説明

非オピオイドおよびオピオイド鎮痛薬の組み合わせを含む口腔内崩壊錠組成物

本発明は、複数の味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を含む医薬組成物、そのような医薬組成物を含む剤形(口腔内崩壊錠など)、ならびに本発明の医薬組成物および剤形の作製方法に関する。本発明の医薬組成物を含む剤形は、合剤のより好都合で好ましい味による投与を提供する、非オピオイドおよびオピオイド鎮痛薬の改良された均質なブレンドであり、例えば疼痛の治療のためのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、いずれも2009年5月1日出願の、米国仮出願第61/174,780号および第61/174,788号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
中程度から重度の疼痛は、ヒドロコドンなどのオピオイド鎮痛薬で効果的に治療することができる。しかし、多くのオピオイドが習慣性であるため、アセトアミノフェンまたはアスピリン、イブプロフェンなどのNSAIDを例えとする非オピオイド鎮痛薬とオピオイドとを組み合わせることで、より低用量のオピオイド鎮痛薬での効果的な疼痛制御を可能とし、乱用のリスクを軽減することができる。しかし、複数の剤形を投与する必要があることにより、患者コンプライアンスの問題や用量のミスなどの問題が生ずる可能性がある。
【0003】
そのような問題を防止するための1つのアプローチとしては、投与すべき異なる剤形の数を最小限に抑え、鎮痛薬の組み合わせが正しい相対用量で確実に投与されることを目的として、複数の鎮痛薬(例:非オピオイドおよびオピオイド鎮痛薬の組み合わせ)を単一の剤形にまとめることである。例えば、Vicodin(登録商標)は、重度の疼痛を制御することを意図した、5mgの酒石酸水素ヒドロコドンおよび500mgのアセトアミノフェンを含有する即放(IR)錠である。しかし、必要とされる1:100の重量比でヒドロコドンとアセトアミノフェンとの均質なブレンド(例:各国の監督機関によって要求される、6%またはそれ未満のRSDを有する内容物の均一性)を再現可能に調製することは非常に困難である。従って、均一に再現可能な形で高用量の非オピオイド鎮痛薬と低用量のオピオイド鎮痛薬とを単一の剤形にまとめる方法が求められている。
【0004】
2種類の最も広く用いられている経口剤形は、錠剤とカプセル剤である。しかし、このような剤形はいくつかの欠点を有している。例えば、錠剤の飲み込みに問題を抱えている人は、全体の50%であると推定されている(非特許文献1参照)。高齢者もしくは小児にとっての錠剤もしくはカプセル剤を飲み込むこと、または、錠剤もしくはカプセル剤を飲み込むことができないか、もしくは飲み込む意思のない患者への投薬は、特に困難である。さらに、従来の錠剤またはカプセル剤は、通常は水と一緒に投与される必要があり、それは常に可能であったり、または好都合であったりするわけではない。このことが、低い、または場合によってはまったくない治療コンプライアンスへと繋がり、それが結果として治療の効果に悪影響を及ぼすことになる。口腔内崩壊錠(ODT)の剤形は、そのような問題に対処するために導入されたものであり、それは、ODTが頬側口腔内で迅速に溶解または崩壊し、得られた薬物のスラリーまたは懸濁液は、患者による飲み込みがより容易であるからである。そのような剤形はまた、水と一緒に投与される必要がないため、より好都合でもある。
【0005】
ODT剤形は、患者の口腔内で崩壊するため、崩壊したODTは好ましい味でなければならない。例えば、ODT中の1もしくは2つ以上の鎮痛薬が苦い味である場合、ODTを構成する薬物含有粒子は、例えば薬物の口腔内での放出を防ぐためにポリマー膜で薬物含有粒子をコーティングすることにより、味マスキングを施す必要がある。しかし、味マスキングの主たる欠点は、効果的に味マスキングされたマイクロ粒子からの1もしくは複数の薬物の溶解が遅くなるということである。薬物が苦いほど、より厚い味マスキングコーティングが必要となり、従って、味マスキングされた薬物含有粒子からの薬物の放出が遅くなる。従って、薬物含有粒子を効果的に味マスキングするプロセスそのものが、薬物の放出を著しく遅延させ、同時に、胃腸管での薬物の全身吸収が遅延されてしまう。
【0006】
いくつかの場合において、薬物放出の遅延は、Tmaxが1時間未満であり、迅速に作用を発現する従来の錠剤または発泡錠を主体とするIR剤形と生物学的に同等であることを例とする、薬物の参照指定(reference listed)即放(IR)剤形と生物学的に同等であることが意図されるODT剤形にとって、特に問題である。そのような生物学的に同等である即放ODT製品の場合、味マスキング層が、薬物の放出速度を大きく低下させないことが不可欠である。2もしくは3つ以上の鎮痛薬の組み合わせを含有するODT組成物の場合(例:非オピオイド/オピオイド鎮痛薬オピオイド鎮痛薬製剤)、合剤ODTの異なる鎮痛薬成分が、その薬物の苦味の度合いに応じて異なるレベルの味マスキングを必要とし得ることから、この問題は特に深刻である(すなわち、苦味レベルの低い鎮痛薬はほとんどまたはまったく味マスキングの必要がない場合があり、苦味の強い鎮痛薬はしっかりした味マスキング層を必要とする場合がある)。さらに事態を複雑にすることには、味マスキング層は、溶解性の高い鎮痛薬よりも溶解性の低い薬物の放出速度を低下させる。特定の場合では、持続放出コーティングされた非オピオイド鎮痛薬粒子と組み合わせて味マスキングされたオピオイド鎮痛薬粒子を含むODT組成物がより望ましい場合がある。
【0007】
加えて、ODTは、口腔内で唾液と接触すると迅速に崩壊し、同時に、包装、保管、輸送、販売、および最終使用の過程での磨耗に耐えるのに十分な硬度と強度を錠剤に提供し、ならびに許容される感覚刺激特性(例:上述のように味が好ましく、およびなめらかな(ざらつきのない)口当たりを示す)および許容される薬物動態特性(すなわち、迅速な作用発現、Cmax、参照指定薬物に類似のAUC特性)も提供するものである必要がある。これらすべての特性を達成することは、多くの場合非常に困難であり、それは、溶解性の高いおよび/または苦味の強い薬物ほど、適切な味マスキングのためには厚い味マスキング層が必要となり得るものであり、このことが、必要とされる迅速な薬物放出を得ることを困難とし得るからである。
【0008】
従って、非オピオイドおよびオピオイド鎮痛薬を含み、特にODTの形態である臨床上効果的な医薬組成物の作製は非常に困難であり、数多くの異なる、そして多くの場合競合する要求事項のバランスを取る必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Seager,Journal of Pharmacol.,and Pharm.50,pages 375−382,1998
【発明の概要】
【0010】
1の態様では、本発明は、複数の放出調節コーティングされた高用量非オピオイド/低用量オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を含む医薬組成物に関し、ここで、この薬物含有マイクロ粒子は:
(a)高用量非オピオイド鎮痛薬を含むコア;
(b)コア上に配置されたオピオイド鎮痛薬を含む第一のコーティング;および、
(c)コア上に配置された第二のコーティングであって、水不溶性ポリマーを含む放出調節コーティング(例:味マスキングおよび/または長期/持続放出特性を得るための、味マスキングまたは持続放出コーティング)
を含む。
【0011】
別の態様では、本発明は複数の味マスキングされた非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を含む医薬組成物に関し、ここで、この薬物含有マイクロ粒子は:
(a)アセトアミノフェンなどの非オピオイド鎮痛薬の高用量薬物を含むコア;
(b)高用量非オピオイド鎮痛薬含有コア上に配置されたヒドロコドンなどのオピオイド鎮痛薬の低用量薬物を含む第一の層;および、
(c)非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有コア上に配置された少なくとも1つの放出調節コーティング層(例:味マスキングまたは持続放出コーティング層)であって、ここで、少なくとも1つの放出調節コーティング層(例:味マスキングおよび/または延長した/持続した放出特性を達成するための味マスキングまたは持続放出コーティング層)は、水不溶性ポリマー、または水不溶性ポリマーおよび水溶性ポリマーもしくは胃溶性細孔形成剤の組み合わせを含む、放出調節コーティング層、
を含む。
【0012】
さらなる別の態様では、本発明は、複数の放出調整コーティングされた非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を、非オピオイド鎮痛薬の第二の群含有マイクロ粒子と組み合わせて含む医薬組成物に関し、ここで、この放出調整コーティングされた高用量非オピオイド鎮痛薬/低用量オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子は:
(a)非オピオイド鎮痛薬を含むコア;
(b)高用量薬物含有コア上に配置された所望される場合は含まれていてよいシーラントコーティング;
(c)非オピオイド鎮痛薬含有コア上に配置された持続放出コーティング層;
(d)持続放出コーティング層上に配置されたオピオイド鎮痛薬層;
(e)所望される場合は含まれていて良い、オピオイド鎮痛薬層上に配置されたシーラントコーティング;および、
(f)シーラントコーティング上に配置された味マスキング層;を含み、
ここで、持続放出コーティング層は、水溶性または腸溶性ポリマーと所望される場合は組み合わせてよい水不溶性ポリマーを含みそれによって、非オピオイド鎮痛薬含有粒子に味マスキングおよび/または持続放出特性が付与され;ならびに、シーラントコーティング上に配置された味マスキング層は、胃溶性細孔形成剤と所望される場合は組み合わせてよい水不溶性ポリマーを含む。
【0013】
さらに別の態様では、本発明は、複数の放出調節コーティングされた放出調節コーティングされた非オピオイド鎮痛薬と組み合わせた非オピオイド鎮痛薬粒子/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を含む医薬組成物に関し、ここで、この放出調節コーティングされた非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子は:
(a)非オピオイド鎮痛薬を含むコア;
(b)非オピオイド鎮痛薬含有コア上に配置された所望される場合は含まれていてよいシーラントコーティング;
(c)シーラントコーティング層上に配置された味マスキングコーティング層;
(d)味マスキングコーティング層上に配置されたオピオイド鎮痛薬層;
(e)オピオイド鎮痛薬層上に配置されたシーラントコーティング;および、
(f)シーラントコーティング上に配置された香味層;
を含む。
【0014】
なおさらなる別の態様では、本発明は、本発明の医薬組成物の1つ、速分散性微粒剤、および、所望される場合は含まれていてよい、放出調節コーティング層でコーティングされた非オピオイド鎮痛薬含有コアを含む非オピオイド鎮痛薬含有粒子の第二の群、の組み合わせを含むODT剤形に関する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、本明細書で開示される医薬組成物を作製するための方法に関し、その方法は:
(1)非オピオイド鎮痛薬を含むコアを作製する工程:
(2)工程(1)の非オピオイド鎮痛薬含有コアをオピオイド鎮痛薬層でコーティングし、それによって非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を形成させる工程;
および、
(3)工程(1)の非オピオイド鎮痛薬含有コア、および/または工程(2)の非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を、水不溶性ポリマーを含むコーティング層でコーティングし、それによって、味マスキングされおよび/または放出制御された非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を形成させる工程、
を含む。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、本明細書で開示されるODT医薬組成物を作製するための方法に関し、その方法は:
(1)平均粒子サイズが30μm以下である糖アルコール、サッカリド、またはこれらの混合物、および超崩壊剤を含む速分散性微粒剤を作製する工程;
(2)非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を、非オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子および速分散性微粒剤と共に含むブレンドを作製する工程、および、
(3)このブレンドを圧縮して口腔内崩壊錠とする工程、
をさらに含む。
【0017】
なおさらなる態様では、本発明は、痛みのある患者を治療する方法に関し、その方法は、本発明の非オピオイド鎮痛薬とオピオイド鎮痛薬とを含有する組成物の治療効果量を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、放出調節され(味マスキングされたおよび/または持続性のある放出コーティング)、高用量で、非オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子、または、放出調節コーティング、低用量オピオイド/高用量非オピオイド鎮痛薬含有マイクロの1つの態様の概略図を示す。
【図2】図2は、パイロットPK(薬物動態)研究において見られた、酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェン錠のアセトアミノフェンに対する血漿中濃度−時間プロファイルを示す。
【図3】図3は、パイロットPK(薬物動態)研究において見られた、酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェン錠の酒石酸水素ヒドロコドンに対する血漿中濃度−時間プロファイルを示す。
【図4】図4は、パイロットPK(薬物動態)研究において見られた、アセトアミノフェンODT対Panadol(登録商標)のアセトアミノフェンに対する血漿中濃度−時間プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で引用されるすべての文書は、その全体があらゆる点で参照することで本明細書に組み入れられる。いずれの文書の引用も、それが本発明に関する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0020】
本発明は、複数の本明細書で述べる放出調節コーティングされた非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を含む医薬組成物に関する。本発明の組成物は、以下の1もしくは2つ以上の仕様を満たす、非オピオイド/オピオイド鎮痛薬合剤含有経口剤形を提供する:
・放出調節(すなわち、味マスキングされたおよび/または持続放出)コーティングされたマイクロ粒子であって、ここで、オピオイド鎮痛薬は非オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子上に層形成され、米国薬局方の要求事項を満たすブレンド均質性を有する、マイクロ粒子;
・非オピオイドおよびオピオイド鎮痛薬の溶解性ならびに苦味の違いに関係なく、効果的に味マスキングされたマイクロ粒子;
・ある態様では、本発明の組成物はさらに速分散性顆粒剤を含み、それによって、口腔内で唾液と接触すると迅速に崩壊するODT剤形が提供され、味マスキングされた鎮痛薬含有粒子を含有するなめらかで飲み込み易い懸濁液が形成されること;
・飲み込み終わるまで後味を残さないなめらかな口当たりを提供するために(すなわち、薬物の放出がほとんどないかまたは最小限であり、ざらつき感やチョークのような味がない(non−chalky taste))、平均粒子径が約400μm以下である鎮痛薬含有粒子;
・胃に到達すると、即放鎮痛薬含有粒子からの迅速で実質的に完全な用量の放出が提供され、それによって、対応する1もしくは複数の即放参照指定医薬品と生物学的に同等である可能性が高められるか、または非オピオイド鎮痛薬の目的とする放出プロファイルが1日1回もしくは2回の投与レジメンに適したものとされること;ならびに、
・HDPEボトルへの包装および/もしくはバルクとしての輸送に適する、または販売および最終使用のための包装された錠剤として適する許容される錠剤強度および脆砕性を示す堅牢な錠剤製剤を提供すること。
【0021】
本明細書で用いる「薬物」、「活性」、または「活性医薬成分」の用語は、薬理学的に許容され、治療効果のある化合物、その薬理学的に許容される塩、立体異性体および立体異性体の混合物、溶媒和物(水和物を含む)、多形、ならびに/またはエステルを含む。本発明の種々の態様の説明で薬物に言及する場合、特に断りのない限り、その言及は、基本薬物(base drug)、その薬理学的に許容される塩、立体異性体および立体異性体の混合物、溶媒和物(水和物を含む)、多形、ならびに/またはエステルを包含する。
【0022】
鎮痛薬の用語は、痛みを止める特性、または、痛みを和らげる特性を持つ薬剤を意味する。
【0023】
本明細書で用いる「層」または「コーティング」の用語は、同義である。例えば、シーラント層、薬物層などの用語は、シーラントコーティング、薬物コーティングなどと同義である。
【0024】
「口腔内崩壊錠」または「ODT」の用語は、投与後、噛む必要なしに患者の口腔内で迅速に崩壊する錠剤を意味する。崩壊の速度は様々であり得るが、投与後直ちに飲み込むことを意図している従来の固体剤形(例:錠剤もしくはカプセル剤)、または咀嚼固体剤形の崩壊速度よりも速い。本発明の口腔内崩壊組成物は、膨潤、溶解、またはそれ以外でODT組成物の崩壊または溶解を促進する薬理学的に許容される成分を含有してよい。そのような成分としては、クロスポビドンなどの医薬崩壊剤、マンニトールなどの水溶性糖アルコール、ラクトースなどのサッカリド、またはこれらの混合物、ポビドンなどの水溶性バインダー、胃に進入すると薬物を放出することができる溶融性固体(例:ポリエチレングリコール、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸などの疎水性ワックス)を挙げることができる。本発明の口腔内崩壊組成物は、錠剤、ミニ錠剤、カプセル剤、もしくは単用量サッシェ剤、または再構成用の乾燥粉末剤の形態であってよい。
【0025】
本明細書で用いる「約」の用語は、数的な量を意味し、「厳密に」を含む。例えば、「約60秒」は、厳密に60秒、ならびに60秒に近い数値(例:50秒、55秒、59秒、61秒、65秒、70秒など)を含む。
【0026】
特に断りのない限り、本明細書で述べる種々のコーティングまたは層の量(「コーティング重量」)は、コーティング前の粒子またはビーズの初期重量と比較した、乾燥コーティングによって提供された粒子またはビーズの重量増加パーセントとして表される。従って、10%コーティング重量は、粒子の重量を10%増加させる乾燥コーティングを意味する。
【0027】
本明細書で用いる「即放」またはIRの用語は、約50%と等しいか若しくはそれより多い、または約75%より多い、または約90%より多い、または約95%より多い量の薬物が、剤形の投与後約2時間以内に、より詳細には約1時間以内に放出されることを意味する。
【0028】
「実質的に崩壊する」という用語は、崩壊のレベルが、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%のODT組成物の崩壊に達することを意味する。
【0029】
本明細書で用いる「放出調節」コーティングの用語は、比較的迅速に鎮痛薬を放出するそのようなコーティングを持たない製剤(すなわち、「即放」組成物)と比較して、鎮痛薬の放出を遅延、持続、長期間化、防止、および/またはそれ以外で延長するコーティングを包含する。「放出制御」の用語は、「持続放出」、「長期放出」、「遅延放出」、および「時限パルス放出(timed,pulsatile release)」を包含する。「ラグ時間(lag−time)」コーティングの用語は、特定のタイプの「放出制御」コーティングを意味し、ここで、ラグ時間コーティングは、投与後の薬物の放出を遅延させる。「放出制御」の用語はまた、「放出調節」と交換可能にも用いられる。「放出制御粒子」の用語は、本明細書で述べる1もしくは2つ以上の放出制御特性を示す粒子を意味する。「放出制御粒子」の用語はまた、本明細書で述べる1もしくは2つ以上の放出制御コーティングでコーティングされた薬物含有粒子も意味する。
【0030】
IR粒子の味マスキング層(存在する場合)へ言及する際の「実質的に味をマスキングする」の用語は、患者の口腔内での苦い味の鎮痛薬の放出を実質的に防止する味マスキング層の能力を意味する。鎮痛薬の味を「実質的にマスキングする」味マスキング層は、通常、患者の口腔内で鎮痛薬の約10%未満を放出するものであり、他の態様では、鎮痛薬の約5%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.1%未満、約0.05%未満、約0.03%未満、約0.01%未満である。本発明の組成物の味マスキング層の味マスキング特性は、インビボにて(例:本技術分野で公知である従来の官能試験を用いて)またはインビトロにて(例:本明細書で述べる溶解試験を用いて)測定することができる。当業者であれば、鎮痛薬の味を「実質的にマスキングする」味マスキング層に伴う鎮痛薬放出の量が、本明細書で明確に開示される範囲に限定されず、知覚される鎮痛薬の苦味および組成物中の他の香味剤の存在などのその他の因子に応じて様々であり得ることは認識されるであろう。
【0031】
層に言及する際の「実質的に放出を調節する」の用語は、放出調節特性を提供する層の能力を意味し、すなわち、本明細書で述べるように、比較的迅速に薬物を放出するそのようなコーティングを持たない製剤(すなわち、「即放」組成物)と比較して、鎮痛薬の放出を遅延、持続、長期間化、防止、および/またはそれ以外で延長する能力である。
【0032】
本明細書で述べる「持続放出」(SR)の用語は、測定可能なラグ時間なしに、薬物含有コア粒子から鎮痛薬をゆっくり放出する特性を意味する。「持続放出コーティング」または「SRコーティング」の用語は、持続放出特性を示すコーティングを意味する。「持続放出粒子」の用語は、持続放出特性を示す鎮痛薬含有粒子を意味する。1つの態様では、持続放出コーティングは、水不溶性ポリマーを含み、および所望される場合は、水溶性ポリマーまたは疎水性ワックスを含んでよい。SRコーティングは、所望される場合は、可塑剤、またはコーティングの「持続放出」特性に干渉しないその他の成分を含有してよい。
【0033】
本明細書で述べる「時限パルス放出」(TPR)の用語は、所定のラグ時間後の薬物の放出調節特性を意味する。「時限パルス放出コーティング」または「TPRコーティング」の用語は、時限パルス放出特性を示すコーティングを意味する。「時限パルス放出粒子」の用語は、時限パルス放出特性を示す鎮痛薬含有粒子を意味する。ある態様では、例えば少なくとも1つの水不溶性ポリマーと少なくとも1つの腸溶性ポリマーとの組み合わせ(例:エチルセルロースとハイプロメロースフタレートとの組み合わせ)で粒子をコーティングすることにより、少なくとも約2時間から約10時間のラグ時間が得られる。TPRコーティングは、所望される場合は、可塑剤、またはコーティングの「時限パルス放出」特性に干渉しないその他の成分を含有してよい。
【0034】
本明細書で述べる「放出調節コーティング薬物含有マイクロ粒子」の用語は、効果的な味マスキングおよび/または長期/持続放出特性を提供するために、1もしくは2つ以上の機能ポリマーでコーティングされた薬物含有マイクロ粒子全般(例:結晶、顆粒、制御された球形成(spheronization)によって作製されたペレット、または薬物層を有する粒子/ビーズ)を意味する。高用量非オピオイド鎮痛薬/低用量オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子に関しては、この用語は、本明細書で述べる放出調節コーティングされた高用量非オピオイド鎮痛薬/低用量オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を意味する。
【0035】
「血漿中濃度−時間プロファイル」、「Cmax」、「AUC」、「Tmax」、および「排出半減期」の用語は、企業用FDAガイダンス:生物学的同等性(FDA Guidance to Industry: Bioequivalence)に定められる、一般的に容認された意味を有する。
【0036】
特に断りのない限りにおいて、パーセントおよび比率はすべて、全組成物に対する重量で算出される。
【0037】
「上に配置される」の用語は、第一の物質上に第二の物質が堆積されることを意味し、ここで、第二の物質は、第一の物質と物理的に直接接触していても、していなくてもよい。従って、第一と第二の物質の間に介在物質が存在することも可能であるが、必須ではない。
【0038】
併用薬物療法は、痛みの治療においてますます有用になってきている。例えば、疼痛治療においては、低用量のオピオイド鎮痛薬を、比較的高用量の非オピオイド鎮痛薬(例:NSAID)と組み合わせて投与することが有益であり、これによって中程度から重度の疼痛を効果的に治療しながらも、潜在的に習慣性であるオピオイド薬の投与量が低減される。しかし、各々がオピオイドまたは非オピオイド鎮痛薬を含有する複数の剤形を投与する必要があることから、患者コンプライアンスの低下、各薬物を適切な用量で投与する際のミスなどの問題が生ずる場合がある。従って、そのような状況では、2つ(もしくは3つ以上)の鎮痛薬を組み合わせた単一の剤形を作製し、それによって2つ(もしくは3つ以上)の剤形ではなく単一の剤形の投与を可能とすることが有益である。しかし、鎮痛薬(例:非オピオイド鎮痛薬)の1つが、1もしくは2つ以上のその他の鎮痛薬(例:オピオイド鎮痛薬)と比較して比較的高濃度で存在する場合、そのような組み合わせの鎮痛薬製剤を作製することは困難である場合があり;実際問題として、高用量鎮痛薬と低用量鎮痛薬の両方が、再現可能な形で、それぞれの正しい用量で提供されるように、高用量鎮痛薬と低用量鎮痛薬との均一な混合物を得ることは困難である。
【0039】
本発明は、各々が(1もしくは複数の)高用量鎮痛薬(例:1または2以上の非オピオイド鎮痛薬)および(1もしくは複数の)低用量鎮痛薬(例:1または2以上のオピオイド鎮痛薬)の両方を含有する、複数の味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を含む医薬組成物に関する。味マスキングされた非オピオイド/オピオイド薬物含有マイクロ粒子のコアが、非オピオイド鎮痛薬を含み、オピオイド鎮痛薬は、非オピオイド鎮痛薬含有コア上に配置されたオピオイド鎮痛薬層中に提供される。
【0040】
適切なコア組成物は、非オピオイド鎮痛薬自体の粒子(例:溶液からの非オピオイド鎮痛薬の再結晶もしくは析出、または非オピオイド鎮痛薬の粉砕および篩い分けにより、所望される粒子サイズおよび粒子サイズ分布の非オピオイド鎮痛薬含有粒子が得られるように形成される)を含む。別の選択肢として、コアは、1もしくは2つ以上の薬理学的に許容される賦形剤(例:ラクトース、マンニトール、微結晶セルロースなど)、および所望される場合は含まれていてよいバインダーと組み合わせて非オピオイド鎮痛薬の粒子を含む、湿式または乾式造粒によって作製される顆粒を含むものであってもよい。さらに他の態様では、コアは、非オピオイド鎮痛薬(例:本明細書で述べる適切な薬理学的に許容される賦形剤と組み合わせて)を含む、押出しおよび球形成された粒子を含むものであってよく;または、非オピオイド鎮痛薬ペレットは、ベクターコーポレーション(Vector Corporation)製のGranurex VEC−35もしくはVEC−40による制御された球形成によって作製され、これらのペレットは、目的とする薬物放出プロファイルを1日1回もしくは2回の投与レジメンに適したものとするポリマーまたはポリマーブレンドでコーティングされる。さらに他の態様では、コアは、薬物層を有するビーズを含み、すなわち、非オピオイド鎮痛薬および所望される場合は含まれていてよいバインダーで層形成された不活性コア(例:糖球(sugar spheres)、微結晶セルロース、マンニトール−微結晶セルロース、二酸化ケイ素など)である。さらなる態様では、コアは、非オピオイド鎮痛薬を薬理学的に許容される賦形剤と組み合わせて含み、粒子径が約2〜5mmの範囲である「ミニ錠剤」に圧縮成形されたものであってよい。特定の態様では、コアは、非オピオイド鎮痛薬の粒子を含む。多くの態様では、コアの平均粒子サイズは、約500μm未満、または約400μm未満、または約300μm未満、または約200μm未満である。
【0041】
本組成物の非オピオイド鎮痛薬および/またはその他の成分と適合する薬理学的に許容されるポリマーバインダーのいずれも、非オピオイド鎮痛薬含有コアの作製に用いてよい(例:顆粒の形成、薬物層を有するビーズの形成などに用いられるバインダー)。適切なポリマーバインダーとしては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリサッカリド、アラビアガム、アルギン酸、カンテン、カラゲナンカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、液状グルコース、グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ペクチン、PEG、ポビドン、アルファ化デンプンなどから成る群より選択されるポリマーが挙げられる。
【0042】
非オピオイド鎮痛薬含有コアは、オピオイド層で直接コーティングしてよく、またはまずシーラント層をコーティングしてもよい。適切なシーラント層は、親水性水溶性ポリマーを含む。適切な親水性ポリマーの限定されない例としては、親水性ヒドロキシプロピルセルロース(例:Klucel(登録商標)LF)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはハイプロメロース(例:Opadry(登録商標)ClearまたはPharmacoat(商標)603)、ビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー(例:BASF製Kollidon(登録商標)VA 64)、および低粘度エチルセルロースを例とするエチルセルロースが挙げられる。多くの態様では、特に非オピオイド鎮痛薬含有コアが非オピオイドの粒子である場合、本発明の組成物は、コア上に直接コーティングされるシーラント層を必要としない。
【0043】
シーラント層は、約1%から約10%のコーティング重量で適用してよく、例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%であり、これらの間のすべての範囲およびサブ範囲を含む。
【0044】
ある態様では、本発明の組成物は、投与後に患者の口腔内で崩壊することを意図している(例:本明細書で述べるODT剤形)。そのような態様では、非オピオイド鎮痛薬および/またはオピオイド鎮痛薬が不快な知覚特性(例:苦味)を有する場合、非オピオイド鎮痛薬含有コアおよび/またはオピオイド鎮痛薬含有層は、例えば非オピオイド鎮痛薬含有コアおよび/またはオピオイド鎮痛薬含有層を味マスキング層でコーティングすることによって味マスキングが施され、患者が非いオピオイドおよび/またはオピオイド鎮痛薬の味を知覚することを防止する。例えば、本発明の組成物は、非オピオイド鎮痛薬含有コアとオピオイド鎮痛薬含有層との間に配置された本明細書で述べる単一の味マスキング層、オピオイド鎮痛薬含有層上に配置された本明細書で述べる単一の味マスキング層、または非オピオイド鎮痛薬含有コアとオピオイド鎮痛薬含有層との間、およびオピオイド鎮痛薬含有層上にそれぞれ配置された2つの味マスキング層を含んでよい。味マスキング層は、非オピオイド鎮痛薬含有コア上および/またはオピオイド鎮痛薬含有層上に直接コーティングしてよく、または、例えば静電気帯電および/もしくは粒子摩擦を最小限に抑えるかまたは防止するために、高用量薬物含有コアおよび/または低用量薬物含有層をまずシーラント層(例:本明細書で述べるもの)でコーティングし、続いて味マスキングポリマーのコーティングを行ってもよい。本発明の組成物が2もしくは3つ以上の味マスキング層を含む場合、味マスキング層は、本明細書で述べる味マスキング層組成物のいずれからも独立して選択してよい。
【0045】
適切な味マスキング層は、水不溶性ポリマー、または水不溶性ポリマーと胃溶性細孔形成剤との組み合わせを含んでよい(例:胃溶性で薬理学的に許容される有機、無機、またはポリマー物質)。
【0046】
味マスキング層は、非オピオイド鎮痛薬含有コアおよび/またはオピオイド鎮痛薬含有層上へ、流動床コーティングまたはコアセルベーションを例とする適切ないかなる方法でコーティングしてもよい。例えば、味マスキングポリマーコーティングは、約3%から約50%の重量増加(コーティングおよび乾燥後)が得られるようにコアに堆積させてよく、約3%、約5%、約7%、約10%、約12%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%を含み、これらの間のすべての範囲およびサブ範囲を含む。
【0047】
適切な水不溶性ポリマーの限定されない例としては、エチルセルロース、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、中性メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー(例:Eudragit RL、RS、およびNE30Dなど)、およびこれらの混合物が挙げられる。1つの態様では、水不溶性ポリマーは、エチルセルロースを含む。別の態様では、水不溶性ポリマーは、80/20 トルエン/エタノールの5%溶液中にてウベローデ粘度計により25℃で測定した平均粘度が10cps(例:Ethocel Standard 10 Premium)または約100cps(Ethocel Standard 100 Premium)であるエチルセルロースを含む。
【0048】
本明細書で述べるように、ある態様では、1もしくは複数の味マスキング層は、独立して、水不溶性ポリマー(本明細書で述べる)と胃溶性細孔形成剤との組み合わせを含む。細孔形成剤は、ポリマーおよび非ポリマーの薬理学的に許容される胃溶性物質を含む。非ポリマーの胃溶性細孔形成剤の限定されない例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、水酸化第二鉄、リン酸第二鉄、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウムなどの薬理学的に許容される無機物質;カルシウムサッカリド(calcium saccharide)、コハク酸カルシウム、酒石酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、酢酸第二鉄などの薬理学的に許容される非ポリマーの有機物質;マルトリン(maltrin)、Eudragit(登録商標)の商品名で入手可能であるメタクリル酸アミノアルキルコポリマー(E100またはEPOのタイプ)、三共株式会社、東京(日本)、から入手可能であるAEA(登録商標)を例とするポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートなどを含む薬理学的に許容される胃溶性ポリマー;およびこれらの混合物が挙げられる。1つの態様では、胃溶性ポリマーは、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ブチル、およびメタクリル酸メチルを主体とするターポリマーである。別の態様では、このターポリマーは、平均分子量が150,000であり、メタクリル酸メチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、およびメタクリル酸ブチルのモノマー比は、1:2:1であり、ならびにこれらの混合物である。
【0049】
水不溶性ポリマーの胃溶性細孔形成剤に対する比率は、約95/5から約50/50の範囲であり、約90/10、約85/15、約80/20、約75/25、約70/30、約65/35、約60/40、または約55/45を含む。
【0050】
水不溶性ポリマーおよび胃溶性細孔形成剤を含む味マスキング層のコーティング重量は、約5%から約30%、または約5%〜25%、約5%〜20%、約5%〜15%、約5%〜10%、約10%〜30%、約10%〜25%、約10%〜20%、約10%〜15%、約15%〜30%、約50%〜25%、約15%〜20%、約20%〜30%、約20%〜25%、もしくは約25%〜30%の範囲である。
【0051】
水不溶性ポリマーの胃溶性ポリマーに対する比率は、約9/1から約1/1の範囲であり、約6/3から約2/1の範囲を含む。他の態様では、水不溶性ポリマーの胃溶性ポリマーに対する比率は、約95/5、約90/10、約85/15、約80/20、約75/25、約70/30、約65/35、約60/40、約55/45、または約50/50であり、これらの間のすべての値、範囲、およびサブ範囲を含む。
【0052】
ある態様では、水不溶性ポリマーおよび胃溶性ポリマーの組み合わせを含む味マスキング層は、約10重量%から約40重量%のコーティング重量を有し、約12%から約30%、約15%から約25%、および約20%から約30%の範囲を含む。他の態様では、水不溶性および胃溶性ポリマーの組み合わせを含む味マスキング層のコーティング重量は、約10%、約12.5%、約13%、約15%、約17%、約18%、約20%、約22%、約24%、約25%、約27%、約30%、約35%、または約40%であり、これらの間のすべての範囲およびサブ範囲を含む。
【0053】
種々の態様では、非オピオイド鎮痛薬の放出を調節する目的で、非オピオイド鎮痛薬含有コア上に長期放出コーティング層を提供することが望ましい。非オピオイド鎮痛薬含有コア上に配置された長期放出コーティングは、水不溶性ポリマーを含むことによって持続放出(SR)コーティングを提供してよく;腸溶性もしくは水溶性ポリマーと組み合わせて水不溶性ポリマーを含むことによって時限パルス放出(TPR)コーティングを提供してもよい。さらに他の態様では、長期放出コーティングは、腸溶性ポリマーを含んで非オピオイド鎮痛薬含有粒子上に配置され、それによって遅延放出(DR)コーティングが提供される。
【0054】
ある態様では、長期放出コーティングは、可塑剤の必要なしに適切な特性(例:長期放出特性、機械特性、およびコーティング特性)を提供する。例えば、可塑剤を含まないエチルセルロースは、味マスキングのために相分離を介しての溶媒コアセルベーションによる薬物含有コアのコーティングに用いられ、及び/または、例えば適切な溶媒から適用して、持続放出特性を提供することができる。また、ポリ酢酸ビニル(PVA)、アクリレート/メタクリレートエステルの中性およびカチオン性コポリマー(例:NE30DおよびEPO)、ワックスなどを含むコーティングも、可塑剤なしに適用することができる。
【0055】
適切な腸溶性ポリマーの限定されない例としては、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリ酢酸ビニルフタレート、pH−応答性メタクリル酸/メタクリル酸メチルコポリマー(例:Eudragit(登録商標)L、S、およびFSポリマー)、シェラック、およびこれらの混合物が挙げられる。特定の態様では、非ポリマーワックスおよび脂肪酸組成物などの非ポリマーの腸溶性物質を、それらが腸溶性ポリマーに対応するpH応答性の溶解性を有する場合、腸溶性ポリマーの代わりに用いてよい。このような腸溶性ポリマーは、溶媒混合物中の溶液として、または水性分散液として用いてよい。用いてよいいくつかの市販物質としては、ロームファーマ(Rohm Pharma)製のEudragit(L100、S100、L30D)の商品名で販売されているメタクリル酸コポリマー、イーストマンケミカル社(Eastman Chemical Co.)製のセラセフェート(セルロースアセテートフタレート)、FMCコーポレーション(FMC Corp.)製Aquateric(セルロースアセテートフタレート水性分散液)、および信越株式会社(Shin Etsu K.K.)製Aqoat(ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート水性分散液)である。
【0056】
水不溶性ポリマーおよび腸溶性ポリマーの組み合わせを含む長期放出コーティングのコーティング重量は、約10から60%、より詳細には約30%から60%の範囲であり、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、または約55%を含み、これらの間のすべての範囲およびサブ範囲を含む。水不溶性ポリマーの腸溶性ポリマーに対する比率は、約10:1から1:2、より詳細には約2:1から1:1までの間で様々であってよく、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、または約1:1を含む。
【0057】
他の態様では、長期放出層は、水溶性ポリマーと組み合わせた水不溶性ポリマー(本明細書で述べる)の組み合わせを含む。適切な水溶性ポリマーの限定されない例としては、ポリビニルピロリドン(例:Povidone K−25)、ポリエチレングリコール(例:PEG400)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。
【0058】
水不溶性ポリマーの水溶性ポリマーに対する比率は、約95/5から約50/50の範囲であり、約95/5、約90/10、約85/15、約80/20、約75/25、約70/30、約65/35、約60/40、約55/45、または約50/50の比率を含み、これらの間のすべての範囲およびサブ範囲を含む。他の態様では、水不溶性ポリマーおよび水溶性ポリマーの組み合わせを含む味マスキング層が非オピオイド鎮痛薬含有コア上に堆積されるコーティング重量は、約3重量%、約5重量%、約7重量%、約10重量%、約12重量%、約15重量%、約17重量%、約20重量%、約22重量%、約25重量%、約27重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、および約50重量%であり、これらの間のすべての値、範囲、およびサブ範囲を含む。
【0059】
ある態様では、本発明は、少なくとも1つの治療薬、またはその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、および/もしくはエステル;水不溶性ポリマー(例:エチルセルロース)、腸溶性ポリマーおよび所望される場合は水不溶性ポリマー(例:約9:1から約5:5の比率のエチルセルロースとハイプロメロースフタレート)を含む、第一のコーティング上に配置される所望に応じた第二のコーティング、を含む放出調節コーティングされた非オピオイド鎮痛薬コアを含む医薬組成物に関する。
【0060】
放出調節または味マスキング層は、可塑化されていても、されていなくてもよい。例えば、薬物含有粒子は、可塑剤の必要なしに相分離を介する溶媒コアセルベーションにより、または流動床コーターを用いて適切な薬理学的に許容される溶媒から、エチルセルロースで味マスキングしてよい。流動床コーター内のEudragit NE30Dなどの種々のポリマーまたは種々の疎水性ワックスを含む放出調節コーティングは、通常は可塑剤を必要としない。
【0061】
可塑剤の使用が望ましいまたは好都合である場合、適切な可塑剤の限定されない例としては、グリセロールおよびそのエステル(例:市販のMyvacet(登録商標)9−45を含むアセチル化モノまたはジグリセリド)、グリセリルモノステアレート、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、フタレート(例:ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレートなど)、アセチルクエン酸トリブチルエステル、アセチルクエン酸トリエチルエステル、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、グリセロールトリブチレート;ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、ジブチルアジペート、ジブチルアゼレート、ジブチルベンゾエート、クロロブタノール、ポリエチレングリコール、植物油、ジエチルフマレート、ジエチルマレート、ジエチルオキサレート、ジブチルスクシネート、ジブチルブチレート、セチルアルコールエステル、マロネート(例:ジエチルマロネートなど)、ヒマシ油、ポリソルベート、N−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−メチルピロリドン、およびこれらの混合物が挙げられる。ある態様では、非フタレート系可塑剤を用いることが望ましい。本発明の種々の態様では、水不溶性ポリマーの量に対する味マスキング層中の可塑剤の量は、約3重量%から約30重量%の範囲である。別の態様では、可塑剤の量は、水不溶性ポリマーに対して10重量%から約25重量%の範囲である。さらに他の態様では、水不溶性ポリマーの重量に対する可塑剤の量は、約3%、約5%、約7%、約10%、約12%、約15%、約17%、約20%、約22%、約25%、約27%、および約30%であり、これらの間のすべての範囲およびサブ範囲を含む。当業者であれば、1もしくは複数のポリマー、およびコーティング系の性質(例:水または溶媒ベース、溶液または分散液ベース、および完全な固体)に基づいて可塑剤の種類を選択することは公知である。特定の態様では、可塑剤はヒマシ油である。
【0062】
ある態様では、味マスキング層は、味マスキングされた粒子の凝集を低減するために、粘着防止剤をさらに含んでよい。適切な粘着防止剤としては、タルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
【0063】
1つの態様では、味マスキングポリマーコーティングは、エチルセルロース(EC−10)などの可塑化された水不溶性ポリマーを、約5〜50重量%のコーティング重量で含む。
【0064】
「本発明のある態様では、低用量オピオイド鎮痛薬/高用量非オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子は、マイクロカプセルされた非オピオイド鎮痛薬マイクロ粒子を含むコアの上に積層された低用量オピオイド鎮痛薬を含む。そのような粒子の味マスキングは、マイクロカプセルされた高用量非オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子コア上に配置された内側の保護コーティング層、および、低用量オピオイド鎮痛薬層上に配置された外側コーティング層を含む二重のコーティングにより提供される。 この内側の保護コーティングは、ヒドロキシプロピルセルロースを含み、そして、この外側のコーティング層は、全重量の約15%または約10%の増加でコーティングしたスクラロースなどの甘味剤を含む。この二重のコーティングの内側および外側の層のコーティング重量の比率は、約1:1から1:2の範囲であってよい。
【0065】
ある態様では、放出調節および/または味マスキングされた非オピオイド鎮痛薬含有コアは、例えば、味マスキングされたコアの磨耗もしくは凝集を最小限に抑えるために、または別の選択肢として、コア中の非オピオイド鎮痛薬と、例えばオピオイド鎮痛薬層中のオピオイド鎮痛薬との接触を防止するために、シーラント層でコーティングされる。
シーラント層の組成およびコーティング重量は、本明細書で述べる。
【0066】
オピオイド鎮痛薬層は、非オピオイド鎮痛薬含有コア上、またはシーラントコーティングされたコア上、および/もしくは味マスキングされたコア上に直接配置される。オピオイド鎮痛薬の非オピオイド鎮痛薬含有コア上へのコーティングは、適切ないかなる方法で行なってもよく、例えば、オピオイド鎮痛薬の溶液(薬理学的に許容される溶媒中)を、本明細書で述べるポリマーバインダーと所望される場合は組み合わせて用いる、パンコーティングまたは流動床コーティングである。例えば、オピオイド鎮痛薬コーティング溶液は、適切な溶媒(例:水、アセトンもしくはアルコールなどの薬理学的に許容される有機溶媒、または水性有機溶媒)を含んでよく、その中にオピオイド鎮痛薬および所望される場合はバインダー(例:ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)が溶解される。
【0067】
得られた非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子は次に、必要に応じて、追加のシーラント層(本明細書で述べる)、および/または味マスキング層(やはり本明細書で述べる)でコーティングしてよい。従って、ある態様では、最終的な非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子は、非オピオイド鎮痛薬含有コア(本明細書で述べる)を含み、これが、所望に応じてのシーラントコーティング、味マスキング層(例:水不溶性ポリマー、または水溶性もしくは胃溶性ポリマーと組み合わせて水不溶性ポリマーを含む)、オピオイド鎮痛薬層、所望に応じての第二のシーラント層、および第二の味マスキング層(例:水不溶性ポリマー、または水溶性もしくは胃溶性ポリマーと組み合わせた水不溶性ポリマーを含む)でコーティングされている。
【0068】
非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子は、所望される場合は、1もしくは2つ以上のシーラント層を含んでいてよく、ここで、これらのシーラント層は、その組成が同じであっても異なっていてもよく、同じコーティング重量でコーティングしても、異なるコーティング重量でコーティングしてもよい。同様に、非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子が、2つの味マスキング層を含む場合、これら2つの味マスキング層は、その組成が同じであっても異なっていてもよく、および/または、同じコーティング重量でも異なるコーティング重量でもよい。例えば、内側の味マスキング層が水不溶性ポリマーを含んでよく、外側の味マスキング層が、水不溶性ポリマーと水溶性ポリマーおよび/または胃溶性ポリマーとの組み合わせを含んでよい、などである。
【0069】
他の態様では、香味コーティング層を、オピオイド鎮痛薬含有層上に配置してよく(例:味マスキング層の代わりに)、それによって非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子が、例えば、所望に応じてのシーラントコーティング、味マスキング層(例:水不溶性ポリマー、または水溶性もしくは胃溶性ポリマーと組み合わせて水不溶性ポリマーを含む)、オピオイド鎮痛薬層、所望に応じての第二のシーラント層、および香味コーティング層でコーティングされた非オピオイド鎮痛薬含有コア(本明細書で述べる)を含むことになる。
【0070】
香味コーティング層は、香味剤およびバインダーの組み合わせを含む。適切なバインダーとしては、本明細書で述べるものが挙げられる。香味剤としては、スクラロース、サッカリン、アスパルテーム、ネオテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン酸ナトリウム、ネオヘスペリジン、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、およびこれらの混合物などの水溶性甘味剤、または別の選択肢として、ストロベリーチェリー、ペッパーミント、ストロベリー、及びこれらの混合物などの香味剤が挙げられる。1つの態様では、バインダーは、ヒドロキシプロピルセルロースであり、香味剤は、スクラロースである。
【0071】
香味コーティング層のコーティング重量は、約1重量%から約10重量%の範囲であってよく、コーティングされたコアの重量の約3.0%から約8%、約5%から約7.5%、および約5%から約10%の範囲、または約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、もしくは約10%を含み、これらの間のすべての範囲およびサブ範囲を含む。
【0072】
本明細書で述べるように、味マスキングされた高用量/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子は、味マスキング層に加えて種々の層を含んでよい(例:所望に応じてのシーラント層など)。従って、味マスキング層は、非オピオイド鎮痛薬含有コア上に直接配置してよく、またはシーラント層を、非オピオイド鎮痛薬含有コアと味マスキング層との間に挿入してもよい。他の態様では、オピオイド鎮痛薬含有層が、カチオン性ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーなどの胃溶性ポリマーと組み合わせて水不溶性ポリマーを含む味マスキング層でコーティングされる。別の態様では、オピオイド鎮痛薬層上に配置された味マスキング層は、水不溶性ポリマーを含み、水溶性または胃溶性ポリマーを含まない。別の選択肢としての態様では、水溶性甘味剤を含む香味コーティング層(例:約1%から約10%のコーティング重量)が、オピオイド鎮痛薬層上に直接配置されるか、またはオピオイド鎮痛薬層上に配置されたシーラント層(例:約1%から約10%のコーティング重量のヒドロキシプロピルセルロース)上に配置される。本発明の非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子は、USP装置1(バスケット@、100RPM)またはUSP装置2(パドル@、50RPM)を用いて、900mLの媒体(pH1.2、pH5.8、pH6.8、またはpH7(水))中、37℃で行われる溶解性試験にて、高用量およびオピオイド鎮痛薬の迅速な溶解を示すものである。
【0073】
本明細書で述べるように、放出調節コーティングされた本発明の非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を含む医薬組成物は、その他の方法(例:非オピオイド鎮痛薬を含む粒子を、オピオイド鎮痛薬を含む粒子の第二の群とブレンドすることによる)では、特に非オピオイド鎮痛薬のオピオイド鎮痛薬に対する比率が約20/1またはそれより高い場合(例:約20/1、約25/1、約30/1、約35/1、約40/1、約45/1、約50/1、約60/1、約70/1、約80/1、約90/1、約100/1など)にその達成が困難である、USPの要求事項に従うブレンド均質性ならびに用量単位の均一性を提供する。
【0074】
非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬は、患者の痛みの治療のために組み合わせて用いることが意図されるいずれの薬物を含んでもよい。例えば、本発明の医薬組成物は、中程度から重度の疼痛の治療のための、1もしくは2つ以上のオピオイド鎮痛薬(酒石酸水素ヒドロコドン、オキシモルフォン、ブプレノルフィン、フェンタニル、ヒドロモルホン)と組み合わせた非オピオイド鎮痛薬(例:アセトアミノフェン、ならびにアスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、メロキシカム、ジクロフェナクカリウム、エトドラク、スリンダク、インドメタシン、セレコキシブなどの非ステロイド系抗炎症薬)などの、高用量およびオピオイド鎮痛薬の組み合わせを含有してよい。特定の態様では、疼痛治療の場合、オピオイド鎮痛薬は、治療効果量の酒石酸水素ヒドロコドンであり、非オピオイド鎮痛薬は、治療効果量のアセトアミノフェンである。
【0075】
本発明の医薬組成物は、非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を含む。別の選択肢としての態様では、本発明の医薬組成物は、非オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子の第二の群をさらに含んでよい。この非オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子は、例えば、約15%から約35%を例とするコーティング重量にて水不溶性ポリマーでコーティングされた非オピオイド鎮痛薬含有コア(本明細書で述べる)を含み、それによって、持続放出(SR)非オピオイド鎮痛薬含有粒子が提供される。非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子とSR非オピオイド鎮痛薬含有粒子との組み合わせは、迅速なオピオイド鎮痛薬放出プロファイル、および延長された非オピオイド鎮痛薬放出(放出調節)プロファイルを示す。
【0076】
本発明の医薬組成物を用いて、錠剤、カプセル剤、およびODTなどの経口剤形を作製することができる。錠剤は、本発明の医薬組成物を適切な薬理学的に許容される賦形剤と組み合わせ、続いて得られた混合物を圧縮して錠剤を形成させることで作製することができる。別の選択肢として、本発明の医薬組成物(および所望に応じて賦形剤)をカプセルに充填することもできる。
【0077】
特定の態様では、本発明の医薬組成物を速分散性微粒剤と組み合わせて、口腔内崩壊錠(ODT)を形成することができる。ODTは、投与後(噛まずに)唾液との接触後(すなわち、口腔内で)、または模擬唾液との接触後(例:USP<701>崩壊試験、に従っての試験)、約60秒以内に口腔内で実質的に崩壊するように設計された錠剤である。特定の態様では、ODTは、約30秒以内に実質的に崩壊する。患者の口腔内でODTが崩壊することにより、ざらついた口当たりや後味のない、なめらかで飲み込み易い懸濁液が提供され、同時に、ODT中に含有される薬物について、対応する参照指定薬物(RLD)と生物学的に同等である薬物動態プロファイル(例:血漿中濃度対時間のプロファイル)も提供される。
【0078】
本発明のODTは、速分散性微粒剤と組み合わせて本発明の医薬組成物を含む。速分散性微粒剤は、米国特許公開公報第2006/0078614号、第2006/0105038号、第2005/0232988号、または第2003/0215500号(これらの各々は、その全体があらゆる点において参照することで本明細書に組み入れられる)の記載に従って、崩壊剤を平均粒子サイズが約30μm以下である糖アルコールおよび/またはサッカリドと共に造粒することで作製することができる。造粒は、例えば、高せん断造粒機により、造粒液としての水約20〜25%と共に行い、必要に応じて、湿式粉砕および乾燥を行って、例えば平均粒子サイズが約300μm以下である(例:約175〜300μm)速分散性微粒剤を作製することができる。
【0079】
速分散性微粒剤中における崩壊剤の糖アルコール、サッカリド、またはこれらの混合物に対する比率は、約90/10から約99/01の範囲であり、例えば、約90/10、約91/9、約92/8、約93/7、約94/6、約95/5、約96/4、約97/3、約98/2、約99/1であり、これらの間のすべての値、範囲、およびサブ範囲を含む。
【0080】
速分散性微粒剤の味マスキングされた鎮痛薬含有粒子に対する比率は、約5/1から約1/1の範囲であり、約5/1、4/1、3/1、2/1、1/1を含み、これらの間のすべての値、範囲、およびサブ範囲を含む。
【0081】
ODT剤形に組み込まれた、味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子は、患者の口腔内でODTが崩壊した後になめらかで飲み込み易い懸濁液を生ずるように十分に小さい粒子サイズを有する必要もある。本発明の医薬組成物がODT剤形として提供されるほとんどの態様では、味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子の平均粒子サイズは、約400μm以下であり、ある態様では、約300μm以下である。
【0082】
本明細書で述べるODT剤形はまた、微結晶セルロースおよび噴霧乾燥マンニトール(圧縮可能希釈剤)、クロスカルメロースナトリウムまたはクロスポビドン(超崩壊剤)、着色剤、ならびに所望される場合はステアリン酸マグネシウムまたはフマル酸ステアリルナトリウム(顆粒内部に混合されるか、またはダイスおよびポンチ表面の潤滑化のために外部に用いられる潤滑剤)など、崩壊錠剤製剤に通常用いられる薬理学的に許容される賦形剤も含んでよい。
【0083】
本発明の医薬組成物を含有する、ODT剤形を含めた錠剤剤形は、取り扱い、輸送、および/またはプッシュスルーブリスターパックへのパッケージングに耐える十分な耐久性を持たせる目的で、低い脆砕性を有するものであり、例えば、約1%未満である(例:約0.9%未満、約0.8%未満、約0.7%未満、約0.6%未満、約0.5%未満、約0.4%未満、約0.3%未満などであり、これらの間のすべての範囲およびサブ範囲を含む)。
【0084】
速分散性微粒剤のための適切な崩壊剤の限定されないリストには、クロスポビドン(架橋PVP)、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、ケイ酸カルシウム、および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが含まれる。ODT中の崩壊剤の量は、通常、約1重量%から約10重量%の範囲であり、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%を含み、これらの間のすべての範囲およびサブ範囲を含む。特定の態様では、速分散性微粒剤のための崩壊剤は、クロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースから成る群より選択される。より特定の態様では、速分散性微粒剤のための崩壊剤は、クロスポビドンである。
【0085】
適切な糖アルコールの限定されないリストには、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、アラビトール、リビトール、ダルシトール、イジトール、イソマルト、ラクチトール、エリスリトール、およびこれらの組み合わせが含まれる。特定の態様では、糖アルコールは、マンニトールである。適切なサッカリドの限定されないリストには、ラクトース、スクロース、マルトース、およびこれらの混合物が含まれる。特定の態様では、サッカリドは、ラクトースである。ODT中の糖アルコールおよび/またはサッカリドの量は、約30重量%から約70重量%の範囲であり、例えば、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、または約70%を含み、これらの間のすべての範囲およびサブ範囲が含まれる。
【0086】
薬理学的に許容される賦形剤としては、充填剤、希釈剤、流動促進剤、崩壊剤、バインダー、潤滑剤などが挙げられる。その他の薬理学的に許容される賦形剤としては、酸性化剤、アルカリ化剤、保存剤、酸化防止剤、緩衝剤、キレート剤、着色剤、錯化剤、乳化剤および/または可溶化剤、香味剤および香料、湿潤剤、甘味剤、加湿剤などが挙げられる。
【0087】
適切な充填剤、希釈剤、および/またはバインダーの例としては、ラクトース(例:噴霧乾燥ラクトース、α−ラクトース、β−ラクトース、Tabletose(登録商標)、種々のグレードのPharmatose(登録商標)、Microtose(登録商標)、またはFast−Flo(登録商標))、微結晶セルロース(種々のグレードのAvicel(登録商標)、Ceolus(登録商標)、Elcema(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tai(登録商標)、またはSolka−Floc(登録商標))、ヒドロキシプロピルセルロース、L−ヒドロキシプロピルセルロース(低置換度)、低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(例:ダウケミカル製のMethocel E、F、およびK、信越株式会社製のMetolose SH)、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、およびその他のセルロース誘導体、スクロース、アガロース、ソルビトール、マンニトール、デキストリン、マルトデキストリン、デンプンまたは加工デンプン(ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、およびコメデンプンを含む)、リン酸カルシウム(例:塩基性リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二カルシウム水和物)、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、コラーゲンなどが挙げられる。
【0088】
適切な希釈剤の例としては、例えば、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストラン、デキストリン、デキストロース、フルクトース、カオリン、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、スクロース、糖などが挙げられる。
【0089】
適切な崩壊剤の例としては、例えば、アルギン酸またはアルギネート、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびその他のセルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、アルファ化デンプン、カルボキシメチルデンプン(例:Primogel(登録商標)およびExplotab(登録商標))などが挙げられる。
【0090】
流動促進剤および潤滑剤の具体例としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、またはその他のステアリン酸金属塩、タルク、ワックスおよびグリセリド、軽質鉱油、PEG、ベヘン酸グリセリル、コロイド状シリカ、硬化植物油、コーンスターチ、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、アルキル硫酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0091】
その他の賦形剤としては、例えば、香味剤、着色剤、味マスキング剤、pH調節剤、緩衝剤、保存剤、安定化剤、酸化防止剤、加湿剤、湿気調節剤、界面活性剤、懸濁剤、吸収促進剤、放出調節のための剤などが挙げられる。
【0092】
本発明はまた、本明細書で述べる医薬組成物および剤形を作製する方法にも関する。1つの態様では、非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子は:
(a)本明細書で述べる非オピオイド鎮痛薬(例:アセトアミノフェン、ジクロフェナクカリウムなどの非オピオイド鎮痛薬)を含むコアを作製する工程;
(b)この非オピオイド鎮痛薬含有コア上にオピオイド鎮痛薬層(例:酒石酸水素ヒドロコドンなどの本明細書で述べるオピオイド鎮痛薬を含む)をコーティングする工程;
(c)工程(a)の非オピオイド鎮痛薬含有コアを、少なくとも1つの味マスキングおよび/または放出調節コーティング層でコーティングし、工程(b)の非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有粒子を、少なくとも1つの味マスキング層または甘味層または香味層でコーティングする工程、
を含む方法によって作製される。
【0093】
コアを作製する工程(a)は、本技術分野で公知のいかなる方法によって行ってもよく;例えば、不活性ビーズ(例:糖、微結晶セルロース、マンニトール−微結晶セルロース、二酸化ケイ素など)に、鎮痛薬および所望に応じてポリマーバインダーを含む溶液で層形成することによる(例:流動床またはパンコーティングにより)。別の選択肢として、コアは、所望される粒子サイズ(例:100〜250μmを含む、約50〜500μm)の鎮痛薬結晶を含んでもよく、それは、適切な溶媒からの非オピオイド鎮痛薬の結晶化、または非オピオイド鎮痛薬結晶の所望される粒子サイズへの粉砕によって作製される。さらに他の態様では、コアは、制御された球形成によって作製されたペレットを含んでもよい。
【0094】
特定の態様では、非オピオイド鎮痛薬を含む微粒剤を、従来の高せん断もしくはプラネタリ(planetary)造粒プロセスによって作製してよく、または非オピオイド鎮痛薬含有ペレットを、従来の造粒−押出し−球形成プロセスによって作製してよく、これは、例えばアセトアミノフェン、ポリマーバインダー、および1もしくは2つ以上の充填剤/希釈剤を含む。
【0095】
工程(b)は、味マスキングされた非オピオイド鎮痛薬含有コアを、本明細書で述べる薬物層形成溶液を用いて(例:オピオイド鎮痛薬の溶液および所望に応じてバインダーを含む)オピオイド鎮痛薬でコーティングすることを含む。オピオイド鎮痛薬層は、例えば流動床、パンコーティング、コアセルベーションなど、適切ないかなる方法を用いて適用してもよい。
【0096】
工程(c)は、非オピオイド鎮痛薬含有コアおよび/またはオピオイド鎮痛薬含有層を、味マスキング層でコーティングすることを含む。ある態様では、味マスキング層は、非オピオイド鎮痛薬含有コア上に直接コーティングされるか、または、シーラント層が非オピオイド鎮痛薬含有コア上にコーティングされ、その後にオピオイド鎮痛薬含有層および/もしくは味マスキング層によるコーティングが行われる。同様に、シーラント層は、オピオイド鎮痛薬含有層上にコーティングされ、その後に、本明細書で述べる味マスキング層または香味層(例:甘味剤および/または香味剤、ならびに所望に応じてヒドロキシプロピルセルロースなどのポリマーバインダーを含み、溶液または懸濁液として適用される)によるコーティングを行ってよい。味マスキング層は、水不溶性ポリマー、または水溶性もしくは胃溶性ポリマーと組み合わせた水不溶性ポリマー(および所望に応じてバインダー)を含み、例えば、エチルセルロース(約10%のコーティング重量でのEthocel Standard 100 Premium)、または約25%のコーティング重量でのエチルセルロースと胃溶性ポリマー(例:Eudragit E100)との組み合わせなどの本明細書で述べるいずれかの組成物である。
【0097】
オピオイド鎮痛薬層を堆積させた後、得られた粒子を、所望される場合はシーラントコーティング(本明細書で述べる)でコーティングし、続いて味マスキング層または香味層(本明細書で述べる)でコーティングしてよい。例えば、オピオイド鎮痛薬層上(または、オピオイド鎮痛薬層上に堆積されたシーラントコーティング上)に適用された味マスキング層は、水不溶性ポリマー(例:エチルセルロース)、または水不溶性ポリマーおよび水溶性もしくは胃溶性ポリマーの組み合わせ(例:Eudragit E100と組み合わせたエチルセルロース)を含んでよい。別の選択肢として、味マスキング層の代わりに香味層を、オピオイド鎮痛薬層上、またはオピオイド鎮痛薬層上に適用されたシーラント層上に適用してもよい。
【0098】
特定の態様では、本方法は、非オピオイド鎮痛薬含有コア上に、または非オピオイド鎮痛薬含有コア上に堆積されたシーラント層上に、溶媒コアセルベーションによって味マスキング層を直接コーティングすることを含み、ここで、味マスキング層は、水不溶性エチルセルロース(Ethocel Standard 100 Premium)を含み、コーティング重量は約6%である。他の態様では、本方法は、水不溶性エチルセルロース(Ethocel Standard 10 Premium)を、水溶性ヒドロキシプロピルセルロースと7:3の比率で組み合わせて、または胃溶性Eudragit E100と8:7の比率で組み合わせて、約20%のコーティング重量にて、流動床コーティングによりコーティングすることを含む。
【0099】
別の特定の態様では、本方法は、オピオイド鎮痛薬含有層上に、またはオピオイド鎮痛薬含有層上に配置されたシーラント層上に、溶媒コアセルベーションによって味マスキング層を直接コーティングすることを含み、例えば、約6%のコーティング重量での水不溶性エチルセルロース(Ethocel Standard 100 Premium)による。他の態様では、本方法は、水不溶性エチルセルロース(Ethocel Standard 10 Premium)を、水溶性ヒドロキシプロピルセルロースと7:3の比率で組み合わせて、または胃溶性Eudragit E100と8:7の比率で組み合わせて、コーティングされた粒子の総重量に対して約20重量%のレベルにて、流動床コーティングによりコーティングすることを含む。味マスキングコーティングは、例えば米国特許公開公報第2006/0078614号および第2006/0105039号に記載のようにして作製、および適用することができる。
【0100】
さらに別の特定の態様では、本方法は、オピオイド鎮痛薬含有層を、親水性ヒドロキシプロピルセルロースを含むシーラント層で、約5%のコーティング重量にてコーティングし、次いで、スクラロースなどの甘味剤を含む味マスキング層で、約5重量%のコーティング重量にてコーティングすることを含む。
【0101】
次に、本発明の味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を含む最終的な剤形は、製薬技術の分野で公知の種々の方法で作製することができ、適切な量の味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を、例えばゼラチンカプセル、または懸濁液の保存に適する容器、サッシェなどに充填すること、などである。他の態様では、本発明の味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子は、適切な薬理学的に許容される賦形剤と組み合わされて、錠剤へと圧縮成形される。本発明の医薬組成物を含む錠剤は、内部潤滑剤(例:ステアリン酸マグネシウム)を含有していてよく、または外部潤滑プロセスを用いて錠剤へと圧縮成形してもよく、この場合、潤滑剤は、圧縮用ブレンドに組み込まれるのではなく、ダイスの表面およびポンチ表面にスプレーされる。本発明の医薬組成物を含む経口剤形(例:錠剤、ODT)の作製に用いることができる外部潤滑および圧縮の方法は、例えば、米国特許第5,996,902号および米国特許第6,776,361号に記載されている。
【0102】
最終的な剤形がODTである場合、本方法は、崩壊剤、および糖アルコール、サッカリド、またはこれらの混合物を含む速分散性微粒剤を作製する工程であって、ここで、崩壊剤、糖アルコール、および/またはサッカリドの各々の平均粒子径は30μm以下である、工程;次に、この速分散性微粒剤を、味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有微粒剤、および所望に応じてその他の薬理学的に許容される賦形剤と共に、例えばミキサーまたはV−ブレンダー内で混合する工程;ならびに、最後に、この速分散性微粒剤と味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有微粒剤とのブレンドをODTへと圧縮し、例えば、外部潤滑処理された錠剤プレスを用いて所望される錠剤特性(例:適切な硬度、<0.6%の脆砕性、短い崩壊時間、および迅速な溶解)を有するODTを提供する工程、をさらに含む。速分散性微粒剤は、米国特許公開公報第2006/0078614号、第2006/0105038号、第20050232988号、および第20030215500号に開示される手順に従って作製することができる(これらの各々は、その全体があらゆる点において参照することで本明細書に組み入れられる)。
【0103】
特定の態様では、速分散性微粒剤および味マスキングされた鎮痛薬含有マイクロ粒子は、なめらかな口当たりを得るために、約4/1から2/1の比率で存在してよい。速分散性微粒剤は、各々の平均粒子径が約30μm以下であるクロスポビドンXL−10などの崩壊剤と、糖アルコール、またはサッカリド、またはこれらの組み合わせとを、水またはアルコール−水混合物と共に、従来のまたは高せん断造粒機で造粒し、流動床装置またはトレイ乾燥オーブン(tray drying oven)内で乾燥して平均粒子サイズが約400μm以下(好ましくは約300μm以下)の顆粒を作製することにより、本明細書で述べるようにして作製することができる。
【0104】
最終的な剤形は、本発明の味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子の単一の群を、賦形剤、速分散性微粒剤などと組み合わせて含んでよく、または、所望される場合の味マスキングされた非オピオイド鎮痛薬含有粒子と組み合わせた味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子の組み合わせ、もしくは別の選択肢として異なる所望される場合の味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子の2つ以上の群、を含有してもよい。非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子の異なる群の比率、または非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子と非オピオイド鎮痛薬含有粒子との比率を様々に変化させて、高用量、非オピオイドおよび低用量、オピオイド鎮痛薬の適切な用量を提供することができる。
【0105】
別の選択肢として、最終的な剤形は、本発明の味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子の単一の群を、賦形剤、速分散性微粒剤などと組み合わせて含んでよく、または、放出調節(例:味マスキングまたは持続放出)コーティングされた非オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子と組み合わせた味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子の組み合わせ、もしくは別の選択肢として異なる味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子の2つ以上の群、を含有してもよく、ここで、持続放出コーティングされた非オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子は、例えば、オピオイド鎮痛薬層形成の前に適用される、所望される場合は水溶性または腸溶性ポリマーと組み合わせてよい水不溶性ポリマーを含む。非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子の異なる群の比率、または非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子と味マスキングされたもしくは持続放出コーティングされた非オピオイド鎮痛薬含有粒子との比率を様々に変化させて、高用量、非オピオイドおよび低用量、オピオイド鎮痛薬成分の適切な用量を提供することができる。
【0106】
本明細書で述べる方法によって作製される本発明の経口剤形は、RLDを模倣するインビボでの血漿中濃度および放出プロファイルを提供する。特定の態様によると、本発明の医薬組成物は、アセトアミノフェン、乾燥微粒剤/ペレットに弾性を付与するポリマーバインダー、親水性充填剤/希釈剤、ならびに所望に応じて香味剤、甘味剤、および/もしくは崩壊剤、を含有する微粒剤または押出し/球形成によるペレットを含む。
【0107】
特定の態様では、本発明は、1日2回もしくは1回の投与レジメンに適する薬物放出特性を有する、非オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子と組み合わせた非オピオイド鎮痛薬/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子の少なくとも1つの群を含む本発明の組成物に関し、ここで、非オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子群の1もしくは2つ以上が、水不溶性ポリマー、腸溶性ポリマー、または水不溶性ポリマーと組み合わせた腸溶性ポリマーを含む1もしくは2つ以上のコーティング層を有する非オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を含む。
【0108】
ほとんどの態様では、本発明の味マスキングされた医薬組成物は、以下の特性を示す:
1)組成物が口腔内に入れられてから3分間、より特には2分間、特定の態様では60秒間、さらに他の態様では飲み込むまで、後味を残さない許容される味マスキング性;
2)米国薬局方の要求事項に従う、ブレンドの許容される均質性;および、
3)胃に入った際の迅速で実質的に完全な用量の放出、すなわち、米国薬局方装置1(バスケット@、100rpm)または米国薬局方装置2(パドル@、50rpm、900mLの溶解媒体中、37±0.5℃にて)を用いる溶解性試験を行った場合、全用量の75%以上を30分以内に放出。
【0109】
本発明の特定の態様に従って作製されたODTは、以下の特性を示し得る:
1)米国薬局方で定める剤形の許容される均一性を示す;
2)口腔内で唾液と接触して崩壊し、味マスキングされたマイクロ粒子を含むなめらかで飲み込み易い懸濁液を形成する;
3)飲み込んだ後に後味を残さない(ざらつき感やチョークのような口当たりがない);
4)胃に入ると、迅速で実質的に完全な全用量の放出を行う;または、
5)米国薬局方装置1(バスケット@、100rpm)または装置2(パドル@、50rpm)を用いて、900mLのバッファー中で溶解性試験を行った場合、ODTは、全用量の75%以上を約30分以内に放出する。
【0110】
別の特定の態様では、本発明の医薬組成物は、非オピオイド鎮痛薬としてアセトアミノフェン、およびオピオイド鎮痛薬として酒石酸水素ヒドロコドンを含む。経口投与後、アセトアミノフェンは、迅速に、およびほぼ完全にGI管から吸収される。ピーク血漿中濃度は、30〜60分以内に達成され(通常の治療投与後、血清タンパク質への結合は約25%)、血漿中半減期は、正常で健康な患者の場合1〜2.5時間の間である。約8時間後には、薬物のわずかな痕跡を検出できるのみとなる。
【0111】
治療効果量の味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を含む本発明の医薬組成物は、種々の疾患または病状の治療に効果的である。例えば、アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、メロキシカム、ジクロフェナクカリウム、エトドラク、スリンダク、インドメタシン、セレコキシブ、またはこれらの混合物などの非ステロイド系抗炎症薬の治療効果量を、酒石酸水素ヒドロコドン、オキシモルフォン、ブプレノルフィン、フェンタニル、ヒドロモルホン、またはこれらの混合物などのオピオイド鎮痛薬と組み合わせて含む(例:アセトアミノフェンとヒドロコドンとの組み合わせ)本発明の医薬組成物は、急性、慢性、もしくは術後の疼痛の軽度から中程度の疼痛の緩和、または癌など末期的病状の疼痛の抑止に効果的である。
【0112】
特定の態様では、本発明の医薬組成物は、治療効果量のアセトアミノフェンを、治療効果量のヒドロコドンまたはその塩、例えば酒石酸水素ヒドロコドンと組み合わせて含む。具体的な態様では、本発明の医薬組成物は、500mgのアセトアミノフェンおよび5mgの酒石酸水素ヒドロコドン、または300mgのアセトアミノフェンおよび100mgの酒石酸水素ヒドロコドンを含む。本発明のアセトアミノフェン/ヒドロコドン含有組成物は、Vicodin(登録商標)、Panadol(登録商標)、およびXodol(登録商標)などの公知のアセトアミノフェン/ヒドロコドン組成物と生物学的に同等である。500mgのアセトアミノフェン/5mgの酒石酸水素ヒドロコドンを含む本発明の組成物では、アセトアミノフェンのCmaxが、80〜125%である6115ng/mL、酒石酸水素ヒドロコドンのCmaxが、80〜125%である20.14ng/mL、アセトアミノフェンのAUCが、80〜125%である19920ng・時間/mL、および酒石酸水素ヒドロコドンのAUCが、80〜125%である141ng・時間/mLである。300mgのアセトアミノフェン/10mgの酒石酸水素ヒドロコドンを含む本発明の組成物では、アセトアミノフェンのCmaxが、80〜125%である3915ng/mL、酒石酸水素ヒドロコドンのCmaxが、80〜125%である40.53ng/mL、アセトアミノフェンのAUCが、80〜125%である12794ng・時間/mL、および酒石酸水素ヒドロコドンのAUCが、80〜125%である280ng・時間/mLである。
【実施例】
【0113】
1.A IRビーズ(薬物ロード:およそ5%の酒石酸水素ヒドロコドン):
酒石酸水素ヒドロコドン(81.1g)を、ヒドロキシプロピルセルロース(8.1g、Nisso HPC−L−FP)のアセトン/水(1453/782)溶液へゆっくり添加し、よく混合して溶解した。60〜80メッシュの糖球(1500g)を、Glatt流動床コーター(7”底部スプレーウルスターインサート(bottom−spray Wurster insert)、7 13/16”カラム、カラム高さ25mm、「C」空気分配プレート(‘C’air distribution plate)、および200メッシュ生成物保持スクリーンを装備したGlatt GPCG 3)中、以下の条件下にて薬物層形成製剤にてコーティングした − 入口部空気温度:70±5℃;生成物温度:45±5℃;霧化空気圧力2.43バール;ポートサイズ:1.0mm;流速:2g/分、段階的に15g/分まで上昇、空気フロー:25%フラップ。薬物層形成に続いて、ヒドロキシプロピルセルロースのシーラントコーティング溶液(457/51 アセトン/水中の32.4g)を、薬物層形成したビーズ上へ2%のコーティング重量でスプレーした。乾燥させた即放(IR)ビーズを50および80メッシュスクリーンで篩いに掛け、使用可能な総収率88.4%を得た。
【0114】
1.B 味マスキングしたビーズ(薬物ロード:およそ3.5%の酒石酸水素ヒドロコドン):
上記実施例1.AのIRビーズ(140g)を、溶媒コアセルベーションにより、30%のコーティング重量にてエチルセルロース(ダウケミカルズ製Ethocel Standard Premium 100)でコーティングした。エチルセルロース(60g)およびポリエチレン(40g、イーストマンケミカルズ製Epolene C−10)を、300RPMの攪拌速度にて、2000gのシクロヘキサン中に溶解/懸濁した。タンクを80℃まで加熱してエチルセルロースを溶解し、その後、タンクを30℃未満まで冷却して、味マスキングされた酒石酸水素ヒドロコドンマイクロカプセルを得た。このマイクロカプセルをデカントによって分離し、次にろ過し、新しいシクロヘキサンで洗浄し、ドラフト内で風乾した。
【0115】
1.C 流動床コーティングによる味マスキングされたマイクロ粒子:
上記実施例1.Aで述べたように作製したIRビーズ(1001.3g)を、80/20 アセトン(3086g)/水(771g)に溶解した、ジアセチル化モノグリセリド(Myvacet 9−45;30.0g)および食物規定に準ずる(kosher)ステアリン酸マグネシウム(30.0g)で可塑化したエチルセルロース(Ethocel Standard Premium 10cps、以降EC−10と称する)/Eudragit E100(188.6gずつ)の溶液で、30%のコーティング重量にてコーティングした。コーティングプロセスの過程で、約10%、15%、20%、および25%のコーティング重量にてサンプルを取り、溶解試験を施して、コーティングレベルの溶解特性および感覚刺激特性に対する影響を評価した。コーティングされたビーズを、Glatt GPCG 3にて10分間60℃で乾燥/硬化し、篩いに掛けて凝集物を除去した。
【0116】
1.D 標準アセトアミノフェンマイクロカプセル(PE004):
コビジエン(Covidien)製アセトアミノフェン造粒機(粒子サイズ:45〜80メッシュまたは177〜350μm)を用いて工業スケールで作製したアセトアミノフェンマイクロカプセルを、上記実施例1.Bで述べたものに類似の方法を用いて、200ガロン、500ガロン、または1000ガロンシステムを用い、およびこのプロセスのためのコンピュータで算出したレシピ(例:10%コーティングにおける200ガロンシステムのための量−アセトアミノフェン:94.1kg;Ethocel 100:10.5kg、Epolene:2.1kg、およびシクロヘキサン:146.0ガロンまたは547.5L)を用いてコーティングした。<30℃までの制御された冷却を行った後、マイクロカプセル床を真空ろ過に掛け、シクロヘキサンで洗浄して残留ポリエチレンを洗い流す。このマイクロカプセルを流動床乾燥機に移し、乾燥手順を施し、4〜6時間の乾燥を行って、シクロヘキサンレベルを1000ppm以下に減少させた。
【0117】
1.E 速分散性微粒剤:
速分散性微粒剤は、マンニトールなどの糖アルコールおよび/またはラクトースなどのサッカリド、ならびにクロスポビドンなどの崩壊剤を含む。速分散性微粒剤中の糖アルコールおよび/またはサッカリド、ならびに崩壊剤は、通常、約99:1から約90:10の比率で存在する(糖アルコールおよび/またはサッカリド:崩壊剤)。例えば、本発明に従う種々の実施例にて開示されるODT製剤に用いられる速分散性微粒剤は、平均粒子サイズが約15μmであるD−マンニトールの95部、およびクロスポビドン(Crospovidone XL−10)の5部を、高せん断ミキサー(例:ベクターコーポレーション(Vector Corporation)製GMX 600)で造粒液としての水と共に造粒し、湿潤物を流動床乾燥機(例:Glatt GPCG 200またはFluid Air FA 0300)で乾燥し、そして篩い/粉砕を行うことにより、平均粒子サイズが400μm未満である顆粒を得ることによって作製した。別の選択肢として、湿潤粉砕顆粒は、トレイ乾燥オーブンで乾燥値の減少が1重量%未満となるように乾燥する。
【0118】
1.F 酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODT、5mg/500mg:
上記実施例1.Bで述べるようにして作製したビーズ(172.4g)(コーティング重量30%);上記実施例1Dで作製した標準アセトアミノフェンマイクロカプセル(PE004、531.9g)、および上記実施例1Eからの速分散性微粒剤(803.4g)を、クロスポビドン(XL−10、80.0g)、スクラロース(5.6g)、およびストロベリー香味剤(6.7g)を含むプレブレンドと共にブレンドし、その後、Carver錠剤プレスを用いて1メートルトンの圧縮力にて圧縮し、およそ1600mgの重量である5mg/500mg酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェン口腔内崩壊錠(直径19mm)を得た。
【0119】
実施例2:
2.A 酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子(薬物ロード:3%):
酒石酸水素ヒドロコドン(47.5g)を、ヒドロキシプロピルセルロース(5.3g、Nisso HPC−L−FP)の50/50 アセトン/水(452gずつ)溶液へゆっくり添加し、よく混合して溶解した。6%のEC−100コーティングを有する実施例1.Dのアセトアミノフェンマイクロカプセル(PE004)(1500.0g)を、Glatt流動床コーターGlatt GPCG 3により、薬物層形成製剤でコーティングした。薬物層形成に続いて、ヒドロキシプロピルセルロースのシーラントコーティング溶液(447/50 アセトン/水中の31.7g)を、薬物層形成したビーズ上へ2%のコーティング重量でスプレーした。乾燥させたIRビーズを35および80メッシュスクリーンで篩いに掛け、使用可能な総収率99.0%を得た。
【0120】
2.B 味マスキングされた酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子:
上記実施例2.Aで述べたように作製したIR粒子(1100.0g)を、80/20 アセトン(3294g)/水(848g)に溶解した、ジアセチル化モノグリセリド(Myvacet 9−45、7%)および食物規定に準ずるステアリン酸マグネシウム(7%)で可塑化したエチルセルロース(EC−10;43%)/Eudragit E100(43%)の溶液で、30%の重量増加にてコーティングした。コーティングプロセスの過程で、約5%、10%、15%、20%、および25%のコーティング重量にてサンプルを取り、溶解試験を施して、コーティングレベルの溶解特性ならびに感覚刺激特性に対する影響を評価した。コーティングされたビーズを、Glatt GPCG 3にて同じ温度設定で乾燥し、篩いに掛けて凝集物を除去し、使用可能な総収率98.9%を得た。
【0121】
2.C 酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODT、10mg/300mg:
上記実施例2.Bの20%EC−10/E100コーティング物(酒石酸水素ヒドロコドンロード15%である酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンビーズの10.01%);上記実施例1.Dの標準アセトアミノフェンマイクロカプセル(PE004、35.46%)、および上記実施例1.Eの速分散性微粒剤(48.76%)を、クロスポビドン(XL−10、5.0%)、スクラロース(0.35%)、およびストロベリー香味剤(0.42%)を含むプレブレンドと共にブレンドし、その後、Carver錠剤プレスを用いて1メートルトンの圧縮力にて圧縮し、およそ900mgの重量である10mg/300mg酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェン口腔内崩壊錠(直径15mm)を得た。
【0122】
2.D 酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODT、5mg/500mg:
上記実施例2.Bの30%コーティングビーズ(10.78%)、上記実施例1.Dの標準アセトアミノフェンマイクロカプセル(PE004、33.24%)、および上記実施例1.Eの速分散性微粒剤(37.71%)を、微結晶セルロース(Avicel PH101、12.5%)、クロスポビドン(XL−10、5.0%)、スクラロース(0.35%)、およびストロベリー香味剤(0.42%)を含むプレブレンドと共にブレンドし、その後、各圧縮前にステアリン酸マグネシウムをスプレーすることでダイス/ポンチ表面を潤滑処理するための外部潤滑システム(Matsui Ex−Lubシステム)を備えたHataロータリー錠剤プレスを用いて圧縮して、およそ1600mgの重量である5mg/500mg酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェン口腔内崩壊錠(直径17mm)を得た。
【0123】
実施例3:
3.A 味マスキングされたアセトアミノフェンマイクロ粒子:
アセトアミノフェン(コビジエン製、顆粒グレード(A100);2000.0g)を、アセトン(1359.5g)/イソプロピルアルコール(672.7g)/水(770.8g)中に均質に懸濁した、ポリエチレングリコール(PEG400;42.9g)および食物規定に準ずるステアリン酸マグネシウム(28.6g)で可塑化したエチルセルロース(10cps;114.3g)/Eudragit E100(100.0g)の溶液で、Glatt GPCG 3(7”底部スプレーウルスターインサート、およびポートサイズ1.00mmのノズル)により、12.5%の重量増加にてコーティングした。乾燥した粒子を35および80メッシュスクリーンで篩いに掛け、凝集物/微粉を除去した(使用可能な収率:93.6%)。
【0124】
3.B 低効力酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェン:
酒石酸水素ヒドロコドンを、Glatt GPCG 3流動床コーターで薬物層形成製剤(組成は、表1−低効力を参照)をスプレーすることにより、アセトアミノフェン(顆粒 A100)上に層形成した。薬物の層形成に続いて、シーラントコーティング溶液を、薬物層形成した粒子上に2%のコーティング重量でスプレーし、続いて、40/35/15/10の比率のEC−10/E100/PEG400/Mgステアレートにより、上記の実施例3.Aで開示する方法を用いて22%のコーティング重量で味マスキングコーティングした。
【0125】
3.C 高効力酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェン:
酒石酸水素ヒドロコドンを、Glatt GPCG 3流動床コーターで薬物層形成製剤(組成は、表1−高効力を参照)をスプレーすることにより、アセトアミノフェン(顆粒 A100)上に層形成した。薬物の層形成に続いて、シーラントコーティング溶液を、薬物層形成した粒子上に2%のコーティング重量でスプレーし、続いて、40/35/15/10の比率のEC−10/E100/PEG400/Mgステアレートにより、27%のコーティング重量で味マスキングコーティングした。
【0126】

【0127】
3.D 酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODT、5mg/500mg:
上記実施例3Aの12.5%コーティングアセトアミノフェン、上記実施例3Bの22%コーティングヒドロコドン/アセトアミノフェン、上記実施例1.Eの速分散性微粒剤を、微結晶セルロース(Avicel PH101)、(Parteck M200)、クロスポビドン、スクラロース、およびストロベリー香味剤を含むプレブレンドと共にブレンドし、その後、各圧縮前にダイス/ポンチ表面を潤滑処理するための外部潤滑システム(Matsui Ex−Lubシステム)を備えたHataロータリー錠剤プレスを用い、18から24kNの圧縮力で圧縮して、およそ1600mgの重量である5mg/500mg酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェン口腔内崩壊錠(直径17mm)を得た。
【0128】
3.E 酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODT、10mg/300mg:
上記実施例3.Aの12.5%コーティングアセトアミノフェン、上記実施例3.Cの27%コーティングヒドロコドン/アセトアミノフェン、および上記実施例1.Eの速分散性微粒剤を、微結晶セルロース(Avicel PH101)、マンニトール(Parteck M200)、クロスポビドン、スクラロース、およびストロベリー香味剤を含むプレブレンドと共にブレンドし、その後、各圧縮前にダイス/ポンチ表面を潤滑処理するための外部潤滑システム(Matsui Ex−Lubシステム)を備えたHataロータリー錠剤プレスを用い、10から15kNの圧縮力で圧縮して、およそ1000mgの重量である5mg/500mg酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェン口腔内崩壊錠(直径17mm)を得た(詳細については表2を参照)。
【0129】

【0130】
実施例4
4.A パイロットPK試験用供給品:
酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODTの2つの錠剤強度−5mg/500mgおよび10mg/300mgを用い、ならびに3つの異なる味マスキングされた粒子組成物をこれらの2つの強度間で用いた:1)両ODT製剤に用いた、味マスキングコーティング組成物を有するアセトアミノフェン結晶(A100−標準粒子サイズ、すなわち、177〜350μm);2)5mg/500mgの強度に用いた、1.75重量/重量%の酒石酸水素ヒドロコドン薬物層、およびそれに続く味マスキングコーティングを有するアセトアミノフェン結晶(標準粒子サイズ);ならびに3)10mg/300mgの強度に用いた、7重量/重量%の酒石酸水素ヒドロコドン薬物層、およびそれに続く味マスキングコーティングを有するアセトアミノフェン結晶(標準粒子サイズ)。味マスキングコーティングは、すべての粒子についてその組成は同一であったが、重量/重量基準のコーティングの量は、アセトアミノフェン(PE380)の12.5%から、5mg/500mg ODT(PF401)に用いた1.75%酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェン(PE382)の22%、10mg/300mg ODT(PF402)に用いた7%酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェン(PE384)の27%まで変化させる。圧縮用ブレンドは、外部潤滑剤としてステアリン酸マグネシウムを用いるMatsui Ex−Lub潤滑システムを備えたElizabeth Hata錠剤プレスを用いて圧縮し、酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODTとする。各剤形は、特有のブレンドを有しており、異なる錠剤形成パラメータを用いて作製した(詳細については以下の表3を参照)。これらのODTバッチは、実施例3.Aから3.Eで述べるようにして作製した(組成については、表1および2を参照)。中間及び最終生成物を、認定された分析試験法を用いて試験し、健康な志願者によるパイロットPK研究に用いた。
【0131】

【0132】
4.B パイロットPK(薬物動態)研究:
酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODT、5mg/500mgおよび10mg/300mg用量を、一群あたり16人の健康対象を含む4群パイロットPK(薬物動態)研究で試験し、対応するRLD、アボットのVICODIN(登録商標)5mg/500mg、ミカルト(Mikart)のXodol(登録商標)10mg/300mgと比較した。これらのODTに対するアセトアミノフェンおよび酒石酸水素ヒドロコドンの血漿中濃度対時間のプロファイルを図2および3に示す。
【0133】

【0134】
図4は、一群あたり24人の健康な対象を含む別の3群パイロットPK研究で観察されたアセトアミノフェンについての血漿中濃度−時間プロファイルを示しており、ここで、アセトアミノフェンODT 500mgを、水と共にまたは水なしで、空腹の健康な志願者に投与し、対応するRLD、GSKのPanadol(登録商標)500mgと比較した。より小さい粒子サイズ分布53〜177μmを有する準微細グレード(semi−fine grade)のアセトアミノフェン(A137)を、溶媒コアセルベーションにより、10〜12%のコーティング重量にてEthocel Standard Premium 100 cpsで味マスキングした。口腔内崩壊錠を作製するために、これらのマイクロカプセルを、速分散性微粒剤(上記実施例1.Eで開示するように、マンニトール 25/クロスポビドン 95/5から作製したPE378)、クロスポビドン、微結晶セルロース、アスパルテーム(甘味剤)、およびストロベリー香味剤とV−ブレンダーでブレンドし、次に外部潤滑システムを装備したロータリー錠剤プレスで圧縮した。これらの錠剤(組成については表5を参照)は、USP装置2(パドル@、75rpm)を用いてpH5.8バッファー中で試験した場合、15分間で85%以上を放出した(溶解性データについては表6を参照)。
【0135】

【0136】
Panadol(登録商標)と比較したアセトアミノフェンODTのPKパラメータを以下に示す:
レジメンT1:アセトアミノフェン(P−300)ODT、水と共に
レジメンT2:アセトアミノフェン(P−300)ODT、水なしで
レジメン3:参照錠剤(Panadol(登録商標))、水と共に飲み込む
【0137】

【0138】
上記の結果は、試験製品、アセトアミノフェンODT、500mgが、水と共におよび水なしで投与された場合、水と共に飲み込まれた参照製品Panadol(登録商標)、500mgと生物学的に同等であることを確認するものである。複数の速度(50、75、および100rpm)および複数のpHによるインビトロでの溶解(水、pH1.2、4.5、5.8、6.8)データを、実施例3および4の5mg/500mgおよび10mg/300mgのODT錠剤、ならびに実施例4の250mgおよび500mgのODT錠剤のバッチで取得し、比較データセットを表6に示す。顆粒状アセトアミノフェンおよび準微細アセトアミノフェンなどの異なるグレードの薬物を用いて、それぞれ5mg/500mg−10mg/300mg ODT錠剤、および250mg−500mg ODT錠剤のバッチを製造したため、薬物および対応するマイクロカプセルのバッチのいくつかのロットで粒子サイズ分布を測定した。表7に平均粒子サイズ分布データを示す。
【0139】

【0140】

【0141】
アセトアミノフェン/ヒドロコドンODT錠剤(5mg/500mgまたは10mg/300mg ODT)は、3種類のマイクロカプセル化アセトアミノフェン薬物粒子のうちの2種類−顆粒グレードのアセトアミノフェン、および低もしくは高薬物ロードでヒドロコドンにより層形成された顆粒グレードのアセトアミノフェン薬物粒子、を含有しており、いずれもエチルセルロース/Eudragit EPOのコーティングにより味マスキングされている。溶解性およびRLDに対する生物学的同等性を向上させ、アセトアミノフェン粒子上に直接層形成する際のヒドロコドンの安定性を高めるために、錠剤製剤に小粒子サイズ分布を持つ薬物物質(例:準微細アセトアミノフェン)を用いて、「小アセトアミノフェンマイクロカプセル」を製造することとした。
【0142】
酒石酸水素ヒドロコドンを含むマイクロ粒子上に適用された種々の味マスキングコーティングの許容される感覚刺激特性を付与する能力を評価する過程で、甘味剤を含むコーティングとヒドロキシプロピルセルロース(Klucel LF)を含むシールコーティング層との組み合わせが、酒石酸水素ヒドロコドンの苦味のマスキングに効果的であることが見出された。
【0143】
実施例5:
5.A 味マスキングされたアセトアミノフェンマイクロ粒子(6%):
アセトアミノフェン(80〜270メッシュまたは53〜177μmの粒子サイズのコビジエン製準微細グレード(A137);1800.0g)を、5−ガロンシステムでの溶媒コアセルベーションにより味マスキングした。10,000gのシクロヘキサンを満たした5−ガロンシステムに、エチルセルロース(ダウケミカルズ製Ethocel Standard Premium 100;114.9g)、ポリエチレン(Epolene C−10;50g)、および薬物をチャージした。このシステムに制御された加熱サイクルを施して80℃の温度に到達させ、300RPMの速度で内容物を攪拌しながらエチルセルロースを溶解した。その後、システムにコンピュータ制御された冷却サイクルを施して45分以上かけて<28℃とすることで、薬物結晶を平滑なコーティングにより6%のコーティング重量でカプセル化し、凝集の形成を回避した。このマイクロカプセルをデカンティングによって分離し、新しいシクロヘキサンで洗浄し、ドラフト内で乾燥した。35メッシュ未満のサイズを有するマイクロカプセルを味マスキング用に回収した(使用可能な収率:98.0%)。
【0144】
5.B 味マスキングされた酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロカプセル:
酒石酸水素ヒドロコドン(57.4g)、アセトアミノフェン(準微細グレード A137;1742.6g)、エチルセルロース(156.5g)、ポリエチレン(50.0g)を、5ガロンシステム中にてシクロヘキサンに懸濁させ、実施例5.Aの手順に従って、8重量%のEC−100コーティングにてHCB/アセトアミノフェンマイクロカプセル化粒子を作製した。酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロカプセル化粒子(1518.8g)をKlucel LF(288.6g)/ステアリン酸マグネシウム(15.2g)でシーラントコーティングし、さらに、エチルセルロース(EC−10)/Eudragit E100/Myvacet/ステアリン酸マグネシウムを286.6/253.5/31.8/35.7の比率で含む第二の味マスキング膜を、Glatt GPCG 3により実施例3で述べるようにして25%のコーティング重量で提供した。
【0145】
5.C 味マスキングされた酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロカプセル:
酒石酸水素ヒドロコドン(60.0g、および6.7gのKlucel LF)を、Glatt GPCG 3により実施例3で述べるようにして8%のコーティング重量で、アセトアミノフェンマイクロカプセル(実施例5.Aからのコーティング重量6%のEC−100を有する準微細A137;1205.3g)上に層形成した。薬物層形成に続いて、Klucel LF(28.0g)によるシーラントコーティングをヒドロコドン層形成粒子上にスプレーし、続いて40/35/15/10の比率のEC−10/E100/PEG400/Myvacet 9−45による味マスキングコーティングを、コーティング重量35%で行った。
【0146】
5.D 酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODT:
上記の実施例5.Bからの味マスキングされたヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子または上記の実施例5.Cからの味マスキングされたヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子を含む圧縮用ブレンドを、上記の1.Eからの速分散性微粒剤、ならびに微結晶セルロース、クロスポビドン、スクラロース、およびストロベリー香味剤を含むプレブレンドと組み合わせ、外部潤滑剤としてステアリン酸マグネシウムを用いるMatsui Ex−Lub潤滑システムを備えたElizabeth Hata錠剤プレスを用いて圧縮し、酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODT、5mg/500mgおよび10mg/300mgを得た(組成は表8を参照)。
【0147】

【0148】
表9は、ODTからの酒石酸水素ヒドロコドンおよびアセトアミノフェンの溶解プロファイルを示す。アセトアミノフェン薬物粒子上のコアセルベーションによる僅かに厚いコーティング(EC−100)、またはより厚い流動床コーティング(EC−10/E100)は、薬物の溶解速度に対してほとんど影響を及ぼさないと思われた。
【0149】

【0150】
実施例6
6.A アセトアミノフェンのマイクロカプセル化 200−ガロンの溶媒コアセルベーションシステム(146kg)に、アセトアミノフェン(準微細グレード A137;75.5kg)、エチルセルロース(EC−100;4.8kg)、Epolene;2.1kg)をチャージし、80±5RPMで攪拌しながら、200−ガロンシステムでの溶媒コアセルベーションによってアセトアミノフェンを味マスキングした。コンピュータ制御された「80℃まで加熱して保持」のサイクルを用いて80℃の温度に到達させ、コアセルベーションシステム中でエチルセルロースを溶解した。その後、システムに冷却サイクルを施して45分以上かけて<28℃とすることで、アセトアミノフェン結晶を平滑なコーティングにより6重量%でカプセル化し、凝集の形成を回避した。このマイクロカプセルを真空ろ過し、シクロヘキサンで洗浄し、流動床乾燥機にて3段階の温度(例:25℃、35℃、99℃)を用いて4から6時間乾燥し、残留シクロヘキサンレベルを1000ppm未満とした。このマイクロカプセルをUS35メッシュの篩いで篩いに掛けた。同一の手順に従い、マイクロカプセルのいくつかのバッチ(バッチサイズ:80kg)を、200−ガロンシステムで6%のコーティング重量にて作製した。
【0151】
6.B 味マスキングされたヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子:
酒石酸水素ヒドロコドン(組成およびバッチサイズについては表10を参照)を、ヒドロキシプロピルセルロース(固形分10%)を含む薬物層形成製剤をGlatt GPCG 5(9”ウルスター、隔壁間隔25mm、生成物保持スクリーン200メッシュ、ノズル先端径1.0mm、「C」底部空気分配プレート;生成物温度:37±3℃;注入空気体積:40〜45CFM;スプレー速度:8〜24ml/分)でスプレーすることで、上記の実施例6.Aからのアセトアミノフェンマイクロカプセル(6% EC−100コーティング;3375.0g)上に、酒石酸水素ヒドロコドンロード9.0%で層形成した。ヒドロキシプロピルのシーラントコーティング溶液(5.0%、または50/50 アセトン/水に73.68gを10%固形分で溶解)を薬物層形成した粒子(1400g)上に、Glatt GPCG 3によりコーティング重量5%でスプレーし、続いて以下のプロセス条件を用いて、ヒドロキシプロピルセルロース(1.24%;80/20 スクラロース/HPCの比率)の水溶液に溶解したスクラロース(5.0%)で味マスキングコーティングを行った:入口部温度:57±2℃;生成物温度:37±2℃;スプレー速度:8mL/分;注入空気体積:6CFM。
【0152】
6.C 味マスキングされたヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子:
酒石酸水素ヒドロコドン(組成およびバッチサイズについては表10を参照)を、上記の実施例6.Bで述べるGlatt GPCG 5でヒドロキシプロピルセルロース(固形分10%)を含む薬物層形成製剤をスプレーすることで、上記の実施例6.Aからのアセトアミノフェンマイクロカプセル(6% EC−100コーティング;3733.3g)上に層形成した。コーティングに続いて、このマイクロ粒子を、ヒドロキシプロピルセルロースにより、同一ユニット中にて5%でのシーラントコーティングを行い、5分間乾燥して残留水分を減少させ、30および80メッシュの篩いを通して篩いに掛け、過大粒子および微粉を除去した。
【0153】

【0154】
6.D ヒドロコドン/アセトアミノフェンODT:
上記の実施例6.Bからの味マスキングされたヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子または上記の実施例6.Cからの味マスキングされたヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子を含む圧縮用ブレンドを、上記の1.Eからの速分散性微粒剤、ならびに微結晶セルロース、クロスポビドン、スクラロース、およびストロベリー香味剤を含むプレブレンドと組み合わせ、Elizabeth Hata錠剤プレスを用いて圧縮し、酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODT、10mg/300mgおよび5mg/500mgを得た(組成は表11を参照)。ロット番号1334−JMC−142のODTは、外部潤滑剤としてステアリン酸マグネシウムを用いて圧縮し、ロット番号1198−JMC−046および1198−JMC−062のODTは、内部潤滑剤としてフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV(登録商標))を用いて圧縮した。錠剤特性を表12に挙げる。
【0155】

【0156】

【0157】
実施例7
7.Aアセトアミノフェンのマイクロカプセル化(PE420):
A 200−ガロンの溶媒コアセルベーションシステムに、アセトアミノフェン((準微細グレード)A137;94.1kg)、エチルセルロース(Ethocel Premium100;10.5kg)、Epolene(相誘導因子;2.1kg)およびシクロヘキサン(142ガロン)を、60±5RPMで撹拌しながらチャージした。アセトアミノフェンを溶媒コアセルベーションによって味マスキングした。撹拌スピードを107±5RPMにセットしたコンピュータ制御された「80℃まで加熱して保持」のサイクルを利用して、80℃の温度に到達させ、コアセルベーションシステム中でエチルセルロースを溶解した。その後、システムに冷却サイクルを施して45分以上かけて<28℃とすることで、アセトアミノフェン結晶を平滑なコーティングにより10重量%でカプセル化し、凝集の形成を回避した。このマイクロカプセルを真空ろ過し、シクロヘキサンで洗浄し、流動床乾燥機にて3段階の温度(例:25℃、35℃、99℃)を用いて4から6時間乾燥し、残留シクロヘキサンレベルを1000ppm未満とした。このマイクロカプセルをUS35メッシュの篩いで篩いに掛けた。同一の手順に従い、マイクロカプセルのいくつかのバッチ(バッチサイズ:105kg)を、200ガロンシステムで10%のコーティング重量にて作成した。
【0158】
7.B 味マスキングされたヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子(PE408)
酒石酸ヒドロコドン(3.6kg)を精製水36kgにゆっくりと加え溶解するまで撹拌し、その後、0.4kgのKlucel LFを加え溶解するまで撹拌した。薬層形成製剤(固形分10%)を、酒石酸ヒドロコドンロード6.0%に対して、18”底部スプレーウルスターインサート、隔壁間隔50mm、生成物保持スクリーン200メッシュ、ノズル先端径3.0mm;後の処理条件―生成物温度:33±3℃;注入空気体積:500CFM;スプレー速度:16〜26%で上昇;噴霧圧 30psi)を備えたFluid Air FA0300の中で、スプレーすることで、上記実施例6.Aからのアセトアミノフェンマイクロカプセル(6% EC−100コーティング;56.0kg)をヒドロコドンでコーティングした。薬層粒子上に、110.9kgアセトン(水12.3kg)に溶解したヒドロキシプロピルセルロース(3.2kg溶解)の保護シーラントコーティング溶液およびフマル酸ステアリルナトリウム(0.5kg懸濁)を5%コーティング重量、スプレーし、続いて、59.4kgのアセトン/6.6kgの水に溶解したスクラロース(3.3kg)以下の工程を利用して味マスキングコーティングをした:入口温度:53±2℃;生成物温度:37℃±2℃;スプレー速度:19〜25%で上昇;注入空気体積:500CFM、5分間乾燥して残留水分を減少させ、30および80メッシュの篩いを通して篩いにかけ、過大粒子および微粉を除去した。
【0159】
7.C 酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODT 5mg/500mg
味マスキングされたアセトアミノフェンマイクロ粒子(50.81kgの上記実施例7.AからのPE420)、味マスキングされたヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子(9.98kgの上記実施例7.BからのPE408)、速分散性微粒子剤(50.41kgの実施例1.Eおよびスプレー乾燥マンニトール(15kgのParteck M200))および他の賦形剤(微結晶セルロース(15kgのAvicel PH101)クロスカルメロースナトリウム(1.5kgのAc−Di−Sol)から成るプレブレンド)、スクラロース(2.55kg)を含む圧縮ブレンドPF427(ヒドロコドン/アセトアミノフェン 5mg/500mg)を、10cu−ft V−ブレンダー(バッチサイズ:150kg)中で20分原料を混ぜ、続いてフマル酸ステアリルナトリウム(1.5kg)を加え、5分間混ぜることでることで調製した。この圧力ブレンドを、Matsui ExLubシステムを備えたElizabeth Hata錠剤プレスを用いて、表13に挙げた錠剤の条件で圧縮し、5mg/500mgの酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODTを得る。続いて、同様の手順により、味マスキングアセトアミノフェンマイクロ粒子(23.29kgの上記実施例7.AからのPE420)、味マスキングヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子(25.39kgの上記実施例7.BからのPE408)、速分散性微粒子剤(実施例1.Eからの63.52kgおよびスプレー乾燥マンニトール(15kgのParteck M200))、微結晶セルロース(15kgのAvicel PH101、クロスカルメロースナトリウム(1.5kg のAc−Di−Sol))から成るプレブレンド、スクラロース(2.55kg)およびフマル酸ステアリルナトリウム(1.5kg)を含む圧縮ブレンドPF428を調整し、圧縮して5mg/500mgの酒石酸水素ヒドロコドン/アセトアミノフェンODTを得る(パラメータは表13参照)。
【0160】

【0161】
実施例8
8.A 制御された球形成によるアセトアミノフェン粒子
ポビドン(PVP K−30;50g)を、一定の攪拌を続けながら精製水(500g)にゆっくり添加し、固形分10重量/重量%のポリマーバインダー溶液を調製する。コビジエン(Covidien)製アセトアミノフェン粉末(2000g)を、V−ブレンダーで10gのコロイド状シリカ(流動助剤、キャボットコーポレーション(Cabot Corporation)製Cab−O−Sil M−5P)およびポビドン(50g)とブレンドし、ベクターコーポレーション(Vector Corporation)(アイオワ州,米国)製Granurex GX−35の生成物ボウル(product bowl)中へ投入する。10%PVPバインダー溶液を、制御された速度で回転する物質床にスプレーする。ペレット形成時の最適化プロセスパラメータ − プロセス空気温度:約19〜20℃;生成物温度:16±2℃;ローター速度:425RPM;外部空気供給:150L/分;スプレー速度:15RPM(約8mL/分);スリットを通した圧力低下:水中で1.3〜11mm。ペレット乾燥時の最適化プロセスパラメータ − プロセス空気体積:30CFM;プロセス空気温度:約60℃;生成物温度:35℃(乾燥停止まで);ローター速度:180RPM;スリット空気体積:10CFM;処理時間:40分。このようにして作製されたペレットの約65%は、40〜80メッシュの範囲のサイズを有する。
【0162】
8.B SRコーティングアセトアミノフェンマイクロ粒子
OPADRY(登録商標)クリアー(30.6g)を精製水に撹拌しながら加え溶解した。6”底部スプレーウルスター8”ハイカラム、200メッシュ生成物保持スクリーン(1.0mmポートノズル)で覆われた「B」底空気分配プレートから隔壁カラム間隔15mmを備えたGlatt GPCG3に、上記実施例8.Aからのアセトアミノフェンマイクロ粒子(1500g)がチャージされ、4mL/分で防護シーラントコーティング溶液(固形10重量%)でコーティングされ、約8mL/分まで上昇した。プロセス条件−生成物温度:38〜42℃;プロセス空気容量:約150CFM。エチルセルロース(153gのEthocel Standard 10 Premium)をステンレススチール容器の中で、絶えず撹拌しながらアセトン(2185g)にゆっくり加え、溶解した。それから、精製水(244g)を、撹拌を続けながらエチルセルロース溶液に加え、続いて可塑剤、すなわち、クエン酸トリエチル(17g)を加え、溶解した。シールコーティングされたアセトアミノフェンマイクロ粒子は、この溶液で同じ単位に10%重量増加としてスプレーコーティングした。薬物放出試験のために、5.0、7.5重量%のコーティングでのサンプルを取る。30および60メッシュの篩いを用いて乾燥粒子は篩に掛け、凝集物/微粉を除去する。Klucel LFによる2%のシールコーティングも適用し、ポリマー/可塑剤と低用量薬物(例:ヒドロコドン)との相互作用の可能性を排除する。
【0163】
8.C 酒石酸水素ヒドロコドンでコーティングされたアセトアミノフェンマイクロ粒子
酒石酸水素ヒドロコドンを、上記の実施例1.Cで述べるように、Glatt GPCG 3により、上記の実施例8.BからのシールコーティングされたSRマイクロ粒子上に4%の重量増加で層形成する。薬物層形成に続いて、5重量%でのKlucel LFのシールコーティングを、ヒドロコドン層形成粒子上にスプレーし、続いて先の実施例で開示したように、スクラロースの味マスキングコーティングを、重量増加5%で行う。続いて、コーティング、マイクロ粒子を5分間乾燥して残留水分を減少させ、30および60メッシュの篩いを通して篩いに掛け、過大粒子および微粉を除去した。
【0164】
8.D ヒドロコドン/アセトアミノフェンSR ODT
上記の実施例8.Cの味マスキングされたヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子SR、上記の実施例1.Eの速分散性微粒剤、ならびに微結晶セルロース、スクラロース、ストロベリー香味剤、およびクロスポビドンを含むプレブレンドを、V−ブレンダーで一緒にブレンドし、これを、圧縮前にポンチおよびダイス表面を潤滑処理するための外部潤滑剤としてステアリン酸マグネシウムを用いるMatsui Ex−Lub潤滑システムを備えたElizabeth Hata錠剤プレスを用いて圧縮し、2.5−mg/325mg、5mg/500mg、および10mg/300mgのヒドロコドン/アセトアミノフェンSRODTを得る。
【0165】
これらの実施例は、高用量持続性放出性アセトアミノフェン/低用量味マスキングヒドロコドンを含有するマイクロ粒子を含むODT製剤が、許容される錠剤特性(例:硬度、脆砕性、剤形の均一性、インビトロ/インビボでの短い崩壊時間、ヒドロコドンの迅速な溶解、アセトアミノフェンの9〜12時間の持続性放出特性および患者コンプライアンスを大きく向上させる許容される感覚刺激特性)を示すことを実証するものである。
【0166】
当業者であれば、本明細書で述べる構築、ならびに種々の成分および集合物、または本明細書で述べる製造方法の工程もしくは工程の順序を、本明細書で述べる本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく変更することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を含む医薬組成物であって、ここで、前記薬物含有マイクロ粒子は:
(a)非オピオイド鎮痛薬を含むコア:
(b)前記コア上に配置され、オピオイド鎮痛薬を含む第一のコーティング;および、
(c)前記コア上に配置され、水不溶性ポリマーを含む第二のコーティング、
を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬組成物中における非オピオイド鎮痛薬のオピオイド鎮痛薬に対する重量比が、少なくとも約20:1である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記非オピオイド鎮痛薬含有コアが、非オピオイド鎮痛薬の粒子を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記オピオイド鎮痛薬コーティングが、さらにバインダーを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記バインダーが、薬理学的に許容される水溶性ポリマーである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記バインダーが、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリサッカリド、およびこれらの混合物から成る群より選択される薬理学的に許容される水溶性ポリマーである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記第二のコーティングが、さらに可塑剤を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記可塑剤が、フタレートを含まないものである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記可塑剤が、グリセロール、グリセロールエステル、アセチル化モノ−またはジグリセリド、グリセリルモノステアレート、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、フタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、シトレート、アセチルクエン酸トリブチルエステル、アセチルクエン酸トリエチルエステル、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、グリセロールトリブチレート、セバケート、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、アジペート、アゼレート、ベンゾエート、クロロブタノール、ポリエチレングリコール、植物油、フマレート、ジエチルフマレート、マレート、ジエチルマレート、オキサレート、ジエチルオキサレート、スクシネート、ジブチルスクシネート、ブチレート、セチルアルコールエステル、マロネート、ジエチルマロネート、ヒマシ油、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記第二のコーティングが、前記非オピオイド鎮痛薬および/または前記オピオイド鎮痛薬の味を実質的にマスキングし、および前記第一のコーティングの下に配置される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記第二のコーティングが、前記コア上に配置される、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記第二のコーティングが、胃溶性ポリマーまたは胃溶性細孔形成剤をさらに含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記第二のコーティングが、胃溶性細孔形成剤をさらに含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記水不溶性ポリマーが、水不溶性セルロースエーテル、エチルセルロース、水不溶性セルロースエステル、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、中性メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、およびこれらの混合物から成る群より選択され;ならびに、前記胃溶性細孔形成剤が、マルトリン(maltrin)、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)EPO、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、AEA(登録商標)、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ブチル、およびメタクリル酸メチルを主体とするターポリマー、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カルシウムサッカリド(calcium saccharide)、コハク酸カルシウム、酒石酸カルシウム、酢酸第二鉄、水酸化第二鉄、リン酸第二鉄、炭酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、およびこれらの混合物から成る群より選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記第二のコーティングが、前記非オピオイド鎮痛薬の放出を実質的に調節する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記第二のコーティングが、水溶性ポリマーまたは腸溶性ポリマーをさらに含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記水不溶性ポリマーが、水不溶性セルロースエーテル、エチルセルロース、水不溶性セルロースエステル、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、中性メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、およびこれらの混合物から成る群より選択され;前記水溶性ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースから成る群より選択され;ならびに、前記腸溶性ポリマーが、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリ酢酸ビニルフタレート、pH−応答性メタクリル酸/メタクリル酸メチルコポリマー、シェラック、およびこれらの混合物から成る群より選択される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記第二のコーティングが、前記コアと前記第一のコーティングとの間に配置される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記第一のコーティング上に配置される第三のコーティングをさらに含み、ここで、前記第三のコーティングは、前記第二のコーティングの水不溶性ポリマーと同一または異なるものである水不溶性ポリマーを含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記第三のコーティングが、前記オピオイド鎮痛薬の味を実質的にマスキングする、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記コアと前記第一のコーティングとの間に配置される第三のコーティングをさらに含み、ここで、前記第三のコーティングは、前記水不溶性ポリマーと同一または異なるものである水不溶性ポリマー、および第二のコーティングを含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記第三のコーティングが、前記非オピオイド鎮痛薬の味を実質的にマスキングする、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記第三のコーティングが、胃溶性ポリマーまたは胃溶性細孔形成剤をさらに含む、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記第一のコーティング上に配置される香味コーティングをさらに含み、ここで、前記香味コーティングは、甘味剤を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記甘味剤が、スクラロース、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記第二のコーティングが、前記コアと前記第一のコーティングとの間に配置される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記第二のコーティングが、前記非オピオイド鎮痛薬の放出を実質的に調節する、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記第二のコーティングが、前記コアと前記第一のコーティングとの間に配置され、前記第二のコーティングが、前記非オピオイド鎮痛薬の放出を実質的に調節する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記第一のコーティング上に配置される第三のコーティングをさらに含み、ここで、前記第三のコーティングは、前記第二のコーティングの水不溶性ポリマーと同一もしくは異なるものである水不溶性ポリマーを含むか、または前記第三のコーティングは、甘味を含む香味コーティングを含み;および、前記第三のコーティングは、前記オピオイド鎮痛薬の味を実質的にマスキングする、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記非オピオイド鎮痛薬が、非ステロイド系抗炎症薬であり、前記オピオイド鎮痛薬が、オピオイド鎮痛薬である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記非オピオイド鎮痛薬が、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、メロキシカム、ジクロフェナクカリウム、エトドラク、スリンダク、インドメタシン、およびセレコキシブから成る群より選択され:ならびに、前記オピオイド鎮痛薬が、ヒドロコドン、オキシモルフォン、ブプレノルフィン、フェンタニル、およびヒドロモルホンから成る群より選択される、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記非オピオイド鎮痛薬が、アセトアミノフェンを含み、前記オピオイド鎮痛薬が、ヒドロコドンを含む、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記第一のコーティング上に配置され、甘味剤を含む香味コーティングをさらに含み、ここで、前記第二のコーティングは、前記コアと前記第一のコーティングとの間に配置される、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記第二のコーティングが、エチルセルロースを含み、ならびに前記第三のコーティングが、スクロース、および所望される場合はバインダーを含む、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
非オピオイド鎮痛薬含有粒子の第二の群をさらに含み、ここで、前記非オピオイド鎮痛薬含有粒子の第二の群は:
(i)前記非オピオイド鎮痛薬を含む第二のコア;および、
(ii)前記第二のコア上に配置され、水不溶性ポリマーを含む第四のコーティングであって、ここで、前記第四のコーティングの前記水不溶性ポリマーは、前記第二のコーティングの水不溶性ポリマーと同一または異なるものである、第四のコーティング、
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記第四のコーティングが、水溶性ポリマーまたは腸溶性ポリマーをさらに含む、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記第四のコーティングの前記水不溶性ポリマーが、水不溶性セルロースエーテル、エチルセルロース、水不溶性セルロースエステル、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、中性メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、およびこれらの混合物から成る群より選択され;前記水溶性ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースから成る群より選択され;ならびに、前記腸溶性ポリマーが、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリ酢酸ビニルフタレート、pH−応答性メタクリル酸/メタクリル酸メチルコポリマー、シェラック、およびこれらの混合物から成る群より選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記第四のコーティングが、胃溶性細孔形成剤をさらに含む、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記水不溶性ポリマーが、水不溶性セルロースエーテル、エチルセルロース、水不溶性セルロースエステル、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、中性メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、およびこれらの混合物から成る群より選択され;ならびに、前記胃溶性細孔形成剤が、マルトリン、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)EPO、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、AEA(登録商標)、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ブチル、およびメタクリル酸メチルを主体とするターポリマー、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カルシウムサッカリド、コハク酸カルシウム、酒石酸カルシウム、酢酸第二鉄、水酸化第二鉄、リン酸第二鉄、炭酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、およびこれらの混合物から成る群より選択される、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
請求項1に記載の組成物、および1もしくは2つ以上の薬理学的に許容される賦形剤を含む、剤形。
【請求項41】
請求項30に記載の組成物、および1もしくは2つ以上の薬理学的に許容される賦形剤を含む、剤形。
【請求項42】
請求項35に記載の組成物、および1もしくは2つ以上の薬理学的に許容される賦形剤を含む、剤形。
【請求項43】
前記剤形が、崩壊剤、ならびに糖アルコールおよび/またはサッカリドを含む速分散性顆粒剤をさらに含む、請求項40〜42のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項44】
速分散性顆粒剤の薬物含有マイクロ粒子に対する重量比が、約5/1から約1/1の範囲である、請求項43に記載の剤形。
【請求項45】
前記ODTが、USP<701>崩壊試験、に従って試験した場合に、約30秒以内で実質的に崩壊する、請求項43に記載の剤形。
【請求項46】
前記ODTが、USP装置1(バスケット@、100rpm)または装置2(パドル@、50rpm)を用いて、pH1.2のバッファー900mL中で溶解性試験を行った場合に、前記非オピオイド鎮痛薬の総量の少なくとも約75%、および前記オピオイド鎮痛薬の少なくとも約75%を30分以内に放出する、請求項43に記載の剤形。
【請求項47】
ODTの形態であり、500mgのアセトアミノフェンおよび5mgの酒石酸水素ヒドロコドンを含み、ここで、前記ODTは、アセトアミノフェンのCmaxが80〜125%である6115ng/mL、酒石酸水素ヒドロコドンのCmaxが80〜125%である20.14ng/mL、アセトアミノフェンのAUCが80〜125%である19920ng・時間/mL、および酒石酸水素ヒドロコドンのAUCが80〜125%である141ng・時間/mLである、請求項43に記載の剤形。
【請求項48】
ODTの形態であり、300mgのアセトアミノフェンおよび10mgの酒石酸水素ヒドロコドンを含み、ここで、前記ODTは、アセトアミノフェンのCmaxが80〜125%の3915ng/mL、酒石酸水素ヒドロコドンのCmaxが80〜125%の40.53ng/mL、アセトアミノフェンのAUCが80〜125%の12794ng・時間/mL、および酒石酸水素ヒドロコドンのAUCが80〜125%の280ng・時間/mLである、請求項43に記載の剤形。
【請求項49】
前記崩壊剤が、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、およびこれらの混合物から成る群より選択され、ならびに前記糖アルコールまたはサッカリドが、マンニトール、キシリトール、マルトール、マルチトール、ソルビトール、ラクトース、スクラロース、マルトース、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項43に記載の剤形。
【請求項50】
前記高用量/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子の平均粒子サイズが約400μm未満であり、前記速分散性顆粒剤の平均粒子サイズが約300μm未満であり、前記崩壊剤ならびに糖アルコールおよび/またはサッカリドの平均粒子サイズが約30μm未満である、請求項47に記載の剤形。
【請求項51】
請求項1に記載の医薬組成物を作製するための方法であって:
(1)非オピオイド鎮痛薬を含むコアを作製する工程:
(2)工程(1)の前記非オピオイド鎮痛薬含有コアをオピオイド鎮痛薬層でコーティングし、それによって非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を形成させる工程;および、
(3)工程(1)の前記非オピオイド鎮痛薬含有コア、および/または工程(2)の前記非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を、水不溶性ポリマーを含む第二のコーティングでコーティングする工程、
を含む、方法。
【請求項52】
前記コーティング工程(3)が、工程(2)の非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を、水不溶性ポリマーを含む味マスキング層でコーティングすることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記コーティング工程(3)が、工程(1)の非オピオイド鎮痛薬含有コアを、水不溶性ポリマーを含む持続放出コーティングでコーティングすることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記工程(1)が、前記非オピオイド鎮痛薬の粒子の粉砕、および所望される場合は行ってもよい篩い;前記非オピオイド鎮痛薬の粒子の、少なくとも1つの薬理学的に許容される賦形剤と共に行う造粒;不活性コア上への前記非オピオイド鎮痛薬の層形成;または、前記非オピオイド鎮痛薬および少なくとも1つの薬理学的に許容される賦形剤の押出し加工および球形成、を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記コーティング工程(2)が、オピオイド鎮痛薬、薬理学的に許容される溶媒、および所望される場合はバインダー、を含むオピオイド鎮痛薬溶液でコーティングすることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記コーティング工程(2)が、流動床コーターで行われる、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記コーティング工程(3)が、水不溶性ポリマーおよび薬理学的に許容される溶媒を含むポリマー溶液によるコーティングを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記コーティング工程(3)が、流動床コーターまたはコアセルベーションで行われる、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
工程(1)の非オピオイド鎮痛薬含有コアおよび/または工程(2)の非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を、シーラントコーティングでコーティングすることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項60】
工程(1)の非オピオイド鎮痛薬含有コアを、水不溶性ポリマーを含む第二の味マスキング層でコーティングすることをさらに含み、ここで、各味マスキング層の前記水不溶性ポリマーは、同一または異なるものである、請求項52に記載の方法。
【請求項61】
工程(2)の非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を、甘味を含む香味コーティングでコーティングすることをさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項62】
請求項40に記載の剤形を作製する方法であって:
(1)前記非オピオイド鎮痛薬を含むコアを作製する工程:
(2)工程(1)の非オピオイド鎮痛薬含有コアを、水不溶性ポリマー、薬理学的に許容される溶媒、および所望される場合は可塑剤、を含む持続放出コーティングでコーティングする工程;
(3)工程(2)の持続放出コーティングされた非オピオイド鎮痛薬含有コアを、オピオイド鎮痛薬、薬理学的に許容される溶媒、および所望される場合はバインダー、でコーティングし、それによって非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を形成させる工程;
(4)工程(3)の非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を、水不溶性ポリマーおよび薬理学的に許容される溶媒を含む味マスキングコーティングで;または、甘味剤、薬理学的に許容される溶媒、および所望される場合はバインダー、を含む香味コーティングでコーティングする工程;
(5)工程(4)の味マスキングされたまたは香味コーティングされた高用量/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子を、少なくとも1つの薬理学的に許容される賦形剤と混合する工程;および、
(6)錠剤またはカプセル剤を形成する工程、
を含む、方法。
【請求項63】
(i)前記非オピオイド鎮痛薬を含むコアの第二の群を作製する工程であって、ここで、工程(1)および(i)の非オピオイド鎮痛薬含有コアは、同一または異なるものである、工程;
(ii)工程(i)の非オピオイド鎮痛薬含有コアの第二の群を、味マスキング層でコーティングし、それによって味マスキングされた非オピオイド鎮痛薬含有コアを形成する工程;
をさらに含み、
ここで:
工程(5)が、工程(4)の味マスキングされたまたは香味コーティングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子、および工程(ii)の味マスキングされた非オピオイド鎮痛薬含有コアを混合することをさらに含む、
請求項62に記載の方法。
【請求項64】
(i)各々の平均粒子サイズが約30μm未満である崩壊剤、ならびに糖アルコール、および/またはサッカリドを造粒し、それによって平均粒子サイズが約300μm未満である速分散性微粒剤を形成する工程;
をさらに含み、
ここで:
工程(5)が、工程(4)の味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子、および工程(i)の速分散性微粒剤を混合することをさらに含み;ならびに、
工程(6)が、工程(5)の混合物を圧縮し、それによってODTを形成することを含む、
請求項62に記載の方法。
【請求項65】
(a)前記非オピオイド鎮痛薬を含むコアの第二の群を作製する工程であって、ここで、工程(1)および工程(a)の非オピオイド鎮痛薬含有コアは、同一または異なるものである、工程;
(b)工程(a)のコアの第二の群を、味マスキング層でコーティングし、それによって味マスキングされた非オピオイド鎮痛薬含有コアを形成する工程;
をさらに含み、
ここで:
工程(5)が、工程(4)の味マスキングされた非オピオイド/オピオイド鎮痛薬含有マイクロ粒子、および工程(a)の速分散性微粒剤を混合することを含み;ならびに、
工程(6)が、工程(5)の混合物を圧縮し、それによってODTを形成することを含む、
請求項64に記載の方法。
【請求項66】
請求項31に記載の医薬組成物の治療効果量を、それを必要とする患者に投与することを含む、疼痛の治療方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−526047(P2012−526047A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508819(P2012−508819)
【出願日】平成22年5月3日(2010.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/033392
【国際公開番号】WO2010/127346
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(506295780)アプタリス ファーマテック インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】