説明

非凝集・球状のエチレン系重合体粒子の製造方法

【課題】粒子間の凝集がなく、粒度分布の極めて狭い球状エチレン系重合体粒子を重合器壁、攪拌羽根へのポリマー付着がなく安定生産できる製造法を提供すること。
【解決手段】(A)Mg含有担体成分、(B)遷移金属化合物、(C)有機金属化合物および(D)非イオン性界面活性剤を含むオレフィン重合触媒の存在下、エチレンを単独重合、またはエチレンとα-オレフィンまたは環状オレフィンを共重合させることによって、(1)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜50dl/gの範囲にあり、(2)レーザー回折散乱法で測定したメジアン径(d50)が、100μm以下であり、かつ(3)その変動係数(Cv)が20%以下であるエチレン系重合体粒子を効率良く製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、さまざまな機能性材料用途に好適な粒子性状に優れた非凝集・球状エチレン系重合体粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリマー微粒子の開発が活発化しており、産業上さまざまな用途で幅広く使用されている。なかでも、粒子形状が球形で粒度分布の狭いポリマー微粒子は、その加工性、流動性、表面物性の良さからフィルター、分離膜、分散剤、粉体塗装、樹脂改質剤、コーティング剤等に用いられている。これらポリマー粒子の材質は、アクリル樹脂系、スチレン樹脂系、メラミン樹脂系、ポリオレフィン系など多種にわたるが、結晶性や融点が高く、高い化学的安定性といった特長から、ポリオレフィン系、特にポリエチレン系樹脂の粒子注目されている。ポリエチレン系微粒子は、他の材料に見られない耐水・耐油性、耐薬品性や生体安全性といった特長を活かし、さまざまな新材料、新用途が考案・実用化されている。
現在までに知られているポリエチレン微粒子の製造方法は次の4つの手法、すなわち(1)機械的粉砕法(常温・冷凍粉砕、湿式粉砕、ジェット粉砕)、(2)噴霧法(乾燥、凝固)、(3)強制乳化法(溶融乳化、溶液乳化)、(4)懸濁重合法に大別できる。
【0003】
機械的粉砕法はバルク状ポリマーを、例えば衝撃力、剪断力などの粉砕エネルギーを直接ポリマーに与えて、微粒化する方法である。この方法によって得られる粒子の形状は、一般に不定形となり易く、そのため狭い粒度分布を示すポリエチレン微粒子は得られ難い。
【0004】
次いで噴霧法は、バルク状ポリエチレンを溶剤に溶解したポリマー溶液や溶融状ポリマーなどの液状物質をノズルから噴霧後、乾燥・冷却により固化し、ポリマー微粒子を得る方法である。この方法で得られるポリエチレン粒子は、噴霧された液状物質の表面張力により、球形度の高い微粒子となるが、いくつかの粒子の凝集体として得られることが多く、一般的に粒度分布は広い。また、ポリエチレンの分子量によっては、ポリマー溶液の粘度が高くなり、噴霧の際に糸を引くなど微粒子状に噴霧できない。従って、噴霧法では高分子量ポリエチレン樹脂への適用は難しい。
【0005】
これに対し、乳化法は水性媒体中で乳化剤や分散剤の存在下、融点以上の温度でポリエチレン樹脂を強制乳化する方法をいうが、水性媒体中で溶融ポリマーに剪断をかけるため、上記した二つの微粒化法に比べ、凝集粒子の少ない球状のポリエチレン粒子が得られる特長がある。しかしながら、この方法によっても、ポリエチレン分子量が高くなるにつれ、狭い粒度分布を維持するのが困難となり、さらに超高分子量ポリエチレンに対しては適用できない。また、使用した乳化剤が微粒子に残留するなどの問題もあり、用途が限られる場合もあった。
【0006】
以上で述べた粒子製造法は、バルク状ポリエチレンを出発原料とするため、オレフィン重合触媒あるいは高圧ラジカル法などによって、ポリエチレンを製造し微粒化するといった2段階の工程が必要であるが、懸濁重合法による微粒化では、形状制御された微粒固体状オレフィン重合触媒を用いて、直接エチレンモノマーから重合反応によってポリエチレン微粒子を得ることができる。この方法では、固体状オレフィン重合触媒成分の粒子形状および粒度分布が、生成するポリエチレン微粒子の形状・粒度分布に直接反映する(レプリカ効果)。また、重合に供するオレフィン重合用固体触媒成分の粒子が凝集状態にあれば、生成ポリエチレン微粒子も凝集体でしか得られないものと予想される。
【0007】
従って、非凝集かつ球状、狭粒度分布のポリエチレン微粒子を得ようとする場合、形状制御された微粒オレフィン重合用固体触媒成分が必須となり、このような触媒成分、およびその合成法がこれまでに種々開示されている。例えば特開平5-320244号報には、ハロゲン化マグネシウムとテトラアルコキシチタン、ハロゲン化アルミニウムおよびエーテル化合物を特定の接触方法で得た固体触媒成分と、この固体触媒を用いたポリエチレンの製造方法が開示されている。生成ポリエチレンの粒度分布は非常に狭く、流動性、嵩密度に優れると記載されている。しかしながら、ポリエチレン粒径は100μm以上であり、しかも600μm以上の粗大粒子が微量含まれており、本質的に超微粒子とは言い難く、上記の機能性新材料用途に耐えうるものではない。
【0008】
また、特開平5-301921号公報には、ジエトキシマグネシウム、テトラブトキシチタン、四塩化ケイ素、芳香族ジカルボン酸ジエステルおよび四塩化チタンを原料に特定の接触方法で合成された固体触媒成分が、また特開平7-41514号公報にはジエトキシマグネシウム、テトライソプロポキシチタンまたはテトラキス(2-エチルヘキシルオキシ)チタン、四塩化ケイ素、ソルビタン脂肪酸エステル、四塩化チタンおよび芳香族ジカルボン酸ジエステルを原料に用い、特定の方法で合成された固体触媒成分、およびこの固体触媒成分を用いたエチレン重合により製造されたポリエチレンが開示されている。これらのポリエチレンは粒度分布が狭く、球形度も高いと記載されている。しかしながら、ポリエチレン粒径は依然として100μm以上であり、望まれている数十μm領域の超微粒子としては満足しうるものではない。 また計算上の固体触媒触媒粒径から考えても、超微粒子ポリエチレンの製造は実質上困難であると予測される。
【0009】
さらに、特開昭60-163935号公報、EP0159110B号公報、US4972035号公報には、特定のチーグラー型触媒の存在下で、特定の条件でエチレン重合させて得られるポリエチレン粒子を高速剪断処理する、または高速剪断処理された特定の微細分散型チーグラー触媒をエチレン重合に供することにより、粒径、粒度分布の制御されたポリエチレン微粒子が製造可能であることが開示されている。これらのポリエチレンは粒径数十μmで、粗大粒子が実質的に無く、粒度分布も狭いことが記載されている。しかしながら、ポリエチレン粒子が互いに凝集しているものが多く含まれており、粒子形状も球形ではなく、コンペイトウ状に近い。このため、流動性や分散性、パウダーとしてのパッキングといった性能に劣ることが予測され、前述の機能性新材料用途では十分満足できるものではない。また、凝集粒子間は強固な化学的結合に由来する部分もあり、公報記載の高速剪断処理や他の機械的解砕では完全に非凝集化することは困難であった。
一方、メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒のような錯体化合物が有機アルミニウムオキシ化合物(アルモキサン)との組み合わせで高い重合活性を示すことが知られており、更に、特開平2−173104号、特開平9−309911号、特開2000−313712号に開示されているように、SiO、ポリマー担体等の微粒子担体に錯体化合物とアルモキサンを組み合わせたオレフィン重合触媒成分によってオレフィンを重合することにより、粒子状ポリオレフィンを製造できることが知られている。しかしながら、これらの方法では、球形の粒子は得られるものの、生成粒子の粒度分布は広く、また、重合器壁、攪拌羽根へのポリマー付着が観測されるため安定的なポリマー製造に問題があった。ポリマー付着の問題を解決するために、特開2000−297114号、特開2000−327707号、特開2004−262994号に、非イオン性界面活性剤を重合触媒成分として加えることが提案されている。この方法によって、安定的なポリマー製造は達成できるが、粒度分布の狭いポリエチレン粒子を製造することは困難であった。
本出願人は、これらの問題を解決するために鋭意検討した結果、重合器壁、攪拌羽根へのポリマー付着がなく、安定生産に適した球状・非凝集で粒度分布の狭いエチレン系重合体粒子の製造法を確立するに至った。
【特許文献1】特開平5-320244号報
【特許文献2】特開平5-301921号公報
【特許文献3】特開平7-41514号公報
【特許文献4】特開昭60-163935号公報
【特許文献5】EP0159110B号公報
【特許文献6】US4972035号公報
【特許文献7】特開2000−297114号公報
【特許文献8】特開2000−327707号公報
【特許文献9】特開2004−262994号公報
【特許文献10】特開平2−173104号公報
【特許文献11】特開平9−309911号公報
【特許文献12】特開2000−313712号公報
【特許文献13】特開2000-297114号公報
【特許文献14】特開2000-327707号公報
【特許文献15】特開2004−262994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、さまざまな機能性材料用途に好適に用いられ得る、粒子間の凝集がなく、粒度分布の極めて狭い球状エチレン系重合体粒子を重合器壁、攪拌羽根へのポリマー付着がなく安定生産できる製造法を提供することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち本発明は、(A)Mg含有担体成分、(B)遷移金属化合物、(C)有機金属化合物および(D)非イオン性界面活性剤を含むオレフィン重合触媒の存在下、エチレンを単独重合、またはエチレンとα-オレフィンまたは環状オレフィンを共重合させることを特徴とするエチレン系重合体粒子の製造方法である。
【0012】
好ましくは、エチレン系重合体粒子が、(1)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜50dl/gの範囲にあり、(2)レーザー回折散乱法で測定したメジアン径(d50)が、100μm以下であり、かつ(3)その変動係数(Cv)が20%以下であり、(D)非イオン性界面活性剤が、(D-1)ポリアルキレンオキサイドブロック、(D-2)高級脂肪族アミド、(D-3)ポリアルキレンオキサイド、(D-4)ポリアルキレンオキサイドアルキレンエーテル、(D-5)アルキルジエタノールアミン、(D-6)ポリオキシアルキレンアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種の化合物であることことを特徴とするエチレン系重合体粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によって、従来のポリエチレン粒子と比べて粒子間の凝集がなく、粒度分布が極めて狭く、様々な機能性新材料用途において有用であるエチレン系重合体粒子が、重合器壁、攪拌羽根へのポリマー付着がない状態で安定的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、各項目毎に課題を解決するための手段について詳細に述べる。
本発明に記載のエチレン系重合体粒子の製造方法は、
(A)Mg含有担体成分と
(B)遷移金属化合物、
(C)有機金属化合物と
(D)非イオン性界面活性剤
を含むオレフィン重合触媒の存在下、エチレンを単独重合、またはエチレンとα-オレフィンまたは環状オレフィンを共重合させることを特徴としている。
【0015】
また、本発明に記載のオレフィン重合触媒の存在下、製造されるエチレン系重合体粒子は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜50dl/gの範囲、好ましく0.15〜50dl/g、より好ましくは0.20〜50dl/gの範囲にあり、レーザー回折散乱法で測定したメジアン径(d50)が、100μm以下、好ましくは25μm以下でありかつその変動係数(Cv)が20%以下、好ましくは18%以下、より好ましくは15%以下であることを特徴としている。
以下、各要件で規定するポリマー分子量、粒子性状の測定方法、並びにオレフィン重合触媒成分について述べる。
【0016】
極限粘度[η]
本発明の極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した値である。すなわち造粒ペレット約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求める。
【0017】
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
【0018】
メジアン径(d50)、変動係数(Cv)
本発明で使用されるメジアン径(d50)及び、変動係数(Cv)はレーザー回折散乱法によって測定される。また、本発明では上記の他に、ポリエチレン微粒子の球形度または円形度が高いものが好ましい。これらの粒子形状指数は、一般に3次元または2次元の光学的画像解析によって測定できる。
【0019】
本発明のオレフィン重合用触媒成分は、
(A)Mg含有担体成分に、
(B)遷移金属化合物、が担持された固体触媒成分と、
(C)有機金属化合物、
(D)非イオン性界面活性剤を含み、好ましくはこれら4種の成分から構成される。
【0020】
以下、上記した各成分について詳説する。
(A)Mg含有担体成分
本発明のMg含有担体成分(以下、単に「担体」と略称する場合がある)は、マグネシウム原子、アルミニウム原子および炭素数1〜20のアルコキシ基を共に含有し、炭化水素溶媒に不溶であり、平均粒径が0.1〜5μmであり、好ましくは0.1〜4.5μm、より好ましくは0.1〜4.0μm、さらに好ましくは0.1〜3.5μmの範囲にある。担体粒径が前記範囲よりも大きい場合、生成ポリエチレンの粒径を小さくするためには重合活性を非常に低く抑える必要があり、用途によっては触媒残渣が問題となることがあるため好ましくない。また担体粒径が前記範囲よりも小さい場合、充分な重合活性を発現させても、依然として生成ポリエチレン粒径を小さく保つことができるため好ましいが、生成ポリエチレン粒子間の凝集が激しくなり、実際上、非凝集ポリエチレン粒子を得ることは困難であると予想される。
【0021】
本発明の担体成分は、ハロゲン化マグネシウムと炭素数1〜20のアルコール、フェノール化合物を接触(以下、この接触を「第1接触」と呼ぶ場合がある。)させ、次いで特定の条件下で、有機アルミニウム化合物と接触(以下、この接触を「第2接触」と呼ぶ場合がある。)させることにより得られる。
【0022】
ハロゲン化マグネシウムとしては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウムが好んで用いられる。このようなハロゲン化マグネシウムは市販品をそのまま使用しても良いし、別途アルキルマグネシウムから調製しても良いし、また後者の場合はハロゲン化マグネシウムを単離することなく用いることもできる。
【0023】
炭素数1〜20のアルコールとしては、前記の炭素数1〜20のアルコキシ基に対応したアルコールを例示でき、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-アミルアルコール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、2-エチルヘキサノール、n-オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、クミルアルコール、i-プロピルベンジルアルコール等、トリクロロメタノール、トリクロロエタノール、トリクロロヘキサノールなどのハロゲン含有アルコール、フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノール、ナフトール等の低級アルキル基含有フェノール等を例示するこができるが、これらの中ではメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、i-アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、2-エチルヘキサノール、オクタノール、ドデカノールが好ましい。
【0024】
ハロゲン化マグネシウムと炭素数1〜20のアルコール、フェノール化合物を接触させる場合は、溶媒存在下で行ってもよい。溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンジクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを例示することができる。
【0025】
接触は通常、加熱下で行なわれる。加熱する場合は、その温度は使用する溶媒の沸点までの温度を任意に選択することができる。接触時間は接触温度にもよるが、例えば溶媒としてn-デカンを使用し、加熱温度130℃の条件下では約4時間の接触により、内容物の均一化現象を呈し、これが接触完了の目安となる。接触する際には、通常撹拌等により接触を促す装置を利用して実施される。接触の開始時は通常不均一な系であるが、接触が進行するとともに内容物は徐々に均一化し、最終的には液状化する。
【0026】
本発明の担体成分は、生成するエチレン系重合体超微粒子の粉体性状の視点から完全液状化を経由する調製法の方が好ましい。
【0027】
このようにして調製されたハロゲン化マグネシウムと炭素数1〜20のアルコール、フェノール化合物の接触化物(以下、「第1接触化物」と呼ぶ場合がある。)は、接触時に使用した溶媒類を除去して用いてもよいし、溶媒を留去することなく次段の工程に供される。通常は溶媒を留去することなく次段の工程に供される。
【0028】
上記の方法で得られた第1接触化物は、次いで特定の条件下で、下記一般式(Z)で表される有機アルミニウム化合物と接触(=第2接触)される。
【0029】
AlRnX3-n ・・・(Z)
一般式(Z)において、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、を例示することができる。Xは塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子または水素原子を示す。nは1〜3の実数を示し、好ましくは2または3である。Rが複数ある場合は各Rは同じでも異なっていてもよく、Xが複数ある場合は、各Xは同じでも異なっていてもよい。有機アルミニウム化合物としては、具体的には以下のような化合物が用いられる。このような要件を満たす有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどを例示できるが、これらの中では、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドが好ましい。
【0030】
本発明の大きなポイントの一つは、この第2接触における接触方法および接触条件にある。具体的には、強力な剪断力で高速混合された第1接触化物に、前記一般式(Z)で表される有機アルミニウム化合物を添加する方法によって実施される。第1接触化物の高速混合に用いる装置としては、一般に乳化機、分散機として市販されているものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミクサー(特殊機化工業社製)、ナショナルクッキングミキサー(松下電器産業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKパイプラインホモミクサー、TKホモミックラインフロー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(日本精機社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、クレアミックス(エムテクニック社製)、フィルミックス(特殊機化工業社製)等のバッチ又は連続両用乳化機、マイクロフルイダイザー(みづほ工業社製)、ナノメーカー、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVゴーリン(ゴーリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等を挙げることができる。
【0031】
第2接触時、第1接触化物は溶剤に希釈された状態が好ましく、このような溶剤としては活性水素を保有しない炭化水素類であれば特に制限なく使用できるが、通常は第1接触時に使用した溶媒を留去することなく第2接触時の溶媒としてそのまま使用するのが効率的である。第1接触化物に添加する有機アルミニウム化合物は、溶媒に希釈して使用しても良いし、溶媒に希釈せず添加してもよいが、通常はn-デカン、n-ヘキサン等の脂肪族飽和炭化水素や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒に希釈された形態で用いられる。有機アルミニウム化合物を添加する際には、通常5分〜5時間かけて第1接触化物に添加される。接触系内の徐熱能力が十分であれば短時間の添加で済ませることができ、一方能力が不十分な場合は長時間かけて添加するのがよい。有機アルミニウム化合物の添加は一括して添加してもよいし、何回かに分けて分割添加をしてもよい。分割添加を行なう場合は、各々の添加における有機アルミニウム化合物は同一でも異なっていてもよく、また各々の添加における第1接触化物の温度は同一でも異なっていてもよい。
【0032】
第2接触時における、前記一般式(Z)で表される有機アルミニウム化合物の使用量は、通常は第1接触化物中のマグネシウム原子の量に対して0.1〜50倍モル、好ましくは0.5〜30倍モル、より好ましくは1.0〜20倍モル、さらに好ましくは1.5〜15倍モル、特に好ましくは2.0〜10倍モルのアルミニウム原子となるように有機アルミニウム化合物が使用される。
【0033】
第2接触により担体を調製する方法のうち、特に好ましい第2接触の形態を以下に述べる。
【0034】
第1接触化物と前記一般式(Z)で表される有機アルミニウム化合物の接触に際しては、例えばマグネシウム化合物の炭化水素希釈溶液と、炭化水素溶媒に希釈した有機アルミニウム化合物とを接触させる等の両液状物の反応による手段が好ましい。その際の有機アルミニウム化合物の使用量は、その種類、接触条件によって異なるが、マグネシウム化合物1モルに対し、通常2〜10モルとするのが好ましい。固体生成物は、その形成条件によって形状や大きさなどが異なってくる。形状、粒径がそろった固体生成物を得るためには、前述のように高剪断・高速混合を維持しつつ、急速な粒子形成反応を避けるのが好ましく、例えばマグネシウム化合物と有機アルミニウム化合物を互いに液状状態で接触混合して相互反応によって固体生成物を形成させる場合には、それらの接触によって急速に固体が生じないような低い温度で両者を混合した後、昇温して徐々に固体生成物を形成させるのがよい。この方法によれば、固体生成物の超微粒領域での粒径制御が容易で、粒度分布の極めて狭い超微粒・球状固体生成物を得やすい。
【0035】
(B)遷移金属化合物
本発明のエチレン系重合体粒子の製造方法で用いられる遷移金属化合物については、特に限定はないが、好ましくは下記一般式(I)で示される遷移金属化合物が挙げられる。
【0036】
【化1】

【0037】
(なお、N……Mは、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
【0038】
一般式(I)中、Mは周期表第3〜11族の遷移金属原子(3族にはランタノイドも含まれる)を示し、好ましくは3〜9族(3族にはランタノイドも含まれる)の金属原子であり、より好ましくは3〜5族および9族の金属原子であり、特に好ましくは4族または5族の金属原子である。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウム、イットリウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウムなどであり、好ましくはスカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ロジウムなどであり、より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、コバルト、ロジウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、特に好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0039】
mは、1〜6、好ましくは1〜4の整数を示す。 R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0040】
なお、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0041】
以下に、上記一般式(I)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0042】
Xは、Cl、Br等のハロゲン、もしくはメチル等のアルキル基を示すが、これらに限定されるものではない。また、Xが複数ある場合は、これらは同じであっても、異なっていても良い。
【0043】
nは金属Mの価数により決定される。例えば、2種のモノアニオン種が金属に結合している場合、2価金属ではn=0、3価金属ではn=1、4価金属ではn=2、5価金属ではn=3になる。たとえば金属がTi(IV)の場合はn=2であり、Zr(IV)の場合はn=2であり、Hf(IV)の場合はn=2である。
【0044】
【化2】

【0045】
【化3】

本発明では上記化合物において、ジルコニウム金属を、チタン、ハフニウム、バナジウム、クロムに置き換えた化合物を用いることもできる。
【0046】
(C)有機金属化合物 本発明において用いられる(C)有機金属化合物として、具体的には下記のような周期律表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物を任意に用いることができる。
【0047】
(C-1a) 一般式 RamAl(ORb)npq
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、より好ましくは1〜8の炭化水素基を示す。Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。このような化合物の具体例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシドを例示することができる。
【0048】
(C-1b) 一般式 MAlRa4
(式中、M はLi、NaまたはKを示し、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。このような化合物としては、LiAl(C25)4、LiAl(C715)4 などを例示することができる。
【0049】
(C-1c) 一般式 Rab
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、MはMg、ZnまたはCdである。)で表される周期律表第2族または第12族金属のジアルキル化合物。
【0050】
上記した有機金属化合物(C)のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましく、とりわけ前記(C-1a)の有機アルミニウム化合物が好ましい。また、このような有機金属化合物は、1種単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0051】
次に本発明で用いられる非イオン性界面活性剤(D)について説明する。
(D)非イオン性界面活性剤 本発明に関わる(D)非イオン性界面活性剤は、(D-1)ポリアルキレンオキサイドブロック、(D-2)高級脂肪族アミド、(D-3)ポリアルキレンオキサイド、(D-4)ポリアルキレンオキサイドアルキレンエーテル、(D-5)アルキルジエタノールアミン、(D-6)ポリオキシアルキレンアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種の化合物である。これらについて詳細に説明する。
【0052】
(D-1)ポリアルキレンオキサイドブロック
本発明で用いられる(D-1)ポリアルキレンオキサイドブロックは、一般的に非イオン性界面活性剤として用いられるものであり、従来公知のポリアルキレンオキサイドブロックであれば何ら制限なく使用できる。
【0053】
ポリアルキレンオキサイドブロックとしては、一般式HO−(CH2CH2O)m−{CH2CH(CH3)O}n−(CH2CH2O)pHで表されるポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドブロックが好ましく挙げられる。
【0054】
上記一般式中(CH2CH2O)で表されるオキシエチレン単位の平均連鎖長を示すmは、1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の範囲であることが望ましく、pは、1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の範囲であることが望ましく、{CH2CH(CH3)O}で表されるオキシプロピレン単位の平均連鎖長を示すnは、2〜50、好ましくは3〜45、より好ましくは4〜40の範囲であることが望ましい。
【0055】
また、ポリアルキレンオキサイドブロックとして好適なものとして、一般式HO−{CH2CH(CH3)O}a−(CH2CH2O)b−{CH2CH(CH3)O}cH で表されるポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロックが挙げられる。
【0056】
上記一般式中(CH2CH2O)で表されるオキシエチレン単位の平均連鎖長を示すbは、1〜50、好ましくは1〜40、より好ましくは2〜30の範囲であることが望ましく、{CH2CH(CH3)O}で表されるオキシプロピレン単位の平均連鎖長を示すaは、2〜30、好ましくは3〜25、より好ましくは4〜20の範囲であることが望ましく、cは、2〜30、好ましくは3〜25、より好ましくは4〜20の範囲であることが望ましい。
【0057】
(D-2)高級脂肪族アミド
本発明で用いられる(D-2)高級脂肪族アミドは、一般的に非イオン性界面活性剤として用いられるものであり、従来公知の高級脂肪族アミドであれば何ら制限なく使用できる。高級脂肪族アミドとしては、一般式(Cm2m+1CO)N(CH2CH2OH)2で表されるアルキルジエタノールアミドが好ましく用いられる。上記一般式中(Cm2m+1)で表されるアルキル基の炭素原子数を示すmは、1〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは8〜18の範囲であることが望ましい。
【0058】
高級脂肪族アミドとして具体的には、例えばラウリルジエタノールアミド、セチルジエタノールアミド、ステアリルジエタノールアミド、オクチルジエタノールアミド、ノニルジエタノールアミド、sec-ラウリルジエタノールアミドなどが挙げられる。これらのなかではラウリルジエタノールアミドが好ましい。
【0059】
(D-3)ポリアルキレンオキサイド
本発明で用いられる(B-3)ポリアルキレンオキサイドは、従来公知のポリアルキレンオキサイドであれば何ら制限なく使用できる。ポリアルキレンオキサイドとして好適なものとしては、HO−(CH2CH2O)m−Hで表されるポリエチレンオキサイド、HO−{CH2CH(CH3)O}nHで表されるジオール型のポリプロピレンオキサイドおよびR1OCH2CHOR2CH2OR3(R1=−{CH2CH(CH3)O}p1H、R2=−{CH2CH(CH3)O}p2H、R3=−{CH2CH(CH3)O}p3H、)で表されるトリオール型のポリプロピレンオキサイドが挙げられる。上記ポリエチレンオキサイドの平均重合度を示すmは、2〜40、好ましくは3〜30、より好ましくは4〜20の範囲であることが望ましく、ジオール型のポリプロピレンオキサイドの平均重合度を示すnは、2〜80、好ましくは3〜70、より好ましくは4〜60の範囲であることが望ましく、トリオール型のポリプロピレンオキサイドの平均重合度を示すP1、P2、P3は同じであっても異なっていてもよく、2〜80、好ましくは2〜70、より好ましくは2〜60の範囲であることが望ましい。
【0060】
ポリアルキレンオキサイドとしては、上記のポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド以外に、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとがランダムに共重合したポリアルキレンオキサイドも好ましく用いられる。また、ポリアルキレンオキサイドとして好適なものとして、グリセリン、トリメチロールプロパン、などの多価アルコール類にアルキレンオキサイドを付加して得られるポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。ポリオキシアルキレンポリオールとしては、多価アルコール類の1官能基数に対してエチレンオキサイドが、2〜30モル、好ましくは3〜20モル、より好ましくは4〜8モル付加するもの、または多価アルコール類の1官能基数に対してプロピレンオキサイドが、2〜30モル、好ましくは3〜20モル、より好ましくは4〜8モル付加するものが望ましい。
【0061】
(D-4)ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル
本発明で用いられる(D-4)ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテルは、一般的に非イオン性界面活性剤として用いられるものであり、従来公知のポリアルキレンオキサイドアルキルエーテルであれば何ら制限なく使用できる。ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテルとして好適なものとしては、−(CH2CH2O)nHまたは−{CH2CH(CH3)O}nHを有するエーテル化合物が挙げられ、具体的には、下記のような化合物などを例示できる。
【0062】
一般式Cm2m+1O(CH2CH2O)nHで表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル、一般式Cm2m+1O{CH2CH(CH3)O}n Hで表されるポリオキシプロピレンアルキルエーテル、一般式Cm2m+164O(CH2CH2O)nHで表されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、一般式Cm2m+164O{CH2CH(CH3)O}nHで表されるポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル、一般式(Cm2m+12CHO(CH2CH2O)nHで表されるポリオキシエチレンsec-アルキルエーテル、一般式(Cm2m+12CHO{CH2CH(CH3)O}nHで表されるポリオキシプロピレンsec-アルキルエーテル、一般式(Cm2m+13CO(CH2CH2O)nHで表されるポリオキシエチレン tert-アルキルエーテル、一般式(Cm2m+13CO{CH2CH(CH3)O}nHで表されるポリオキシプロピレン tert-アルキルエーテル。
【0063】
上記一般式中(Cm2m+1)で示されるアルキル基の炭素原子数を示すmは、1〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは8〜18の範囲であることが望ましい。また、(CH2CH2O)で表されるオキシエチレン単位の平均連鎖長を示すnは、2〜40、好ましくは3〜30、より好ましくは4〜20の範囲であることが望ましく、{CH2CH(CH3)O}で表されるオキシプロピレン単位の平均連鎖長を示すnは、2〜80、好ましくは3〜70、より好ましくは4〜60であることが望ましい。
【0064】
このような上記一般式で表されるエーテル化合物のうち、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンエチレンオクチルエーテル、ポリオキシプロピレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンsec-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンsec-ラウリルエーテルなどが好ましく、特にこれらの化合物のうちオキシプロピレン単位の繰返し単位数が4〜60である化合物およびオキシエチレン単位の繰り返し単位数が4〜10である化合物が好ましい。
【0065】
ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテルとしては、上記のようなポリエチレンオキサイドアルキルエーテルやポリプロピレンオキサイドアルキルエーテル以外に、ポリアルキレンオキサイド部分が、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合体あるいはブロック共重合体であるポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル化合物も好ましく用いられる。
【0066】
(D-5)アルキルジエタノールアミン
本発明で用いられる(D-5)アルキルジエタノールアミンは、一般的に非イオン性界面活性剤として用いられるものであり、従来公知のアルキルジエタノールアミンであれば何ら制限なく使用できる。
【0067】
アルキルジエタノールアミンとしては、一般式(Cm2m+1)N(CH2CH2OH)2で表されるものが挙げられる。上記一般式中(Cm2m+1)で示されるアルキル基の炭素原子数を示すmは、1〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは8〜18の範囲であることが望ましい。アルキルジエタノールアミンとして具体的には、例えばラウリルジエタノールアミン、セチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、オクチルジエタノールアミン、ノニルジエタノールアミン、sec-ラウリルジエタノールアミンなどが挙げられる。これらのなかではラウリルジエタノールアミンが好ましい。
【0068】
(D-6)ポリオキシアルキレンアルキルアミン
本発明で用いられる(D-6)ポリオキシアルキレンアルキルアミンは、一般的に非イオン性界面活性剤として用いられるものであり、従来公知のポリオキシアルキレンアルキルアミンであれば何ら制限なく使用できる。
【0069】
ポリオキシアルキレンアルキルアミンとしては、一般式(Cm2m+1)N{(CH2CH2O)nH}{(CH2CH2O)pH}で表されるポリオキシエチレンアルキルアミンが挙げられる。上記一般式中(Cm2m+1)で示されるアルキル基の炭素原子数を示すmは、1〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは8〜18の範囲であることが望ましく、(CH2CH2O)で表されるオキシエチレン単位の平均連鎖長を示すnおよびpは同じであっても異なっててもよく、2〜40、好ましくは2〜30、より好ましくは2〜20の範囲であることが望ましい。
【0070】
上記のような化合物(D)のうち、(D-1)ポリアルキレンオキサイドブロック、(D-3)ポリアルキレンオキサイド、(D-4)ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル、(D-5)アルキルジエタノールアミン、(D-6)ポリオキシアルキレンアルキルアミンが好ましく用いられ、(D-1)ポリアルキレンオキサイドブロック、(D-3)ポリアルキレンオキサイド、(D-4)ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル、(D-6)ポリオキシアルキレンアルキルアミンがより好ましく用いられ、(D-4)ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテルが特に好ましく用いられる。
【0071】
このような非イオン系界面活性剤は、室温で液体であるものが取り扱い性の点で好ましい。また、このような非イオン系界面活性剤は、原液又は溶媒で希釈後、溶液で使用することが出来る。なお、本発明でいう「希釈」とは、非イオン系界面活性剤と非イオン系界面活性剤に対して不活性な液体とが混合された状態のもの又は分散された状態のものも全て含む。すなわち、溶液又は分散体であり、より具体的には、溶液、サスペンジョン(懸濁液)又はエマルジョン(乳濁液)である。その中でも、非イオン系界面活性剤と溶媒が混合し、溶液状態となるものが好ましい。
【0072】
不活性な液体として例えば、脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。この中でも脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素の場合は、非イオン系界面活性剤と混合することにより溶液状態となるものが好ましい。更に好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油、鉱物油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素と非イオン系界面活性剤と混合することにより溶液状態となるものがよい。
【0073】
これらの化合物の具体的な例として、
(D-1)
第一工業製薬製 エパン750 平均分子量4000エチレンオキサイド部分2000 プロピレンオキサイド部分2000
第一工業製薬製 エパン720 平均分子量2500エチレンオキサイド部分500 プロピレンオキサイド部分2000
第一工業製薬製 エパン710 平均分子量2220エチレンオキサイド部分220 プロピレンオキサイド部分2000
第一工業製薬製 エパン420 平均分子量1500エチレンオキサイド部分300 プロピレンオキサイド部分1200
第一工業製薬製 エパン410 平均分子量1330エチレンオキサイド部分130 プロピレンオキサイド部分1200
(D-2)
三洋化成製 ケミスタット2500
(D-3)
和光純薬工業製 ポリエチレングリコール1000平均分子量1000
和光純薬工業製 ポリエチレングリコール4000平均分子量3000
和光純薬工業製 ポリプロピレングリコール ジオール型1000平均分子量1000
和光純薬工業製 ポリプロピレングリコールジオール型平均分子量3000
和光純薬工業製 ポリプロピレングリコールトリオール型平均分子量3000
Aldrich製 平均分子量2000Poly(propylene glycol)-block-poly(ethylene glycol)-block-poly(propylene glycol)平均分子量(Average Mn ca.2,000 50wt% ethylene glycol)
Aldrich製 平均分子量2500Poly(ethylene glycol-co-propylene glycol)平均分子量(Average Mn ca.2,500 75wt% ethylene glycol
(D-4)
Aldrich製 平均分子量1700Poly(ethylene glycol-co-propylene glycol)monobutyl ether平均分子量(Average Mn ca.1,700 50wt% ethylene glycol
花王製 エマルゲン108
花王製 LS−110
(D-5)
花王製 エレクトロストリッパーEA
(D-6)
花王製 アミート105
が例示できるが、この限りではない。
【0074】
オレフィン重合触媒の調製工程
次に本発明に係るオレフィン重合触媒によるエチレン系重合体粒子の調製方法について説明する。
【0075】
本発明に係るオレフィン重合触媒を構成する各成分の使用法、添加順序は任意に選ぶことができる。具体的には以下のような方法が例示される。
[1] 成分(A)Mg含有担体、成分(B)遷移金属化合物、成分(C)有機金属化合物、成分(D)非イオン性界面活性剤を任意の順序で重合器に添加する方法。
[2] 成分(A)と成分(B)とを予め接触させて調製した固体触媒成分(E)と、成分(C)、成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
[3] 固体触媒成分(E)と成分(C)を任意の順序で予め接触させた接触物と、成分(D)とを任意の順序で重合器に添加する方法。
[4] 固体触媒成分(E)と成分(D)を任意の順序で予め接触させた接触物と、成分(C)とを任意の順序で重合器に添加する方法この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。
[5] 固体触媒成分(E)と成分(D)を任意の順序で予め接触させた接触物と、成分(C)、成分(D)とを任意の順序で重合器に添加する方法この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい
[6] 固体触媒成分(E)、成分(C)、成分(D)を任意の順序で予め接触させた接触物と、成分(C)とを任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、成分(C)は、同一でも異なっていてもよい。
【0076】
固体触媒成分(E)の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。 固体触媒成分(E)を調製するに際して成分(A)Mg含有担体と成分(B)遷移金属化合物との混合比は、成分(A)中のMg金属成分と成分(B)遷移金属化合物中の金属(M)成分のモル比が、通常10〜200,000、好ましくは20〜10,000で用いられる。各成分(A)、(B)を混合接触させる際の温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは3〜600分間である。
【0077】
本発明で用いられるオレフィン重合用触媒は、エチレンが予備重合されていてもよい。
本発明では、重合は懸濁重合法または気相重合法において実施できる。
【0078】
懸濁重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0079】
上記のようなオレフィン重合触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、(B)成分は、反応容積1リットル当り、(B)成分中の遷移金属原子として、通常10-11〜10ミリモル、好ましくは10-9〜1ミリモルとなるような量で用いられる。
【0080】
(D)成分は、Mg含有担体成分(A)に対し、0.1〜500wt%、望ましくは0.2〜400wt%用いられる。
【0081】
また、このようなオレフィン重合触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0082】
得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する(C)成分の違いにより調節することもできる。
【0083】
上記の如くして得られるオレフィン重合触媒成分を用いてスラリー重合、気相重合を実施することによって、得られる重合体も超微粒球状で、粒度分布が狭く、流動性が良好であり、重合器壁、攪拌羽根へのポリマー付着もない。
【0084】
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。
【0085】
[合成例1]
成分(B1)の調製
無水塩化マグネシウム 95.2g(1.0モル)、デカン 442mlおよび2-エチルヘキシルアルコール 390.6g(3.0モル)を130℃で2時間反応を行い均一溶液(成分(B1))を得た。
【0086】
Mg含有担体成分(B1-1)の調製
充分に窒素置換した内容積1000mlのフラスコに、成分(B1)50ml(マグネシウム原子換算で50ミリモル)、精製デカン 283ml、およびクロロベンゼン117mlを装入し、オルガノ社製クレアミックスCLM-0.8Sを用い、回転数15000rpmの攪拌下、液温を0℃に保持しながら、精製デカンで希釈したトリエチルアルミニウム 52ミリモルを、30分間にわたって滴下装入した。その後、液温を5時間かけて80℃に昇温し、1時間反応させた。次いで、80℃を保持しながら、再び、精製デカン希釈のトリエチルアルミニウム 98ミリモルを、30分間にわたって滴下装入し、その後さらに1時間加熱反応した。反応終了後、濾過にて固体部を採取し、トルエンにて充分洗浄し、100mlのトルエンを加えてMg含有担体成分(B1-1)のトルエンスラリーとした。得られた固体触媒成分の平均粒径は1.5μmであった。
【0087】
また、以上の操作によって調製したMg含有担体成分(B1-1)の一部を乾燥し、組成を調べたところ、マグネシウムが19.0重量%であり、アルミニウムが2.9重量%であり、2-エチルヘキソキシ基が21.0重量%であり、塩素が53.0重量%であり、マグネシウムとアルミニウムのモル比(Mg/Al)は、7.3、2-エチルヘキソキシ基とアルミニウムのモル比(2-エチルヘキソキシ基/Al)は、1.5であった。
【0088】
[合成例2]
Mg含有担体成分(B1-2)の調製
充分に窒素置換した内容積1000mlのフラスコに、成分(B1)50ml(マグネシウム原子換算で50ミリモル)、精製デカン400ml、を装入し、オルガノ社製クレアミックスCLM-0.8Sを用い、回転数10000rpmの攪拌下、液温を20℃に保持しながら、精製デカンで希釈したトリエチルアルミニウム 52ミリモルを、30分間にわたって滴下装入した。その後、液温を3.5時間かけて80℃に昇温し、1時間反応させた。次いで、80℃を保持しながら、再び、精製デカン希釈のトリエチルアルミニウム 98ミリモルを、30分間にわたって滴下装入し、その後さらに1時間加熱反応した。反応終了後、濾過にて固体部を採取し、トルエンにて充分洗浄し、100mlのトルエンを加えて固体触媒成分(B1-2)のトルエンスラリーとした。得られた固体触媒成分の平均粒径は3.5μmであった。
【0089】
[合成例3]
固体触媒成分(B1−1−A2−172I)の調製 充分に窒素置換した内容積1000mlのフラスコに、Mg含有担体成分(B1−1)をマグネシウム原子換算で20ミリモル、および精製トルエン 600mlを装入し、攪拌下、室温に保持しながら、下記成分(A2−172)のトルエン溶液(0.0001mmol/ml)20mlを20分にわたって滴下装入した。1時間攪拌した後、濾過にて固体部を採取し、トルエンにて充分洗浄し、精製デカンを加えて固体触媒成分(B1−1−A2−172I)の200mlデカンスラリーとした。
【0090】
【化4】

【0091】
[合成例4]
固体触媒成分(B1−1−A2−172II)の調製
充分に窒素置換した内容積400mlのフラスコに、Mg含有担体成分(B1−1)をマグネシウム原子換算で5ミリモル、および精製トルエン 170mlを装入し、攪拌下、室温に保持しながら、上記成分(A2−172)のトルエン溶液(0.0005mmol/ml)20mlを20分にわたって滴下装入した。1時間攪拌した後、濾過にて固体部を採取し、トルエンにて充分洗浄し、精製デカンを加えて固体触媒成分(B1−1−A2−172II)の100mlデカンスラリーとした。
【0092】
[合成例5]
固体触媒成分(B1−2−A2−361I)の調製 充分に窒素置換した内容積1000mlのフラスコに、Mg含有担体成分(B1−2)をマグネシウム原子換算で20ミリモル、および精製トルエン 600mlを装入し、攪拌下、室温に保持しながら、下記成分(A2−361)のトルエン溶液(0.001mmol/ml)100mlを20分にわたって滴下装入した。1時間攪拌した後、濾過にて固体部を採取し、トルエンにて充分洗浄し、精製デカンを加えて固体触媒成分(B1−2−A2−361I)の200mlデカンスラリーとした。
【0093】
【化5】

【実施例1】
【0094】
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに精製ヘプタン 500mlを入れ、エチレンを流通し、液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、48℃に昇温し、エチレン雰囲気にて、トリエチルアルミニウム 1.25ミリモル、上記で調製した成分(B1−1−A2−172I)をスラリーとして4.5ml、エマルゲン108(花王製) 28.8mgをこの順に装入した。エチレン圧を0.78MPa・Gとし、120分間重合を行った。重合中は、50℃、エチレン圧0.78MPa・Gを保持した。重合終了後、反応器壁、攪拌羽根へのポリマー付着はなかった。反応生成物を大量のヘキサンで洗浄し、グラスフィルターで濾取した。得られたポリマーを10時間、真空乾燥させてポリエチレン 21.9gを得た。
【0095】
このポリエチレンの[η]は25.9dl/gであり、平均粒子径(D50)は12.1μm、Cv値は13.8%であった。
【実施例2】
【0096】
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに精製ヘプタン 500mlを入れ、エチレンを流通し、液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、48℃に昇温し、エチレン雰囲気にて、トリエチルアルミニウム 1.25ミリモル、上記で調製した成分(B1−1−A2−172II)をスラリーとして4.0ml、エマルゲン108(花王製) 25.6mgをこの順に装入した。エチレン圧を0.05MPa・Gとし、30分間重合を行った。重合中は、50℃、エチレン圧0.05MPa・Gを保持した。その後エチレン圧を0.78MPa・Gとし、さらに40分間重合を行った。重合中は、50℃、エチレン圧0.78MPa・Gを保持した。重合終了後、反応器壁、攪拌羽根へのポリマー付着はなかった。反応生成物を大量のヘキサンで洗浄し、グラスフィルターで濾取した。得られたポリマーを10時間、真空乾燥させてポリエチレン 59.0gを得た。このポリエチレンの[η]は22.0dl/g、平均粒子径(D50)は24.1μm、CV値は15.0%であった。
【実施例3】
【0097】
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに精製ヘプタン500mlを入れ、エチレンを流通し、液相および気相をエチレンで飽和させた。その後、75℃に昇温し、エチレン雰囲気にて、トリエチルアルミニウム0.00035ミリモル、上記で調製した成分(B1−1−A2−361I)をスラリーとして0.70ml、エマルゲンE108(花王製)0.8mgをこの順に装入した。その後80℃に昇温し、エチレン圧を0.78MPa・Gとし、1時間重合を行なった。重合中は、80℃、エチレン圧0.78MPa・Gを保持した。重合終了後、反応器壁、攪拌羽根へのポリマー付着はなかった。反応生成物を大量のヘキサンで洗浄し、グラスフィルターで濾取した。得られたポリマーを10時間、真空乾燥させてポリエチレン43.0gを得た。このポリエチレンの[η]は20.0dl/g、平均粒子径(D50)は61μm、CV値は14.0%であった。
【0098】
[比較例1]
エマルゲン108を添加しない以外は実施例3と同様に重合を行なった。重合器壁、攪拌羽根へのポリマー付着が観測された。反応生成物を大量のヘキサンで洗浄し、グラスフィルターで濾取した。得られたポリマーを10時間、真空乾燥させてポリエチレン41.6gを得た。このポリエチレンの[η]は19.9dl/gであった。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明により、従来の微粒子ポリエチレンよりも粒径が非常に小さく、また微粒子間の凝集がなく、粒度分布が極めて狭い、球状ポリエチレン超微粒子がプロセス上の問題点なく製造できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)Mg含有担体成分、
(B)遷移金属化合物、
(C)有機金属化合物および
(D)非イオン性界面活性剤
を含むオレフィン重合触媒の存在下、エチレンを単独重合、またはエチレンとα-オレフィンまたは環状オレフィンを共重合させることを特徴とするエチレン系重合体粒子の製造方法。
【請求項2】
エチレン系重合体粒子が、
(1)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜50dl/gの範囲にあり、
(2)レーザー回折散乱法で測定したメジアン径(d50)が、100μm以下であり、かつ
(3)その変動係数(Cv)が20%以下であることを特徴とする請求項1に記載のエチレン系重合体粒子の製造方法。
【請求項3】
(D)非イオン性界面活性剤が、
(D-1)ポリアルキレンオキサイドブロック
(D-2)高級脂肪族アミド
(D-3)ポリアルキレンオキサイド
(D-4)ポリアルキレンオキサイドアルキレンエーテル
(D-5)アルキルジエタノールアミン
(D-6)ポリオキシアルキレンアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のエチレン系重合体粒子の製造方法。

【公開番号】特開2006−206768(P2006−206768A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21602(P2005−21602)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】