説明

非大豆植物原料からの脂肪の分離方法および該方法によって製造した組成物

非大豆植物原料を分離し、脂肪濃縮画分、減脂肪植物抽出物、減脂肪植物タンパク質組成物、粗油、植物ガム、脱ガム油およびタンパク質-脂肪沈降物を製造する方法を開示する。また、減脂肪抽出物、脂肪濃縮画分、ガム、油、タンパク質-脂肪沈降物および減脂肪タンパク質組成物を含有する或いはこれらから製造した食品も開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2006年3月3日に出願された米国仮特許出願第60/778,802号の権利を主張する;該出願は、参考として本明細書に合体させる。
(政府助成研究に関する陳述)
無し
【0002】
(背景技術)
植物原料、とりわけ脂肪種子は、加工されて、油および植物由来タンパク質のような広範囲の食品が生産されている。最近、低-または減脂肪高タンパク質植物由来製品に対する消費者需要は、劇的に増大してきている。さらに、自然の有機且つ環境に優しい或いは“青物”食品および植物由来栄養補助食品に対する消費者需要も高まっている。溶媒抽出および各種圧搾系の方法、例えば、押出機、連続圧搾機、連続およびコールドプレス法のような数種の方法が、食品製造において使用するための植物系の油、タンパク質および他の植物系製品を商業的に生産するのに現在使用されている。
これらの方法は、粗油および部分脱脂植物原料を提供し、これらの粗油および原料は、さらに処理して精製油、油脂、ガムおよび植物由来タンパク質とし得る。溶媒抽出においては、溶媒、一般的にはヘキサンを使用して、油と残留溶媒を含有する脱脂植物原料を生産している。これらの溶媒は、天然とはみなされず、有機食品表示のための米国農務省(USDA)ガイドラインによる認証有機食品を製造するには使用できない。
対照的に、圧搾系の方法は、有機として認証され得る食品を製造するのに使用することができる。圧搾系方法の1つの特定のタイプである押出機プレス法は、有機植物タンパク質製品および有機植物由来の油を商業的に生産するのに使用されている。押出機プレス法による油回収は比較的非効率であり、かなり高割合の脂肪がケーキ中に残存する。押出機プレス法によって生産した商業的に入手可能な部分脱脂ケーキおよび粉末は、乏しいタンパク質溶解性およびタンパク質機能性の低下に特徴を有する。
従って、当該技術においては、タンパク質および油脂を植物原料から分離して、有機として認証され得る低脂肪タンパク質リッチ組成物および植物油を製造する方法が求められている。
【0003】
(発明の開示)
1つの局面においては、本発明は、非大豆植物原料の処理方法を提供する。植物原料を水抽出して抽出物を調製し、この抽出物を、脂肪濃縮画分と減脂肪抽出物とに遠心分離する。脂肪濃縮画分は、必要に応じて、さらに処理して油を製造し得る。減脂肪抽出物は、必要に応じて、さらに処理して蒸発またはスプレー乾燥製品を製造し得る。
また、減脂肪抽出物は、濃縮して減脂肪植物タンパク質組成物を製造し得る。減脂肪抽出物は、必要に応じて、有効量の酸と接触させて、第1のカードおよびホエーを製造し得る。その後、カードをホエーから分離して、第1の減脂肪植物タンパク質組成物を製造し得る。この第1の減脂肪植物タンパク質組成物を洗浄して、第2の減脂肪植物タンパク質組成物を製造し得る。
また、減脂肪抽出物は濾過に供して、第1の減脂肪植物タンパク質組成物を製造し得る。得られる第1の減脂肪植物タンパク質組成物は、さらなる1連の濾過に供して、第2の減脂肪植物タンパク質組成物を製造し得る。
また、本発明の方法に従って製造した脂肪濃縮画分、減脂肪植物抽出物、少なくとも65乾燥質量%のタンパク質を含む減脂肪植物タンパク質組成物、少なくとも85乾燥質量%のタンパク質を含む減脂肪植物タンパク質組成物、粗油、植物ガム、脱ガム油およびタンパク質-脂肪沈降物も提供する。また、各種植物組成物を含有する食品も提供する。
【0004】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、植物原料を水抽出し、水抽出物を遠心分離して脂肪濃縮画分(または“クリーム”)および減脂肪抽出物を調製することによって非大豆植物原料を分別する方法を提供する。水抽出した植物原料は、各物質の密度差に基づいて遠心分離して比較的高密度の減脂肪画分(減脂肪抽出物)と比較的低密度の脂肪濃縮画分を調製する。減脂肪抽出物は、出発植物原料と対比して増大したタンパク質対脂肪比を有する。脂肪濃縮画分と減脂肪抽出物はさらに処理して、所望の特性を有する各種生成物を得ることができる。実施例において示すように、本明細書において記載する方法を使用して、60%以上の脂肪を全脂肪植物原料から取出し得る。
上記方法に従って調製した減脂肪抽出物を使用して、少なくとも約50%のタンパク質と約15%以下の脂肪分を有する減脂肪植物乳を製造し得、或いは、さらに処理して減脂肪植物タンパク質組成物を製造することもできる。減脂肪植物タンパク質組成物は、少なくとも65%の乾燥基準タンパク質を含有し得るか(タンパク質濃縮物)、或いは少なくとも90%の乾燥基準タンパク質を含有し得る(タンパク質分離物)。脂肪濃縮物画分はさらに処理して、油、石鹸およびガム類(レシチン様乳化剤のような)を製造し得る。ある種の実施態様においては、繊維を含みリン脂質に富むタンパク質-脂肪沈降物も得ることができる。図1〜4は、植物原料を如何に処理して各種食品および栄養補給食品の製造において有用な種々の組成物を得ることができるかを図解している。
【0005】
本発明は、タンパク質と脂肪を含む任意の非大豆植物原料を使用して実施し得る。本発明方法において有用な非大豆植物原料の例としては、限定するものではないが、キャノーラ(ナタネ)、トウゴマの実(ヒマシ)、綿実、アマニ(flaxseed)、パーム核、アマニ(linseed)、キャンドルナッツ、ゴマ種子、ピーナッツ、ココナツ、トウモロコシ、トウモロコシ胚芽、ヒマワリ、ベニバナ、エンバク、チーア、ククイノキ、カボチャ、クルミ、ブドウ、サクラソウ、米ぬか、アーモンド、オリーブ、アボカド、ブナノキ、ブラジルナッツ、ペカン、ピスタチオ、ヒッコリー、ハシバミ、マカダミア、カシュー、ニーム、大麻、ルピナス、コーヒー、ケシ、アカトウガラシ、カラシ種子、小麦および小麦胚芽がある。
任意の適切な非大豆植物原料を本発明の方法において使用し得る;但し、植物原料の水抽出によって、遠心分離により取出すことのできる脂肪を含む水抽出物が得られることを条件とする。植物原料としては、限定するものではないが、自然繁殖植物、伝統的作物栽培植物、非GMO(遺伝子組換え生物)植物、GMO植物および有機栽培植物がある。使用する植物原料は、実質的に全脂肪植物原料、即ち、ミリング前に脱脂されていない植物原料であり得る。また、植物原料は、任意の適切な方法によって部分的に脱脂し得る。部分脱脂植物原料としては、少なくとも1部の脂肪を除去した任意の植物原料がある。部分脱脂植物原料を得る方法は、当該技術において既知であり、限定するものではないが、スクリュープレス、押出機プレス、コールドプレス;例えば、二酸化炭素、窒素またはプロパンを使用する高圧液体抽出;および超臨界液体脂肪抽出がある。そのようにして製造した部分脱脂ケーキは、水抽出および遠心脂肪分離の前に、必要に応じてミリングして部分脱脂粉末とする。遠心脂肪分離法において使用する粉末、フレーク、ケーキ、小粒および粗びき粉は、商業的に入手可能である。実施例においては、全脂肪粉末を出発原料として使用した。
実質的に全脂肪植物原料は、10質量%脂肪以上の脂肪含有量を有し得る。適切には、実質的に全脂肪植物原料の脂肪含有量は、少なくとも約15質量%、20質量%、30質量%、40質量%または50質量%でさえある。部分脱脂植物原料の脂肪含有量は約5質量%、10質量%または15質量%よりも多い脂肪であり得る。
【0006】
上記方法において使用する植物原料は、限定するものではないが、乾燥、平衡化水分レベルを達成するための状態調節、脱穀、粗砕、並びに植物原料から夾雑物、雑草、殻または他の望ましくない物質を除去するための向流空気吸引、スクリーニング法または当該技術において既知の他の方法による清浄化のような任意の適切な手段による処理において調製し得る。植物原料は、必要に応じて、限定するものではないがハンマーミル、ロールミルまたはスクリュータイプのミルを使用する粉砕のような任意の適切な手段を使用してミリングすることによってさらに処理し得る。得られる粉末は、種々の粒度を有し得る。適切には40〜1000メッシュの粉末を抽出において使用し、より適切には100〜600メッシュの粉末を使用するが、任意の適切な粉末、フレーク、小粒、粗びき粉またはケーキを使用し得る。
【0007】
全脂肪または部分脱脂植物原料を、水溶液、適切には水で抽出する。本明細書において使用するとき、用語“水溶液”は、溶質を実質的に含まない水(例えば、水道水、蒸留水または脱イオン水)および溶質を含む水を包含する。当業者であれば承知しているように、水溶液は、塩類、緩衝剤、酸および塩基のような添加剤を含有し得る。脂肪分離は、上記の方法により、解乳化剤を添加することなく実施し得る;適切には、上記水溶液は、解乳化剤を実質的に含まない。解乳化剤を実質的に含まない水溶液としては、約0.01質量%以下の解乳化剤を含有する水溶液がある。適切には、水溶液は、約0.005質量%以下、より適切には約0.001質量%以下の解乳化剤を含有する。適切には、水溶液は、約0.10N以下、より適切には約0.07N、0.05Nもしくは0.02Nまたはこれら以下のイオン強度を有する。抽出温度は、約0℃〜約93.3℃(約32°F〜約200°F)、適切には約0℃〜約65.6℃(約32°F〜約150°F)、より適切には約26.7℃〜約65.6℃(約80°F〜約150°F)、より適切には約32.2℃〜約62.8℃(約90°F〜約145°F)、さらにより適切には約43.3℃〜60℃(約110°F〜約140°F)であり得る。種々の機能特性を有する製品を、添加剤を含ませることによって或いは抽出温度を変えることによって得ることができる。
下記の実施例においては、水を、粉末に、植物原料1部当り約4〜約16質量部の比で添加している。しかしながら、より多いまたはより少ない水も使用し得る。実施例においては、pHを水酸化カルシウムのような塩基を添加することによって調整し、タンパク質の抽出を容易にしている。限定するものではないが水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムまたは水酸化カリウムのような他の塩基を添加してもpHを調整し得る。適切には、pHは約6.0〜約10.5に調整し、より適切には、pHは約7.0〜約9.0に調整して、抽出を最適化する。適切には、pHは約7.0よりも高く、より適切には、pHは約7.5である。抽出は、撹拌してまたは撹拌しないで、タンパク質を抽出するのに有効な時間実施する。適切には、抽出は少なくとも10分間で実施し、より適切には、抽出は、少なくとも30分、1時間、2時間または4時間で実施する。当業者であれば承知しているように、より長い時間も使用し得る。
【0008】
抽出物は、遠心分離による脂肪の除去前に、不溶性副生成物(例えば、不溶性繊維画分)の少なくとも1部から分離し得る。この分離は、水平デカンター、ディスクタイプ排泥装置(desludger)、ディスクタイプ除濁装置、または液体と固体を分離する同様な装置を使用して達成し得る。実施例においては、ディスクタイプ除濁遠心分離を使用して、遠心脂肪分離前に不溶性副生成物を除去している。不溶性繊維画分は、動物飼料用として使用してもよく、或いは、さらに処理し乾燥させて、動物またはヒトの食餌成分として使用してもよい。
必要であれば、タンパク質の回収を増大させるために、不溶性繊維画分は、水溶液を不溶性副生成物に加え、上記のように遠心分離することによって洗浄することもできる。ディスクタイプ除濁遠心分離は、必要に応じて、残留不溶性繊維画分を除去するのに使用し得る。その後、得られた抽出物は、以下で説明するような遠心脂肪分離に供し得る。
一般に、比較的大きくて低密度の脂肪小球状物の方が、小さめで高密度の脂肪小球状物よりも、水抽出物から遠心脂肪分離によってより完全に分離し得る。脂肪球状物サイズは、植物原料の調製法および抽出条件に影響を受け得る。遠心脂肪分離は、水抽出物中の脂肪小球状物と水との密度差を維持する方法で抽出物を調製することによって改良し得る。脂肪の遠心分離は、機械的処理を最低限にすること、脂肪分離前の植物原料の貯蔵時間および熱に対する暴露を最小限にすること、原料を使用時に近い丸ごとの無傷の植物原料として保存し処理すること、初期加工後に空気への暴露を最小限にすること、水抽出物中での微生物増殖を最小限にすること、水抽出物中の気泡発生を最小限にすること、水抽出物中の空気内包を最小限にすること、水抽出物中の遊離脂肪酸含有量を増大させない処理条件と加熱処理を選択すること、エマルジョン化を促進する処理を排除すること、および抽出物のpHを約6.0よりも上に維持することによって増進させ得る。適切には、少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%または90%の脂肪を、遠心分離後に減脂肪抽出物から除去する。
【0009】
水抽出物の遠心分離は、任意の適切な方法によって達成し得、バッチ、半連続または連続法として実施し得る。要するに、植物水抽出物は、脂肪の少なくとも1部を残りの抽出物から分離するのを可能にする条件下に操作する連続ディスクタイプセパレーターに供給し得る。該セパレーターは、固体ボウルにより或いは連続または断続固体排出設計によって作製し得る。ディスク角およびディスク間隔も同様に変更し得る。1つの実施態様においては、Westfalia Separator Industries社(ドイツ国オエルデ)からのモデルMP-1254のような連続排出ディスクタイプ二相固体ボウルセパレーターを使用する。また、Westfalia Separator Industries社(ドイツ国オエルデ)からのモデルMRPX-418 HGVのような三相セパレーターも使用し得る。三相セパレーターの使用は、不溶性副生成物(例えば、不溶性繊維画分)の減脂肪植物抽出物および脂肪濃縮画分からの同時分離を可能にする。
もう1つの実施態様においては、不溶性繊維画分の少なくとも1部を、上述したような減脂肪抽出物からの脂肪濃縮画分の遠心分離の前に、遠心分離によって水抽出物から除去する。好ましくは、ある種の繊維は、水抽出物中に残存する。その後、三相セパレーターを使用して、減脂肪抽出物、脂肪濃縮画分、並びにタンパク質、脂肪および繊維を含有する沈降物(タンパク質-脂肪沈降物)を形成させ得る。独特の組成を有する得られるタンパク質-脂肪沈降物は、リン脂質に富んでおり、食品および栄養補助食品の製造において有用であり得る。
植物抽出物から除去する脂肪の割合は、ストークス(Stokes)の法則と一致する遠心分離において使用する特定のパラメーターを変えることによって変動させ得る。脂肪除去の効率は、抽出物のセパレーターへの供給速度(時間)またはセパレーターが加えるg力(角速度)を変えることによって影響を受け得る。遠心脂肪分離は、遠心脂肪分離前の抽出物と比較したとき、減脂肪抽出物のタンパク質対脂肪比の約2倍の上昇をもたらし得る。適切には、タンパク質対脂肪比の上昇は、約3倍、4倍またはそれ以上である。遠心脂肪分離法により、抽出物の少なくとも約40質量%の脂肪分を除去し得る。適切には、遠心脂肪分離法により、抽出物から約60質量%、70質量%またはそれ以上でさえの脂肪を除去し得る。これらの方法によって生成させた減脂肪抽出物は、適切には、3対1のタンパク質対脂肪比を有する。タンパク質対脂肪比は、より適切には約4対1、5対1、6対1、8対1、10対1、或いは12対1でさえある。
また、抽出物から除去する脂肪の相対量は、抽出物の調製法を変えることによっても影響を与え得る。例えば、植物原料のミリング法、抽出および取扱法は、遠心脂肪分離法により除去する脂肪の量に影響を与え得る。当業者であれば、脂肪分離の効率を、限定するものではないが植物抽出物の密度、抽出温度または抽出物中の脂肪小球状物のサイズを変えるような種々の方法で調製方法を変更することによって変え得ることは承知しているであろう。どのような温度も遠心脂肪分離において使用し得るけれども、約48.9℃〜約82.2℃(約120°F〜約180°F)の温度が適切である。より適切には、約48.9℃〜約65.6℃(約120°F〜約150°F)の温度を使用する。
【0010】
脂肪濃縮画分(またはクリーム)および減脂肪抽出物(減脂肪植物乳)は、さらに処理して減脂肪植物タンパク質生成物および植物由来の油を製造し得る。脂肪濃縮画分は、他の用途における食品成分として使用するために、冷蔵タンク内で冷却して保存してもよく、或いは、当該技術において既知の方法を使用して、さらに処理して少なくとも1部の水を除去して植物由来の油およびガムを製造し得る。(Erickson, et al. 1980. Handbook of Soy Oil Processing and Utilization, American Soybean Association and the American Oil Chemists Society, St. Louis, Missouri and Champaign, Illinoisを参照されたい;その全体を参考として本明細書に合体させる)。減脂肪抽出物は、減脂肪植物乳として使用してもよく、或いは、当該技術において既知の方法を使用して、さらに処理してタンパク質濃縮物またはタンパク質分離物を製造し得る。(Zerki Berk, 1992. Technology of Production of Edible Flours and Protein Products from Soybeans, Food and Agriculture Organization of the United Nations Agriculture Services Bulletin No. 97, Haifa, Israelを参照されたい;その全体を参考として本明細書に合体させる)。
遠心脂肪分離後、得られた減脂肪植物抽出物を使用して、図1に図解しているように、低脂肪または無脂肪植物乳製品を製造し得る。減脂肪植物乳は、液体として摂取し得、或いは多くの食品を製造するのに使用し得る。例えば、固形分濃度またはpHを調整することができ、添加剤を含ませることができ、或いは、減脂肪抽出物をさらなる加工に供して、特定の減脂肪植物抽出物製品を創作することもできる。食品としては、限定するものではないが、植物乳飲料、ヨーグルト、または以下で説明するような特定の食品用途において機能性の利点を有する他の製品がある。必要に応じて、脂肪濃縮画分の1部を減脂肪抽出物に添加して、正確なタンパク質対脂肪比を有する植物抽出物を製造することもできる。例えば、減脂肪植物抽出物に脂肪添加して、無脂肪よりはむしろ低脂肪製品を製造し得ていた。また、減脂肪植物抽出物は、蒸発器内で濃縮してもよく、或いは、スプレー乾燥させて減脂肪植物抽出物粉末を製造することもできる。また、減脂肪植物抽出物は、種々の食品においても使用し得る。
【0011】
植物乳製品は、植物乳中のタンパク質対脂肪比に応じて、低脂肪または無脂肪のいずれかとして表示する。低脂肪植物乳は、十分な脂肪を植物抽出物から除去するか或いは脂肪を減脂肪植物抽出物に加え戻して、タンパク質対脂肪比が少なくとも4対1(質量/質量)であるようにすることによって製造し得る。これらの減脂肪植物乳製品は、乾燥固形分基準で少なくとも約55%のタンパク質と15乾燥質量%以下の酸加水分解脂肪を含有している。適切には、減脂肪植物乳製品は、多くても10乾燥質量%の酸加水分解脂肪と少なくとも60乾燥質量%のタンパク質を含有する。より適切には、減脂肪植物乳のタンパク質対脂肪比は、6対1(質量/質量)またはそれ以上である。上述したように、遠心脂肪分離により除去する脂肪の量を該脂肪分離法のパラメーターを調整することによって変動させて、無脂肪または脱脂植物乳を、さらなる脂肪を遠心分離除去して無脂肪乳中のタンパク質対脂肪の比が、少なくとも12対1(質量/質量)であるようにして製造し得る。
【0012】
減脂肪抽出物は、必要に応じてタンパク質の酸沈降および例えば、限外濾過、精密濾過またはダイアフィルトレーションのような濾過のような当該技術において既知の濃縮および分離方法により、さらに処理して減脂肪植物タンパク質組成物を製造し得る。これらの方法を使用して、有機認証可能である植物タンパク質組成物を製造し得る。製造したタンパク質組成物は、使用する特定の方法および出発原料に応じて、乾燥質量基準で少なくとも65%のタンパク質を含有する濃縮物または乾燥質量基準で少なくとも90%のタンパク質を含有する分離物であり得る。適切には、最終タンパク質組成物は、乾燥質量基準で少なくとも約65%、75%、85%または90%のタンパク質を含有する。最終タンパク質生成物は、少なくとも約5対1(質量/質量)のタンパク質対脂肪比、必要に応じて、約8対1、約10対1或いは約12対1(質量/質量)以上でさえのタンパク質対脂肪比を含み得る。減脂肪植物タンパク質組成物は、約15乾燥質量%以下の脂肪を含有し得、適切には、約10乾燥質量%または約7乾燥質量%以下でさえの脂肪を含有し得る。
実施例においては、図2において図解しているように、減脂肪抽出物中のタンパク質を沈降により濃縮し分離して、部分脱脂植物原料からの植物タンパク質濃縮物または分離物を製造した。要するに、減脂肪抽出物中のタンパク質は、クエン酸のような酸をタンパク質の等電点まで添加することによって沈降させ得る。任意の適切な酸を使用し得る。沈降タンパク質(“第1のカード”)は、第1のホエーから、下記の実施例において使用したWestfalia Separator Industries社(ドイツ国オエルデ)からのディスクタイプ除濁遠心分離モデルSB-7のような、連続水平デカンター、ディスクタイプ除濁装置またはディスクタイプ排泥装置内で分離し得る。分離した第1のカードは、第1の減脂肪植物タンパク質組成物を構成する。各実施例において製造した第1の植物タンパク質組成物を、水溶液を該第1植物タンパク質組成物に添加し遠心分離することによって洗浄して、より高めの濃度のタンパク質を含む第2の植物タンパク質組成物を製造した。
【0013】
また、減脂肪抽出物を、図3に図解しているようにして、濾過のような当該技術において既知の他の方法によって濃縮し分離して、植物タンパク質組成物を植物原料から製造し得る。この方法は、減脂肪抽出物を微多孔質濾過膜装置に通してタンパク質リッチのリテンテートを生成させることを含む。濾過からのタンパク質リッチリテンテート(第1の減脂肪植物タンパク質組成物)は、改質し乾燥させて粉末として乾燥植物タンパク質組成物を生成させるか或いは第2段階の濾過工程においてさらに処理することができる。第2のリテンテートは、第2の減脂肪植物タンパク質組成物を構成する。
植物タンパク質濃縮物および分離物は、当業者であれば、多くの製品を製造するのに使用し得る。例えば、固形分濃度およびpHを調整することができ、或いは反応条件を変更して種々の機能特性を有するタンパク質製品を製造することができる。さらに、種々の添加剤を含ませることができ、或いは濃縮物および分離物を使用する手順を実施して、特定の用途のための機能性利点を有する特定の製品を創作することもできる。例えば、脂肪濃縮画分の1部を植物タンパク質組成物に添加してタンパク質対脂肪比を調整し得る。本発明方法によって調製した植物濃縮物および分離物を使用し、多くの種々のタイプの製品を製造し得る。得られる植物タンパク質分離物または濃縮物は、スプレー乾燥機、フラッシュ乾燥機または当業者にとって既知の他の同様な食品級乾燥装置内で乾燥させて自由流動性粉末とすることができる。
この方法によって製造した生成物は、高熱環境に暴露されていない植物原料を出発原料として使用し得るので、現在入手し得る有機認証可能植物タンパク質製品(例えば、ホットプレス法によって製造した製品)と比較して、増強された機能性を有することが期待されている。さらに、得られる製品は、ヘキサンまたはアルコール抽出植物原料に関連する望ましくない汚染物を含有していない。
【0014】
これらの生成物は、植物原料タンパク質濃縮物および分離物に関する望ましい機能特性を有する。現在入手可能な植物タンパク質組成物と比較したときの遠心脂肪分離によって製造した減脂肪非大豆植物タンパク質について、以下の機能特性を評価する:表面疎水性、水結合能力、脂肪結合性、エマルジョン化、ゲル硬度および変形性、溶液粒度、溶解性、分散性、ホイップ形成性、粘度、色合および風味等。
本発明の減脂肪植物タンパク質組成物は、適切には、食品の製造におけるその使用が食品の風味または色合に負の影響を与えないような実質的に淡白な味と灰白色(off-white)の色合を有する。
上記遠心脂肪分離法はヘキサンまたはアルコール抽出されていない或いは高温に暴露されていない全脂肪出発原料において実施し得ることから、得られる植物タンパク質組成物は、増強された量のリン脂質、サポニン類、トコフェロール類およびステロール類のような有益な微視的成分も含有し得ることが合理的に期待される。
異なる植物タンパク質は、当業者が認識しているように、異なる特性および利点を有し得る。例えば、大麻タンパク質は、十分な必須アミノ酸の各々を供給して、人体の要求に寄与する。大麻タンパク質の重要な局面は、アミノ酸のアルギニンおよびヒスチジン並びにイオウ含有アミノ酸のメチオニンおよびシステインの資質源であることである。また、大麻タンパク質は、脂肪のない体の修復および成長において不可欠である枝分れ鎖アミノ酸も比較的高レベルで含有する。大麻タンパク質のほぼ2/3はエデスチンから構成されており、グロブリンタンパク質は大麻種子においてのみ見出される。エデスチンは、人体において見出されるタンパク質と同様なタイプの植物タンパク質である。さらに、残りの1/3の大麻タンパク質は、アルブミン、即ち、卵白においても見出せるもう1つの高品質低分子量グロブリンタンパク質である。大麻タンパク質組成物の低粘度、高タンパク質含有量、無味風味、アミノ酸栄養価および分子量プロフィール故に、このタンパク質組成物は、栄養棒および栄養ドリンク用の優れたタンパク質源であろう。例えば、実施例10に示した大麻タンパク質組成物において実証された極めて低い粘度は、液体および乾燥ブレンド飲料、乳代替品、乳児用調合物、全筋精肉注入製品等において有利であろう。
【0015】
減脂肪植物抽出物および減脂肪植物タンパク質組成物は、広範囲の食品を製造するのに使用し得る。これらの食品としては、限定するものではないが、菓子製品、ベーカリー製品、注入肉製品、乳化肉製品、ひき肉製品、肉類似製品、シリアル、シリアル棒、乳類似製品、飲料、植物系乳、液体または粉末食餌配合物、繊維化植物製品、パスタ、健康栄養補給品および栄養棒がある。詳細には、菓子製品としては、限定するものではないが、キャンディーまたはチョコレートがあり得る。ベーカリー製品としては、限定するものではないが、パン、ロールパン、ビスケット、ケーキ、酵母焼き製品、クッキー、ペストリーまたはスナックケーキがあり得る。注入肉製品としては、限定するものではないが、ハム、家禽製品、七面鳥製品、鷄肉製品、海産物製品、豚肉製品または牛肉製品がある。乳化肉製品としては、限定するものではないが、ソーセージ、ブラートヴルスト、サラミ、ボローニャ、ランチミートまたはホットドッグがある。ひき肉製品としては、限定するものではないが、フィッシュ・スティック、ミートパティー、ミートボール、豚ひき肉製品、家禽ひき肉製品、海産物すり身製品または牛ひき肉製品がある。肉類時製品としては、限定するものではないが、ソーセージ、パティー、グランドミートレスクランブル、ランチミートまたはホットドッグがある。乳類似製品としては、限定するものではないが、乳製品、ヨーグルト製品、サワークリーム製品、ホイップトッピング、アイスクリーム、チーズ、シェーク、コーヒー用クリームまたはクリーム製品がある。ダイエット調合物としては、限定するものではないが、乳児用調合物、高齢者調合物、体重減調合物、体重増調合物、スポーツドリンクまたは糖尿病管理調合物がある。
ほぼ無限数の食品を、食品中の成分を変えることによって製造し得る。例えば、多くのインスタント飲料を、本明細書において説明するタンパク質組成物を1部または全体タンパク質源として使用して製造し得る。当業者であれば、タンパク質、砂糖源、油脂、ビタミン/ミネラル混合物、香味料、ガムおよび/または香味料のタイプおよび含有量を改変して、特定の栄養要件、製品マーケティング要求またはターゲット購買者層に合わせるように設計した飲料製品を製造し得るであろう。例えば、栄養棒は、上記非大豆植物タンパク質組成物を1部または全体タンパク質源として使用して製造し得る。当業者であれば、タンパク質、砂糖源、油脂、ビタミン/ミネラル混合物、香味料、コーティーングガムおよび/または香味料のタイプ、組成および含有量を改変して、特定の栄養要件、製品マーケティング要求またはターゲット購買者層に合わせる特定の組成物を提供するように設計した栄養棒を製造し得るであろう。
【0016】
脂肪濃縮画分(またはクリーム)は、脂肪濃縮画分からのその水分の少なくとも1部を除去することによって粗油に加工し得る。得られる粗油は、現在入手し得る他の粗油調製物と比較したとき、増大した機能性と微視的成分含有量を有することが期待できる。上記粗油または上記粗油から製造した全ての油の遊離脂肪酸価は、ホットプレス大豆原料から製造した同様な油よりも一般的に低い。油類の遊離脂肪酸価は、実施例7で説明しているような標準方法によって測定できる。
上記粗油は、当業者にとって既知の方法によってさらに処理して、種々の組成物を製造し得る。上記脂肪濃縮画分を処理する第1の工程(即ち、精製)は、酸添加によるリン脂質および水和性ホスファチドの除去(“脱ガム化”)および得られたガムの遠心分離を含む。得られるガムは、そのリン脂質およびミネラル分について分析し得る。Mg、Ca、Na、Fe、K、PおよびClのような数種のミネラル含有量は、ガム中並びに上記粗油および脱ガム油中で、以下のような標準方法を使用して評価し得る:AOAC 18th Ed. Method 985.35, Minerals in ready to Feed Milk Based Infant Formula , 1997, Standard Methods for the Examination of Water & WasteWater, Method 3111, Metals by Atomic Absorption Spectrophotometry , 1999, and AACC 10th Ed. Method 40-71, Sodium and Potassium by Atomic Absorption Spectrophotometry, 1999 ;各々は、その全体を参考として本明細書に合体させる。ガム品質の1つの尺度は、ガム中に存在するアセトン不溶性物質の量である。ガム中のアセトン不溶性物質は、実施例7で説明しているようにして測定し得る。
植物ガムをさらに精製して、食物および食品において、乳化剤、安定剤、抗スパッタリング剤、ドウ改良剤、老化防止剤および酸化防止剤として使用し得る。例えば、植物ガムは、マーガリンの固体性を促進するために、さらに、ドレッシング、ソースおよび他のクリーム状製品に一貫した質感を与えるために使用する。また、植物ガムは、ベーカリー製品、チョコレート、インスタント粉末食品および他の食品用途においても使用し得る。
【0017】
脱ガム油は、さらに精製して遊離脂肪酸を除去し得る。粗食用油は、多くの場合、その品質に影響を与える望ましくない量の遊離脂肪酸を含有している。用語“遊離脂肪酸”(FFA)は、グリセリン分子にカルボン酸エステルとして化学的に結合していない脂肪酸を識別するのに使用する。FFA類は、エステル化脂肪酸よりも酸化しやすく、従って、油脂および油に、“苦味”と説明される異臭に特徴を有する酸敗臭が生じやすくし得る。油脂および油は、純粋な場合、ほぼ全体的に脂肪酸とグリセリンのエステルからなる。“油脂”は室温で固体であり、“油”は室温で液体である。油脂および油は、クッキングに使用するとき、遊離脂肪酸、グリセリンおよび他の極性分子に崩壊し、分解し、加水分解する傾向を有する。なかでも、遊離脂肪酸は、この分解の有害生成物である。
また、種々のクリームサンプル中の脂肪酸組成、総飽和油脂および総不飽和油脂も測定し得る。油脂および脂肪酸を、加水分解法によって抽出する;油脂をエーテル中に抽出し、鹸化し、次いで、メチル化して脂肪酸メチルエステル(FAMES)とする。FAMESを、毛管ガスクロマトグラフィーにより、定量測定する。手順は、次の2つの公定方法に基づく:(1) AOAC 18th Edition, Method 996.06, Fat (Total, Saturated and Unsaturated) in Foods, 2001;および(2) AOCS, 5th Ed., Method Ce 2-66, Preparation of Methyl Esters of Fatty Acids, 199;各々は、その全体を参考として本明細書に合体させる。
【0018】
種々の方法を使用して、遊離脂肪酸および他の汚染物を粗油脂および油から除去し得る。油脂および油の精製および脱臭法は、FFAを除去するのに油脂工業において極めて一般的に使用される方法である。大多数のヨーロッパおよび米国の精製業者によって使用されているアルカリ精製(Braae, B., J. Am. Oil Chem. Soc 53:353 (1976); Carr, R. A., J. Am. Oil Chem. Soc. 53:347 (1976);これら文献は、その全体を参考として本明細書に合体させる)は、油脂または油を加熱し、次いで、油脂または油を水酸化ナトリウムの濃縮苛性溶液で処理することを含む。その後、粗油を得られる石鹸原液から分離する。石鹸原液は、石鹸を製造するのに使用し得、或いは強鉱酸で処理することによって遊離脂肪酸に戻し変換してもよく、これは、その後、動物飼料として使用することもでき、或いはさらに処理して蒸留脂肪酸を生成させ得る。
その後、精製油画分は、後で濾過によって除去することのできる活性炭のような固体吸収剤で処理することによって漂白し得る。油脂工業において臭気物質を粗油から除去するのに極めて一般的に使用される脱臭は、加熱した油の高真空下での水蒸気蒸留によって達成し得る。脱臭法は、FFA類、脂溶性ビタミン類(A、E、DおよびK)、モノグリセリド類、ステロール類およびカロテノイドのようなある種の色素も同時に除去する。また、脱臭は、油脂および油の芳香および風味も取除いて、無味な最終生成物を生じる。食用油脂および油における遊離脂肪酸含有量は、油脂および油の品質、風味および臭いにおける重要要因である。得られる精製漂白脱臭(RBD)油は、サラダまたは料理用油としてさらにまた、当業者にとっては明白であるような種々の食品用途において使用し得る。
【0019】
(実施例)
以下の実施例は、例示することのみを意味し、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
キャノーラ種子からの減脂肪キャノーラタンパク質組成物とキャノーラクリームの調製
有機認証キャノーラ種子は、Montana Specialty Mills社(モンタナ州グレートフォールズ)から入手し、製粉機(モデルDNWA Buhler社、ミネソタ州ミネアポリス)を使用して400メッシュ粉末にミリングした。全脂肪キャノーラ粉末は、0.49対1のタンパク質対脂肪比において5.2%の水分、24.2%乾燥基準ケルダールタンパク質および49.0%乾燥基準酸加水分解脂肪を含有していた。
この実施例および後の全ての実施例においては、乾燥基準タンパク質と脂肪比は、標準方法を使用して測定した。大豆原料のタンパク質含有量は、ケルダール法を使用して測定した(AOAC 18th Ed. Method 991.2.2, Total Nitrogen in Milk, 1994;その全体を参考として本明細書に合体させる)。要するに、サンプルを、酸、触媒および熱を使用して消化した。消化サンプルを、水酸化ナトリウムを添加してアルカリ性とした。その後、水蒸気を使用してサンプルを蒸留して、アンモニアを放出させた。アンモニアを受入れ容器内に集め、標準化酸溶液により逆滴性した。その後、窒素含有量を算出した。タンパク質含有量は、タンパク質係数を掛けた窒素含有量である。大豆原料において使用したタンパク質係数は6.25である。
大豆原料の脂肪含有量は、重量測定法により測定した。要するに、サンプルをモジョニエ(Mojonnier)フラスコ中に秤量した。酸を添加し、サンプルを、固形物が崩壊するまで加熱した。サンプルを冷却し、次いで、アルコール、エチルエーテルおよびpetエーテルを使用して抽出した。フラスコを遠心処理し、得られたエーテル/脂肪層を、前以って秤量したアルミニウム皿に注ぎ入れた。サンプルを、脂肪量に応じて、1連の2回または3回抽出に供した。エーテルを蒸発させ、オーブン内に入れて乾燥させた。サンプルをデシケーター内で冷却し、次いで、Official Method of Analysis AOAC 922.06, Fat in Flour(その全体を参考として本明細書に合体させる)に記載されているようにして秤量した。
さらに、大豆原料中に存在する総固形分を、標準手順を使用して、重量測定法により測定した。要するに、サンプルを秤量し、特定温度のオーブン内に特定の時間置いた。時間および温度は、サンプルのタイプによる。粉末サンプルにおいては、5時間100℃に設定した真空オーブンを使用した。サンプルをオーブンから取出し、デシケーター内で冷却した。冷却サンプルを秤量し、総固形分/水分を、公定分析方法、即ち、Association of Official Analytical Chemists (AOAC), 18th Edition 927.05, Moisture in Dried Milk(その全体を参考として本明細書に合体させる)に記載されているようにして算出した。
【0020】
13.6kg(30ポンド)の全脂肪キャノーラ粉末を、189.3L(50ガロン)の撹拌型タンク内で、51.7℃(125°F)の163.3kg(360ポンド)の水で抽出した。抽出スラリーのpHを、水酸化カルシウム(CODEX HL;Mississippi Lime Company社、ミズーリ州セントジュヌビエーブ)を添加することによって7.5に調整し、35分間の平均時間保持した。抽出物を、不溶性副生成物から、高g力ディスクタイプ除濁遠心分離機(モデルSB-7;Westfalia Separator Industry社、ドイツ国オエルデ)を2.04kg(4.5ポンド)/分の正確な流量で使用し、8〜10分サイクルでの2秒間の断続固形分排出により分離した。7.5kg(16.5ポンド)の不溶性副生成物を、22.6%の固形分および25.9%のケルダール乾燥基準タンパク質で集めて廃棄した。
抽出物を54.4℃(130°F)に加熱し、脂肪濃縮クリーム画分を分離するため、高g力連続排出ディスクタイプセパレーター(モデルMP-1254;Westfalia Separator Industry社、ドイツ国オエルデ)に供給した。セパレーターに6.35kg(14ポンド)/分の流量で供給し、脂肪濃縮画分を減脂肪抽出物から分離した。抽出物中の脂肪分の89.7%を除去した。減脂肪抽出物は、51.1%のケルダール乾燥基準タンパク質と6.7%の乾燥基準酸加水分解脂肪の近似分析値でもって7.7対1のタンパク質対脂肪比を含有していた。キャノーラクリームとしても知られる脂肪濃縮キャノーラ画分は、表4において同定した組成を有し、実施例7に記載しているようにさらに処理した。
【0021】
実施例2
生ヒマワリ種子からの減脂肪タンパク質生成物とヒマワリクリームの調製
生ヒマワリ核(SL80)を、Dakota Gourmet社(SunOpta社ノースダコタ州ウォーペトン)から入手した。生ヒマワリ核を、製粉機(All-Grain-Company社、モデルA-22、ユタ州ブリガムシティー)によって粉砕し、60メッシュヒマワリ粉末を製造した。ヒマワリ粉は、4.7%の水分、27.6%乾燥基準ケルダールタンパク質、54.5%乾燥基準酸加水分解油脂および0.50対1のタンパク質対脂肪比の近似分析値を有していた。
9.1kg(20ポンド)のヒマワリ粉末を、189.3L(50ガロン)の撹拌型タンク内で、60℃(140°F)の90.7kg(200ポンド)の水で抽出した。抽出スラリーのpHを、14.96g(0.033ポンド)の水酸化カルシウムを添加することによって7.1に調整し、0.75時間の平均時間保持した。抽出物を、不溶性副生成物から、Sharples P-660デカンティング遠心分離機(Alfa Laval Separation社、ペンシルバニア州ウォーミンスター)を2.27kg(5ポンド)/分の正確な流量にて4390rpmで遠心分離することによって分離した。10.0kg(22ポンド)の不溶性副生成物を、42.21%の固形分および27.5%のケルダール乾燥基準タンパク質で集めて廃棄した。
抽出物を60℃(140°F)に再加熱し、脂肪濃縮ヒマワリクリーム画分を分離するため、高g力連続排出ディスクタイプセパレーター(モデルMP-1254;Westfalia Separator Industry社、ドイツ国オエルデ)に供給した。セパレーターに6.35kg(14ポンド)/分の流量で供給し、ヒマワリクリームとしても知られる脂肪濃縮画分を減脂肪抽出物から分離した。抽出物中の脂肪分の76%を除去した。減脂肪抽出物は、3.5対1のタンパク質対脂肪比を含有していた。減脂肪抽出物は、48.5%のケルダール乾燥基準タンパク質と13.7%の乾燥基準酸加水分解脂肪の近似値を有していた。ヒマワリクリームとしても知られる脂肪濃縮画分は、表4において同定した組成を有し、実施例7に記載しているようにさらに処理した。
その後、減脂肪抽出物を、54.4℃(130°F)の撹拌型タンク内で、129グラムのクエン酸粉末(クエン酸、無水FCC級;Xena International社、イリノイ州ポロ)を添加して4.0のpHにすることによって沈降させた。混合物を穏やかに撹拌しながら15分間保ち、次いで、Sharples P-660デカンティング遠心分離機(Alfa Laval Separation社、ペンシルバニア州ウォーミンスター)に連続供給した。3.5kg(7.7ポンド)の第1のタンパク質組成物固形物を、76.0%の乾燥基準ケルダールタンパク質、17.5%の乾燥基準酸加水分解脂肪および4.3対1のタンパク質対脂肪比でもって回収した。
【0022】
実施例3
製粉大麻種子からの減脂肪大麻タンパク質組成物と大麻クリームの調製
ミリングした大麻種子をManitoba Harvest社(カナダのマニトバ州ウィニペグ)から入手した;このミリングした大麻種子は、5.8%の水分、33.4%の乾燥基準ケルダールタンパク質、45.1%の乾燥基準酸加水分解脂肪および0.74対1のタンパク質対脂肪比を含有していた。
22.7kg(50ポンド)の大麻種子を、189.3L(50ガロン)の撹拌型タンク内で、51.7℃(125°F)の145.2kg(320ポンド)の水と混合した。大麻スラリーを、タンクからコロイドミルに連続再循環させ、18.93L(5ガロン)/分の速度で30分間タンクに戻し、種子を湿式ミリングした。72.6kg(160ポンド)の追加の水をスラリーに添加し、抽出スラリーのpHを、10%水酸化ナトリウム溶液(50%溶液;Fisher Scientific, Barnstead International社、アイオワ州ドゥビューク)を添加することによって7.5に調整した。希釈したスラリーを、20分間の平均時間保持した。抽出物を、不溶性副生成物から、高g力ディスクタイプ除濁遠心分離機(モデルSB-7;Westfalia Separator Industry社、ドイツ国オエルデ)を1.50kg(3.3ポンド)〜2.99kg(6.6ポンド)/分の正確な流量で使用し、7分サイクルでの2秒間の断続固形分排出により分離した。9.9kg(21.8ポンド)の不溶性副生成物を、27.25%の固形分および30.9%のケルダール乾燥基準タンパク質で集めて廃棄した。
抽出物を54.4℃(130°F)に加熱し、脂肪濃縮大麻クリーム画分を分離するために、高g力連続排出ディスクタイプセパレーター(モデルMP-1254;Westfalia Separator Industry社、ドイツ国オエルデ)に供給した。セパレーターに5.4kg(12ポンド)/分の流量で供給し、脂肪濃縮画分を減脂肪抽出物から分離した。抽出物中の脂肪分の94.9%を除去した。減脂肪抽出物は、9.5対1のタンパク質対脂肪比を含有し、79.0%のケルダール乾燥基準タンパク質と8.3%の乾燥基準酸加水分解脂肪の近似値を有していた。大麻クリームとしても知られる脂肪濃縮画分は、表4において同定したような組成を有し、実施例7に記載しているようにさらに処理した。
その後、減脂肪抽出物を、54.4℃(130°F)の撹拌型タンク内で、クエン酸粉末を添加して4.4のpHにすることによって沈降させた。混合物を穏やかに撹拌しながら30分間保ち、次いで、高g力ディスクタイプ除濁遠心分離機(モデルSB-7;Westfalia Separator Industry社、ドイツ国オエルデ)に連続供給した。3.5kg(7.4ポンド)の第1のタンパク質組成物を、91.6%の乾燥基準ケルダールタンパク質、11.0%の乾燥基準酸加水分解脂肪および8.3対1のタンパク質対脂肪比でもって回収した。
上記第2のタンパク質組成物を、固形分レベルを32.2℃(90°F)の淡水で10.1%に調整し、pHを10%水酸化ナトリウム溶液で6.8に調整することによって改質した。その後、中和スラリーを、200℃の入口および92℃の出口を有するNIRO(ウィスコンシン州ハドソン)モデル1スプレー乾燥機内でスプレー乾燥させて3.6%の水分を有する大麻タンパク質分離物を製造した。大麻タンパク質分離物粉末を、実施例9および10において記載しているようにしてその機能性について分析した。
【0023】
実施例4
生ヒマワリ種子からの減脂肪ヒマワリタンパク質生成物の調製
生ヒマワリ核(SL80)を、Dakota Gourmet社(SunOpta社ノースダコタ州ウォーペトン)から入手した。生ヒマワリ核を、製粉機(All-Grain-Company社、モデルA-22、ユタ州ブリガムシティー)によって100メッシュのヒマワリ粉末に粉砕した。ヒマワリ粉末は、4.4%の水分、27.3%乾燥基準ケルダールタンパク質、57.7%乾燥基準酸加水分解油脂および0.47対1のタンパク質対脂肪比の近似分析値を有していた。
100gのヒマワリ粉末を、2リットルの撹拌ビーカー内で、62.8℃(145°F)の1.2リットルの水と混合した。抽出スラリーのpHを、50%水酸化カルシウム溶液を使用して8.8に調整し、1時間の平均時間保持した。抽出物を、不溶性副生成物から、高g力のInternational Equipment社モデルK実験用遠心分離機を4000rpmで10分間使用して分離した。不溶性副生成物を集めたところ、20.78%の固形分および46.3%のケルダール乾燥基準タンパク質を含有していた。
抽出物を54.4℃(130°F)に再加熱し、脂肪濃縮画分を減脂肪抽出物から分離するために、乳遠心分離器(Hemdhenu Ekectric社、クリームセパレータータイプKD-60E、インド)に供給した。抽出物中の脂肪の73%をヒマワリクリーム中に除去した。減脂肪抽出物は、8.5対1のタンパク質対脂肪比を、69.0%のケルダール乾燥基準タンパク質と8.1%の乾燥基準酸加水分解脂肪でもって含有していた。
減脂肪抽出物を、60℃(140°F)の撹拌型ビーカー内で、50%クエン酸溶液を添加して4.0のpHにすることによって沈降させた。混合物を穏やかに撹拌しながら10分間保ち、次いで、この実施例において特定したようにして遠心分離し、カード(沈降タンパク質)をホエーから分離した。第1の植物タンパク質組成物としても知られる回収カードは、84.8%の乾燥基準ケルダールタンパク質と9.7%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含むヒマワリタンパク質濃縮物を示していた。該第1のタンパク質組成物のタンパク質対脂肪比は、8.7対1であった。
【0024】
実施例5
全脂肪ピーナツ穀粉からの減脂肪ピーナタンパク質組成物とピーナツクリームの調製
全脂肪ピーナツ穀粉を、American Health & Nutrition社から入手した(Misc. # ZPEMAHN6)。ピーナツ穀粉は、4.92%の水分、31.5%の乾燥基準ケルダールタンパク質、49.5%の乾燥基準酸加水分解油脂および0.63対1のタンパク質対脂肪比の近似分析値を有していた。
100グラムのピーナツ穀粉を、2リットルの撹拌ビーカー内で、1.2リットルの60℃(140°F)の水で抽出した。抽出スラリーのpHを、50%水酸化カルシウム溶液を使用して7.3に調整し、30分間の平均時間保持した。抽出物を、不溶性副生成物から、実施例4に示した高g力実験用遠心分離機を4000rpmで10分間使用して分離した。不溶性副生成物を集めたところ、22.7%の固形分および22.7%のケルダール乾燥基準タンパク質を含有していた。
抽出物を71.1℃(160°F)に再加熱し、実施例4に示した乳遠心分離器に供給してピーナツクリーム(脂肪濃縮画分)を減脂肪抽出物から分離した。抽出物中の脂肪の80%をピーナツクリーム中に除去した。減脂肪抽出物は、7.0対1のタンパク質対脂肪比を、78.7%のケルダール乾燥基準タンパク質と11.2%の乾燥基準酸加水分解脂肪でもって含有していた。脂肪濃縮画分は、ピーナツクリームとしても知られており、実施例7において同定したような組成を有していた。
減脂肪抽出物を、60℃(140°F)の撹拌ビーカー内で、50%クエン酸溶液を添加して4.4のpHにすることによって沈降させた。混合物を穏やかに撹拌しながら10分間保ち、次いで、実施例4におけるように遠心分離し、カード(沈降タンパク質)をホエーから分離した。回収したカードは、第1の植物タンパク質組成物としても知られており、90%の乾燥基準ケルダールタンパク質と8%の乾燥基準酸加水分解脂肪を含むピーナツタンパク質分離物を表していた。該第1のタンパク質組成物のタンパク質対脂肪比は、11.25対1であった。
【0025】
実施例6
全脂肪ゴマ穀粉からの減脂肪ゴマタンパク質組成物とゴマクリームの調製
全脂肪ゴマ穀粉を、American Health & Nutrition社から入手した(Misc. # ZSMMAHN6)。ゴマ穀粉は、5.0%の水分、28.4%の乾燥基準ケルダールタンパク質、51.5%の乾燥基準酸加水分解油脂および0.55対1のタンパク質対脂肪比の近似分析値を有していた。
100グラムのゴマ穀粉を、2リットルの撹拌ビーカー内で、1.25リットル(42.3オンス)の水により60℃(140°F)で抽出した。抽出スラリーのpHを、50%水酸化カルシウム溶液を使用して7.3に調整し、30分間の平均時間保持した。抽出物を、不溶性副生成物から、実施例4に示した高g力実験用遠心分離機を4000rpmで10分間使用して分離した。不溶性副生成物を集めたところ、30.44%の固形分および30.1%のケルダール乾燥基準タンパク質を含有していた。
抽出物を71.1℃(160°F)に再加熱し、実施例4に示したような乳遠心分離セパレーターに供給してゴマクリーム(脂肪濃縮画分)を減脂肪抽出物から分離した。抽出物中の脂肪の77%をゴマクリーム中に除去して、減脂肪抽出物を生成させた。減脂肪抽出物は、2.8対1のタンパク質対脂肪比を、45.9%のケルダール乾燥基準タンパク質と16.5%の乾燥基準酸加水分解脂肪でもって含有していた。脂肪濃縮画分は、ゴマクリームとしても知られており、実施例7および8において同定したような組成を有していた。
減脂肪抽出物を、60℃(140°F)の撹拌ビーカー内で、50%クエン酸溶液を添加して4.4のpHにすることによって沈降させた。混合物を穏やかに撹拌しながら10分間保ち、次いで、実施例4におけるように遠心分離して、カード(沈降タンパク質)をホエーから分離した。回収したカードは、第1の植物タンパク質組成物としても知られており、62%の乾燥基準ケルダールタンパク質と0%の乾燥基準酸加水分解脂肪を有するゴマタンパク質リッチ生成物を表していた。該第1のタンパク質組成物のタンパク質対脂肪比は、62対1であった。ゴマの分離ホエーは残留脂肪分において驚くほど高く、タンパク質組成物はほぼ脂肪分を含んでいなかった。
【0026】
実施例7
脂肪濃縮画分の分析並びに当該脂肪分離方法の脂肪濃縮画分からの脱ガム油および非大豆レシチンの分析
実施例1、2および3からの3種の脂肪濃縮クリーム画分を、各脂肪分離工程から集めた。その後、各クリームサンプルを、FTS Systems Dura-Topバルクトレー凍結乾燥機内で、48時間凍結乾燥させて粉末とし、水分を除去することによって粗油を生成させた。凍結乾燥粗油を、70.0℃(158°F)に加熱し撹拌した。2%の5%クエン酸溶液を撹拌凍結乾燥粗油に加え、さらに15分間混合した。その後、水和性リン脂質とガムを、4000rpmで10分間遠心分離することによって取出し、油を濾紙上で濾過した。
次に、脱ガム油およびガム画分(レシチン)を、下記で示すようにしてその化学的性質について分析した。次の2つの公定分析方法に基づく遊離脂肪酸価は、脂肪中で生じる加水分解性酸敗臭の量を指標する:(1) AOAC method 41.1.21、および(2) Official Methods and Recommended Practices of the American Oil Chemists Society, 5th Ed., Method Ca 5a-40;各々は、その全体を参考として本明細書に合体させる。加水分解性酸敗臭は、脂肪の遊離脂肪酸とグリセリンへの酵素加水分解によって生じる。当該試験は、脂肪サンプルを有機溶媒中に溶解し、水酸化ナトリウムで滴定することを含む。遊離脂肪酸は、パーセント遊離脂肪酸の代りに酸価に関して表す。酸価は、1グラムのサンプルを中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)のmgとして定義されている。パーセント遊離脂肪酸(オレイン酸として)を酸価に換算するには、パーセント遊離脂肪酸に1.99を乗する。
【0027】
上記粗油、脱ガム油およびガムのミネラル含有量は、以下のような標準方法を使用して測定した:AOAC 18th Ed. Method 985.35, Minerals in ready to Feed Milk Based Infant Formula , 1997;Standard Methods for the Examination of Water & WasteWater, Method 3111, Metals by Atomic Absorption Spectrophotometry, 1999;および、AACC 10th Ed. Method 40-71, Sodium and Potassium by Atomic Absorption Spectrophotometry, 1999;各々は、その全体を参考として本明細書に合体させる。
大豆ガム中に存在するアセトン不溶性物質の量は、以下の方法を使用して測定した。ガムを、60℃を越えない温度で簡単に温め、次いで混合した。2グラムを40mL遠心分離チューブに移し、15.0mLのアセトンを加えた。得られたサンプルを水浴中で撹拌しながら温めてガムを完全に溶融させ、次いで、氷浴中に5分間置いた。その後、0℃〜5℃に冷却したアセトンを遠心分離チューブ上の40mLマークまで撹拌しながら加えた。次に、チューブを氷水浴中で15分間インキュベートし、撹拌し、2000rpmで5分間遠心分離した。上清をデカンテーションし、ペレットを崩壊させた。その後、遠心分離チューブに冷却アセトンを40mLマークまで撹拌しながら再充填した。氷水浴で15分間インキュベートした後、チューブを再度遠心分離し、上清をデカンテーションし、残存アセトンを蒸発させた。アセトン不溶性残留物を含有するチューブを105℃に加熱し、アセトン不溶性残留物の質量を計量した。その後、アセトン不溶性物質の百分率は、出発質量と比較することによって算出し得る。
【0028】
表1:粗油の比較


表2:脱ガム油の比較


表3:ガム


これらの処理の油画分は、精製し、漂白し、脱臭し、不凍化し或いは何らかのさらなる処理に供して、脂肪濃縮画分から油を精製し得る。沈降ガムは、飼料添加剤として使用することができ、或いは蒸発させて水分を除去し得る。ガムは、食品乳化剤のような種々の用途を有する。
【0029】
実施例8
穀類の脂肪分離から得られたクリーム組成物の比較
実施例1〜6から得られたクリームを、下記の表に示すような脂肪酸プロフィールを含むその組成について分析した。各クリームサンプル中の脂肪酸組成、総飽和脂肪および総不飽和脂肪を、標準方法を使用して測定した。脂肪および脂肪酸は、加水分解法によって抽出した;脂肪は、エーテル中に抽出し、鹸化し、その後、メチル化して脂肪酸メチルエステル(FAMES)とした。その後、FAMESを、毛管ガスクロマトグラフィーによって定量測定した。手順は、次の2つの公定方法に基づく:(1) AOAC 18th Edition, Method 996.06, Fat (Total, Saturated and Unsaturated) in Foods, 2001;および(2) AOCS, 5th Ed., Method Ce 2-66, Preparation of Methyl Esters of Fatty Acids, 199;各々は、その全体を参考として本明細書に合体させる。

表4:クリーム組成


当該脂肪分離法により、試験した全ての穀類の抽出物中に存在する脂肪の76%〜95%が除去されており、各クリームサンプルは、90%〜97%脂肪分のクリーム組成を含有していた。クリームサンプルの脂肪酸プロフィールは、American Oil Chemists Society publication Official Methods and Recommended Practices of the AOCS, Physical and Chemical Characteristics of Oils, Fats, and Waxes, 2nd Editionにおいてゴマ種子原料由来の油について報告されたデータと比較して極めて類似している。
【0030】
実施例9
実施例2〜6の各タンパク質組成物の比較
実施例1〜6において製造したタンパク質組成物の比較を下記に示す。当該遠心脂肪分離法は、各実施例において、タンパク質対脂肪比の上昇をもたらしていた。

表5:第1のたんぱく質の組成分析

【0031】
実施例10
実施例3で製造した大麻タンパク質分離物のRVA粘度分析
大豆タンパク質物質の粘度を、Rapid Visco Analyzer(RVA)を使用する20%スラリー溶液におけるRVA粘度分析によって測定した。20%溶液を、Combimax 600食品加工機(Braun社、マサチューセッツ州ボストン)を使用して、光沢があり平滑なスラリーの形成を可能にするに十分な時間、大豆タンパク質原料を25℃の水と混合することによって調製した。その後、25グラムの均質溶液を、パドルを備えたキャニスターに入れて、Rapid Visco Analyzer(RVA-4、Newport Scientific Pty社、オーストラリアのウォーリーウッド)に給送した。RVAを使用して、スラリーの見掛け粘度を連続測定した。RVAの総試験時間は、17分30秒であった。スラリーを、最初の3分間25℃に保ち、その後、次の4分間で95℃に加熱した。スラリーを95℃に2分30秒間保ち、その後、次の6分で冷却して25℃に戻し、最後に、25℃にさらに2分間保った。RVAにおける加熱、保持および冷却の過程中、スラリーは、160rpmで混合した。見掛け粘度曲線から、3点を比較試験のために判定した。サンプルの最低低温粘度は、25℃での最低初期粘度を表し;最低高温粘度は、95℃での最低粘度を表し;最高設定粘度は、サンプルを冷却して25℃に戻した後のピーク粘度を表す。
実施例3において製造した大麻タンパク質分離物をRVA手順によって分析し、Solae社から入手し得る低粘度用途の大豆タンパク質分離物(Supro 590;ミズーリ州セントルイス)を比較目的で使用した。結果を下記の表6に示す。

表6:RVA分析


大麻タンパク質分離物は、液体および乾燥混合飲料におけるように低粘度が望ましい製品仕様で販売されている市販製品よりも有意に低い粘度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】植物系乳を製造するための植物材料の分別方法を示す概略の流れ図である。点線は、該方法における代替または任意構成工程を示す。
【図2】酸沈降法を使用して減脂肪植物タンパク質と脂肪画分を製造するための植物原料の分別方法を示す概略の流れ図である。点線は、該方法における代替または任意構成工程を示す。
【図3】限外濾過法および/またはダイアフィルトレーションを使用して減脂肪植物タンパク質と脂肪画分を製造するための植物原料の分別方法を示す概略の流れ図である。点線は、該方法における代替または任意構成工程を示す。
【図4】脂肪濃縮画分を処理して植物ガム、油および油脂を製造する方法を示す概略の流れ図である。点線は、該方法における代替または任意構成工程を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を含むことを特徴とする、非大豆植物原料の処理方法:
a) 非大豆原料を水抽出して抽出物を生成させる工程;および、
b) 前記抽出物を脂肪濃縮画分と減脂肪植物抽出物とに遠心分離する工程。
【請求項2】
前記方法が、連続または半連続である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記抽出および分離工程を、実質的に同時に実施する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記水抽出が、水を含む溶液を非大豆植物原料に添加することを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記水溶液が、約0.10N以下のイオン強度を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記水溶液が、解乳化剤を実質的に含まない、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
前記抽出物が、約6.0〜約10.5の範囲内のpHを有する、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
pHが約7.0以上である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
pHが約9.0以下である、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
前記抽出物を、約0℃〜約93.3℃(約32°F〜約200°F)の範囲内の温度で抽出することによって調製する、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
温度が、約26.7℃〜約65.6℃(約80°F〜約150°F)である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
温度が、約37.8℃〜約60.0℃(約100°F〜約140°F)である、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
非大豆植物原料が、実質的に全脂肪原料である、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
非大豆植物原料が、部分脱脂植物原料である、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
非大豆植物原料を、ホットプレスにより部分脱脂する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
非大豆植物原料を、コールドプレスにより部分脱脂する、請求項14記載の方法。
【請求項17】
非大豆植物原料を、高圧液体抽出により部分脱脂する、請求項14記載の方法。
【請求項18】
非大豆植物原料を、水抽出前にミリングする、請求項1〜17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
非大豆植物原料が、キャノーラ(ナタネ)、トウゴマの実、綿実、アマニ(flaxseed)、パーム核、アマニ(linseed)、キャンドルナッツ、ゴマ種子、ピーナッツ、ココナツ、トウモロコシ、トウモロコシ胚芽、ヒマワリ、ベニバナ、エンバク、チーア、ククイノキ、カボチャ、クルミ、ブドウ、サクラソウ、米ぬか、アーモンド、オリーブ、アボカド、ブナノキ、ブラジルナッツ、ペカン、ピスタチオ、ヒッコリー、ハシバミ、マカダミア、カシュー、ニーム、大麻、ルピナス、コーヒー、ケシ、アカトウガラシ、カラシ種子、小麦および小麦胚芽からなる群から選ばれる、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
非大豆植物原料が、キャノーラを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
非大豆植物原料が、大麻を含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記抽出物が、解乳化剤の添加を必要としないで、前記抽出物から遠心分離することのできる脂肪を含む、請求項4記載の方法。
【請求項23】
前記減脂肪抽出物が、少なくとも約4対1のタンパク質対脂肪比を有する、請求項1〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
工程(b)を、3相分離器を使用して実施する、請求項1〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記抽出物が不溶性繊維を含み、該不溶性繊維の少なくとも1部を、工程(b)の前に、工程(a)の抽出物から遠心分離して不溶性繊維画分を調製する工程をさらに含む、請求項1〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
工程(b)を、3相分離器を使用して実施して、脂肪濃縮画分、減脂肪抽出物およびタンパク質-脂肪沈降物を生成させる、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記脂肪濃縮画分を処理して粗油を生成させる工程をさらに含む、請求項1〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記粗油を処理して非大豆植物ガムと脱ガム油を生成させる工程をさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記減脂肪抽出物を乾燥させる工程をさらに含む、請求項1〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
乾燥工程が、蒸発またはスプレー乾燥の少なくとも1つを含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
減脂肪抽出物を濃縮し、減脂肪抽出物を分離して、第1の減脂肪非大豆植物タンパク質組成物および水性画分を生成させる工程をさらに含む、請求項1〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
濃縮および分離工程が、下記の工程を含む、請求項31記載の方法:
酸を前記減脂肪抽出物に添加して第1のカードとホエーを生成させる工程;および、
第1のカードを前記ホエーから分離して第1の減脂肪非大豆植物タンパク質組成物を生成させる工程。
【請求項33】
濃縮および分離工程が、前記減脂肪抽出物を濾過して第1の減脂肪非大豆植物タンパク質組成物を生成させる工程を含む、請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記第1の減脂肪非大豆植物タンパク質組成物を精密濾過、限外濾過またはダイアフィルトレーションに供する工程をさらに含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
第1の減脂肪非大豆植物タンパク質組成物を洗浄して、第2の減脂肪非大豆植物タンパク質組成物を生成させる工程をさらに含む、請求項31〜32のいずれか1項記載の方法
【請求項36】
請求項1〜30のいずれか1項記載の方法に従って調製された減脂肪非大豆植物抽出物。
【請求項37】
前記抽出物が、少なくとも約45乾燥質量%のタンパク質を含む、請求項36記載の減脂肪非大豆植物抽出物。
【請求項38】
前記抽出物が、約15乾燥質量%以下の油脂を含む、請求項36または37記載の減脂肪非大豆植物抽出物。
【請求項39】
前記抽出物が、少なくとも4対1のタンパク質対脂肪比を含む、請求項36〜38のいずれか1項記載の減脂肪非大豆植物抽出物。
【請求項40】
前記非大豆植物原料が、実質的に全脂肪植物原料である、請求項36〜39のいずれか1項記載の減脂肪非大豆植物抽出物。
【請求項41】
請求項36〜40のいずれか1項記載の減脂肪非大豆植物抽出物を含有する食品。
【請求項42】
前記食品が、菓子製品、ベーカリー製品、注入肉製品、乳化肉製品、ひき肉製品、肉類似製品、シリアル、棒製品、乳類似製品、飲料、非大豆植物乳、液体または粉末ダイエット調合物、繊維化植物製品、パスタ、健康栄養補強品、または栄養棒である、請求項41記載の食品。
【請求項43】
請求項31〜35のいずれか1項記載の方法に従い製造した少なくとも65乾燥質量%タンパク質を含む、減脂肪非大豆植物タンパク質組成物。
【請求項44】
前記組成物が、少なくとも約85乾燥質量%のタンパク質を含む、請求項43記載の減脂肪非大豆植物タンパク質組成物。
【請求項45】
前記組成物が、約15乾燥質量%以下の油脂を含む、請求項43または44記載の減脂肪非大豆植物タンパク質組成物。
【請求項46】
前記組成物が、少なくとも5対1のタンパク質対脂肪比を含む、請求項43〜45のいずれか1項記載の減脂肪非大豆植物タンパク質組成物。
【請求項47】
前記組成物が、少なくとも8対1のタンパク質対脂肪比を含む、請求項43〜46のいずれか1項記載の減脂肪非大豆植物タンパク質組成物。
【請求項48】
前記植物原料が、実質的に全脂肪非大豆植物原料を含む、請求項43〜47のいずれか1項記載の減脂肪非大豆植物タンパク質組成物。
【請求項49】
請求項43〜48のいずれか1項記載の減脂肪非大豆植物タンパク質組成物を含有する食品。
【請求項50】
前記食品が、菓子製品、ベーカリー製品、注入肉製品、乳化肉製品、ひき肉製品、肉類似製品、シリアル、棒製品、乳類似製品、飲料、非大豆植物乳、液体または粉末ダイエット調合物、繊維化大豆製品、パスタ、健康栄養補強品、または栄養棒である、請求項49記載の食品。
【請求項51】
請求項1〜28のいずれか1項記載の方法に従って生成させた脂肪濃縮画分。
【請求項52】
非大豆植物原料が、実質的に全脂肪植物原料である、請求項51記載の脂肪濃縮画分。
【請求項53】
請求項28記載の方法に従って生成させた植物ガム。
【請求項54】
非大豆植物原料が、実質的に全脂肪植物原料である、請求項53記載の植物ガム。
【請求項55】
請求項26記載の方法に従って生成させたタンパク質-脂肪沈降物。
【請求項56】
請求項27記載の方法に従って生成させた粗油。
【請求項57】
請求項28記載の方法に従って生成させた脱ガム油。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−529094(P2009−529094A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558472(P2008−558472)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/063115
【国際公開番号】WO2007/103757
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508266742)スペシャルティ プロテイン プロデューサーズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】