドルを、一般的には常時把持しているので、運転者の手の状態をリアルタイムで把握することができ、それに応じた操作領域用静電容量閾値を決定することができる。
【0020】
また、本発明の静電容量式スイッチ装置における走行状態検出部は、操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出部を含み、操作領域特定部は、検出した操舵ハンドルの操舵角と、操作された静電容量式スイッチの操舵ハンドルの取り付け位置とに基づいて、操作された静電容量式スイッチが含まれる操作領域を特定する。
【0021】
操舵ハンドルによる左右両手の静電容量閾値の決定は、直進走行時と右左折時とで左右の手ハンドルを把持する位置が異なり、これらの運転状況に応じて左右の手を適切に判別して検出する必要がある。例えば、直進走行時は、両手あるいは片手でハンドルの左側は左手で把持し、右側は右手で把持するので、それぞれの静電容量の変化を検出し、静電容量閾値を測定できるとともにその操作領域を特定できる。
【0022】
また、左折あるいは右折時は、最初は両手あるいは片手でハンドルの左側は左手で把持し、右側は右手で把持し、左あるいは右にハンドルを回転させ、途中で順次左右のいずれかの手のうち、その手を把持した状態で操舵できなくなったとき、その手を離し、反対側あるいは元の側の場所を把持し、操舵を継続するので、その動きに応じて左右の手の位置を特定することで、静電容量閾値を測定できるとともにその操作領域を特定できる。
【0023】
また、本発明の静電容量式スイッチ装置は、車両のドアが開状態であるか否かを判定するドア状態判定部を備え、操作領域特定部は、車両のドアが開状態に遷移したことを判定した後に、走行状態および操作された静電容量式スイッチの操舵ハンドルの取り付け位置に基づく、操作領域の特定を行う。
【0024】
車両のドアが開状態に遷移したということは、ユーザが乗車したことが推測される。つまり、運転操作を行っている可能性も大きい。操舵ハンドルの操舵状態に基づいて操作領域用静電容量閾値を決定するのは、ユーザが運転操作を行っているときのみでよいため、ノイズ等を誤検出して適切でない静電容量閾値を測定することを防止できる。また、ドアの開閉の検知を静電容量式スイッチで行う場合は、その静電容量式スイッチも、上述の操作入力部に含まれることになるため、別途、車速センサ等の、運転操作を行っているか否かを判定するための機器を設ける必要がない。
【0025】
また、本発明の静電容量式スイッチ装置における第1操作領域は、ユーザの右手により操作することを推奨する操作領域として設定され、第2操作領域は、ユーザの左手により操作することを推奨する操作領域として設定される。
【0026】
上記構成によって、静電容量式スイッチを備えた車載機器の設置場所(操作領域)と操作者の位置とに基づいて、ユーザの右手あるいは左手によって操作される機器に分類し、ユーザの操作時の、静電容量の変化に基づいて右手あるいは左手の静電容量の変化を測定し、静電容量式スイッチの操作判定の閾値にしているので、左右の静電容量式スイッチの静電容量閾値を操作領域単位でに適切に設定でき、操作の判定を正確に行うことができる。
【0027】
例えば、右ハンドル車では、右手ではドア側のスイッチを操作し、センターパネル等の左側のスイッチは左手で操作することになる。左ハンドル車では、右手でセンターパネル等の右側のスイッチは右手で操作し、左手でドア側のスイッチを操作することになる。
【0028】
また、スイッチ以外にも、自動車においては左右両手で操作する機器が異なっている。例えば、右ハンドル車では、右手でドアを開け、右手でエンジンを作動させ、左手でシフトレバーを操作する。左ハンドル車では、この逆になる。方向指示器、ヘッドライト、ワイパー等も、それぞれ取り付け位置に応じた手で操作することになる。
【0029】
また、本発明の静電容量式スイッチ装置における操作入力部が第1操作領域に含まれる車載機器は、右ハンドル車では、右ドアノブ、レーンチェンジャ、ライトコントローラ、窓開閉スイッチのうちの少なくとも一つを含む。
【0030】
また、本発明の静電容量式スイッチ装置における操作入力部が第2操作領域に含まれる車載機器は、右ハンドル車では、シフトレバー、ワイパーコントローラ、センターパネルのうちの少なくとも一つを含む。
【0031】
上記構成によって、右ハンドル車において、各操作領域に含まれる車載機器の間で静電容量閾値が、それぞれの操作領域用静電容量閾値に統一され、これらの車載機器の操作を正確に検出することができる。
【0032】
また、本発明の静電容量式スイッチ装置における操作入力部が第1操作領域に含まれる車載機器は、左ハンドル車両では、シフトレバー、レーンチェンジャ、ライトコントローラ、センターパネルのうちの少なくとも一つを含む。
【0033】
また、本発明の静電容量式スイッチ装置における操作入力部が第2操作領域に含まれる車載機器は、左ハンドル車両では、左ドアノブ、ワイパーコントローラ、窓開閉スイッチのうちの少なくとも一つを含む。
【0034】
上記構成によって、左ハンドル車において、各操作領域に含まれる車載機器の間で静電容量閾値が、それぞれの操作領域用静電容量閾値に統一され、これらの車載機器の操作を正確に検出することができる。
【0035】
また、本発明の静電容量式スイッチ装置は、静電容量の変化に基づいてユーザによる操作入力の有無を検出する静電容量式スイッチが1つまたは複数配置された第1操作領域と第2操作領域には、静電容量式スイッチの他に、静電容量の変化に基づいて文字、記号、または図形の手書きによる入力を検出する手書き入力領域、および静電容量の変化に基づいてポインティング操作を検出するポインティングデバイスのいずれかまたは両方を、1つまたは複数備える。
【0036】
上記構成によって、入力領域が集約されるので、ユーザの操作の利便性を向上させることができる。また、静電容量式スイッチ以外でも静電容量閾値が操作領域用静電容量閾値に統一され、これらの車載機器の操作を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】静電容量式スイッチ装置の構成を示すブロック図。
【図2】右側操作領域の一例を示す図。
【図3】左側操作領域の一例を示す図。
【図4】ハンドル閾値測定部の構成例を示す図。
【図5】閾値測定部および制御部の構成例を示すブロック図。
【図6】主制御部における閾値決定処理を説明するフロー図。
【図7】静電容量閾値測定処理を説明するフロー図。
【図8】静電容量閾値測定処理を説明する図。
【図9】ハンドル閾値測定処理を説明するフロー図。
【図10】回転操作時測定処理を説明するフロー図。
【図11】反回転操作時測定処理を説明するフロー図。
【図12】直進時におけるハンドル操作と手の位置との関係を示す図。
【図13】右折時におけるハンドル操作と手の位置との関係を示す図。
【図14】遠隔操作部(ドアパネル)の構成の別例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の静電容量式スイッチ装置について、図面を用いて説明する。図1に、静電容量式スイッチ装置1の構成を示す。静電容量式スイッチ装置1は、主制御部10と、例えば車内LAN200を介してデータ通信可能に接続されたドア閾値測定部20,ドアパネル閾値測定部30,スタータ閾値測定部40,方向指示器閾値測定部50,ハンドル閾値測定部60,ワイパー閾値測定部70,シフトレバー閾値測定部80,センターパネル閾値測定部90と、各閾値測定部に対応した制御部(例えば、ドア制御部120,スタータ制御部140,ワイパー制御部170,センターパネル制御部190を例示)とを含んで構成される。
【0039】
なお、上述の閾値測定部(20,30,40,50,60,70,80,90)が本発明の静電容量閾値測定部に相当する。
【0040】
主制御部10は、図示しない周知のCPU,ROM,RAM,およびAD変換回路や入出力回路等の周辺回路等を含むコンピュータハードウェアとして構成され、CPUがROMに記憶された制御プログラムおよびデータを実行することで、静電容量式スイッチ装置1の各種機能を実現する。左右閾値決定部11,右側閾値送信部12,左側閾値送信部13は、上述のコンピュータハードウェアを、機能毎にブロック化して表示したものである。また、主制御部10は、フラッシュメモリ等のような不揮発性記憶媒体により構成されるメモリ14を含んでおり、このメモリ14には、静電容量式スイッチ装置1の動作に必要な情報が記憶されている。
【0041】
上述のような構成により、各閾値測定部は、各操作機器に設置した静電容量センサー(詳細は後述)からの静電容量の変化を所定時間毎に検出し、静電容量の変化に基づく静電容量閾値の測定値を左右閾値決定部11に送信する。ただし、ハンドル閾値測定部60は、ハンドル操舵時を含め、所定時間毎に左右の手に応じた静電容量の変化の測定を行い、静電容量の変化に基づく左右の手に応じた静電容量閾値の測定値を送信する。
【0042】
左右閾値決定部11は、各閾値測定部から送信される静電容量閾値の測定値を、メモリ14に予め記憶されたその閾値測定部の車両の取り付け位置に応じて、左右の手のいずれであるかを特定し、その手に対応した静電容量閾値(すなわち、操作領域用静電容量閾値)を決定して、対応する送信部(右側閾値送信部12あるいは左側閾値送信部13)に出力する。なお、ハンドル閾値測定部60から送信される閾値については、左右の手いずれかは特定されているので、その結果にしたがって対応する送信部に出力する。そして、右側閾値送信部12は、右側操作領域R1(図2参照)に取り付けられた閾値測定部に対応する制御部に、右手に対応する操作領域用静電容量閾値を、車内LAN200を介して送信する。また。左側閾値送信部13は、左側操作領域R2(図3参照)に取り付けられた閾値測定部に対応する制御部に、左手に対応する操作領域用静電容量閾値を、車内LAN200を介して送信する。
【0043】
なお、左右閾値決定部11が本発明の操作領域用静電容量閾値決定部に相当する。また、右側閾値送信部12,左側閾値送信部13が本発明の操作領域用静電容量閾値出力部に相当する。また、左右閾値決定部11が、各閾値測定部から静電容量の値を取得してその変化の測定を行い、静電容量閾値を測定してもよい。
【0044】
図2および図3を用いて、右ハンドル車両を例に挙げて車両の運転席の乗員を基準とした、車室内における車載機器の操作領域について説明する。図2に、車両の運転席の乗員を基準とした右側操作領域R1を示す。右側操作領域R1は、乗員(この場合は運転者)の右手で操作することが推奨される領域である。右側操作領域R1は、車載機器として、ドア閾値測定部20を含むドア22(右ドアノブ21を含む、左ドアについても同様),ドアパネル閾値測定部30を含むドアパネル31(窓開閉スイッチ,ドアロックスイッチ等を含む),スタータ閾値測定部40を含むスタータスイッチ41,方向指示器閾値測定部50を含む方向指示器51(レーンチェンジャおよびライトコントローラを含む),ハンドル閾値測定部60を含む操舵ハンドル(以下、「ハンドル」と略称)61(概ね、リム部の右半分)を含んでいる。
【0045】
図3に、車両の運転席の乗員を基準とした左側操作領域R2を示す。左側操作領域R2は、乗員(この場合は運転者)の左手で操作することが推奨される領域である。左側操作領域R2は、車載機器として、ハンドル61(概ね、リム部の左半分),ワイパー閾値測定部70を含むワイパースイッチ71(ワイパーコントローラともいう),シフトレバー閾値測定部80を含むシフトレバー81,センターパネル91(例えば、液晶表示器と一体化されタッチパネル)を含んでいる。
【0046】
なお、ドアパネル31,スタータスイッチ41,方向指示器51,ハンドル61,ワイパースイッチ71,シフトレバー81,センターパネル91が本発明の操作入力部に相当する。
【0047】
なお、左ハンドル車両では、右側操作領域R1には、シフトレバー81、レーンチェンジャおよびライトコントローラを含む方向指示器51、センターパネル91のうちの少なくとも一つを含む。また、左側操作領域R2に含まれる車載機器は、左ドアノブ(21と同様のもの)、ワイパースイッチ71、窓開閉スイッチを含むドアパネル(31と同様のもの)のうちの少なくとも一つを含む。
【0048】
右側操作領域R1に操作部(すなわち閾値測定部)が取り付けられた車載機器は、主として運転者の主として右手で操作するもの(左手で操作することが困難なもの、あるいは、左手で操作すると運転の妨げになるもの)であるため、これら車載機器のスイッチ操作時に、閾値測定部は静電容量の変化を測定し、スイッチ操作を検出するとともに、右手の静電容量閾値を測定して主制御部10に送る。そして、主制御部10(すなわち、右側閾値送信部12)は、操作部が右側操作領域R1に含まれる車載機器の制御部に、決定した操作領域用静電容量閾値を送信する。これ以降、右側操作領域R1に含まれる車載機器は、受信した操作領域用静電容量閾値を用いてスイッチ操作の検出を行う。
【0049】
また、左側操作領域R2に操作部(すなわち閾値測定部)が取り付けられた車載機器についても同様である。なお、左側操作領域R2は、右側操作領域R1から離間して設定される。なお、右側操作領域R1が本発明の第1操作領域に相当する。また、左側操作領域R2が本発明の第2操作領域に相当する。また、各操作領域は、車内の天井部あるいは乗員の足元に設定してもよい。
【0050】
図4を用いて、ハンドル61におけるハンドル閾値測定部60の構成例について説明する。ハンドル61の回転軸には、ハンドル61を回転操作したときの操舵角を検出するための周知の操舵角センサー62が取り付けられている。また、ハンドル61のリム部61a(すなわち、運転者が把持する部分)には、複数の静電容量センサー63(63a〜63hの総称)が、略等間隔あるいは運転者が把持するが多いと予想される部分に取り付けられている。
【0051】
また、静電容量センサー63は、例えば、車両の直進時(すなわち、操舵角が0度のとき)を基準として、どの位置に取り付けられているかが分かっている。例えば、静電容量センサー63a〜63dは右側操作領域R1に含まれ、静電容量センサー63e〜63hは左側操作領域R2に含まれる。また、ハンドル61の操舵角に応じて、静電容量センサー63の含まれる操作領域を変えてもよい。この場合、ハンドル61を180度回転(半回転)したときは、静電容量センサー63e〜63hが右側操作領域R1に含まれ、静電容量センサー63a〜63dは左側操作領域R2に含まれることになる。
【0052】
そして、周知のコンピュータハードウェアとして構成される両手操作判定部64において、操舵角センサー62で検出した操舵角と、各静電容量センサー63の静電容量の測定結果とに基づいて、左右の手の静電容量閾値を決定して主制御部10に送る。(詳細は後述)。
【0053】
なお、操舵角センサー62が本発明の走行状態検出部,操舵角検出部に相当する。また、静電容量センサー63が本発明の静電容量式スイッチに相当する。また、両手操作判定部64が本発明の操作領域特定部,ドア状態判定部に相当する。
【0054】
図2および図5を用いて、車両のドア22を例に挙げて、閾値測定部(ドア閾値測定部20)および制御部(ドア制御部120)の詳細について説明する。
【0055】
図5の例は、周知のチャージ・トランスファ方式により静電容量を検出するものである。ドア閾値測定部20は、1ないし複数の静電容量検出電極(以下、「検出電極」と略称する,図2のドアノブセンサに相当)23,例えば周知のオペアンプ等を含んで構成される増幅器25,周知のADコンバータであるADC26,回路全体に電源を供給する電源28〜検出電極23の間に設けられた電荷移動用スイッチSW1,検出電極23〜増幅器25の間に設けられた電荷移動用スイッチSW2,一方が電荷移動用スイッチSW2〜増幅器25の間に接続され他方がGND(グランド)に接続された電荷積分用コンデンサ(以下、「コンデンサ」と略称)Ci,コンデンサCiに並列接続された放電抵抗Rb,放電抵抗Rb〜GNDの間に設けられた放電用スイッチSW3を含んで構成される。なお、静電容量検出電極23が本発明の操作入力部,静電容量式スイッチに相当する。
【0056】
また、ドア閾値測定部20は、中央演算処理部ともいわれるCPU27,車内LAN200の通信インターフェース回路である通信I/F29を含んでいる。なお、CPU27,通信I/F29は、ドア制御部120の役割も有する。
【0057】
CPU27は、内部にマイコン、ROM、RAM等を含み、マイコンがROMに記憶された各種プログラムを実行することで、ドア閾値測定部20あるいはドア制御部120としての各種動作を行う。
【0058】
電源28から、例えばCPU10からのクロック制御によって、電荷移動用スイッチSW1のON/OFF状態を切り替え、検出電極23に電圧Vdを印加すると、検出電極23と乗員Uとの間の静電容量Csおよびと乗員UとGNDの間の静電容量Cbに応じた電荷が検出電極23に蓄積され、次に、電荷移動用スイッチSW1がOFF状態のときに電荷移動用スイッチSW2をON状態とし、検出電極23に蓄積されている電荷をコンデンサCiに転送する。そして、これらの、電荷の蓄積、転送を繰り返した後に、電荷量に応じて発生するCiの電圧を測定した後に、放電用スイッチSW3をON状態としてCiの電荷を放電抵抗Rbで消費することで放電する。
【0059】
CsおよびCbに蓄積された電荷に応じて発生するCiの電圧は、増幅器25において所定の増幅率によって増幅され、ADC26でAD変換が行われ、CPU27において、電圧値あるいは電圧値の変化が、ユーザの手指等の、被検物の接近あるいは接触によるものかどうかを判定する。
【0060】
図6を用いて、主制御部10における静電容量閾値決定処理について説明する。なお、本処理は、上述の制御プログラムに含まれ、予め定められたタイミングで繰り返し実行される。まず、車内LAN200を介して、いずれかの閾値測定部から静電容量閾値が送信されてきたとき(S11:YES)、その静電容量閾値を取得する(S12)。次に、メモリ14に予め記憶されたその閾値測定部の車両の取り付け位置に基づいて、取得した静電容量閾値の送信元(すなわち、閾値測定部)が、左右いずれの操作領域(R1あるいはR2)に含まれるかを特定する(S13)。そして、特定結果に基づいて、その静電容量閾値を、操作領域用静電容量閾値として、該当する操作領域の制御部に車内LAN200を介して送信する(S14)。つまり、最新の静電容量閾値が操作領域用静電容量閾値となる。
【0061】
図7および図8を用いて、各閾値測定部における静電容量閾値の測定について説明する。なお、本処理は、各閾値測定部のCPUにおいて実行される。検出電極23(図5参照)で検出した静電容量が第2の容量閾値THC2を上回るときには(S1:YES,図8のC1の状態)、検出電極23に素手で接触したと判定し(S2)、静電容量閾値をTHC2とする。また、静電容量が第1の容量閾値THC1以上かつ第2の容量閾値THC2以下であるとき(S3:YES)、その状態が継続した時間T1を計測し(S4)、時間T1が時間閾値THT1を超えるとき(S5:YES)、検出電極23に手袋を装着した手で接触したと判定し(S6)、静電容量閾値をTHC1とする。
【0062】
なお、第1の容量閾値THC1<第2の容量閾値THC2、の関係がある(詳細については、特許文献4参照)。また、図8のC1は、検出電極23に素手で接触したときの状態を表している。図8のC2は、検出電極23に手袋を装着した手で接触したものの、時間T1が時間閾値THT1を超えなかったときの状態を表している。
【0063】
無論、容量閾値を3以上設定して、各閾値測定部において静電容量閾値を3以上測定できるようにしてもよい。
【0064】
図9を用いて、ハンドル閾値測定部60におけるハンドル閾値測定処理について説明する。なお、本処理は、両手操作判定部64において、予め定められたタイミングで繰り返し実行される。まず、ドア22が開いて運転者が乗り込んだか否か(開扉の有無)を判定する。すなわち、運転席側のドア閾値測定部20の静電容量の変化に基づいてドアノブ21が操作されたか否かを判定し、ドアノブ21が操作されたときに、運転者が乗り込んだと判定する。
【0065】
ドア22が開いて乗員が乗り込んだと判定したとき(S31:YES)、操舵角センサー62の検出状態に基づいて、ハンドル61の回転操作の有無を判定し、回転操作があると判定したときには(S32:YES)、回転操作時測定処理(S37,図10参照)を実行する。
【0066】
一方、ハンドル61の回転操作がないと判定したときには(S32:NO)、静電容量センサー63の検出状態に基づいて、静電容量の変化から静電容量閾値を測定するとともに左右いずれの手によるものかも特定する(S33)。静電容量閾値の測定が初回であるとき(S34:YES)、その測定値を左右の手に関連付けて、両手操作判定部64に含まれるメモリ14に記憶するとともに、車内LAN200を介して主制御部10に出力する(S38)。一方、静電容量閾値の測定が2回目以降であるとき(S34:NO)、前回の測定値との比較を行い、前回の測定値との変化量が予め定められた値を超えるとき(S35:YES)、今回の静電容量閾値の測定値を左右の手に関連付けて、メモリ14に記憶(更新)するとともに主制御部10に出力する(S36)。
【0067】
なお、静電容量閾値の測定回数は、例えば、ドア22が開いて乗員が乗り込んだと判定したときにゼロクリアし、ステップS33で静電容量閾値を測定したときにインクリメントする。
【0068】
図12に、ハンドル61の回転操作がないと判定したときの(すなわち、直進時)、運転者のハンドル61の把持状態を示す。図12の例では、運転者は、右手RHが、右側操作領域R1に含まれる静電容量センサー63aに接触し、左手LHが、左側操作領域R2に含まれる静電容量センサー63hに接触した状態となっている。この状態では、両手操作判定部64において、静電容量センサー63aの静電容量の変化に基づいて測定した静電容量閾値は右手RHに対応するものと判定され、静電容量センサー63hの静電容量の変化に基づいて測定した静電容量閾値は左手LHに対応するものと判定される。
【0069】
また、運転者は、直進時には、一般的に両手でハンドル61を把持している。片手で把持する際は、左右の手を随時切り替えて把持している。いずれの把持状態においても、直進時には、右手RHは静電容量センサー63a〜64dのいずれかに接触することが多く、左手LHは静電容量センサー63e〜64hのいずれかに接触することが多い。よって、運転者の左右の手の位置に応じた静電容量閾値を測定することができる。
【0070】
図10を用いて、図9のステップS37に相当する回転操作時測定処理について説明する。まず、操舵角センサー62の検出状態に基づいてハンドルの操舵角を測定する(S51)。次に、静電容量センサー63の検出状態に基づいて静電容量の変化から静電容量閾値を測定する(S52)。
【0071】
次に、ハンドルの操舵角の変化に基づいて、操舵の方向が前回と切り替わったどうかを判定し、操舵方向が切り替わったとき(S53:YES)、反回転操作時測定処理(S58,図11参照)を実行する。一方、操舵方向の切り替わりがないとき(S53:NO)、操舵角が予め定められた角度閾値以上かどうかを判定し、角度閾値以下のとき(S54:NO)、両手の入れ替わりはないので、前回の測定値との比較を行い、前回の測定値との変化量が予め定められた値を超えるとき(S59:YES)、今回の静電容量閾値の測定値を左右の手に関連付けて、メモリ14に記憶(更新)するとともに主制御部10に出力する(S60)。
【0072】
一方、操舵角が角度閾値以上のとき(S54:YES)、両手の入れ替わりが想定されるので、両手で回転操作しているかを判定し、両手回転操作であるとき(S55:YES)、両手把持状態(2つの静電容量センサーから静電容量の変化を検出)→片手把持状態(1つの静電容量センサーから静電容量の変化を検出、あるいは静電容量の変化を検出していた2つの静電容量センサーの一方から静電容量の変化を検出しなくなった)→両手把持状態(2つの静電容量センサーから静電容量の変化を検出)の順に静電容量の検出状態が変化したことを確認して、左右の手の把持位置が逆転したと判定し(S56)、右手に対応する静電容量閾値の測定値を左側操作領域R2の測定値とし、左手に対応する静電容量閾値の測定値を右側操作領域R1の測定値としてメモリ14に記憶するとともに主制御部10に出力する(S57)。
【0073】
一方、両手操作でないとき(S55:NO)、把持している手の静電容量閾値の測定値を、その手に対応する操作領域の測定値とし、上述のステップS59,S60と同様の処理を行う。ステップS59をスキップしてもよい。
【0074】
図11を用いて、図10のステップS58に相当する反回転操作時測定処理について説明する。まず、図10と同様に両手で回転操作しているかを判定し、両手回転操作であるとき(S71:YES)、操舵角が予め定められた角度閾値以上かどうかを判定し、角度閾値以下のとき(S72:NO)、両手の入れ替わりはないので、前回の測定値との比較を行い、前回の測定値との変化量が予め定められた値を超えるとき(S75:YES)、今回の静電容量閾値の測定値を左右の手に関連付けて、メモリ14に記憶(更新)するとともに主制御部10に出力する(S76)。
【0075】
一方、操舵角が角度閾値以上のとき(S72:YES)、図10と同様に左右の手の把持位置が逆転したと判定し(S73)、右手に対応する静電容量閾値の測定値を左側操作領域R2の測定値とし、左手に対応する静電容量閾値の測定値を右側操作領域R1の測定値としてメモリ14に記憶するとともに主制御部10に出力する(S74)。
【0076】
一方、両手操作でないとき(S72:NO)、把持している手の静電容量閾値の測定値を、その手に対応する操作領域の測定値としし、上述のステップS75,S76と同様の処理を行う。ステップS75をスキップしてもよい。
【0077】
図13に、右折時のハンドル61の操舵状態を示す。まず、直進時のハンドル61の把持位置を保ったまま(両手操作)ハンドル61を右に回転させる(操作1)。操舵角が一定角度以上になると、そのままの把持状態で操舵することができなり、ハンドル61を把持する手は、操舵する手のうちで回転の先行する手(右手RH)を離し、後続する手(左手LH)で操舵を続ける(操作2)。このとき、片手運転となり、左手LHの接触による静電容量の変化のみ検出する。
【0078】
さらにハンドル61の回転を続け、操舵角が予め定められた閾値を超えると、離した手(右手RH)を把持している手(左手LH)に交差させてハンドル61の左側を把持し直し、操舵を継続する(操作3)(左右手位置逆転)。この一連の操作(両手把持→左手把持→両手把持)で、左手LHはハンドル61から離すことなく、左側操作領域R2に含まれる静電容量センサー(例えば61h)に接触しているため、この静電容量センサーの変化量に基づいて左手LHの静電容量閾値を測定できる。
【0079】
一方、右手RHによる静電容量閾値は、以下のいずれかの方法で特定される。
・静電容量センサー63と各操作領域(R1,R2)との対応関係が、ハンドルの操舵角に関係なく一意に定められているとき、右手RHが右側操作領域R1に含まれる静電容量センサー(63a〜63dのいずれか)に接触しているときには、この静電容量センサーの変化量に基づいて右手RHの静電容量閾値を測定できる。一方、右手RHが左側操作領域R2に含まれる静電容量センサー(63e〜63hのいずれか)に接触しているときには、左手LHをハンドル61から離していないことを把握しているので、この静電容量センサーの変化量に基づいて右手RHの接触を検出し静電容量閾値を測定する。
・静電容量センサー63と各操作領域(R1,R2)との対応関係が、ハンドルの操舵角に応じて変化するとき、左側操作領域R2に含まれる静電容量センサーの変化量に基づいて右手RHの静電容量閾値を測定し、右側操作領域R1に含まれる静電容量センサーの変化量に基づいて左手LHの静電容量閾値を測定する。
【0080】
次に、右回転させたハンドル61を戻す(左回転させる)ときは、「左右手位置逆転」の状態となっている、交差した状態(操作4)の右手RHを離し、左手LHのみでハンドル61を把持し、ハンドル61が中立位置方向へ戻ろうとする際の復元力(すなわち、ハンドル61の戻り量)をコントロールする(操作5)。そして、ハンドル61の回転を続け、操舵角が予め定められた閾値を超えると、ハンドル61は中立位置に近い状態となり、離した手(右手RH)でも把持するようになる(操作6)。このとき、静電容量センサーの検知状態から、両手把持(操作4)→左手把持(操作5)→両手把持(操作6)の変化を検出でき、左手LHをハンドル61から離していないことが分かるので、ここで、「左右手位置逆転」とすることで本来の左右手位置に戻る。よって、上述の操作1〜操作3の状態と同様に、左右の手の静電容量閾値を測定することが可能となる。
【0081】
また、図13の例(例えば、操作5)で、ハンドル61を手で滑らせながら戻すとき、概ね左手LHでハンドル61の滑り量を変化させているので、検出した静電容量は、左手LHの接触によるものとすることができる。このとき、左手LHの接触による静電容量を検出する静電容量センサー63が、例えば、63e→63f→63gのように、ハンドルの回転とともに変化するので、例えば、所定時間継続して静電容量を検出した静電容量センサーを、最終的に左手LHが把持した静電容量センサーであると判定して、その静電容量センサーで静電容量閾値を測定する。
【0082】
左折時のときは、左右の手の動きは、図13とは逆となるが、上述と同様の方法で、左右の手の静電容量閾値を測定することができる。
【0083】
なお、以上の実施の形態は、静電容量式のスイッチを使用したときのものであるが、静電容量式スイッチの他に、文字、記号、または図形の手書きによる入力を受け付ける手書き入力領域、およびマウスを操作可能なマウス操作領域のいずれかまたは両方を1つまたは複数備える遠隔操作部をセンターパネル91、ドアパネル31、あるいはアームレスト101に設けてもよい。
【0084】
図14に、上述の遠隔操作部の構成をドアパネル31に適用した例を示す。図14(a)は、キー入力のみを行う構成を示したものである。ドアパネル31には、テンキー領域R31,予め定められた機能を実行するための機能キー領域R32,および予め定められた車載機器の動作モードを切り替えるためのモード切替キーR33を備えており、これらのキーは静電容量式スイッチで構成されている。これら全ての領域では、静電容量閾値として操作領域用静電容量閾値を用いている。
【0085】
図14(b)は、キー入力に加え、手書き入力を行うことができる構成を示したもので、図14(a)のテンキー領域R31の代わりに手書き領域R34を設けたものである。手書き領域R34は、ユーザが押下して静電容量が変化した位置の座標を検出する静電容量式タッチパネルで構成されている。この、手書き領域R34の静電容量閾値として、テンキー領域R31,機能キー領域R32,およびモード切替キーR33と同様に、操作領域用静電容量閾値を用いることで、ユーザが操作したときに、同じ操作領域の他の操作入力部に含まれる静電容量式スイッチと同様の操作感を得ることができる。
【0086】
図14(c)では、ドアパネル31は、モード切替キーR33の他に、ポインティング操作(カーソル移動を行うための操作)およびタップ動作を行うポインティング操作領域R35,水平スクロール領域R36,垂直スクロール領域R37を備えている。これらの領域(R35,R36,R37)は、例えばセンターパネル91に含まれる表示器の表示操作を行うためのもので、静電容量の変化に基づいてポインティング操作を検出するタッチパッド型ポインティングデバイス(タッチパッドともいう)により構成されている。これらポインティングデバイスの静電容量閾値として、モード切替キーR33と同様に、操作領域用静電容量閾値を用いることで、ユーザが操作したときに、同じ操作領域の他の操作入力部に含まれる静電容量式スイッチと同様の操作感を得ることができる。
【0087】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 静電容量式スイッチ装置
10 主制御部
11 左右閾値決定部(操作領域用静電容量閾値決定部)
12 右側閾値送信部(操作領域用静電容量閾値決定部)
13 左側閾値送信部(操作領域用静電容量閾値出力部)
20 ドア閾値測定部(静電容量閾値測定部)
23 静電容量検出電極(ドアノブセンサ,検出電極,操作入力部,静電容量式スイッチ)
30 ドアパネル閾値測定部(静電容量閾値測定部)
31 ドアパネル(窓開閉スイッチ,操作入力部)
40 スタータ閾値測定部(静電容量閾値測定部)
41 スタータスイッチ(操作入力部)
50 方向指示器閾値測定部(操作入力部)
51 方向指示器(レーンチェンジャ,ライトコントローラ,操作入力部)
60 ハンドル閾値測定部(静電容量閾値測定部)
61 操舵ハンドル(操作入力部)
62 操舵角センサー(走行状態検出部,操舵角検出部)
63 静電容量センサー(63a〜63h,静電容量式スイッチ)
64 両手操作判定部(操作領域特定部)
70 ワイパー閾値測定部(静電容量閾値測定部)
71 ワイパースイッチ(ワイパーコントローラ,操作入力部)
80 シフトレバー閾値測定部(静電容量閾値測定部)
81 シフトレバー(操作入力部)
90 センターパネル閾値測定部(静電容量閾値測定部)
91 センターパネル(操作入力部)
R1 右側操作領域
R2 左側操作領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、ユーザの操作により予め定められた動作を行う車載機器を操作するための操作入力部に含まれる、静電容量の変化に基づいて前記ユーザによる操作入力の有無を検出する静電容量式スイッチが1つまたは複数配置された第1操作領域と、
前記第1操作領域と離間し、前記静電容量式スイッチが1つまたは複数配置された第2操作領域と、
が設定され、
前記静電容量の変化に応じて、前記静電容量式スイッチが操作されたか否かを判定する閾値である静電容量閾値を測定する静電容量閾値測定部と、
測定した前記静電容量閾値が、前記2つの操作領域のいずれに含まれる静電容量式スイッチの操作によるものかを特定して、特定した操作領域に配置されている他の全ての静電容量式スイッチが操作されたか否かを判定するための操作領域用静電容量閾値として決定する操作領域用静電容量閾値決定部と、
を備えることを特徴とする静電容量式スイッチ装置。
【請求項2】
前記操作領域用静電容量閾値を、特定した操作領域に含まれる操作入力部に出力する操作領域用静電容量閾値出力部を備える請求項1に記載の静電容量式スイッチ装置。
【請求項3】
前記静電容量閾値測定部は、測定した静電容量閾値と、前記操作領域用静電容量閾値との差が予め定められた値を超えたときに、前記測定した静電容量閾値を前記操作領域用静電容量閾値に代えて、新たな静電容量閾値とする請求項1または請求項2に記載の静電容量式スイッチ装置。
【請求項4】
前記静電容量式スイッチは、操舵ハンドルのリム部の予め定められた箇所に複数取り付けられ、
前記車両の走行状態を検出する走行状態検出部と、
検出した前記走行状態において操作された静電容量式スイッチの、前記操舵ハンドルの取り付け位置に基づいて、前記操作された静電容量式スイッチが前記第1操作領域あるいは前記第2操作領域のいずれに含まれるかを特定する操作領域特定部と、
を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の静電容量式スイッチ装置。
【請求項5】
前記走行状態検出部は、前記操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出部を含み、
前記操作領域特定部は、検出した前記操舵ハンドルの操舵角と、前記操作された静電容量式スイッチの前記操舵ハンドルの取り付け位置とに基づいて、前記操作された静電容量式スイッチが含まれる操作領域を特定する請求項4に記載の静電容量式スイッチ装置。
【請求項6】
前記車両のドアが開状態であるか否かを判定するドア状態判定部を備え、
前記操作領域特定部は、前記車両のドアが開状態に遷移したことを判定した後に、前記走行状態および前記操作された静電容量式スイッチの前記操舵ハンドルの取り付け位置に基づく、前記操作領域の特定を行う請求項4または請求項5に記載の静電容量式スイッチ装置。
【請求項7】
前記第1操作領域は、ユーザの右手により操作することを推奨する操作領域として設定され、前記第2操作領域は、ユーザの左手により操作することを推奨する操作領域として設定される請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の静電容量式スイッチ装置。
【請求項8】
前記操作入力部が前記第1操作領域に含まれる車載機器は、右ハンドル車両では、右ドアノブ、レーンチェンジャ、ライトコントローラ、窓開閉スイッチのうちの少なくとも一つを含む請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の静電容量式スイッチ装置。
【請求項9】
前記操作入力部が前記第2操作領域に含まれる車載機器は、右ハンドル車両では、シフトレバー、ワイパーコントローラ、センターパネルのうちの少なくとも一つを含む請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の静電容量式スイッチ装置。
【請求項10】
前記操作入力部が前記第1操作領域に含まれる車載機器は、左ハンドル車両では、シフトレバー、レーンチェンジャ、ライトコントローラ、センターパネルのうちの少なくとも一つを含む請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の静電容量式スイッチ装置。
【請求項11】
前記操作入力部が前記第2操作領域に含まれる車載機器は、左ハンドル車両では、左ドアノブ、ワイパーコントローラ、窓開閉スイッチのうちの少なくとも一つを含む請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の静電容量式スイッチ装置。
【請求項12】
静電容量の変化に基づいて前記ユーザによる操作入力の有無を検出する静電容量式スイッチが1つまたは複数配置された前記第1操作領域と前記第2操作領域には、前記静電容量式スイッチの他に、静電容量の変化に基づいて文字、記号、または図形の手書きによる入力を検出する手書き入力領域、および静電容量の変化に基づいてポインティング操作を検出するポインティングデバイスのいずれかまたは両方を、1つまたは複数備える請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の静電容量式スイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図4】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−173840(P2012−173840A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32917(P2011−32917)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】