説明

非対称に置換されたビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩

【課題】各種難燃剤として有用なホスフィン酸化合物を提供する。
【解決手段】次式(I)A-P(=O)(OX)-B(I)[式中、AはR1R2C(OH)-であり、そしてBはR3R4C(OH)-であり、但しこの際、これらのR1R2C(OH)-及び-C(OH)R3R4基はそれぞれ常に異なり、そしてR1、R2、R3及びR4は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール及び/または置換されたアリールであり、そしてXは、第一主族の元素、第二主もしくは亜族の元素、第三主もしくは亜族の元素、第四主もしくは亜族の元素、第八亜族の元素、及び/または窒素塩基である]で表される非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸塩は、熱硬化性ポリマー等の難燃剤として有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優先権主張の基礎となる2006年12月18日に出願されたドイツ特許出願第10 2006 059 720.6号明細書に記載されたものである。この明細書の内容は、本明細書中に全て掲載されたものとする。
【0002】
本発明は、非対称に置換されたビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩、それらの製造方法及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
利用可能な従来技術では、非対称に置換されたビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩、例えば次式(I)
A-P(=O)(OX)-B (I)
で表わされる化合物は、得るのが困難かまたは得ることができない。
【0004】
これまで知られている方法の欠点の一つは、変動する収量損失である。更に、
非対称的に置換されたビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸塩を、目的通りに再現性をもって、かつ決められた置換基及び/または炭素鎖長並びに選択されたカチオンで製造することはこれまで可能ではなかった。この部類の多くの化合物は従来得ることができなかった。
【0005】
それゆえ、本発明の課題の一つは、非対称に置換されたビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩を提供することである。この課題は、選択された有機置換基を1−及び1’−位置に有しかつ本発明に従い選択された適当なカチオンを含むこの部類の物質の典型物を介して達成される。
【0006】
それゆえ、本発明は、次式(I)
A-P(=O)(OX)-B
(I)
[式中、AはR1R2C(OH)-であり、そしてBはR3R4C(OH)-であり、但し、これらの各々のR1R2C(OH)-及び-C(OH)R3R4基は常に異なり、この際、R1、R2、R3、及びR4は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール及び/または置換されたアリールであり、そして
Xは、第一主族の元素、第二主または亜族の元素、第三主または亜族の元素、第四主または亜族の元素、第八亜族の元素、及び/または窒素塩基である]
で表わされる非対称に置換されたビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩を提供する。
【0007】
好ましくは、R1、R2、R3、及び/またはR4はヘテロ原子を有し及び/または官能基によって置換されている。
【0008】
好ましくは、前記官能基はカルボニル、アルデヒド、カルボキシ、ヒドロキシ、スルホン酸、ニトリル、シアノ及び/またはエポキシ基; 第一、第二及び/または第三アミノ基、及び/または置換されていないかまたは部分的にもしくは完全に置換されたトリアジン類である。
【0009】
好ましくは、前記アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−オクチル及び/またはエチルヘキシルである。
【0010】
好ましくは、前記カルボキシ基は、(CH2)nCO2H(n=1〜6)のタイプのカルボキシアルキル基である。
【0011】
好ましくは、前記ヒドロキシ基は、(CH2)nOH(n=1〜6)のタイプのヒドロキシアルキル基である。
【0012】
好ましくは、Xは、Li、Na、K; Mg、Ca、Zn; Al、Ce、La; Sn、Pb、Ti、Zr; Fe; NH4、NH3R1、NH2R1R2、NHR1R2R3またはNR1R2R3R4である。
【0013】
本発明の更に別の課題の一つは、上記式(I)の非対称に置換されたビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の製造方法を提供することである。
【0014】
この課題は、所望のカチオンと、溶剤系中で自動解離によって生じるものと同じアニオンとを有する塩を含む溶剤系中での対応するホスフィン酸の反応によって達成される。
【0015】
それゆえ、本発明は、上記式(I)の非対称に置換されたビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸塩の製造方法であって、非対称に置換されたホスフィン酸を溶剤系中で反応体Aと反応させることを含み、この際、反応体Aは、第一主族の元素または元素の塩、第二主もしくは亜族の元素または元素の塩、第三主もしくは亜族の元素または元素の塩、第四主もしくは亜族の元素もしくは元素の塩、第八亜族の元素または元素の塩、及び/または窒素塩基である、上記方法も提供する。
【0016】
また本発明は、本発明による非対称に置換されたホスフィン酸塩は、従来技術の典型な化合物よりも実質的により低い温度において難燃作用を有するので、難燃剤中でのこのホスフィン酸塩の使用も提供する。
【0017】
それゆえ、本発明は、請求項1〜7の一つもしくはそれ以上に記載の非対称に置換されたビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩を、難燃剤、特にクリアラッカー及び耐火塗料中の難燃剤として、木材及び他のセルロース含有材料のための難燃剤として、ポリマー用の反応性及び/または非反応性難燃剤として、難燃性ポリマー成形材料の製造のため、難燃性ポリマー成形体の製造のため、含浸させることによってポリエステルに及びセルロース繊維材料またはセルロース混合繊維材料に難燃性を供するために;
バインダーとして、例えば鋳物用材料、鋳物砂のためのバインダーとして;
エポキシ樹脂、ポリウレタンまたは不飽和ポリエステル樹脂の硬化のために架橋剤または促進剤として;
綿繊維材料、ポリマー繊維及びプラスチックのための光安定剤及び/または熱安定剤として;
植物保護剤、例えば植物成長調節剤として; 除草剤、殺虫剤または殺菌剤として;
ヒト及び動物のための治療薬、または治療薬の添加剤として、例えば酵素モジュレータ、または組織の成長の刺激のために;
金属イオン封鎖剤として、例えば工業用水供給システムにおける堆積物の制御のための金属イオン封鎖剤として、
石油生産及び金属処理剤において;
石油添加剤として、例えば酸化防止剤として及びオクタン価の向上のために;
腐食保護剤として;
ランドリー洗剤及び洗浄剤製品の用途において、例えば脱色剤として;
エレクトロニクスの用途において、例えばコンデンサ、バッテリ及びアキュムレータのための高分子電解質中に;
感光性層中の遊離基捕獲剤として;
アルデヒド捕獲剤、例えばホルムアルデヒドもしくはアセトアルデヒド捕獲剤として、
使用することも提供する。
【0018】
また同様に、本発明は、
0.5〜45重量%の割合の、請求項1〜7の少なくとも一つに記載の非対称に置換されたビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩、及び
0.5〜99.5重量%の割合の熱可塑性ポリマーまたはこれらの混合物、
を含み、この際、これらの成分の合計が100重量%である、難燃性熱可塑性ポリマー成形材料にも関する。
【0019】
また本発明は、
0.1〜45重量%の割合の、請求項1〜7の少なくとも一つに記載の非対称に置換されたビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩、
40〜89.9重量%の割合の不飽和ポリエステル、及び
10〜60重量%の割合のビニルモノマー、
を含む難燃性熱硬化性ポリマー成形材料も提供する。
【0020】
最後に、本発明は、
0.5〜50重量%の割合の、請求項1〜7の少なくとも一つに記載の非対称に置換されたビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩、
5〜99.5重量%の割合のエポキシ樹脂、及び
0〜20重量%の割合の硬化剤、
を含む難燃性エポキシ樹脂も提供する。
【0021】
式(I)中のR1、R2、R3、及びR4として他の好ましい置換基は、置換されたフェニル、好ましくは単置換、二置換及び/または三置換されたヒドロキシフェニル、アミノフェニル、N−アルキルアミノフェニル、またはN,N−ジアルキルアミノフェニルである。
【0022】
本発明の化合物は、中でも、以下に挙げる非対称置換ホスフィン酸塩である:
(H)(H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(H)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(H)(フェニル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(H)((CH2)2CO2H)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(H)(メチル)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(H)(メチル)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(H)(フェニル)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(H)((CH2)2CO2H)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(H)((CH2)2CO2H)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)(メチル)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(メチル)(メチル)、
((CH2)2CO2H)(メチル)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(メチル)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(フェニル)(フェニル)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(メチル)(メチル)、
((CH2)2CO2H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(メチル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(フェニル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(メチル)(メチル)、
((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(メチル)(H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(フェニル)(H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
((CH2)2CO2H)(H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(メチル)(メチル)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
((CH2)2CO2H)(メチル)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(フェニル)(フェニル)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(メチル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(フェニル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(メチル)(H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(フェニル)(H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
((CH2)2CO2H)(H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(フェニル)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(フェニル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(メチル)(H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(フェニル)(H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
((CH2)2CO2H)(H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(フェニル)(メチル)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
((CH2)2CO2H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(メチル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(フェニル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(メチル)(H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)(H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)(H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)(メチル)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(メチル)(H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)(H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)(H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(メチル)(メチル)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)(メチル)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)(メチル)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(メチル)(フェニル)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(メチル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONa)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OK)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(ONH4)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)。
【0023】
他の本発明の化合物としては、以下の非対称置換ホスフィン酸塩が挙げられる:
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(H)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OZn1/2)-C(OH)(H)(フェニル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(H)((CH2)2CO2H)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OMg1/2)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OCa1/2)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OTi1/3)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OZn1/2)-C(OH)(H)(メチル)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(H)(メチル)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(H)(フェニル)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OMg1/2)-C(OH)(H)((CH2)2CO2H)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(H)((CH2)2CO2H)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OCa1/2)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OCe1/3)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OZn1/2)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OMg1/2)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OCa1/2)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OTi1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OZn1/2)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OMg1/2)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OCa1/2)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OCe1/3)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(H)(H)C(OH)-P(=O)(OZn1/2)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OMg1/2)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)(メチル)C(OH)-P(=O)(OCa1/2)-C(OH)(メチル)(メチル)、
((CH2)2CO2H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(メチル)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OTi1/3)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(フェニル)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(メチル)(メチル)、
((CH2)2CO2H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OZn1/2)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(メチル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(フェニル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OMg1/2)-C(OH)(メチル)(メチル)、
((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(メチル)(メチル)、
(メチル)(H)C(OH)-P(=O)(OCa1/2)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(フェニル)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
((CH2)2CO2H)(H)C(OH)-P(=O)(OCe1/3)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(メチル)(メチル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
((CH2)2CO2H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OZn1/2)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(フェニル)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(メチル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OMg1/2)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(フェニル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OCa1/2)-C(OH)(フェニル)(メチル)、
(メチル)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(フェニル)(H)C(OH)-P(=O)(OTi1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
((CH2)2CO2H)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(フェニル)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OZn1/2)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(フェニル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OMg1/2)-C(OH)((CH2)2CO2H)(メチル)、
(メチル)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(フェニル)(H)C(OH)-P(=O)(OCa1/2)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
((CH2)2CO2H)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(フェニル)(メチル)C(OH)-P(=O)(OCe1/3)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
((CH2)2CO2H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(メチル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OZn1/2)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(フェニル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OMg1/2)-C(OH)(フェニル)(フェニル)、
(メチル)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)(H)C(OH)-P(=O)(OCa1/2)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)(メチル)C(OH)-P(=O)(OTi1/3)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OZn1/2)-C(OH)(フェニル)((CH2)2CO2H)、
(メチル)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)(H)C(OH)-P(=O)(OMg1/2)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)(H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(メチル)(メチル)C(OH)-P(=O)(OCa1/2)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)(メチル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)(メチル)C(OH)-P(=O)(OCe1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(メチル)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OZn1/2)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)(フェニル)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(メチル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OMg1/2)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
(フェニル)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OAl1/3)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)、
((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)C(OH)-P(=O)(OCa1/2)-C(OH)((CH2)2CO2H)((CH2)2CO2H)。

好ましくは、本発明による非対称に置換されたホスフィン酸の塩は、0.01〜10重量%、特に0.1〜1重量%の残留含水率を有する。
【0024】
好ましくは、本発明による非対称に置換されたホスフィン酸の塩は、0.1〜2000μm、特に10〜500μmの平均粒度を有する。
【0025】
好ましくは、本発明による非対称に置換されたホスフィン酸の塩は、80〜800g/l、特に200〜700g/lの嵩密度を有する。
【0026】
好ましくは、本発明による非対称に置換されたホスフィン酸の塩は、150〜300℃、特に160〜250℃の分解温度を有する。
【0027】
好ましくは、本発明の方法は、非対称に置換されたホスフィン酸を溶剤系中で反応体Aと反応させる。この際、反応体Aは好ましくは前駆体から生成される。
【0028】
本発明の方法は、非対称に置換されたホスフィン酸の塩を単離しそして生じた母液を再利用することによって循環させて行うことが好ましい。
【0029】
循環流法では、新鮮なホスフィン酸、反応体A及び溶剤を加え、そして反応を繰り返すことが好ましい。
【0030】
循環流法では、好ましくは反応体Aは前駆体から生成される。
【0031】
該循環流法は、好ましくはバッチ式または連続式の方法である。
【0032】
好ましくは、非対称に置換されたホスフィン酸と反応体Aとの反応は、非対称置換ホスフィン酸の塩の固形物含有率を0.1〜70重量%、好ましくは5〜40重量%として行われる。
【0033】
該反応は、好ましくは−20〜+500℃、特に好ましくは70〜160℃の温度で行われる。
【0034】
好ましくは、リン(非対称に置換されたホスフィン酸のリン)に対する反応体Aの比率は、0.8〜3イオン当量(カチオン電荷当たりのモル量)、特に1〜2である。
【0035】
好ましくは、リン(非対称に置換されたホスフィン酸のリン)に対する溶剤の比率は、2〜1000モル/モル、特に4〜100モル/モルである。
【0036】
原料として好ましい非対称に置換されたホスフィン酸は、A-P(=O)OH-B(式中、A及びBは式(I)に定義した通り)のタイプのものである。
【0037】
好ましい溶剤系の一つは、自動解離によって、反応体A中のものと同じアニオンを含むものである。好ましい溶剤系の一つは、10〜30の解離定数pKaを有するものである。
【0038】
好ましい溶剤は、アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、イソオクタノール、n−トリデカノール、ベンジルアルコールなどである。また、グリコール類、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコールなども好ましい。
【0039】
好ましい反応体Aは、第一主族の元素の塩、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物水酸化物、アルカリ金属水酸化物炭酸塩、アルカリ金属アルコレート、特に水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムn−プロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムn−ブトキシド、ナトリウムイソブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムアミルアルコレート、及び/またはグリコール酸ナトリウムである。
【0040】
他の好ましい反応体Aは、中でも、第一主族の元素の塩、好ましくは第二主及び亜族の元素の塩、好ましくはアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物炭酸塩、特にマグネシウム水酸化物(Magnifin(R) H5, Albemarle社)、ハイドロタルサイト(Mg6Al2(OH)16CO3* nH2O)、ジハイドロタルサイト、炭酸マグネシウム類または炭酸カルシウムマグネシウム類、水酸化カルシウム、塩基性炭酸亜鉛、亜鉛水酸化物炭酸塩、塩基性炭酸亜鉛水和物、水酸化亜鉛類、または混合亜鉛酸化物水酸化物類(標準亜鉛酸化物(例えばGrillo社製品)、活性化した亜鉛酸化物(例えばRheinchemie社製品)、ジンサイト、カラマイン)、及び対応するヒドロキシスタンネートである。
【0041】
他の好ましい反応体Aは、第三主及び亜族の元素の塩、好ましくは水酸化アルミニウム、水酸化セリウム、水酸化ランタン、アルミニウムアルコレート、セリウムアルコレート、ランタンアルコレート、水酸化アルミニウム、または混合アルミニウム酸化物水酸化物、ジヒドロキシアルミニウムナトリウムカーボネート、NaAl(OH)2CO3及び/またはポリアルミニウムヒドロキシ化合物(アルミニウム含有率は好ましくは9〜40重量%)である。
【0042】
他の好ましい反応体Aは、第四主及び亜族の元素の塩、好ましくは水酸化スズ類、水酸化鉛類、チタン酸化物水酸化物類、ジルコニウム酸化物水酸化物類、スズアルコレート、チタンアルコレート、またはジルコニウムアルコレートである。
【0043】
好ましいチタンアルコレート、すなわちチタンアルコキシドは、チタン(IV)n−プロポキシド(Tilcom(R) NPT, Vertec(R) NPT)、チタン(IV)n−ブトキシド、塩化チタントリイソプロポキシド、チタン(IV)エトキシド、またはチタン(IV)2−エチルヘキソキシド(Tilcom(R) EHT, Vertetec(R) EHT)である。
【0044】
好ましいスズアルコレート(スズアルコキシド)は、スズ(IV)tert−ブトキシドである。
【0045】
好ましいジルコニウムアルコキシレート、すなわちジルコニウムアルコキシドは、ジルコニウム(IV)tert−ブトキシドである。
【0046】
好ましい前駆体は、第一主族の元素、好ましくはLi、NaまたはKの元素状金属形態、または酸化物、過酸化物または超酸化物、あるいは第二主及び亜族の元素、好ましくはMg、CaまたはZnの元素状金属形態または酸化物もしくは過酸化物である。好ましいものは、過酸化亜鉛類、酸化亜鉛類(例えばRhein ChemieまたはBrueggemann KG製の活性化した酸化亜鉛; ジンサイトもしくはカラマイン; Grillo-Werke AG製の標準酸化亜鉛、G6亜鉛白、2011酸化亜鉛、F−80酸化亜鉛、Pharma8zinc white(R)、Pharma A zinc white(R)、Rotsiegel zinc white(R)、Weissiegel zinc white(R))、第三主及び亜族の元素、好ましくはAl、CeまたはLaの元素状金属形態または酸化物もしくは過酸化物、あるいは第四主及び亜族の元素、好ましくはSn、Pb、TiまたはZrの元素状金属形態または酸化物もしくは過酸化物である。
【0047】
好ましくは、本発明の方法2では、本発明による非対称に置換されたビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩を、他の反応体Bの添加により他の金属塩に転化する。
【0048】
好ましい反応体Bは、ホウ酸塩、炭酸塩、ヒドロキソ炭酸塩、ヒドロキソ炭酸塩水和物、混合ヒドロキソ炭酸塩、混合ヒドロキソ炭酸塩水和物、リン酸塩、硫酸塩、硫酸塩水和物、ヒドロキソ硫酸塩水和物、混合ヒドロキソ硫酸塩水和物、オキシスルフェート、酢酸塩、硝酸塩、フッ化物、フッ化物水和物、塩化物、塩化物水和物、オキシクロライド、臭化物、ヨウ化物、ヨウ化物水和物、カルボン酸誘導体、及び/または第一主族の元素のアルコキシド、第二主及び亜族の元素(好ましくは、Mg、CaまたはZn)のアルコキシド、第三主及び亜族の元素(好ましくはAl、CeまたはLa)のアルコキシド、及び第四主及び亜族の元素(好ましくはSn、Pb、TiまたはZr)のアルコキシドである。
【0049】
好ましい反応体Bは、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸チタニル、硝酸亜鉛、及び/または硫酸亜鉛である。
【0050】
好ましくは、反応は、攪拌タンク、ミキサー及び/または混練機中で行われる。
【0051】
好ましくは、本発明方法における反応は、0.083〜1.65 kW/m3、特に好ましくは0.33〜1.65 kW/m3のエネルギー入力量で行われる。
【0052】
好ましくは、該非対称置換ホスフィン酸塩は、本発明の方法において、濾過及び/または遠心分離によって反応混合物から単離される。
【0053】
好ましくは、本発明方法では、該非対称置換ホスフィン酸塩は、圧力濾過漏斗、吸引濾過漏斗、攪拌機付き濾過漏斗、プレッシャーライズ(pressure rise)ろう燭型フィルター、軸葉状濾過器、円形葉状濾過器、遠心葉状濾過器、チャンバフレームフィルタープレス、自動チャンバフィルタープレス、吸引多室ドラム濾過器、吸引多室葉状濾過器、吸引水平テーブル濾過器、サイドフィード吸引濾過器、回転圧力濾過器、または吸引ベルト濾過器を用いて単離される。
【0054】
好ましくは、濾過圧は0.5Pa〜6MPaである。
【0055】
好ましくは、濾過温度は0〜400℃である。
【0056】
好ましくは、比濾過速度は、10〜200kg*h-1*m-2である。
【0057】
好ましくは、フィルターケーキの残留含水率は5〜60%である。
【0058】
好ましくは、本発明方法における該非対称置換ホスフィン酸塩は、無孔壁遠心分離機、例えばオーバーフロー遠心分離機、プラウ(plough)遠心分離機、チャンバ遠心分離機、螺旋コンベア遠心分離機、ディスク遠心分離機、チューブ遠心分離機、シーブ遠心分離機、例えばオーバードライブ遠心分離機及びアンダードライブ遠心分離機、スクリーン−コンベア遠心分離機、スクリーン−プラウ遠心分離機、または往復コンベア遠心分離機を用いて単離される。
【0059】
好ましくは、加速比は300〜15000である。
【0060】
好ましくは、懸濁液処理量は、2〜400m3*h-1である。
【0061】
好ましくは、固形物処理量は、5〜80t*h-1である。
【0062】
好ましくは、ケーキの残留含水率は5〜60%である。
【0063】
好ましくは、本発明方法における該非対称置換ホスフィン酸塩は乾燥される。
【0064】
乾燥工程のための適当な装置は、チャンバドライヤー、チャネルドライヤー、ベルトドライヤー(2〜3m/sの風速)、ディスクドライヤー(20〜400℃の温度)、ドラムドライヤー(100〜250℃の熱ガス温度)、パドルドライヤー(50〜300℃の温度)、空気式ドライヤー(10〜60m/sの風速、50〜300℃の排気温度)、流動床ドライヤー(0.2〜0.5m/sの風速、50〜300℃の排気温度)、シリンダードライヤー、チューブ状ドライヤー(20〜200℃の温度)、パドルドライヤー、真空乾燥棚(20〜300℃の温度、0.001〜0.016MPaの圧力)、真空ドラムドライヤー(20〜300℃の温度、0.004〜0.014MPaの圧力)、真空パドルドライヤー(20〜300℃の温度、0.003〜0.02MPaの圧力)、真空コニカルドライヤー(20〜300℃の温度、0.003〜0.02MPaの圧力)である。
【0065】
驚くべきことに、本発明の非対称置換ホスフィン酸塩の分解温度は、これに匹敵する対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩またはジアルキルホスフィン酸の塩の分解温度よりも低いことが見出された。それゆえ、これらは、従来技術の典型物よりも実質的に低い温度で難燃作用を有する。
【0066】
それゆえ、本発明による非対称置換ホスフィン酸塩は、好ましくは、難燃剤中に効果促進剤もしくは相乗剤として使用されるか、または単独で難燃剤として使用される。
【0067】
好ましくは、本発明の非対称置換ホスフィン酸塩は、クリアラッカー及び防火塗料中においてあるいは木材及び他のセルロース含有材料のために、難燃剤中の効果促進剤もしくは相乗剤としてまたは単独で難燃剤として、あるいは難燃剤中に反応性及び/または非反応性効果促進剤もしくは相乗剤として、または単独でポリマー用の難燃剤として使用される。
【0068】
好ましくは、本発明の非対称置換ホスフィン酸塩は、難燃性ポリマー成形材料の調製のために、難燃性ポリマー成形体の製造のために、あるいは含浸させることによってポリエステルに及びセルロース繊維材料またはセルロース混合繊維材料に難燃性を付与するために使用される。
【0069】
好ましくは、本発明による非対称置換ホスフィン酸塩は、難燃性ポリマー成形材料の製造のために使用される。
【0070】
好ましくは、前記ポリマーは熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性ポリマーである。
【0071】
好ましくは、本発明の非対称置換ホスフィン酸塩は、難燃性熱可塑性ポリマー成形材料の製造に使用される。
【0072】
好ましくは、上記難燃性熱可塑性ポリマー成形材料は、本発明の非対称置換ホスフィン酸塩を0.5〜45重量%の割合で含む。
【0073】
好ましくは、上記難燃性熱可塑性ポリマー成形材料は、本発明の非対称置換ホスフィン酸塩を0.5〜45重量%の割合で、及び熱可塑性ポリマーまたはこれらの混合物を0.5〜95重量%の割合で含み、この際、これらの成分の合計は100重量%である。
【0074】
好ましくは、上記難燃性熱可塑性ポリマー成形材料は、本発明の非対称置換ホスフィン酸塩を0.5〜45重量%の割合で、熱可塑性ポリマーまたはこれらの混合物を0.5〜95重量%の割合で、添加剤を0.5〜55重量%の割合で、及びフィラーまたは強化材を0.5〜55重量%の割合で含み、この際、これらの成分の合計は100重量%である。
【0075】
好ましくは、上記難燃性熱可塑性ポリマー成形材料は、本発明の非対称置換ホスフィン酸塩を10〜40重量%の割合で、
熱可塑性ポリマーまたはこれらの混合物を10〜80重量%の割合で、
添加剤を2〜40重量%の割合で、
フィラーまたは強化材を2〜40重量%の割合で、
含み、この際、これらの成分の合計は100重量%である。
【0076】
難燃性熱可塑性ポリマー成形材料の製造方法は、本発明の非対称置換ホスフィン酸を、ポリマーペレット、場合によっては及び添加剤と混合し、そしてこれを、二軸スクリュー押出機(ZSK(R)25 WLE, 14.5 kg/h, 200 rpm, L/D: 4)中で、170℃(ポリスチレン)、約270℃(PET,ポリエチレンテレフタレート)、230〜260℃(ポリブチレンテレフタレート,PBT)、260℃(PA6)または260〜280℃(PA66)の本発明による温度下において、配合することを含む。均一化されたポリマーストランドを抜き出し、水浴中で冷却し、次いでペレット化し、そして0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%の残留含水率まで乾燥する。
【0077】
好ましくは、上記熱可塑性ポリマーは、モノオレフィンまたはジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリイソプレン、及びポリブタジエン、またはシクロオレフィンのポリマー、例えばシクロペンテンもしくはノルボルネンのポリマー; またはポリエチレン(必要に応じて架橋されたものでもよい)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度高分子量ポリエチレン(HMWHDPE)、高密度超高分子量ポリエチレン(UHMWHDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、または分枝状低密度ポリエチレン(VLDPE)、またはこれらの混合物である。
【0078】
好ましくは、上記熱可塑性ポリマーは、モノオレフィン及び/またはジオレフィン同士のコポリマー、またはこれらと他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン−プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはこれと低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン−1−ブテンコポリマー、プロピレン−イソブチレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマー、エチレン−メチルペンテンコポリマー、エチレン−ヘプテンコポリマー、エチレン−オクテンコポリマー、プロピレン−ブタジエンコポリマー、イソブチレン−イソプレンコポリマー、エチレン−アルキルアクリレートコポリマー、エチレン−アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン−ビニルアセテートコポリマー及びこれらと一酸化炭素とのコポリマー、またはエチレン−アクリル酸コポリマー及びこれらの塩(アイオノマー)、あるいはエチレンとプロピレン及びジエン(例えば、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデンノルボルネン)とのターポリマー; またはこれらのコポリマー同士の混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−ビニルアセテートコポリマー、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー、LLDPE/エチレン−ビニルアセテートコポリマー、LLDPE/エチレンアクリル酸コポリマー、及び交互もしくはランダム構造のポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー、またはこれらと他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物である。
【0079】
好ましくは、上記ポリマーは、炭化水素樹脂(例えばC5〜C9)(これらの水素化物(例えば粘着付与剤樹脂)も含む)、並びにポリアルキレンとデンプンとの混合物である。
【0080】
好ましくは、前記熱可塑性ポリマーは、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、及び/またはポリ(アルファ−メチルスチレン)である。
【0081】
好ましくは、上記熱可塑性ポリマーは、スチレンまたはアルファ−メチルスチレンと、ジエンまたはアクリル酸誘導体とのコポリマー、例えばスチレン−ブタジエン、スチレン−アクリロニトリル、スチレン−アルキルメタクリレート、スチレン−ブタジエン−アルキルアクリレート及び対応するメタクリレート、スチレン−無水マレイン酸、スチレン−アクリロニトリル−メチルアクリレート; スチレンコポリマーと他のポリマー(例えばポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン−プロピレン−ジエンターポリマー)からなる耐衝撃性混合物; あるいはスチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン、またはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンである。
【0082】
好ましくは、上記熱可塑性ポリマーは、スチレンまたはアルファ−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエン上にスチレンがグラフトしたポリマー、ポリブタジエン−スチレンコポリマーまたはポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマー上にスチレンがグラフトしたポリマー、ポリブタジエン上にスチレン及びアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル)がグラフトしたポリマー; ポリブタジエン上にスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレートがグラフトしたポリマー; ポリブタジエン上にスチレン及び無水マレイン酸がグラフトしたポリマー; ポリブタジエン上にスチレン、アクリロニトリル及び無水マレイン酸もしくはマレイミドがグラフトしたポリマー; ポリブタジエン上にスチレン及びマレイミドがグラフトしたポリマー、ポリブタジエン上にスチレン及びアルキルアクリレート及び/またはアルキルメタクリレートがグラフトしたポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー上にスチレン及びアクリロニトリルがグラフトしたポリマー、ポリアルキルアクリレート上またはポリアルキルメタクリレート上にスチレン及びアクリロニトリルがグラフトしたポリマー、アクリレート−ブタジエンコポリマー上にスチレン及びアクリロニトリルがグラフトしたポリマー、あるいはこれらの混合物、例えばABSポリマー、MBSポリマー、ASAポリマーまたはAESポリマーとして知られるものである。
【0083】
好ましくは、上記熱可塑性ポリマーは、ハロゲン含有ポリマー、例えばポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン−イソプレンからなる塩素化及び臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化またはクロロスルホン化ポリエチレン、エチレン及び塩素化エチレンからなるコポリマー、エピクロロヒドリンホモ−及びコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物、例えばポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライドからなるポリマー; あるいはこれらのコポリマー、例えばビニルクロライド−ビニリデンクロライド、ビニルクロライド−ビニルアセテート、またはビニリデンクロライド−ビニルアセテートである。
【0084】
好ましくは、上記熱可塑性ポリマーは、アルファ−ベータ−不飽和酸及びこれらの誘導体から誘導されるポリマー、例えばポリアクリレート及びポリメタクリレート、ブチル−アクリレート−耐衝撃性ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル、及び上記のモノマー同士のコポリマーまたは上記のモノマーと他の不飽和モノマーからなるコポリマー、例えばアクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル−アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル−アルコキシアルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル−ビニルハライドコポリマー、またはアクリロニトリル−アルキルメタクリレート−ブタジエンターポリマーである。
【0085】
好ましくは、上記熱可塑性ポリマーは、不飽和アルコール及びアミン類からあるいはそれらのアシル誘導体またはアセタールから誘導されるポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレエート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミン; またはこれらとオレフィンとのコポリマーである。
【0086】
好ましくは、上記熱可塑性ポリマーは、環状エーテルのホモポリマー及びコポリマー、例えばポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはこれらとビスグリシジルエーテルとのコポリマーである。
【0087】
好ましくは、上記ポリマーは、熱可塑性ポリアセタール、例えばポリオキシメチレン、またはコモノマー(例えばエチレンオキシド)を含むポリオキシメチレン; 熱可塑性ポリウレタンまたはアクリレートまたはMBSで変性されたポリアセタールである。
【0088】
好ましくは、上記熱可塑性ポリマーは、ポリフェニレンオキシド及びポリフェニレンスルフィド、及びこれらとスチレンポリマーまたはポリアミドとの混合物である。
【0089】
上記熱可塑性ポリマーは、好ましくは、一方で末端ヒドロキシ基を有するポリエーテル、ポリエステル及びポリブタジエンから、及び他方で脂肪族または芳香族ポリイソシアネートから誘導されるポリウレタン、あるいはこれらの前駆体である。
【0090】
好ましくは、上記熱可塑性ポリマーは、ジアミン及びジカルボン酸から及び/またはアミノカルボン酸から、あるいは対応するラクタムから誘導されるポリアミド及びコポリアミド、例えばナイロン−4、ナイロン−6(Akulon(R)K122, DSM; Zytel(R) 7301, DuPont; Durethan(R) B 29, Bayer)、ナイロン−6,6(Zytel(R)101, DuPont; Durethan(R) A30, Durethan(R)AKV, Durethan(R) AM, Bayer; Ultramid(R)A3, BASF)、ナイロン−6,10、−6,9、−6,12、−4,6、−12,12、ナイロン−11、及びナイロン−12(Grillamid(R)L20, Ems Chemie)、m−キシレン、ジアミン及びアジピン酸に基づく芳香族ポリアミド; ヘキサメチレンジアミン及びイソ−及び/またはテレフタル酸及び必要に応じて変性剤としてのエラストマーから製造されるポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミドである。他の好適なポリマーは、上記のポリアミドと、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマーまたは化学的に結合もしくはグラフトしたエラストマーとのブロックコポリマー、あるいは上記ポリアミドとポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマーである。EPDM−またはABS−変性ポリアミドまたはコポリアミド、並びに加工中に縮合するポリアミド“RIMポリアミドシステム”も好適である。
【0091】
好ましくは、上記ポリマーは、ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾールである。
【0092】
好ましくは、上記熱可塑性ポリマーは、ジカルボン酸及びジアルコールから及び/またはヒドロキシカルボン酸からあるいは対応するラクトンから誘導されるポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(Celanex(R)2500, Celanex(R) 2002, Celanese; Ultradur(R), BASF)、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、並びにヒドロキシル末端基を有するポリエーテルから誘導されるブロックポリエーテルエステル、並びにポリカーボネートでもしくはMBSで変性されたポリエステルである。
【0093】
好ましくは、上記熱可塑性ポリマーは、ポリカーボネートまたはポリエステルカーボネート、あるいはポリスルホン、ポリエーテルスルホンまたはポリエーテルケトンである。
【0094】
好ましくは、上記ポリマーは、上記のポリマーの混合物(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ナイロン/EPDMもしくはABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PU、PC/熱可塑性PU、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/ナイロン−6,6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS、及びPBT/PET/PCである。
【0095】
好ましくは、本発明による非対称置換ホスフィン酸塩は、難燃性熱可塑性ポリマー成形体、難燃性熱可塑性ポリマーフィルム、難燃性熱可塑性ポリマーフィラメント、及び難燃性熱可塑性ポリマー繊維の製造に使用される。
【0096】
好ましくは、該非対称置換ホスフィン酸塩を含む本発明の難燃性熱可塑性成形材料は、難燃性熱可塑性ポリマー成形体、難燃性熱可塑性ポリマーフィルム、難燃性熱可塑性ポリマーフィラメント、及び難燃性熱可塑性ポリマー繊維の製造に使用される。
【0097】
好ましくは、上記難燃性ポリマー成形体、難燃性ポリマーフィルム、難燃性ポリマーフィラメント及び難燃性ポリマー繊維は、本発明による非対称置換ホスフィン酸塩を0.5〜45重量%の割合で、及び熱可塑性ポリマーまたはこれらの混合物を0.5〜95重量%の割合で含む。
【0098】
好ましくは、上記難燃性ポリマー成形体、難燃性ポリマーフィルム、難燃性ポリマーフィラメント及び難燃性ポリマー繊維は、本発明の非対称置換ホスフィン酸塩を0.5〜45重量%、難燃性ポリマーもしくはこれらの混合物を0.5〜95重量%、添加剤を0.5〜55重量%、及びフィラーまたは強化材を0.5〜55重量%の割合で含む。
【0099】
最後に、本発明は、難燃性ポリマー成形体の製造方法であって、本発明の難燃性ポリマー成形材料を、比較的高い温度において、射出成形(例えば、射出成形機(Arburg Allrounder(R))及び圧縮成形、発泡射出成形、内ガス圧射出成形(internal-gas-pressure injection molding)、ブロー成形、キャストフィルム製造、カレンダリング、積層またはコーティングによって加工して上記難燃性ポリマー成形体とすることを含む方法も提供する。
【0100】
難燃性ポリマー成形体の製造方法においては、本発明の難燃性成形材料は、次に記載の溶融温度で加工してポリマー成形体とする。好ましい溶融温度は、ポリスチレンの場合には200〜250℃、ポリプロピレンの場合には200〜300℃、ポリエチレンテレフタレート(PET)の場合には250〜290℃、ポリブチレンテレフタレート(PBT)の場合には230〜270℃、ナイロン−6(PA6)の場合には260〜290℃、ナイロン−6,6(PA6.6)の場合には260〜290℃、そしてポリカーボネートの場合には280〜320℃である。
【0101】
また、難燃性熱硬化性ポリマー成形材料の製造に本発明による非対称置換ホスフィン酸塩を使用することも好ましい。
【0102】
このタイプの難燃性熱硬化性ポリマー成形材料は、本発明による非対称置換ホスフィン酸塩を0.1〜45重量%、不飽和ポリエステルを40〜90重量%、及びビニルモノマーを10〜60重量%の割合で含む。
【0103】
上記熱硬化性ポリマーは、好ましくは、飽和もしくは不飽和ジカルボン酸またはそれらの無水物と多価アルコールまたは架橋剤としてのビニル化合物とのコポリエステルから誘導される不飽和ポリエステルである。UP樹脂は、開始剤(例えば過酸化物)及び促進剤を用いて遊離基重合を介して硬化される。
【0104】
上記ポリエステルの製造のための好ましい不飽和ジカルボン酸及び不飽和ジカルボン酸誘導体は、無水マレイン酸及びフマル酸である。
【0105】
好ましい飽和ジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸及び/またはアジピン酸である。
【0106】
好ましいジオールは、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコール、及びエトキシル化もしくはプロポキシル化されたビスフェノールAである。
【0107】
架橋反応に好ましいビニル化合物はスチレンである。
【0108】
好ましい硬化剤系は、過酸化物及び金属共開始剤、例えばヒドロパーオキシド、及びオクタン酸コバルト、及び/または過酸化ベンゾイル、及び芳香族アミン、及び/または紫外線及び感光剤、例えばベンゾインエーテルである。
【0109】
好ましいヒドロパーオキシドは、過酸化ジ−tert−ブチル、過オクタン酸tert−ブチル、過ピバル酸tert−ブチル、2−エチル過ヘキサン酸tert−ブチル、過マレイン酸tert−ブチル、過イソ酪酸tert−ブチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジアセチル、過酸化スクシニル、過酸化p−クロロベンゾイル、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネートである。
【0110】
好ましくは、開始剤の使用量は、全てのコモノマーの重量を基準にして0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜15重量%である。
【0111】
好ましい金属共開始剤は、コバルト、マンガン、鉄、バナジウム、ニッケルまたは鉛の化合物である。コモノマー全ての重量を基準にして0.05〜1重量%の量で金属共開始剤を使用することが好ましい。
【0112】
好ましい芳香族アミンは、ジメチルアニリン、p−ジメチルトルエン、ジエチルアニリン及びフェニルジエタノールアミン類である。
【0113】
難燃性コポリマーの製造のための方法の一つは、ポリオール及び少なくとも一種のビニル芳香族化合物、及び少なくとも一種のC4〜C8ジカルボン酸から誘導される少なくとも一種のエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物を共重合し、次いで本発明の非対称置換ホスフィン酸と反応させることを含む。
【0114】
難燃性熱硬化性組成物の製造方法の一つは、熱硬化性樹脂を、本発明の非対称置換ホスフィン酸からなる難燃剤成分と混合し、そして得られた混合物を、3〜10barの圧力及び20〜60℃の温度で湿式プレス(低温プレス)することを含む。
【0115】
難燃性熱硬化性組成物の製造方法の一つは、熱硬化性樹脂を本発明による非対称置換ホスフィン酸と混合し、そして得られた混合物を3〜10barの圧力及び80〜150℃の温度で湿式プレス(高温プレス)することを含む。
【0116】
好ましくは、本発明の難燃性熱硬化性成形材料は、難燃性熱硬化性ポリマー成形体の製造に使用される。
【0117】
難燃性エポキシ樹脂は、本発明の非対称置換ホスフィン酸塩を0.5〜50重量%、エポキシ樹脂を5〜70重量%、及び硬化剤を0〜20重量%の割合で含む。
【0118】
上記ポリマーは、好ましくは、脂肪族、環状脂肪族、ヘテロ環状または芳香族グリシジル化合物から誘導される架橋されたエポキシ樹脂、例えば慣用の硬化剤及び/または促進剤で架橋されたビスフェノールAジグリシジルエーテルまたはビスフェノールFジグリシジルエーテルの生成物である。
【0119】
適当なグリシジル化合物は、ビスフェノールAジグリシジルエステル、ビスフェノールFジグリシジルエステル、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂のポリグリシジルエステルまたはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂のポリグリシジルエステル、フタル酸、イソフタル酸もしくはテレフタル酸またはトリメリト酸のポリグリシジルエステル、芳香族アミンまたはヘテロ環状窒素塩基のN−グリシジル化合物、並びに多価脂肪族アルコールのジ−もしくはポリグリシジル化合物である。
【0120】
適当な硬化剤は、ポリアミン、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ポリアミドアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェノールスルホン類及びジシアンジアミドである。
【0121】
適当な硬化剤は、多塩基性酸またはそれらの無水物、例えば無水フタル酸、無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、及び無水メチルヘキサヒドロフタル酸である。
【0122】
適当な硬化剤は、フェノール類、例えばフェノール−ノボラック樹脂、クレゾール−ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール−付加物樹脂、フェノール−アラルキル樹脂、クレゾール−アラルキル樹脂、ナフトール−アラルキル樹脂、ビフェノールで変性したフェノール−アラルキル樹脂、フェノール−トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトール−ノボラック樹脂、ナフトール−フェノール縮合物樹脂、ナフトール−クレゾール縮合物樹脂、ビフェノールで変性したフェノール樹脂、及びアミノトリアジンで変性したフェノール樹脂である。
【0123】
これらの硬化剤は、単独でまたは互いに組み合わせて使用することができる。重合反応中の架橋反応に好適な触媒または促進剤は、第三アミン、ベンジルジメチルアミン、N−アルキルピリジン類、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、有機酸の金属塩、ルイス酸、及びアミン錯体塩である。
【0124】
電気または電子部品の封止並びに飽和及び含浸プロセスにはエポキシ樹脂が好適である。電気工学では、使用されるエポキシ樹脂は主に難燃性であり、そしてプリント配線基盤及び絶縁体に使用されている。
【0125】
好ましくは、上記ポリマーは、一方ではアルデヒドから、そして他方ではフェノール類、尿素またはメラミンから誘導される架橋ポリマー、例えばフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、及びメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0126】
好ましくは、上記ポリマーは、置換されたアクリレート、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレートから誘導される架橋可能なアクリル樹脂である。
【0127】
好ましくは、上記ポリマーは、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネートまたはエポキシ樹脂で架橋された、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、及びアクリレート樹脂である。
【0128】
好ましくは、本発明の難燃性エポキシ樹脂は、難燃性熱硬化性ポリマー成形体の製造に使用される。
【0129】
また本発明は、本発明による非対称置換されたホスフィン酸0.1〜50重量部とポリイソシアネート30〜65重量部及びポリオール30〜65重量部との反応を介して製造される難燃性ポリウレタン成形材料も提供する。
【0130】
難燃性ポリウレタン成形材料の製造方法の一つは、(場合によっては発泡のために発泡剤0.1〜1.8重量部、好ましくは0.3〜1.6重量部を使用して)ポリイソシアネート170〜70重量部、好ましくは130〜80重量部と、ポリオール100重量部、本発明による非対称置換ホスフィン酸0.1〜50重量部、及び触媒0.1〜4重量部、特に好ましくは1〜2重量部とを反応させることを含む。
【0131】
好ましくは、本発明による難燃性ポリウレタン成形材料は、難燃性熱硬化性ポリマー成形体の製造に使用される。
【0132】
好ましいポリオールは、次のもののアルキレンオキシド付加物、すなわちエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、糖、分解デンプン、エチレンジアミン、ジアミノトルエン及び/またはアニリンのアルキレンオキシド付加物である。これらは開始剤として働く。好ましいアルコキシル化剤は2〜4個の炭素原子を含み、好ましいものはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドである。
【0133】
好ましいポリエステルポリオールは、ポリアルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジグリセロール、グルコース及び/またはソルビトールと、二塩基性酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸との重縮合によって得られる。これらのポリエステルポリオールは単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0134】
好適なポリイソシアネートは、少なくとも二つのイソシアネート基を有する芳香族、脂環式または脂肪族ポリイソシアネート、及びこれらの混合物である。好ましいものは、芳香族ポリイソシアネート、例えばトリルジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、及びポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート類であり; 脂環式ポリイソシアネート類は、メチレンジフェニルジイソシアネートであり; そしてトリルジイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネート類は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリルジイソシアネート、1,1−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン−4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン異性体混合物、シクロヘキシル1,4−ジイソシアネート、(R)Desmodurグレード品(Bayer)及びリシンジイソシアネート、及びこれらの混合物である。
【0135】
適当なポリイソシアネート類は、ポリイソシアネートとポリオール、尿素、カルボジイミド及び/またはビウレットとの反応を介して得られる変成された生成物である。適当な触媒は、強塩基、カルボン酸のアルカリ金属塩、または脂肪族第三アミン類である。好ましいものは、第四級水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物またはアルコキシド、酢酸ナトリウムもしくは酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’−ジ−(C1〜C2)−アルキルピペラジン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノアルキル)ピペラジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、ビス(N,N−ジエチルアミノエチル)アジペート、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N−ジエチル−[ベータ]フェニルエチルアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾールなどである。
【0136】
好ましくは、ポリオールに対するポリイソシアネートの重量比は、ポリオール100重量部を基準にして、170〜70、好ましくは130〜80である。
【0137】
好ましくは、触媒の重量比は、ポリオール100重量部を基準にして、0.1〜4重量部、特に好ましくは1〜2重量部である。
【0138】
好ましい発泡剤は、水、炭化水素、フルオロクロロカーボン、フルオロカーボンなどである。
【0139】
発泡剤の量は、ポリオール100重量部を基準にして、0.1〜1.8重量部、好ましくは0.3〜1.6重量部、特に0.8〜1.6重量部である。
分解温度
従来技術: 対称に置換されたホスフィン酸の塩(アルミニウムビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィネート):321℃。
従来技術: ジアルキルホスフィン酸の塩(アルミニウムトリスジエチルホスフィネート):340℃。
これに対して、本発明による非対称に置換されたホスフィン酸の塩: 160〜236℃。
【0140】
以下の例は、本発明を例示するものである。
【実施例】
【0141】
例1
脱イオン水140g及び水酸化アルミニウム2.6gを、Berghoff実験室用オートクレーブ中で、アセトアルデヒド−ホルムアルデヒド付加物21.9g(材料のリン含有量を基準にして64モル%)と混合する。この混合物を攪拌しながら154℃に加熱し、そしてこの温度を20時間維持する。冷却した懸濁液を濾過し、そして生じた固形物を20mbar及び120℃で15時間乾燥する。
【0142】
例2
1L三首丸底フラスコ中で、CaO 14gを脱イオン水350g中に分散する。水酸化カルシウムが生じる。アセトン−ホルムアルデヒド付加物92.8g(材料のP含有量を基準にして83モル%)も加える。この混合物を90℃に加熱し、そしてこの温度を1時間維持する。冷却した懸濁液を濾過し、そして生じた固形物を大気圧及び120℃で15時間乾燥する。
【0143】
例3
500mlガラスビーカー中で、アセトン−アセトアルデヒド付加物109.2g(材料のP含有量を基準にして77モル%)を、攪拌しながら、約20℃で10分間かけて40gの水酸化ナトリウム溶液(50重量%)中に加える。この溶液は、リンを基準にして、アセトン−アセトアルデヒド付加物のナトリウム塩を77モル%含む。
【0144】
例4
1Lガラスビーカー中で、アセトン−ブチルアルデヒド付加物130.8g(材料のP含有量を基準にして75モル%)を、攪拌しながら、約20℃の温度で脱イオン水140g中に溶解し、そして62.6gの水酸化アンモニウム溶液(28重量%)を30分間かけて加える。この溶液は、リンを基準にして、アセトン−ブチルアルデヒド付加物のアンモニウム塩を75モル%含む。
【0145】
例5
Berghoff実験室用オートクレーブ中で、脱イオン水140g及び水酸化亜鉛10.1gを、シクロヘキサノン−ホルムアルデヒド付加物85.7g(材料のP含有量を基準にして68モル%)と混合する。この混合物を攪拌しながら150℃に加熱し、そしてこの温度を5時間維持する。冷却した懸濁液を濾過し、生じた固形物を20mbar及び120℃で15時間乾燥する。
【0146】
例6
滴下漏斗、還流冷却器、及び精密ガラスグランド(precision glass gland)付きの攪拌機を備えた2L三首丸底フラスコ中で、ベンズアルデヒド−ホルムアルデヒド付加物31.9g(材料のP含有量を基準にして63モル%)を攪拌しながら脱イオン水700g中に溶解し、そしてこの混合物を150℃に加熱する。30分間かけて、80gの水酸化ナトリウム溶液(5重量%)を滴下する。生じたナトリウム塩を、更に13.7gの硫酸アルミニウム溶液(46重量%の(Al2(SO4)3・14水和物)を加えそして更に10分間攪拌することによってアルミニウム塩に転化する。冷却した懸濁液を濾過し、そして生じた固形物を少量の水で洗浄し、そして大気圧及び150℃で48時間乾燥する。
【0147】
例7
滴下漏斗、還流冷却器及び精密ガラスグランド付きの攪拌機を備えた2L三首丸底フラスコ中で、ベンズアルデヒド−アセトアルデヒド付加物 166.3g(材料のP含有量を基準にして65モル%)を、攪拌しながら脱イオン水700g中に溶解し、そしてこの混合物を90℃に加熱する。30分間かけて、水酸化ナトリウム20gを少しずつ滴下する。生じたナトリウム塩を、更に46.7gの硫酸亜鉛7水和物を加えそして更に1時間攪拌することにより亜鉛塩に転化する。冷却した懸濁液を濾過し、そして生じた固形物を少量の水で洗浄し、そして大気圧及び120℃で15時間乾燥する。
【0148】
例8
滴下漏斗、還流冷却器及び精密ガラスグランド付きの攪拌機を備えた2L三首丸底フラスコ中で、アセトフェノン−ホルムアルデヒド付加物138.6g(材料のP含有量を基準にして78モル%)を、攪拌しながら脱イオン水700g中に溶解し、そしてこの混合物を90℃に加熱する。10分間かけて、40gの水酸化ナトリウム溶液(50%)を滴下する。生じたナトリウム塩を、更に48.1gの硫酸マグネシウム7水和物を加えてそして更に30分間攪拌することによりマグネシウム塩に転化する。冷却した懸濁液を濾過し、そして生じた固形物を少量の水で洗浄し、そして50mbar及び120℃で6時間乾燥する。
【0149】
例9
滴下漏斗、還流冷却器及び精密ガラスグランド付きの攪拌機を備えた2L三首丸底フラスコ中で、アセトフェノン−ホルムアルデヒド付加物178.4g(材料のP含有量を基準にして78モル%)を、攪拌しながらイソプロピルアルコール700g中に溶解する。次いで、チタン(IV)プロポキシド27.7gを加え、そしてこの混合物を約82℃に加熱する。この温度で更に10時間、攪拌を続ける。冷却された懸濁液を濾過し、そして生じた固形物を少量の水で洗浄し、そして大気圧及び120℃で15時間乾燥する。
【0150】
例10
Berghoff実験室用オートクレーブ中で、脱イオン水140g及び水酸化マグネシウム19.8gを、レブリン酸−ホルムアルデヒド付加物156g(材料のP含有量を基準にして68%)と混合する。この混合物を攪拌しながら154℃に加熱し、そしてこの温度を10時間維持する。冷却した懸濁液を濾過し、そして生じた固形物を20mbar及び120℃で15時間乾燥する。
【0151】
例11
Berghoff実験室用オートクレーブ中で、脱イオン水140g及びアルミニウム1.8gを、ヒドロキシアセトン−ホルムアルデヒド付加物47.3g(材料のP含有量を基準にして72モル%)と混合する。水素を放出しながらアルミニウム及び水から、水酸化アルミニウムが中間物として生ずる。この混合物を攪拌しながら154℃に加熱し、そしてこの温度を10時間維持する。冷却された懸濁液を濾過し、そして生じた固形物を20mbar及び80℃で15時間乾燥する。
【0152】
【表1】

【0153】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I)
A-P(=O)(OX)-B
(I)
[式中、AはR1R2C(OH)-であり、そしてBはR3R4C(OH)-であり、但しこの際、これらのR1R2C(OH)-及び-C(OH)R3R4基はそれぞれ常に異なり、そして
R1、R2、R3及びR4は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール及び/または置換されたアリールであり、そして
Xは、第一主族の元素、第二主もしくは亜族の元素、第三主もしくは亜族の元素、第四主もしくは亜族の元素、第八亜族の元素、及び/または窒素塩基である]
で表される非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸塩。
【請求項2】
R1、R2、R3及び/またはR4はヘテロ原子を有し及び/または官能基によって置換されている、請求項1の非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩。
【請求項3】
官能基が、カルボニル、アルデヒド、カルボキシ、ヒドロキシ、スルホン酸、ニトリル、シアノ及び/またはエポキシ基; 第一、第二及び/または第三アミノ基、及び/または置換されていないか、部分的に置換されているかもしくは完全に置換されているトリアジン類である、請求項1または2の非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩。
【請求項4】
アルキル基がメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−オクチル及び/またはエチルヘキシルである、請求項1〜3の一つまたはそれ以上の非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩。
【請求項5】
カルボキシ基が、(CH2)nCO2H(n=1〜6)のタイプのカルボキシアルキル基である、請求項1〜3の一つまたはそれ以上の非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩。
【請求項6】
ヒドロキシ基が、(CH2)nOH(n=1〜6)のタイプのヒドロキシアルキル基である、請求項1〜3の一つまたはそれ以上の非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩。
【請求項7】
Xが、Li、Na、K; Mg、Ca、Zn; Al、Ce、La; Sn、Pb、Ti、Zr; Fe; NH4、NH3R1、NH2R1R2、NHR1R2R3またはNR1R2R3R4である、請求項1〜6の一つまたはそれ以上の非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩。
【請求項8】
上記式(I)の非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸塩の製造方法であって、溶剤系中で、非対称置換ホスフィン酸を反応体Aと反応させることを含み、この際、反応体Aは、第一主族の元素または元素の塩、第二主もしくは亜族の元素または元素の塩、第三主もしくは亜族の元素または元素の塩、第四主もしくは亜族の元素または元素の塩、第八亜族の元素または元素の塩、及び/または窒素塩基である、上記方法。
【請求項9】
上記式(I)の非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩の製造方法であって、非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩を、他の反応体Bの添加によって他の金属塩に転化することを含む、上記方法。
【請求項10】
難燃剤として、特にクリアラッカー及び防火塗料中の難燃剤として、木材または他のセルロース含有材料のための難燃剤として、ポリマーのための反応性及び/または非反応性難燃剤として、難燃性ポリマー成形材料の製造のために、難燃性ポリマー成形体の製造のために、含浸させることによってポリエステルに及びセルロース繊維材料またはセルロース混合繊維材料に難燃性を付与するため; バインダーとして、エポキシ樹脂、ポリウレタンまたは不飽和ポリエステル樹脂の硬化における架橋剤または促進剤として; 綿繊維材料、ポリマー繊維及びプラスチックのための光安定剤及び/または熱安定剤として; 植物保護剤、植物生長調節剤、除草剤、殺虫剤または殺菌剤として; 治療剤としてまたは治療剤中の添加剤として; 酵素モジュレータ、または組織の成長の刺激のために; 金属イオン封鎖剤として; 石油の生産及び金属処理剤に; 石油添加剤として; 酸化防止剤として及びオクタン価の向上のために; 腐食保護剤として; ランドリー洗剤及び洗浄剤用途に; エレクトロニクスの用途に; 感光性層中の遊離基捕獲剤として; アルデヒド捕獲剤として、請求項1〜7の一つまたはそれ以上に記載の非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸塩の使用。
【請求項11】
請求項1〜7の少なくとも一つに記載の非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩0.5〜45重量%、及び
熱可塑性ポリマーまたはこれらの混合物0.5〜99.5重量%、
を含み、これらの成分の合計が100重量%である、難燃性熱可塑性ポリマー成形材料。
【請求項12】
請求項1〜7の少なくとも一つに記載の非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩0.1〜45重量%、
不飽和ポリエステル40〜89.9重量%、
ビニルモノマー10〜60重量%、
を含む、難燃性熱硬化性ポリマー成形材料。
【請求項13】
請求項1〜7の少なくとも一つに記載の非対称置換ビス(1−ヒドロキシメチル)ホスフィン酸の塩0.5〜50重量%、
エポキシ樹脂5〜99.5重量%、
硬化剤0〜20重量%、
を含む、難燃性エポキシ樹脂。

【公開番号】特開2008−260749(P2008−260749A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−324132(P2007−324132)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(398025878)クラリアント・インターナシヨナル・リミテッド (74)
【Fターム(参考)】