説明

静電気防止粘着積層体

【課題】 ブリードアウトがなく、被着体への汚染を防ぐことができ、かつ、湿度に依存せずに安定し、持続性のある静電気防止性能を付与した静電気防止粘着積層体を得ること。
【解決手段】 基材層及び静電気防止粘着層からなる静電気防止粘着積層体において、静電気防止粘着積層体が、多層共押出成形法で製造され、静電気防止粘着層が、メタロセン触媒の存在下で製造された密度が0.91g/cm3以下のエチレン−α−オレフィン共重合体42〜89質量%と、スチレン系熱可塑性エラストマー1〜8質量%及びポリエーテル系帯電防止剤10〜50質量%からなる静電気防止粘着積層体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電気防止効果を有すると共に、金属、ガラス、プラスチックのような物品の表面に対して良好な密着性を有し、かつ剥離が容易な、静電気防止粘着積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
金属板、ガラス板、合成樹脂板等の切削加工時や運搬・輸送時の損傷防止、汚染防止の目的で、粘着剤の塗工や、基材層に粘着樹脂層を積層した粘着シートの貼着が広く用いられている。しかしながら、合成樹脂板等の被着体に粘着シートを貼り合わせた後に剥離すると、静電気を帯びやすいという問題があった。そして被着体が帯電すると、埃等の付着が発生したり、作業性が低下することとなる。また、電子部品などに用いる場合は、静電気により製品の破壊が生じることがある。
【0003】
これらの課題を解決する方法として、従来から界面活性剤をフィルム表面に塗布したり、基材層中に界面活性剤や金属イオン性の樹脂を添加し、静電気の発生を防止する方法が行われてきた(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、これらのフィルムでは、静電気防止性能が湿度の影響を受けやすく、低湿度下では十分な効果を発揮しないという問題があった。また、練り込んだ界面活性剤は、時間と共に基材表面にブリードアウトするため、巻き取り状態で保存した場合、基材層に接している粘着層に移行して被着体を汚染するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−292943号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題を解決するものであり、基材層と静電気防止粘着層とを多層共押出技術により積層した、静電気防止効果を有すると共に、金属、ガラス、プラスチックのような物品の表面に対して良好な密着性を有し、かつ剥離が容易な、静電気防止粘着積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の静電気防止粘着積層体は、基材層及び静電気防止粘着層からなり、静電気防止粘着層に、エチレン−α−オレフィン共重合体、スチレン系熱可塑性エラストマーとポリエーテル系帯電防止剤を含有することを特徴とする。そして、静電気防止粘着積層体は多層共押出成形法により製造されるが、本発明の多層共押出成形法によって得られた静電気防止粘着積層体は、基材層と静電気防止粘着層との投錨性が優れているので、被着体から剥離した後、被着体に粘着性樹脂が残される糊残りがほとんど生じない。また、粘着剤を塗工して製造する方法に比べ、工程が少なく、安価に製造できるという利点がある。
【0008】
上記において、共押出樹脂層を形成する方法としては、Tダイ共押出方式、あるいは、共押出インフレーション方式等があり、また、その層構成は2層あるいはそれ以上の層からなる共押出樹脂層からなる。
本発明の静電気防止粘着層は、ポリエーテル系帯電防止剤を含むことを特徴とするが、ポリエーテル系帯電防止剤は、ポリエーテルブロックを含む高分子化合物であってブリー
ドアウトがないことから、湿度に依存せず安定で、持続性のある帯電防止効果が得られる。
【0009】
これに対し、従来の界面活性剤による帯電防止効果は、界面活性剤に吸収された平衡水分によりもたらされるため、低湿度下では十分な帯電防止効果が発揮されない。また、反復摩擦や水洗により界面活性剤が脱落し、帯電防止効果が消失してしまう。そこで、本発明においては、永久帯電防止剤としてポリエーテル系の帯電防止剤を用いることとした。
本発明の静電気防止粘着積層体の静電気防止粘着層は、全体の厚みの10〜30%の範囲内であることが好ましい。静電気防止粘着層の厚みが全体の厚みの10%未満の場合は、厚みのばらつきにより、部分的に粘着強度の強弱を生じる可能性がある。また、全体の厚みの30%を超えると、フィルムの剛性が不足するため好ましくない。
【0010】
さらに、基材層は、単層または複数層のどちらでもよく、例えば、中間層と背面層の2層としてもよい。
また、本発明の粘着層は、23℃で50%RHの雰囲気下で、及び60℃で15%RHの雰囲気下で、表面抵抗値が1012Ω/□(sq.)より小さいことを特徴とし、これらにより本発明の顕著な効果を発揮する。
以下、本発明の各構成について更に詳述する。
【0011】
「基材層」
基材層としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。そしてこれらの樹脂は、単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0012】
「静電気防止粘着層」
静電気防止粘着層は、メタロセン触媒の存在下で製造された密度が0.86g/cm3〜0.91g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体42〜89質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー1〜8質量%及びポリエーテル系帯電防止剤10〜50質量%からなる。このような構成とすることで、被着体に対して良好な接着性を有し、かつ、目的とする静電気防止効果を付与することができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の濃度が42質量%を下回ると、粘着力が不足する。また、エチレン−α−オレフィン共重合体の濃度が89質量%を超えると、ポリエーテル系帯電防止剤の濃度が10質量%を下回ることになり、目的とする静電気防止効果が得られない。
帯電防止剤を使用する際には、そのままブレンドしてもよいし、また高濃度の帯電防止剤を熱可塑性樹脂に練り込み、高濃度マスターバッチとしてから用いてもよい。
【0013】
「エチレン−α−オレフィン共重合体」
静電気防止粘着層に用いるエチレン−α−オレフィン共重合体としては、メタロセン触媒の存在下で製造されたエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体で、密度が0.86g/cm3〜0.91g/cm3のものを用いることができる。密度が0.86g
/cm3より低いと、粘着力が高くなりすぎて加工性が低下し、密度が0.91g/cm3
を超えると粘着力が不足する。このようなエチレン−α−オレフィン共重合体を、単独またはブレンドして用いることができる。
【0014】
具体的には、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α−オレフィン共重合体として、三菱化学(株)製の商品名「カーネル」、三井石油化学工業(株)製の商品名「エボリュー」、米国、エクソン・ケミカル(EXXON CHEMICAL)社製の商品名「エクザクト(EXACT)」、米国、ダウ・ケミカル(DOW CHEMICAL)社製の商品名「アフィニティー(AFFINITY)」、商品名「エンゲージ(ENGAGE)
」等が挙げられる。
なお、本発明においては、上記のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α−オレフィン共重合体には、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、染料、顔料等を任意に添加して使用することができる。
【0015】
「スチレン系熱可塑性エラストマー」
スチレン系熱可塑性エラストマーとして、水添ジエン系共重合体もしくはスチレン−イソブチレン系ブロック共重合体を用いることができる。
水添ジエン系共重合体としては、ビニル系芳香族化合物重合体ブロック(A)、共役ジエン重合体もしくはビニル系芳香族化合物と共役ジエンのランダム重合体ブロック(B)、ビニル系芳香族化合物と共役ジエンのうちビニル系芳香族化合物が漸増するテーパーブロック(C)、の少なくともブロック(A)とブロック(B)とを含む(A)−(B)ブロック共重合体、(A)−(B)−(A)ブロック共重合体、(A)−(B)−(C)ブロック共重合体から選択したブロック共重合体に水素添加して、共役ジエンの二重結合の80%以上を飽和した水添ジエン系共重合体のいずれか、または複数とする。
スチレン−イソブチレン系ブロック共重合体としては、ハードセグメントがポリスチレン系化合物、ソフトセグメントがポリイソブチレンで構成されるスチレン−イソブチレン系ブロック共重合体とする。
【0016】
本発明に用いる具体的なスチレン系ブロック共重合体は、スチレン、αメチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロへキシルスチレン、4−ドテシルスチレンなどのスチレンブロックをベースモノマーとして有するとともに、その他のモノマー成分として、ブタジエン、イソブチレン、イソプレンなどのモノマーを有する共重合体である。
【0017】
また、スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンからなる群から選択される1種以上のジエンとスチレンとのランダム共重合体、これらの水素添加物;ポリイソプレン、水素添加されたポリイソプレン、ポリブタジエン(1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン)、水素添加されたポリブタジエン(水素添加された、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン)、ポリイソブチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリビニルからなる群から選択される1種以上のブロックと、ポリスチレンブロックとの共重合体、これらの水素添加物;これらの共重合体の混合物;等が挙げられる。
【0018】
さらに具体的には、水素添加スチレンブタジエンランダム共重合体(h−SBR)、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体(SIS)、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレンブタジエンブロック共重合体[ポリスチレン−水素添加−1,2−ポリブタジエン・水素添加−
1,4−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体(SEBS)]、水素添加スチ
レンイソプレンブロック共重合体[ポリスチレン−水素添加ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体(SEPS)]、ポリスチレン−ビニル−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体(SHIVS)、ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−水素添加ポリイソプレンブロック共重合体、ポリスチレン−ポリイソブチレンブロック共重合体、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体(SIBS)、ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリイソプレン−ポリスチレン共重合体等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記の水素添加物は、共役ジエンの二重結合が80%以上飽和されているものを用いることができる。
【0019】
「ポリエーテル系帯電防止剤」
本発明の静電気防止層に用いるポリエーテル系帯電防止剤は、高濃度のポリエーテルブロックを含む種々の高分子化合物であり、ポリエーテル/ポリオレフィンブロックコポリマー、ポリエーテルブロックアミド共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリエーテルエステルアミド共重合体、ポリエーテルアミドイミド共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルウレタン共重合体、ポリエチレンオキシド、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート共重合体などが挙げられる。
【0020】
また、ポリエーテル系帯電防止剤としては、ポリオレフィンとの相溶性が良好で機械強度に優れ、表面平滑性や帯電防止性能にも優れたシートが得られる点で、ポリオレフィン系ブロックとポリエーテル系ブロックとのブロック共重合体が好ましい。
前記ポリオレフィン系ブロックを構成するオレフィン系単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン等が挙げられる。これらのオレフィンのうちエチレン及びプロピレンから選択された少なくとも1種を含有したポリオレフィンブロックが好ましい。
【0021】
ポリエーテル系帯電防止剤のポリエーテル系ブロックを構成する単量体としては、アルキレンオキシド等が挙げられ、特にエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のC2-4
ルキレンオキシドが好ましい。前記ポリオレフィン系ブロックとポリエーテル系ブロックとの間は、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合等を介して結合されている。これらの結合は、例えば、ポリオレフィンを変性剤で変性して活性水素原子を導入した後、アルキレンオキシド等の親水性単量体を付加重合することによって導入できる。このような変性剤としては、例えば、不飽和カルボン酸又はその無水物、ラクタム、アミノカルボン酸、酸素、オゾン、ヒドロキシルアミン、ジアミン等が挙げられる。
【0022】
具体的なポリエーテル系帯電防止剤として、三洋化成工業(株)のペレスタット、アルケマ社のペバックス、B.F.GoodRichのStat−Riteを挙げることができる。そして、これらの帯電防止剤は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、スチレン系熱可塑性エラストマーとポリエーテル系帯電防止剤を粘着層に練りこむことにより、ブリードアウトがなく、被着体への汚染を防ぐことができ、かつ、湿度に依存せずに安定し、持続性のある静電気防止性能を付与した静電気防止粘着積層体を得ることができる。
【0024】
すなわち、従来の界面活性剤や金属イオンによる帯電防止剤は、湿度が低いと帯電防止効果が低下する問題があったが、本発明は、湿度の影響を受けず、高い帯電防止効果を発揮する。さらに、従来の界面活性剤による帯電防止剤は、経時により凝集固化し、フィルム表面にブルーミングして粉化する問題があったが、本発明は、このようなブリードアウトの問題がなく、被着体に対し良好な密着性を示すと共に剥離が容易であるという顕著な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明における静電気防止粘着積層体の一実施例の断面図である。
【図2】図2は、本発明における静電気防止粘着積層体の他の実施例の断面図である。
【実施例】
【0026】
[実施例1]
インフレーション共押出製膜機を用いて、下記の静電気防止粘着層、基材層を押出し、全体の厚みが50μmの静電気防止粘着積層体を得た。
・静電気防止粘着層10μm
ユメリット0540F
(宇部興産(株)、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.904g/c
3) 73.5質量%
クレイトンMD6649
(クレイトンポリマー社、スチレン系熱可塑性エラストマー) 4質量%
ポリエーテル/ポリオレフィンブロックコポリマー型帯電防止剤 22.5質量%・基材層40μm
ノバテックLC522
(日本ポリエチレン(株)、低密度ポリエチレン樹脂) 100質量%
なお、上記静電気防止粘着積層体の各物性を、表1に示した。
【0027】
[実施例2]
インフレーション共押出製膜機を用いて、下記の静電気防止粘着層、基材層を押出し、全体の厚みが50μmの静電気防止粘着積層体を得た。
・静電気防止粘着層10μm
ユメリット0520F
(宇部興産(株)、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.904g/c
3) 75.5質量%
クレイトンMD6649
(クレイトンポリマー社) 2質量%
ポリエーテル/ポリオレフィンブロックコポリマー型帯電防止剤 22.5質量%・基材層40μm
ノバテックLC522
(日本ポリエチレン(株)、低密度ポリエチレン樹脂) 100質量%
なお、上記静電気防止粘着積層体の各物性を、表1に示した。
【0028】
[実施例3]
(1)ポリエーテル/ポリオレフィンブロックコポリマー系帯電防止剤を75質量%、カーネルKF360T(日本ポリエチレン(株)、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.898g/cm3)を25質量%調製し、2軸押出機を用いて混練し、帯電防止剤濃度=75%の帯電防止剤マスターバッチを得た。
(2)インフレーション共押出製膜機を用いて、下記の静電気防止粘着層、基材層を押出し、全体の厚みが50μmの静電気防止粘着積層体を得た。
・静電気防止粘着層10μm
ユメリット0520F
(宇部興産(株)、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.904g/c
3) 68質量%
クレイトンMD6649
(クレイトンポリマー社) 2質量%
帯電防止剤マスターバッチ
(帯電防止剤濃度=75%) 30質量%
・基材層40μm
ノバテックLC522
(日本ポリエチレン(株)、低密度ポリエチレン樹脂) 100質量%
なお、上記静電気防止粘着積層体の各物性を、表1に示した。
【0029】
[実施例4]
インフレーション共押出製膜機を用いて、下記の静電気防止粘着層、基材層を押出し、全体の厚みが50μmの静電気防止粘着積層体を得た。
・静電気防止粘着層10μm
ユメリット0520F
(宇部興産(株)、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.904g/c
3) 75.5質量%
クレイトンMD6649
(クレイトンポリマー社) 2質量%
ポリエーテルアミド型帯電防止剤 22.5質量%・基材層40μm
ノバテックLC522
(日本ポリエチレン(株)、低密度ポリエチレン樹脂) 100質量%
なお、上記静電気防止粘着積層体の各物性を、表1に示した。
【0030】
[実施例5]
インフレーション共押出製膜機を用いて、下記の静電気防止粘着層、基材層を押出し、全体の厚みが50μmの静電気防止粘着積層体を得た。
・静電気防止粘着層10μm
ユメリット0520F
(宇部興産(株)、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.904g/c
3) 75.5質量%
クレイトンMD6649
(クレイトンポリマー社) 2質量%
ポリエーテルエステルアミド型帯電防止剤 22.5質量%・基材層40μm
ノバテックLC522
(日本ポリエチレン(株)、低密度ポリエチレン樹脂) 100質量%
なお、上記静電気防止粘着積層体の各物性を、表1に示した。
【0031】
[実施例6]
Tダイ共押出製膜機を用いて、下記の静電気防止粘着層、基材層を押出し、全体の厚みが70μmの静電気防止粘着積層体を得た。
・静電気防止粘着層15μm
ユメリット0520F
(宇部興産(株)、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.904g/c
3) 78質量%
クレイトンMD6649
(クレイトンポリマー社) 2質量%
ペレスタット230
(三洋化成(株)) 20質量%・基材層55μm
エボリューSP2020
((株)プライムポリマー、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン樹脂)100質量%
なお、上記静電気防止粘着積層体の各物性を、表1に示した。
【0032】
[実施例7]
インフレーション共押出製膜機を用いて、下記の静電気防止粘着層、基材層を押出し、全体の厚みが70μmの静電気防止粘着積層体を得た。
・静電気防止粘着層15μm
ユメリット0540F
(宇部興産(株)、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.904g/c
3) 72質量%
ダイナロン1320P
(JSR(株)、スチレン系熱可塑性エラストマー) 4質量%
ペレスタット230
(三洋化成(株)) 24質量% ・基材層55μm
ノバテックLC522
(日本ポリエチレン(株)、低密度ポリエチレン樹脂) 100質量%
なお、上記静電気防止粘着積層体の各物性を、表1に示した。
【0033】
[実施例8]
Tダイ共押出製膜機を用いて、下記の静電気防止粘着層、基材層を押出し、全体の厚みが70μmの静電気防止粘着積層体を得た。
・静電気防止粘着層15μm
ユメリット0520F
(宇部興産(株)、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.904g/c
3) 78質量%
シブスター072T
((株)カネカ、スチレン系熱可塑性エラストマー) 2質量%
ペレスタット230
(三洋化成(株)) 20質量%
・基材層55μm
ノバテックLC522
(日本ポリエチレン(株)、低密度ポリエチレン樹脂) 100質量%
なお、上記静電気防止粘着積層体の各物性を、表1に示した。
【0034】
[比較例1]
インフレーション共押出製膜機を用いて、下記の静電気防止粘着層、基材層を押出し、全体の厚みが50μmの静電気防止粘着積層体を得た。
・静電気防止粘着層10μm
カーネルKF360T
(日本ポリエチレン(株)、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.89
8g/cm3) 70質量%
エンティラSD100
(三井・デュポンポリケミカル(株)、アニオン性特殊樹脂) 30質量% ・基材層40μm
ノバテックLF547
(日本ポリエチレン(株)、低密度ポリエチレン樹脂) 100質量%
なお、上記静電気防止粘着積層体の各物性を、表1に示した。
【0035】
[比較例2]
インフレーション共押出製膜機を用いて、下記の静電気防止粘着層、基材層を押出し、全体の厚みが50μmの静電気防止粘着積層体を得た。
・静電気防止粘着層10μm
ユメリット0540F
(宇部興産(株)、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.904g/c
3) 77.5質量%
ポリエーテル/ポリオレフィンブロックコポリマー型帯電防止剤 22.5質量%
・基材層40μm
スミカセンF425−P
(住友化学(株)、低密度ポリエチレン樹脂) 100質量%
なお、上記静電気防止粘着積層体の各物性を、表1に示した。
【0036】

【0037】
[評価]
以下に、各評価項目について測定方法等を示す。
【0038】
[表面抵抗値]
静電気防止粘着積層体を23℃−50%RH及び60℃−15%RH雰囲気下に1日放置した後、JIZ K 6911に準拠し、抵抗率計((株)ダイアインスツルメンツ「ハイレスタUP MCP−HT450型」)を用いて、印加電圧を1000Vとし、静電気防止粘着層の表面抵抗値を測定した。
【0039】
[初期粘着力]
厚み3mmのメタクリル樹脂板に静電気防止粘着積層体をJIS Z0237に規定されたゴムロール(重さ2kg、幅45mm、ロール径95mm、ゴム硬度80±5Hs)を用い、1往復圧着し、1時間後の剥離強度を300mm/分の引張り速度で測定した。
【0040】
[評価結果]
実施例1〜8の静電気防止粘着積層体は、23℃−50%RH、及び、60℃−15%RH雰囲気下において高い静電気防止効果を示した。すなわち、湿度に大きく依存されない高い静電気防止効果を示した。
これに対し、比較例1の静電気防止粘着積層体は、23℃−50%RH雰囲気下では高い静電気防止効果を示したが、60℃−15%RH雰囲気下では目的とする静電気防止効果が得られなかった。また、比較例1及び2の初期粘着力は0.05N/25mmに満た
なく、実用に適したものではなかった。
【符号の説明】
【0041】
1.静電気防止粘着積層体
2.静電気防止粘着層
3.基材層
21.中間層
22.背面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層及び静電気防止粘着層からなる静電気防止粘着積層体において、前記静電気防止粘着積層体が、多層共押出成形法で製造され、前記静電気防止粘着層が、メタロセン触媒の存在下で製造された密度が0.86g/cm3〜0.91g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体42〜89質量%と、スチレン系熱可塑性エラストマー1〜8質量%及びポリエーテル系帯電防止剤10〜50質量%からなることを特徴とする、静電気防止粘着積層体。
【請求項2】
上記静電気防止粘着層の23℃−50%RH、及び、60℃−15%RH雰囲気下での表面抵抗値が、1012Ω/□以下であることを特徴とする、請求項1記載の静電気防止粘着積層体。
【請求項3】
上記静電気防止粘着層の厚みが、全体厚みの10〜30%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の静電気防止粘着積層体。
【請求項4】
上記スチレン系熱可塑性エラストマーが、水添ジエン系共重合体であり、ビニル系芳香族化合物重合体ブロック(A)、共役ジエン重合体もしくはビニル系芳香族化合物と共役ジエンのランダム重合体ブロック(B)、ビニル系芳香族化合物と共役ジエンのうちビニル系芳香族化合物が漸増するテーパーブロック(C)の、少なくともブロック(A)とブロック(B)とを含む(A)−(B)ブロック共重合体、(A)−(B)−(A)ブロック共重合体、(A)−(B)−(C)ブロック共重合体から選択したブロック共重合体に水素添加して共役ジエンの二重結合の80%以上を飽和した水添ジエン系共重合体のいずれか、または複数であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の静電気防止
粘着積層体。
【請求項5】
上記スチレン系熱可塑性エラストマーが、ハードセグメントがポリスチレン系化合物、ソフトセグメントがポリイソブチレンで構成されるスチレン−イソブチレン系ブロック共重合体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の静電気防止粘着積層体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−79264(P2011−79264A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234834(P2009−234834)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】